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JP3673003B2 - 油圧駆動機械の制御装置 - Google Patents

油圧駆動機械の制御装置 Download PDF

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JP3673003B2
JP3673003B2 JP04155496A JP4155496A JP3673003B2 JP 3673003 B2 JP3673003 B2 JP 3673003B2 JP 04155496 A JP04155496 A JP 04155496A JP 4155496 A JP4155496 A JP 4155496A JP 3673003 B2 JP3673003 B2 JP 3673003B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル、クレーン等の油圧駆動機械において、操作子の操作量に応じて油圧アクチュエータを駆動制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械のような油圧駆動機械では、複数の操作レバーの操作量を示す駆動指令信号が、対応する複数の操作弁(流量制御弁)に加えられ、これら複数の操作弁の開口面積が上記駆動指令信号に応じて変化され、それによって、対応する複数の油圧アクチュエータが駆動されるという構成がとられる。つまり、複数の操作レバーが同時に操作されると、油圧ポンプの吐出圧油は、複数の圧油供給路上の複数の操作弁を介して複数の油圧アクチュエータに供給され、これら複数の油圧アクチュエータが同時に駆動される。
【0003】
かかる構成において、複合操作時の油圧アクチュエータの駆動速度のいわゆる負荷依存性を解消する技術として、ロードセンシングシステムと呼ばれるものがある。
【0004】
このシステムでは、油圧ポンプと流量制御弁との間、あるいは流量制御弁と油圧アクチュエータとの間に、圧力補償弁と呼ばれるバルブが設けられ、流量制御弁を通過する圧油の弁の前後における圧力の差圧が、いずれの駆動軸(建設機械では、ブーム、アーム等のことである)についても同一の値になるように補償するようにしている。つまり、油圧回路の一般公式である、
Q=c・A・√( ΔP )
(ただし、Qは流量制御弁の絞りを通過する流量、cは流量定数、Aは絞りの開口面積、ΔPは絞りの前後差圧である)
において、差圧ΔPが、各駆動軸について同一となるようにすることで、オペレータが指令する駆動指令値(開口面積A)に比例した流量Qが得られるようにしている。
【0005】
また、油圧ポンプの吐出圧が、操作中の油圧アクチュエータの負荷圧の最大値に、上記前後差圧が加算された圧力となるように、油圧ポンプの吐出圧の制御を行うようにしており、これによって複合操作時の各油圧アクチュエータの負荷圧の違いによる速度の変化(負荷圧依存性)が防止される。
【0006】
一方、このシステムでは、バルブの構造が複雑となり、また油圧の安定性の悪さからハンチングを生じやすいという欠点があった。
【0007】
そこで、この問題点を解決すべく、特公平6ー41762号公報、特公平6ー41764号公報では、上記圧力補償弁を使用しないでシステムを構成するようにしている。
【0008】
すなわち、上記公報に記載されたものでは、上記油圧回路の一般公式、
Q=c・A・√( ΔP )
を用いて、差圧ΔPである場合に目標の流量Qを実現するための開口面積Aを、
A=Q/(c・√( ΔP ) )
なる関係式から逆算にて求めるようにしている。
【0009】
このように各油圧アクチュエータにおいて異なる任意の差圧ΔPに対して、それぞれ目標となる流量を得るために必要な開口面積を上記一般公式から逆計算することによって、複合操作時のアクチュエータ速度の負荷依存性を解消している。
【0010】
また、圧力補償弁を使用しないで上記負荷依存性を解消できる別の方法として、特開平4ー351304号公報に開示されたものがある。
【0011】
この公報に記載のものでは、流量制御弁の前後差圧が最小となっている駆動軸以外の軸の流量制御弁に対する駆動指令値(操作レバーの操作量)を、予め設定された差圧と、当該流量制御弁の前後差圧の検出値との比の平方根を補正係数として、補正している。これによって、前後差圧が大きい駆動軸(負荷が小さい駆動軸)ほど、弁開度(開口面積)が小さくなるように、補正される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公平6ー41762号公報、特公平6ー41764号公報に記載のものでは、開口面積Aを求める際に、前後差圧ΔPによって割るという処理が必要となる。
【0013】
しかし、油圧アクチュエータの複合操作中に煩雑に生じる油圧ポンプの流量飽和によって、油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間の差圧ΔPが0(kg/cm2)近辺の値となることは、しばしば起こり得る。このような状況下では、上記割り算が不可能になってしまうことがある。
【0014】
また、零に近い数で割るという演算処理を要するため、その零に近い差圧を検出するための圧力検出器の検出誤差が、演算処理の精度、制御の精度に大きく影響する。このため、一定以上の精度を確保するためには、高精度の圧力検出器が必要となり、コストがかかるという問題があった。
【0015】
さらに、油圧ポンプの吐出可能量から、各油圧アクチュエータに目標となる流量を配分できるかどうかを判断しているため、上記油圧ポンプの飽和時には各油圧アクチュエータでの目標流量を補正するという煩雑な処理も必要であった。
【0016】
一方、特開平4ー351304号公報に記載のものでは、上記のものと同様に、前後差圧ΔPが補正演算処理をするときに、分母になるため、零(零付近)を分母にすることを避けるために、前後差圧ΔPが最小となる駆動軸では、かかる補正演算処理をしないような制御を行うようにしている。
【0017】
しかし、そのために、前後差圧が最小となる駆動軸が切り替わった場合には、補正演算に基づく制御から通常の制御に切り替える必要があり、その切替りの
瞬間において油圧アクチュエータへの駆動指令値が不連続なものとなり、切替り毎にショックが発生するという問題があった。
【0018】
さらに、この公報記載のものでは、油圧ポンプの制御については、油圧ポンプの吐出圧と、複数の油圧アクチュエータにおける最大の負荷圧との差圧(最小差圧)が、予め設定された差圧となるような、いわゆるポンプロードセンシング制御が不可欠であり、従来のロードセンシングシステムをそのまま電子化するという思想であり、差圧が小さくなったときの対策としては、制御を切るという解決手段によっていた。
【0019】
本願発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、上記従来技術の問題点をすべて解決することを解決課題とする。すなわち、圧力補償弁を用いない単純な油圧回路で済み、しかも低精度、安価な圧力検出器を使用することが可能であり、しかも、単純な制御によって常に制御の連続性を保持できオペレータや機械部品にショックを与えないで済み、しかも油圧ポンプの制御方式を限定することもなく、複合操作時における油圧アクチュエータの流量の負荷依存性を解消することを解決課題とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段および効果】
そこで、本願発明の主たる発明では、油圧ポンプと、複数の操作子に対応して設けられた複数の油圧アクチュエータと、前記操作子の操作量に応じた流量の前記油圧ポンプの吐出圧油を、対応する油圧アクチュエータに供給する複数の操作弁とを有し、前記操作子の操作に応じて、前記油圧アクチュエータを駆動するようにした油圧駆動機械において、
前記操作弁に流入する圧油の圧力と当該操作弁から流出する圧油の圧力との差圧を、各操作弁毎に検出する差圧検出手段と、
前記差圧検出手段で検出された差圧のうちで最小の差圧を選択する最小差圧選択手段と、
前記操作弁の検出差圧と前記選択された最小差圧との比に基づき当該操作弁に対応する操作子の操作量を補正するための補正係数を、各操作子毎に演算する補正係数演算手段と、
前記補正係数演算手段で演算された補正係数によって、対応する操作子の操作量を補正する操作量補正手段と
を具えるようにしている。
【0021】
すなわち、かかる構成によれば、操作弁の前後の検出差圧と、複数の操作弁の前後差圧の中から選択された最小差圧との比に基づき当該操作弁に対応する操作子の操作量を補正するための補正係数が、各操作子毎に演算される。そして、この演算された補正係数によって、対応する操作子の操作量が補正される。
【0022】
この結果、前後差圧が大きくなるほど、つまり油圧アクチュエータの負荷が小さくなるほど、その操作弁に対する駆動指令値である操作量が低減され、その操作弁の開口面積は小さくなるので、油圧アクチュエータが軽負荷であるほど、その油圧アクチュエータに対する多大な流量の流れ込みが、より抑制されることになる。これによって、複合操作時の各油圧アクチュエータへの流量配分を、オペレータによって操作された各操作子の操作量の比の通りにすることができる。
【0023】
より具体的にいえば、油圧回路の上記一般公式Qi=c・Ai・√( ΔPi ) (ただし、iは第i番目の油圧アクチュエータ、操作弁、操作子である)を用いて、開口面積Aiを示す操作量(駆動指令値)を、補正係数Ki=√(ΔPmin/ΔPi)で補正することになる。すると、操作弁iを流れ、油圧アクチュエータiに供給される流量Qiは、Qi=c・Ai・Ki・√( ΔPi )=c・Ai・√(ΔPmin/ΔPi)・√( ΔPi )=c・Ai・√(ΔPmin)となり、ΔPiの項が打ち消し合うことになる。なお、ここで、ΔPminは、最小差圧である。
【0024】
すなわち、第i番目の油圧アクチュエータに供給される流量Qiは、どの油圧アクチュエータについても共通の最小差圧ΔPminを基準にして、開口面積指令値Aiの大きさのみによって決定されることになる。
【0025】
ここで、圧力補償弁を使用する従来技術と本願発明とを比較してみると、本願発明では、従来のように、圧力補償弁を用いることなく、複合操作時における油圧アクチュエータの負荷依存性が解消されているのがわかる。つまり、圧力補償弁を用いない単純な油圧回路で済み、コストが低減される。
【0026】
また、上記特公平6ー41762号公報、特公平6ー41764号公報に示される従来技術あるいは上記特開平4ー351304号公報に示される発明とを比較してみると、これら従来技術では、零ないしは零に近い差圧値ΔPを分母とする除算を行う必要があり、この除算においては分母と分子の値が必ずしも同一の値になることはなく、また分子の値の方が分母の値よりもかなり大きな値をとる。このため、上記除算において「ゼロ割り」やオーバーフローが発生してしまい演算処理が不可能となり制御が不可能となる事態も起こり得る。これに対して本願発明では、最小差圧を、各操作弁の検出差圧ΔPで除算する構成をとっているため、検出差圧である分母は最小差圧である分子よりも必ず大きくなるか一致することから上記除算において「ゼロ割り」やオーバーフローが発生してしまうことがなく演算処理が不可能となり制御が不可能となる事態は生じ得ない。
【0027】
しかも、零に近い数で割るとき(検出差圧が最小差圧のとき)は、分子の方も同じ最小差圧となって必ず1になり、検出誤差中に含まれる誤差が相殺される。一方、最小差圧以外の検出差圧で割るときも、分子の最小差圧よりも分母の検出差圧の方が大きいため、検出誤差の影響が少なくて済む。つまり、差圧を正確に検出するための高精度な圧力検出器を要しないで済む。つまり、低精度、安価な圧力検出器を使用したとしても、一定以上の精度が確保されるため、コストが低減されるという効果が得られる。
【0028】
しかも、本願発明では、従来技術のように、前後差圧が最小となる駆動軸が切り替わる毎に、補正演算に基づく制御から通常の制御に切り替えるようにしておらず、常に、最小差圧を、各操作弁の検出差圧ΔPで除算する補正演算による制御を行うようにしているため、制御の切替りの瞬間において油圧アクチュエータへの駆動指令値が連続なものとなり、切替り毎にショックが発生するという従来の問題点が解決され、単純な制御によって常に制御の連続性を保持できオペレータや機械部品にショックを与えないで済むという効果が得られる。しかも、本願発明によれば、油圧ポンプの制御方式を何ら限定することもない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る油圧駆動機械の制御装置の実施の形態について説明する。
【0030】
なお、この実施の形態では、油圧駆動機械として油圧ショベルのような建設機械を想定している。
【0031】
図1は、油圧ショベルの制御装置の構成を示している。
【0032】
同図に示すように、この装置は、図示せぬエンジンによって駆動され、制御部8から出力される駆動指令に応じて斜板傾転角が変化され、これによって吐出流量が変化される可変容量型の油圧ポンプ1と、2つの操作子としての操作レバー6、7にそれぞれ対応して設けられた2つの油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ2、3と、油圧ポンプ1と上記油圧シリンダ2、3との間の2つの圧油供給路31、32にそれぞれ設けられ、制御部8から出力される駆動指令S1、S2に応じて、その開口面積が変化され、その変化された開口面積に応じた流量の圧油を、それぞれ対応する油圧シリンダ2、3に供給する2つの操作弁としての流量制御弁4、5と、上記操作レバー6、7の操作量V1、V2を、後述するように補正する等の処理を行い、この補正された操作量に応じた駆動指令信号S1、S2を、それぞれ対応する流量制御弁4、5に対して出力し、それに応じて、それぞれ対応する油圧シリンダ2、3を駆動制御する制御部8とから構成されている。
【0033】
上記操作レバー6は、図示せぬ作業機であるブーム(油圧シリンダ2に接続されている)を駆動させるための電気レバーであり、オペレータが操作した量に比例した電気信号を出力するものであり、同様に操作レバー7は、図示せぬ作業機であるアーム(油圧シリンダ3に接続されている)を駆動させるための電気レバーであり、オペレータが操作した量に比例した電気信号を出力するものである。
【0034】
上記圧油供給路31、32に分岐される圧油供給路30上には、油圧ポンプ1の吐出圧Ppを検出する圧力センサ9が配設されている。
【0035】
また、圧油供給路31のうち、油圧シリンダ2のボトム室に連通する供給路上、同シリンダ2のヘッド室に連通する供給路上には、それぞれブームの負荷圧P1B、P1Hを検出する圧力センサ10a、10bが配設されている。
【0036】
同様に、圧油供給路32のうち、油圧シリンダ3のボトム室に連通する供給路上、同シリンダ3のヘッド室に連通する供給路上には、それぞれアームの負荷圧P2B、P2Hを検出する圧力センサ11a、11bが配設されている。
【0037】
これら各圧力センサの検出信号は、上記操作レバー6、7の操作量を示す電気信号とともに、制御部8に入力され、図2に示される処理が実行される。
【0038】
図2は、制御部8で行われる演算処理を説明するブロック図である。なお、この図2では、説明の便宜のため演算処理が各演算器で行われるものとして説明しているが、もちろん全てソフトウエアで処理するようにしてもよい。
【0039】
いま、図2の矢印に示すように、操作レバー6がブーム用油圧シリンダ2を伸長させる方向に操作されており、操作レバー7がアーム用油圧シリンダ3を縮退させる方向に操作されている場合を想定する。
【0040】
制御部8の差圧演算手段8aには、操作レバー6、7の操作量V1、V2を示す信号、圧力センサ9、10a、10b、11a、11bの各圧力検出信号Pp、P1B、P1H、P2B、P2Hが入力される。
【0041】
そして、操作レバー6の方向(伸長方向)に応じて、P1B、P1Hの中から、P1B(油圧シリンダ2に圧油が流入する側であるボトム室側)が選択されて、ブーム用流量制御弁4の前後差圧ΔP1=Pp−P1Bが演算される。一方、操作レバー7の方向(縮退方向)に応じて、P2B、P2Hの中から、P2H(油圧シリンダ3に圧油が流入する側であるヘッド室側)が選択されて、アーム用流量制御弁5の前後差圧ΔP2=Pp−P2Hが演算される。
【0042】
こうして、各前後差圧ΔP1、ΔP2が演算されると、これらのうちで最小の差圧ΔPminが選択される。すなわち、ΔP1>ΔP2の場合、ΔPmin=ΔP2となり、ΔP1<ΔP2の場合は、ΔPmin=ΔP1となる。
【0043】
こうして得られた各駆動軸毎の前後差圧ΔP1、ΔP2、最小差圧ΔPminは、補正係数演算手段8bに入力される。
【0044】
補正係数演算手段8bでは、ブーム用操作レバー6の操作量V1を補正するための補正係数K1を、K1=√(ΔPmin/ΔP1)と演算するとともに、アーム用操作レバー7の操作量V2を補正するための補正係数K2を、K2=√(ΔPmin/ΔP2)と演算する。
【0045】
駆動指令値補正手段8cには、上記補正係数K1、K2が入力されるとともに、操作レバー6、7からの駆動指令値としての操作量V1、V2が入力される。
【0046】
そこで、予め設定されている操作ストローク量(流量制御弁4のスプールストローク量)V1と、流量制御弁4のスプールの開口面積A1との関係に基づき、現在の操作量V1に対応する開口面積A1が求められる。同様にして、現在の操作量V2に対応する開口面積A2が求められる。ここで、上記スプールストローク−開口面積の関係は、スプールの形状から一義的に定まるものである。
【0047】
こうして得られた開口面積A1、A2に対して、上記求められた補正係数K1、K2がそれぞれ乗じられ、補正開口面積A1’=A1・K1、A2’=A2・K2が求められる。
【0048】
さらに、予め設定された、上記スプールストローク−開口面積の逆の関係より、上記補正開口面積A1’、A2’に対応するスプールストローク量S1、S2が求められ、このスプールストローク量S1、S2を示す信号が、ブーム用流量制御弁4のメインスプールを駆動する電磁比例パイロット弁12、アーム用流量制御弁5のメインスプールを駆動する電磁比例パイロット弁13の各ソレノイドに対して加えられる。この結果、これらパイロット弁12、13から、各入力電気信号に比例するパイロット圧が、流量制御弁4、5に対してそれぞれ加えられ、流量制御弁4、5の各メインスプールが、上記補正開口面積A1’A2’になるように駆動される。
【0049】
以上説明した実施の形態によれば、油圧シリンダの各室ごとに圧力センサを配設しているが、図3(a)に示すように、流量制御弁4、5のスプールストローク方向に応じて自動的に油圧シリンダ2、3へ流入する側の圧油の負荷圧を導く管路14を設け、この管路14上に、油圧シリンダ2、3に流入する側の圧油の負荷圧P1、P2を検出する圧力センサ10c、11cを設けるようにしてもよい。このようにすることで圧力センサの数を減らすことができる。しかも、この場合には、図4(a)に示すように、制御部8の差圧演算手段8a’において、図2で必要であった、ボトム側の圧力P1B(P2B)と、ヘッド側の圧力P1H(P2H)とを選択するための構成を設けなくて済むという効果が得られる。
【0050】
さらに、図3(b)に示すように、油圧ポンプ1の吐出圧Ppと上記流入側負荷圧P1、P2との差圧ΔP1、ΔP2を直接検出する差圧センサ10d、11dを設けるようにすれば、油圧ポンプ1用の圧力センサ9の配設をも省略することが可能となる。しかも、この場合には、図4(b)に示すように、制御部8の差圧演算手段8a’’において、図4(a)で必要であった、ポンプ吐出圧Ppと、負荷圧P1(P2)と差圧ΔP1、ΔP2を演算するための構成を設けなくて済むという効果が得られる。
【0051】
さらに、駆動指令値補正手段8c’において、スプールの開口面積の制御を精度よく行いたい場合には、図5(a)に示すように、フィードバック制御系を構成してもよい。
【0052】
すなわち、流量制御弁4、5に、スプールの実際のストローク量Sa1、Sa2を検出する直線ポテンショ、あるいは磁気式の移動量センサのごときストローク量センサ15、16が設けられ、この検出ストローク量Sa1、Sa2がフィードバック量とされ、駆動指令値S1、S2が目標値とされる。そして、この目標値と上記フィードバック量との誤差S1−Sa1、S2−Sa2がとられ、これら誤差に対してフィードバックゲインG1、G2を乗じたものが操作量として電磁比例パイロット弁12、13にそれぞれ出力される。このようにして、上記誤差S1−Sa1、S2−Sa2が零になるようなフィードバック制御がなされて、開口面積を目標の開口面積A1’、A2’に精度よく一致させることができる。
【0053】
また、実ストローク量Sa1、Sa2を検出する別の方法として、図5(b)に示すように構成してもよい。
【0054】
すなわち、流量制御弁4、5のメインスプールでは、一端からパイロット圧がかかり、逆側にあるバネと釣り合う位置までストロークする。よって、この駆動指令値補正手段8c’’では、実際のパイロット圧Pp1、Pp2をパイロット圧センサ17、18でそれぞれ検出し、これをバネ定数k1、k2でそれぞれ除算することでバネの変位量(D1/k1)・Pp1、(D2/k2)・Pp2(ただし、D1、D2はパイロットの受圧面積である。)を求め、これを実際のストローク量Sa1、Sa2としている。
【0055】
以上説明した実施の形態では、流量制御弁4、5を通過する流量のうちで、油圧シリンダ2、3に流入する側の前後差圧を検出する場合について説明したが、流量制御弁4、5を通過する流量のうちで、油圧シリンダ2、3からタンクに流出する側における前後差圧を検出するようにしてもよい。
【0056】
図6、図7は、タンクに流出する側の流量制御弁4、5の前後差圧を検出する場合の実施の形態の構成について示す図であり、上記図1、図2にそれぞれ対応する図である。
【0057】
図6が図1と異なるのは、油圧ポンプ1用の圧力センサ9の代わりに、タンクに連通する管路に、タンク圧PTを検出する圧力センサ19を備えている点である。
【0058】
そして、図7の差圧演算手段8aでは、操作レバー6の方向(伸長方向)に応じて、P1B、P1Hのうちで、P1H(タンクに流出する側であるヘッド室側)が選択されて、ブーム用流量制御弁4の前後差圧ΔP1=P1H−PTが演算される。一方、操作レバー7の方向(縮退方向)に応じて、P2B、P2Hのうちで、P2B(タンクに流出する側であるボトム室側)が選択されて、アーム用流量制御弁5の前後差圧ΔP2=P2B−PTが演算される。
【0059】
なお、タンク圧PT≒0と考えてよい場合には、タンク圧を検出するための圧力センサ19等の配設を省略することができる。
【0060】
また、図3(b)、図4(b)と同様にして、図8(a)、図8(b)に示すように、油圧シリンダ2、3よりタンクに流出する側の圧油の負荷圧P1、P2とタンク圧PT(≒0とする)との差圧ΔP1、ΔP2を直接検出する圧力センサ10e、11eを設けるようにしてもよい。
【0061】
また 、以上の実施の形態では、操作レバー6、7が電気レバーであることを想定しているが、もちろん電気レバーの代わりに、従来の油圧式パイロットレバーを使用してもよい。
【0062】
図9、図10は、油圧式パイロットレバーを使用した場合の実施の形態の構成について示す図であり、上記図1、図2にそれぞれ対応する図である。
【0063】
図9に示す油圧式パイロットレバー6、7からは、レバー操作量に比例したパイロット圧が電磁減圧弁21、22に対してそれぞれ出力され、これら電磁減圧弁21、22を介してパイロット圧が流量制御弁4、5にそれぞれ加えられる。
【0064】
圧力センサ10d、11dでは、ポンプ圧Ppと油圧シリンダ流入側の負荷圧P1、P2との差圧ΔP1、ΔP2がそれぞれ検出され、これら検出差圧ΔP1、ΔP2が制御部8にそれぞれ入力される。
【0065】
一方、図10の制御部8の差圧演算手段8aでは、入力された検出差圧ΔP1、ΔP2の中から、最小差圧ΔPmin が求められ、補正係数演算手段8bでは、各駆動軸毎の差圧と最小差圧の比の平方根√(ΔPmin/ΔP1)、√(ΔPmin/ΔP2)がそれぞれ求められ、これら求められた、0から1.0の値をとる補正係数K1、K2を示す信号が、駆動指令値補正手段8cである電磁減圧弁21、22に対して駆動指令値としてそれぞれ出力される。
【0066】
電磁減圧弁21、22では、その入力される駆動指令値K1、K2が1.0の場合、油圧レバー6、7からのパイロット圧が減圧されないように弁が駆動され、さらに、入力される駆動指令値K1、K2が0に近ずくに従いパイロット圧が、より大きく減圧されるように駆動される。
【0067】
このように、最小差圧に比べて、その駆動軸の差圧が大であるほど、つまり、√(ΔPmin/ΔP1)、√(ΔPmin/ΔP2)が小さくなるほど、上記電磁減圧弁21、22により、操作レバー6、7から出力されるパイロット圧が、より減じられることになり、流量制御弁4、5の開口面積が、より減じられるため、操作レバーの複合操作時に軽負荷アクチュエータへ多大な圧油の流入がなされることが防止される。
【0068】
この図9、図10に示される実施の形態では、パイロット圧に対する流量制御弁の開口面積特性を考慮していないため、図1、図2の構成のものに比較して、完全には圧力補償機能を発揮できない場合もあるが、油圧レバーによって操作される従来の建設機械に対して、圧力センサ、電磁弁、簡単な制御部を追加するだけで、疑似的ながらも圧力補償を実現できるというメリットがあり、コスト低減等が図られることとなる。
【0069】
以上、可変容量型の油圧ポンプ1から吐出される圧油を、いかにして流量制御弁において、複数の操作レバーの操作量の比に応じて流量分配するかについて説明したが、つぎに、かかる圧力補償制御を行う際において、いかに可変容量型ポンプ1を制御するかについての実施の形態を、以下説明する。
【0070】
油圧ポンプの制御方式の1つとして、いわゆるポジティブ制御が挙げられる。
【0071】
このポジティブ制御方式は、オペレータによるレバー操作量を、油圧ポンプへのデマンドとして与える制御方式であり、図11(a)、(b)に示される。
【0072】
すなわち、制御部8には、操作レバー6、7から操作量としての駆動指令値V1、V2が入力されるとともに、エンジン23の実回転数を検出する回転センサ24から回転数信号RPMが、また圧力センサ9からポンプ吐出圧信号Ppが入力される。そして、図11(b)に示されるように、各駆動指令値V1、V2に対応する要求流量Q1、Q2が、駆動指令値−要求流量の関係を示す記憶テーブルより求められ、これらQ1、Q2を加算したものが総流量Q12とされる。
【0073】
ここで、油圧ポンプ1は、エンジン23が現在出力している馬力を越える馬力を出力することができない。つまり、油圧ポンプ1の吐出圧Ppと吐出流量Qとの関係式であるP−Q線図の等馬力カーブ上の最大値Qmax によって馬力の最大値が制限される。よって、上記要求総流量Q12と上記最大値Qmax のうちで、小さい方が選択され、この選択された流量が油圧ポンプ1において吐出可能な流量Qとされる。
【0074】
一方、ポンプの吐出量Q(cc/min)は、1回転当たりの押しのけ容積をq(cc/rev)とすると、Q=q・RPMで表される。一方、Lを斜板位置(傾転角)、kを定数とすると、q=k・Lという関係が成立するから、これら両関係式より、エンジン回転数がPRMであった時に、上記吐出可能な吐出量Qを吐出させるためには、L=Q/(k・RPM)なる吐出指令(斜板位置指令)を、油圧ポンプ1に対して出力すればよいことになる。
【0075】
これにより、オペレータによるレバー操作に応じた流量の圧油を、油圧ポンプ1から吐出させてやることが可能となり、吐出した圧油に対して前述した流量制御弁4、5による分流制御が行われることになる。
【0076】
また、図12(a)に示すように、タンクに連通する管路上にアンロード弁25を設けるようにして、油圧ポンプ1の制御を安定して行わせることもできる。
【0077】
この場合、操作レバー6、7の中立時には、油圧ポンプ1の最小吐出量がアンロード弁25を介してタンクに全量流され、操作レバー6、7の操作量V1、V2が大きくなるに従い、アンロード弁25からタンクに流れる流量が、より小さくなるようなアンロード指令値uをアンロード弁25のソレノイドに加えるように、制御部8は、アンロード弁25を制御する(図12(b)参照)。この結果、操作レバーの中立からの立ち上がり操作時における応答性が良好なものとなり、作業機の飛び出しを防ぐことができ、安定した油圧ポンプの制御が可能となる。
【0078】
また、制御部8で得られた最小差圧ΔPmin が極端に小、あるいはマイナスになった場合に、上記アンロード流量uを小とするような制御、あるいは油圧ポンプ1の吐出量Qを増加させる制御を加えることにより、最小差圧となった駆動軸での最低差圧を積極的に確保するようにしてもよい(図12(b)参照)。
【0079】
さて、油圧ポンプ制御の別の方法として、ロードセンシング制御がある。
【0080】
このロードセンシング制御は、油圧ポンプの吐出圧が、操作中の油圧アクチュエータの中で最大の負荷圧より所定値だけ高くなるように油圧ポンプの吐出量を制御するというものである。
【0081】
図13(a)、(b)は、このロードセンシング制御が適用される実施の形態を示している。
【0082】
すなわち、制御部8には、各流量制御弁4、5の前後差圧ΔP1、ΔP2が入力され、前述したように差圧演算手段8aにおいて最小差圧ΔPmin が求められる。そして、所定の目標差圧ΔPr(例えば20kg/cm2 )と、上記最小差圧ΔPminとの偏差ΔPr−ΔPminが求められ、この偏差に制御ゲインGが乗じられたものを積分処理したものがポンプ斜板位置指令Lとされる。このようにして、従来のポンプロードセンシング制御を電気的に実現することが可能となる。
【0083】
上記ロードセンシング制御では、可変容量型油圧ポンプ1によって、最小差圧ΔPminを常に一定値ΔPrに保持しようとしているが、オペレータが多大な流量を要求して油圧ポンプ1で、流量飽和が生じたような場合、所定の最小差圧を保持できなくなってしまうことがある。
【0084】
しかし、このような状況でも、すでに説明したように、実際の最小差圧ΔPminを検出して、その値を基準にして分流制御を行うようにしているので、常に、オペレータによるレバー操作の比の通りに分流が可能となる。つまり、電子圧力補償機能が完全に発揮される。
【0085】
なお、以上説明した実施の形態では、油圧ショベルのような建設機械を想定して説明したが、もちろん任意の油圧駆動機械に適用可能である。また、ブーム、アームといった2つの作業機の制御に適用されることを想定したが、3以上の作業機に適用することも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る油圧駆動機械の制御装置の実施の形態の構成を示す図であって、流量制御弁で、油圧シリンダに流入する側の前後差圧を検出する場合の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)、(b)は、図1に示す圧力センサの他の構成例をそれぞれ示す図である。
【図4】図4(a)、(b)は、図3(a)、(b)にそれぞれ対応する制御部の構成例を示すブロック図である。
【図5】図5(a)、(b)は、流量制御弁をフィードバック制御する場合の構成例をそれぞれ示すブロック図である。
【図6】図6は本発明に係る油圧駆動機械の制御装置の実施の形態の構成を示す図であって、流量制御弁で、タンクに流出する側の前後差圧を検出する場合の構成を示す図である。
【図7】図7は、図6に示す制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】図8(a)、(b)は、図6に示す圧力センサの他の構成例を示す図、及びこれに対応する制御部の構成例を示すブロック図である。
【図9】図9は本発明に係る油圧駆動機械の制御装置の実施の形態の構成を示す図であって、操作レバーを油圧式レバーとした場合の構成を示す図である。
【図10】図10は、図9に示す制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】図11(a)、(b)は、油圧ポンプの制御を説明するために用いた構成図である。
【図12】図12(a)、(b)は、他の油圧ポンプの制御を説明するために用いた構成図である。
【図13】図13(a)、(b)は、さらに、他の油圧ポンプの制御を説明するために用いた構成図である。
【符号の説明】
1 可変容量型油圧ポンプ
2 ブーム用油圧シリンダ
3 アーム用油圧シリンダ
4 ブーム用流量制御弁
5 アーム用流量制御弁
6 ブーム用操作レバー
7 アーム用操作レバー
8 制御部
9 油圧ポンプ用圧力センサ
10a、10b ブーム油圧シリンダ用圧力センサ
11a、11b アーム油圧シリンダ用圧力センサ

Claims (6)

  1. 油圧ポンプと、複数の操作子に対応して設けられた複数の油圧アクチュエータと、前記操作子の操作量に応じた流量の前記油圧ポンプの吐出圧油を、対応する油圧アクチュエータに供給する複数の操作弁とを有し、前記操作子の操作に応じて、前記油圧アクチュエータを駆動するようにした油圧駆動機械において、
    前記操作弁に流入する圧油の圧力と当該操作弁から流出する圧油の圧力との差圧を、各操作弁毎に検出する差圧検出手段と、
    前記差圧検出手段で検出された差圧のうちで最小の差圧を選択する最小差圧選択手段と、
    前記操作弁の検出差圧と前記選択された最小差圧との比に基づき当該操作弁に対応する操作子の操作量を補正するための補正係数を、各操作子毎に演算する補正係数演算手段と、
    前記補正係数演算手段で演算された補正係数によって、対応する操作子の操作量を補正する操作量補正手段と
    を具えた油圧駆動機械の制御装置。
  2. 前記補正係数は、最小の差圧をΔPmin、操作弁iの検出差圧をΔPiとしたとき、√(ΔPmin/ΔPi)で表されるものである請求項1記載の油圧駆動機械の制御装置。
  3. 前記差圧検出手段は、前記操作弁の絞りのうち、前記油圧アクチュエータに圧油が流入する側の絞りの前後の圧力の差圧を検出するものである請求項1記載の油圧駆動機械の制御装置。
  4. 前記差圧検出手段は、前記操作弁の絞りのうち、前記油圧アクチュエータから圧油が流出する側の絞りの前後の圧力の差圧を検出するものである請求項1記載の油圧駆動機械の制御装置。
  5. 前記操作弁は、開口面積に応じた流量の圧油を前記油圧アクチュエータに供給するものであり、前記操作子は前記操作弁の開口面積の大きさを操作量として出力するものであり、前記操作量補正手段は、前記操作子の操作量としての開口面積に、前記補正係数を乗算することにより補正操作量を求めるものである請求項1記載の油圧駆動機械の制御装置。
  6. 前記操作弁は、前記操作量補正手段によって補正された補正操作量に応じたスプールの駆動量を目標値とし、当該スプールの実際の駆動量をフィードバック量として、その駆動量がフィードバック制御されるものである請求項1記載の油圧駆動機械の制御装置。
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