JP3641349B2 - 洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウエハ等の被洗浄物の表面に当接してこれを洗浄する洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリッシング装置によって表面研磨をしたり化学処理をしたりした後の半導体ウエハ等の被洗浄物は、その表面が汚染されているので、これを清浄に洗浄するため、スクラブ洗浄装置が使用されている。
【0003】
ここでスクラブ洗浄装置とは、回転する被洗浄物に、回転するスポンジ等からなる洗浄部材を押し付けることで被洗浄物の表面をこすって清浄にする洗浄装置であり、洗浄部材として円柱型のものとペンシル型のものとがある。
【0004】
ところで従来のスクラブ洗浄装置においては、スポンジ等の洗浄部材を被洗浄物に押し付ける力を一定にするため、洗浄部材を被洗浄物に押し付けた際に、洗浄部材を取り付けているアームなどの部材と、被洗浄物の間の距離が一定になるように管理していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記方法で洗浄部材の被洗浄物への押し付け力を管理すると、経時変化によって洗浄部材であるスポンジ等にヘタりや摩耗が生じた場合、初期のスポンジ押し付け力よりもその押し付け力が変化してしまい、該押し付け力を常に一定に管理することができないという問題点があった。
【0006】
上記問題点を解決するため、洗浄部材を取り付けているアームなどの部材に荷重計を取り付け、該荷重計の出力をモニターしてその出力が一定になるように前記洗浄部材の押し付け力を管理する方法も考えられる。
【0007】
しかしながらこの方法ではその構造が複雑になり、しかも微妙な荷重の変化に対応しにくい。
【0008】
また例えば洗浄部材と洗浄部材を回転駆動する駆動モータの間や、洗浄部材及び駆動モータ全体とこれら洗浄部材及び駆動モータ全体を上下動させる上下駆動機構との間等に、スプリングやエアシリンダやバランスウェイトを介在せしめることによって、洗浄部材の被洗浄物への押し付け力を一定に管理する機構もある。
【0009】
しかしながら従来のこの種のスプリングやエアシリンダやバランスウェイトだけを用いた機構の場合、摩擦やブレが生じ、荷重の微妙な変化に滑らかに対応してその荷重を常に一定に保つには不十分であるという問題点があった。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、経時変化によってスポンジ等の洗浄部材にヘタりや摩耗が生じても洗浄部材の被洗浄物への押し付け荷重を常に一定に保つことができ、しかも微妙な押し付け荷重の変化にも即座に滑らかに対応することができる洗浄装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明は、半導体ウエハなどの被洗浄物の表面に当接してこれを洗浄する洗浄部材と、前記洗浄部材を回転駆動する駆動モータとを具備する洗浄装置において、前記駆動モータのモータシャフトと一体に回転するハウジングブッシュと、前記洗浄部材に一体に固定されたシャフトピンとを具備し、前記ハウジングブッシュの中央に貫通孔を設けるとともに、その下面の貫通孔の周囲にリング溝を設け、一方前記シャフトピンには前記ハウジングブッシュの貫通孔に挿入されるシャフトとシャフトの外方に張り出す板部とを設け、板部の上面の前記リング溝に対向する位置にリング状突起を設け、前記シャフトピンのリング状突起を前記ハウジングブッシュのリング溝内に挿入するとともに、前記ハウジングブッシュの貫通孔内に挿入したシャフトピンのシャフトを上下動自在に支持することでシャフトピンに固定した前記洗浄部材を被洗浄物の表面に対して離間可能な方向にスライド自在に支持するリニアブッシュなどの直動案内機構を設置し、さらに前記ハウジングブッシュとシャフトピン間を弾発して前記洗浄部材の被洗浄物への押付力を調節するコイルスプリングを設置することとした。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は本発明を適用した第一実施形態にかかるペンシル型スクラブ洗浄装置の側断面図である。同図に示すペンシル型スクラブ洗浄装置は、洗浄部材支持部としてのケーシング1(1−1,1−2,1−3)の下端から突出する洗浄部材105を、ケーシング1内に収納した駆動モータ50によって回転駆動するように構成されている。
【0013】
駆動モータ50にはモータシャフト53が連結されており、モータシャフト53はキー55を介して部材57に連結されている。部材57はネジ73によってその下のハウジングブッシュ61に固定されている。なお駆動モータ50としては発塵防止モータを使用することが好ましい。
【0014】
ここで図2はハウジングブッシュ61を示す図であり、同図(a)は側断面図(同図(b)のA−A断面図)、同図(b)は裏面図である。
【0015】
同図に示すようにハウジングブッシュ61はその中央に貫通孔63を設け、またその下面の貫通孔63の周囲にリング溝65を設け、さらにその周囲に2つのバネ挿入穴67と、2つの係止穴69と、4つの溝70内にそれぞれ設けた固定孔71とを設けて構成されている。なお貫通孔63の内部上下には、下記する止め金77,79を嵌合して固定するための円周溝64,64が設けられている。
【0016】
そして図1に示すハウジングブッシュ61は、4つの固定孔71に挿入したネジ73を、部材57に設けたネジ穴59に螺合することで固定されている。つまりモータシャフト53と部材57とハウジングブッシュ61は一体に回転する。
【0017】
次にハウジングブッシュ61の貫通孔63内には、シャフトピン83のシャフトを支持するための直動案内手段としてリニアブッシュ75が止め金77,79によって固定される。
【0018】
一方図1に示すシャフトピン83は、該シャフトピン83の下端に設けたネジ部93をスポンジケーシング101に螺合することによってスポンジケーシング101に一体に固定されている。
【0019】
シャフトピン83には外方に張り出す板部95が設けられており、その上面の前記リング溝65に対向する位置にはリング状突起91が設けられ、また前記2つの係止穴69に対向する位置にはピン94が取り付けられている。スポンジケーシング101の下端には、洗浄部材として、例えばポリビニルホルマール(PVF)の多孔質材で作られたスポンジ105が取り付けられている。
【0020】
そしてバネ挿入穴67内にコイルスプリング81を挿入した状態で、スポンジケーシング101と一体にされたシャフトピン83を、ハウジングブッシュ61の下側に取り付けるが、そのときリニアブッシュ75内に挿入したシャフトピン83の上端を上側の止め金77の上に突出し、該上端にワッシャ87をネジ89で固定する。これによってシャフトピン83が鉛直下方へ抜けるのを防止できる。
【0021】
なおスポンジ105の洗浄能力が落ちて来て交換が必要になったら、ケーシング1−3を取り外し、スポンジケーシング101とスポンジ105を一体にシャフトピン83からネジ部93を緩めて取り外し、新品のものと交換すればよい。
【0022】
一方、シャフトピン83のリング状突起91はハウジングブッシュ61のリング溝65内に挿入され、またピン94は係止穴69内に挿入される。
【0023】
つまりシャフトピン83は、リニアブッシュ75によって上下動自在に支持されると同時に、コイルスプリング81によって下方向に弾発された状態となっている。なお図1では説明の都合上、ワッシャ87と止め金77の間に隙間が設けられているが、実際は無負荷(半導体ウエハWに押圧されていない)状態では両者は当接している。
【0024】
なおケーシング1−2,1−3には、このペンシル型スクラブ洗浄装置全体を揺動したり上下動させるための旋回アーム110が取り付けられている。またケーシング1−3には配管111の一端が接続されており、該配管111の他端には図示しない真空ポンプが取り付けられている。
【0025】
そして駆動モータ50を駆動すると、モータシャフト53と部材57とハウジングブッシュ61が一体に回転し、ハウジングブッシュ61の回転力はさらにピン94を介してシャフトピン83に伝えられ、シャフトピン83とスポンジケーシング101とスポンジ105が一体に回転駆動される。
【0026】
なおこのとき同時に配管111に接続された真空ポンプを駆動することでケーシング1内の空間を外気圧に対して負圧にしておく。
【0027】
そしてこの状態で回転する半導体ウエハWにスポンジ105を押し付け、旋回アーム110でスポンジ105の押し付け位置を半導体ウエハWの少なくとも中心から半径方向に移動すれば、半導体ウエハW全体が洗浄される。
【0028】
ところでシャフトピン83は前述のように上下動自在で且つコイルスプリング81によって下方向に弾発された状態となっているので、半導体ウエハWにスポンジ105を当接して押し付けた際、その押し付け力が強いと、シャフトピン83はその分上昇する。
【0029】
そしてスポンジ105がその経時変化でヘタりや摩耗が生じた場合であっても、その分シャフトピン83が上昇又は下降することによって、初期のスポンジ105の押し付け力に対する経時変化後のスポンジ105の押し付け力の変動幅を極力小さく維持できる。
【0030】
しかも本発明の場合、洗浄部材105側に固定されているシャフトピン83と、駆動モータ50側に固定されているハウジングブッシュ61との間に、ハウジングブッシュ61に対してシャフトピン83が回転軸方向(上下方向)にスライド自在となるようにリニアブッシュ75を取り付けたので、駆動モータ50側の各部材に対して洗浄部材105側の各部材が正確且つスムーズに回転軸方向にスライド移動できる。従ってスポンジ105の半導体ウエハWへの押し付け荷重を常に一定に保つことができ、しかも微妙な押し付け荷重の変化にも即座に滑らかに対応することができる。
【0031】
ところでハウジングブッシュ61内のコイルスプリング81は、その表面がフッ素樹脂などの合成樹脂によってコーティングされており、これによってコイルスプリング81を構成する金属が流出して洗浄中の半導体ウエハWを汚染することを防止し、同時にコイルスプリング81自体の腐食を防止している。
【0032】
また前述のように本発明においては、ケーシング1内を外気に対して負圧としているので、ケーシング1内で発生する恐れのある各種汚染物質が、ケーシング1の外部に漏れ出す恐れはなく、この点からも洗浄中の半導体ウエハWの汚染が防止できる。
【0033】
また本実施形態においては、リング状突起91がリング溝65内に挿入されているので、洗浄中の半導体ウエハWに供給される純水や薬液等の洗浄液が、リニアブッシュ75の部分に流入することを防止でき、その腐食を防止することができる。
【0034】
〔第一参考例〕
図3は第一参考例にかかるペンシル型スクラブ洗浄装置を示す側断面図である。なお前記図1に示す第一実施形態と同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0035】
このペンシル型スクラブ洗浄装置において、図1に示す第一実施形態と相違する点は、図1に示すコイルスプリング81を省略し、その代りにシャフトピン83の板部95の下面に略円柱状の錘120を取り付けた点のみである。
【0036】
即ちこの錘120はその中央孔121にシャフトピン83の下面中央から突出する軸部96を貫通して止め輪97を取り付けることで固定される。そして軸部96の下端に設けたネジ部93にスポンジ105を固定したスポンジケーシング101を螺合して固定する。
【0037】
なお錘120は、例えば鉄や鉛等の金属の表面に樹脂加工を施すことによって構成されている。
【0038】
この参考例の場合、シャフトピン83は上下動自在で且つ錘120によって常に下方向に所定の荷重が負荷された状態となっているので、この装置全体を下降してスポンジ105を半導体ウエハWに当接した際、その下降量が大きくても、シャフトピン83はその分上昇することによって常に一定の荷重が半導体ウエハWに負荷される。
【0039】
従って第一実施形態と同様に、スポンジ105がその経時変化でヘタりや摩耗が生じた場合であっても、初期のスポンジ105の押し付け力に対する経時変化後のスポンジ105の押し付け力の変動幅を極力小さく維持できる。またリニアブッシュ75によって駆動モータ50側の各部材に対して洗浄部材105側の各部材が正確且つスムーズに抵抗なく回転軸方向(上下方向)に直線状にスライド移動できるので、スポンジ105の半導体ウエハWへの押し付け荷重を常に一定に保つことができ、しかも微妙な押し付け荷重の変化にも即座に滑らかに対応することができる。
【0040】
〔第二参考例〕
図4は第二参考例にかかるペンシル型スクラブ洗浄装置を示す側断面図である。なお前記図1に示す第一実施形態と同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0041】
このペンシル型スクラブ洗浄装置において、図1に示す第一実施形態と相違する点は、図1に示すコイルスプリング81を省略し、その代りにスポンジケーシング101内に錘130を埋め込んだ点のみである。
【0042】
即ちこの錘130はスポンジケーシング101内に固定されており、該錘130に対してシャフトピン83に設けたネジ部93を螺合する。錘130は例えば鉄や鉛等の金属の表面に樹脂加工を施すことによって構成される。
【0043】
なおこの参考例のように錘130をスポンジケーシング101と別部材として設ける代わりに、スポンジケーシング101自体を適当な重さのものとすることによって、スポンジケーシング101の自重で半導体ウエハWを押圧するようにすることもできる。
【0044】
この参考例の場合も、前記第一参考例の場合と同様に半導体ウエハWには常に一定の荷重が負荷される。
【0045】
以上本発明の実施形態を説明したが本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
▲1▼被洗浄物は半導体ウエハに限定されず、例えば液晶板など、他のものであっても良い。
【0046】
▲2▼上記実施形態では洗浄部材としてスポンジを用いたが、洗浄部材にはクロス,発泡ポリウレタン,ポリエステル,ブラシなど他の種々の材質のものが適用できる。特に本発明の場合は洗浄部材の被洗浄物への押し付け力を一定にできるので、必ずしもスポンジのように押し付け力を緩衝する部材を介在させる必要はなく、洗浄部材の材料として弾性が余り無く、比較的硬質の材料、例えばクロス部材のみを直接使用できる。
【0047】
▲3▼上記各実施形態では駆動モータ50をスポンジ105等の真上に配置したが、駆動モータ50を別の場所(例えばアーム110の他端側)に設置して該駆動モータ50の駆動力をタイミングベルト等によってスポンジ105に伝達するように構成しても良い。要は駆動モータ50はスポンジ105に対して駆動力を伝達することができるように取り付ければ良い。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば以下のような優れた効果を有する。
▲1▼経時変化によってスポンジ等の洗浄部材にヘタりや摩耗が生じても、洗浄部材の被洗浄物への押し付け力は変化しない。
【0049】
(2)弾発手段を取り付けることによって構成できるので、その構造が簡単で、別途エアシリンダやバランスウェイト等のような大型の装置を設けなくても良く、装置の小型化が図れる。
【0050】
(3)洗浄部材と駆動モータの間に弾発手段を取り付けているので、弾発手段は洗浄部材及びこれに付帯する部材に対してのみ荷重を付加すれば良く、従って小型の弾発手段で済むばかりか、より洗浄部材の微妙な変化に対応でき、その押し付け荷重を一定にできる。
【0051】
▲4▼洗浄部材と駆動モータの間に、駆動モータに対して洗浄部材が回転軸方向にスライド自在となるようにリニアブッシュを取り付けたので、駆動モータ側の各部材に対して洗浄部材側の各部材が正確且つスムーズに抵抗なく回転軸方向に直線状にスライド移動でき、従ってこの点からも洗浄部材の被洗浄物への押し付け荷重を常に一定に保つことができ、しかも微妙な押し付け荷重の変化にも即座に滑らかに対応することができる。
【0052】
▲5▼ケーシング内の空間を外気圧に対して負圧としたので、ケーシング内で発生する恐れのある各種汚染物質がケーシングの外部に漏れ出す恐れはなく、洗浄中の被洗浄物を汚染する恐れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態にかかるペンシル型スクラブ洗浄装置の側断面図である。
【図2】ハウジングブッシュ61を示す図であり、図2(a)は側断面図(図2(b)のA−A断面図)、図2(b)は裏面図である。
【図3】 第一参考例にかかるペンシル型スクラブ洗浄装置を示す側断面図である。
【図4】 第二参考例にかかるペンシル型スクラブ洗浄装置を示す側断面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ(被洗浄物)
1(1−1,1−2,1−3) ケーシング
50 駆動モータ
75 リニアブッシュ(直動案内機構)
81 コイルスプリング(押付力調節手段)
105 スポンジ(洗浄部材)
120 錘(押付力調節手段)
130 錘(押付力調節手段)
Claims (3)
- 被洗浄物の表面に当接してこれを洗浄する洗浄部材と、前記洗浄部材を回転駆動する駆動モータとを具備する洗浄装置において、
前記駆動モータのモータシャフトと一体に回転するハウジングブッシュと、前記洗浄部材に一体に固定されたシャフトピンとを具備し、
前記ハウジングブッシュの中央に貫通孔を設けるとともに、その下面の貫通孔の周囲にリング溝を設け、
一方前記シャフトピンには前記ハウジングブッシュの貫通孔に挿入されるシャフトとシャフトの外方に張り出す板部とを設け、板部の上面の前記リング溝に対向する位置にリング状突起を設け、
前記シャフトピンのリング状突起を前記ハウジングブッシュのリング溝内に挿入するとともに、
前記ハウジングブッシュの貫通孔内に挿入したシャフトピンのシャフトを上下動自在に支持することでシャフトピンに固定した前記洗浄部材を被洗浄物の表面に対して離間可能な方向にスライド自在に支持する直動案内機構を設置し、
さらに前記ハウジングブッシュとシャフトピン間を弾発して前記洗浄部材の被洗浄物への押付力を調節するコイルスプリングを設置したことを特徴とする洗浄装置。 - 前記直動案内機構と前記駆動モータを同一ケーシング内に収納したことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
- 前記ケーシング内の空間を外気圧に対して負圧としたことを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
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1998
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