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JP3583266B2 - 冷熱サイクル用アキュムレータ - Google Patents

冷熱サイクル用アキュムレータ Download PDF

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JP3583266B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複数の圧縮機を備えたビル用パッケージ・エアコン(PAC)の室外機などの冷熱サイクル用のアキュムレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の圧縮機を備えた冷熱サイクル用で用いられるアキュムレータについて説明する。図は例えば実公昭53−39896号公報に示された複数の圧縮機を備えたビル用パッケージエアコン(PAC)の室外機の冷媒回路を示すブロック図であり、圧縮機を2台使用した場合の例示図である。図において、1aは第1の圧縮機、1bは第2の圧縮機、2は油分離器、3は凝縮器、4は絞り装置、5は蒸発器、6はアキュムレータ、7は蒸発器5よりアキュムレータ6内へ流入する冷媒流入管、8a、8bは圧縮機1a、1bとアキュムレータ6内とを接続するU字形状の冷媒流出管、9a、9bはアキュムレータ6内に溜まった油及び液冷媒を圧縮機1a、1bに戻す油戻し穴、10は油分離器2とアキュムレータ6を接続する油流入管、11は前記油流入管10の配管途中に設けられた返油装置である。
【0003】
次に冷媒と油の流れについて説明する。圧縮機1a、1bより吐出された高温高圧のガス冷媒は油分離器2に流入し、ここでガス冷媒と油を分離し、ガス冷媒は凝縮器3に流入する。ここでガス冷媒は空気や水等と熱交換して凝縮、液化し、絞り装置4にて、低圧の気液二相状態となり蒸発器5に流入する。ここで冷媒は空気や水等と熱交換して、ガスまたは乾き度の大きな気液二相状態になってアキュムレータ6へ流入し、気液分離されてアキュムレータ6内に溜まる。ガス冷媒の大半はU字形状の冷媒流出管8a、8bを経て圧縮機1へ戻る。油分離器2で分離された油は油流入管10と返油装置11を経て、アキュムレータ6内に流入し、油戻し穴9a、9bを経て圧縮機1へ戻り、油分離器2で分離できなかった油は、液冷媒と共に凝縮器3、絞り装置4、蒸発器5と流れ、アキュムレータ6に、液冷媒とともに油が混在した状態で溜まる。
【0004】
アキュムレータ6内に溜まった油及び液冷媒14は、冷媒流出管8a、8bを流れるガス冷媒の摩擦損失による差圧及びアキュムレータ6内の液冷媒の液面高さと油戻し穴9の間に生じる液ヘッドを合計した圧力差が油戻し穴9a、9bの前後に発生することによって冷媒流出管8a、8bへと流れる。
【0005】
また、圧縮機1a、1bが長時間停止して圧縮機1a、1bのシェル内に液冷媒が(低温で)停滞した状態から起動する場合において、圧縮機1a、1bのシェル内の液冷媒と油が大量に吐出されるが、油分離器2で液冷媒及び油は捕獲され、油が大量に凝縮器3などへ流出することは抑制される。
【0006】
さらに、冷凍サイクル装置の熱負荷が減少した時、熱負荷の減少に対応させて第1の圧縮機1a、第2の圧縮機2bを漸次停止させる。冷媒流出管8a、8bを複数の圧縮機1a、1bに対しそれぞれ独立して設けることによって、圧縮機1a、1bの運転台数が減じられた場合でも冷媒流出管8a、8b内を流れるガス冷媒の流速を一定に保ち、圧縮機1a、1bへの油戻しを偏りなく、適正に行うことができる。
【0007】
次に従来のアキュムレータの構造を図に示す。アキュムレータ6は圧力容器であり、この例ではアキュムレータ本体はプレス加工などにより深絞り加工が施されたアキュムレータシェル12、13の2ピース構造になっており、それぞれMIG溶接などで外周側から接合され、気密が保たれている。7はガスまたは乾き度の大きな気相二相状態の冷媒が流れ込む冷媒流入管、8a、8bはU字形状の冷媒流出管であり、9a、9bはU字形状の冷媒流出管8a、8bの途中に設けられた油戻し穴、14はアキュムレータ6容器に溜められた液冷媒である。
【0008】
ここで、アキュムレータ内の冷媒と潤滑油の動作を説明する。流入管7よりガスまたは乾き度の大きな気液二相状態の冷媒と潤滑油が流れ込む。この冷媒はアキュムレータのシェルの上部ピース12に当たり、気相冷媒はアキュムレータの上部に、潤滑油と液冷媒はアキュムレータの容器の底部に溜まる。そして気相冷媒はU字形状の冷媒流出管8a、8bより吸い込まれ各圧縮機1a、1bに流出する。また、前述のように潤滑油の濃度が高い液冷媒はU字形状の冷媒流出管8a、8bの屈曲部に設けられた油戻し穴9a、9bより少量吸い込まれ、冷媒流出管8a、8b内部を流れる気相冷媒と共に各圧縮機1a、1bに流出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の冷凍サイクル用アキュムレータは以上のように構成されるので、例えば3台以上の圧縮機を有する冷凍サイクル機器においては、各圧縮機に対してU字形状の冷媒流出管を各々個別に設ける必要がある。このためアキュムレータ6全体が大形となる問題があった。
【0010】
また冷媒流出管8a、8bがU字形状であるため配管長が長くなり、冷媒流出管を気相冷媒が通過する際の圧力損失が大きくなるため、冷凍能力を十分に発揮することが出来ず、性能の低下を招いていた。
なお、暖房用として使用する場合にも同様の問題があった。
【0011】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、小型でしかも圧力損失が小さく、冷凍または暖房能力が十分に発揮できる冷熱サイクル用のアキュムレータを得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の構成による冷熱サイクル用アキュムレータは、複数の圧縮機を備えた冷熱サイクルに用いられかつ複数の圧縮機に対して1つだけ設けられるアキュムレータであって、上下にシェルを有する垂直円筒型のアキュムレータと、前記複数の圧縮機毎に設けられ、前記アキュムレータから前記各圧縮機へ冷媒を送出する複数の冷媒流出管と、前記各圧縮機から前記アキュムレータへ冷媒を流入させる少なくとも1つの冷媒流入管とを備え、前記複数の冷媒流出管は、前記アキュムレータの上部シェルに下向きに接続され、前記少なくとも1つの冷媒流入管は、前記アキュムレータの下部シェルに上向きに接続され、アキュムレータ内部に突出してアキュムレータ下部に液冷媒収容スペースを形成し、前記複数の冷媒流出管と少なくとも1つの冷媒流入管とは、鉛直方向に重なり合わないように配置されたものである。
【0013】
本発明の第2の構成による冷熱サイクル用アキュムレータは、前記第1の構成において、複数の冷媒流出管は、その開口の先端をアキュムレータ内部にそれぞれ突出させたものである。
【0014】
本発明の第3の構成による冷熱サイクル用アキュムレータは、前記第1または第2の構成において、複数の冷媒流出管と少なくとも1つの冷媒流入管との間の見通しを遮る邪魔板を設けたものである。
【0015】
本発明の第4の構成による冷熱サイクル用アキュムレータは、複数の圧縮機を備えた冷熱サイクルに用いられかつ複数の圧縮機に対して1つだけ設けられるアキュムレータであって、上下にシェルを有する垂直円筒型のアキュムレータと、前記複数の圧縮機毎に設けられ、前記アキュムレータから前記各圧縮機へ冷媒を送出する複数の冷媒流出管と、前記各圧縮機から前記アキュムレータへ冷媒を流入させる少なくとも1つの冷媒流入管とを備え、前記複数の冷媒流出管は、前記アキュムレータ胴部に側方から接続され、その開口の先端がアキュムレータ内部に突出し、前記少なくとも1つの冷媒流入管は、前記アキュムレータの下部シェルに上向きに接続され、その開口の先端をアキュムレータ内部に突出させてアキュムレータ下部に液冷媒収容スペースを形成したものである。
【0016】
本発明の第5の構成による冷熱サイクル用アキュムレータは、前記第4の構成において、アキュムレータ胴部の内側に、前記複数の冷媒流出管の開口部以下であって前記少なくとも1つの冷媒流入管の開口部以下の位置に、前記アキュムレータ内部空間を上下に分割する仕切板を設け、該仕切板と前記少なくとも1つの冷媒流入管との間に液冷媒を流通させる連通穴を設けたものである。
【0017】
本発明の第6の構成による冷熱サイクル用アキュムレータは、前記第4の構成において、アキュムレータ内に突出した少なくとも1つの冷媒流入管開口近傍にアキュムレータ内空間を上下に分割する仕切板を設け、該仕切板と前記アキュムレータ胴部の内周部との間に液冷媒を流通させる連通穴を設けたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。図において、15は縦置きの円筒形状に形成され、上下にシェルを有する圧力容器であるアキュムレータ本体、16a、16bは複数の圧縮機の各々に接続された直管状の冷媒流出管である。7は冷媒流入管である。14はアキュムレータ容器下部に溜められた液冷媒である。17a、17bはアキュムレータ容器15下部に設けられ、直管状の冷媒流出管16a、16bに接続された油戻し管である。本実施の形態では、冷媒流入管7はアキュムレータ本体容器15の下部シェルに上向きに接続され、アキュムレータ本体容器15内部に突出してアキュムレータ本体容器15下部に液冷媒収容スペースを形成している。冷媒流出管16a、16bはアキュムレータ本体容器15の上部シェルに下向きに接続され、アキュムレータ容器15の上部シェル中央天井部からガス冷媒がなだらかに流れる位置に設けられている。
また冷媒流出管16a、16bの開口部は、アキュムレータ本体15下部に設けられた冷媒流入管7の開口部と鉛直方向に互いに重ならないように設置している。
【0019】
次に本実施の形態によるアキュムレータを使用した場合の冷媒と油の流れについて説明する。ただし、冷媒回路のうちアキュムレータ以外は図で示した従来の冷媒回路と同じものを用いることとし、説明を省略する。
蒸発器5から流出したガスまたは乾き度の大きな気液二相状態の冷媒は、冷媒流入管7を経てアキュムレータ本体容器15内に流入し、アキュムレータ容器15上部に衝突する。これにより冷媒の速度を減速させることができ、気液分離が効率良く行われる。気液分離された液冷媒14はアキュムレータ容器15の壁面を伝って滴下され、アキュムレータ容器15の下部に溜まる。このようにアキュムレータ容器15で効率良く気液分離され、気液分離された液冷媒14はアキュムレータ容器15下部に溜まるので、冷媒流出管16a、16bから流出されるのは殆どガス冷媒だけである。よって圧縮機1a、1bに直接液冷媒14が戻って液圧縮を起こし、圧縮機1a、1bを破損するという不具合を防止することができる。
さらに気液分離され、アキュムレータ本体容器15下部に溜まった液冷媒14は、冷媒流出管16a、16bの配管内部を流れるガス冷媒の摩擦損失により生じる差圧により、アキュムレータ容器15下部に設けた油戻し管17a、17bへ流れ、圧縮機1a、1bに返油される。
さらに従来のアキュムレータ6の冷媒流出管8a、8bのように、長い配管内をガス冷媒と液冷媒・潤滑油の混合液が通過しないため、アキュムレータ部での圧力損失を小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態による冷凍サイクル用アキュムレータは、本来の返油機能を確保できるとともに、アキュムレータ部での圧力損失が小さいことにより冷凍能力を十分に発揮でき、小型化できるものである。
【0020】
また本実施の形態では、冷媒流入管7をアキュムレータ容器15下部に突出して設けることにより、配管のろう付時に発生する酸化スケールや配管接続時に侵入する砂、ゴミ等の異物をアキュムレータ容器15下部に溜めることができる。これにより、酸化スケールや砂、ゴミ等の異物が冷媒流出管16a、16bを経て圧縮機1a、1bに戻って、圧縮機1a、1bを破損するのを防止することができる。
【0021】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。本実施の形態では、直管状の冷媒流出管16a、16bの開口の先端をアキュムレータ容器15内部に突出させたものである。
このように、冷媒流出管16a、16bの開口の先端をアキュムレータ容器15内部に突出して設けることにより、アキュムレータ容器15上部で衝突し、気液分離された液冷媒14が冷媒流出管16a、16bの背面から回り込んで流入するのをなくすことができる。これにより圧縮機1a、1bに直接液冷媒14が戻って液圧縮を起こし、圧縮機1a、1bを破損するという不具合を防止することができる。
【0022】
実施の形態3.
図3(a)は本発明の実施の形態3による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図、(b)は(a)の水平断面図である。図において、18は冷媒流出管16a、16bの開口部を遮るようにアキュムレータ容器15の内面に形成された邪魔板である。なお、図では明確のため邪魔板18にハッチングを施して示している。本実施の形態では、邪魔板18はアキュムレータ容器15の内面に溶接等で接合され、冷媒流入管7と冷媒流出管16a、16bのそれぞれの開口の見通しを遮っている。なお、邪魔板18は板金、プレス加工等により製作されている。
【0023】
次に本実施の形態によるアキュムレータを使用した場合の作用について説明する。冷媒流入管7より吐出される気液二相状態の冷媒は、アキュムレータ容器15上部に衝突し、急激に流速が低下することによって気液分離される。しかし冷媒流入管7より吐出される気液二相状態の冷媒が、ほとんど液冷媒である場合、冷媒流出管16a、16bに液冷媒が直接流入する場合がある。
【0024】
本実施の形態では、邪魔板18を冷媒流入管7と冷媒流出管16a、16bのそれぞれの開口の見通しを遮るように設けたことにより、冷媒流入管7より流入した液冷媒が直接、冷媒流出管16a、16bに流入しなくなるので、液バックによる圧縮機の破損を防止することができる。
【0025】
また、邪魔板18により冷媒流入管7と冷媒流出管16a、16bの鉛直方向の重なりが許容できるようになるので、冷媒流出管16a、16bの取付間隔をさらに小さくすることができる。従って、アキュムレータの外径を小さくすることができ、アキュムレータ容器15本体を小型化することができる。
【0026】
実施の形態4.
図4は本発明の実施の形態4による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。本実施の形態では、冷媒流出管16a、16bはアキュムレータ容器15胴部の側方から接続され、その開口の先端がアキュムレータ容器15内部に突出して設けられている。冷媒流入管7は、アキュムレータ容器15の下部シェルに上向きに接続され、その開口の先端をアキュムレータ15内部に突出させてアキュムレータ15下部に液冷媒収容スペースを形成している。
このように、冷媒流出管16a、16bをアキュムレータ容器15胴部に側方から内部に突出して設けることにより、アキュムレータ容器15上部で衝突し、気液分離された液冷媒14が冷媒流出管16a、16bの背面から回り込んで流入するのをなくすことができる。これにより圧縮機1a、1bに直接液冷媒14が戻って液圧縮を起こし、圧縮機1a、1bを破損するという不具合を防止することができる。また冷媒流出管16a、16bを容器15胴部に設けることにより、冷媒流出管16a、16bの取付間隔を小さくすることができるので、アキュムレータ15をさらに小型にすることができる。
【0027】
実施の形態5.
図5(a)は本発明の実施の形態5による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図、(b)は(a)の水平断面図である。図において、19はアキュムレータ容器15の内部空間を上下に分割するためアキュムレータ容器15胴部の内側に形成された仕切板であり、冷媒流出管16a、16bの開口部以下であって冷媒流入管7の開口部以下の位置に設けられている。20は仕切板19により仕切られたアキュムレータ容器15内の上の部屋、21は仕切板19により仕切られたアキュムレータ容器15内の下の部屋、22は仕切板19と冷媒流入管7との間に冷媒流入管7を囲むように設けられ、上の部屋20と下の部屋21を連通する連通穴であり、上の部屋20で気液分離された液冷媒がこの連通穴22を通って下の部屋21に溜まる。なお、図では明確のため仕切板19にハッチングを施して示している。
容器15内に、容器15を垂直方向に分割する仕切板19を設けて上の部屋20と下の部屋21に分割し、上の部屋20には冷媒流出管16a、16bを、下の部屋21には冷媒流入管7及び油戻し管17a、17bを備えている。本実施の形態では、仕切板19はアキュムレータ容器15の内面に溶接等で接合されている。なお、仕切板19は板金、プレス加工等により製作されている。
【0028】
次に、作用について説明する。上記各実施の形態では、アキュムレータ容器15内に溜まった液冷媒14が冷媒流入管7より流入した冷媒の流れにより激しく攪拌され、吹き上がった飛沫が冷媒流出管16a、16bに侵入するおそれがある。本実施の形態では、連通穴22を有する仕切板19によりアキュムレータ容器15内部を、冷媒流出管16a、16bを備えガス冷媒が溜まる上の部屋20と、冷媒流入管7及び油戻し管17a、17bを備え、液冷媒14が溜まる下の部屋21に分割し、冷媒流入管7の開口を上の部屋20の内部に設けたので、流入した冷媒によって下の部屋21に溜まった液冷媒14が激しく攪拌されることがなくなり、上の部屋20へ液冷媒が侵入するのをなくすことができる。これにより直接液冷媒が圧縮機(図示せず)に戻って圧縮機(図示せず)を破損するのを防止することができる。
また、本実施の形態はアキュムレータ15上部胴と下部胴と仕切板19とを同一位置で接合することができるので、製造工程を簡略化できる。
【0029】
実施の形態6.
図6(a)は本発明の実施の形態6による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図、(b)は(a)の水平断面図である。図において、23は冷媒流入管7より流出した気液二相状態の冷媒が、アキュムレータ容器15の上部で衝突して気液分離され、アキュムレータ容器15の内面を伝って流れ落ちる滴状の液冷媒である。本実施の形態では、上の部屋20と下の部屋21を上下に分割する仕切板19を冷媒流入管7の開口近傍に設け、液冷媒の連通穴22を、アキュムレータ容器15胴部の内周部と仕切板19外側端面の間に設けている。なお、図では明確のため仕切板19にハッチングを施して示している。
【0030】
次に、作用について説明する。本実施の形態の仕切板19は、上記実施の形態の仕切板19と同様の働きをし、アキュムレータ容器15下部の下の部屋21に溜まった液冷媒14の吹き上げ、及び液冷媒が液面より跳ね上がるのを防止することができる。
またアキュムレータ容器15上部で衝突し、気液分離された液冷媒23が、アキュムレータ容器15胴部の内面を伝って流れ落ちる。上記実施の形態では、容器内面を伝って流れ落ちる液冷媒23は仕切板19の上面を伝って流れ、連通穴22より下の部屋21に滴下され、下の部屋21に溜まる。しかし、蒸発器(図示せず)から流入する気液2相冷媒の流量が増加した場合、上の部屋20内で十分に気液2相状態の冷媒の速度を減速することができないことがある。その場合は仕切板19の上面を伝って流れる液冷媒23が吹き上げられ、冷媒流出管16a、16bに直接液冷媒が侵入し、さらに下の部屋21に液冷媒が溜まらないおそれがある。
本実施の形態では、仕切板19に設けた連通穴22を、アキュムレータ容器15胴部の内周部と仕切板19外側端面の間に設けたので、アキュムレータ容器15内面を伝って流れ落ちる液冷媒23が、上の部屋20で気液分離されたガス冷媒の流れの影響を受けず、アキュムレータ容器15内面をスムーズに伝って流れ、下の部屋21に溜まる。これにより液冷媒23が仕切板19の上面から吹き上がるの防止することができる。
【0031】
なお、上記各実施の形態では冷凍サイクルを例にあげて説明したが、本発明のアキュムレータは暖房用としても使用できる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の第1の発明によれば、複数の圧縮機を備えた冷熱サイクルに用いられかつ複数の圧縮機に対して1つだけ設けられるアキュムレータであって、上下にシェルを有する垂直円筒型のアキュムレータと、前記複数の圧縮機毎に設けられ、前記アキュムレータから前記各圧縮機へ冷媒を送出する複数の冷媒流出管と、前記各圧縮機から前記アキュムレータへ冷媒を流入させる少なくとも1つの冷媒流入管とを備え、前記複数の冷媒流出管は、前記アキュムレータの上部シェルに下向きに接続され、前記少なくとも1つの冷媒流入管は、前記アキュムレータの下部シェルに上向きに接続され、アキュムレータ内部に突出してアキュムレータ下部に液冷媒収容スペースを形成し、前記複数の冷媒流出管と少なくとも1つの冷媒流入管とは、鉛直方向に重なり合わないように配置されたので、本来の返油機能を確保できるとともに、アキュムレータ部での圧力損失が小さいことにより冷凍または暖房能力を十分に発揮でき、小型化できるものである。また冷媒流入管をアキュムレータ下部に複数の冷媒流出管を上部に設けることにより、アキュムレータ下部に溜まった液冷媒が跳ね上がって冷媒流出管に直接侵入するのを低減でき、液バックによる圧縮機の破損を防止することができる。また配管接続時等に発生したり侵入したりする酸化スケール、砂、ゴミ等の異物を容器下部に溜めることができ、冷媒流出管を経て圧縮機に戻るのを防止できる。
【0033】
本発明の第2の構成によれば、前記第1の構成において、複数の冷媒流出管は、その開口の先端をアキュムレータ内部にそれぞれ突出させたので、アキュムレータ上部で衝突し、気液分離された液冷媒が冷媒流出管の背面から回り込んで流入するのをなくすことができ、液バックによる圧縮機の破損を防止することができる。
【0034】
本発明の第3の構成によれば、前記第1または第2の構成において、複数の冷媒流出管と少なくとも1つの冷媒流入管との間の見通しを遮る邪魔板を設けたので、冷媒流入管より流入した液冷媒が直接、冷媒流出管に流入しなくなるので、液バックによる圧縮機の破損を防止することができる。また、邪魔板により冷媒流入管と冷媒流出管の鉛直方向の重なりが許容できるようになるので冷媒流出管の取付間隔をさらに小さくすることができる。従って、アキュムレータの外径を小さくすることができ、アキュムレータ容器本体を小型化することができる。
【0035】
本発明の第4の構成によれば、複数の圧縮機を備えた冷熱サイクルに用いられかつ複数の圧縮機に対して1つだけ設けられるアキュムレータであって、上下にシェルを有する垂直円筒型のアキュムレータと、前記複数の圧縮機毎に設けられ、前記アキュムレータから前記各圧縮機へ冷媒を送出する複数の冷媒流出管と、前記各圧縮機から前記アキュムレータへ冷媒を流入させる少なくとも1つの冷媒流入管とを備え、前記複数の冷媒流出管は、前記アキュムレータ胴部に側方から接続され、その開口の先端がアキュムレータ内部に突出し、前記少なくとも1つの冷媒流入管は、前記アキュムレータの下部シェルに上向きに接続され、その開口の先端をアキュムレータ内部に突出させてアキュムレータ下部に液冷媒収容スペースを形成したので、アキュムレータ容器上部で衝突し、気液分離された液冷媒が冷媒流出管の背面から回り込んで流入するのをなくすことができ液バックによる圧縮機の破損を防止することができる。また冷媒流出管を容器胴部に設けることにより、冷媒流出管の取付間隔を小さくすることができるので、アキュムレータをさらに小型にすることができる。
【0036】
本発明の第5の構成によれば、前記第4の構成において、アキュムレータ胴部の内側に、前記複数の冷媒流出管の開口部以下であって前記少なくとも1つの冷媒流入管の開口部以下の位置に、前記アキュムレータ内部空間を上下に分割する仕切板を設け、該仕切板と前記少なくとも1つの冷媒流入管との間に液冷媒を流通させる連通穴を設けたので、冷媒流入管より流入した冷媒によって下の部屋に溜まった液冷媒が激しく攪拌されることがなくなり、下の部屋に溜まった液冷媒が上の部屋へ侵入して冷媒流出管へ流入するのをなくすことができる。これにより液バックによる圧縮機の破損を防止することができる。
【0037】
本発明の第6の構成によれば、前記第4の構成において、アキュムレータ内に突出した少なくとも1つの冷媒流入管開口近傍にアキュムレータ内空間を上下に分割する仕切板を設け、該仕切板と前記アキュムレータ胴部の内周部との間に液冷媒を流通させる連通穴を設けたので、上の部屋で気液分離されアキュムレータ容器内面を伝って流れ落ちる液冷媒が、上の部屋のガス冷媒の流れの影響を受けず、アキュムレータ容器内面をスムーズに伝って流れ、下の部屋に溜まる。これにより液冷媒が仕切板の上面から吹き上がるの防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。
【図2】本発明の実施の形態2による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態3による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示し、(a)は断面側面図、(b)は水平断面図である。
【図4】本発明の実施の形態4による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。
【図5】本発明の実施の形態5による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示し、(a)は断面側面図、(b)は水平断面図である。
【図6】本発明の実施の形態6による冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示し、(a)は断面側面図、(b)は水平断面図である。
【図】従来の複数の圧縮機を備えた冷凍サイクル用室外機の冷媒回路構成を示すブロック図である。
【図】従来の冷凍サイクル用アキュムレータの構成を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1a、1b 圧縮機、 2 油分離機、 3 凝縮、 4 絞り装置、 5 蒸発器、 6 アキュムレータ、 7 冷媒流入管、 8a、8b U字形状の冷媒流出管、9a、9b 油戻し穴、 10 油流入管、 11 返油装置、 12 アキュムレータシェル上部ピース、 13 アキュムレータシェル下部ピース、 14 液冷媒、 15 アキュムレータ本体、 16a、16b 直管状の冷媒流出管、 17a、17b 油戻し管、 18 邪魔板、 19 仕切板、 20 上の部屋、 21 下の部屋、 22
連通穴、 23 滴状液冷媒。

Claims (6)

  1. 複数の圧縮機を備えた冷熱サイクルに用いられかつ複数の圧縮機に対して1つだけ設けられるアキュムレータであって、上下にシェルを有する垂直円筒型のアキュムレータと、前記複数の圧縮機毎に設けられ、前記アキュムレータから前記各圧縮機へ冷媒を送出する複数の冷媒流出管と、前記各圧縮機から前記アキュムレータへ冷媒を流入させる少なくとも1つの冷媒流入管とを備え、前記複数の冷媒流出管は、前記アキュムレータの上部シェルに下向きに接続され、前記少なくとも1つの冷媒流入管は、前記アキュムレータの下部シェルに上向きに接続され、アキュムレータ内部に突出してアキュムレータ下部に液冷媒収容スペースを形成し、前記複数の冷媒流出管と少なくとも1つの冷媒流入管とは、鉛直方向に重なり合わないように配置された冷熱サイクル用アキュムレータ。
  2. 前記複数の冷媒流出管は、その開口の先端をアキュムレータ内部にそれぞれ突出させた請求項1記載の冷熱サイクル用アキュムレータ。
  3. 前記複数の冷媒流出管と少なくとも1つの冷媒流入管との間の見通しを遮る邪魔板を設けた請求項1または2記載の冷熱サイクル用アキュムレータ。
  4. 複数の圧縮機を備えた冷熱サイクルに用いられかつ複数の圧縮機に対して1つだけ設けられるアキュムレータであって、上下にシェルを有する垂直円筒型のアキュムレータと、前記複数の圧縮機毎に設けられ、前記アキュムレータから前記各圧縮機へ冷媒を送出する複数の冷媒流出管と、前記各圧縮機から前記アキュムレータへ冷媒を流入させる少なくとも1つの冷媒流入管とを備え、前記複数の冷媒流出管は、前記アキュムレータ胴部に側方から接続され、その開口の先端がアキュムレータ内部に突出し、前記少なくとも1つの冷媒流入管は、前記アキュムレータの下部シェルに上向きに接続され、その開口の先端をアキュムレータ内部に突出させてアキュムレータ下部に液冷媒収容スペースを形成した冷熱サイクル用アキュムレータ。
  5. 前記アキュムレータ胴部の内側に、前記複数の冷媒流出管の開口部以下であって前記少なくとも1つの冷媒流入管の開口部以下の位置に、前記アキュムレータ内部空間を上下に分割する仕切板を設け、該仕切板と前記少なくとも1つの冷媒流入管との間に液冷媒を流通させる連通穴を設けた請求項4記載の冷熱サイクル用アキュムレータ。
  6. 前記アキュムレータ内に突出した少なくとも1つの冷媒流入管開口近傍にアキュムレータ内空間を上下に分割する仕切板を設け、該仕切板と前記アキュムレータ胴部の内周部との間に液冷媒を流通させる連通穴を設けた請求項4記載の冷熱サイクル用アキュムレータ。
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