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JP3653863B2 - 液体フィルター用不織布およびそれを用いてなる液体濾過装置 - Google Patents

液体フィルター用不織布およびそれを用いてなる液体濾過装置 Download PDF

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JP3653863B2
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filter
liquid
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かおり 岩崎
泰義 堀口
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Toray Industries Inc
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体濾過、たとえば放電加工機用フィルター等でのフィルター交換直後に発生する濾過性能の低い状態(初期洩れ)を大幅に改善した高寿命の液体フィルター用不織布およびそれからなる液体濾過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放電加工機等に使用されるフィルター基材は、一般に、プリーツ加工を施し、フィルターユニット中での表面積を大きくし、濾過機能を高めたものが使用される。そこで、使用されるフィルター基材にはプリーツ加工が可能である必要があり、不織布にその特性を持たすためには、不織布を部分的に圧着し、ある程度の硬さや強力を持たす必要がある。また、濾過性能を満足させるために、不織布の見掛密度を高めたり、目付の高い不織布を使用する。
【0003】
そこで従来から、この機能を満足させるために、液体フィルター用不織布として、一部、共重合ポリエステル成分を含むポリエステル連続フィラメントからなる部分的に圧着した不織布を使用することが知られている。
【0004】
この不織布は通常紡糸口金から、溶融紡出された連続フィラメントをエアーサッカー等の手段により吸引延伸し、移動する網状体の上に開繊堆積させ連続フィラメントウェブとし、次いで同ウェブを部分的に熱圧着するという方法で得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の液体フィルター用不織布では、放電加工機用フィルター等に使用した場合、フィルター交換直後の初期洩れ状態が長く続くため、実用上の問題がなくなるまで予備運転を行い、濾過可能となるまでスラッジによる濾過層の形成が必要であった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決し、フィルター交換直後の初期洩れがなく、予備運転することなく実用でき、放電加工機用フィルターとしても十分な性能を持った高寿命の液体フィルター用不織布およびそれからなる液体濾過装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく、次のような構成を採用する。すなわち本発明の液体フィルター用不織布は、鞘成分が芯成分に対し20℃以上低い融点を有する共重合ポリエステルからなり、かつ該鞘成分が5〜30重量%を占めるポリエステル系芯鞘型複合フィラメントからなる部分的に圧着された不織布であって、該不織布の見掛密度が0.5g/cm 未満であり、かつ、少なくとも一方の面の、JIS−B0601に準じて測定される該圧着部のくぼみの平均深さから求められる表面粗さ指数が0.1以下であることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、液体フィルターの濾過面として使用する不織布表面の圧着部の深さが、液体濾過での初期洩れ状態に大きく影響を与えることを究明して完成されたものである。具体的には、該フィルターの圧着部の形状、構造を特定なものにすると、開始時のスラッジによる濾過層が極めて容易に形成されること、それによって、初期洩れ時間を著しく短縮することを究明したものである。
【0009】
すなわち、かかる不織布の該圧着部のくぼみの深さと、初期洩れとの関係を検討したところ、該くぼみの平均深さが初期洩れと関係が深いことを究明し、さらには、JIS−B0601に準じ測定した算術平均粗さ、たとえば、一般に、金属等の表面状態を確認するために使用される表面粗さを測定する、JIS−B0651の触針式表面粗さ測定器の規格に基づく(株)小坂研究所製表面粗さ計SE−40Cを用いて測定することができるくぼみの平均深さが、密接に関係することを究明した。すなわち、不織布のかかる圧着部のくぼみの深さ度合を表す指数、具体的には、かかるくぼみの平均深さを、該不織布の厚さで除して表される表面粗さ指数が、0.1以下にすることが重要であることに到達したものである。すなわち、かかる表面粗さ指数を、0.1以下とすることで、従来の不織布に比べ大幅に初期洩れ時間を短くできることを見出した。
【0010】
表面粗さ指数が0.1を越えると、初期洩れ時間が幾何級数的に大きくなっていき、液体フィルターとして適さない。表面粗さ指数を小さくすることは、フィルター濾過面の凹凸及び表面積が小さくなることであり、濾過に必要なスラッジ層の形成が容易になることを意味する。更に、圧着部の構造がルーズになっているため、実質的な濾過部分が拡大し、寿命性能の向上が達成できるものである。本発明の基本思想は、液体フィルターの濾過面として使用する不織布表面の圧着部の深さを浅くし、使用開始時のスラッジによる濾過層の形成を容易にし、初期洩れ時間を短縮することにある。
【0011】
本発明で言う部分的に圧着された不織布とは、不織布を構成している連続フィラメント間が熱と圧力によって融着し、部分的にくぼみがあること、即ち、フィラメント密度が高くなった部分が点在することを言う。このように、部分的に圧着するためには、通常、加熱した一対のエンボスロールが使用されるが、本発明においては、エンボスロールの形態、組合わせ等について特に規制するものではない。また、圧着部の不織布全体の面積に占める割合も、特に規制するものではないが、より少ない方が好ましく、たとえば、好ましくは10〜30%。さらに好ましくは15〜20%の範囲で占めるのがよい、具体的には、たとえば圧着部面積が0.5〜1.5mm2 である場合、好ましくは10〜50個/cm2 、さらに好ましくは25〜35個/cm2 の範囲がよい。
【0012】
本発明で言う見掛密度とは、不織布の目付を厚さで割った値であり、目付及び厚さについては、JISの一般長繊維不織布試験方法に準ずる。
【0013】
見掛密度が0.5以上の場合は、液体フィルターとして使用した場合、圧損が大きくなるため目詰まりが早くなり、フィルターの寿命性能が大幅に短くなる。一般に、空隙が小さいフィルターは、圧力損失が非常に大きくなることから液体用フィルターには適さない。
【0014】
本発明のフィルター用不織布は、鞘成分が5〜30重量%を占めるポリエステル系芯鞘型複合フィラメントで構成されているものである。かかる複合フィラメントとしては、鞘部分が芯成分に対し20℃以上低い融点を持つ共重合ポリエステルから成ることが、目付の高い不織布を得る上で非常に有効である。更に、芯鞘構造とは、一般的な同心円が最も好ましいが、偏芯円形、異型断面型としても良い。また、かかるポリエステル系フィラメントに酸化チタン、カーボンブラック等の添加剤を含んでもよいことは言うまでもない。本発明の共重合ポリエステル成分とは、アジピン酸、イソフタル酸、等を共重合したポリエステルであり、酸化チタン、カーボンブラック等の添加剤を含んでもよいことは言うまでもない。
【0015】
本発明のかかる液体フィルター用不織布を、たとえば、放電加工機用フィルター装置に使用すると、フィルター交換直後に発生する濾過性能の低い状態(初期洩れ)を大幅に改善でき、かつ、高寿命の液体濾過装置を提供することができるものである。
【0016】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、実施例における各種特性は次の方法により測定した。
【0017】
見掛密度:
(目付)/(厚さ)により算出する(単位: g/cm3 )。
【0018】
目付及び厚さの測定は、一般長繊維不織布試験方法(JIS−L1906)に準ずる。
【0019】
表面粗さ指数:
(くぼみの平均深さ)/(厚さ)により算出する。
【0020】
くぼみの平均深さは、表面粗さ測定器((株)小坂研究所製表面粗さ計SE−40C:JIS−B0651の触針式表面粗さ測定器の規格に基づく)を使用して、JIS−B0601の表面粗さ規格に準じて求められる算術平均粗さ(Ra)を表す。算術平均粗さは、カットオフ値2.5mm,評価長さ8mmで測定した。
フィルター性能:
計量ポンプを備えた濾過装置に、以下の条件で、初期性能を評価した。
【0021】
試料の大きさ :50mm径
スラッジの種類:JIS11種+JIS8種(重量比7:3)
スラッジの濃度:0.1 g/l(水)
押出流量 :200ml/min.
評価尺度
初期洩れ評価:褐色液が無色透明になるまでの時間(単位:SEC.)
寿命性能評価:圧損2kg/cm2 に到達するまでの時間(単位:SEC.)
実施例1、2、3
融点が260℃のポリエチレンテレフタレ−トを芯成分とし、融点が230℃のイソフタル酸共重合ポリエステルを鞘成分とし、芯成分と鞘成分の重量比を8:2とした複合連続フィラメントを単糸繊度2dで溶融紡出し、空気圧により開繊した後、移動するネット上に堆積させ、1対の加熱エンボスロールを使用し、表面温度200℃、線圧それぞれ50、60、70Kg/cmで圧着し、目付270 g/m2 、厚さ0.6mmの不織布を得た。これら不織布の見掛密度は0.45であり、不織布の一方の面の表面粗さ指数は、それぞれ0.04、0.06、0.08であった。
【0022】
初期性能は表面粗さ指数の小さいものの方が良好であったが、寿命性能は同等であり、いずれの水準も、初期性能、寿命性能共に満足のできるものであった。結果を表1に示す。
【0023】
比較例1、2
融点が260℃のポリエチレンテレフタレ−トを芯成分とし、融点が230℃のイソフタル酸共重合ポリエステルを鞘成分とし、芯成分と鞘成分の重量比を8:2とした複合連続フィラメントを単糸繊度2dで溶融紡出し、空気圧により開繊した後、移動するネット上に堆積させ、1対の加熱エンボスロールを使用し、表面温度それぞれ210、220℃、線圧70Kg/cmで圧着し、目付270 g/m2 、厚さ0.6mmの不織布を得た。これら不織布の見掛密度は0.45であり、不織布の一方の面の表面粗さ指数は、それぞれ0.11、0.14であった。
初期性能は、非常に悪く、表面粗さ指数0.14のものは、測定時間中では初期洩れが止まらなかった。結果を表1に示す。
【0024】
比較例3
融点が260℃のポリエチレンテレフタレ−トを芯成分とし、融点が230℃のイソフタル酸共重合ポリエステルを鞘成分とし、芯成分と鞘成分の重量比を8:2とした複合連続フィラメントを単糸繊度2dで溶融紡出し、空気圧により開繊した後、移動するネット上に堆積させ、1対の加熱エンボスロールを使用し、表面温度200℃、線圧70Kg/cmで圧着し、目付270 g/m2 の不織布を得た。得られた不織布を表面平滑な1対のカレンダーロールで、厚さ0.5mmとなるよう圧着した。この不織布の見掛密度は0.54であり、不織布の一方の面の表面粗さ指数は、0.04であった。
【0025】
初期性能は問題ないが、圧損上昇が急激であり、寿命性能が短く、液体フィルターとして、十分なものではなかった。結果を表1に示した。
【0026】
【表1】
Figure 0003653863
【0027】
【発明の効果】
本発明の液体フィルター用不織布は、たとえば、放電加工機用フィルター等において、フィルター交換直後に発生する濾過性能の低い状態(初期洩れ)を大幅に改善でき、かつ、高寿命の液体フィルターを提供することができる。

Claims (2)

  1. 鞘成分が芯成分に対し20℃以上低い融点を有する共重合ポリエステルからなり、かつ該鞘成分が5〜30重量%を占めるポリエステル系芯鞘型複合フィラメントからなる部分的に圧着された不織布であって、該不織布の見掛密度が0.5g/cm 未満であり、かつ、少なくとも一方の面の、JIS−B0601に準じて測定される該圧着部のくぼみの平均深さから求められる表面粗さ指数が0.1以下であることを特徴とする液体フィルター用不織布。
  2. 請求項1に記載の液体フィルター用不織布を、液体濾過装置のフィルター部材として構成したことを特徴とする液体濾過装置。
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