JP3562245B2 - Transmission control device for automatic transmission - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用の自動変速機における変速を制御するための装置に関し、特にスクォート制御と称される非走行レンジから走行レンジにシフトした際に高速段側の変速段を経由して発進用の変速段を設定する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の自動変速機は、車両の停止状態や後進段あるいは前進状態などを、シフトレバーやスイッチなどによるレンジ切換によっておこなうように構成されている。これは、具体的には、シフトレバーやスイッチに連動するバルブによって油圧の給排系統を変更し、ニュートラルレンジでは出力軸にトルクが発生しないように摩擦係合装置を解放し、またリバースレンジやドライブレンジでは、それらの変速段を達成するのに必要とする摩擦係合装置に油圧を供給してこれを係合させている。
【0003】
したがってニュートラルレンジなどの非走行レンジからドライブレンジなどの走行レンジにマニュアルシフトした場合には、出力軸トルクがゼロの状態から変速比の大きい変速段(第1速や後進段)でのトルクの出力状態に切り替わる。このような出力軸トルクの変化状況は、急激な加速と同様な状態であり、前進段を設定するドライブレンジにシフトした場合には、車体の後部が一時的に沈み込むなどの車体の挙動変化が生じ、これが乗り心地の悪化要因になることがあり、さらに車両が停止している状態で走行レンジにシフトした場合には、動力の伝達系統の捩り弾性によりいわゆる揺り返しの状態が生じ、これも同様に乗り心地の悪化要因になることがある。
【0004】
そこで従来、非走行レンジから走行レンジにシフトした際の出力軸トルクの変化を緩和するためのスクォート制御がおこなわれている。この制御は、要は、走行レンジにシフトした際の出力軸トルクの変化割合を小さくする制御であり、例えばドライブレンジにシフトした場合には、第2速や第3速などの高速段側の変速段への変速を実行し、その後に第1速を設定する制御である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したスクォート制御では、発進用の変速段よりも変速比の小さい変速段を設定した後に発進用の変速段を設定するから、エンジンのアイドリング状態でマニュアルシフトされた場合のように入力トルクがほぼ一定の状態でスクォート制御が実行されれば、その制御内容に従って出力軸トルクが変化し、車体の沈み込みやショックなどが防止もしくは抑制される。しかしながら、スクォート制御には必然的にダウンシフトを伴うから、その制御中にアクセルペダルが踏み込まれた場合には、ダウンシフトショックが生じる可能性があった。すなわち高速段側の変速段を一時的に設定している状態で入力トルクが増大すると、その変速段での出力軸トルクが生じ、その直後に第1速などの発進用変速段へのダウンシフトが生じ、その際に出力軸トルクが大小に変化し、最終的には発進用の変速段の変速比に応じた出力軸トルクが発生する。そのためスクォート制御に伴う変速によって出力軸トルクが大きく変化し、これがショックとして体感され、乗り心地を損なう原因となる可能性があった。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、いわゆるスクォート制御時に入力トルクが増大した場合であってもショックを有効に防止することのできる変速制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、非走行レンジから走行レンジにシフトした際に高速段側の変速段を設定する変速制御を実行した後に低速段側の変速段への変速制御を実行する自動変速機の油圧制御装置において、前記変速制御時に制動状態の有無を検出する制動検出手段と、制動がおこなわれていないことが制動検出手段によって検出された場合に前記高速段側の変速段を設定するべく係合している摩擦係合装置の解放速度を、制動のおこなわれていることが検出された場合より速くする解放制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
したがって請求項1の発明では、非走行レンジから走行レンジへのシフトに伴う高速段側の変速段を経由して発進用の変速段を設定する変速の際に制動がおこなわれていなければ、高速段側の変速段を設定している摩擦係合装置が急速に解放させられる。これは、例えばその摩擦係合装置からの排圧速度を速くすることによりおこなわれる。その結果、低速段側の変速段へのダウンシフトが急速に生じ、出力軸トルクの変化割合が大きくなるが、自動変速機を搭載している車両は、制動がおこなわれていないことにより移動もしくは走行が可能であり、したがって出力軸トルクの変化によって車両が移動もしくは走行し、ショックが悪化することはない。また発進用の変速段すなわち低速段側の変速段が迅速に達成されるから、アクセルペダルが踏み込まれるなどのことによって入力トルクが増大しても、発進用変速段で入力トルクが増大したのと同等の状態となり、変速ショックが悪化することはない。さらに制動がおこなわれている状態では、高速段側の変速段からのダウンシフトがゆっくりおこなわれるので、その変速によるショックが生じることはない。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制動がおこなわれていないことが前記制動検出手段で検出された状態における前記変速制御時に前記自動変速機への入力トルクを増大させる出力増大要求の有無を検出する出力増大要求検出手段を更に備えるとともに、前記解放制御手段は、前記出力増大要求検出手段によって前記変速制御時の出力増大要求が検出された場合に、前記高速段側の変速段を設定するべく係合している摩擦係合装置の解放速度を、出力増大要求が検出されない場合より速くする手段を含むことを特徴とするものである。
【0010】
したがって請求項2の発明によれば、非走行レンジから走行レンジにシフトすることに伴う高速段側の変速段を経由して低速段側の変速段を設定する変速の際にアクセルペダルが踏み込まれるなどの出力増大要求があった場合、高速段側の変速段を設定していた摩擦係合装置が迅速に解放される。そのため高速段側の変速段での出力軸トルクが生じることがなく、低速段側の変速段が設定された状態で入力トルクが増大することになり、したがって非走行レンジから走行レンジにシフトすることに伴う変速ショックを有効に防止もしくは抑制することができる。これとは反対に出力増大要求がない場合には、入力トルクがほぼ一定の状態で高速段側の変速段を設定していた摩擦係合装置がゆっくり解放されるので、ショックが生じることはない。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする自動変速機の一例を説明する。図3に示すように、自動変速機10は、これに内蔵されているトルクコンバータの制御と変速の制御とのための油圧制御装置20を備えており、オイルポンプで発生させた油圧の調圧や変速段を達成するための摩擦係合装置の係合・解放ならびにトルクコンバータにおけるロックアップクラッチの係合・解放を制御するように構成されている。このような制御は、基本的には電気的におこなうように構成され、そのために油圧制御装置20には、主に変速を制御する第1ないし第3のソレノイドバルブSL1,SL2,SL3と、主にエンジンブレーキ状態を制御する第4のソレノイドバルブSL4と、主にロックアップクラッチと第3ブレーキ圧とを制御するリニアソレノイドバルブSLUと、主にライン圧を制御するリニアソレノイドバルブSLTと、主にアキュームレータ背圧を制御するリニアソレノイドバルブSLNとが設けられている。これらのソレノイドバルブを制御するための自動変速制御コンピュータ30が設けられている。
【0012】
この自動変速機10は、車載状態で動力源であるエンジンEに連結されている。このエンジンEの吸気管路13には、サーボモータなどのアクチュエータ11によって駆動される電子スロットルバルブ12が配置されており、アクセルペダル14の踏み込み量に応じてアクチュエータ11を駆動することによりスロットル開度を適宜に制御するように構成されている。このアクチュエータ11を含むエンジンEの全体の制御をおこなうためのエンジン制御コンピュータ50が設けられている。
【0013】
これらのコンピュータ30,50は、共に、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM,ROM)ならびに入出力インターフェースを主体にして構成され、図3に符号40で示す各種のデータに基づいて演算をおこない自動変速機10およびエンジンEの制御をおこなうように構成されている。具体的には、エンジン制御コンピュータ50には、前記アクセルペダル14の開度(踏み込み量)の信号に加えて、エンジン回転速度、吸入空気量、吸入空気温度、スロットル開度、車速、エンジン水温、ブレーキスイッチからの信号などが入力され、これらの信号に基づいて前記アクチュエータ11を駆動してスロットル開度を制御し、また燃料噴射量および点火時期を制御するように構成されている。
【0014】
また自動変速制御コンピュータ30には、スロットル開度、車速(出力軸回転数)、ブレーキスイッチからの信号、シフトポジション、パターンセレクトスイッチからの信号、クルーズ信号、C0 センサSN1 からの信号、C2 センサSN2 からの信号、トランスミッション油温、マニュアルシフトスイッチからの信号などが入力され、予め記憶している変速線図(変速マップ)などのマップ化したデータと合わせて演算し、変速制御や油圧制御を実行するように構成されている。なお、これらのコンピュータ30,50は、相互にデータを送信するように接続されている。
【0015】
上記の自動変速機10における歯車変速機構について図4を参照して説明すると、その歯車変速機構は、前置式オーバードライブ構成の副変速機構Dと、単純連結3プラネタリギヤトレーン構成の前進4速後進1速の主変速機構Mとを組み合わせた5速構成とされ、この機構部がロックアップクラッチL付のトルクコンバータTに連結されている。
【0016】
その副変速機構Dは、サンギヤS0 、キャリヤC0 、リングギヤR0 に関連してワンウェイクラッチ(OWC)F−0とこれに並列する多板クラッチC−0およびこれと直列する多板ブレーキB−0を備えている。一方、主変速機構Mは、サンギヤS1 〜S3 、キャリヤC1 〜C3 、リングギヤR1 〜R3 からなる各変速要素を適宜直結した単純連結の3組のギヤユニットP1 〜P3 を備え、各ギヤユニットP1 〜P3 の変速要素に関連して多板クラッチC−1,C−2、バンドブレーキB−1、多板ブレーキB−2〜B−4、ワンウェイクラッチ(OWC)F−1,F−2が配設されている。なお、図において、符号SN1 はクラッチC−0のドラム回転を検出するC0 センサ、SN2 はクラッチC−2のドラム回転を検出するC2 センサを示す。また、図示していないが、各クラッチおよびブレーキは、それらの摩擦材を係合・解放操作するピストン・シリンダ機構からなる油圧サーボを備えている。
【0017】
この自動変速機10で設定される変速レンジおよび各変速段は、図5の係合作動表に示すとおりであり、以下、各変速段について簡単に説明する。なお、図5において、〇印は係合すること、●印はエンジンブレーキ時に係合すること、◎印はトルクの伝達に関与しないで係合すること、空欄は解放状態にあることをそれぞれ示す。
【0018】
エンジンEの出力トルクは、トルクコンバータTを経て副変速機構Dの入力軸Nに伝達される。そして入力軸Nのトルクは、上記の油圧制御装置20による制御下で、クラッチC−0を係合させて副変速機構Dを直結とし、かつ主変速機構MのクラッチC−1を係合し、他の摩擦係合装置を全て解放とした場合に、ギヤユニットP3 に入力され、ワンウェイクラッチF−2によってリングギヤR3 の逆回転が阻止され、キャリヤC3 から出力軸Uに第1速の回転として出力される。
【0019】
また、第2速は、副変速機構Dが直結で、クラッチC−1およびブレーキB−3を係合したときに達成され、このとき、ギヤユニットP2 に入力されたトルクは、ギヤユニットP1 のキャリヤC1 を反力要素としてギヤユニットP2 のキャリヤC2 およびそれに直結するギヤユニットP1 のリングギヤR1 に出力され、出力軸Uに第2速の回転として出力される。
【0020】
第3速は、同様に、副変速機構Dが直結で、クラッチC−1およびブレーキB−2を係合させ、他の摩擦係合装置を解放させることにより達成される。そのとき、ギヤユニットP2 のリングギヤR2 に入力されたトルクは、サンギヤS2 を反力要素とし、キャリヤC2 を介して出力軸Uから第3速の回転として出力される。
【0021】
さらに、第4速は、同様に、副変速機構Dが直結で、クラッチC−1およびクラッチC−2が共に係合することにより達成される。このとき、リングギヤR2 およびサンギヤS2 に入力されるために、ギヤユニットP2 が直結状態となり、入力トルクがそのまま出力される。そして第5速は、主変速機構Mが上記の第4速と同様な状態になり、これに対して副変速機構DのクラッチC−0を解放するとともに、ブレーキB−0を係合させてサンギヤS0 を固定し、これにより副変速機構Dを増速回転させることにより達成される。
【0022】
そして後進段は、副変速機構Dを上記の状態とし、主変速機構MのクラッチC−2とブレーキB−4とを係合させることで達成される。このとき、ギヤユニットP2 のサンギヤS2 に入力されたトルクは、リングギヤR3 を反力要素とするギヤユニットP2 ,P3 のキャリヤC2 ,C3 の逆回転として出力される。
【0023】
この図5に示す作動表から知られるように第2速と第3速との間の変速が、ブレーキB−3とブレーキB−2との係合・解放状態を切り換えるクラッチ・ツウ・クラッチ変速となる。これらのブレーキB−2,B−3の係合・解放操作を行うための油圧の調圧と給排とに直接関与する油圧回路の部分には、図6に示すように、1−2シフトバルブ21、2−3シフトバルブ22、3−4シフトバルブ23、B−2リリースバルブ24、B−3コントロールバルブ25、リレーバルブ26およびB−2アキュームレータ27が配設されている。これらのシフトバルブを切り換える図3に示すソレノイドバルブSL1〜SL4、ロックアップ用リニアソレノイドバルブSLU、B−2アキュームレータ27およびその背圧を制御するアキュームレータコントロールバルブ用リニアソレノイドバルブSLN、エンジン負荷に応じた信号圧を出力するリニアソレノイドバルブSLTなどにより制御される。
【0024】
これらのうちブレーキB−3に対する油圧の供給・排出油路に配設したB−3コントロールバルブ25は、ブレーキB−3の油圧をフィードバックして第1の向き(図では上向き)に印加され、それとは逆の第2の向き(図では下向き)に外部制御信号油圧(リニアソレノイドバルブSLUの出力する信号圧)PSLU を印加され、それらの圧力に応じてブレーキB−3の油圧を調圧するスプール251と、このスプール251と同軸的に配置され、ブレーキB−2を係合させてブレーキB−3を解放する掴み替え変速(クラッチ・ツウ・クラッチ変速)時に、ブレーキB−2の油圧を図での上向きに印加され、少なくとも前記変速時に、リニアソレノイドバルブSLUの信号圧を図での下向きに印加させるプランジャ252とからなり、ブレーキB−2の油圧が印加されることによってプランジャ252がスプール251に当接し、スプール251と連動して動作するように構成されている。
【0025】
そして、B−3コントロールバルブ25へのB−3ブレーキ圧を調圧するための油圧の供給は、掴み替え変速時に切り換え操作されないシフトバルブとしての1−2シフトバルブ21を介して行われる。さらに、B−3コントロールバルブ25とブレーキB−3との間にブレーキB−2からの油圧により制御されるリレーバルブ26が配置されている。
【0026】
さらに前記各バルブと油路との接続関係を詳述すると、図示しないマニュアルバルブに連なるDレンジ圧油路201は、1−2シフトバルブ21を経て分岐し、一方の油路201aは、2−3シフトバルブ22を経由してリレーバルブ26に接続され、このリレーバルブ26を経由してブレーキB−3の油路203bに接続されている。分岐した他方の油路201bは、3−4シフトバルブ23、B−2リリースバルブ24を経てB−3コントロールバルブ25の入力ポート254に連なり、そのB−3コントロールバルブ25から油路203aを経てリレーバルブ26に接続されている。
【0027】
マニュアルバルブに連なる他方のDレンジ圧油路202は、2−3シフトバルブ22を経て分岐し、一方の油路202aは、オリフィスを経てブレーキB−2の油路204に接続されている。この油路204は、B−2リリースバルブ24およびチェックバルブを経由して油路202aに接続されるとともに、オリフィスを経てアキュームレータ27に接続されている。分岐した他方の油路202bは、3−4シフトバルブ23を経てクラッチC−2に接続されている。
【0028】
3−4シフトバルブ23は、上記の両方の油路201b,202bの連通および遮断の他にソレノイドバルブSL3の信号圧(PSL3 )のB−2リリースバルブ24のスプール端への印加を行うべく、ソレノイドバルブ信号圧油路205(図には二点鎖線で示してある。)を介してB−2リリースバルブ24に接続されている。
【0029】
B−2リリースバルブ24は、ブレーキB−2の解放終期にアキュームレータ27の油圧のドレーンを迅速化するバイパス回路を形成するべく設けられており、スプリングの弾性力が負荷されたスプール241を有し、前記3−4シフトバルブ23を経由してソレノイドバルブSL3の信号圧(PSL3 )をスプール241の端部に印加されて、バイパス油路201dのブレーキB−2用油路204への連通および遮断と、前記Dレンジ圧油路201bのB−3コントロールバルブ25の入力ポート254への連通およびプランジャ253の端部の信号ポートへの連通の切り換え、ならびに他のDレンジ圧油路201aから分岐する油路201eの油路201bへの連通および遮断を行う。したがってB−3コントロールバルブ25の入力ポート254へは2つの油路201b,201eから1−2シフトバルブ21を経て2−3シフトバルブ22および3−4シフトバルブ23を経由する並列的にDレンジ圧(PD )を供給することが可能である。
【0030】
B−3コントロールバルブ25は、フィードバック圧入力ポート256を経てスプール251の端部に印加されるフィードバック圧によりスプール251に設けられた2つのランドの一方で入力ポート254を開閉し、他方でドレーンポートEXを開閉することで出力ポート255に連なる油路203aの油圧を調圧する構成とされており、スプール251と同軸的に配設されたプランジャ252は差動ピストン形状とされ、径差部にリニアソレノイド信号圧(PSLU )、端面に2−3シフトバルブ22を介してブレーキB−2の油路204に連なる油路204aのブレーキB−2の係合圧を印加されて、スプール251に当接・離隔可能なストローク域を有する構成とされている。このB−3コントロールバルブ25には、さらにスプール251へのスプリング258の負荷を変更するプランジャ253がプランジャ252とは反対側に設けられており、このプランジャ253の一方の端面にはB−2リリースバルブ24を経由する油路201bのDレンジ圧(PD )の印加および解放が可能なように構成されている。
【0031】
なお、リレーバルブ26は、ブレーキB−2が係合している状態では、ブレーキB−3から排圧させることにより、これらのブレーキB−2,B−3が共に所定以上のトルク容量を持つことを回避し、また第3速以上の変速段では、リニアソレノイドバルブSLUの信号圧をロックアップクラッチの制御系統に切り換えて供給するものであり、図6にはブレーキB−2の油圧によってブレーキB−3の油圧の給排を制御する部分のみを模式的に示してある。すなわちこのリレーバルブ26は、スプリング負荷されたスプールタイプの切換弁であり、スプリング負荷側のスプール端部に油路204のB−2ブレーキ圧を、また他のスプール端部にはライン圧(PL )が対抗して印加されている。そしてB−2ブレーキ圧が油路204を介してスプール端部に印加されている状態では、ブレーキB−3の油圧203bを油路201aに連通させ、ブレーキB−3から2−3シフトバルブ22を介して排圧し、またこれとは反対にスプール端部にB−2ブレーキ圧が印加されていない状態では、油路203bを油路203aに連通させて、B−3コントロールバルブ25で調圧されて油圧をブレーキB−3に供給するように構成されている。したがってこれら二つのブレーキB−2,B−3に同時に油圧が供給されること、すなわち共に所定以上のトルク容量を持つことがないように油圧回路が構成され、フェールセーフが確立されている。換言すれば、ブレーキB−2が係合している状態では、ブレーキB−3に油圧を供給することができないようになっている。
【0032】
上記の自動変速機10は、ニュートラルレンジやパーキングレンジなどの非走行レンジからドライブレンジあるいはリバースレンジなどの走行レンジにシフトした場合に、走行のための変速段(変速比)を設定する以前に、それより変速比の小さい状態(変速段)に一旦、設定し、その後に走行のための変速段(変速比)を設定するスクォート制御を実行する。また上述したように前進第3速を設定するために係合する第3のブレーキB−3は、リニアソレノイドバルブSLUの信号圧を変えることによりB−3コントロールバルブ25の調圧レベルを変え、これによりブレーキB−3の油圧を直接制御するように構成されている。そこでこの発明の制御装置は、そのブレーキB−3の油圧制御系統を利用し、スクォート制御は、ブレーキB−3を係合・解放させることにより第2速を経由して第1速を設定するように構成されている。
【0033】
その制御例を図1および図2にフローチャートによって示してある。これらの図1および図2は、作図の都合上、一つの制御ルーチンを分割して示しており、この制御ルーチンは、例えば数十msecごとに実行される。先ず、入力信号の読み込みなどの入力信号の処理をおこなった後に、ステップ1でニュートラル接点(N接点)がオフに切り替わったか否かが判断される。これは、シフトポジション信号に基づいて判断することができ、したがってこのステップ1では、非走行レンジであるニュートラルレンジから走行レンジに切り換えられたか否かが判断されることになる。
【0034】
走行レンジに切り換えられたことによりステップ1で肯定判断された場合には、ブレーキオンか否か、すなわち制動操作がおこなわれているか否かが判断される(ステップ2)。これは、ブレーキスイッチから入力される信号に基づいて判断することができる。制動状態にあることによりステップ2で肯定判断された場合には、アイドルスイッチがオン(IDL ON)か否かが判断される(ステップ3)。アイドルスイッチはアクセルペダルを戻すことによりオンとなるから、ステップ3では、エンジンEの出力を増大させる操作すなわち出力の増大要求の有無を判断することになる。
【0035】
出力の増大要求がない場合、すなわちアイドルオンであることによりステップ3で肯定判断された場合には、スクォート制御を開始する(ステップ4)。前述したようにこの発明で対象とする自動変速機10は、第2速を経由して第1速を設定するスクォート制御を実行し、したがって例えばニュートラルレンジからドライブレンジにシフトした場合には、第2速用の摩擦係合装置であるブレーキB−3に油圧と前進用のクラッチである第1のクラッチC−1とに対する油圧の供給が開始される。その場合、ブレーキB−3がクラッチC−1より若干早く係合する。その後、第3のブレーキB−3から排圧されて第1速へのダウンシフトが生じる。
【0036】
ステップ4に続くステップ5ではこのように変速が開始されたか否かが判断される。変速が開始していることによりステップ5で肯定判断されれば、フラグを“1”にセットし(ステップ6)、ついでその変速が終了したか否かが判断される(ステップ7)。そして変速が終了していることによりステップ7で肯定判断された場合には、フラグを“2”にセットし(ステップ8)、図2に示すステップ9に進む。なお、変速開始および変速終了は、例えば自動変速機10の入力回転数の変化もしくは変速出力を起点とするタイマによって判断することができる。
【0037】
一方、ニュートラルスイッチがオンに切り替わっていないことにより、すなわちニュートラルレンジが選択されている場合には、ステップ10でフラグを“0”にセットした後、ステップ9進む。またニュートラルレンジから他のレンジにシフトされたものの制動操作がおこなわれていないことによりステップ2で否定判断された場合には、直ちにステップ9に進む。したがって制動操作がおこなわれていない場合には、非走行レンジから走行レンジにシフトされた場合であっても、スクォート制御を実行しないことになる。これは、出力増大要求がある場合も同様である。すなわちアイドルスイッチがオンでないことによりステップ3で否定判断された場合には直ちにステップ9に進み、スクォート制御を実行しない。なお、変速が開始していないことによりステップ5で否定判断された場合には、直ちにステップ9に進む。さらに変速を開始したものの変速が終了していない場合には、フラグを“1”にセットしたままステップ9に進む。
【0038】
このようにしてスクォート制御の実行および不実行の判断と、スクォート制御の際の変速の開始および終了を判断する。
【0039】
ところでステップ9では、フラグが“0”にセットされているか否かが判断される。ニュートラルレンジから他のシフトレンジに切り換えられた場合には、フラグが“0”以外の値にセットされているので、その場合はステップ9で否定判断され、そしてステップ11に進む。ステップ11では、フラグが“1”にセットされているか否かが判断される。スクォート制御による変速が開始された後、その変速が終了するまでの間は、フラグが“1”にセットされているので、その変速中であれば、ステップ11で肯定判断される。この場合、アイドルスイッチがオンか否か、すなわち出力の増大要求の有無が判断される(ステップ12)。アクセルペダル14が踏み込まれるなどのことによりアイドルオフとなった場合、すなわち出力の増大要求があってステップ12で否定判断された場合には、デューティDSLU の減少率(減少させるためのステップ幅)ΔDLSU を“100”に設定する(ステップ13)。
【0040】
そしてこの減少率ΔDSLU をその直前に設定されているデューティ比DSLU から減算し、これをその時点のデューティ比DSLU とする(ステップ14)。デューティ比DSLU の減少率ΔDSLU を“100”にセットすると、結局、デューティ比はゼロもしくは負になり、したがって次のステップ15でデューティ比DSLU がゼロ以下か否かを判断すると、その判断結果が“イエス”となり、このルーチンを終了する。
【0041】
このデューティ比DSLU は、リニアソレノイドバルブSLUを制御するためのものであり、その値がゼロであれば、このリニアソレノイドバルブSLUはオフ状態となって信号圧PSLU を出力しない。その状態では、B−3コントロールバルブ25の調圧レベルがゼロになり、その出力ポート255がドレーンポートに連通する。そのためブレーキB−3からは、油路203b,203aを介してB−3コントロールバルブ25のドレーンポートに排圧され、その結果、ブレーキB−3が急速に解放される。すなわち第1速が急速に設定される。
【0042】
したがってアクセルオン操作に伴って入力トルクが増大すると同時に第1速が設定され、第1速で出力軸トルクが発生する。その場合、スクォート制御に伴う第2速の状態での出力軸トルクが生じることが回避されるので、ダウンシフトショックが生じることはない。
【0043】
またこのようにリニアソレノイドバルブSLUをオフ状態に設定する制御は、ニュートラル状態であることによりステップ9で肯定判断された場合にも実行される。すなわちステップ9で肯定判断されれば、直ちにステップ15に進んでデューティ比DSLU の減少率ΔDLSU を“100”にセットする。
【0044】
なお、アイドリング状態のままであることによりステップ12で肯定判断された場合には、直ちにステップ15に進む。その場合、デューティ比DSLU がゼロより大きい値であれば、このステップ15で否定判断され、ステップ9に戻る。
【0045】
ところでステップ11で否定判断された場合、すなわちフラグが“1”でなければ、変速(例えば第2速への変速)が終了していることが判断されていることになり、この場合は、制動が行われていないこと、すなわちブレーキオフか否かが判断される(ステップ16)。ここで否定判断されれば、制動操作が行われていることになり、この場合は、アイドルオンか否かが判断される(ステップ17)。このステップ17で肯定判断されれば、出力の増大要求がないことになり、したがってこの場合は、デューティ比DSLU の減少率ΔDSLU を小さい値Aにセットする(ステップ18)。そしてステップ14に進み、デューティ比DSLU がゼロ以下になるまで継続する。
【0046】
ここでこの減少率ΔDSLU として設定された小さい値Aは、デューティ比DSLU の減少勾配が小さくなることによりB−3コントロールバルブ25の調圧レベルの低下率、すなわちブレーキB−3の解放の速度を緩慢にする値である。したがって第2速を設定していたブレーキB−3のトルク容量がゆっくり低下することにより、第1速への変速およびそれに伴う出力軸トルクの変化がゆっくり生じ、したがって車体の沈み込みやショックが生じることが防止される。
【0047】
これに対してステップ17で否定判断された場合は、制動状態でアクセルペダルが踏み込まれるなどの出力増大要求があった場合である。これは、通常、殆ど生じない状態であるが、この場合は、出力増大要求があることによりステップ13に進み、デューティ比DSLU の減少率を“100”にセットし、前述した場合と同様に、急速に第1速を設定する。
【0048】
さらに制動操作が行われていないことによりステップ16で肯定判断された場合には、アイドルオンか否かが判断される(ステップ19)。アイドリング状態であることによりこのステップ19で肯定判断された場合には、デューティ比DSLU の減少率ΔDLSU として前記の値Aより大きい所定値Bが設定される(ステップ20)。そして前述したステップ14に進む。したがってこの場合、制動操作が行われている場合より速く第3のブレーキB−3から排圧されて第1速が設定される。制動操作が行われていないことにより車両が移動もしくは走行可能な状態になっており、出力軸トルクの増大によって車両が移動もしくは走行し、出力軸トルクの変化がショックとして体感される可能性が殆どないからである。また当然、動力伝達系統の捩り変形やそれに起因する揺り返しなどが生じることがないからである。
【0049】
これに対して出力の増大要求があってステップ19で否定判断された場合には、ステップ13に進んでデューティ比DSLU の減少率ΔDSLU を“100”にセットする。これは、ステップ12で肯定判断された場合、あるいはステップ17で否定判断された場合と同様に、迅速に第1速を設定することが好ましいからである。
【0050】
ここでこの発明における各手段と上記の制御との対応関係を示すと、上記のステップ16が請求項1における制動検出手段に相当し、またステップ13,18,20が請求項1の解放制御手段に相当する。また上記のステップ19が請求項2の出力増大要求検出手段に相当し、またステップ13,20が請求項2の解放制御手段に相当する。
【0051】
したがって上記の制御によれば、制動が行われていない場合には、第2速を設定するべく係合していたブレーキB−3が迅速に解放され、したがってその変速途中でアクセルペダルが踏み込まれるなどのことがあってもダウンシフトショックが回避もしくは抑制される。さらにアクセルペダルが踏み込まれるなどの出力増大要求があった場合には、ブレーキB−3を直ちに解放させるように制御するので、第2速での出力軸トルクが生じた後に第1速に変速するなどの事態が回避され、この場合もダウンシフトショックを有効に防止することができる。
【0052】
なお、上記の具体例では図6に示す油圧回路を備えた自動変速機10を対象としたことにより、リニアソレノイドバルブSLUのデューティ比DSLU を制御してブレーキB−3からのドレーン速度を制御することとしたが、この発明は、上記の例に限定されないのであって、オリフィスコントロールバブルなどの排圧油路を切り換える手段によってドレーン速度を制御するなど、必要に応じて適宜の手段によってドレーン速度を制御するように構成してもよい。またこの発明は、上述したギヤトレーンや油圧制御装置以外のギヤトレーンあるいは油圧制御装置を備えた自動変速機を対象とする制御装置に適用することができるのであり、したがっていわゆるスクォート制御で設定される高速段側の変速段は第2速以外の変速段であってもよく、それに伴い解放制御される摩擦係合装置は、上記の第3のブレーキ以外の摩擦係合装置であってもよい。なおまた、この発明でいわゆるスクォート制御をおこなうマニュアルシフトは、ニュートラルレンジからドライブレンジのシフトに限らず、パーキングレンジからリバースレンジへのシフトであっても良く、その場合、副変速部(オーバードライブ部)を高速段にした後にこれを低速段に切り換える変速制御を実行することになる。そしてこの発明は、動力源を、エンジン以外に、モータや、モータおよびエンジンとした車両に搭載された自動変速機の制御装置に適用することができ、したがって出力増大要求の検出は、アイドルスイッチやアクセルペダルの踏み込み以外の適宜の操作を検出することによりおこなってもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、制動操作のおこなわれていないことが検出されて車両が移動もしくは走行可能な状態であれば、いわゆるスクォート制御に伴う変速を実行する摩擦係合装置の解放速度を速くしたので、その摩擦係合装置の解放速度が速いことによる出力時トルクの変化が車両の移動もしくは走行によって吸収されてショックとして現れないうえに、アクセルペダルが踏み込まれるなどの入力トルクの増大制御が実施されたとしても、ダウンシフトショックが防止もしくは抑制され、乗り心地の悪化を回避することができる。
【0054】
また請求項2の発明によれば、いわゆるスクォート制御による変速の際にアクセルペダルが踏み込まれるなどの出力の増大要求があった場合に、高速段側の変速段を設定するべく係合していた摩擦係合装置を急速に解放して発進用の変速段を設定するので、高速段側の変速段での出力軸トルクが発生した後にダウンシフトが生じ、さらに発進用変速段での出力軸トルクが生じるなどの事態を回避でき、出力の増大要求とほぼ同時に発進用変速段での出力軸トルクが発生し、いわゆるダウンシフトショックを防止あるいは抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置によって実行される制御例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図2】そのフローチャートの他の部分を示す図である。
【図3】この発明で対象とする自動変速機の全体的な制御系統を示すブロック図である。
【図4】その自動変速機のギヤトレーンの一例を示すスケルトン図である。
【図5】各変速段を設定するための摩擦係合装置の係合・解放状態を示す図表である。
【図6】この発明で対象とする自動変速機の油圧回路の一部を示す部分油圧回路図である。
【符号の説明】
E エンジン
10 自動変速機
20 油圧制御装置
25 B−3コントロールバルブ
30 自動変速制御コンピュータ
50 エンジン制御コンピュータ
B−3 ブレーキ
SLU リニアソレノイドバルブ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a device for controlling a shift in an automatic transmission for a vehicle, and more particularly to a device for starting via a high speed side shift stage when shifting from a non-running range called a squat control to a running range. The present invention relates to a control device for setting the shift speed of the vehicle.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art An automatic transmission for a vehicle is configured such that a stopped state, a reverse gear, or a forward movement of a vehicle is controlled by a range switch using a shift lever or a switch. Specifically, the hydraulic supply / discharge system is changed by a valve linked to a shift lever or a switch, a friction engagement device is released so that torque is not generated on an output shaft in a neutral range, and a reverse range or In the drive range, hydraulic pressure is supplied to and engaged with the frictional engagement devices required to achieve those shift speeds.
[0003]
Therefore, when the vehicle is manually shifted from a non-traveling range such as a neutral range to a driving range such as a drive range, the torque output at a shift speed (first speed or reverse speed) having a large speed ratio from a state where the output shaft torque is zero. Switch to state. Such a change in the output shaft torque is similar to a sudden acceleration, and when shifting to a drive range for setting the forward gear, a change in the behavior of the vehicle body such as a temporary sinking of the rear portion of the vehicle body. This may cause a deterioration in ride comfort, and when the vehicle is shifted to the driving range while the vehicle is stopped, a so-called swinging state occurs due to the torsional elasticity of the power transmission system. May also be a factor in deteriorating ride comfort.
[0004]
Therefore, conventionally, squat control has been performed to alleviate a change in output shaft torque when shifting from the non-traveling range to the traveling range. The point of this control is to reduce the rate of change of the output shaft torque when shifting to the drive range. For example, when shifting to the drive range, the control is performed on the high speed side such as the second speed or the third speed. This is a control for executing a shift to a shift speed and thereafter setting a first speed.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
In the above-described squat control, the starting gear is set after setting the gear having a smaller gear ratio than the starting gear, so that the input torque is almost the same as in the case of manual shifting in the idling state of the engine. If the squat control is executed in a constant state, the output shaft torque changes according to the control content, and sinking and shock of the vehicle body are prevented or suppressed. However, since the squat control necessarily involves a downshift, if the accelerator pedal is depressed during the control, a downshift shock may occur. In other words, if the input torque increases while the gear on the high gear side is temporarily set, an output shaft torque is generated at that gear, and immediately thereafter, the downshift to the starting gear such as the first gear is performed. At this time, the output shaft torque changes in magnitude, and finally, an output shaft torque corresponding to the speed ratio of the starting gear is generated. For this reason, the output shaft torque greatly changes due to the shift accompanying the squat control, and this may be felt as a shock, which may cause a loss of ride comfort.
[0006]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and has as its object to provide a shift control device that can effectively prevent a shock even when input torque increases during so-called squat control. Things.
[0007]
Means for Solving the Problems and Their Functions
In order to achieve the above object, the invention according to claim 1 executes a shift control for setting a shift speed on a high speed side when shifting from a non-drive range to a drive range, and then shifts to a shift speed on a low speed side. A hydraulic pressure control device for an automatic transmission for performing a shift control, wherein the brake detecting means detects whether or not a braking state is present at the time of the shift control; and And a release control means for setting a release speed of the frictional engagement device engaged to set the shift speed on the side to be higher than that in a case where it is detected that braking is being performed. Things.
[0008]
Therefore, according to the first aspect of the present invention, if the braking is not performed at the time of setting the starting shift stage via the higher shift stage associated with the shift from the non-traveling range to the traveling range, the high-speed shifting is performed. The frictional engagement device that sets the gear position on the gear side is rapidly released. This is performed, for example, by increasing the speed of exhausting the pressure from the friction engagement device. As a result, a downshift to a lower gear shift stage occurs rapidly, and the rate of change in the output shaft torque increases.However, the vehicle equipped with the automatic transmission moves or shifts because the braking is not performed. The vehicle can travel, and therefore, the vehicle does not move or travel due to the change in the output shaft torque, and the shock does not deteriorate. Also, since the starting gear, that is, the lower gear, is quickly achieved, even if the input torque increases due to depression of the accelerator pedal or the like, the input torque increases at the starting gear. The state is the same, and the shift shock does not deteriorate. Further, in the state where the braking is being performed, the downshift from the shift speed on the higher gear side is performed slowly, so that the shock due to the shift does not occur.
[0009]
The invention of
[0010]
Therefore, according to the second aspect of the present invention, the accelerator pedal is depressed at the time of shifting to setting the lower gear through the higher gear associated with shifting from the non-travel range to the travel range. For example, when an output increase request is issued, the friction engagement device that has set the shift speed on the higher gear side is quickly released. As a result, the output shaft torque does not occur at the higher gear, and the input torque increases when the lower gear is set. Therefore, the shift from the non-travel range to the travel range is performed. Can be effectively prevented or suppressed. On the other hand, when there is no request to increase the output, the friction engagement device that has set the shift speed on the high speed side with the input torque substantially constant is slowly released, so that no shock occurs. .
[0011]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, the present invention will be described based on a specific example shown in the drawings. First, an example of an automatic transmission according to the present invention will be described. As shown in FIG. 3, the
[0012]
The
[0013]
Each of these
[0014]
The automatic transmission control computer 30 also includes a throttle opening, a vehicle speed (output shaft rotation speed), a signal from a brake switch, a shift position, a signal from a pattern select switch, a cruise signal, a signal from a C0 sensor SN1, a C2 sensor SN2. , The transmission oil temperature, the signal from the manual shift switch, etc. are input and calculated together with pre-stored mapped data such as a shift diagram (shift map) to execute shift control and hydraulic control. It is configured to These
[0015]
The gear transmission mechanism of the
[0016]
The auxiliary transmission mechanism D includes a one-way clutch (OWC) F-0, a multi-plate clutch C-0 in parallel with the one-way clutch (OWC) F-0, and a multi-plate brake B-0 in series with the sun gear S0, the carrier C0, and the ring gear R0. Have. On the other hand, the main transmission mechanism M includes three sets of gear units P1 to P3 in a simple connection in which respective transmission elements including sun gears S1 to S3, carriers C1 to C3, and ring gears R1 to R3 are directly connected as appropriate. Multiple disc clutches C-1, C-2, band brake B-1, multiple disc brakes B-2 to B-4, and one-way clutches (OWC) F-1, F-2 are arranged in connection with the speed change element P3. Is established. In the drawing, reference numeral SN1 denotes a C0 sensor for detecting the rotation of the drum of the clutch C-0, and SN2 denotes a C2 sensor for detecting the rotation of the drum of the clutch C-2. Although not shown, each clutch and brake has a hydraulic servo composed of a piston-cylinder mechanism for engaging and disengaging the friction members.
[0017]
The shift range and each shift speed set in the
[0018]
The output torque of the engine E is transmitted to the input shaft N of the auxiliary transmission mechanism D via the torque converter T. The torque of the input shaft N is controlled by the
[0019]
The second speed is achieved when the subtransmission mechanism D is directly connected and the clutch C-1 and the brake B-3 are engaged. At this time, the torque input to the gear unit P2 is equal to the torque of the gear unit P1. The carrier C1 is output as a reaction force element to the carrier C2 of the gear unit P2 and the ring gear R1 of the gear unit P1 directly connected to the carrier C2, and is output to the output shaft U as the second speed rotation.
[0020]
The third speed is similarly achieved by directly connecting the subtransmission mechanism D, engaging the clutch C-1 and the brake B-2, and releasing the other friction engagement devices. At this time, the torque input to the ring gear R2 of the gear unit P2 is output as the third speed rotation from the output shaft U via the carrier C2 with the sun gear S2 as a reaction force element.
[0021]
Further, the fourth speed is similarly achieved by directly connecting the subtransmission mechanism D and engaging the clutch C-1 and the clutch C-2 together. At this time, since the gear unit P2 is directly input to the ring gear R2 and the sun gear S2, the input torque is output as it is. In the fifth speed, the main transmission mechanism M is in the same state as the above-described fourth speed. In contrast, the clutch C-0 of the sub transmission mechanism D is released and the brake B-0 is engaged. This is achieved by fixing the sun gear S0 and thereby rotating the auxiliary transmission mechanism D at an increased speed.
[0022]
The reverse speed is achieved by bringing the sub transmission mechanism D into the above state and engaging the clutch C-2 and the brake B-4 of the main transmission mechanism M. At this time, the torque input to the sun gear S2 of the gear unit P2 is output as reverse rotation of the carriers C2, C3 of the gear units P2, P3 having the ring gear R3 as a reaction force element.
[0023]
As is known from the operation table shown in FIG. 5, the shift between the second speed and the third speed is a clutch-to-clutch shift for switching the engagement / release state of the brake B-3 and the brake B-2. It becomes. As shown in FIG. 6, a part of the hydraulic circuit directly involved in the adjustment of the hydraulic pressure and the supply / discharge of the hydraulic pressure for performing the engagement / disengagement operation of the brakes B-2 and B-3 includes a 1-2 shift operation. A
[0024]
Among these, the B-3
[0025]
The supply of the hydraulic pressure for adjusting the B-3 brake pressure to the B-3
[0026]
Further, the connection relationship between each valve and the oil passage will be described in detail. A D range
[0027]
The other D-range
[0028]
The 3-4
[0029]
The B-2
[0030]
B-3
[0031]
When the brake B-2 is engaged, the
[0032]
When the
[0033]
An example of the control is shown by flowcharts in FIGS. FIGS. 1 and 2 show one control routine divided for convenience of drawing, and this control routine is executed, for example, every several tens msec. First, after performing input signal processing such as input signal reading, it is determined in
[0034]
When an affirmative determination is made in
[0035]
If there is no request to increase the output, that is, if a positive determination is made in
[0036]
In step 5 following
[0037]
On the other hand, if the neutral switch has not been turned on, that is, if the neutral range has been selected, the flag is set to "0" in
[0038]
In this way, the determination as to whether or not the squat control is to be performed and the start and end of the shift in the squat control are determined.
[0039]
In step 9, it is determined whether the flag is set to "0". If the shift range is changed from the neutral range to another shift range, the flag is set to a value other than "0". In that case, a negative determination is made in step 9 and the process proceeds to step 11. In
[0040]
Then, this reduction rate ΔDSLU is subtracted from the duty ratio DSLU set immediately before, and this is set as the current duty ratio DSLU (step 14). When the reduction ratio ΔDSLU of the duty ratio DSLU is set to “100”, the duty ratio eventually becomes zero or negative. Therefore, when it is determined in the
[0041]
This duty ratio DSLU is for controlling the linear solenoid valve SLU, and if its value is zero, this linear solenoid valve SLU is turned off and does not output the signal pressure PSLU. In this state, the pressure regulation level of the B-3
[0042]
Therefore, the first speed is set at the same time as the input torque increases with the accelerator-on operation, and the output shaft torque is generated at the first speed. In this case, the generation of the output shaft torque in the second speed state due to the squat control is avoided, so that the downshift shock does not occur.
[0043]
The control for setting the linear solenoid valve SLU to the off state as described above is also executed when the determination in step 9 is affirmative due to the neutral state. That is, if an affirmative determination is made in step 9, the process immediately proceeds to step 15, and the reduction rate ΔDLSU of the duty ratio DSLU is set to “100”.
[0044]
If an affirmative determination is made in
[0045]
If a negative determination is made in
[0046]
Here, the small value A set as the decrease rate ΔDSLU decreases the decrease rate of the pressure regulation level of the B-3
[0047]
On the other hand, if the determination in step 17 is negative, it means that there is a request to increase the output, such as depressing the accelerator pedal in the braking state. This is a state that hardly occurs normally, but in this case, because there is an output increase request, the process proceeds to step 13 and the reduction rate of the duty ratio DSLU is set to “100”. Set the first speed rapidly.
[0048]
Further, when an affirmative determination is made in step 16 because no braking operation has been performed, it is determined whether or not the engine is idling on (step 19). If an affirmative determination is made in
[0049]
On the other hand, if there is a request to increase the output and a negative determination is made in
[0050]
Here Clearly The correspondence between the respective means and the above control in the present embodiment is as follows. Step 16 corresponds to the brake detecting means in the first aspect, and
[0051]
Therefore, according to the above control, when braking is not being performed, the brake B-3 that has been engaged to set the second speed is quickly released, and therefore, the accelerator pedal is depressed during the speed change. Even in such a case, the downshift shock is avoided or suppressed. Further, when there is a request to increase the output, such as when the accelerator pedal is depressed, the brake B-3 is controlled so as to be released immediately, so that the gear is shifted to the first speed after the output shaft torque is generated in the second speed. Such a situation is avoided, and also in this case, downshift shock can be effectively prevented.
[0052]
In the above specific example, since the
[0053]
【The invention's effect】
As described above, according to the first aspect of the present invention, if it is detected that the braking operation is not performed and the vehicle can move or run, the friction engagement that executes the shift accompanying the so-called squat control is performed. Since the release speed of the device has been increased, the change in output torque due to the faster release speed of the friction engagement device is absorbed by the movement or traveling of the vehicle and does not appear as a shock, and the accelerator pedal is depressed. Even if the control for increasing the input torque is performed, downshift shock is prevented or suppressed, and deterioration in ride comfort can be avoided.
[0054]
According to the second aspect of the present invention, when there is a request to increase the output such as depressing an accelerator pedal during shifting by so-called squat control, the clutch is engaged to set the shift speed on the higher gear side. Since the frictional engagement device is rapidly released to set the starting gear, a downshift occurs after the output shaft torque is generated at the higher gear, and further, the output shaft torque at the starting gear. Can be avoided, and the output shaft torque at the starting shift stage is generated almost simultaneously with the request for increasing the output, so that a so-called downshift shock can be prevented or suppressed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a part of a flowchart for explaining a control example executed by a control device of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing another part of the flowchart.
FIG. 3 is a block diagram showing an overall control system of the automatic transmission targeted by the present invention.
FIG. 4 is a skeleton diagram showing an example of a gear train of the automatic transmission.
FIG. 5 is a chart showing an engaged / disengaged state of a friction engagement device for setting each shift speed.
FIG. 6 is a partial hydraulic circuit diagram showing a part of a hydraulic circuit of the automatic transmission according to the present invention.
[Explanation of symbols]
E engine
10 Automatic transmission
20 Hydraulic control device
25 B-3 control valve
30 Automatic transmission control computer
50 Engine control computer
B-3 Brake
SLU linear solenoid valve
Claims (2)
前記変速制御時に制動状態の有無を検出する制動検出手段と、
制動がおこなわれていないことが制動検出手段によって検出された場合に前記高速段側の変速段を設定するべく係合している摩擦係合装置の解放速度を、制動のおこなわれていることが検出された場合より速くする解放制御手段と
を備えていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。A shift control device for an automatic transmission that executes a shift control to set a shift speed on a high speed side when shifting from a non-running range to a run range, and then executes a shift control to a shift speed on a low speed side.
Braking detection means for detecting the presence or absence of a braking state during the shift control,
When the braking detection means detects that the braking is not being performed, the release speed of the friction engagement device engaged to set the shift speed on the higher gear side is determined to be that the braking is being performed. A shift control device for an automatic transmission, comprising: release control means for increasing the speed when a detection is made.
前記解放制御手段は、前記出力増大要求検出手段によって前記変速制御時の出力増大要求が検出された場合に、前記高速段側の変速段を設定するべく係合している摩擦係合装置の解放速度を、出力増大要求が検出されない場合より速くする手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。 Further increase in the output request detection means to detect the presence or absence of an output increase request to increase the input torque to the automatic transmission before Symbol shift control when in a state in which the braking is not performed is detected by the brake detecting means Prepare and
It said release control means, when the output increase request during pre Symbol shift control is detected by the output increase request detecting means, engaging and frictionally engaging order to set the gear stage before Symbol higher gear the release rate of the device, the shift control device of the automatic transmission according to claim 1, the output increase request, characterized in that it comprises means you faster than if undetected.
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