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JP3591940B2 - 記録装置 - Google Patents

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JP3591940B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し画像を形成する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づいて用紙やプラスチック薄板等の記録媒体に画像を記録していくように構成されている。前記記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザビーム式等に分けることができる。
【0003】
記録媒体の搬送方向(副走査方向)と交差する方向に主走査するシリアルスキャン方式を採るシリアルタイプの記録装置においては、記録媒体に沿って移動するキャリッジ上に搭載した記録手段によって画像を記録(主走査)し、1行分の記録を終了した後に所定量の紙送り(ピッチ搬送)を行い、その後に再び停止した記録媒体に対して、次の行の画像を記録(主走査)するという動作を繰り返すことにより、記録媒体全体の記録が行われる。一方、記録媒体の搬送方向の副走査のみで記録するラインタイプの記録装置においては、記録媒体を所定の記録位置にセットし、一括して1行分の記録を行った後、所定量の紙送り(ピッチ送り)を行い、さらに、次の行の記録を一括して行うという動作を繰り返すことにより、記録媒体全体の記録が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、印字位置精度(1/10インチ毎にドットを印字してそのずれを測定したもの)が図5(A)の様であるとする。CRモータの立ち上げの直後が多少精度が悪くなり±40〜50μmある。その後安定し、±10〜20μmになる。この場合、例えば斜め線の様に画像の場合に図11の様に画像端がずれた分だけキャリッジのスタート位置が少しずつ変化していく。したがって、図5(B)に示すごとく、キャリッジの走査スタート位置が前行とずれることで、最大70〜80μmのずれが生じる場合があり、線のつなぎ目のずれが目立つ原因になる。
【0005】
また、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)を重ね合わせて黒を形成するプリンタにおいては、色ずれの原因にもなる。その為に以下に示すような構成を行ってきた。
(1)エンコーダを搭載し、キャリッジの絶対位置を検出することで正確な画像のドット形成位置精度を確保してきた。しかし、コストアップの要因となっていた。
(2)キャリッジの駆動はステッピングモータが多く用いられている。この場合、自起動領域外のスルー領域で使用する場合が多い。したがって、自起動領域内の低い回転数で立ち上げて、所定の使用回転数まで加速する。そして、停止する場合は使用回転数から減速し、自起動領域内の低い回転数まで立ち下げて停止する。以上の駆動方法が一般的に用いられている。ここで、立ち上げ時の距離を長くすることで印字で使用する回転数においてのキャリッジの速度変動を少なくし、正確な画像のドット形成位置精度を確保してきた。しかし、装置サイズの大型化、印字時間の増大化となつていた。
(3)さらに、上記ステッピングモータを高分解能を有するものを用いたり、駆動方式としてマイクロステップ方式を採用したりすることでキャリッジの速度変動を少なくし、正確な画像のドット形成位置精度を確保してきた。しかし、これもコストアップの要因となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載して走査するためのキャリッジと、前記キャリッジを駆動するためのステッピングモータと、記録媒体を搬送するための搬送手段と、を備える記録装置において、連続した複数のキャリッジ走査で画像を形成する際に、前走査の前記キャリッジのスタート位置を基準位置とし、前走査の印字端と次走査の印字端とのずれ量が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍でない場合に、前記基準位置と次走査の前記キャリッジのスタート位置との距離が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍になるように前記キャリッジのスタート位置を補正することを特徴とする。
【0007】
また、前述の構成に加えて、前走査の印字端と次走査の印字端とのずれ量が所定量より大きい場合は、前記キャリッジのスタート位置を補正しないことを特徴とする。
【0008】
また、さらに前述の構成に加えて、前記所定量は前記ステッピングモータの相の1周期分であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明によれば、記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載して走査するためのキャリッジと、前記キャリッジを駆動するためのステッピングモータと、記録媒体を搬送するための搬送手段と、を備える記録装置において、連続した複数のキャリッジ走査で画像を形成する際に、先頭行の前記キヤリッジのスタート位置を基準位置とし、前記先頭行の印字端と各走査の印字端とのずれ量が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍でない場合に、前記基準位置と各走査の前記キャリッジのスタート位置との距離が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍になるように前記キャリッジのスタート位置を補正することを特徴とする。
【0010】
また、本発明によれば、記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載して走査するためのキャリッジと、前記キャリッジを駆動するためのステッピングモータと、記録媒体を搬送するための搬送手段と、を備える記録装置において、連続した複数のキャリッジ走査で画像を形成する際に、印字端が前記キャリッジのスタート位置側の印字領域端に最も近い画像行の前記キャリッジのスタート位置を基準位置とし、前記印字領域端に最も近い画像行の印字端と各走査の印字端とのずれ量が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍でない場合に、前記基準位置と各走査の前記キャリッジのスタート位置との距離が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍になるように前記キャリッジのスタート位置を補正することを特徴とする。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
本発明の実施例1を図1〜図6に沿って説明する。ヘッドをキャリッジに装着し、走査して印字を行う記録装置の駆動源として、ステッピングモータを用いたものである。自動給紙装置を有した記録装置1は、給紙部2、送紙部3、排紙部4、キャリッジ部5、クリーニング部6から構成されている。そこで、これらを項目に分けて概略を順次述べていく。なお、図1は記録装置1の全体構成を示す斜視図、図2は記録装置1の正面図、図3は記録装置1の構成断面図である。
【0014】
(A)給紙部
給紙部2は記録媒体(以下記録シートP)を積載する圧板21と記録シートPを給紙する給送回転体22がベース20に取り付けられる構成となっている。前記圧板21には可動サイドガイド23が移動可能に設けられて、記録シートPの積載位置を規制している。圧板21はベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板バネ24により給送回転体22に付勢される。給送回転体22と対向する圧板21の部位には、記録シートPの重送を防止する人口皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離パッド25が設けられている。さらに、ベースには、記録シートPの一方向の角部を覆い、記録シートPを一枚ずつ分離するための分離爪26、厚紙等の分離爪26が使えないものを分離するベース20に一体成形された土手部27、普通紙ポジションでは分離爪26が作用し、厚紙ポジションでは分離爪26が作用しないように切り換えるための切り替えレバー28、圧板21と給送回転体22の当接を解除するリリースカム29が設けられている。
【0015】
上記構成において、待機状態ではリリースカム29が圧板21を所定位置まで押し下げている。これにより、圧板21と給送回転体22の当接は解除される。そして、この状態で搬送ローラ36の有する駆動力が、ギア等により給送回転体22及びリリースカム29に伝達されると、リリースカム29は圧板21から離れるので圧板21は上昇し、給送回転体22と記録シートPが当接し、給送回転体22の回転に伴い記録シートPはピックアップされ給送を開始し、分離爪26によって一枚ずつ分離されて送紙部3に送られる。給送回転体22及びリリースカム29とは記録シートPを給送部3に送り込むまで回転し、再び記録シートPと給送回転体22との当接を解除した待機状態となって搬送ローラ36からの駆動力が切られる。
【0016】
(B)送紙部
送紙部3は記録シートPを搬送する搬送ローラ36とPEセンサ32を有している。搬送ローラ36には従動するピンチローラ37が当接して設けられている。ピンチローラ37はピンチローラガイド30に保持され、ピンチローラバネ31で付勢することで、ピンチローラ37を搬送ローラ36に圧接することで記録シートPの搬送力を生み出している。さらに、記録シートPが搬送されてくる送紙部3の入口には記録シートPをガイドする上ガイド33及びプラテン34が配設されている。また、上ガイド33にはシートPの先端および後端の検出をPEセンサ32に伝えるPEセンサレバー35が設けられている。さらに、搬送ローラ36の記録シート搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録ヘッド7が設けられている。
【0017】
上記構成において、送紙部3に送られた記録シートPはプラテン34、ピンチローラガイド30及び上ガイド33に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバー35が搬送されてきた記録シートPの先端を検知して、これにより記録シートPの印字位置を求めている。また、記録シートPは不図示のLFモータによりローラ対36、37が回転することでプラテン34上を搬送される。
【0018】
なお、記録ヘッド7はインクタンクと一体に構成された交換容易なインクジェット記録ヘッドが用いられている。この記録ヘッド7は、ヒータ等によりインクに熱を与えることが可能となっている。そして、この熱によりインクは膜沸騰し、この膜沸騰による気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッド7のノズル70からインクが吐出されて記録シートP上に画像形成される。
【0019】
(C)キャリッジ部
キャリッジ部5は、記録ヘッド7を取り付けるキャリッジ50を有している。そしてキャリッジ50は、記録シートPの搬送方向に対して直角方向に往復走査させるためのガイド軸81及びキャリッジ50の後端を保持して記録ヘッド7と記録シートPとの隙間を維持するガイドレール82によって支持されている。なお、これらガイド軸81及びガイドレール82はシャーシー8に取り付けられている。また、キャリッジ50はシャーシー8に取り付けられたキャリッジモータ80によりタイミングベルト83を介して駆動される。このタイミングベルト83は、アイドルプーリ84によって張設、支持されている。さらに、キャリッジ50には、電気基板9から記録ヘッド7へヘッド信号を伝えるためのフレキシブル基板51を備えている。
【0020】
上記構成において、記録シートPに画像形成する時は、画像形成する行位置(記録シートPの搬送方向の位置)にローラ対36、37が記録シートPを搬送すると共にキャリッジモータ80によりキャリッジ50を画像形成する列位置(記録シートPの搬送方向と垂直な位置)に移動させて、記録ヘッド7を画像形成位置に対向させる。その後、電気基板9からの信号により記録ヘッド7が記録シートPに向けてインクを吐出して画像が形成される。
【0021】
(D)排紙部
排紙部4は、伝達ローラ40が前記搬送ローラ36に当接し、さらに、伝達ローラ40は排紙ローラ41と当接して設けられている。したがって、搬送ローラ36の駆動力が伝達ローラ40を介して排紙ローラ41に伝達される。また、排紙ローラ41に従動して回転可能な如く拍車42が排紙ローラ41に当接されている。以上の構成によって、キャリッジ部5で画像形成された記録シートPは、前記排紙ローラ41と拍車42とのニップに挟まれ、搬送されて不図示の排紙トレーなどに排出される。
【0022】
(E)クリーニング部
クリーニング部6は、記録ヘッド7のクリーニングを行うポンプ60と記録ヘッド7の乾燥を抑えるためのキャップ61及び搬送ローラ36からの駆動力を給紙部2及びポンプ60に切り換える駆動切り替えアーム62から構成されている。駆動切り替えアーム62が給紙、クリーニング以外の時は、搬送ローラ36の軸心を中心に回転する遊星ギア(不図示)を所定位置に固定しているので、給紙部2及びポンプ60に駆動力は伝達されない。キャリッジ50が移動することで、駆動切り替えアーム62を矢印A方向に移動させると、遊星ギアがフリーになるので搬送ローラ36の正転、逆転に応じて遊星ギアが移動し、搬送ローラ36が正転したときは給紙部2に駆動力が伝達され、逆転したときはポンプ60に駆動力が伝達されるようになっている。
【0023】
次にキャリッジ部15の駆動に用いた本発明のステッピングモータの駆動方式について述べる。
【0024】
図4は本発明の構成要素を示すブロック図である。図4において、101はモータ駆動、その他プリンタの制御を行うMPUを示し、102はゲートアレイ、103はDRAM、104はROM、105はCRモータドライバ、106はLFモータドライバ、80はキャリッジモータ(CRモータ)、107は紙送りモータ(LFモータ)である。CRモータドライバ105は定電流バイポーラチョッピング方式のドライバを用いている。CRモータ80の駆動周波数および電流値は設定されたパラメータどうりにMPU101によってCRモータドライバ105に信号が送られ、CRモータ80を駆動する。CRモータ80は例えばφ42の48ステップの分解能を有するPM型ステッピングモータである。ロータ磁性体にはフェライトを用いている。
【0025】
駆動は1−2相駆動で立ち上げのスルー領域における印加パルス数は約25〜50パルスである。開始パルス周波数は約100pps、所定の定速域の周波数は約1000ppsである。このとき、ランプアップの駆動カーブは3次曲線の変曲点を結ぶS字カーブを形成させ、所定の定速周波数約1000ppsまで立ち上げている。なお、ランプダウンの駆動カーブについては、ほぼランプアップの駆動カーブと対称形である。
【0026】
この場合の印字位置精度(1/10インチ毎にドットを印字しそのずれを測定したもの)は図5(A)に示す如く、CRモータ80の立ち上げの直後が多少印字精度が悪くなり±40〜50μmある。その後安定し、±10〜20μmになる。印字端が揃った画像を印字する場合はキャリッジのスタート位置も揃っている。この場合は、CRモータ80の立ち上げの直後の印字精度が多少悪くても前行のスキャン時と同様にずれるので画像としては目立ちにくい。ところが、斜め線のように端部に斜めの画像があるものは微小にキャリッジのスタート位置がずれてくる。この場合、図5(B)に示すごとく、印字位置精度が図5(B)に示すようになり、最大で70〜80μmのずれが生じる場合があり、罫線ずれ、または前記ファイン印字時の印字ムラの原因になっていた。この印字精度を悪くする要因はCRモータ80の速度変動であり、ステッピングモータでは相の周期毎に速度変動が発生する傾向がある。
【0027】
本実施例では図6に示すごとく、360dpiの解像度を持つ64ノズルのモノクロヘッドで、記録シートPの左から右に片方向印字する場合に、左下がりの斜線を形成する場合を説明する。モータ1パルスあたり画像の6ドットに相当する。1−2相駆動であるのでモータ4パルスでモータ相の1周期分に相当する。
【0028】
図6の連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の前行(1行目)のキャリッジのスタート位置(S1)を基準とする。キャリッジスタート位置(S1)は画像の印字端から20〜60パルスのランプアップ距離を確保した位置に設定されている。ここでいう連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像は、画像ドットが連続した画像はもちろん間隔が開いていても複数のキャリッジ走査で形成される画像の繋がりを表している。1行目と2行目では印字端のずれ、つまり、画像の開始位置のずれX1は2パルス分になる。従来であればキャリッジスタート位置のずれY1も2パルスになるところを本実施例ではモータ相1周期分の整数倍に設定するためにここではY1=4パルスずらした位置をキャリッジスタート位置(S2)とした(2行目)。
【0029】
次に前記キャリッジのスタート位置(S2)が基準となる。3行目から斜線の傾きが変わり、画像の開始位置のずれX2は6パルス分になる。上記と同様に従来であればキャリッジスタート位置のずれY2も6パルスになるところを本実施例ではモータ相1周期分の整数倍に設定するためにここではY2=8パルスずらした位置をキャリッジスタート位置とした(3行目)。以降の行も同様である。
【0030】
キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにより、キャリッジの速度変動が発生しても、モータの相の違いによる速度変動の差を抑えられるので、各走査時の画像形成時の隣接ドットのずれは小さく押さえられ、高精彩画像を形成することができる。したがって、エンコーダ、高分解能モータ、等によるコストアップがない。また、モータの立ち上げ時の距離を小さくできるので装着サイズの大形化を招くこともない。
【0031】
さらに、連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の前行の前記キャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにより、単純な制御で必要な部分のみキャリッジの位置合わせを行うので効率がよい。また、以上は記録シートPの左端からの印字の場合について述べたが、逆方向の右端からの印字の場合についても同様である。
【0032】
(実施例2)
実施例1において連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の前行のキャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始したが、この場合補正したパルス分が蓄積されていくので、空スキャンの距離が延びる場合がある。したがって、本実施例2では図7に示すごとく連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の先頭行のキャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始してもよい。
【0033】
図7の連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の先頭行(1行目)のキャリッジのスタート位置(S1)を基準とする。1行目と2行目の画像の開始位置のずれX1は2パルス分になるが、キャリッジスタート位置のずれY1は4パルスとし、キャリッジスタート位置(S2)と設定した(2行目)。
【0034】
3行目でも画像の開始位置のずれX2は6パルス分になる。前記実施例1ではキャリッジスタート位置のずれY2も8パルスになるところを本実施例2では先頭行(1行目)のキャリッジのスタート位置(S1)を基準としているので、X1+X2=8で3行目のキャリッジスタート位置(S3)は1行目のキャリッジのスタート位置(S1)から8パルス、2行目のキャリッジスタート位置(S2)から4パルスの位置になる。以降の場合も同様である。
【0035】
本実施例2によれば、スタート位置のずれが蓄積されることがないので不必要な動きを無くすことができる。その他の構成については前記実施例1と同様である。
【0036】
(実施例3)
前記実施例1、2において連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の前行または先頭行のキャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにしたが、図8に示すごとく、連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の印字端に最も近い画像行の前記キャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにしてもよい。
【0037】
図8(A)に示すごとく、画像が印字領域端近辺にある場合、前記実施例2の場合先頭行を基準位置にしているので、画像が左斜め下に向かう画像等のとき、印字端まで延びた場合に印字端のキャリッジスタート位置よりも外側にキャリッジスタート位置を設けなければならない場合がある。先頭行(1行目)のキャリッジのスタート位置(S1)を基準とする。1行目と2行目の画像の開始位置のずれX1は3パルス部になるが、キャリッジスタート位置のずれY1は4パルスとし、キャリッジスタート位置(S2)と設定した。3行目でも画像の開始位置のずれX2は6パルス分になる。X1+X2=9で3行目のキャリッジスタート位置(S3)は1行目のキャリッジのスタート位置(S1)から12パルスの位置になる。
【0038】
しかしながら、本実施例3では図8(B)に示すごとく、連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の印字端に最も近い画像行のキャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにしたので、印字端まで延びた場合に印字端のキャリッジスタート位置よりも印字側内側にキャリッジスタート位置を設けることができる。
【0039】
図8(B)に示すごとく、3行にわたる連続した画像があったとする。この中で画像の印字端に近いのは3行目であり、この行のキャリッジのスタート位置を基準位置(S3)とする。1行目の印字端は3行目よりX1+X2=9パルス分ずれている。9パルスはモータの相の整数倍になっていないので1行目のキャリッジのスタート位置(S1)は基準位置(S3)からY1+Y2=8パルスずらした位置とする。2行目の印字端は3行目よりX2=6パルス分ずれている。6パルスはモータの相の整数倍になっていないので2行目のキャリッジのスタート位置(S2)は基準位置(S3)からモータの相の整数倍であるY2=4パルスずらした位置とする。
【0040】
本実施例3によれば印字端部時のキャリッジスタート位置より外側にキャリッジスタート位置を設ける必要がない。また、必要な部分のみキャリッジの位置合わせを行うので効率がよい。その他の構成については前記実施例1と同様である。
【0041】
(実施例4)
前記実施例においては、所定のキャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置からキャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印紙スタートを開始することにしたが、図9に示すごとく、印字領域端のスタート位置からモータの相の1周期分の整数倍の距離に設けたスタート位置に合わせて印字スタートを開始することにしてもよい。また、本実施例4では図9に示すごとく、360dpiの解像度を持つY(イエロー)M(マゼンダ)C(シアン)各16ノズルのカラーヘッドで、記録シートPの左から右に片方向印字する場合に、右下がりの黒の斜線を形成する場合を説明する。カラーヘッドのY、M、C、の3色のノズルはキャリッジの走査方向に垂直な方向に一列に形成されている。斜線はY、M、Cの3色を重ね合わせて形成する。モータ1パルスあたり画像の6ドットに相当する。1−2相駆動であるのでモータ4パルスでモータ相の1周期分に相当する。
【0042】
図9に示すごとく、4行にわたる画像を6回のキャリッジスキャンで画像を形成する。各キャリッジスキャンごとに16ドット分記録シートPを搬送する。印字領域には印字領域端のスタート位置からモータの相の1周期分、4パルスごとにキャリッジスタート位置が設けられている。キャリッジの各スキャンによって図9に示したように各色、各行に対応した印字を行う。例えば、1スキャン目はY色の1行目のみを印字する。このときの印字端E1から従来のランプアップ距離をとった位置が前記4パルスごとに設けたキャリッジスタート位置と丁度一致したS1になったとする。2スキャン目はY色の2行目とM色の1行目を印字する。このとき印字端はE1の位置になり、1スキャン目と同じスタート位置S1になる。3スキャン目はY色の3行目とM色の2行目とC色の1行目を印字する。このとき印字端はE1の位置になり、1スキャン目と同じスタート位置S1になる。4スキャン目はY色の4行目とM色の3行目とC色の2行目を印字する。このとき印字端はE2の位置になるが、1〜3スキャン目より印字端が右に2パルスずれているだけなのでキャリッジスタート位置は1スキャン目と同じスタート位置S1になる。5スキャン目はM色の4行目とC色の3行目を印字する。このとき印字端はE3の位置になり、1〜3スキャン目より印字端が右に4パルスずれるのでキャリッジスタート位置も右に4パルスずれてS2の位置になる。6スキャン目はC色の4行目を印字する。このとき印字端はE4の位置になり、1〜3スキャン目より印字端が右に6パルスずれるのでキャリッジスタート位置は右に4パルスずれてS2の位置になる。
【0043】
本実施例4によれば、キャリッジのスタート位置を印字領域端のスタート位置からモータの相の1周期分の整数倍の距離に設けたスタート位置に合わせて印字スタートを開始することにより、制御を単純にできる。その他の構成については前記実施例1と同様である。
【0044】
(実施例5)
前記実施例においては連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像を形成する場合に、キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにしたが、図10に示すごとく前行との画像端のずれが所定のパルス数以下のずれの場合のみにスタート位置を1周期分ずらしたり、揃えたりすることにしてもよい。
【0045】
本実施例5では前行との画像端のずれがモータの相の1周期分つまり4パルス以下の場合のみにキャリッジのスタート位置補正を行うことにした。図10の連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の前行(1行目)のキャリッジのスタート位置(S1)を基準とする。1行目と2行目では印字端のずれ、つまり、画像の開始位置のずれX1は2パルス分になる。従来であればキャリッジスタート位置のずれY1も2パルスになるところを本実施例ではモータ相1周期分の整数倍に設定するためにここではY1=4パルスずらした位置をキャリッジスタート位置(S2)とした(2行目)。
【0046】
次に前記キャリッジのスタート位置(S2)が基準となる。3行目から斜線の傾きが変わり、画像の開始位置のずれX2は6パルス分になる。ずれがモータの相の1周期分の4パルスより大きいので、ここでは、キャリッジのスタート位置の補正を行わず、画像の開始位置ずれと同様にキャリッジスタート位置のずれY2も6パルスとする。本実施例5では前行との画像端のずれがモータの相の1周期分つまり4パルス以下の場合のみにキャリッジのスタート位置補正を行うことにしたが、それ以外の所定のパルス数でもよい。
【0047】
本実施例5によれば、印字精度はキャリッジ走査のランプアップ直後に大きくずれるので、キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差がモータの所定パルス数以下の場合のみに、キャリッジの印字スタート位置を1周期分ずらしたり、揃えたりすることでも印字ずれには大きな効果をあげることができ、より単純な制御で済む。その他の構成については前記実施例1と同様である。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果がある。
(1)キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにより、キャリッジの速度変動が発生しても、モータの相の違いによる速度変動の差を抑えられるので、各走査時の画像形成時の隣接ドットのずれは小さく抑えられ、高精彩画像を形成することができる。したがって、エンコーダ、高分解能モータ、等によるコストアップがない。また、モータの立ち上げ時の距離を小さくできるので装置サイズの大形化を招くこともない。
【0049】
(2)連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の前行の前記キャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにより、単純な制御で必要な部分のみキャリッジの位置合わせを行うので効率がよい。
【0050】
(3)連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の先頭行の前記キャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにより、単純な制御で必要な部分のみキャリッジの位置合わせを行うので効率がよい。また、スタート位置のずれが蓄積されることがないので不必要な動きを無くすことができる。
【0051】
(4)連続した複数のキャリッジ走査で形成される画像の印字端に最も近い画像行の前記キャリッジのスタート位置を基準とし、この基準位置から前記キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差をモータの相の1周期分の整数倍の距離に合わせて印字スタートを開始することにより、印字端部時のキャリッジスタート位置より外側にキャリッジスタート位置を設ける必要がない。また、必要な部分のみキャリッジの位置合わせを行うので効率がよい。
【0052】
(5)キャリッジのスタート位置を印字領域端のスタート位置からモータの相の1周期分の整数倍の距離に設けたスタート位置に合わせて印字スタートを開始することにより、制御を単純にできる。
【0053】
(6)キャリッジの印字の各走査時スタート位置の差がモータの所定パルス数以下の場合のみに、キャリッジの印字スタート位置を1周期分ずらしたり、揃えたりすることにより、単純な制御で効果を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1の記録装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1の記録装置の正面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1の記録装置の構成断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1の記録装置のブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1のキャリッジ精度の説明図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1のキャリッジ制御の説明図である。
【図7】図7は、本発明の実施例2のキャリッジ制御の説明図である。
【図8】図8は、本発明の実施例3のキャリッジ制御の説明図である。
【図9】図9は、本発明の実施例4のキャリッジ制御の説明図である。
【図10】図10は、本発明の実施例5のキャリッジ制御の説明図である。
【図11】図11は、従来例におけるキャリッジ制御の説明図である。
【符号の説明】
1 記録装置
2 給紙部
3 送紙部
4 排紙部
5 キャリッジ部
6 クリーニング部
7 記録ヘッド
8 シャーシー
9 電気基板
36 搬送ローラ
37 ピンチローラ
50 キャリッジ
51 ヘッドホルダー
52 ベースカバー
53 フックレバー
54 コンタクトバネ
55 フックカバー
56 フレキシブル基板
57 ラバーパッド
58 紙間調整部
80 キャリッジモータ
81 ガイド軸
82 ガイドレール
83 タイミングベルト
84 アイドルプリー
101 MPU
102 ゲートアレイ
103 RAM
104 ROM
105 CRモータドライバ
106 LFモータドライバ
107 LFモータ

Claims (5)

  1. 記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載して走査するためのキャリッジと、前記キャリッジを駆動するためのステッピングモータと、記録媒体を搬送するための搬送手段と、を備える記録装置において、
    連続した複数のキャリッジ走査で画像を形成する際に、前走査の前記キャリッジのスタート位置を基準位置とし、前走査の印字端と次走査の印字端とのずれ量が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍でない場合に、前記基準位置と次走査の前記キャリッジのスタート位置との距離が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍になるように前記キャリッジのスタート位置を補正することを特徴とする記録装置。
  2. 前走査の印字端と次走査の印字端とのずれ量が所定量より大きい場合は、前記キャリッジのスタート位置を補正しないことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記所定量は前記ステッピングモータの相の1周期分であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載して走査するためのキャリッジと、前記キャリッジを駆動するためのステッピングモータと、記録媒体を搬送するための搬送手段と、を備える記録装置において、
    連続した複数のキャリッジ走査で画像を形成する際に、先頭行の前記キヤリッジのスタート位置を基準位置とし、前記先頭行の印字端と各走査の印字端とのずれ量が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍でない場合に、前記基準位置と各走査の前記キャリッジのスタート位置との距離が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍になるように前記キャリッジのスタート位置を補正することを特徴とする記録装置。
  5. 記録媒体に画像を形成する記録ヘッドを搭載して走査するためのキャリッジと、前記キャリッジを駆動するためのステッピングモータと、記録媒体を搬送するための搬送手段と、を備える記録装置において、
    連続した複数のキャリッジ走査で画像を形成する際に、印字端が前記キャリッジのスタート位置側の印字領域端に最も近い画像行の前記キャリッジのスタート位置を基準位置とし、前記印字領域端に最も近い画像行の印字端と各走査の印字端とのずれ量が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍でない場合に、前記基準位置と各走査の前記キャリッジのスタート位置との距離が前記ステッピングモータの相の1周期分の整数倍になるように前記キャリッジのスタート位置を補正することを特徴とする記録装置。
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