JP3495296B2 - 酸化チタンの油性分散体及び親油性酸化チタン粉体、及びこれらの製造方法、並びにこれらを含有する化粧料 - Google Patents
酸化チタンの油性分散体及び親油性酸化チタン粉体、及びこれらの製造方法、並びにこれらを含有する化粧料Info
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Description
性に優れ、紫外線吸収性,光触媒活性,フォトクロミッ
ク性等種々の性状を有する酸化チタンの油性分散体及び
親油性酸化チタン粉体、及びこれらの製造方法に関す
る。本発明に係る酸化チタンの油性分散体及び親油性酸
化チタン粉体は、医薬品,化粧品,油性塗料,樹脂,吸
着剤,イオン交換剤,複合酸化物前駆体,光学材料,フ
ォトクロミック材料,電子・電気材料,記録・記憶材
料,繊維,光触媒,抗菌・抗黴性材料,環境汚染物分解
除去剤等、幅広い分野で応用し得るものである。また特
に、紫外線防御効果を有する化粧料への応用に適するも
のである。
はその油性溶液もしくは分散液に、分子内に孤立電子対
を有する原子及び/又は極性基を有する有機化合物を添
加し、次いで水を添加し加水分解して得られる酸化チタ
ンの油性分散体、及びこれより分散媒を除去し、乾燥し
て得られる親油性酸化チタン粉体とこれらの製造方法、
並びにこれらを含有して成る化粧料に関する。
し、塗料等の紫外線による退色防止や、紫外線による炎
症を防止するための化粧料等に顔料としてよく用いられ
る。かかる目的に適する薄片状或いは微粒子状の酸化チ
タンを得るには、形状や粒子径の制御の容易なゾル−ゲ
ル法が広く用いられている。しかしながらこの方法で
は、チタンアルコキシドを加水分解させるため水の添加
が不可欠であり、分散媒としてブタノール等の低級アル
コールを用いる。それゆえ、ゾル−ゲル法により得られ
た酸化チタンは親油性に乏しく、油性材料に対する分散
性の悪いものであった。また親水性を有するため耐水性
に乏しく、油性材料への配合に際し分散性を向上させた
り、或いは耐水性を持たせるためには、疎水化処理を行
う必要があった。
は、油性材料への分散性に優れ、幅広い分野で応用可能
な酸化チタンの油性分散体及び親油性酸化チタン粉体を
得ること、並びに種々の目的に適する形状及び性状の制
御の容易な前記油性分散体及び親油性酸化チタン粉体の
製造方法を提供することを目的とした。さらには使用感
及び透明感に優れ、且つ良好な仕上がり感が得られて、
紫外線防御効果にも優れる化粧料を得ることをも目的と
した。
種々検討を行った結果、チタンアルコキシド又はその油
性溶液もしくは分散液において、加水分解反応を進行さ
せる際、チタンアルコキシドからチタン酸化物の粒子が
成長する過程で、分子内に孤立電子対を有する原子及び
/又は極性基を有する有機化合物を適量加えることによ
り、油性分散媒中に良好に分散した酸化チタン粒子が得
られることを見いだし、さらにこの酸化チタンの油性分
散体より、分散媒を除去した後乾燥することによって、
親油性の酸化チタン粉体を得ることに成功し、本発明を
完成するに至った。
キシド又はその油性溶液もしくは分散液に、分子内に孤
立電子対を有する原子及び/又は極性基を有する有機化
合物の1種又は2種以上と水を添加して加水分解し、酸
化チタンの油性分散体を得、さらにこの油性分散体より
分散媒を除去した後乾燥して、親油性の酸化チタン粉体
を得る。なお、チタンアルコキシドの加水分解を行う際
に、加水分解抑制剤の1種又は2種以上を共存させるこ
とにより、選択的に薄片状や針状のゲル粒子を得ること
ができる。また必要に応じ、酸又は塩基、或いは弱酸と
弱塩基,強酸と弱塩基及び弱酸と強塩基の中和により得
られる塩を触媒として用いることができる。
ルコキシドとしては、チタンテトラメトキシド,チタン
テトラエトキシド,チタンテトラノルマルプロポキシ
ド,チタンテトライソプロポキシド,チタンテトラノル
マルブトキシド,チタンテトライソブトキシド,チタン
テトラターシャルブトキシド等が挙げられ、これらより
1種又は2種以上を選択して用いる。かかるチタンアル
コキシドは、分子内に孤立電子対を有する原子及び/又
は極性基を有する有機化合物が液状の場合には、直接そ
れらに溶解又は分散することができる。また油性溶媒に
溶解又は分散して、分子内に孤立電子対を有する原子及
び/又は極性基を有する有機化合物を添加し、作用させ
る。かかるチタンアルコキシドの溶液又は分散液の濃度
としては0.0001M〜10.0Mであることが好ま
しく、0.01M〜6.0Mの範囲とすることが特に好
ましい。
する油性溶媒としては、アボカド油,アルモンド油,オ
リーブ油,ゴマ油,サザンカ油,サフラワー油,大豆
油,ツバキ油,トウモロコシ油,ナタネ油,パーシック
油,ヒマシ油,綿実油,落花生油,ホホバ油等の液状植
物油類、ミンク油,卵黄油,液状ラノリン等の液状動物
油類、流動パラフィン,イソパラフィン,スクワラン,
プリスタン等の炭化水素油類、オレイルアルコール,2-
ヘキシルデカノール,イソステアリルアルコール,2-オ
クチルドデカノール等の液状高級アルコール類、オクタ
ン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸
イソプロピル,ラウリン酸ヘキシル,オレイン酸オレイ
ル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシ
ル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,フタル酸ジエ
チル,フタル酸ジブチル,ジオイレイン酸プロピレング
リコール,トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル,トリ2-
エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等の液状エス
テル油類、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポ
リシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,
デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン油な
ど、一般に化粧料用或いは塗料用として用いられる油性
物質を用いることができる。本発明にはこれらより1種
又は2種以上を選択して用いる。
に有機化合物を作用させ、それによりチタンアルコキシ
ドの加水分解を制御するが、本発明において使用し得る
有機化合物としては、分子内に孤立電子対を有する原子
や極性基を有する有機化合物で、液状であるか、油性溶
媒に溶解又は分散させ得るものであれば、特に限定され
ない。たとえば、ミリスチン酸,パルミチン酸,ステア
リン酸,イソオクタン酸,イソミリスチン酸,イソパル
ミチン酸,イソステアリン酸,ヒドロキシパルミチン
酸,ヒドロキシステアリン酸,安息香酸,ヒドロキシ安
息香酸等のカルボン酸類、アセチルアセトン,エチレン
グリコール,ジエチレングリコール,プロピレングリコ
ール,ジプロピレングリコール,エチレンジアミン,エ
チレンジアミン四酢酸,ジチゾン,ジメチルグリオキシ
ム,8-キノリノール,フタロシアニン,1,10-フェナン
トロリン,2,2'-ビピリジル,インジゴ等のキレート作
用を有する化合物などが挙げられ、これらより1種又は
2種以上を選択して用いる。チタンアルコキシドに対す
る添加量としては、チタンアルコキシド1モルに対して
0.001モル〜4モル程度とするのが好ましい。
ドから酸化チタンへの重縮合に際し、加水分解を制御す
る加水分解抑制剤を添加することもできる。加水分解抑
制剤を添加することにより、チタンアルコキシドの加水
分解の進行を制御し、選択的に薄片状や針状のゲル粒子
を得ることができる。
子供与性試薬より選択され、ジエチレングリコール,ト
リエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ポリ
プロピレングリコール等のアルキレングリコール類、エ
チレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコ
ールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノブチ
ルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,テトラ
エチレングリコールモノメチルエーテル,テトラエチレ
ングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチ
ルエーテル等のアルキレングリコールのアルキルエーテ
ル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル,エチ
レングリコールモノベンジルエーテル等のアルキレング
リコールのアリールエーテル類、アセチルアセトン等の
β-ジケトン類、エチレンジアミン,トリエタノールア
ミン等のアミン類などが挙げられ、これらより1種又は
2種以上を選択して用いる。前記の中でも、特にアルキ
レングリコール類が好ましく使用できる。
シド1モルに対し1モル〜20モルの割合で添加するこ
とが好ましく、2モル〜10モルとするのがより好まし
い。加水分解抑制剤の添加量が1モル未満であると、チ
タンアルコキシドの加水分解の制御効果が十分に得られ
ず、また20モルを超えると、チタンアルコキシドの加
水分解が十分に進行しないので好ましくない。
は塩基、或いは弱酸と弱塩基,強酸と弱塩基,弱酸と強
塩基の中和により得られる塩を触媒として添加すること
ができる。かかる酸又は塩基としては、塩酸,硫酸等の
強酸、炭酸,ギ酸,酢酸,ミリスチン酸,パルミチン
酸,ステアリン酸等の弱酸、水酸化ナトリウム,水酸化
カリウム等の強塩基、ヒドロキシアンモニウム,アセト
アミジン,ヒドラジン等の弱塩基が用いられる。これら
酸又は塩基の添加量としては、チタン1モルに対し10
-3〜10-4モルの範囲とするのが適切である。
と強塩基の中和により得られる塩としては、炭酸,カル
ボン酸及びその誘導体、並びにフェノキシド及びその誘
導体より成る群から選ばれる1種以上と、アルカリ金
属,アルカリ土類金属,アミン類,アンモニウム化合
物,ヒドラジニウム化合物,ピリジニウム化合物及びヒ
ドロキシアルミニウム化合物から成る群から選ばれる1
種以上との塩が好ましく用いられ、炭酸リチウム,炭酸
ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸ルビジウム,炭酸セシ
ウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素リチウム,炭酸水素
ナトリウム,炭酸水素カリウム,炭酸水素ルビジウム,
炭酸水素セシウム,炭酸水素アンモニウム,ギ酸リチウ
ム,ギ酸ナトリウム,ギ酸カリウム,ギ酸ルビジウム,
ギ酸セシウム,ギ酸カルシウム,ギ酸アンモニウム,酢
酸リチウム,酢酸ナトリウム,酢酸カリウム,酢酸ルビ
ジウム,酢酸セシウム,酢酸カルシウム,酢酸アンモニ
ウム,ミリスチン酸ナトリウム,パルミチン酸ナトリウ
ム,ステアリン酸ナトリウム,ヒドロキシアンモニウム
塩酸塩,アセトアミジン塩酸塩,ヒドラジン塩酸塩等が
例示される。これらのうち、炭酸ナトリウム,炭酸アン
モニウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素アンモニウ
ム,酢酸ナトリウム,酢酸アンモニウム,ステアリン酸
ナトリウムが特に好ましい。前記より1種又は2種以上
を選択して用いるが、用いる塩により、生成するチタン
アルコキシドゲルの状態を制御することができる。な
お、これらの塩は中和反応を行わせて塩を形成させてか
ら添加してもよいが、塩を形成し得る酸と塩基をそれぞ
れ別々にチタンアルコキシドの油性溶液又は分散液に添
加し、前記溶液又は分散液中で塩を形成させてもよい。
これらの塩の添加量としては、チタンアルコキシド1モ
ルに対して0.001モル〜2モルとするのが好まし
い。
製造方法としては、まずチタンアルコキシドを油性溶媒
の1種又は2種以上に溶解又は分散し、この油性溶液又
は分散液を撹拌しながら、分子内に孤立電子対を有する
原子及び/又は極性基を有する有機化合物の1種又は2
種以上を油性溶媒に溶解又は分散して添加した後、水を
添加し、加水分解する。水の添加量はチタンアルコキシ
ド1モルに対し0.001モル〜4モル程度とするのが
適切である。分子内に孤立電子対を有する原子及び/又
は極性基を有する有機化合物が液状である場合には、チ
タンアルコキシドに直接かかる有機化合物を添加しても
よい。分子内に孤立電子対を有する原子及び/又は極性
基を有する有機化合物の種類やチタンアルコキシドに対
する添加量を調整することにより、生成される酸化チタ
ンの形状を制御することができる。また、水の添加量比
を増加させるにつれて、得られる酸化チタンの油性分散
体は、透明〜微白濁〜白濁と変化し、その透明性を制御
することができる。
を油性溶媒の1種又は2種以上に溶解又は分散して添加
することにより、選択的に薄片状や針状のゲルを得るこ
とができる。また触媒として酸又は塩基、或いは弱酸と
弱塩基,強酸と弱塩基及び弱酸と強塩基との中和により
得られる塩を添加する場合は、これらの油性溶液又は分
散液は水と同時に添加してもよいが、ある程度加水分解
を進行させた後に添加してもよく、添加時期によりゲル
粒子の形状を制御することが可能である。また、油性溶
媒又は配位能を有する有機化合物として、加水分解抑制
作用を有するものを用いてもよい。
〜120時間程度静置し、反応を継続させる。必要に応
じてチタンに対し5〜7倍モル量の酸を添加して反応を
停止し、過剰量の水を添加して未反応のチタンアルコキ
シドが残留しないことを確認し、残留する場合には過剰
量の水により洗浄,除去する。反応を停止するのに添加
する酸については特に限定されない。
揮発性の油性溶媒又は有機化合物に分散されている場合
には、風乾,減圧蒸留等によりこれらを揮発させて乾燥
することによって、親油性の酸化チタン粉体を得ること
ができる。油性溶媒又は有機化合物として不揮発性のも
のを用いた場合には、シクロヘキサン等の揮発性の油性
溶媒を添加して共沸させて乾燥する。
親油性酸化チタン粉体は、油性材料への分散性及び耐水
性に優れ、紫外線吸収性,光触媒活性,フォトクロミッ
ク性,抗菌活性等種々の性状を有し、形状の制御も容易
で、薄片状,針状,繊維状等とすることができる。さら
に、高い透明性を有するものを得ることもできる。従っ
て、本発明に係る酸化チタンの油性分散体等は、医薬
品,化粧品,油性塗料,樹脂,吸着剤,イオン交換剤,
複合酸化物前駆体,光学材料,フォトクロミック材料,
電子・電気材料,記録・記憶材料,繊維,光触媒,抗菌
・抗黴性材料,環境汚染物分解除去剤等として、幅広い
分野で応用することができる。なかでも特に、紫外線防
御効果を有する化粧料への応用に適する。
原料として、上記酸化チタンの油性分散体の1種又は2
種以上を含有させ、及び/又は化粧料用粉体として、上
記親油性酸化チタン粉体の1種又は2種以上を含有させ
ることにより、紫外線による皮膚への悪影響を防止する
のに有効な化粧料を得ることができる。かかる化粧料
は、二層ないし三層状の化粧水,乳液,クリーム,ゲ
ル,パック等の皮膚用化粧料、メイクアップベースロー
ション,メイクアップベースクリーム等の下地化粧料、
乳液状,クリーム状,油性軟膏型,油性スティック状,
粉末状等のファンデーション類,アイカラー類,チーク
カラー類といったメイクアップ化粧料、リップクリー
ム,リップスティック等の口唇用化粧料などとして提供
し得る。
ンの油性分散体及び/又は親油性酸化チタン粉体の他、
油脂類,ロウ類,炭化水素類,脂肪酸類,高級アルコー
ル類,エステル類,低級アルコール類,多価アルコール
類,保湿剤,細胞賦活剤,抗炎症剤,界面活性剤,水溶
性高分子化合物,防菌防黴剤,色素類,香料等、一般的
に化粧料に配合される原料を含有させることができる。
また本発明に係る親油性酸化チタン粉体以外に、体質顔
料,着色顔料,真珠光沢顔料等の粉体類を含有させるこ
とができる。特に紫外線防御を目的とした日焼け止め化
粧料においては、従来より用いられている微粒子酸化チ
タンや酸化亜鉛といった紫外線散乱効果を有する粉体
や、紫外線吸収剤を併用し得る。
説明する。
酸を作用させた酸化チタンのスクワラン分散体 チタンテトラエトキシドをスクワランに溶解して0.2
Mの溶液とした。この溶液1リットルを撹拌しながら、
表1に示す量のイソステアリン酸をスクワラン溶液とし
て添加し、次いで表1に示す量の水を添加した。撹拌を
停止して室温で24時間静置した後、ステアリン酸1.
4モルを添加して反応を停止し、水を添加して洗浄し
た。
酸を作用させて成る親油性酸化チタン粉体 実施例1〜実施例3の酸化チタンのスクワラン分散体に
シクロヘキサンを加え、共沸させて乾燥して酸化チタン
粉体を得、それぞれ実施例4〜実施例6とした。
た酸化チタンのスクワラン分散体 チタンテトラエトキシドをスクワランに溶解して0.2
Mの溶液とした。この溶液1リットルを撹拌しながら、
0.001モルの8-キノリノールをスクワラン溶液とし
て添加し、次いで0.1モルの水を添加した。撹拌を停
止して室温で24時間静置した後、ステアリン酸1.4
モルを添加して反応を停止し、水を添加して洗浄した。
て成る親油性酸化チタン粉体 実施例7の8-キノリノールを作用させた酸化チタンのス
クワラン分散体に、シクロヘキサンを加えて共沸させて
乾燥し、実施例8とした。
について粒子形状を観察したところ、薄片状粒子の生成
が認められた。次いでこれらの粒子径,X線回折及び紫
外部吸収スペクトルの測定を行った。粒子径は島津製作
所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2
000Jにより、薄片状酸化チタン粒子の長径及び短径
の平均値を求めて算出した。紫外部吸収スペクトル及び
X線回折はそれぞれ日立製スペクトロフォトメータU-
3000及びリガク社製RINT2000縦型ゴニオメ
ータにより測定した。また、SPFアナライザーにより
SPF値をも求めた。以上の結果を表2にまとめて示し
た。なお、チタンエトキシドとイソステアリン酸又は8-
キノリノールとの作用については、赤外吸収スペクトル
により確認した。
1〜実施例3及び実施例7は、粒子径が3〜116μm
とかなり大きな薄片状酸化チタンの分散体であるが、非
常に優れた透明性を有していた。X線回折の結果から
は、いずれにおいてもアモルファス状の結晶状態を呈す
ることが示された。また、実施例1〜実施例3について
は、264〜271nmにおいて吸収極大を有してお
り、実施例7については、さらに長波長側に8-キノリノ
ールに起因する吸収が認められた。いずれの分散体につ
いても粘度は低く、SPFアナライザーによる測定では
7付近のSPF値を示していた。
分散体において、溶媒を流動パラフィンに代替し、他は
同様に調製した後、温浴にて20時間静置して流動パラ
フィンを蒸散させて濃縮したものを実施例9とし、これ
についてフォトクロミック性の評価を行った。実施例9
の酸化チタンの油性分散体に対し、SCHOTT社製W
G320フィルターを装着したキセノンランプを光源とし
て、40mJ/cm2〜300mJ/cm2の紫外線を照
射し、その際の色調の変化(ΔE)を、SHIMADZ
U UV-1600にて測定した380〜720nmの透過率
をもとに算出した。その結果を図1に示す。また、紫外
線照射を停止した後の色調の変化についても同様に算出
し、図2に示した。
9に係る酸化チタンの油性分散体においては紫外線照射
量の増大に伴って色調変化(ΔE)が大きくなってお
り、さらに図2に示すごとく、紫外線照射を停止する
と、速やかに色調が元に戻ることが認められ、フォトク
ロミック材料としても有用であることが示唆される。
油性分散体について、他の実施例を示す。表3に示す油
性溶媒を用いて、チタンテトラエトキシドの1.5M溶
液を調製し、その溶液各1リットルを撹拌しながら、イ
ソステアリン酸0.75モルを各油性溶媒に溶解して添
加し、次いで水0.75モル及びジエチレングリコール
7.5モルをそれぞれ添加した。撹拌を停止して室温で
5日間静置した後、ステアリン酸9.0モルを添加して
反応を停止し、水を加えて洗浄し、実施例10〜実施例
14を得た。
体 チタンテトラエトキシド40mmolをイソパラフィン
5mlに溶解し、イソデカン酸40mmol,精製水2
0mmol及びステアリン酸ナトリウム0.025mm
olを撹拌しながら添加した。撹拌を停止した後、室温
で24時間静置し、針状の形状を有する酸化チタンの分
散体を得た。
体 実施例15に係る針状酸化チタン油性分散体より温浴に
て溶媒を揮発させて乾燥し、針状の親油性酸化チタン粉
体を回収した。
方を示す。
を(3)に溶解したアルコール部を加えて油層とする。(9)
に(7),(8)を溶解したものを水層とし、この水層部に油
層部を室温下に加え、撹拌,混合する。
とする。一方、(8)〜(10)を(11)に添加して溶解し、7
0℃に加熱する。この水相に前記油相を添加して予備乳
化し、次いで(12)を添加して撹拌後、(13)を添加して増
粘させ、ホモミキサーにて均一に乳化する。続いて冷却
し、40℃にて(14)を(15)に溶解して添加,混合する。
に(8)を分散した後70℃とする。一方、(9)〜(11)を(1
2)に加えて溶解して加熱し、70℃とする。この水相に
前記油相を撹拌しながら添加し、ホモジナイザーにより
乳化した後冷却し、40℃にて(13)を添加,混合する。
分散させた後70℃とする。一方、(9)〜(11)を混合,
溶解して加熱し、70℃とする。この水相を前記油相に
撹拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後
冷却し、40℃にて(12)を添加,混合する。
とする。一方、(6)〜(9)の水相成分を混合,溶解し、7
5℃に加熱したものに(10)〜(12)の顔料を添加して、ホ
モミキサーにて分散する。この水相成分に前記油相成分
を添加し、ホモミキサーにて均一に乳化した後冷却し、
40℃にて(13)を添加,混合する。
れにまず(10)を添加して分散し、次いで(11)〜(15)を十
分混合し粉砕した後、撹拌しながら添加し、コロイドミ
ルで磨砕分散する。(16)を加え、脱気後70℃で容器に
流し込み、冷却する。
加熱融解し、(10),(11)を添加して分散する。一方、(1
2)〜(17)の顔料成分を混合して前記基剤に加え、ロール
ミルで練る。混練物を加熱融解し、調色した後脱泡し、
(18)を添加して型に充填して冷却固化する。
粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、(1)〜(5)を混
合して加え、均一に混合する。これを粉砕機で処理し、
ふるいを通し粒度をそろえた後、金皿に充填して圧縮成
形する。
粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、(1)〜(5)を混
合して加え、均一に混合する。これを粉砕機で処理し、
ふるいを通し粒度をそろえた後、金皿に充填して圧縮成
形する。
ついて、使用試験を行った。その際、前記各実施例にお
いて配合した本発明の実施例1〜実施例3,実施例7に
係る酸化チタンのスクワラン分散体をスクワランに、実
施例4〜実施例6に係るイソステアリン酸を作用させて
成る親油性酸化チタン粉体,及び実施例8に係る8-キノ
リノールを作用させて成る親油性酸化チタン粉体をシリ
コーン処理酸化チタンに、実施例9〜実施例14に係る
酸化チタンの油性溶媒分散体をそれぞれの調製に用いた
油性溶媒に、実施例16に係る針状親油性酸化チタン粉
体をシリコーン処理針状酸化チタン粉体に代替したもの
を、それぞれ比較例1〜比較例9とした。使用試験は、
20才代〜50才代の女性パネラー20名を1群として
用い、各群に実施例及び比較例のそれぞれをブラインド
にて2週間使用させて行った。使用試験終了後、化粧料
の付き,伸び、透明感、紫外線防御効果、仕上がり感及
び化粧持ちについて官能評価させ、評価結果を以下に示
す評価基準に従って点数化させて20名の平均値を算出
し、表4に示した。
使用群では、化粧料の付き及び伸びについて、いずれに
おいてもおおむね良好な評価を得ていた。また、いずれ
においてもほぼ良好な透明感が得られており、普通程度
以上の紫外線防御効果が認められていた。特に実施例2
0使用群では、紫外線防御効果の相乗的な向上が認めら
れた。また、いずれにおいても自然な仕上がり感が得ら
れており、水系や水中油型乳化系の化粧料についても、
ほぼ良好な化粧持ちが得られていた。
処理酸化チタン粉体を含有するものを使用した群で化粧
料の付きや伸びに対する評価が低下していた。また、透
明感及び仕上がり感についての評価も悪くなっていた。
比較例1〜比較例3及び比較例5使用群では、有意な紫
外線防御効果は見られなかった。さらに各比較例使用群
において、化粧持ちについての評価が低下していた。
5については、皮膚への付き,伸びが良好で、優れた透
明感と自然な仕上がりが得られ、化粧持ちも良好であっ
た。さらに、有機系紫外線吸収剤や微粒子酸化チタン等
の無機紫外線遮断剤を含有していなくても、ある程度の
紫外線防御効果を有しており、日常生活で曝露する紫外
線の防御に有効であることが示された。また紫外線吸収
剤と併用することにより、紫外線防御効果が相乗的に向
上することが示された。
いては、室温で6カ月間保存した場合に、状態の変化は
全く認められなかった。また上記使用試験において、皮
膚刺激性反応や皮膚感作性反応の見られたパネラーは存
在しなかった。
性材料への分散性に優れ、紫外線吸収性,光触媒活性,
フォトクロミック性等種々の性状を有し、医薬品,化粧
品,油性塗料,樹脂,吸着剤,イオン交換剤,複合酸化
物前駆体,光学材料,フォトクロミック材料,電子・電
気材料,記録・記憶材料,繊維,光触媒,抗菌・抗黴性
材料,環境汚染物分解除去剤等、幅広い分野で応用し得
る酸化チタンの油性分散体及び親油性酸化チタン粉体を
得ることができ、また特に、紫外線防御効果を有する化
粧料を提供することができた。
体について、紫外線照射による色調変化を示す図であ
る。
体について、紫外線照射を停止した際の色調変化の消失
を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 チタンアルコキシドの油性溶液又は分散
液に、分子内に孤立電子対を有する原子及び/又は極性
基を有する有機化合物の1種又は2種以上と、水を添加
して加水分解して得られる酸化チタンの油性分散体であ
って、以下のA〜Cを満たすことを特徴とする酸化チタ
ンの油性分散体。A:前記油性溶液又は分散液に用いら
れる油性溶媒は、液状植物油類、液状動物油類、炭化水
素油類、液状高級アルコール類、液状エステル油類及び
シリコーン油からなる群より選択される1種又は2種以
上を含む油性溶媒である。B:前記有機化合物は、カル
ボン酸類又はキレート作用を有する化合物である。C:
前記酸化チタンは、前記有機化合物が作用している薄片
状又は針状の酸化チタンである。 - 【請求項2】 有機化合物がイソステアリン酸である、
請求項1に記載の酸化チタンの油性分散体。 - 【請求項3】 有機化合物が8−キノリノールである、
請求項1に記載の酸化チタンの油性分散体。 - 【請求項4】 チタンアルコキシドの油性溶液又は分散
液に、分子内に孤立電子対を有する原子及び/又は極性
基を有する有機化合物の1種又は2種以上と水を添加
し、加水分解する酸化チタンの油性分散体の製造方法で
あって、以下のA〜Cを満たすことを特徴とする酸化チ
タンの油性分散体の製造方法。A:前記油性溶液又は分
散液に用いられる油性溶媒は、液状植物油類、液状動物
油類、炭化水素油類、液状高級アルコール類、液状エス
テル油類及びシリコーン油からなる群より選択される1
種又は2種以上を含む油性溶媒である。B:前記有機化
合物がカルボン酸類又はキレート作用を有する化合物で
ある。C:前記酸化チタンは、前記有機化合物が作用し
ている薄片状又は針状の酸化チタンである。 - 【請求項5】 有機化合物がイソステアリン酸である、
請求項4に記載の酸化チタンの油性分散体の製造方法。 - 【請求項6】 有機化合物が8−キノリノールである、
請求項4に記載の酸化チタンの油性分散体の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜請求項3に記載の酸化チタン
の油性分散体より選択される1種又は2種以上を含有し
て成る、化粧料。
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JP25651398 | 1998-09-10 | ||
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-
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- 1999-07-26 JP JP21007399A patent/JP3495296B2/ja not_active Expired - Fee Related
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