JP3667720B2 - フレキシブルチューブの接合方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルチューブと別のチューブ（管）とを接合する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、図５に示すように、大径部１０２と小径部１０４を交互に形成したフレキシブルチューブ１００の端部に別のチューブ１０６（例えば、円管）を接合する場合、これらフレキシブルチューブ１００の端部と別のチューブ１０６の端部を突き合わせ、その突き合わせ部をバーナーで加熱しながら該突き合わせ部にろう材を差し込むろう付け１０８によって接合している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなフレキシブルチューブ１００は配管系の中で振動の発生し易い箇所や無理な力が発生する箇所に使用されることが多く、そのためにフレキシブルチューブ１００と別のチューブ１０６との接合部及びその近傍に応力が集中する傾向にある。そのため、上述のようなろう付け１０８よりも更に強度が高く、しかもフレキシブルチューブ１００に生じる応力を出来るだけ小さくできる別の接合方法が望まれていた。
【０００４】
また、上述の接合方法は、フレキシブルチューブ１００と別のチューブ１０６を同軸に保持するのが難しい。さらに、フレキシブルチューブ１００と別のチューブ１０６との突き合わせ面に生じる隙間が場所によって異なり、それはろう付け１０８の成果を左右する。そして、ろう付け１０８には熟練を必要とするうえ、加熱時間や加熱温度などの管理を慎重に行わなければならない。そのため、ろう付けに長い時間を要し、生産性が悪いという問題があった。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために、本発明に係るフレキシブルチューブの接合方法は、中心軸に沿って大径部と小径部を交互に形成したフレキシブルチューブの少なくとも一端に別のチューブを接合する方法は、以下の工程からなる。
（ａ） フレキシブルチューブの一端を外側に向かって次第に径が大きくなるように逆テーパ状に形成する工程。
（ｂ） 逆テーパ状に加工されたフレキシブルチューブの一端を、半径方向外側に向かって伸びる第１の環状フランジ部分と、この第１の環状フランジ部分の径方向外側端部から中心軸とほぼ平行に且つ外側に向かって伸びる第２の環状フランジ部分とを有する環状段部に加工する工程。
（ｃ） 環状段部にろう材を配置する工程。
（ｄ） ろう材の配置された環状段部に別のチューブの端部を嵌合する工程。
（ｅ） ろう材を加熱してフレキシブルチューブと別のチューブとを接合する工程。
【０００６】
本発明の他の接合方法は、以下の工程からなる。
（ａ） フレキシブルチューブの一端に径方向外側に向かって伸びる環状フランジ部を形成する工程。
（ｂ） 環状フランジに、半径方向外側に向かって伸びる第１の環状フランジ部分と、この第１の環状フランジ部分の径方向外側端部から中心軸とほぼ平行に且つ外側に向かって伸びる第２の環状フランジ部分とを有する環状段部に加工する工程。
（ｃ） 環状段部にろう材を配置する工程。
（ｄ） ろう材の配置された環状段部に別のチューブの端部を嵌合する工程。
（ｅ） ろう材を加熱してフレキシブルチューブと別のチューブとを接合する工程。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係るフレキシブルチューブの接合方法の複数の実施形態を説明する。まず図１は、本発明に係るフレキシブルチューブの接合方法を用いて接合されたフレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２を示す。フレキシブルチューブ１０は、円管に大径部１４と小径部１６を交互に且つ連続的に形成して得られたものである。また、別のチューブ１２は円管である。フレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２の材質は任意であり、種々の金属（例えば、ステンレス、鉄、銅、その他の合金）が用いられる。
【０００８】
これらフレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２の接合方法を、図２（ａ）〜図２（ｅ）に示す。この接合方法について説明すると、まず図２（ａ）に示すように、フレキシブルチューブ１０の端部を外側に向かって逆テーパ状（換言すれば、内側に向かってテーパ状）に加工し、逆テーパ部１８を形成する。逆テーパ部１８の加工は種々の方法により行うことができる。一例を挙げると、図３（ａ）に示すように、まずフレキシブルチューブ１０をその小径部１６ａで切断する。次に、切断した小径部１６ａに隣接する最外側の大径部１４ａとこれに隣接する内側の大径部１６ｂとの間に環状の型２０を配置するとともに、切断した小径部１６ａに対向して別の型２２を配置し、これら型２０，２２を接近させて外側大径部１４ａを潰す。続いて、図３（ｂ）に示すように、潰された大径部１４ａに向けてその外側から逆テーパ面を有する型２４を当てるとともに、潰された大径部１４ａとこれに隣接する大径部１４ｂとの間に楔状の環状型２６を押し込み、これら２つの型２４，２６で大径部１６をプレスする。これにより、型２４，２６の間に挟まれた大径部１４ａが図２（ａ）の逆テーパ部１８に加工される。なお、隣接する２つの大径部１４ａ、１４ｂの間に挿入される環状型２０，２６は、分割された複数の型部分で構成されている。
【０００９】
図２に戻り、図２（ｂ）のように、逆テーパ部１８が加工されたフレキシブルチューブ１０に対し、この逆テーパ部１８を２つの型３０，３２で再び加工する。このとき、逆テーパ部１８の内面に対向して配置される第１の型３０は、逆テーパ部１８に対向する外周端に角部３４を有する。一方、逆テーパ部１８の外面に対向する第２の型３２は、第１の型３０の角部３４に対応する形の段部３６を有する。第２の型３２はまた、上述した型２０，２６と同様に、分割された複数の型部分からなるものである。そして、第１の型３０と第２の型３２により逆テーパ部１８をその内面と外面からプレスし、フレキシブルチューブ１０の端部に環状段部４０を形成する。この環状段部４０は、中心軸Ｘから径方向外側に向かって伸びる第１の環状フランジ部分４２と該第１の環状フランジ４２の外周端部から中心軸Ｘとほぼ平行に且つ外側に向かって伸びる第２の環状フランジ部分４４からなる。なお、このプレスの際、第２の型３２を構成する複数の型部分は、中心軸Ｘに向かって径方向外側から内側に向かって集められ、第１の型３０との間に逆テーパ部１８を挟持してこれを変形する。
【００１０】
次に、図２（ｄ）に示すように、環状段部４０の内面にろう材４６を配置する。ろう材４６の材質は、フレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２の材質によって好ましいものが選択され、例えばフレキシブルチューブ１０がステンレス、別のチューブ１２が銅の場合、銀ろうが用いられる。続いて、環状段部４０に別のチューブ１２の端部を差し込み、ヒータ４８（好ましくは、高周波誘導加熱装置）によってろう材４６に熱５０を加え、環状段部４０の外周からろう材４６を加熱して溶融する。このとき、フレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２は対向方向に向かう力を加えておく。また、図２（ｄ）では、フレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２を水平方向に向けているが、加熱時には両者を上下に向けておくことが好ましい。これにより、図２（ｅ）に示すように、溶融したろう材４６は、毛管現象によってフレキシブルチューブ１０と別のチューブ１２との隙間に均一に広がり、両者を強力に接合する。
【００１１】
なお、上述の説明では、特に図３（ａ）に示すようにフレキシブルチューブ１０の端部を小径部１６ａで切断し、次に隣接する大径部１４ａを潰すことにより、逆テーパ部１８を二重構造とした。しかし、フレキシブルチューブ１０の端部を大径部１４の最大外径部近傍で切断することにより、逆テーパ部及び環状段部を一重構造としてもよい。
【００１２】
また、フレキシブルチューブ１０の端部に環状段部４０を形成する加工方法は上述のものに限るものでない。例えば、図４は環状段部４０の他の加工方法を示しており、そこではまず、フレキシブルチューブ１０の端部に、径方向外側に向かって伸びる環状のフランジ５２が形成される。この環状フランジ５２は、図３（ａ）を参照して説明した方法により形成できる。次に、環状フランジ５２の外面に筒状又は円柱状の第１の型５４を当てる。この型５４は、外周角部を切除して凹状の段部５６が形成されている。また、複数の型部分からなる環状の第２の型５８をフレキシブルチューブ１０の外側に配置する。この第２の型５８は、環状フランジ５２とこれに隣接する大径部１６ｂとの間に入る内側環状突起６０を備えている。そして、第１の型５４と第２の型５８を中心軸Ｘに沿って対向方向に移動し、環状突起６０に対向する環状フランジ５２の外周部分を外側に向けてほぼ直角に折り曲げて、環状段部（図２参照）を形成する。
【００１３】
本発明の接合方法によってフレキシブルチューブの両端に円管を接合した組み合わせチューブと、従来の接合方法（ガスバーナーを用いたろう付け）によってフレキシブルチューブの両端に円管を接合した組み合わせチューブに所定量（中心軸方向の変位量：５ｍｍ、中心軸と直交する方向の変位量：１ｍｍ）の変形を加えたとき、フレキシブルチューブの最も弱い部分（円管との接合部近傍）に発生する応力を、有限要素法によって解析した。解析に用いたモデルの条件は以下の表１のとおりである。両者のろう材は同一とした。
【００１４】

【００１５】
解析の結果を以下の表２に示す。

【００１６】
この表２に示すように、本発明の組み合わせチューブは、従来例の組み合わせチューブに比べて長さが短いにも拘わらず、従来例の組み合わせチューブよりも最大応力が低かった。
【００１７】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る接合方法は、従来の接合方法に比べて数々の利点を有する。具体的に、（１）本発明の接合方法によれば、フレキシブルチューブと別のチューブとの間に溶融したろう材が隙間無く薄く広がるため、従来の接合方法よりも高い接合強度が得られる。また、同一荷重条件のもとでは、接合部近傍にあるフレキシブルチューブ部分に発生する応力が従来の接合方法に比べて一段と小さくなる。そのため、配管系の中で特に過酷な条件の場所（振動の発生する箇所、配管系の中で無理な力が作用する箇所）で使用した場合でも、従来の接合方法によって接合された組み合わせチューブに比べ、本発明の接合方法によって接合された組み合わせチューブは、フレキシブルチューブに環状段部を形成すると共にこの環状段部に別のチューブを嵌合する特殊な接合方法及び接合機構によってより応力集中を低下させることができ、そのためにフレキシブルチューブの金属疲労に対する耐久性が向上する。また、（２）従来の接合方法は、加熱温度、ろう材の差し量等の管理が難しく、それらの管理状態によって品質が大きく左右されることから熟練を要するのに対し、本発明の接合方法は単に加工されたフレキシブルチューブの環状段部にろう材を配置して加熱するだけであるために、熟練を要することなく均一な品質の接合が得られる。さらに、（３）従来の接合方法ではフレキシブルチューブと別のチューブとの芯合わせが難しいのに対し、本発明の接合方法ではフレキシブルチューブの環状段部に別のチューブを差し込むだけで芯合わせされる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 フレキシブルチューブと別のチューブ（円管）を本発明の接合方法により接合した組み合わせチューブの部分断面図。
【図２】 本発明に係る接合方法のプロセスを示すチューブの部分断面図〔図２（ａ）〜（ｅ）〕。
【図３】 フレキシブルチューブの端部に環状フランジを加工する方法を示す部分断面図〔図３（ａ）、（ｂ）〕。
【図４】 フレキシブルチューブに環状段部を加工する他の方法を示す部分断面図。
【図５】 フレキシブルチューブと別のチューブ（円管）を従来の接合方法により接合した組み合わせチューブの部分断面図。
【符号の説明】
１０：フレキシブルチューブ
１２：別のチューブ
１４：大径部
１６：小径部
１８：逆テーパ部
４０：環状段部
４６：ろう材

Claims (2)

1. 中心軸に沿って大径部と小径部を交互に形成したフレキシブルチューブの少なくとも一端に別のチューブを接合する方法であって、
   上記フレキシブルチューブの一端を外側に向かって次第に径が大きくなるように逆テーパ状に形成する工程と、
   上記逆テーパ状に加工されたフレキシブルチューブの一端を、半径方向外側に向かって伸びる第１の環状フランジ部分と、この第１の環状フランジ部分の径方向外側端部から中心軸とほぼ平行に且つ外側に向かって伸びる第２の環状フランジ部分とを有する環状段部に加工する工程と、
   上記環状段部にろう材を配置する工程と、
   上記ろう材の配置された環状段部に別のチューブの端部を嵌合する工程と、
   上記ろう材を加熱して上記フレキシブルチューブと別のチューブとを接合する工程とを備えたことを特徴とするフレキシブルチューブの接合方法。
2. 中心軸に沿って大径部と小径部を交互に形成したフレキシブルチューブの少なくとも一端に別のチューブを接合する方法であって、
   上記フレキシブルチューブの一端に径方向外側に向かって伸びる環状フランジを形成する工程と、
   上記環状フランジに、半径方向外側に向かって伸びる第１の環状フランジ部分と、この第１の環状フランジ部分の径方向外側端部から中心軸とほぼ平行に且つ外側に向かって伸びる第２の環状フランジ部分とを有する環状段部に加工する工程と、
   上記環状段部にろう材を配置する工程と、
   上記ろう材の配置された環状段部に別のチューブの端部を嵌合する工程と、
   上記ろう材を加熱して上記フレキシブルチューブと別のチューブとを接合する工程とを備えたことを特徴とするフレキシブルチューブの接合方法。

Images