JP3574470B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は透明性、機械的強度、リサイクル性に優れたオレフィン系の熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンにEPRやスチレン系エラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂は、優れた機械的強度、経済性、リサイクル性に優れることから、自動車の内・外装品、各種工業部品などの広い分野で用いられている。
【0003】
しかしながら、これらの材料は透明性の点で問題があり、透明性が要求されるフィルム、医療用材料などの使用については利用範囲が制約されることが多かった。
【0004】
この問題を解決する材料として、本発明者らは先に、特定の構造を有するスチレン系ブロック共重合体とポリプロピレンとからなる組成物を提案した(特開平2−300250号公報)が、後述の比較例からも明らかなように、透明性が必ずしも十分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリプロピレンが本来有する機械的強度、リサイクル性などの点で優れているという特性を損なうことなく、透明性のさらに改善されたオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記特開平2−300250号公報で提案した組成物の透明性をさらに改善するために、その発現機構について詳細に検討したところ、透明性の発現が水添ビニルポリイソプレンとポリプロピレンが分子レベルで相溶することによることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、上記の目的は、(1)ポリプロピレン5〜95重量部、および(2)3,4−結合含有量と1,2−結合含有量の合計が35%以上であり、数平均分子量が10000〜1000000のポリイソプレンの水添物95〜5重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することにより達成される。
【0008】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
【0009】
本発明において用いられる成分(1)のポリプロピレンについて特別な制限はないが、弾性率が重視される場合にはホモポリプロピレン、耐衝撃性が重視される場合にはブロックポリプロピレン、透明性が格別重視される場合にはランダムポリプロピレンを用いるのが好ましい。これらのポリプロピレンは併用して用いても差支えない。
【0010】
また、不飽和カルボン酸誘導体もしくはその無水物により変性したポリプロピレン、分子末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基を導入したポリプロプレンを用いても差支えない。
【0011】
本発明において成分(2)として用いるポリイソプレンの水添物について水添前のポリイソプレンの3,4−結合含有量と1,2−結合含有量の合計は35%以上である。この値が35%より少ない場合には、熱可塑性樹脂組成物の透明性が低下するため好ましくない。
【0012】
また、成分(2)として用いるポリイソプレンの水添物の数平均分子量は10000〜1000000の範囲である。数平均分子量が10000より小さい場合には、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が低下し、数平均分子量が1000000を越えると溶融粘度が高くなり、成分(1)のポリプロピレンとの混合がうまくいかず好ましくない。
【0013】
成分(2)として用いるポリイソプレンの水添物の水添率は耐熱性、耐候性を考慮すると、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。水添率が70%より低い場合には、熱可塑性樹脂組成物の透明性が低下するとともに、耐熱性、耐候性が低下することがある。
【0014】
また、本発明において成分(2)として用いるポリイソプレンの水添物としては、不飽和カルボン酸誘導体もしくはその無水物による変性物、分子末端の反応性を利用して官能基、例えば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などを導入したものも含まれる。
【0015】
成分(2)として用いるポリイソプレンの水添物は次の方法により得られる。
【0016】
まず、ポリイソプレンの製造法の一例として、アルキルリチウム化合物を重合開始剤として用いてイソプレンモノマーを重合させる方法が例示される。
【0017】
この方法におけるアルキルリチウム化合物の例としては、アルキル残基の炭素数が1〜10のアルキルリチウム化合物が挙げられるが、特にメチルリチウム、エチルリチウム、ペンチルリチウム、ブチルリチウムが好ましい。アルキルリチウム化合物の使用量は求める分子量により決定される性質のものであるが、重合に用いるイソプレンモノマー100重量部に対し、概ね0.01〜0.2重量部の範囲である。
【0018】
ポリイソプレンのミクロ構造として3,4−結合含有量と1,2−結合含有量の合計が35%以上になるようにするために、重合の際に共触媒としてルイス塩基が用いられる。ルイス塩基の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N−メチルモルホリン等のアミン系化合物等が挙げられる。これらのルイス塩基の使用量は、重合開始剤のリチウムのモル数に対して概ね0.1〜1000倍の範囲である。
【0019】
重合に際し、重合反応の制御を容易にするために溶媒を使用するのが好ましい。溶媒としては重合開始剤に対し不活性な有機溶媒が用いられ、特に炭素数が6〜12の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素が好ましく用いられる。その例としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。
【0020】
重合反応は0〜80℃の温度範囲で、0.5〜50時間の範囲で行われる。
【0021】
ポリイソプレンの水添は公知の方法により行われる。好ましい反応方法は、水添触媒および反応に不活性な溶媒に溶解した状態で公知の水添触媒により分子状態の水素を反応させる方法である。使用される触媒としては、ラネーニッケル、あるいはPt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒、遷移金属とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等の組合せからなるチーグラー系の触媒等が挙げられる。反応は、水素圧が常圧ないし200kg/cm2 、反応温度が常温ないし250℃、反応時間が0.1ないし100時間の範囲で行われる。
【0022】
水添反応後のポリイソプレンの水添物は、反応液をメタノール等により凝固させた後、加熱もしくは減圧乾燥させるか、または反応液を沸騰水中に注ぎ溶媒を共沸させて除去した後、加熱もしくは減圧乾燥することにより得られる。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その性質を損なわない程度であれば各種添加剤を含有することができる。その例として、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維等の補強剤もしくは充填剤等を5〜250重量部の量で用いることができ、あるいは酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等を0.01〜5重量部の量で用いることができる。
【0025】
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば他のポリマー、例えば熱可塑性樹脂をブレンドして使用することも可能である。その例として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水添物、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水添物、ポリエチレン、EPR、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらの重合体の使用比率は、本発明の組成物に対して概ね50%以下であるのがよい。
【0026】
本発明の組成物は、ニーダー、押出機、射出成形機等により混合、成形することにより使用される。
【0027】
本発明の組成物は、自動車の内装材、外装材、シート、フィルム、ホース、チューブ、医療用材料、スポーツ用品、玩具、家庭雑貨などの用途分野において用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。
【0029】
なお、実施例中の各測定値は以下の方法により求めた。
【0030】
分子量はGPCによった。
【0031】
ビニル結合含有量はNMRスペクトルから算出した。
【0032】
水添率は、水添反応前後のポリイソプレンのヨウ素価を測定し、その比から算出した。
【0033】
透明性の評価は光線透過率の測定により行った。
参考例1(ポリイソプレンの水添物の調製)
乾燥した窒素で置換された耐圧反応器中で、溶媒としてヘキサン、重合触媒としてn−ブチルリチウムを、ビニル化剤としてTHFを用い、イソプレンを添加して重合し、ポリイソプレン(I)、(II)を得た。次に、得られたポリイソプレン(I)、(II)をヘキサン中で、水添触媒としてPd−Cを用い、水素圧20kg/cm2 で水添反応を行い、水添物(I)、(II)を得た。分子特性を表1に示す。
【0034】
【表1】
参考例2(ブロック共重合体の水添物の調整)
乾燥した窒素で置換された耐圧反応器中で、溶媒としてシクロヘキサンを、重合触媒としてn−ブチルリチウムを、ビニル化剤としてTHFを用い、スチレン、イソプレンおよびスチレンをこれらの順番で添加して重合し、ブロック共重合体(I)を得た。次に得られたブロック共重合体(I)をシクロヘキサン中で、水添触媒としてPd−Cを用い、水素圧20kg/cm2 で水添反応を行い、水添物(I)を得た。分子特性を表2に示す。
【0035】
【表2】
実施例1〜4
参考例1で得られた水添ブロック共重合体(I)、(II)とポリプロピレンとを表3に示す処方によりブラベンダープラスチコーダーにより200℃で混練することにより組成物を作製し、得られた組成物をそれぞれ210℃でプレス成形し、透明性(光線透過率)の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
比較例1および2
参考例2で得られたブロック共重合体の水添物(I)とポリプロピレンとを表3に示す処方によりブラベンダープラスチコーダーにより200℃で混練することにより組成物を作製し、得られた組成物をそれぞれ210℃でプレス成形し、実施例と同様の測定を行った。評価結果を表3に示す。
【0036】
実施例1〜4ならびに比較例1および2の測定結果を表3に示す。この結果から、本発明の組成物は、従来の材料に比べて透明性に優れた材料であることがわかる。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の構造を有するポリイソプレンの水添物とポリプロピレンとを組合わせることにより透明性に優れた成形材料が提供される。
Claims (1)
- (1)ポリプロピレン5〜95重量部、および(2)3,4−結合含有量と1,2−結合含有量の合計が35%以上であり、数平均分子量が10000〜1000000のポリイソプレンの水添物95〜5重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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JPH07292203A JPH07292203A (ja) | 1995-11-07 |
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JP10793194A Expired - Fee Related JP3574470B2 (ja) | 1994-04-22 | 1994-04-22 | 熱可塑性樹脂組成物 |
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1994
- 1994-04-22 JP JP10793194A patent/JP3574470B2/ja not_active Expired - Fee Related
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