JP3491148B2 - ラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管 - Google Patents
ラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管Info
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Description
強度高靱性継目無鋼管に関し、とくに、API−5Lの
X80級のラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管に関す
る。
ラインやライザー用として、要求特性に応じ種々の鋼管
が開発され、実用化されている。その中で、X80級の強
度(降伏強さYS:551 MPa 以上、引張り強さTS: 6
20〜 827MPa )を有する継目無鋼管も開発されている
が、現状、靱性レベルは溶接部も含めると破面遷移温度
がせいぜい-60 ℃である。
開発費の節約の観点から、材料にはさらなる高強度高靱
性が要求されるようになっている。また、X80級の強度
を有する継目無鋼管は、通常、次の熱処理方法により強
度調整される。 継目無鋼管製造後一旦冷却し、再加熱して焼入れ、そ
の後焼き戻すいわゆる再加熱焼入れ−焼戻し(RQ−
T) 継目無鋼管製造後直ちに焼入れ、その後焼き戻すいわ
ゆる直接焼入れ−焼戻し(DQ−T)
成の鋼でも、サイズによって冷却速度が異なるので、焼
入れ後の強度は異なり、そのため、焼戻し条件を変更し
て対応することになる。したがって、適度な焼戻し軟化
抵抗性を確保することが課題となっていた。そこで、本
発明は、X80級の高強度と破面遷移温度−60℃以下の低
温靱性を有し、しかも適度な焼戻し軟化抵抗性を有する
ラインパイプ用の継目無鋼管を提供することを目的とす
る。
を達成するために、鋭意考究・実験を重ね、以下に挙げ
る重要な知見を得た。高強度を確保するには、C量を高
めることが有効であるが、一方で低温靱性を著しく劣化
させてしまう。また、溶接性の確保のためには、C量は
低いほど好ましい。
るには、Mn、Ni、Moなどの合金元素の添加が有効であ
る。なお、低C鋼の焼入れ性改善にはBの微量添加が有
効であることが知られているが、Bには溶接部の靱性に
悪影響を与えるという負の作用があり、しかも、その影
響はNやTiなどの析出物生成元素の含有量に大きく左右
されるため、Bの微量添加によるのでは靱性の安定確保
が困難である。
を得るための焼入れ性を確保するには、Mo量とV量とを
図1に示す適正範囲に制御する必要がある。さらに、焼
戻し条件の変更による強度調整を容易ならしめるため、
焼戻し軟化抵抗性を適正化する必要があり、そのために
は、Nb量とV量とを図2に示す適正範囲に制御する必要
がある。
れたものであり、その要旨とするところは、質量%で、
C:0.03〜0.06%、Si:0.05〜0.15%、Mn:1.6 〜2.0
%、Al:0.010 〜0.10%、Ni:0.3 〜0.7 %、Mo:0.10
〜0.40%、V:0.06%以下、Nb:0.03%以下、Ti:0.00
3 〜0.020 %、N:0.0010〜0.0100%を含有し、かつ、
Mo+5V≧0.4 %、2Nb−V≦0%、なる関係を満足
し、残部Feおよび不可避的不純物からなるラインパイプ
用高強度高靱性継目無鋼管にある。
移温度−60℃以下の低温靱性、および、600 ℃×30分の
焼戻しと650 ℃×30分の焼戻しでの降伏強さの差が30〜
70MPa になる焼戻し軟化抵抗性を有することが特徴的で
ある。
分)を上記のように限定した理由を以下に述べる。な
お、化学成分含有量(濃度)を表す%は質量%を意味す
る。 C:0.03〜0.06% Cは、鋼の強度に関係する重要な元素であり、焼入れ性
を高めてX80級の強度を確保するために0.03%以上を必
要とするが、一方、0.06%を超えると溶接割れ感受性を
高めるため、0.03〜0.06%とする。
に必要であり、0.05%未満ではその効果に乏しく、一
方、0.15%を超えると母材、HAZの靱性劣化や溶接性
の低下を招来するため、0.05〜0.15%とする。 Mn:1.6 〜2.0 % Mnは、焼入れ性を高めて高強度化するために必要であ
り、また母材およびHAZの靱性を向上させる働きもあ
るが、1.6 %未満ではこれらの諸効果を得難く、一方、
2.0 %を超えて添加しても効果は飽和するため、1.6 〜
2.0 %とする。
と結合してAlN を形成し結晶粒を微細化し靱性を向上さ
せる効果を有している。この効果を得るために0.010 %
以上の添加を必要とするが、0.070 %を超えるとAl2O3
系介在物が増加し靭性を劣化させるとともに、表面欠陥
が多発する懸念がある。そのため、Alは0.010 〜0.10%
とする。なお、安定した表面品質を確保する観点からは
0.010 〜0.050 %が好ましい。
る。この効果は0.3 %以上の添加で顕現する。しかし、
0.7 %を超えて添加しても靱性、耐食性の向上効果が飽
和し、徒にコスト高を招く結果となって不利である。こ
のためNi量は0.3〜0.7 %とする。
され、その効果を得るには0.10%以上を必要とするが、
0.40%を超える添加は特に溶接部の靱性の劣化を招くた
め、0.10〜0.40%とする。 V:0.06%以下 Vは、炭窒化物として基地中に析出させて焼戻し軟化抵
抗を適正化に資するために必須に添加されるが、0.06%
を超えると特に溶接部の靱性を劣化させるため、0.06%
以下に限定する。
抗の適正化に資するために必須に添加されるが、0.03%
を超えて添加すると焼戻し軟化抵抗が過大となるため0.
03%以下に限定する。 Ti:0.003 〜0.020 % Tiは、炭化物を形成し結晶粒を微細化し靱性を向上させ
るとともに、基地中に析出して強度を増加させて高強度
化に寄与する。その効果は0.003 %以上の添加で発現す
るが、一方、0.020 %を超えて添加すると、焼入れ性の
確保が難しくなるとともに靭性も劣化する。このため、
Tiは0.003 〜0.020 %とする。なお、より好ましくは0.
010 〜0.018 %である。
10%以上の含有を必要とするが、0.0100%を超える含有
はHAZの靱性を劣化させるので、0.0010〜0.0100%と
する。なお、より好ましくは0.0030〜0.0080%である。 Mo+5V≧0.4 % 個々の成分元素がそれぞれ上記の限定範囲内にあって
も、Mo量とV量の5倍の和が0.4 %未満であると、焼入
れ性が不足してX80級の強度を確保するのが難しくな
る。よって、Mo量とV量とは、Mo+5V≧0.4 %なる関
係を満たす必要がある。(図1参照) 2Nb−V≦0% 個々の成分元素がそれぞれ上記の限定範囲内にあって
も、Nb量の2倍とV量の差が0%を超えると焼戻し軟化
抵抗が過大となり、サイズによらず焼戻し条件を変更す
るだけで強度調整を行うことが困難となる。そのため、
Nb量とV量とは、2Nb−V≦0%なる関係を満たす必要
がある。(図2参照) その他不可避的不純物としてP、S、Oを含有するが、
母材靱性確保の面からできるだけ低減するのが望まし
い。なお、P、S、Oはそれぞれ0.03%、0.01%、0.01
%までは許容できる。
について説明する。上記組成になる鋼を転炉あるいは電
気炉で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊法により凝固さ
せ鋳片を得る。その過程で溶鋼の取鍋精錬、真空脱ガス
等は必要に応じて実施する。得られた鋳片をそのまま、
あるいはさらに熱間圧延して鋼管素材とする。
グミル方式、マンドレルミル方式等の熱間管圧延により
継目無鋼管とし、あるいはさらにサイザ、ストレッチレ
デューサにより熱間のまま所望の寸法に造管する。造管
後は、所望の強度−靱性バランスを得るために焼入れ−
焼戻し(Q−T)からなる熱処理を行う。焼入れ(Q)
は、造管後の熱間状態から直ちにMs点以下(200 ℃程度
以下)まで冷却する直接焼入れ(DQ)、造管後常温付
近まで放冷しその後γ域に再加熱したうえでMs点以下ま
で冷却する再加熱焼入れ(RQ)のいずれで行ってもよ
い。Q−T後にX80級の強度を得るには、γ域の温度か
ら、好ましくは20℃/s以上の冷却速度で、焼入れた後、
Ac1 点未満(好ましくは550℃以上)の範囲内に適宜設
定した温度で焼き戻せばよい。焼戻し温度での保持時間
は適宜決定すればよく、通常は10〜 120min 程度に設定
される。
空脱ガス処理を行い、連続鋳造法により凝固させて得た
鋳片をビレット圧延して鋼管素材とした。これら鋼管素
材をマンネスマン−プラグミル方式の管製造設備により
外径219mm ×肉厚11.1mmの継目無鋼管となし、該鋼管を
表2に示す条件で熱処理した。この熱処理は次のように
して行った。 焼入れ ・造管後、オーステナイト温度域から直接水焼入れ(D
Q)、あるいは、 ・一旦室温まで冷却してから再加熱(950 ℃×15分)
し、900 ℃から水焼入れ(RQ) 焼戻し ・600 ℃×30分、および、650 ℃×30分、あるいは、 ・620 ℃×30分 焼入れ後の硬さ、焼戻し後の引張特性(強度:YS,T
S、伸び:El )、シャルピー試験における50%破面遷
移温度(50%FATT )を調査した。また、市販のX80級溶
接材料を用いてTIG溶接(電圧15V 、電流200A、溶接
速度10kJ/min、入熱18kJ/cm )にて鋼管継手を作製しH
AZ(ボンドから1mm )の50%FATT を調査した。それら
の結果を表2に示す。
例)では、X80級の強度、優れた低温靱性、および、適
度な焼戻し軟化抵抗性を呈したのに対し、本発明範囲外
のもの(比較例)では、強度、低温靱性、焼戻し軟化抵
抗性の少なくともいずれかが不十分もしくは過度であっ
た。
優れた低温靱性を有し、かつ適度な焼戻し軟化抵抗性を
有するので、サイズによらず目標強度を容易に達成で
き、複数サイズの成分統合が可能となってラインパイプ
用鋼管のコストダウンが図れるという優れた効果を奏す
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.03〜0.06%、Si:0.05
〜0.15%、Mn:1.6〜2.0 %、Al:0.010 〜0.10%、N
i:0.3 〜0.7 %、Mo:0.10〜0.40%、V:0.06%以
下、Nb:0.03%以下、Ti:0.003 〜0.020 %、N:0.00
10〜0.0100%を含有し、かつ、Mo+5V≧0.4 %、2Nb
−V≦0%、なる関係を満足し、残部Feおよび不可避的
不純物からなるラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼
管。 - 【請求項2】 X80級の強度、破面遷移温度−60℃以下
の低温靱性、および、600 ℃×30分の焼戻しと650 ℃×
30分の焼戻しでの降伏強さの差が30〜70MPaになる焼戻
し軟化抵抗性を有することを特徴とする請求項1記載継
目無鋼管。
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