JP3661523B2 - 電気光学装置の駆動方法、駆動回路および電気光学装置ならびに電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス幅変調により階調表示制御を行う電気光学装置の駆動方法、駆動回路および電気光学装置ならびに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気光学装置、例えば、電気光学材料として液晶を用いた液晶表示装置は、陰極線管(CRT)に変わるディスプレイデバイスとして、各種情報処理機器の表示部や液晶テレビなどに広く用いられている。
【0003】
ここで、従来の電気光学装置は、例えば、次のように構成されている。すなわち、従来の電気光学装置は、マトリクス状に配列した画素電極と、この画素電極に接続されたTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)のようなスイッチング素子などが設けられた素子基板と、画素電極に対向する対向電極が形成された対向基板と、これら両基板の間に充填された電気光学材料たる液晶とから構成される。そして、このような構成において、走査線を介してスイッチング素子に走査信号を印加すると、当該スイッチング素子が導通状態となる。この導通状態の際に、データ線を介して画素電極に、階調に応じた電圧の画像信号を印加すると、当該画素電極および対向電極の間の液晶層に画像信号の電圧に応じた電荷が蓄積される。電荷蓄積後、当該スイッチング素子をオフ状態としても、当該液晶層における電荷の蓄積は、液晶層自身の容量性や蓄積容量などによって維持される。このように、各スイッチング素子を駆動させ、蓄積させる電荷量を階調に応じて制御すると、画素毎に液晶の配向状態が変化するので、画素毎に濃度が変化することとなる。このため、階調表示することが可能となるのである。
【0004】
この際、各画素の液晶層に電荷を蓄積させるのは一部の期間で良いため、第1に、走査線駆動回路によって、各走査線を順次選択するとともに、第2に、走査線の選択期間において、データ線駆動回路によって、データ線を順次選択し、第3に、選択されたデータ線に、階調に応じた電圧の画像信号をサンプリングする構成により、走査線およびデータ線を複数の画素について共通化した時分割マルチプレックス駆動が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、データ線に印加される画像信号は、階調に対応する電圧、すなわちアナログ信号である。このため、電気光学装置の周辺回路には、D/A変換回路やオペアンプなどが必要となるので、装置全体のコスト高を招致してしまう。さらに、これらのD/A変換回路、オペアンプなどの特性や、各種の配線抵抗などの不均一性に起因して、表示ムラが発生するので、高品質な表示が極めて困難である、という問題があり、特に、高精細な表示を行う場合に顕著となる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高品質・高精細な階調表示が可能な電気光学装置、その駆動方法、その駆動回路、さらには、この電気光学装置を用いた電子機器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、フィールド毎に1画面分の各画素の階調データを受け取り、これらの階調データに従って、各々メモリを備えた複数の画素のオンオフ駆動を行う電気光学装置の駆動方法であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、
各画素をオンにする電圧またはオフにする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成して各画素のメモリに書込み、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、各画素に対して当該データ信号に応じた電圧の印加を行うこと
を特徴とする電気光学装置の駆動方法を提供するものである。
【0008】
この発明によれば、1フィールドにおいて、画素をオン(またはオフ)にする電圧の印加時間が、当該画素の階調に応じてパルス幅変調される結果、実効値制御による階調表示が行われることとなる。この際、各サブフィールドにおいては、画素のオンまたはオフを指示するだけで済むので、画素への指示信号として、2値信号(すなわち、HレベルかLレベルかしか取り得ないディジタル信号)を用いることができる。従って、この発明では、画素への印加信号がディジタル信号となるので、素子特性や配線抵抗などの不均一性に起因する表示ムラが抑えられる結果、高品質かつ高精細な階調表示が可能となる。
【0009】
なお、本発明において、1フィールドとは、水平走査信号および垂直走査信号に同期して水平走査および垂直走査することにより、1枚のラスタ画像を形成するのに要する期間という意味合いで用いている。
【0010】
また、この発明によれば、少なくともデータ転送期間が経過した後に、画素内のメモリに書込まれたデータ信号に応じて画素をオンにする電圧または画素をオフにする電圧のいずれかを各画素に印加するようになっている。このため、データ信号に応じて画素をオンオフ駆動する期間を、データ転送期間の長さとは無関係に設定できるから、高階調の画像表示が可能となる。
【0011】
なお、本発明において、データ転送期間とは、前記データ信号のいずれかの画素への書込みが開始されてから各データ信号が1画面分の全画素のメモリに対して書込まれるまでの期間を意味する。
【0012】
この第1の発明の一態様において、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、各画素のメモリに書込まれたデータ信号とは無関係に、画素をオンにする電圧または画素をオフにする電圧のいずれかを各画素に対して印加する。
【0013】
第2の発明は、フィールド毎に1画面分の各画素の階調データを受け取り、これらの階調データに従って、複数のデータ線と複数の走査線との各交差に対応して配設され、各々メモリを備えた複数の画素を駆動する電気光学装置の駆動回路であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、データ線から画素への電圧印加を可能にする走査信号を、前記走査線の各々に順次供給する走査線駆動回路と、
前記複数のサブフィールドの各々において、画素をオンにする電圧またはオフにする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成し、前記走査信号が供給される間、当該データ信号を各画素内のメモリに書込むべく各データ線に供給するデータ線駆動回路と、
前記複数のサブフィールドの各々において、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、前記各画素のメモリに書込まれたデータ信号に応じて画素がオンオフ駆動されるように、各画素に印加される電圧を制御する電圧制御回路と
を具備することを特徴とする電気光学装置の駆動回路を提供するものである。
【0014】
この第2の発明は、上記第1の発明を電気光学装置の駆動回路として具現したものであり、上記第1の発明と同様な効果を奏する。
【0015】
この第2の発明の一態様において、前記電圧制御回路は、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、各画素のメモリに書込まれたデータ信号とは無関係に画素がオンまたはオフとなるように、各画素に印加される電圧を制御する。
【0016】
第3の発明は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設され、各々メモリを備えた複数の画素を有する電気光学装置であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、データ線から画素への電圧印加を可能にする走査信号を、前記走査線の各々に順次供給する走査線駆動回路と、
前記複数のサブフィールドの各々において、画素をオンにする電圧またはオフにする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成し、前記走査信号が供給される間、当該データ信号を各画素内のメモリに書込むべく各データ線に供給するデータ線駆動回路と、
前記サブフィールドの各々において、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、前記各画素のメモリに書込まれたデータ信号に応じて画素がオンオフ駆動されるように、各画素に印加される電圧を制御する電圧制御回路と
を具備することを特徴とする電気光学装置を提供するものである。
【0017】
この第3の発明は、上記第1の発明を電気光学装置として具現したものであり、上記第1の発明と同様な効果を奏する。
【0018】
この第3の発明の一態様において、前記電圧制御回路は、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、各画素のメモリに書込まれたデータ信号とは無関係に画素がオンまたはオフとなるように、各画素に印加される電圧を制御する。
【0019】
第4の発明は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設され、各々メモリを備えた複数の画素を有する電気光学装置であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、データ線から画素への電圧印加を可能にする走査信号を、前記走査線の各々に順次供給する走査線駆動回路と、
前記複数のサブフィールドの各々において、画素をオンにする電圧またはオフにする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成し、前記走査信号が供給される間、当該データ信号を各データ線に供給するデータ線駆動回路と
を具備し、
前記各画素は、
画素電極と、
前記画素電極に対向した対向電極と、
前記画素電極および対向電極に挟持された電気光学材料と、
前記走査線を介して走査信号が与えられることにより前記データ線を介して供給されるデータ信号を記憶するメモリと、
前記複数のサブフィールドの各々において、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、前記メモリに書込まれたデータ信号に応じて2種類の電圧の一方を選択して前記画素電極に印加する選択回路と
を有することを特徴とする電気光学装置を提供するものである。
【0020】
この第4の発明も、上記第1の発明を電気光学装置として具現したものであり、上記第1の発明と同様な効果を奏する。
【0021】
この第4の発明の一態様において、前記画素の選択回路は、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、前記メモリに書込まれたデータ信号とは無関係に2種類の電圧の一方を選択して前記画素電極に印加するようになっている。
【0022】
この発明は、上記電気光学装置自体を単体で製造または製造する他、この電気光学装置を表示装置として備えた電気機器として製造または販売するという態様で実施することも可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
<本実施形態における電気光学装置の駆動方法>
まず、本実施形態に係る装置の理解を容易にするため、本実施形態における電気光学装置の駆動方法について説明する。
【0025】
一般に、電気光学材料として液晶を用いた液晶装置において、液晶に印加される電圧実効値と相対透過率(または反射率)との関係は、電圧無印加状態において黒表示を行うノーマリーブラックモードを例にとれば、図6に示すような関係にある。なお、ここでいう相対透過率とは、透過光量の最低値および最高値を、それぞれ0%および100%として正規化したものである。図6に示すように、液晶の透過率は、液晶層に対する印加電圧が閾値VTH1より小さい場合には0%であるが、印加電圧が閾値VTH1以上であり、かつ、飽和電圧VTH2以下である場合には、印加電圧に対して非線形に増加する。そして、印加電圧が飽和電圧VTH2以上である場合、液晶の透過率は印加電圧によらず一定値を維持する。
【0026】
さて、液晶の透過率を0%と100%との間の中間的な透過率にするためには、図6に示す電圧/透過率特性において電圧VTH1と電圧VTH2との間にある当該透過率に対応して実効電圧を液晶層に印加する必要がある。従来の技術の下では、このような中間階調を得るための電圧がD/A変換回路やオペアンプなどのアナログ回路によって生成され、画素電極に印加されていた。
【0027】
しかし、このような駆動方法によって画素電極に印加される電圧は、アナログ回路の特性や各種の配線抵抗などのばらつきによる影響を受けやすく、さらに、画素同士でみて不均一となりやすいので、高品質かつ高精細な階調表示が困難であった。
【0028】
そこで、本実施形態に係る電気光学装置では、次のような方法により画素の駆動を行う。なお、本明細書において、1フィールドとは、水平走査信号および垂直走査信号に同期して水平走査および垂直走査することにより、1枚のラスタ画像を形成するのに要する時間である。
【0029】
まず、1フィールドを6つのサブフィールドに分割し、各サブフィールド単位で液晶層に対する電圧印加を行う。各サブフィールドでは、液晶層に対し、透過率0%に対応した電圧(例えば図6における電圧VL(=0V)または透過率100%に対応した電圧(例えば図6における電圧VH)を印加する。
【0030】
その際、1フィールド内において電圧VHが印加される時間と電圧VLが印加される時間との比率が階調データに応じた比率となるように、電圧VHの印加を行うサブフィールドおよび電圧VLの印加を行うサブフィールドを階調データに応じて決定する。このようにすることで、階調データに応じた実効電圧が液晶層に印加され、透過率0%と透過率100%との間の中間的な階調での表示が可能となるのである。
【0031】
A:第1実施形態
<電気的構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。この電気光学装置は、電気光学材料として液晶を用いた液晶装置であり、素子基板と対向基板とが互いに一定の間隙を保って貼付され、この間隙に電気光学材料たる液晶が挟持される構成となっている。また、この電気光学装置では、素子基板として半導体基板が用いられており、この素子基板に画素を駆動するトランジスタとともに、周辺駆動回路などが形成されている。図1には、この素子基板に形成された回路の構成が示されている。
【0032】
図1に示すように、素子基板上における表示領域101aには、複数本の走査線112がX(行)方向に延在して形成され、複数本のデータ線114aおよびデータ線114bがY(列)方向に延在して形成されている。各データ線114bの一端は、画素110を介して隣接する1本のデータ線114aにインバータ114cを介して接続されており、各データ線114aおよびデータ線114bとが対をなすようになっている。そして、画素110は、走査線112と、一対のデータ線114aおよび114bとの各交差に対応して設けられて、マトリクス状に配列している。本実施形態では、説明の便宜上、走査線112の総本数をm本とし、データ線114aおよび114bのそれぞれの総本数をn本として(m、nはそれぞれ2以上の整数)、m行×n列のマトリクス型表示装置として説明するが、本発明をこれに限定する趣旨ではない。
【0033】
図1において、タイミング信号生成回路200は、図示せぬ上位装置から供給される垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号DCLKに従って、各種のタイミング信号やクロック信号などを生成する装置である。このタイミング信号生成回路200によって生成される信号のうち主要なものを列挙すると次の通りである。
a.交流化駆動信号LCOM
この交流化駆動信号LCOMは、対向基板の対向電極108に印加される。本実施形態において交流化駆動信号LCOMは、VHからVL(=0V)へ、VL(=0V)からVHへ、という具合に1フィールド毎にレベル反転を繰り返す。ここで、電圧VHは、前掲図6において説明したものである。なお、説明の便宜上、この交流化駆動信号LCOMのレベルに関しては、VHを単にHレベルと呼び、VLを単にLレベルと呼ぶ場合がある。
b.スタートパルスDY
このスタートパルスは、1フィールドを6分割した各サブフィールドの最初に出力されるパルス信号である。
c.クロック信号CLY
このクロック信号CLYは、走査側(Y側)の水平走査期間を規定する信号である。
d.ラッチパルスLP
このラッチパルスLPは、水平走査期間の最初に出力されるパルス信号であって、クロック信号CLYのレベル遷移(すなわち、立ち上がりおよび立ち下がり)時に出力されるものである。
e.クロック信号CLX
このクロック信号CLXは、いわゆるドットクロックによって規定される信号である。
【0034】
以上がタイミング信号生成回路200によって生成される主要な信号の概要である。
【0035】
図1において、走査線駆動回路130は、いわゆるYシフトレジスタと呼ばれるものであり、サブフィールドの最初に供給されるスタートパルスDYをクロック信号CLYに従って転送し、走査線112の各々に走査信号G1、G2、G3、…、Gmとして順次排他的に供給するものである。
【0036】
データ線駆動回路140は、ある水平走査期間において2値信号Dsをデータ線114aの本数に相当するn個順次ラッチした後、ラッチしたn個の2値信号Dsを、次の水平走査期間において、それぞれ対応するデータ線114aにデータ信号d1、d2、d3、…、dnとして一斉に供給するものである。このデータ線駆動回路140の具体的な構成は、図2に示される通りである。
【0037】
図2に示すように、このデータ線駆動回路140は、Xシフトレジスタ1410と、第1のラッチ回路1420と、第2のラッチ回路1430とから構成されている。Xシフトレジスタ1410は、水平走査期間の最初に供給されるラッチパルスLPをクロック信号CLXに従って転送し、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snとして順次排他的に供給するものである。第1のラッチ回路1420は、2値信号Dsをラッチ信号S1、S2、S3、…、Snの立ち下がりにおいて順次ラッチするものである。第2のラッチ回路1430は、第1のラッチ回路1420によりラッチされた2値信号Dsの各々をラッチパルスLPの立ち下がりにおいて一斉にラッチするとともに、データ線114aの各々にデータ信号d1、d2、d3、…、dnとして供給するものである。一方、各データ線114bはインバータ114cを介して各データ線114aに接続されているから、各データ線114bには、上記データ信号d1、d2、d3、…、dnをレベル反転した信号が供給される。
【0038】
ここで、本明細書においては、1つのサブフィールド内において、いずれかの画素に対してデータ信号の書込みが開始されてから、全ての画素に対してデータ信号の書込みが終了するまでの期間を「データ転送期間」と呼ぶ。具体的には、走査線駆動回路130から最初の走査信号G1(図1中最も上段に位置する走査線112への走査信号)の出力が開始されてから、最後の走査信号Gm(最も下段に位置する走査線112への走査信号)の出力が終了するまでの期間が、データ転送期間に相当する期間である。なお、図7(詳細は後述する)に示すように、実際には各サブフィールドの開始時点(すなわち、スタートパルスDYの立ち上がり時点)と、最初の走査信号G1の出力開始時点とは時間的にずれているが、以下では説明の便宜上、データ転送期間の開始点をスタートパルスDYの立ち上がり時点であるものとして説明を進める。
【0039】
さて、本実施形態では、上述したように、1フィールドを6個のサブフィールドSf0〜Sf5に分割し、これらの各サブフィールド単位で、5ビットの階調データに対応した画素のオンオフ駆動を行う。ここで、各サブフィールドの時間長は、上記データ転送期間の時間長と、所定の重みを有する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長との合計となっている。以下、各サブフィールドの具体的な時間長について説明する(図8参照)。
a.サブフィールドSf0は、データ転送期間の時間長と、前掲図6における電圧VTH1相当の実効電圧を液晶層に与え得るだけの時間長とを合わせた時間長となっている。
b.サブフィールドSf1は、データ転送期間の時間長と、重み「1」に相当する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長とを合わせた時間長となっている。
c.サブフィールドSf2は、データ転送期間の時間長と、重み「2」に相当する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長とを合わせた時間長となっている。
d.サブフィールドSf3は、データ転送期間の時間長と、重み「4」に相当する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長とを合わせた時間長となっている。
e.サブフィールドSf4は、データ転送期間の時間長と、重み「8」に相当する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長とを合わせた時間長となっている。
f.サブフィールドSf5は、データ転送期間の時間長と、重み「16」に相当する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長とを合わせた時間長となっている。
【0040】
各サブフィールドSf0〜Sf5の時間長は以上のように選定されており、1フィールド内において電圧VHが印加される時間と電圧VLが印加される時間との比率が階調データに応じた比率となるように、電圧VHの印加を行うサブフィールドおよび電圧VLの印加を行うサブフィールドを階調データに応じて決定する。そして、これにより、階調データに応じた32階調の画像表示が可能となっている。
【0041】
次に、図3を参照して、画素110の具体的な構成について説明する。
【0042】
本実施形態における画素110は、画素自体に1ビットのディジタル信号を記憶するメモリと、このメモリに記憶されたディジタル信号に応じて電圧VonまたはVoffを選択して画素電極に印加する回路とが設けられている。
【0043】
図3において、インバータ121および122は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続されており、全体として1ビットのメモリを構成している。トランジスタ116aおよび116bは、この1ビットのメモリに対して書込みを行うときにオン状態とされるスイッチングトランジスタであり、各々のドレインはインバータ121および122の各出力端子に接続され、各々のゲートは走査信号Giを供給する走査線112に接続されている。また、トランジスタ116aのソースにはデータ線114aが、トランジスタ116bのソースにはデータ線114bが、それぞれ接続されている。ここで、データ線114aには、上述したデータ線駆動回路140から信号dj(j=1〜n)がそのまま供給される一方、データ線114bにはこの信号djをレベル反転した信号が供給される。これらの各データ線上の信号は、トランジスタ116aおよび116bを介してインバータ121および122からなるメモリに与えられ、このメモリに書込まれる。
【0044】
トランスミッションゲート123は、入力端が電圧Vonを供給する配線に接続されており、出力端が画素電極118に接続されている。また、トランスミッションゲート124は、入力端が電圧Voffを供給する配線に接続されており、出力端が画素電極118に接続されている。これらのトランスミッションゲート123および124は、いずれもHレベルのゲート信号を与えられることによりオンになるゲートであり、これらには上記メモリにおけるインバータ121および122の各出力信号がゲート信号として供給される。
【0045】
ここで、この画素の動作について説明する。
【0046】
まず、走査線112にHレベルの走査信号Giが出力され、トランジスタ116aおよび116bがオン状態となっているときに、Hレベルのデータ信号djがデータ線114aに、Lレベルの信号/djがデータ線114bにそれぞれ出力されたとする。この場合、インバータ121の出力信号がHレベル、インバータ122の出力信号がLレベルとなるため、トランスミッションゲート123のみがオン状態となり、このトランスミッションゲート123を介して電圧Vonが画素電極118に印加される。
【0047】
次に、走査線112に対する走査信号GiがLレベルになると、トランジスタ116aおよび116bはオフ状態となり、インバータ121および122はそれ以前の出力信号レベルをそのまま維持する。この間、インバータ121の出力信号のみがHレベルとなるため、トランスミッションゲート123を介して電圧Vonが画素電極118に印加され続けることとなる。
【0048】
その後、走査線112に対する走査信号Giが再びHレベルとなり、トランジスタ116aおよび116bがオン状態となっているときに、Lレベルのデータ信号djがデータ線114aに、Hレベルの信号/djがデータ線114bにそれぞれ出力されたとする。この場合、インバータ121の出力信号がLレベル、インバータ122の出力信号がHレベルとなるため、トランスミッションゲート124のみがオン状態となり、このトランスミッションゲート124を介して電圧Voffが画素電極118に印加される。
【0049】
そして、走査線112に対する走査信号GiがLレベルになると、上述したように、インバータ121および122はそれ以前の出力レベルをそのまま維持し、トランスミッションゲート124を介して電圧Voffが画素電極118に印加され続けることとなる。このように、画素110はメモリを内蔵しているため、画素電極に対する印加電圧がリークによって揮発するといった事態が生じないという利点がある。
【0050】
なお、以下では、便宜的に、データ線114aに対してHレベルのデータ信号が、データ線114bに対してLレベルの信号が供給された結果、インバータ121の出力信号がHレベル、インバータ122の出力信号がLレベルで保持された状態を「メモリにHレベルの信号が書込まれた状態」と呼ぶ。これに対し、データ線114aに対してLレベルのデータ信号が、データ線114bに対してHレベルの信号が供給された結果、インバータ121の出力信号がLレベル、インバータ122の出力信号がHレベルで保持された状態を「メモリにLレベルの信号が書込まれた状態」とする。すなわち、データ線駆動回路140からHレベルのデータ信号が出力された場合にはメモリにHレベルの信号が書込まれ、画素電極118には電圧Vonが印加される。一方、データ線駆動回路140からLレベルのデータ信号が出力された場合にはメモリにLレベルの信号が書込まれ、画素電極118には電圧Voffが印加されることとなる。
【0051】
さて、本実施形態においては、これらの各画素の画素電極118に印加される電圧VonおよびVoffのレベルが、所定の条件の下で、VL(=0V)およびVHのいずれかに切換わるようになっている。図1において、電圧制御回路160は、これらの電圧VonおよびVoffのレベルを制御するためのものである。具体的には、電圧制御回路160には、電圧VHおよびVL、データ転送期間であることを示すデータ転送信号DT、ならびに交流化駆動信号LCOMが入力される一方、これらの各信号に応じてHレベル(=VH)またはLレベル(=VL=0V)に設定された電圧VonおよびVoffが出力される。ここで、データ転送信号DTは、データ転送期間であるか否かを示す信号であり、タイミング信号生成回路200によって生成されるものであり、具体的には、例えば、スタートパルスDYの立ち上がりと同時に立ち上がるとともに、走査信号Gmの立ち下がりと同時にたち下がるパルス信号である(図4参照)。
【0052】
以下、図4を参照して、電圧制御回路160による制御の結果、電圧VonおよびVoffのレベルがどのように変化するのかを説明する。なお、以下では、サブフィールド内のデータ転送期間内における変化とデータ転送期間が経過した後の期間(以下、「非転送期間」という)内におけるレベルとに分けて説明する。また、以下では、説明の便宜上、電圧VonおよびVoffのレベルに関しては、VHを単にHレベルと呼び、VLを単にLレベルと呼ぶ場合がある。
a.データ転送期間内
データ転送期間内においては、電圧制御回路160は、画素中のメモリに書込まれた信号に関わらず、画素をオフにする電圧が印加されるように、電圧VonおよびVoffのレベルを切換える。具体的には、交流化駆動信号LCOMがHレベルであるフィールド内のデータ転送期間においては、電圧Von、VoffともにHレベルとなる一方、交流化駆動信号LCOMがLレベルであるフィールド内のデータ転送期間においては、電圧Von、VoffともにLレベルとなる。すなわち、メモリに書込まれた信号に従って電圧VonおよびVoffのいずれが画素電極118に印加された場合であっても、交流化駆動信号LCOMと画素電極118に対する印加電圧とのレベル差は0Vとなるため、画素はオフとなる。
b.非転送期間内
データ転送期間経過後、すなわち非転送期間内においては、直前のデータ転送期間において画素中のメモリに書込まれた信号に応じて、画素をオンオフ駆動するための電圧が画素に印加されるように、電圧VonおよびVoffのレベルが決定される。具体的には、交流化駆動信号LCOMがHレベルであるフィールドにおいてはVonをLレベルに、VoffをHレベルにする一方、交流化駆動信号LCOMがLレベルであるフィールドにおいてはVonをHレベルに、VoffをLレベルにする。この結果、画素110中のメモリに書込まれた信号がHレベルである場合(すなわち、画素電極118に電圧Vonが印加される場合)には、画素110をオンする電圧が印加され、画素110中のメモリに書込まれた信号がLレベルである場合(すなわち、画素電極118に電圧Voffが印加される場合)には、画素をオフする電圧が印加されることとなる。
【0053】
このように、本実施形態では、データ転送期間の間はメモリに書込まれた信号とは無関係に常に画素がオフになる一方、データ転送期間の経過後には、当該データ転送期間においてメモリに書込まれた信号に応じた信号によって画素がオンオフ駆動されるようになっている。
【0054】
次に、図1に示すデータ変換回路300は、各サブフィールドにおいて、各画素に対応した上記5ビットの階調データから当該画素のオンオフ駆動を指示する2値信号Dsを生成するものである。図5は、サブフィールド番号および階調データと2値信号Dsとの関係を示している。データ変換回路300は、内部のメモリに同図に示すようなテーブルを保持しており、このメモリには、サブフィールド番号と階調データとがアドレスとして与えられるようになっている。この結果、データ変換回路300からは、サブフィールド番号および階調データに応じた2値信号Dsが出力される。
【0055】
ここで、サブフィールド番号は、1フィールド内における各サブフィールドの番号であり、「0」〜「5」までのいずれかの値である。このサブフィールド番号を生成する方法に関しては各種考えられるが、例えばスタートパルスDYを計数するとともに、交流化駆動信号LCOMのレベル遷移(立ち上がりおよび立ち下がり)によって当該計数結果がリセットされるカウンタを設け、このカウンタから得られるカウント値をサブフィールド番号として用いてもよい。データ変換回路300は、このようにして得られるサブフィールド番号と階調データとの組み合わせに対応したオンオフデータを2値信号Dsとして出力する。
【0056】
ここで、Hレベルの2値信号Dsは画素内の画素電極118に対して電圧Vonを印加する作用を呈し、Lレベルの2値信号Dsは画素内の画素電極118に対して電圧Voffを印加する作用を呈することとなる。例えば、データ変換回路300からHレベルの信号Dsが出力され、この結果いずれかのデータ線114aにHレベルのデータ信号が出力されたとすると、メモリにはHレベルの信号が書込まれるため、画素電極118には電圧Vonが印加されるのである。図5に例示するように、階調データが00000である場合には、全てのサブフィールドにおいてLレベルの2値信号Dsが出力される。この結果、当該画素の画素電極118には、全てのサブフィールドにおいて電圧Voffが印加されることとなる。また、階調データが00001である場合には、サブフィールドSf0およびSf1においてHレベルの2値信号Dsが出力される一方、その他のサブフィールドにおいてはLレベルの2値信号Dsが出力される。この結果、当該画素の画素電極118には、サブフィールドSf0およびSf1において電圧Vonが印加される一方、サブフィールドSf2〜Sf5において電圧Voffが印加される。
【0057】
なお、図5に示すように、サブフィールドSf0では、階調データが00001以上である場合に、階調データとは無関係にHレベルの2値信号Dsが出力される。これは、上述したように、前掲図6における電圧VTH1相当の実効電圧を当該画素に印加するために、データ変換回路300からデータ線駆動回路140に出力されるものである。
【0058】
データ変換回路300において生成された2値信号Dsは、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140の動作に同期して出力する必要があるので、図1に示すように、データ変換回路300に対して、スタートパルスDYと、水平走査に同期するクロック信号CLYと、水平走査期間の最初を規定するラッチパルスLPと、ドットクロック信号に相当するクロック信号CLXとが供給されるようになっている。
【0059】
<動作>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置の動作について説明する。図7は、この電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0060】
まず、交流化駆動信号LCOMは、1フィールド(1f)毎にレベル反転して、対向電極108に印加される。一方、スタートパルスDYは、各サブフィールドの開始タイミングにおいてタイミング信号生成回路200から出力される。
【0061】
ここで、交流化駆動信号LCOMがHレベルとなる1フィールドにおいて、サブフィールドSf0の開始を規定するスタートパルスDYが供給されると、走査線駆動回路130(図1参照)におけるクロック信号CLYに従った転送によって、走査信号G1、G2、G3、…、Gmが順次排他的に出力される。なお、図7に示すように、データ転送期間は、最も短いサブフィールドよりもさらに短い期間に設定されている。
【0062】
さて、走査信号G1、G2、G3、…、Gmは、それぞれクロック信号CLYの半周期に相当するパルス幅を有し、また、上から数えて1本目の走査線112に対応する走査信号G1は、スタートパルスDYが供給された後、クロック信号CLYが最初に立ち上がってから、少なくともクロック信号CLYの半周期だけ遅延して出力される。従って、サブフィールドの最初にスタートパルスDYが供給されてから、走査信号G1が出力されるまでに、ラッチパルスLPの1ショット(G0)がデータ線駆動回路140に供給されることとなる。
【0063】
そこで、このラッチパルスLPの1ショット(G0)が供給された場合について検討してみる。まず、このラッチパルスLPの1ショット(G0)がデータ線駆動回路140に供給されると、データ線駆動回路140(図2参照)におけるクロック信号CLXに従った転送によって、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snが水平走査期間(1H)に順次排他的に出力される。なお、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snは、それぞれクロック信号CLXの半周期に相当するパルス幅を有している。
【0064】
この際、図2における第1のラッチ回路1420は、ラッチ信号S1の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて1本目のデータ線114aとの交差に対応する画素110への2値信号Dsをラッチし、次に、ラッチ信号S2の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて2本目のデータ線114aとの交差に対応する画素110への2値信号Dsをラッチし、以下、同様に、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えてn本目までの各データ線114aとの各交差に対応する各画素110への2値信号Dsを順次ラッチする。
【0065】
これにより、まず、図1において上から1本目の走査線112との交差に対応する画素1行分の2値信号Dsが、第1のラッチ回路1420により点順次的にラッチされることとなる。なお、データ変換回路300は、第1のラッチ回路1420によるラッチのタイミングに合わせて、各画素の階調データを2値信号Dsに変換して出力する。この変換は、前掲図5に示した真理値表に従って実行される。
【0066】
次に、クロック信号CLYが立ち下がって、走査信号G1が出力されると、図1において上から数えて1本目の走査線112が選択される結果、当該走査線112との交差に対応する画素110のトランジスタ116がすべてオンとなる。一方、当該クロック信号CLYの立ち下がりによってラッチパルスLPが出力される。そして、このラッチパルスLPの立ち下がりタイミングにおいて、第2のラッチ回路1430は、第1のラッチ回路1420によって点順次的にラッチされた2値信号Dsを、対応するデータ線114aの各々にデータ信号d1、d2、d3、…、dnとして一斉に供給する。この際に、データ線114bの各々にはデータ信号をレベル反転した信号が供給される。この動作により、上から数えて1行目の各画素110内のメモリには、各データ信号の書込みが同時に行われることとなる。
【0067】
この書込みと並行して、図1において上から2本目の走査線112との交差に対応する画素1行分の2値信号Dsが、第1のラッチ回路1420により点順次的にラッチされる。
【0068】
一方、電圧制御回路160は、前掲図4に例示したように、電圧VonおよびVoffの電圧値を制御する。ここでは、交流化駆動信号LCOMがHレベルの場合を想定しているため、データ転送期間においては、VonおよびVoffともにHレベルに設定するとともに、非転送期間においては、VonをLレベルに、VoffをHレベルにそれぞれ設定する。
【0069】
以後同様な動作が、m本目の走査線112に対応する走査信号Gmが出力されるまで繰り返される。すなわち、ある走査信号Gi(iは、1≦i≦mを満たす整数)が出力される1水平走査期間(1H)においては、i本目の走査線112に対応する画素110の1行分に対するデータ信号d1〜dnの書込みと、(i+1)本目の走査線112に対応する画素110の1行分に対する2値信号Dsの点順次的なラッチとが並行して行われることとなる。なお、画素110内のメモリに書込まれたデータ信号は、次のサブフィールドにおいて新たなデータ信号が書込まれるまで保持される。
【0070】
さらに、フィールドが切り換わり、交流化駆動信号LCOMがLレベルに反転した場合においても、各サブフィールドにおいて同様な動作が繰り返される。ただし、電圧制御回路160は、前掲図4に示したように、データ転送期間においては電圧Von、VoffともにLレベルに設定するとともに、非転送期間においては電圧VonをHレベルに、VoffをLレベルに設定するように切換わる。
【0071】
次に、このような動作が行われる結果、画素110における液晶層に印加される電圧について検討する。図8は、階調データと、画素110における画素電極118への印加波形を示すタイミングチャートである。
【0072】
図8に示すように、各サブフィールドにおけるデータ転送期間内(図8において斜線を付した区間)においては、各画素内のメモリに対していずれのレベルのデータ信号が書込まれているかに関わらず、画素をオフする電圧が印加される。例えば、交流化駆動信号LCOMがHレベルであるフィールド内のデータ転送期間においては、電圧制御回路160によって電圧VonおよびVoffともにHレベルに設定されている。従って、当該期間においては、画素内のメモリにいずれのレベルの信号が書込まれている場合であっても(すなわち、画素に対して電圧VonおよびVoffのいずれが印加されている場合であっても)、画素はオフとなる。これに対し、非転送期間においては、電圧制御回路160により、電圧VonはLレベルに、VoffはHレベルに、それぞれ設定されている。従って、画素110内のメモリにHレベルの信号が記憶されている場合(すなわち、画素電極118に電圧Vonが印加されている場合)には画素がオンとなる一方、画素内のメモリにLレベルの信号が記憶されている場合(すなわち、画素電極118に電圧Voffが印加されている場合)には画素がオフとなる。
【0073】
例えば、交流化駆動信号LCOMがHレベルであり、ある画素の階調データが00000である場合、図5に示したテーブルに従う結果、当該画素内のメモリには、全てのサブフィールドSf0〜Sf5にわたってLレベルの信号が書込まれる。この場合、データ転送期間において画素がオフとなるのはもちろん、非転送期間においても、全てのサブフィールドにおいて、画素電極118には電圧Voff(VH)が印加される。この結果、1フィールドにおいて液晶層に印加される電圧実効値は0Vとなる。従って、当該画素の透過率は、階調データ00000に対応して0%となる。
【0074】
また、ある画素の階調データが00001である場合、図5に示したテーブルに従う結果、当該画素内のメモリには、サブフィールドSf0およびSf1においてはHレベルの信号が書込まれる一方、その他のサブフィールドにおいてはLレベルの信号が書込まれる。この結果、サブフィールドSf0およびSf1(データ転送期間および非転送期間)においては、画素電極118に対して電圧Vonが印加される。ただし、データ転送期間においては、交流化駆動信号LCOMと画素電極118に印加される電圧Vonとのレベル差は0Vであるため、画素はオフとなる。一方、非転送期間においては、電圧Vonのレベルが反転する(Lレベルとなる)ため、画素電極118には画素をオンとする電圧が印加される。また、サブフィールドSf2〜Sf5においては、データ転送期間および非転送期間ともに画素をオフとする電圧が印加される。この結果、階調データ00001に対応した実効電圧が画素に与えられることとなり、その階調データに応じた透過率が得られる。
【0075】
さらに、ある画素の階調データが00010であるとき、図5に示したテーブルに従う結果、当該画素内のメモリにはサブフィールドSf0およびSf2においてはHレベルの信号が書込まれる一方、その他のサブフィールドにおいてはLレベルの信号が書込まれる。この結果、サブフィールドSf0およびSf2においては、画素電極118に対して電圧Vonが印加されるが、上述したのと同様の理由により、データ転送期間においては画素がオフとなる一方、非転送期間においては画素がオンとなる。また、サブフィールドSf1およびSf3〜Sf5においては画素をオフとする電圧が印加される。この結果、階調データ00010に対応した実効電圧が画素に与えられることとなり、その階調データに応じた透過率が得られる。
【0076】
他の階調データが与えられた場合も同様であり、階調データに応じた個数のサブフィールド内の非転送期間において画素がオンとなる結果、その階調データに応じた透過率が得られる。
【0077】
次に、交流化駆動信号LCOMがLレベルになると、Hレベルの場合に印加されていた電圧をレベル反転した電圧が画素電極118に印加される。このため、交流化駆動信号LCOMがHレベルの場合に各液晶層に印加された電圧は、交流化駆動信号LCOMがLレベルの場合の印加電圧とは極性を反転したものであって、かつ、その絶対値は等しいものとなる。従って、液晶層に直流成分が印加される事態が回避される結果、液晶の劣化が防止されることになる。
【0078】
このような本実施形態に係る電気光学装置によれば、1フィールドが複数のサブフィールドSf0〜Sf5に分割され、各サブフィールド毎に、画素にHレベルまたはLレベルが書込まれ、1フィールドにおける電圧実効値が制御される。このため、データ線114aおよび114bに供給されるデータ信号は、HレベルまたはLレベルのみであって、2値的であるため、駆動回路などの周辺回路においては、高精度のD/A変換回路やオペアンプなどのような、アナログ信号を処理するための回路は不要となる。このため、回路構成が大幅に簡略化されるので、装置全体のコストを低く抑えることが可能となる。
【0079】
さらに、データ線114aおよび114bに供給されるデータ信号(djおよび/dj)は2値的であるため、素子特性や配線抵抗などの不均一性に起因する表示ムラが原理的に発生しない。このため、本実施形態に係る電気光学装置によれば、高品位かつ高精細な階調表示が可能となる。
【0080】
また、本実施形態においては、複数のサブフィールドの各々において、データ転送期間が経過した後にメモリに書込まれた信号に応じた電圧を画素電極118に印加するようになっている。このため、各サブフィールドにおいて、各画素への電圧の印加に関してデータ転送期間と非転送期間とを区別することなく、各画素に対してデータ信号が供給された直後から当該データ信号に応じた電圧を画素電極に印加する駆動方法(以下、「他の駆動方法」という)と比較して、以下の利点がある。
【0081】
図9(a)は、上記他の駆動方法を用いた場合の、各サブフィールドとデータ転送期間および電圧印加期間との関係を示すタイミングチャートである。同図中に「電圧印加期間」として示すように、上記他の駆動方法においては、ある画素に対してデータ信号djが供給されると、直ちに当該データ信号djに応じた電圧が画素電極に印加され、次のサブフィールドにおいて新たなデータ信号dj+1が供給されるまでこの電圧が維持されるようになっている。なお、図9(a)においては、スタートパルスDYが出力された直後(すなわち、データ転送期間の開始直後)にデータ信号が供給される画素を例としているため、サブフィールドの開始直後から電圧が印加されるようになっている。もちろん、例えば1画面の最後にデータ信号が供給される画素(すなわち、データ転送期間の最後にデータ信号が供給される画素)においては、データ転送期間の最後の時点から電圧印加期間が開始することとなる。
【0082】
ここで、このような方法において、表示可能な階調数を増加させる場合について検討してみる。
【0083】
表示可能な階調数を増加させるためには、画素に印加され得る実効電圧の値の種類(個数)をより多くする必要がある。そして、このためには、画素に対してより小さい実効電圧を与え得るサブフィールドを設けなければならない。別の表現をすれば、画素に電圧が印加される時間がより短い(=小さい電圧実効値を与え得る)サブフィールドを設ける必要があるのである。
【0084】
ところが、図9(a)に示す方法の場合、各サブフィールドの時間長をデータ転送期間の時間長よりも短くすることができない。換言すれば、電圧印加期間の時間長をデータ転送期間の時間長よりも短くすることができない。この結果、1つのサブフィールドの時間長を短縮し、電圧印加時間の時間長とデータ転送期間の時間長とを等しくした場合に印加可能な実効電圧よりも小さい実効電圧を、画素に対して印加することができない。ここで、データ転送期間を短縮することができれば、1つのサブフィールドにおける電圧印加期間をさらに短縮することができるため、階調数を増やすこともできるが、各駆動回路等の性能上、データ転送期間の短縮には限界がある。結局、上述した他の駆動方法においては、画像表示の多階調化に限界があるのである。
【0085】
これに対し、本実施形態においては、図9(b)に示すように、データ転送期間の経過後にメモリに書込まれた信号に応じて画素をオンまたはオフするようになっている。なお、図9(b)において「電圧印加期間」とは、メモリに書込まれた信号に応じて画素をオンする電圧またはオフする電圧を印加する期間であり、上記実施形態における「非転送期間」に相当する期間である。
【0086】
上述したように、階調数を増加させるためには、画素に対してより小さい電圧実効値を与え得るサブフィールド、すなわち、画素に電圧が印加される時間がより短いサブフィールドを設ける必要がある。ここで、上記他の方法においては、電圧印加期間の時間長をデータ転送期間の時間長よりも短くできないという制約があったが、本実施形態に係る方法によれば、電圧印加時間の時間長をデータ転送期間の時間長の如何に関わらず自由に設定できる。つまり、いかに小さい実効電圧を与え得るサブフィールドをも設けることができるのである。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係る方法によれば、データ転送期間の時間長の如何に関わらず、非転送期間、すなわち各画素にデータ信号に応じた電圧が印加される期間を任意に設定することができる。この結果、電圧印加期間(非転送期間)を短縮することにより、画像表示の多階調化を実現することができるという利点がある。換言すれば、多階調表示を行う場合であっても、データ転送期間の短い高性能の駆動回路は必要とならない。
【0088】
B:第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の全体構成は、前掲図1に示した第1実施形態の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0089】
上記第1実施形態においては、データ転送期間と非転送期間とで電圧VonおよびVoffのレベルを切換える電圧制御回路160を設け、これにより、データ転送期間においてはメモリにいずれの信号が書込まれている場合であっても画素をオフとする電圧が印加されるようにした。これに対し、本実施形態においては、画素内に設けた回路により、この機能を実現するようになっている。
【0090】
図10は、本実施形態に係る電気光学装置における画素110の構成を示す図である。なお、図10において、前掲図3に示した各部と共通する部分については図3と同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0091】
図10に示すように、本実施形態における画素110には、NANDゲート125が設けられている。このNANDゲート125の一方の入力端子はインバータ121の出力端子に接続されており、メモリに書込まれた信号が入力される。また、NANDゲート125の他方の入力端子にはデータ転送信号DTをレベル反転した信号/DTが入力されるようになっている。NANDゲート125の出力端子には、トランスミッションゲート124およびインバータ126が並列に接続されており、このインバータ126の出力端子にはトランスミッションゲート123が接続されている。
【0092】
これらのトランスミッションゲート123および124は、いずれもHレベルのゲート信号が与えられることによりオンになるゲートである。具体的には、トランスミッションゲート124には、上記NANDゲート125の出力信号がゲート信号として供給され、トランスミッションゲート123には、NANDゲート125の出力信号がインバータ126を介してレベル反転された信号がゲート信号として供給される。
【0093】
また、上記第1実施形態においては、各サブフィールド内のデータ転送期間と非転送期間との切り換わりに応じて、電圧VonおよびVoffのレベルを電圧制御回路160によって切換える構成とした。これに対し、本実施形態においては、図11に示すように、電圧Voffは交流化駆動信号LCOMと同一のレベルとなる一方、電圧Vonは交流化駆動信号LCOMを反転したレベル信号となるように、電圧制御回路160が動作する。
【0094】
次に、図10および図11を参照して、上記画素110内の画素電極118に印加される電圧について説明する。なお、以下では、データ転送期間と非転送期間とに分けて説明する。
a.データ転送期間
データ転送期間内においてはデータ転送信号DTがHレベルとなるため、NANDゲート125の一方の入力端子に入力される信号/DTはLレベルとなる(図11参照)。この結果、他方の入力端子(すなわち、インバータ121に接続された入力端子)にいずれのレベルの信号が入力されるかに関わらず、NANDゲート125からはHレベルの信号が出力される。このため、トランスミッションゲート124のみがオンとなるから、画素電極118には電圧Voffが印加される。ここで、図11に示したように、本実施形態においては電圧Voffが交流化駆動信号LCOMと同じレベルとなっているから、データ転送期間においては、メモリにいずれのレベルの信号が書込まれているかに関わらず、画素はオフとなる。
b.非転送期間
非転送期間、すなわち、図11中の斜線を付した区間においては、メモリに書込まれた信号に応じて画素電極118に対して電圧VonまたはVoffが印加され、画素がオンオフ駆動される。詳述すると、以下の通りである。
【0095】
非転送期間においては、データ転送信号DTがLレベルとなるため、NANDゲート125の一方の入力端子に入力される信号/DTはHレベルとなる(図11参照)。この結果、インバータ121の出力信号をレベル反転した信号がNANDゲート125から出力される。具体的には、当該非転送期間の直前のデータ転送期間において、メモリにHレベルの信号が書込まれた場合(すなわち、インバータ121の出力信号がHレベル、インバータ122の出力信号がLレベルに保持されている場合)、NANDゲート125からはLレベルの信号が出力される。この結果、トランスミッションゲート123のみがオンとなるから、画素電極118には電圧Vonが印加されることとなる。ここで、図11に示したように、電圧Vonは交流化駆動信号LCOMとは反対のレベルとなっているから、画素はオンとなる。
【0096】
一方、メモリにLレベルの信号が書込まれた場合(すなわち、インバータ121の出力信号がLレベル、インバータ122の出力信号がHレベルに保持されている場合)、NANDゲート125からはHレベルの信号が出力される。この結果、トランスミッションゲート124のみがオンとなるから、画素電極118には電圧Voffが印加されることとなる。上述したように、電圧Voffは交流化駆動電圧LCOMのレベルと等しくなっているため、画素はオフとなる。
【0097】
このように、本実施形態においては、データ転送期間においては画素は常にオフになるとともに、データ転送期間の経過後にメモリに書込まれた信号に応じて画素がオン/オフ駆動されることとなる。この結果、階調データと、当該階調データが与えられたときの画素電極118への印加電圧との関係は、上記第1実施形態において例示した図8と同じになる。
【0098】
このように、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、上記実施形態においては、データ転送期間と非転送期間との切り換わりに同期して1フィールド内において何度も電圧VonおよびVoffのレベルを切換える必要があったが、本実施形態によれば、1フィールド内においては電圧VonおよびVoffのレベルを切換える必要がないため、上記実施形態と比較して消費電力を低く抑えることができるという利点がある。
【0099】
C:変形例
以上この発明の実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまでも例示であり、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0100】
<変形例1>
(1)第1の態様
上記第1実施形態においては、データ転送期間において画素を常にオフとするようにしたが、データ転送期間において画素を常にオンにするようにしてもよい。以下、図12を参照して、この場合の電圧VonおよびVoffの変化を説明する。なお、本態様における電圧VonおよびVoffのレベル変化の様子は、図12中の(a)の部分に示されている。
a.データ転送期間内
データ転送期間内においては、電圧制御回路160は、画素中のメモリに書込まれた信号に関わらず、画素をオンにする電圧が印加されるように、電圧VonおよびVoffのレベルを切換える。具体的には、交流化駆動信号LCOMがHレベルであるフィールドにおいては、電圧Von、VoffともにLレベルにする一方、交流化駆動信号LCOMがLレベルであるフィールドにおいては、電圧Von、VoffともにHレベルとする。この結果、データ転送期間においては、メモリに書込まれた信号に従って電圧VonおよびVoffのいずれが画素電極118に印加された場合であっても、画素はオンとなる。
b.非転送期間内
非転送期間内においては、電圧制御回路160は、メモリに書込まれた信号に応じて画素をオンオフ駆動するための電圧が画素に印加されるように、電圧VonおよびVoffを切換える。具体的には、交流化駆動信号LCOMがHレベルであるフィールドにおいては電圧VonをLレベルに、電圧VoffをHレベルにする一方、交流化駆動信号LCOMがLレベルであるフィールドにおいては電圧VonをHレベルに、電圧VoffをLレベルにする。この結果、画素中のメモリに書込まれた信号に応じて画素がオンオフ駆動されることとなる。
【0101】
ここで、本態様においては、データ転送期間において強制的に画素をオンとするため、1フィールド内の各データ転送期間における電圧実効値が、図6に示す電圧VTH1と同じかそれよりも小さくなるようにデータ転送期間の長さ等を選定する必要がある。ここで、1フィールド内のデータ転送期間における電圧実効値が、上記電圧VTH1と等しくなるように設定した場合には、上記第1実施形態におけるサブフィールドSf0(電圧VTH1に相当する実効電圧を画素に与え得るだけの時間長に設定されたサブフィールド)を設ける必要がなくなる。一方、1フィールド内のデータ転送期間における電圧実効値が、上記電圧VTH1よりも小さくなるように設定した場合には、電圧VTH1と当該電圧実効値との差に相当する電圧をサブフィールドSf0において画素電極に与えればよいから、サブフィールドSf0の時間長をより短縮することができる。
【0102】
(2)第2の態様
上記第1実施形態においてはデータ転送期間において画素を常にオフとするようにし、上記第1の態様においてはデータ転送期間において画素を常にオンとするようにしたが、各サブフィールド内のデータ転送期間毎に画素をオンまたはオフするようにしてもよい。すなわち、例えば、1つのフィールド内において、サブフィールドSf0〜Sf2内のデータ転送期間においては画素をオンとし、サブフィールドSf3〜Sf5内のデータ転送期間においては画素をオフとするようにしてもよい。この場合の電圧VonおよびVoffのレベル変化の様子を図12(b)に示す。
【0103】
交流化駆動信号LCOMがHレベルである場合、同図に示すように、サブフィールドSf0〜Sf2内のデータ転送期間においては、電圧Von、VoffともにLレベルに設定される。従って、サブフィールドSf0〜Sf2内のデータ転送期間においては、画素内のメモリに書込まれた信号がいずれのレベルであるかに関わらず、画素はオンとなる。同様に交流化駆動信号LCOMがHレベルである場合、サブフィールドSf3〜Sf5内のデータ転送期間においては、電圧Von、VoffともにHレベルに設定される。従って、サブフィールドSf3〜Sf5内のデータ転送期間においては、画素内のメモリに書込まれた信号がいずれのレベルであるかに関わらず、画素はオフとなる。一方、交流化駆動信号LCOMがLレベルに切換わった場合には、サブフィールドSf0〜Sf2内のデータ転送期間においては電圧Von、VoffともにHレベルに設定されるため、当該期間においては画素がオンとなる一方、サブフィールドSf3〜Sf5内のデータ転送期間においては電圧Von、VoffともにLレベルに設定されるため、当該期間においては画素がオフとなる。なお、非転送期間においてメモリに書込まれた信号に応じて画素がオンオフ駆動される点は上記各実施形態と同様である。
【0104】
本態様によれば、例えば、データ転送期間において画素をオフにするサブフィールドと、データ転送期間において画素をオンにするサブフィールドとを適当に選択することにより、1フィールドにおけるデータ転送期間における電圧実効値を、上述した電圧VTH1と等しい値(またはこれに近い値)となるように調節することができる。こうした場合には、電圧VTH1に相当する実効電圧を与えるためのサブフィールドSf0を、1フィールド内に含ませる必要がなくなる。なお、上述した例においては、連続するサブフィールドSf0〜Sf2、およびサブフィールドSf3〜Sf5毎に、データ転送期間において画素をオンまたはオフするようにしたが、これに限らず、例えばサブフィールドSf0、Sf2およびSf4内のデータ転送期間においては画素をオンにし、サブフィールドSf1、Sf3およびSf5内のデータ転送期間においては画素をオフにする、というように、データ転送期間内において画素をオンまたはオフとするサブフィールドが連続しないようにしてもよいことはもちろんである。
【0105】
(3)第3の態様
また、上記第2実施形態における画素の構成を図13に示すものに変更すれば、上記第1の態様と同様に、データ転送期間内において常に画素をオンとすることができる。なお、図13に示す各部において、上記第2実施形態において示した図10と共通する各部については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0106】
同図に示すように、本変形例における画素110は、前掲図10に示した画素110と比較して、NANDゲート125およびインバータ126の接続の仕方が異なる。具体的には、NANDゲート125の一方の入力端子はインバータ122の出力端子に接続されており、メモリに書込まれた信号が入力される。また、NANDゲート125の他方の入力端子にはデータ転送信号DTをレベル反転した信号/DTが入力されるようになっている。一方、NANDゲート125の出力端子は、トランスミッションゲート123およびインバータ126に接続されている。このインバータ126の出力端子は、トランスミッションゲート124に接続されている。
【0107】
次に、本態様における各信号の具体的な変化の様子について説明する。
a.データ転送期間
データ転送期間内においてはデータ転送信号DTがHレベルとなるためNANDゲート125の一方の入力端子に入力される信号/DTはLレベルとなる。この結果、他方の入力端子(すなわち、インバータ122に接続された入力端子)にいずれのレベルの信号が入力されるかに関わらず、NANDゲート125からはHレベルの信号が出力される。この結果、トランスミッションゲート123のみがオンとなるから、画素電極18には電圧Vonが印加される。ここで、電圧Vonは、交流化駆動信号LCOMのレベルが反転されたものであるため、データ転送期間においては、メモリにいずれのレベルの信号が書込まれているかに関わらず、画素はオンとなる。
b.非転送期間
非転送期間内においてはデータ転送信号DTがLレベルとなるため、NANDゲート125の一方の入力端子に入力される信号/DTはHレベルとなる。この結果、NANDゲート125からの出力信号は、インバータ122の出力信号をレベル反転した信号となる。具体的には、当該非転送期間の直前のデータ転送期間において、メモリにHレベルの信号が書込まれた場合(すなわち、インバータ121の出力信号がHレベル、インバータ122の出力信号がLレベルに保持されている場合)、NANDゲート125からはHレベルの信号が出力される。この結果、トランスミッションゲート123のみがオンとなるから、画素電極118には電圧Vonが印加されることとなる。ここで、前掲図11に示したように、電圧Vonは交流化駆動信号LCOMを反転したレベルであるため、画素はオンとなる。一方、メモリにLレベルの信号が書込まれた場合(すなわち、インバータ121の出力信号がLレベル、インバータ122の出力信号がHレベルに保持されている場合)、NANDゲート125からはLレベルの信号が出力される。この結果、インバータ126を介してHレベルの信号が供給されるトランスミッションゲート124のみがオンとなるから、画素電極118には電圧Voffが印加されることとなる。電圧Voffは交流化駆動信号LCOMと同一のレベルであるから画素はオフとなる。
【0108】
このように、本態様においては、データ転送期間においては画素は常にオンとなるとともに、非転送期間においてはメモリに書込まれた信号に応じて画素がオン/オフ駆動されることとなる。なお、1フィールド内のデータ転送期間における電圧実効値については、上記第1の態様に示した条件と同様の条件で設定すればよい。
【0109】
上記各実施形態および本変形例に示したように、データ転送期間においては画素をオンするようにしてもオフするようにしてもよい。要は、1つのサブフィールドにおいて、データ転送期間においてはメモリに書込まれた信号とは無関係に画素がオンオフ駆動される一方、データ転送期間が経過した後にはじめて、当該データ転送期間においてメモリに書込まれた信号に応じた電圧が画素に対して印加されるようにすれば、上記第1実施形態において示した効果を得ることができる。
【0110】
<変形例2>
上記各実施形態においては、各サブフィールドにおいて画素に印加される実効電圧に対して各々異なる重み付けをしたため、各サブフィールドの時間長は異なるものであったが、各サブフィールドの時間長はこれに限られるものではない。例えば1フィールドを32個のサブフィールドSf0〜Sf31に分割し、サブフィールドSf0(電圧VTH1に相当する電圧実効値を印加するためのサブフィールド)以外のサブフィールドSf1〜Sf31の時間長を同じにしてもよい。図14は、この場合のサブフィールド番号および階調データと、2値信号Dsとの関係を例示するテーブルである。データ変換回路300は、同図に示すテーブルに従って、階調データに応じた2値信号Dsを出力し、データ線駆動回路140は、この2値信号をデータ信号として各画素に供給する。そして、各サブフィールドにおいてデータ転送期間内は画素をオフにし(上記変形例1に示したようにオンとしてもよい)、データ転送期間経過後にメモリに書込まれた信号に従って画素をオンオフ駆動するようにすればよい。このようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
<液晶装置の全体構成>
次に、上述した実施形態や応用形態に係る電気光学装置の構造について、図15および図16を参照して説明する。ここで、図15は、電気光学装置100の構成を示す平面図であり、図16は、図15におけるA−A’線の断面図である。
【0112】
これらの図に示されるように、電気光学装置100は、画素電極118などが形成された素子基板101と、対向電極108などが形成された対向基板102とが、互いにシール材104によって一定の間隙を保って貼り合わせられるとともに、この間隙に電気光学材料としての液晶105が挟持された構造となっている。なお、実際には、シール材104には切欠部分があって、ここを介して液晶105が封入された後、封止材により封止されるが、これらの図においては省略されている。
【0113】
ここで、素子基板101は、上述したように半導体基板であるため不透明である。このため、画素電極118は、アルミニウムなどの反射性金属から形成されて、電気光学装置100は、反射型として用いられることになる。これに対して、対向基板102は、ガラスなどから構成されるので透明である。
【0114】
さて、素子基板101において、シール材104の内側かつ表示領域101aの外側領域には、遮光膜106が設けられている。この遮光膜106が形成される領域内のうち、領域130aには走査線駆動回路130が形成され、また、領域140aにはデータ線駆動回路140が形成されている。すなわち、遮光膜106は、この領域に形成される駆動回路に光が入射するのを防止している。この遮光膜106には、対向電極108とともに、交流化駆動信号LCOMが印加される構成となっている。このため、遮光膜106が形成された領域では、液晶層への印加電圧がほぼゼロとなるので、画素電極118の電圧無印加状態と同じ表示状態となる。
【0115】
また、素子基板101において、データ線駆動回路140が形成される領域140a外側であって、シール材104を隔てた領域107には、複数の接続端子が形成されて、外部からの制御信号や電源などを入力する構成となっている。
【0116】
一方、対向基板102の対向電極108は、基板貼合部分における4隅のうち、少なくとも1箇所において設けられた導通材(図示省略)によって、素子基板101における遮光膜106および接続端子と電気的な導通が図られている。すなわち、交流化駆動信号LCOMは、素子基板101に設けられた接続端子を介して、遮光膜106に、さらに、導通材を介して対向電極108に、それぞれ印加される構成となっている。
【0117】
ほかに、対向基板102には、電気光学装置100の用途に応じて、例えば、直視型であれば、第1に、ストライプ状や、モザイク状、トライアングル状等に配列したカラーフィルタが設けられ、第2に、例えば、金属材料や樹脂などからなる遮光膜(ブラックマトリクス)が設けられる。なお、色光変調の用途の場合には、例えば、後述するプロジェクタのライトバルブとして用いる場合には、カラーフィルタは形成されない。また、直視型の場合、電気光学装置100に光を対向基板102側から照射するフロントライトが必要に応じて設けられる。くわえて、素子基板101および対向基板102の電極形成面には、それぞれ所定の方向にラビング処理された配向膜(図示省略)などが設けられて、電圧無印加状態における液晶分子の配向方向を規定する一方、対向基板101の側には、配向方向に応じた偏光子(図示省略)が設けられる。ただし、液晶105として、高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、前述の配向膜や偏光子などが不要となる結果、光利用効率が高まるので、高輝度化や低消費電力化などの点において有利である。
【0118】
<その他>
また、実施形態においては、電気光学装置を構成する素子基板101を半導体基板とし、ここに、画素電極118に接続されるトランジスタ116や、駆動回路の構成素子などを、MOS型FETで形成したが、本発明は、これに限られない。例えば、素子基板101を、ガラスや石英などの非晶質基板とし、ここに半導体薄膜を堆積してTFTを形成する構成としても良い。このようにTFTを用いると、素子基板101として透明基板を用いることができる。
【0119】
さらに、電気光学材料としては、液晶のほかに、エレクトロルミネッセンス素子(EL)などを用いて、その電気光学効果により表示を行う装置に適用可能である。すなわち、本発明は、上述した構成と類似の構成を有する電気光学装置、特に、オンまたはオフの2値的な表示を行う画素を用いて、階調表示を行う電気光学装置のすべてに適用可能である。なお、上記各実施形態において示したように電気光学材料として液晶を用いた場合には、交流化駆動信号LCOMを1フィールド毎にレベル反転し、液晶層に直流成分が印加される事態を回避するようにしたが、電気光学材料として上述したエレクトロルミネッセンス素子を用いた場合には、このように交流駆動する必要はない。
【0120】
<電子機器>
次に、上述した液晶装置を具体的な電子機器に用いた例のいくつかについて説明する。
【0121】
<その1:プロジェクタ>
まず、実施形態に係る電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図17は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、偏光照明装置1110がシステム光軸PLに沿って配置されている。この偏光照明装置1110において、ランプ1112からの出射光は、リフレクタ1114による反射で略平行な光束となって、第1のインテグレータレンズ1120に入射する。これにより、ランプ1112からの出射光は、複数の中間光束に分割される。この分割された中間光束は、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130によって、偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束(s偏光光束)に変換されて、偏光照明装置1110から出射されることとなる。
【0122】
さて、偏光照明装置1110から出射されたs偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のs偏光光束反射面1141によって反射される。この反射光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1151の青色光反射層にて反射され、反射型の電気光学装置100Bによって変調される。また、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層にて反射され、反射型の液電気光学装置100Rによって変調される。一方、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、緑色光(G)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層を透過して、反射型の電気光学装置100Gによって変調される。
【0123】
このようにして、電気光学装置100R、100G、100Bによってそれぞれ色光変調された赤色、緑色、青色の光は、ダイクロイックミラー1152、1151、偏光ビームスプリッタ1140によって順次合成された後、投写光学系1160によって、スクリーン1170に投写されることとなる。なお、電気光学装置100R、100Bおよび100Gには、ダイクロイックミラー1151、1152によって、R、G、Bの各原色に対応する光束が入射するので、カラーフィルタは必要ない。
【0124】
<その2:モバイル型コンピュータ>
次に、上記電気光学装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図18は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、表示ユニット1206とから構成されている。この表示ユニット1206は、先に述べた電気光学装置100の前面にフロントライトを付加することにより構成されている。
【0125】
なお、この構成では、電気光学装置100を反射直視型として用いることになるので、画素電極118において、反射光が様々な方向に散乱するように、凹凸が形成される構成が望ましい。
【0126】
<その3:携帯電話機>
さらに、上記電気光学装置を、携帯電話機に適用した例について説明する。図19は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話機1300は、複数の操作ボタン1302のほか、受話口1304、送話口1306とともに、電気光学装置100を備えるものである。この電気光学装置100にも、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。また、この構成でも、電気光学装置100が反射直視型として用いられることになるので、画素電極118に凹凸が形成される構成が望ましい。
【0127】
なお、電子機器としては、図17〜図19を参照して説明した他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に対して、実施形態や応用形態に係る電気光学装置が適用可能なのは言うまでもない。
【0128】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、データ線に印加される信号が2値化されているため、高品位な階調表示が可能となる。また、データ転送期間が経過した後に、画素内のメモリに書込まれた信号に応じて画素をオンまたはオフにする電圧を印加するようになっているため、データ転送期間の如何に関わらず、電圧印加期間を任意に設定することができる。従って、表示画像の多階調化を容易に実現することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】 同電気光学装置におけるデータ線駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図3】 同電気光学装置における画素の構成を示すブロック図である。
【図4】 同電気光学装置における電圧VonおよびVoffのレベルを示す図である。
【図5】 同電気光学装置におけるデータ変換回路の機能を示す真理値表である。
【図6】 同電気光学装置における電圧−透過率特性を示す図である。
【図7】 同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】 同電気光学装置において対向基板に印加される電圧、および画素電極に印加される電圧を、フィールド単位で示すタイミングチャートである。
【図9】 同電気光学装置における効果を説明するための図である。
【図10】 本発明の他の実施形態に係る電気光学装置における画素の構成を示すブロック図である。
【図11】 同電気光学装置における電圧VonおよびVoffのレベルの変化を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】 本発明の変形例における電圧VonおよびVoffのレベルの変化を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】 本発明の変形例における画素の構成を示すブロック図である。
【図14】 本発明の変形例におけるデータ変換回路の機能を示す真理値表である。
【図15】 同電気光学装置の構造を示す平面図である。
【図16】 同電気光学装置の構造を示す断面図である。
【図17】 同電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す断面図である。
【図18】 同電気光学装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図19】 同電気光学装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
100……電気光学装置
101……素子基板
101a……表示領域
102……対向基板
105……液晶(電気光学材料)
108……対向電極
112……走査線
114a,114b……データ線
116a,116b……トランジスタ
118……画素電極
130……走査線駆動回路
140……データ線駆動回路
1410……Xシフトレジスタ
1420……第1のラッチ回路
1430……第2のラッチ回路
160……電圧制御回路
200……タイミング信号生成回路
300……データ変換回路
Claims (5)
- フィールド毎に1画面分の各画素の階調データを受け取り、当該階調データに従って、各々メモリを備えた複数の画素を駆動する電気光学装置の駆動方法であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、
各画素をオン状態にする電圧またはオフ状態にする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成して各画素のメモリに書込み、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、各画素に対して当該データ信号に応じた電圧の印加を行い、
各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、各画素のメモリに書込まれたデータ信号とは無関係に、画素をオン状態にする電圧または画素をオフ状態にする電圧のいずれかを各画素に対して印加すること
を特徴とする電気光学装置の駆動方法。 - フィールド毎に1画面分の各画素の階調データを受け取り、当該階調データに従って、各々メモリを備えた複数の画素を駆動する電気光学装置の駆動回路であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、各画素をオン状態にする電圧またはオフ状態にする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成し、当該データ信号についてデータ線を介して各画素内のメモリに書込むべく各データ線に供給するデータ線駆動回路と、
前記複数のサブフィールドの各々において、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ線を介して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、前記各画素のメモリに書込まれたデータ信号に応じて画素がオン状態またはオフ状態となるように、各画素に印加される電圧を制御する電圧制御回路と、
を具備し、
前記電圧制御回路は、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、各画素のメモリに書込まれたデータ信号とは無関係に画素がオン状態またはオフ状態となるように、各画素に印加される電圧を制御する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動回路。 - 複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設され、各々メモリを備えた複数の画素を有する電気光学装置であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、各画素をオン状態にする電圧またはオフ状態にする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成し、当該データ信号についてデータ線を介して各画素内のメモリに書込むべく各データ線に供給するデータ線駆動回路と、
前記サブフィールドの各々において、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ線を介して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、前記各画素のメモリに書込まれたデータ信号に応じて画素がオン状態またはオフ状態となるように、各画素に印加される電圧を制御する電圧制御回路と、
を具備し、
前記電圧制御回路は、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、各画素のメモリに書込まれたデータ信号とは無関係に画素がオン状態またはオフ状態となるように、各画素に印加される電圧を制御する
することを特徴とする電気光学装置。 - 複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された複数の画素を有する電気光学装置であって、
1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、画素をオン状態にする電圧またはオフ状態にする電圧の印加を指示するデータ信号を前記階調データに応じて順次生成し、当該データ信号について各データ線を介して供給するデータ線駆動回路と、
を具備し、
前記各画素は、
画素電極と、
前記データ線を介して供給されるデータ信号を記憶するメモリと、
前記複数のサブフィールドの各々において、少なくとも、全画素のメモリに対して前記データ信号の書込みが行われる期間であるデータ転送期間の経過後に、前記メモリに書込まれたデータ信号に応じて2種類の電圧の一方を選択して前記画素電極に印加する選択回路と、
を有し、
前記選択回路は、各サブフィールドにおけるデータ転送期間の間、前記メモリに書込まれたデータ信号とは無関係に2種類の電圧の一方を選択して前記画素電極に印加することを特徴とする電気光学装置。 - 請求項3または4に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
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