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JP3577841B2 - 毛髪処理剤組成物 - Google Patents

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孝好 梶野
芳紀 斉藤
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪への種々の成分、例えば、染毛用染料、コンディショニング用ポリマー、香料、柔軟性付与剤、はり・こし付与剤、パーマ効果増強剤、ダメージ低減剤等の浸透速度あるいは浸透量が改善された毛髪処理剤組成物に関する。特に、染毛用染料を含有する染毛用の毛髪処理剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、染毛、パーマあるいはダメージケアなどを目的とする毛髪処理剤組成物が知られている。これらの毛髪処理剤組成物の殆どは、それらの目的を達成するために、特定の成分を毛髪に浸透させている。
【0003】
例えば、染毛用の毛髪処理剤組成物の場合、頭皮や頭髪に対して比較的影響が少なく、しかも簡便に染毛することのできる酸性染料を配合し、それを毛髪に浸透させて染毛している。この場合、酸性染料単独では毛髪への浸透速度並びに浸透量が不十分であるので、染毛用の毛髪処理剤組成物には浸透促進剤としてベンジルアルコールが配合されている。
【0004】
また、パーマ処理や持続性毛髪セット等を行うための毛髪処理剤組成物においても、ケラチンのジスルフィド結合を開裂させるためのケラチン還元剤を毛髪内部に浸透させることが必要となるために、浸透促進剤としてベンジルアルコールが配合されている。同様に、毛髪用はり・こし付与剤、毛髪用柔軟性付与剤、毛髪用ダメージ低減剤等を含有する毛髪処理剤組成物の場合においても浸透促進剤としてベンジルアルコールが配合されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、浸透促進剤としてのベンジルアルコールを使用した場合でも、染毛用染料の濃度や毛髪処理時間などの取扱性の良好な範囲内では、染毛用の毛髪処理剤組成物の染色性が十分ではないという問題があった。
【0006】
また、他の毛髪処理剤組成物においても、同様に、浸透促進効果が不十分であるという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術の課題を解決しようとするものであり、従来の浸透促進剤であるベンジルアルコールより優れた浸透促進作用を有する化合物を含有する毛髪処理剤組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、浸透促進作用を有する特定の尿素系化合物を特定の配合量で使用することにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、式(1)
【0010】
【化2】
1HNCONH (1)
(式中、R1 は、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基又はベンジル基である。)
で表される化合物の少なくとも一種を0.1〜30重量%、及び染毛用染料として酸性染料を含有することを特徴とする毛髪処理剤組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の毛髪処理剤組成物においては、浸透促進作用を有する式(1)の尿素系化合物の少なくとも一種を使用する。これらの化合物は、従来の浸透促進剤であるベンジルアルコールに比べ、種々の毛髪処理成分の毛髪への浸透速度を速め且つ浸透量を増加させることができる。
【0015】
このような式(1)の化合物の具体例を表1に示す。
【0016】
【表1】
Figure 0003577841
【0017】
表1に挙げた式(1)の化合物の中でも特に好ましいものとしては、ペンチル尿素を挙げることができる。
【0018】
なお、式(1)の化合物の毛髪処理剤組成物中の配合量は、0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%とする。0.1重量%未満であると十分な浸透促進効果が得られず、30重量%を超えると水に対する溶解性が低下して均一な組成物が得られず、しかも浸透促進効果の向上も望めない。
【0019】
本発明の毛髪処理剤組成物は、式(1)の化合物に加えて、その使用目的に応じて種々の毛髪処理成分が配合される。その場合、前述したように、それらの毛髪処理成分の毛髪への浸透速度と浸透量は高められたものとなる。
【0020】
例えば、毛髪処理剤組成物に、毛髪処理成分として染毛用染料を配合することができる。これにより毛髪を十分に染色することができる。ここで、染毛用染料としては、染毛用染料として公知の種々の染料を使用することができるが、他の染料に比べ式(1)の化合物による毛髪への浸透促進効果が高い酸性染料を使用することが好ましい。
【0021】
このような酸性染料としては、例えば、ニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料等を挙げることができる。具体的には、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色227号、赤色220号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、橙色230号、橙色207号、橙色205号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等を挙げることができる。
【0022】
これらの酸性染料の毛髪処理剤組成物中の配合量は、少な過ぎると染色性が不十分となり、多過ぎると溶解性が低下し、しかも染色性の向上も望めないので、好ましくは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.01〜1重量%とする。この場合、染毛用の毛髪処理剤組成物の水分含量を10〜97重量%とすることが好ましい。
【0023】
なお、このような酸性染料を染色用染料として含有する毛髪処理剤組成物のpHは、低過ぎると毛髪あるいは頭皮を傷めるおそれがあり、高過ぎると染色性が低下するので、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4に調整する。この場合、pHの調整は、乳酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸や、リン酸、塩酸等の無機酸を毛髪処理剤組成物に適宜添加することにより行うことができる。
【0031】
なお、毛髪処理剤組成物に、毛髪処理成分としてエチルカルビトール、紫外線吸収剤、脂質、界面活性剤、タンパク質又はその誘導体等の公知のダメージ低減剤を配合することもでき、これにより、毛髪に対するダメージ低減効果を付与することができる。あるいはまた、毛髪処理剤組成物に、毛髪処理成分としてカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、四級化ポリビニルピロリドン誘導体などのカチオン性重合体や両性重合体等の公知のコンディショニング付与剤を配合することができ、これにより、毛髪に持続性の良好なコンディショニング効果を付与することができる。また、毛髪処理剤組成物には、毛髪処理成分として香料を配合することができ、これにより、毛髪に持続性に優れ且つ強度の高い香気を付与することができる。
【0032】
なお、本発明の毛髪処理剤組成物には、組成物の安定性や所望のpH値を維持できる範囲で、低級アルコール、防腐剤、キレート剤等の添加物を適宜配合することができる。
【0033】
本発明の毛髪処理剤組成物は、通常、クリーム状、エマルジョン状、ゲル状、溶液状、ムース状あるいはフォーム状等の剤型とすることができる。
【0034】
クリーム状、エマルジョン状、ゲル状あるいは溶液状の剤型の毛髪処理剤組成物は、化粧品分野において通常用いられている湿潤剤(乳化剤)、可溶化剤、安定化剤、感触向上剤、整髪基剤等を、式(1)の化合物とともに水性媒体中に添加し、常法に従って製造することができる。ここで、湿潤剤(乳化剤)としては、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、脂肪族アルコールサルフェート、アルキルスルホネート、アシル化アミノ酸類、脂肪酸アルカノールアミド、エチレンオキシドと脂肪族アルコールとの付加生成物などのアニオン性、両性もしくはカチオン性界面活性剤を挙げることができる。また、感触向上剤又は整髪基剤としては、シリコーン誘導体、高級アルコール、各種非イオン系界面活性剤等の油性成分、カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0035】
また、ムース状あるいはフォーム状の剤型の毛髪処理剤組成物は、式(1)の化合物と1重量%以下の通常のノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤もしくはカチオン系界面活性剤又はそれらの混合界面活性剤と、0.5〜1重量%の増粘剤とを水性媒体に溶解もしくは分散させたものを液化石油ガス(噴射剤)とともにエアゾール缶に充填し、使用時にムース状又はフォーム状に噴射させればよい。
【0036】
本発明の毛髪処理剤組成物の使用態様としては、それに配合される毛髪処理成分とその使用目的とに応じた方法により使用する。例えば、毛髪の角質繊維を染色するための染毛用組成物として使用する場合には、毛髪処理剤組成物を角質繊維に15〜50℃の温度で10〜30分間作用させ、次いで洗浄し、乾燥すればよい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
【0038】
実施例1〜3及び比較例1〜2
表2の組成からなる染毛用の毛髪処理剤組成物を常法に従って調製した。
【0039】
【表2】
Figure 0003577841
【0040】
(評価)
得られた染毛用の毛髪処理剤組成物に含まれる浸透促進剤の効果を評価するために、それぞれの毛髪処理剤組成物を使用して以下に説明するようなヒトの毛髪に対する染色性試験を行い、その染色性を評価した。
【0041】
染色性試験
毛髪処理剤組成物を、白髪混じりのヒトの毛髪に塗布し、それを30℃の室内に15分間放置した。その後、毛髪を通常のシャンプーにて洗浄し、水で十分に濯いだ後に乾燥し、以下の評価基準に従ってその染色性を評価した。その結果を表3に示す。
【0042】
染色性評価基準
ランク 状態
5: ベンジルアルコールを使用した場合に比べて著しく優れた染色性の場合
4: ベンジルアルコールを使用した場合に比べ優れた染色性の場合
3: ベンジルアルコールを使用した場合と同等程度の染色性の場合
2: ベンジルアルコールを使用した場合に比べ劣った染色性の場合
1: ベンジルアルコールを使用した場合に比べ著しく劣った染色性の場合
【0043】
【表3】
Figure 0003577841
【0044】
表3から、実施例1〜3の染毛用の毛髪処理剤組成物は、従来の染毛用の毛髪処理剤組成物(比較例1)に比べ染色性が著しく向上しており、その浸透促進効果が大きく改善されていることがわかる。
【0045】
なお、浸透促進作用を有する化合物を用いていない比較例2の場合には、非常に不十分な染色性しか示さなかった。
【0046】
実施例4
表4に示す組成の黒色染毛用の毛髪処理剤組成物を常法に従って調製した。
【0047】
【表4】
Figure 0003577841
【0048】
得られた毛髪処理剤組成物について実施例1と同様に染色性を評価したところ、実施例1と同様の優れた染色性を示した。
【0049】
実施例5
表5に示す組成のブラウン色染毛用の毛髪処理剤組成物を常法に従って調製した。
【0050】
【表5】
Figure 0003577841
【0051】
得られた毛髪処理剤組成物について実施例1と同様に染色性を評価したところ、実施例1と同様の優れた染色性を示した。
【0060】
本実施例の毛髪処理剤組成物で毛髪を処理した後に洗髪し乾燥したとき並びに洗髪24時間後にも十分に高い柔軟性を示した。
【0061】
【発明の効果】
本発明の毛髪処理剤組成物は、毛髪に対する毛髪処理成分の大きく改善された浸透速度と浸透量とを示す。従って、例えば毛髪処理成分として染毛用の染料を配合した場合には毛髪を良好に染色することができる。

Claims (2)

  1. 式(1)
    Figure 0003577841
    (式中、R1 は、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基又はベンジル基である。)
    で表される化合物の少なくとも一種を0.1〜30重量%、及び染毛用染料として酸性染料を含有することを特徴とする毛髪処理剤組成物。
  2. 式(1)の化合物がN−ブチル尿素、N−ペンチル尿素又はN−ヘキシル尿素である請求項1記載の毛髪処理剤組成物。
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