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JP3518461B2 - 発電方法および電池 - Google Patents

発電方法および電池

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JP3518461B2
JP3518461B2 JP2000011428A JP2000011428A JP3518461B2 JP 3518461 B2 JP3518461 B2 JP 3518461B2 JP 2000011428 A JP2000011428 A JP 2000011428A JP 2000011428 A JP2000011428 A JP 2000011428A JP 3518461 B2 JP3518461 B2 JP 3518461B2
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sugar
negative electrode
battery
test
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正 外邨
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Panasonic Holdings Corp
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Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多糖類、二糖類、
単糖類などの糖の電気化学的な酸化反応を用いた発電方
法および電池に関する。
【0002】
【従来の技術】糖は、たんぱく質、脂質と並び動物の重
要なエネルギー源である。例えば、代表的な糖であり、
化学式C6126で表されるグルコースを完全に酸化す
ると、グルコース1分子当たり24個の電子を放出し
て、炭酸ガスと水が生成する。動物の体内では、この2
4個の電子がエネルギー源として利用されている。熱力
学計算によれば、グルコース1モル当たり2872k
J、1g当たり4.43Whのエネルギーを持ってい
る。これは、高エネルギー密度電池として知られている
リチウム電池の負極に用いられる金属リチウムの重量エ
ネルギー密度3.8Wh/g以上のエネルギー密度であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、糖の持
っている化学エネルギーの利用方法は、空気中での直接
燃焼による熱エネルギーとして、あるいは動物の体内に
ある12種類以上の酸化酵素の作用によりATPなどの
化学エネルギーとして利用する方法しか今のところ見つ
かっていない(Albertsら著Essential
Cell Biology(Garland Pub
lishing、Inc.)(1997年)第107頁
参照)。すなわち、糖の持っている化学エネルギーを直
接電気エネルギーとして有効に利用する方法は存在しな
い。
【0004】本発明は、このような問題を解決し、糖の
持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーとして利用す
る発電方法および電池を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解質を介し
て設けた正極および負極を構成要素とする発電方法であ
って、前記負極において、糖の分子中に存在する少なく
とも1つの炭素−炭素結合(以下、C−C結合と呼ぶ)
を電気化学的に開裂する酸化反応により、前記正極と前
記負極との間に起電力を発生する発電方法であって、前
記酸化反応が、前記糖の水酸基を介した錯体を形成する
過程を有し、前記糖から前記錯体を介して前記負極へ電
子が移動することを特徴とする発電方法を提供する。
【0006】上記糖の酸化反応は、前記糖の水酸基を介
した錯体形成過程を有することが好ましい。
【0007】ここで、糖の水酸基と錯体を形成する成分
を、負極に配置することが好ましい。
【0008】また、上記糖の水酸基と錯体を形成する成
分が、両性水酸化物を形成する金属元素を含むことが好
ましい。
【0009】また、上記金属元素が、Mg、Ti、V、
Ni、Cu、Zn、Zr、Ag、In、Sn、Sbおよ
びPbからなる群より選択される少なくとも1種の金属
元素であることが好ましい。
【0010】また本発明は、電解質を介して設けた正極
および負極を構成要素とする電池であって、前記負極に
おいて、糖の分子中に存在する少なくとも1つのC−C
結合を電気化学的に開裂する酸化反応により、前記正極
と前記負極との間に起電力を発生する電池であって、前
記酸化反応が、前記糖の水酸基を介した錯体を形成する
過程を有し、前記糖から前記錯体を介して前記負極へ電
子が移動することを特徴とする電池を提供する。
【0011】上記正極において、負極における糖の酸化
反応よりも貴な電位で還元反応が起こることが好まし
い。
【0012】また、上記正極が、酸素を還元する酸素極
であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0014】本発明による発電方法は、電解質を介して
設けた正極および負極を構成要素とし、負極において、
糖の分子中に存在する少なくとも1つのC−C結合を電
気化学的に開裂する酸化反応により、正極と負極との間
に起電力を発生する。これにより、C−C結合の形で糖
分子に蓄えられている化学エネルギーを直接電気エネル
ギーとして利用することが可能となる。開裂するC−C
結合の数が多い程、酸化反応に関与する電子数が多くな
り、利用できるエネルギー量が増加するので好ましい。
【0015】ここで用いる糖としては特に限定されない
が、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクト
ース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エ
リトロース、リブロース、キシルロース、セドヘプツロ
ース、リボース、デオキシリボース、ソルボース、グル
コサミンおよびガラクトサミンなどの単糖類や、イソマ
ルトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、ラ
フィノースおよびスクロースなどの二糖類や、オリゴ糖
類や、デンプン、グリコーゲン、セルロース、糖タンパ
ク質、グリコサミノグリカンおよび糖脂質などの多糖類
が挙げられる。この中で、負極における電気化学的な酸
化反応の電流効率が高いという点で、グルコース、マン
ノース、ガラクトース、フルクトースが好ましい。さら
に、電流効率の点でグルコース、マンノース、ガラクト
ースが好ましい。
【0016】上記の糖の酸化反応は、糖の水酸基を介し
た錯体形成過程を有することが好ましい。この過程によ
り、糖の水酸基と錯体を形成する成分と、糖の水酸基と
の間で一次的な化学結合が生じ、この化学結合を通じて
糖から上記錯体形成成分への電子の移動が起こる。これ
に協奏する形でC−C結合間の結合が弱まり、ついには
開裂する。このように、糖のC−C結合を形成する炭素
原子に結合した水酸基を介した錯体を形成する過程を経
ることにより、C−C結合を有効に弱めることができる
ので、より低い活性化エネルギーで糖のC−C結合を電
気化学的に酸化開裂することが可能となる。従って、負
極における糖の酸化電位が卑に移行するので、得られる
起電力が大きくなる。
【0017】なおここで、「錯体」とは、化学反応の反
応系から生成系に至る経路中において反応物質間で形成
される複合体のことである。この複合体には、通常の化
学反応で高エネルギー準位に位置する活性複合体に加え
て、1種あるいは複数種の配位子が1種あるいは複数種
の中心イオンに配位結合することにより形成する単核錯
体あるいは複核錯体が含まれる。
【0018】ここで、上記の錯体形成の起こる場所は、
負極/電解質界面であっても、電解質中であってもよ
い。電解質中で錯体形成が起こる場合は、錯体と接触す
る集電材料を電解質中に設けることにより、錯体から集
電材料を介して電子を取り出すことができる。
【0019】ここで、糖の水酸基と錯体を形成する成分
を、負極に配置していることが好ましい。これにより、
図1に示すように、負極11/電解質界面において、糖
12の水酸基が負極11側に向いた状態で、負極11に
配置された成分と糖12との錯体13が高密度に形成さ
れ、糖12から錯体13を介して負極11、外部回路へ
電子が移動することにより、糖12のC−C結合が開裂
し、糖12が炭素数の少ないシュウ酸、ギ酸、CO2
どに酸化される。よって、反応に関与する糖12の負極
11/電解質界面における濃度が高くなるとともに、糖
12から錯体13を介して負極11への電子移動が容易
になるため、大きい酸化電流密度を得ることができる。
【0020】上記成分としては、カチオン性部位を含む
成分である、両性水酸化物を形成する金属のカチオン
や、両性水酸化物を形成する金属元素を含む金属単体、
合金、酸化物、水酸化物、塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、硫化物、フッ化物、塩化物およびヨウ化物や、鉄‐
ポルフィリン、亜鉛‐ポルフィリンなどのポルフィリン
類が挙げられる。この中では、両性水酸化物を形成する
金属のカチオン、両性水酸化物を形成する金属元素を含
む金属単体、合金、酸化物、水酸化物、塩基性炭酸塩、
硫酸塩、硝酸塩、硫化物、フッ化物、塩化物およびヨウ
化物が好ましい。両性水酸化物を形成する金属元素は水
酸基との親和性が高いので、このようにすると、糖の酸
化反応の活性化エネルギーが低下し、糖の酸化電位をよ
り卑に移行させることができるので、さらに高い起電力
を得ることができる。さらに、上記成分が両性水酸化物
を形成する金属元素を含む金属単体、合金、酸化物、水
酸化物または塩基性炭酸塩であることが好ましい。
【0021】ここで、上記金属元素は、両性水酸化物の
形成能の点で、Mg、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Z
r、Ag、In、Sn、SbおよびPbからなる群より
選択される少なくとも1種の金属元素であることが好ま
しい。この中では、Pbがさらに好ましい。
【0022】上記成分は、1種のみ、または2種以上を
組み合わせて用いてもよい。また、水酸基の水素原子を
介して水素結合を形成する機能性基を有する、グリシ
ン、アラニンなどのアミノ酸類、テトラメチルアンモニ
ウム、テトラブチルアンモニウムなどのアルキルアンモ
ニウム類、4−エチルピリジニウム、2−ブチルピリジ
ニウムなどのアルキルピリジニウム類、アミルアルコー
ル、グリセリンなどのアルコール類、ジチオビスアルキ
ルアミン、チオシアヌル酸、ビスムチオールなどのチオ
ール類や、少なくとも1級アミノ基、2級アミノ基、3
級アミノ基、4級アミノ基、アンモニウム基、ピリジニ
ウム基、アルコール基またはチオール基を有する化合物
を、上記成分と組み合わせて用いてもよい。
【0023】上記のPbを含む成分として、具体的に
は、金属鉛や、Pb−Sn、Pb−In、Pb−Mg、
Pb−Ag、Pb−Sb、Pb−Sb−Snなどの鉛合
金や、PbO、PbO2、Pb34、PbCO3、Pb
(OH)2、(PbCO32・Pb(OH)2、PbSO
4、PbS、PbF2、PbCl2、PbI2、Pb(NO
32、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Ti、Zr)
3などの化合物が挙げられる。
【0024】これらの化合物のうち、PbO、Pb
2、Pb34などの酸化鉛、Pb(OH)2などの水酸
化鉛、(PbCO32・Pb(OH)2などの塩基性炭
酸鉛、あるいはこれらの混合物を用いると、糖の酸化反
応を、Hg/HgO標準電極に対しマイナス0.6V以
下のマイナス領域の電位で起こすことができるため、起
電力の高い電池を得ることができるので特に好ましい。
【0025】PbO、PbO2、Pb34などの酸化
鉛、Pb(OH)2などの水酸化鉛、(PbCO32
Pb(OH)2などの塩基性炭酸鉛、あるいはこれらの
混合物を導電性基体に配置した電極は、鉛あるいは鉛合
金をアルカリ性電解液中で電解することで簡便に作製す
ることができる。鉛あるいは鉛合金を作用電極として、
白金などを対極として、作用電極の電位をHg/HgO
標準電極に対し、マイナス1.2Vからプラス0.8V
の間の適当な電位領域で電解を行う。電位をプラス0.
8Vに近いプラス領域で電解するとPbO2、Pb34
に富んだ鉛化合物を配置することができる。炭酸ガスの
存在下で電位をマイナス1.2Vからゼロボルトのマイ
ナス領域で電解すると塩基性炭酸塩に富んだ鉛化合物を
配置することができる。また、電解液中に、アイオダイ
ド、フルオライド、クロライド、サルフェイトイオンを
共存させることで、PbF2、PbCl2、PbI2、P
bSO4を含む鉛化合物を配置することができる。
【0026】鉛化合物の配置の方法は、以上に述べたア
ルカリ電解液中での電解方法に限らず、鉛化合物を溶解
した溶液に導電性基体を浸漬したのち、溶液を含んだ導
電性基体を乾燥し溶媒を散逸することで作製することが
できる。また、こうして調製した電極を酸化性雰囲気で
焼成してもよい。さらには、鉛化合物を化学蒸着法(C
VD)、物理蒸着法(PVD)、スパッタリング、イオ
ンプレーティング法等により導電性基体に配置してもよ
い。
【0027】上記の導電性基体としては、金、白金、
錫、銅、銀、鉛、鉄、これらの合金、ステンレス鋼など
の金属材料、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセ
チレンなどの導電性高分子、ITO(インジウム−錫酸
化物)などの導電性金属酸化物、人造黒鉛、天然黒鉛な
どの炭素材料を用いることができる。なかでも、鉛、鉛
合金は、電解により容易に鉛化合物を配置することがで
きるので好ましい。基体の一部が電解により鉛化合物に
変化することにより鉛化合物を配置するので、鉛化合物
を化学結合により強固に基体に配置することができる。
また、配置する鉛化合物の組成を、電解電位、電解液組
成により自由に変えることができる利点がある。
【0028】また、本発明による電池は、電解質を介し
て設けた正極および負極を構成要素とする電池であっ
て、負極において、糖の分子中に存在する少なくとも1
つのC−C結合を電気化学的に開裂する酸化反応によ
り、正極と負極との間に起電力を発生する。
【0029】ここで、正極の反応は、負極における糖の
酸化反応よりも貴な電位で起こる還元反応であって、糖
分子から取り出された電子が、外部負荷を経て、正極に
電気化学的に受け入れられる還元反応であればよい。
【0030】上記の正極の反応としては、水あるいは酸
素の還元反応、NiOOH、MnOOH、Pb(OH)
2、PbO、MnO2、Ag2O、LiCoO2、LiMn
24、LiNiO2などの水酸化物あるいは酸化物の還
元反応、TiS2、MoS2、FeS、Ag2Sなどの硫
化物の還元反応、AgI、PbI2、CuCl2などの金
属ハロゲン化物の還元反応、キノン類、有機ジスルフィ
ド化合物などの有機硫黄化合物類の還元反応、ポリアニ
リン、ポリチオフェンなど導電性高分子類の還元反応な
どを用いることができる。
【0031】この中で、正極が、酸素を還元する酸素極
であることが好ましい。このようにすると、正極活物質
として酸素を含む気体を用いることができるので、電池
内に正極活物質を保持することが不要となるため、高い
エネルギー密度を有する電池を構成することができる。
【0032】上記酸素極としては、酸素還元能のある物
質であれば用いることができる。このような物質として
は、活性炭、Mn23などのマンガン低級酸化物、白
金、パラジウム、酸化イリジウム、白金アンミン錯体、
コバルトフェニレンジアミン錯体、金属ポルフィリン
(金属:コバルト、マンガン、亜鉛、マグネシウムな
ど)、La(Ca)CoO3やLa(Sr)MnO3など
のペロブスカイト酸化物などが挙げられる。
【0033】電解質としては、アニオンまたは/および
カチオンを正極から負極へ、または/および負極から正
極へ移動させ、正極および負極での酸化・還元反応を連
続的に進行させることができるものであれば、有機物
質、無機物質、液体、固体を問わず用いることができ
る。これらの電解質としては、水にZnCl2、NH4
l等の金属塩、KOH、NaOH等のアルカリ、H3
4、H2SO4等の酸を溶解したものや、プロピレンカ
ーボネートとエチレンカーボネートの混合有機溶媒にL
iBF4、LiPF6等の金属塩を溶解したものや、スル
ホン酸基、アミド基、アンモニウム基、ピリジニウム基
等を有するフッ素樹脂等の高分子材料よりなるイオン交
換膜や、LiBF4、LiCl4、(C494NBF4
を溶解したポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオ
キサイド等の高分子電解質を用いることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を、実施例によって具体的に説
明する。
【0035】(実施例1)実施例1では、糖の水酸基と
錯体を形成する成分としてPbを含む成分を配置した試
験電極を作製し、糖の電解酸化特性を評価するととも
に、その試験電極を負極として電池を構成し、発電を行
った。
【0036】(試験電極の作製)導電性基体として、錫
を61.9重量百分率(wt%)含有する厚さ50μm
のPb−Sn合金箔を用い、1×0.5cmの大きさに
切断しニッケルリード線を接合したのち、接合部ならび
にニッケルリードをエポキシ樹脂で被覆した。得られた
試験片を図2に示すセル中において、3.1%KOH水
溶液中でHg/HgO標準電極25に対しマイナス1.
2Vから0Vの範囲で20mV/秒の電位掃引速度で電
位を変化させて電解して試験電極Aを作製した。電位
は、マイナス1.2Vから0Vに向かって増加し、0V
に達するとマイナス1.2Vに向かって減少する変化を
1サイクルとして、5サイクル電解を行った。金属光沢
をした試験片から、白色の堆積物を表面に配置した試験
電極Aが得られた。この白色の堆積物は、X線光電子分
光分析法(以下、XPSと略称する)により、塩基性炭
酸鉛および錫酸塩を含む鉛化合物であることを確認し
た。
【0037】図2に示したセルは、ガラス容器21、ゴ
ム栓22、試験電極または試験片からなる作用極(負
極)23、白金対極24、Hg/HgO標準電極25、
電解液26、正極27から構成されている。
【0038】次に、試験片の電位掃引範囲を、マイナス
1.2Vからプラス0.8Vまでとした以外は、試験電
極Aと同様にして試験電極Bを作製した。金属光沢をし
た試験片から、暗褐色の堆積物を表面に配置した試験電
極Bが得られた。この堆積物は、XPSにより、PbO
および錫酸塩を含む鉛化合物であることを確認した。
【0039】次に、アンチモンを13wt%含有する厚
さ100μmのPb−Sb合金箔を用いた以外は試験電
極Aと同様にして試験電極Cを作製した。金属光沢をし
た試験片から、白色の堆積物を表面に配置した試験電極
Cが得られた。この白色の堆積物は、XPSにより、塩
基性炭酸鉛、酸化アンチモンを含む鉛化合物であること
を確認した。
【0040】次に、アンチモンを13wt%含有する厚
さ100μmのPb−Sb合金箔を用いた以外は試験電
極Bと同様にして試験電極Dを作製した。金属光沢をし
た試験片から、暗褐色の堆積物を表面に配置した試験電
極Dが得られた。この白色の堆積物は、XPSにより、
PbO、酸化アンチモンを含む鉛化合物であることを確
認した。
【0041】次に、純度99.9%、厚さ500μmの
鉛箔、電解液に6.2%KOHアルカリ水溶液を用いた
以外は試験電極Aと同様にして試験電極Eを作製した。
金属光沢をした試験片から、白色の堆積物を表面に配置
した試験電極Eが得られた。この白色の堆積物は、XP
Sにより、塩基性炭酸鉛を含む鉛化合物であることを確
認した。
【0042】次に、純度99.9%、厚さ500μmの
鉛箔、電解液に6.2%KOHアルカリ水溶液を用いた
以外は、試験電極Bと同様にして試験電極Fを作製し
た。金属光沢をした試験片から、暗褐色の堆積物を表面
に配置した試験電極Fが得られた。この白色の堆積物
は、XPSにより、PbOを含む鉛化合物であることを
確認した。
【0043】次に、化学蒸着装置を用いて、一つのモリ
ブデンボートに蒸発源としてジ−イソ−プロポキシ鉛
(Pb(O−i−C372)、もう一つのモリブデン
ボートにもう一つの蒸発源としてテトラエトキシ錫
((Sn(OC254)、さらにもう一つのモリブデ
ンボートにさらにもう一つの蒸発源としてテトラエトキ
シチタン(Ti(OC254)を配置した。これら蒸
発源の下流側の反応器中に、Niリード線を接合した大
きさ1×0.5cm、グラファイト繊維を0.5mmの
厚さに加圧成形した導電性基体を配置し、400℃に加
熱した。アルゴンガスを蒸発源の上流から下流に向かっ
て流しながら蒸発源を加熱し、導電性基体表面に鉛アル
コキサイド、錫アルコキサイド、チタンアルコキサイド
の熱分解物を5分間堆積させた。蒸発源を冷却した後、
酸素を1vol%含むアルゴンガスを60分間流すこと
で、酸化鉛、酸化錫、酸化チタンを含む鉛化合物を導電
性基体表面に配置した試験電極Gを作製した。
【0044】次に、Niリード線を接合した大きさ1×
0.5cm、厚さ100μmのNi箔をアルゴンガスで
置換した反応器に配置した後、赤外ランプで600℃に
加熱した。ジ-イソ-プロポキシ鉛0.05mol/l、
テトラエトキシチタン0.05mol/lを溶解したエ
タノール溶液を、加熱したNi箔に10分間噴霧したの
ち、酸素を1vol%含むアルゴンガスを反応器に供給
した。酸素ガスを1vol%含むアルゴンガス中にNi
箔を60分間放置することで、Ni箔表面に酸化鉛、酸
化チタンを含む鉛化合物を配置した試験電極Hを得た。
【0045】(試験電極の糖酸化特性評価)図2に示し
たセルを用いて、電解液26として、0.62%KOH
アルカリ水溶液、またはグルコースを0.02mol/
l溶解した0.62%KOHアルカリ水溶液を用い、試
験電極Bを作用極23として、白金対極24、Hg/H
gO標準電極25を用いて電解を行った。室温下、電解
液26を静置した状態で、作用極23の電位を、マイナ
ス1.2Vからプラス0.8Vに向かって増加し、プラ
ス0.8Vに達するとマイナス1.2Vに向かって減少
する変化を1サイクルとして、20サイクル電解を行っ
た。20サイクル目の電流‐電位特性を図3に示す。
【0046】グルコースを含む電解液中では、グルコー
スを含まない電解液中に比べて、鉛合金の溶解に伴うマ
イナス0.4V付近の酸化電流が小さくなり、鉛合金の
溶解が抑制された。また、グルコースの酸化による酸化
電流ピークが、マイナス1.0V、マイナス0.8V、
マイナス0.6V付近に現れた。電解後、グルコースを
含む電解液を液体クロマトグラフィーを用いて分析した
ところ、グルコースの酸化生成物である、グルコン酸、
シュウ酸、ギ酸が検出された。同様の特性評価を、試験
電極A、試験電極C〜Hについて行ったところ、試験電
極Bの場合と同様に糖の酸化を示す結果が得られた。ま
た、グルコースに代えて、単糖類であるガラクトース、
マンノース、ソルボース、フルクトース、二糖類である
マルトース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、
多糖類であるデンプンを用いて試験電極A〜Hについて
特性評価を行ったところ、グルコースの場合と同様に糖
の酸化を示す結果が得られた。よって、本実施例の試験
電極を用いた糖の電気化学的な酸化を確認することがで
きた。
【0047】図4は、グルコースを0.02mol/l
溶解した0.62%KOH水溶液中での、本実施例の試
験電極Bの酸化還元電流-電位応答と、活性炭とマンガ
ン低級酸化物により構成した酸素極の酸化還元電流-電
位応答である。酸素極は、プラス0.1V付近からマイ
ナス方向の電位領域で酸素の還元による還元電流を与え
た。本実施例の試験電極Bはマイナス1Vからマイナス
0.4V付近にグルコースの酸化による酸化電流を与え
た。従って、上記の酸素極を正極、本実施例の試験電極
を負極として組み合わせることにより1V〜0.4Vの
起電力の電池を構成することができることがわかった。
【0048】次に、図2に示したセルを用いて、電解液
26として、0.31%KOHアルカリ水溶液、または
グルコースを0.5mol/l溶解した0.31%KO
Hアルカリ水溶液を用い、試験電極Aを作用極23とし
て、白金対極24、Hg/HgO標準電極25を用いて
電解を行った。室温下、電解液26を攪拌しながら、作
用極23に対して酸化方向に2mAの一定電流を120
0秒間通じ、その際の時間‐電位特性を評価した。得ら
れた時間‐電位特性を図5に示す。
【0049】グルコースを含む電解液中では、電解12
00秒後においても作用極23の電位はマイナス 58
0mVの一定値を与え、グルコースが連続的に酸化され
ていることがわかった。一方、グルコースを含まない電
解液中では、電解後300秒付近で、作用極23の電位
は、鉛合金の酸化溶解を示すマイナス610mV付近か
ら、鉛合金の高次酸化物の生成が起こるプラス400m
V付近に移行した。
【0050】同様の特性評価を、試験電極B〜Hについ
て行ったところ、グルコースを含む電解液中では、試験
電極Aの場合と同様に糖の連続酸化を示す結果が得られ
た。電解1200秒後の各電解液中における試験電極の
電位を(表1)に示す。
【0051】
【表1】
【0052】また、単糖類であるガラクトース、マンノ
ース、ソルボース、フルクトース、二糖類であるマルト
ース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、多糖類
であるデンプンを用いて試験電極A〜Hについて特性評
価を行ったところ、グルコースの場合と同様に糖の連続
酸化を示す結果が得られた。導電性基体にPb−Sn、
Pb−Sbなどの鉛合金を用い、Pbを含む成分中に合
金成分が混入している試験電極A〜D、並びにPbを含
む成分中に錫酸化物、チタン酸化物が混入している試験
電極GおよびHは、導電性基体に鉛を用いた試験電極E
およびFに較べ、グルコースを含む電解液中での電解1
200秒後の電位は、よりマイナスの酸化電位を示した
ことから、糖の酸化が合金成分、添加金属元素により促
進されたことがわかる。
【0053】このような糖の電解酸化促進効果を有する
合金成分、添加金属元素としては、実施例で用いた、錫
(Sn)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)の他に
インジウム(In)およびマグネシウム(Mg)が有効
である。
【0054】(電池特性評価)図2に示したセルを用い
て、電解液26として、0.62%KOHアルカリ水溶
液、またはグルコースを0.5mol/l溶解した0.
62%KOHアルカリ水溶液を用いて、試験電極Aを負
極23とし、活性炭とマンガン低級酸化物で構成した直
径3cmの酸素極を正極27として電池セルを構成し、
電池特性を評価した。
【0055】室温下で電解液26を攪拌しながら、電池
セルを0.2〜50mAの一定電流で20秒間放電し、
その際得られた電流−電圧特性を図6に示す。
【0056】また、試験電極A〜Hについて、室温下、
電解液26を攪拌しながら1mAの一定電流で1時間、
電池セルを放電した際の電圧を(表2)にまとめて示
す。
【0057】
【表2】
【0058】図6の電流−電圧特性、および(表2)に
示した連続放電試験の結果から明らかなように、本実施
例の試験電極を負極とする電池により、糖の酸化反応を
利用して電気エネルギーを取り出すことができた。
【0059】また、グルコースに代えて、単糖類である
ガラクトース、マンノース、ソルボース、フルクトー
ス、二糖類であるマルトース、スクロース、ラクトー
ス、ラフィノース、多糖類であるデンプンを用いて試験
電極A〜Hについて特性評価を行ったところ、グルコー
スの場合と同様に、電池として動作することを確認する
ことができた。
【0060】(実施例2)実施例2では、糖の水酸基と
錯体を形成する成分としてAgあるいはCuを含む成分
を用い、これらの成分を配置した試験電極を作製し、糖
の電解酸化特性を評価するとともに、これらの試験電極
を負極とする電池を構成し、発電を行った。
【0061】(試験電極の作製)純度99.9%の厚み
50μmの銀箔(Ag)を1×0.5cmの大きさに切
断し、ニッケルリード線を接合したのち、接合部ならび
にニッケルリード線をエポキシ樹脂で被覆した。得られ
た試験片を実施例1と同様にして図2に示すセル中で、
Hg/HgO標準電極25に対しマイナス1.2Vから
プラス0.8Vの電位範囲において電解を行い試験電極
Iを得た。
【0062】次に、銀が75wt%、銅が25wt%の
厚み100μmのAg−Cu合金箔を用い、試験電極I
と同様にして試験電極Jを得た。
【0063】次に、銀が55wt%、マグネシウムが4
5wt%の厚み100μmのAg−Mg合金箔を用い、
試験電極Iと同様にして試験電極Kを得た。
【0064】次に、純度99.9%の厚み30μmの銅
箔(Cu)を用い、試験電極Iと同様にして試験電極L
を得た。
【0065】次に、銅が65wt%、亜鉛が35wt%
の厚み100μmのCu−Zn合金箔を用い、試験電極
Iと同様にして試験電極Mを得た。
【0066】最後に、銅が80wt%、ニッケルが20
wt%の厚み100μmのCu−Ni合金箔を用い、試
験電極Iと同様にして試験電極Nを得た。
【0067】(試験電極の糖酸化特性評価)図2に示し
たセルを用いて、電解液26として、0.62%KOH
アルカリ水溶液、またはフルクトースを0.2mol/
l溶解した0.62%KOHアルカリ水溶液を用い、試
験電極I〜Nを各々作用極23として、白金対極24、
Hg/HgO標準電極25を用いて電解を行った。室温
下、電解液26を攪拌しながら、作用極23に対して酸
化方向に2mAの一定電流を1200秒間通じ、その際
の時間‐電位特性を評価した。電解1200秒後の各電
解液中における試験電極の電位を(表3)に示す。
【0068】
【表3】
【0069】フルクトースを含む電解液中では、電解1
200秒後においても作用極23の電位は、マイナス3
80mVからマイナス250mVの値を与え、フルクト
ースが連続的に酸化されていることが分かる。一方、フ
ルクトースを含まない電解液中では、銀あるいは銀合金
を含む試験電極I〜Kを用いた場合、銀の酸化を示すプ
ラス400mV付近の一定電位を示した。銅あるいは銅
合金を含む試験電極L〜Nを用いた場合、電解後120
秒付近で作用極23の電位は銅の酸化溶解を示すマイナ
ス400mV付近から、水の電気分解による酸素発生を
示すプラス700mV付近に移行する。
【0070】また、フルクトースに代えて、単糖類であ
るグルコース、ガラクトース、マンノース、ソルボー
ス、二糖類であるマルトース、スクロース、ラクトー
ス、ラフィノース、多糖類であるデンプンを用いて試験
電極I〜Nについて特性評価を行ったところ、糖の連続
酸化を示す結果が得られた。よって、本実施例の試験電
極を用いた糖の連続酸化を確認することができた。
【0071】(電池特性評価)図2に示したセルを用い
て、電解液26として、3.1%KOHアルカリ水溶
液、またはフルクトースを0.5mol/l溶解した
3.1%KOHアルカリ水溶液を用い、試験電極I〜N
を負極23とし、実施例1と同じ酸素極を正極27とし
て電池セルを構成し、電池特性を評価した。
【0072】室温下、電解液26を攪拌しながら1mA
の一定電流で1時間、電池セルを放電した際の電圧を
(表4)にまとめて示す。
【0073】
【表4】
【0074】(表4)に示した連続放電試験の結果から
明らかなように、本実施例の電池により、糖の酸化反応
を利用して電気エネルギーを取り出すことができた。
【0075】また、フルクトースに代えて、単糖類であ
るグルコース、ガラクトース、マンノース、ソルボー
ス、二糖類であるマルトース、スクロース、ラクトー
ス、ラフィノース、多糖類であるデンプンを用いて試験
電極I〜Nについて特性評価を行ったところ、フルクト
ースの場合と同様に、電池として動作することを確認す
ることができた。
【0076】(実施例3)実施例3では、糖の水酸基と
錯体を形成する成分としてPb、AgあるいはCuを含
む成分を用い、これらの成分と、水酸基の水素原子を介
して水素結合を形成する機能性基を有する有機硫黄化合
物である、チオシアヌル酸(s−トリアジン−2,4,
6−トリチオール)(以下、TCAと呼ぶ)あるいは
2,2’−ジチオビスエタンアミン(以下、CYSTと
呼ぶ)とを組み合わせて試験電極を作製し、糖の電解酸
化特性を評価するとともに、これらの試験電極を負極と
する電池を構成し、発電を行った。
【0077】(試験電極の作製)TCAを0.05mo
l/l溶解したエタノール溶液(A)、CYSTを0.
01mol/l溶解したエタノール溶液(B)を用意し
た。実施例1の試験電極A、実施例2の試験電極J、試
験電極Nを各々、溶液(A)あるいは溶液(B)に浸漬
したのち、風乾して、表面にTCA分子あるいはCYS
T分子を修飾した試験電極O、試験電極P、試験電極
Q、試験電極R、試験電極S、試験電極Tを作製した。
【0078】(試験電極の糖酸化特性評価)図2に示し
たセルを用いて、電解液26として、0.31%KOH
アルカリ水溶液、またはグルコースを0.5mol/l
溶解した0.31%KOHアルカリ水溶液を用いて、試
験電極O〜Tを作用極23として、白金対極24、Hg
/HgO標準電極25を用いて電解を行った。室温下、
電解液26を攪拌しながら、作用極23に対して酸化方
向に2mAの一定電流を1200秒間通じ、その際の時
間‐電位特性を評価した。電解1200秒後の各電解液
中における試験電極の電位を(表5)に示す。
【0079】
【表5】
【0080】グルコースを含む電解液中では、電解12
00秒後においても作用極23の電位は、マイナス62
0mVからマイナス380mVの値を与え、グルコース
が連続的に酸化されていることが分かった。一方、グル
コースを含まない電解液中では、鉛合金を含む試験電極
Oあるいは試験電極Pを用いた場合、電解後600秒付
近で作用極23の電位は、鉛の高次酸化物の生成が起こ
るプラス400mV付近に移行した。銀合金を含む試験
電極Qあるいは試験電極Rを用いた場合、銀の酸化を示
すプラス300mV付近の一定電位を示した。銅合金を
含む試験電極Sあるいは試験電極Tでは、電解後580
秒付近で作用極23の電位は、銅の酸化溶解を示すマイ
ナス400mV付近から、水の電気分解による酸素発生
を示すプラス650〜700mV付近に移行した。
【0081】グルコースに代えて、単糖類であるガラク
トース、マンノース、ソルボース、フルクトース、二糖
類であるマルトース、スクロース、ラクトース、ラフィ
ノース、多糖類であるデンプンを用い試験電極O〜Tに
ついて特性評価を行ったところ、糖類の連続酸化を示す
結果が得られた。よって、本実施例の試験電極を用いた
糖の連続酸化を確認することができた。
【0082】(電池特性評価)図2に示したセルを用い
て、電解液26として、3.1%KOHアルカリ水溶
液、またはフルクトースを0.5mol/l溶解した
3.1%KOHアルカリ水溶液を用い、試験電極O〜T
を負極23とし、実施例1と同じ酸素極を正極27とし
て電池セルを構成して、電池特性を評価した。
【0083】室温下、電解液26を攪拌しながら1mA
の一定電流で1時間、電池セルを放電した際の電圧を
(表6)にまとめて示す。
【0084】
【表6】
【0085】(表6)に示した連続放電試験の結果から
明らかなように、本実施例の電池により、糖の酸化反応
を利用して電気エネルギーを取り出すことができた。
【0086】また、フルクトースに代えて、単糖類であ
るグルコース、ガラクトース、マンノース、ソルボー
ス、二糖類であるマルトース、スクロース、ラクトー
ス、ラフィノース、多糖類であるデンプンを用いて試験
電極O〜Tについて特性評価を行ったところ、フルクト
ースの場合と同様に、電池として動作することを確認す
ることができた。
【0087】(実施例4)図2に示したセルを用いて、
酸素極に代えて、マンガン乾電池に用いられている二酸
化マンガン正極(MnO2)、ニッケル水素蓄電池に用
いられているニッケル正極(NiOOH)、鉛蓄電池に
用いられている鉛正極(PbO2)、またはリチウムイ
オン電池に用いられているコバルト酸正極(LiCoO
2)を正極27として用い、実施例1の試験電極A、
G、またはHを負極23とする電池を構成した。電解液
には、マンノース(単糖類)、ラフィノース(二糖
類)、またはデンプン(多糖類)を0.1mol/l含
む、ZnCl2水溶液、KOH水溶液、H2SO4水溶
液、またはPC−EC−Gly−LiPF6を用いて、
電池特性を評価した。
【0088】(表7)、(表8)、(表9)に、1mA
の一定電流で1時間放電した際の電池電圧をまとめて示
す。なお、ここで用いたZnCl2水溶液はZnCl2
30重量%およびZnOを飽和濃度含む水溶液で、KO
H水溶液はKOHを6.2重量%含む水溶液で、H2
4水溶液はH2SO4を18重量%含む水溶液で、PC
−EC−Gly−LiPF6はプロピレンカーボネート
(PC)とエチレンカーボネート(EC)とグリセリン
(Gly)を容積比で1:1:0.5含む混合溶媒にL
iPF6を1.2mol/l溶解したものである。
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】(表7)〜(表9)から明らかなように、
本発明の電池により、糖の酸化反応を利用して電気エネ
ルギーを取り出すことができた。
【0093】
【発明の効果】本発明は、糖の分子中に存在する少なく
とも1つのC−C結合を電気化学的に開裂する酸化反応
を用いた発電方法および電池を提供する。本発明によれ
ば、糖の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーとし
て有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における糖の電気化学的
な酸化過程を示す模式図
【図2】本発明の一実施例において試験電極の作製およ
び糖酸化特性評価、並びに電池特性評価に用いたセルの
断面図
【図3】本発明の一実施例における試験電極の電流−電
位特性図
【図4】同実施例における試験電極および酸素極の酸化
還元電流−電位特性図
【図5】同実施例における試験電極の時間−電位特性図
【図6】同実施例における電池の電流−電圧特性図
【符号の説明】
11 負極 12 糖 13 錯体 21 ガラス容器 22 ゴム栓 23 作用極(負極) 24 白金対極 25 Hg/HgO標準電極 26 電解液 27 正極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 6/00 - 6/22 H01M 8/00 - 8/24 H01M 12/00 - 14/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質を介して設けた正極および負極を
    用いた発電方法であって、前記負極において、糖の分子
    中に存在する少なくとも1つの炭素−炭素結合を電気化
    学的に開裂する酸化反応を行うことにより、前記正極と
    前記負極との間に起電力を発生させる工程を有する発電
    方法であって、 前記酸化反応が、前記糖の水酸基を介した錯体形成
    過程を有し、前記糖から前記錯体を介して前記負極へ
    電子が移動することを特徴とする発電方法。
  2. 【請求項2】 糖の水酸基と錯体を形成する成分を、負
    極に配置したことを特徴とする、請求項1記載の発電方
    法。
  3. 【請求項3】 糖の水酸基と錯体を形成する成分が、両
    性水酸化物を形成可能な金属元素からなる請求項2記載
    の発電方法。
  4. 【請求項4】 前記金属元素が、Mg、Ti、V、N
    i、Cu、Zn、Zr、Ag、In、Sn、Sbおよび
    Pbよりなる群から選択された少なくとも1種である請
    求項3記載の発電方法。
  5. 【請求項5】 正極、負極、前記正極と前記負極との間
    に介在する電解質および前記負極に供給される糖からな
    る電池であって、前記負極において、糖の分子中に存在
    する少なくとも1つの炭素−炭素結合を電気化学的に開
    裂する酸化反応により、前記正極と前記負極との間に起
    電力を発生させる電池であって、 前記酸化反応が、前記糖の水酸基を介した錯体形成
    過程を有し、前記糖から前記錯体を介して前記負極へ
    電子が移動することを特徴とする電池。
  6. 【請求項6】 正極において、負極における糖の酸化反
    応よりも貴な電位で還元反応が起こることを特徴とする
    請求項5記載の電池。
  7. 【請求項7】 正極が、酸素を還元する酸素極であるこ
    とを特徴とする請求項6記載の電池。
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