JP3552467B2 - フォークリフトの車体構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトの車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォークリフトでは、一般的に、エンジンやバッテリ等の上方をフードが覆い、このフードの上面に運転シートが固定されている。エンジン等の保守整備の際には、フードを後端部を軸として上後方側へ回動,待避して保守を行うようになっている。
【0003】
また、運転シートに着座した乗員を落下物等から保護する目的で、運転シートの上方にはヘッドガードが設けられる。このヘッドガードは、車体から立設する合計4本のピラーによって支持されている。ここで、後方側の左右一対のリアピラーは、回動するフードと干渉しないように、フードの後端部近傍から略垂直か又は上方へ向けて前側にやや傾斜して立設されており、これらリアピラーの後側にカウンターウエイトが配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ヘッドガードを運転シートに着座した乗員の鉛直上方に位置させるためには、略垂直か又は前側に傾斜したリアピラーの下端部を運転シートよりもある程度後方側に配置する必要があり、このようなリアピラーの後方側にカウンターウエイトが配置されるため、車体前後方向の長さが必然的に長くなり、車両をコンパクト化する上で問題となっていた。
【0005】
また他の課題として、後端部を軸とするフードの回転軌跡上にステアリング等が存在しないようにレイアウトする必要があり、車体前後方向の長さを短縮化する上で弊害となっていた。ステアリング等との干渉を回避するために、例えばフードの前部を切り欠いたり、あるいはステアリングにチルト機構を設けることも考えられるが、その分構造が複雑となり、製造コストも上昇してしまう。
【0006】
特に、LPG車のようにカウンターウエイトの上部にLPGボンベが設置してある場合には、フード上に取り付けられた運転シートとLPGボンベとの干渉を回避する必要があり、更に車体全長の短縮化が困難となり、構造も複雑化してしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1の発明は、エンジン又はバッテリを覆うフードの上方に運転シートが配設され、この運転シートの上方にヘッドガードが配設され、このヘッドガードを支持する左右一対のリアピラーがフードの後端部近傍に立設され、車体前側にフォークが配置され、上記リアピラーの後側にカウンターウエイトが配設されたフォークリフトの車体構造において、上記リアピラーは、上記ヘッドガードが固定される上部が上記フードの後端部近傍に立設される下部よりも車体後方側に位置するように、垂直面に対して傾斜していることを特徴としている。
【0008】
また、請求項1の発明は、上記運転シートを支持するシートフレームを、リアピラーに沿って昇降するように、リアピラーに取り付けたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、上記フードが、上記シートフレームに固定されて、このシートフレームとともにリアピラーに沿って昇降することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、上記シートフレームと車体との間にショックアブソーバが介在していることを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、リアピラーの上部が相対的に後方側へ位置するので、このリアピラーにより支持されるヘッドガードが相対的に後方側へ延長され、かつ、リアピラーの下部側が相対的に前側に位置するから、リアピラーの後側に位置するカウンターウエイトを相対的に前側に配置させることができる。この結果、ヘッドガードを確実に運転シートの後方側へ延在させつつ、カウンターウエイトを相対的に前側に配置して、車体の前後方向長さを短縮化することができる。
【0012】
また、リアピラーの下部側では、リアピラーより後方領域が相対的に広くなるから、例えばエンジン車におけるフューエルネックをリアピラーよりも後方側、つまりヘッドガードやピラーにより囲われた運転室の外側に配置することが可能となる。したがって、例えばフューエルネックを運転室内における運転シートの直下位置に配置した従来構造に比して、フューエルネックが運転シートから相対的に遠くなるから、安全性,臭気性が向上する。
【0013】
加えて請求項1の発明によれば、運転シートは、リアピラーに沿って昇降し、つまりヘッドガードおよびピラーにより囲われた運転室内を昇降し、運転室の外側に位置する部材、例えばカウンターウエイトの上面に配置されたLPGボンベ等と干渉する虞がない。したがって、LPGボンベ等との干渉を避けるために車両前後方向長さを延長する必要がなく、またLPGボンベに待避可能なスイング機構等を付加する必要がないから、簡素な構造で車両前後方向長さを短縮化することができる。
【0014】
また、運転シートがシートフレームを介してリアピラーに取り付けられているから、従来のようにフード上に運転シートが直接固定されているものに比して、運転シートからフードに加わる荷重が低減され、フードの簡素化,小型化を図ることが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、例えばエンジン等の保守整備を行う場合には、運転シートとフードとをシートフレームとともにリアピラーに沿って昇降させればよい。このとき、運転シートやフードは、リアピラーに沿って運転室内を昇降するから、例えばフードの前方に位置するステアリングと干渉する虞がない。つまり従来例にようにフードが回転式となっているものに比し、特に車体前後方向の移動軌跡が小さくなるから、レイアウト上の自由度が大きくなり、ひいては簡素な構造で車両自体をコンパクト化することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、シートフレームと車体との間にショックアブソーバが介在しているから、運転シートに伝わるエンジン振動や路面振動等を有効に減衰することができ、乗り心地が向上する。
【0017】
また、ショックアブソーバがあるから、シートフレームをリアピラーに沿って安全かつスムースに昇降させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の最適な実施の形態について詳述する。
【0019】
図1は本発明の車体構造が適用されたフォークリフトの一実施例を示す側面図で、車体の前側にフォーク12とマスト14とが配置され、車体の後側にカウンターウエイト16が配置され、車体の左右両側にはそれぞれサイドフレーム18が延在している。両サイドフレーム18の間にはエンジンやバッテリ等(図示省略)が収納されており、これらエンジン等の上方を覆い隠すようにエンジンフード20が両サイドフレーム18上に跨って配設されている。
【0020】
エンジンフード20の上方には運転シート22が配設され、この運転シート22に着席した乗員を荷等の落下物から保護するために、運転シート22の上方にはヘッドガード24が配設されている。このヘッドガード24は、フレーム部材を格子状に配した構造となっており、前後左右の四隅において、車体から立設する合計4本のフロントピラー26とリアピラー28とによって車体側へ支持されている。
【0021】
ここで、本実施例にあっては、エンジンフード20の後端部近傍に立設する左右一対のリアピラー28を、その上部が下部よりも車体後方側に位置するように、垂直面に対して所定角度θだけ傾斜させている。
【0022】
したがって、運転シート22の下方領域では、リアピラー28が相対的に前側へ張り出した状態となり、リアピラー28の後側に配置されるカウンターウエイト16を相対的に前寄りに配置することができる。一方、リアピラー28の上方領域では、リアピラー28が相対的に後方側へ位置することとなり、リアピラー28の上端に固定されたヘッドガード24が相対的に後方側へ延長される。この結果、ヘッドガード24を運転シート22よりも後方側へ確実に延在させつつ、カウンターウエイト16を相対的に前側に配置でき、車体の前後方向長さを有効に短縮化することができる。
【0023】
また、空きスペースであるカウンターウエイト16の上方領域に、ヘッドガード24やピラー26,28によって囲われる運転室Kを張り出させており、空きスペースを有効に利用して十分な大きさの運転室Kを確保している。
【0024】
さらに、リアピラー28は、運転シート22の背もたれ部22aとほぼ同じ角度で傾斜し、側面視で背もたれ部22aよりもわずかに後方側、つまり運転シート22に着座した乗員の後方側に位置するから、乗員の邪魔になることはない。
【0025】
なお、前側のフロントピラー26もまたリアピラー28と同じように上部側が後側に位置するように傾斜しており、つまり運転室K全体がやや後方側へ傾斜した形となっており、外観品質にも優れている。
【0026】
ところで、エンジン式のフォークリフト10では、サイドフレーム18の内側に燃料タンク(図示省略)が設けられ、この燃料タンクへ燃料を補給するためのフューエルネック30がサイドフレーム18の上面に設けられている。このフューエルネック30は、リアピラー28の後側に位置し、カウンターウエイト16の前側に形成された切欠32を介して外部に露出している。
【0027】
ここで、従来構造におけるフューエルネック30Aは、図1に仮想線で示すように、運転室K内における運転シート22の直下位置に設けられ、エンジンフード20を適宜に切り欠いて外部に露出させていた。この場合、フューエルネック30Aの直上に運転シート22が位置することとなり、安全性や臭気性の面で問題がある。これに対し、本実施例ではリアピラー28の下部側が相対的に前側へ張り出しており、リアピラー28の後側が比較的広くなっているから、フューエルネック30をリアピラー28よりも後方位置、つまり運転室Kの外側に配置させることができる。このように、フューエルネック30を運転シート22から遠ざけることができるので、安全性および臭気性が向上する。
【0028】
さらに、本実施例の特徴的な構造として、運転シート22を支持するシートフレーム34が、リアピラー28に沿って昇降可能に取り付けられている。つまりシートフレーム34は、4本のロッド36を介して運転シート22の下面側に固定されており、かつ、上記ロッド36を介してエンジンフード20の上面側に固定されている。したがって、運転シート22およびエンジンフード20は、シートフレーム34とともにリアピラー28に沿って昇降するようになっている。
【0029】
図2,3を参照して更に詳述すると、シートフレーム34は、運転シート22の下部形状に応じて略コ字状に折曲する支持部34aと、この支持部34aの両端から左右に延びるアーム部34bとを備え、支持部34aにはロッド36が挿通,固定される合計4つの貫通孔34cが形成され、アーム部34bの外側の先端には矩形状のストッパ部34dが形成されている。
【0030】
また、アーム部34bの内側の先端には内方へ突出する係合ピン部34eが形成されており、この係合ピン部34eにショックアブソーバ38が取り付けられている。ショックアブソーバ38は、シートフレーム34と車体との間に介在されており、このショックアブソーバ38によって、運転シート22に伝わるエンジン振動や路面の振動が減衰されて乗り心地が向上するとともに、シートフレーム34の昇降動作が安全かつスムースに行われるようになっている。
【0031】
一方、リアピラー28の内壁面には長手方向に延びる開口部28aが形成され、この開口部28aの内面に案内レール40が接合,固定されている。この案内レール40の開口部40aを介してシートフレーム34のストッパ部34dが案内レール40の内部に配置され、この案内レール40内を昇降するようになっている。なお、案内レール40には開口部40a下端部を閉塞する蓋部材41(図3参照)が接合されており、それ以上シートフレーム34が下方へ移動しないようになっている。
【0032】
また、リアピラー28には、シートフレーム34を最も下降した定常位置に保持するための第1ロック部材42と、シートフレーム34を最も上昇した待避位置に保持するための第2ロック部材44とがそれぞれ揺動可能に取り付けられている。
【0033】
図3の下側に示すようにシートフレーム34が定常位置にロックされているときには、第1ロック部材42は、スプリング42aの付勢力によって、その下アーム42bが切欠40bを介して案内レール40内に臨んでおり、ストッパ部34dの上面に対向している。このロックを解除するには、第1ロック部材42の上アーム42cを押圧して下アーム42bを案内レール40内から待避させればよい。なお、シートフレーム34が下降してきたときには、ストッパ部34dが傾斜する下アーム42bを押し除けて図3に示す定常位置へと侵入する。
【0034】
一方、図3の上側に示すようにシートフレーム34が待避位置にロックされているとき、第2ロック部材44は、スプリング44aによって係止爪44bが切欠40cを介して案内レール40の内部に臨んでおり、ストッパ部34dの下面に係合している。このロックを解除するには、第2ロック部材44の上方アーム44cを押圧して係止爪44bを案内レール40内から待避させればよい。なお、シートフレーム34が上昇してきたときには、ストッパ部34dが係止爪44bの下面を押し除けて待避位置へと侵入する。
【0035】
例えばエンジン等の保守整備を行う際には、第1ロック部材42のロックを解除し、運転シート22およびエンジンフード20をシートフレーム34とともにリアピラー28に沿って上方へスライドさせ、第2ロック部材44により待避位置にロックする。これによりエンジン等の上方が開放された状態となり、容易に保守整備を行うことができる。
【0036】
以上のように、運転シート22およびエンジンフード20は、シートフレーム34とともにリアピラー28に沿って上下方向にスライドし、つまり運転室K内を上下方向に昇降するから、従来のように運転シートが固定されたフードを回転するものに比して、特に車両前後方向における移動範囲が小さくなる。この結果、各部材のレイアウトに自由度が増し、例えばエンジンフード20が前方に位置するステアリング46等と干渉する虞がないから、簡素な構造で車両前後方向長さを短縮化することができる。
【0037】
また、カウンターウエイト16の上面に図1に仮想線で示すようなLPGボンベ48が搭載されたLPG車であっても、エンジンフード20や運転シート22等の昇降体がLPGボンベ48に干渉する虞がないから、特にレイアウトを変更する必要がない。
【0038】
さらに、運転シート22の荷重がショックアブソーバ38やリアピラー28を介して車体側に負担されており、エンジンフード20への負担が低減されるから、エンジンフード20を簡素化,小型化することができる。
【0039】
なお、上記実施例ではエンジンフード20をシートフレーム34に固定していたが、例えば運転シート22のみをシートフレーム34に固定し、フードは後端部を軸として回動する構成とすることもできる。この場合には、運転シート22をシートフレーム34とともに上方へ待避させた状態で、フードを後上方側へ回動させてエンジン等の上部を開放することとなる。
【0040】
また、ここではエンジン式のフォークリフト10について説明したが、バッテリ式のフォークリフトについても同じように適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車体構造が適用されたフォークリフトの一実施例を示す側面図。
【図2】図1のシートフレーム取付構造を示す分解斜視図。
【図3】図1のリアピラー近傍の側面対応図。
【符号の説明】
16…カウンターウエイト
18…サイドフレーム
20…エンジンフード
22…運転シート
24…ヘッドガード
28…リアピラー
30…フューエルネック
34…シートフレーム
K…運転室
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトの車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォークリフトでは、一般的に、エンジンやバッテリ等の上方をフードが覆い、このフードの上面に運転シートが固定されている。エンジン等の保守整備の際には、フードを後端部を軸として上後方側へ回動,待避して保守を行うようになっている。
【0003】
また、運転シートに着座した乗員を落下物等から保護する目的で、運転シートの上方にはヘッドガードが設けられる。このヘッドガードは、車体から立設する合計4本のピラーによって支持されている。ここで、後方側の左右一対のリアピラーは、回動するフードと干渉しないように、フードの後端部近傍から略垂直か又は上方へ向けて前側にやや傾斜して立設されており、これらリアピラーの後側にカウンターウエイトが配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ヘッドガードを運転シートに着座した乗員の鉛直上方に位置させるためには、略垂直か又は前側に傾斜したリアピラーの下端部を運転シートよりもある程度後方側に配置する必要があり、このようなリアピラーの後方側にカウンターウエイトが配置されるため、車体前後方向の長さが必然的に長くなり、車両をコンパクト化する上で問題となっていた。
【0005】
また他の課題として、後端部を軸とするフードの回転軌跡上にステアリング等が存在しないようにレイアウトする必要があり、車体前後方向の長さを短縮化する上で弊害となっていた。ステアリング等との干渉を回避するために、例えばフードの前部を切り欠いたり、あるいはステアリングにチルト機構を設けることも考えられるが、その分構造が複雑となり、製造コストも上昇してしまう。
【0006】
特に、LPG車のようにカウンターウエイトの上部にLPGボンベが設置してある場合には、フード上に取り付けられた運転シートとLPGボンベとの干渉を回避する必要があり、更に車体全長の短縮化が困難となり、構造も複雑化してしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1の発明は、エンジン又はバッテリを覆うフードの上方に運転シートが配設され、この運転シートの上方にヘッドガードが配設され、このヘッドガードを支持する左右一対のリアピラーがフードの後端部近傍に立設され、車体前側にフォークが配置され、上記リアピラーの後側にカウンターウエイトが配設されたフォークリフトの車体構造において、上記リアピラーは、上記ヘッドガードが固定される上部が上記フードの後端部近傍に立設される下部よりも車体後方側に位置するように、垂直面に対して傾斜していることを特徴としている。
【0008】
また、請求項1の発明は、上記運転シートを支持するシートフレームを、リアピラーに沿って昇降するように、リアピラーに取り付けたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、上記フードが、上記シートフレームに固定されて、このシートフレームとともにリアピラーに沿って昇降することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、上記シートフレームと車体との間にショックアブソーバが介在していることを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、リアピラーの上部が相対的に後方側へ位置するので、このリアピラーにより支持されるヘッドガードが相対的に後方側へ延長され、かつ、リアピラーの下部側が相対的に前側に位置するから、リアピラーの後側に位置するカウンターウエイトを相対的に前側に配置させることができる。この結果、ヘッドガードを確実に運転シートの後方側へ延在させつつ、カウンターウエイトを相対的に前側に配置して、車体の前後方向長さを短縮化することができる。
【0012】
また、リアピラーの下部側では、リアピラーより後方領域が相対的に広くなるから、例えばエンジン車におけるフューエルネックをリアピラーよりも後方側、つまりヘッドガードやピラーにより囲われた運転室の外側に配置することが可能となる。したがって、例えばフューエルネックを運転室内における運転シートの直下位置に配置した従来構造に比して、フューエルネックが運転シートから相対的に遠くなるから、安全性,臭気性が向上する。
【0013】
加えて請求項1の発明によれば、運転シートは、リアピラーに沿って昇降し、つまりヘッドガードおよびピラーにより囲われた運転室内を昇降し、運転室の外側に位置する部材、例えばカウンターウエイトの上面に配置されたLPGボンベ等と干渉する虞がない。したがって、LPGボンベ等との干渉を避けるために車両前後方向長さを延長する必要がなく、またLPGボンベに待避可能なスイング機構等を付加する必要がないから、簡素な構造で車両前後方向長さを短縮化することができる。
【0014】
また、運転シートがシートフレームを介してリアピラーに取り付けられているから、従来のようにフード上に運転シートが直接固定されているものに比して、運転シートからフードに加わる荷重が低減され、フードの簡素化,小型化を図ることが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、例えばエンジン等の保守整備を行う場合には、運転シートとフードとをシートフレームとともにリアピラーに沿って昇降させればよい。このとき、運転シートやフードは、リアピラーに沿って運転室内を昇降するから、例えばフードの前方に位置するステアリングと干渉する虞がない。つまり従来例にようにフードが回転式となっているものに比し、特に車体前後方向の移動軌跡が小さくなるから、レイアウト上の自由度が大きくなり、ひいては簡素な構造で車両自体をコンパクト化することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、シートフレームと車体との間にショックアブソーバが介在しているから、運転シートに伝わるエンジン振動や路面振動等を有効に減衰することができ、乗り心地が向上する。
【0017】
また、ショックアブソーバがあるから、シートフレームをリアピラーに沿って安全かつスムースに昇降させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の最適な実施の形態について詳述する。
【0019】
図1は本発明の車体構造が適用されたフォークリフトの一実施例を示す側面図で、車体の前側にフォーク12とマスト14とが配置され、車体の後側にカウンターウエイト16が配置され、車体の左右両側にはそれぞれサイドフレーム18が延在している。両サイドフレーム18の間にはエンジンやバッテリ等(図示省略)が収納されており、これらエンジン等の上方を覆い隠すようにエンジンフード20が両サイドフレーム18上に跨って配設されている。
【0020】
エンジンフード20の上方には運転シート22が配設され、この運転シート22に着席した乗員を荷等の落下物から保護するために、運転シート22の上方にはヘッドガード24が配設されている。このヘッドガード24は、フレーム部材を格子状に配した構造となっており、前後左右の四隅において、車体から立設する合計4本のフロントピラー26とリアピラー28とによって車体側へ支持されている。
【0021】
ここで、本実施例にあっては、エンジンフード20の後端部近傍に立設する左右一対のリアピラー28を、その上部が下部よりも車体後方側に位置するように、垂直面に対して所定角度θだけ傾斜させている。
【0022】
したがって、運転シート22の下方領域では、リアピラー28が相対的に前側へ張り出した状態となり、リアピラー28の後側に配置されるカウンターウエイト16を相対的に前寄りに配置することができる。一方、リアピラー28の上方領域では、リアピラー28が相対的に後方側へ位置することとなり、リアピラー28の上端に固定されたヘッドガード24が相対的に後方側へ延長される。この結果、ヘッドガード24を運転シート22よりも後方側へ確実に延在させつつ、カウンターウエイト16を相対的に前側に配置でき、車体の前後方向長さを有効に短縮化することができる。
【0023】
また、空きスペースであるカウンターウエイト16の上方領域に、ヘッドガード24やピラー26,28によって囲われる運転室Kを張り出させており、空きスペースを有効に利用して十分な大きさの運転室Kを確保している。
【0024】
さらに、リアピラー28は、運転シート22の背もたれ部22aとほぼ同じ角度で傾斜し、側面視で背もたれ部22aよりもわずかに後方側、つまり運転シート22に着座した乗員の後方側に位置するから、乗員の邪魔になることはない。
【0025】
なお、前側のフロントピラー26もまたリアピラー28と同じように上部側が後側に位置するように傾斜しており、つまり運転室K全体がやや後方側へ傾斜した形となっており、外観品質にも優れている。
【0026】
ところで、エンジン式のフォークリフト10では、サイドフレーム18の内側に燃料タンク(図示省略)が設けられ、この燃料タンクへ燃料を補給するためのフューエルネック30がサイドフレーム18の上面に設けられている。このフューエルネック30は、リアピラー28の後側に位置し、カウンターウエイト16の前側に形成された切欠32を介して外部に露出している。
【0027】
ここで、従来構造におけるフューエルネック30Aは、図1に仮想線で示すように、運転室K内における運転シート22の直下位置に設けられ、エンジンフード20を適宜に切り欠いて外部に露出させていた。この場合、フューエルネック30Aの直上に運転シート22が位置することとなり、安全性や臭気性の面で問題がある。これに対し、本実施例ではリアピラー28の下部側が相対的に前側へ張り出しており、リアピラー28の後側が比較的広くなっているから、フューエルネック30をリアピラー28よりも後方位置、つまり運転室Kの外側に配置させることができる。このように、フューエルネック30を運転シート22から遠ざけることができるので、安全性および臭気性が向上する。
【0028】
さらに、本実施例の特徴的な構造として、運転シート22を支持するシートフレーム34が、リアピラー28に沿って昇降可能に取り付けられている。つまりシートフレーム34は、4本のロッド36を介して運転シート22の下面側に固定されており、かつ、上記ロッド36を介してエンジンフード20の上面側に固定されている。したがって、運転シート22およびエンジンフード20は、シートフレーム34とともにリアピラー28に沿って昇降するようになっている。
【0029】
図2,3を参照して更に詳述すると、シートフレーム34は、運転シート22の下部形状に応じて略コ字状に折曲する支持部34aと、この支持部34aの両端から左右に延びるアーム部34bとを備え、支持部34aにはロッド36が挿通,固定される合計4つの貫通孔34cが形成され、アーム部34bの外側の先端には矩形状のストッパ部34dが形成されている。
【0030】
また、アーム部34bの内側の先端には内方へ突出する係合ピン部34eが形成されており、この係合ピン部34eにショックアブソーバ38が取り付けられている。ショックアブソーバ38は、シートフレーム34と車体との間に介在されており、このショックアブソーバ38によって、運転シート22に伝わるエンジン振動や路面の振動が減衰されて乗り心地が向上するとともに、シートフレーム34の昇降動作が安全かつスムースに行われるようになっている。
【0031】
一方、リアピラー28の内壁面には長手方向に延びる開口部28aが形成され、この開口部28aの内面に案内レール40が接合,固定されている。この案内レール40の開口部40aを介してシートフレーム34のストッパ部34dが案内レール40の内部に配置され、この案内レール40内を昇降するようになっている。なお、案内レール40には開口部40a下端部を閉塞する蓋部材41(図3参照)が接合されており、それ以上シートフレーム34が下方へ移動しないようになっている。
【0032】
また、リアピラー28には、シートフレーム34を最も下降した定常位置に保持するための第1ロック部材42と、シートフレーム34を最も上昇した待避位置に保持するための第2ロック部材44とがそれぞれ揺動可能に取り付けられている。
【0033】
図3の下側に示すようにシートフレーム34が定常位置にロックされているときには、第1ロック部材42は、スプリング42aの付勢力によって、その下アーム42bが切欠40bを介して案内レール40内に臨んでおり、ストッパ部34dの上面に対向している。このロックを解除するには、第1ロック部材42の上アーム42cを押圧して下アーム42bを案内レール40内から待避させればよい。なお、シートフレーム34が下降してきたときには、ストッパ部34dが傾斜する下アーム42bを押し除けて図3に示す定常位置へと侵入する。
【0034】
一方、図3の上側に示すようにシートフレーム34が待避位置にロックされているとき、第2ロック部材44は、スプリング44aによって係止爪44bが切欠40cを介して案内レール40の内部に臨んでおり、ストッパ部34dの下面に係合している。このロックを解除するには、第2ロック部材44の上方アーム44cを押圧して係止爪44bを案内レール40内から待避させればよい。なお、シートフレーム34が上昇してきたときには、ストッパ部34dが係止爪44bの下面を押し除けて待避位置へと侵入する。
【0035】
例えばエンジン等の保守整備を行う際には、第1ロック部材42のロックを解除し、運転シート22およびエンジンフード20をシートフレーム34とともにリアピラー28に沿って上方へスライドさせ、第2ロック部材44により待避位置にロックする。これによりエンジン等の上方が開放された状態となり、容易に保守整備を行うことができる。
【0036】
以上のように、運転シート22およびエンジンフード20は、シートフレーム34とともにリアピラー28に沿って上下方向にスライドし、つまり運転室K内を上下方向に昇降するから、従来のように運転シートが固定されたフードを回転するものに比して、特に車両前後方向における移動範囲が小さくなる。この結果、各部材のレイアウトに自由度が増し、例えばエンジンフード20が前方に位置するステアリング46等と干渉する虞がないから、簡素な構造で車両前後方向長さを短縮化することができる。
【0037】
また、カウンターウエイト16の上面に図1に仮想線で示すようなLPGボンベ48が搭載されたLPG車であっても、エンジンフード20や運転シート22等の昇降体がLPGボンベ48に干渉する虞がないから、特にレイアウトを変更する必要がない。
【0038】
さらに、運転シート22の荷重がショックアブソーバ38やリアピラー28を介して車体側に負担されており、エンジンフード20への負担が低減されるから、エンジンフード20を簡素化,小型化することができる。
【0039】
なお、上記実施例ではエンジンフード20をシートフレーム34に固定していたが、例えば運転シート22のみをシートフレーム34に固定し、フードは後端部を軸として回動する構成とすることもできる。この場合には、運転シート22をシートフレーム34とともに上方へ待避させた状態で、フードを後上方側へ回動させてエンジン等の上部を開放することとなる。
【0040】
また、ここではエンジン式のフォークリフト10について説明したが、バッテリ式のフォークリフトについても同じように適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車体構造が適用されたフォークリフトの一実施例を示す側面図。
【図2】図1のシートフレーム取付構造を示す分解斜視図。
【図3】図1のリアピラー近傍の側面対応図。
【符号の説明】
16…カウンターウエイト
18…サイドフレーム
20…エンジンフード
22…運転シート
24…ヘッドガード
28…リアピラー
30…フューエルネック
34…シートフレーム
K…運転室
Claims (3)
- エンジン又はバッテリを覆うフードの上方に運転シートが配設され、この運転シートの上方にヘッドガードが配設され、このヘッドガードを支持する左右一対のリアピラーがフードの後端部近傍に立設され、車体前側にフォークが配置され、上記リアピラーの後側にカウンターウエイトが配設されたフォークリフトの車体構造において、
上記リアピラーは、上記ヘッドガードが固定される上部が上記フードの後端部近傍に立設される下部よりも車体後方側に位置するように、垂直面に対して傾斜しており、
かつ、上記運転シートを支持するシートフレームを、リアピラーに沿って昇降するように、リアピラーに取り付けたことを特徴とするフォークリフトの車体構造。 - 上記フードは、上記シートフレームに固定されて、このシートフレームとともにリアピラーに沿って昇降することを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトの車体構造。
- 上記シートフレームと車体との間にショックアブソーバが介在していることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォークリフトの車体構造。
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