JP3565530B2 - 車両用シートのスライドレール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシートベルト付きの車両用シートにおける前後位置調節用のスライドレールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シートベルト付車両用シートに使用されるスライドレールは、車両の衝突時等のシートベルトにかかる剥離荷重に対応できるように、アッパーレール、ロアレールの肉厚を厚くするなどして補強している。
特に、ワンボックス車のシートベルト付セカンドシートなどに備えるスライドレールは、略四角形閉断面状で中央にアッパーレールを嵌挿するスリット付の長尺状ロアレールを使用し、このロアレールを車床に設けた凹溝内に埋設することにより、車内の外観の向上を図ると共に、ロアレールの幅方向における変形を防止して、ロアレールの変形に起因するアッパーレールの剥離を防止している。
一方、アッパーレールの変形はアッパーレール側に前記剥離荷重によってロアレールに係合するプレート状の係合部材を設けたり、アッパーレール自体の剛性を向上させるために、補強部材を溶接するなどしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の車床にロアレールを埋設するスライドレールはアッパーレールを補強部材等で補強しているため、重量増を招き、長尺状のロアレールに対するスライド性が損なわれる不具合があった。
そこで、本発明はシートベルト付車両用シートにおいて、アッパーレールにかかる剥離荷重によって変形しロアレールから剥離されることがないアッパーレールの軽量化を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明に係る車両用シートのスライドレールは、車両側に固定されるロアレールにシート側のアッパーレールをスライド自在に嵌合し、前記ロアレールは略四角形閉断面状で中央にアッパーレールを嵌挿するスリットを有し、前記アッパーレールの前、後部にはロアレール内を転動するローラを有しシートベルトからの剥離荷重がアッパーレールの後部側に加わる車両用シートのスライドレールにおいて、前記アッパーレールの後部にシートベルトの剥離荷重によって前記ロアレールの上部内面に接合する固定ローラを一体に設けたことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る自動車用シート(ワンボックス車のセカンドシート)に使用するスライドレールを示し、図中(1)はシート(不図示)に直接又はシートの底部に一体に固着したレッグ(不図示)を介して前後のボルト(6)(6)によって締結するアッパーレールを示す。
【0006】
図中(2)は長尺状のロアレールで、略四角形閉断面状で、その上部における幅方向の中央長手方向に、アッパーレール(1)の下部が嵌挿するスリットが開口され、車床に設けた凹溝内に埋設される。従って、このロアレール(2)は左右の側壁部が凹溝の内面に支持されるため、左右方向の変形が防止されている。
【0007】
アッパーレール(1)はL字状に折曲され、その後部側に設けた水平状の取付部(10)にボルト(6)、前部側に設けた水平状の取付部(10)にボルト(6)が上向きに突設され、この各ボルト(6)(6)により、シート又はシートと一体のレッグにアッパーレール(1)が締結される。そして、取付部(10)の上方に位置するシート又はレッグにシートベルトのアンカーが取付けられている。
【0008】
アッパーレール(1)のロアレール(2)内に嵌挿する垂直状の前部(13)と後部(12)には、ロアレール(2)の内底面を転動する前部ローラ(5)と後部ローラ(3)が軸着され、後部ローラ(3)の前側には固定ローラ(4)が並設されている。
【0009】
固定ローラ(4)は転動せずに、アッパーレール(1)側に溶接され、その外径は後部ローラ(3)に対して小径に形成して、ロアレール(2)の内底面に接触しないように取付けられている。
【0010】
図1において、図中(7)はアッパーレール(1)に一体に溶接しているアッパーレール(1)に加わる剥離荷重によってロアレール(2)に係合する係合部材、(14)はロック片で、このロック片(14)がロアレール(2)の底部に設けたロック孔に係合することにより、アッパーレール(1)はロアレール(2)にロックされる。
【0011】
図2乃至図4は本発明の要部を示し、アッパーレール(1)の後部側に設けた固定ローラ(4)は前記ボルト(6)の真下に取付けられており、固定ローラ(4)は中空状のローラで、シャフト(40)の両端に一体溶接され、シャフト(40)はアッパーレール(1)の後部(12)に挿通しシャフトに一体に溶接されている。
【0012】
以上のシャフト(40)は車両の衝突時におけるアッパーレール(1)のロアレール(2)に対する剥離荷重によって撓み、シャフト(40)の両端に有する各固定ローラ(4)(4)がロアレール(2)の上部(22)(22)内面に接合するように構成されている。
【0013】
後部ローラ(3)(3)はシャフト(30)に回転自在に軸着されている従来周知のものであり、アッパーレール(1)のロアレール(2)に対するスライド性を向上している。
【0014】
ロアレール(2)は図3に示すように、従来周知の構造のものであり、図中(20)は底部、(21)(21)は側壁部、(22)(22)は上部、(23)(23)は上部(22)(22)に延設した折曲部を夫々示し、上部(22)(22)の外面は、車床面と略同一面に、ロアレール(2)に固着させるカバー(8)によって被覆されている。
【0015】
以上の如く、アッパーレール(1)における固定ローラ(4)の真上にアッパーレール(1)をシート側に取付けるボルト(6)を配設することにより、車両の衝突時等に生じるボルト(6)からアッパーレール(1)に入力される上向きの剥離荷重は固定ローラ(4)に伝達される。そのため、固定ローラ(4)及び後部ローラ(3)がロアレール(2)の上部内面に接合してロアレール(2)側に前記剥離荷重を分散させることができる。
【0016】
そして、左右の固定ローラ(4)(4)は、各々シャフト(40)の撓みにより略均等の力でロアレール(2)側に接合するため、ロアレール(2)の上部(22)(22)の変形も防止され、しかも、固定ローラ(4)(4)はローラで形成され、各固定ローラ(4)にかかる荷重の方向性に関係なく固定ローラ(4)がロアレール(2)の上部内面に接合するため、ロアレール(2)に対する接合性が良好になる。
そのため、アッパーレール(1)がロアレール(2)から剥離することがない。
【0017】
図5は前記ボルト(6)に対して固定ローラ(4)と後部ローラ(3)と三角状、即ち、ボルト(6)を固定ローラ(4)と後部ローラ(3)との間の上方に配設したものであり、斯様な構成により、ボルト(6)に入力される前記剥離荷重は略均等に、固定ローラ(4)と後部ローラ(3)にかかり、両ローラ(4)(3)で剥離荷重を負担して、アッパーレール(1)のロアレール(2)からの剥離を防止することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のアッパーレールの後部ローラ側に固定ローラを設けるのみで、アッパーレールのロアレールからの剥離を防止することができる。そのため、従来品に比べ、スライドレールの構造が簡単になり軽量化を図ることができる。
【0019】
しかも、固定ローラは丸形断面であるため、一部に応力集中することなく、また、荷重の方向性に関係なく的確にロアレールの上部内面に接合し、剥離荷重をロアレール側に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスライドレールの部分切欠斜視図である。
【図2】本発明の要部を示す側面図である。
【図3】図2のIIIーIII線断面図である。
【図4】図2のIVーIV線断面図である。
【図5】他の実施例の部分切欠側面図である。
【符号の説明】
1 アッパーレール
2 ロアレール
3 後部ローラ
4 固定ローラ
Claims (5)
- 車両側に固定されるロアレールにシート側のアッパーレールをスライド自在に嵌合し、前記ロアレールは略四角形閉断面状で中央にアッパーレールを嵌挿するスリットを有し、前記アッパーレールの前、後部にはロアレール内を転動するローラを設けシートベルトからの剥離荷重がアッパーレールの後部側に加わる車両用シートのスライドレールにおいて、
前記アッパーレールの後部にシートベルトの剥離荷重によって前記ロアレールの上部内面に接合する固定ローラを一体に設けたことを特徴とする車両用シートのスライドレール。 - 前記固定ローラはアッパーレールの後部ローラに近接した位置に設けてなる請求項1記載の車両用シートのスライドレール。
- 前記固定ローラと後部ローラとの間における上方にアッパーレールをシート側に締結するボルトを配設してなる請求項1記載の車両用シートのスライドレール。
- 前記固定ローラは後部ローラに対して小径に形成してなる請求項1記載の車両用シートのスライドレール。
- 前記固定ローラはアッパーレールに挿通して固着したシャフトの両端に溶接し、該シャフトはシートベルトからの剥離荷重により可撓する請求項1記載の車両用シートのスライドレール。
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