JP3485025B2 - ヌクレオチド誘導体 - Google Patents
ヌクレオチド誘導体Info
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/55—Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups
Landscapes
- Saccharide Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なヌクレオチド
誘導体に関するものであり、該ヌクレオチド誘導体は、
例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチドの製造中間原
料として有機合成化学、生化学および医薬産業上、有用
な化合物である。 【0002】 【従来の技術】従来のオリゴデオキシリボヌクレオチド
およびオリゴリボヌクレオチドの合成に関しては、固相
合成法が採用されている。この方法に従えば、ヌクレオ
シドの3’−水酸基を多孔質ガラスなどの不溶性担体上
に固定した出発物質を用い、オリゴヌクレオチド鎖を
3’末端から5’末端方向に1塩基ずつ伸長していくの
が一般的である。このために任意の配列のオリゴヌクレ
オチドの合成が可能となる(ケスターら,特開昭62−
50479号公報、カルザースら,特開昭63−284
39号公報を参照)。しかしながら、上記の方法では、
すべての工程が逐次反応によって構成されているため、
どの工程も反応収率100%か限りなくそれに近く進行
しなければ、目的の配列を有するオリゴヌクレオチドは
得られないという点が問題である。特に、ヌクレオチド
鎖伸長工程であるリン酸化反応工程(縮合反応)は、現
在の最高レベルをもってしても、各伸長反応毎の収率が
98.5〜99.5%であって、この反応収率の高低
が、目的とする配列を有するオリゴヌクレオチドの全収
率を決定する要因となっている。最近、全収率を向上さ
せる方策として、縮合回数を減らすことの出来る2量体
ヌクレオチドを、ヌクレオチド鎖を構築する際のビルデ
ィングブロックとした合成法が有効という報告がある
{クロッツら,バイオオルガニックアンドメディシナル
ケミストリーレターズ(Bioorg. Med. Chem. Let
t.,),1997,7,73-78.}。また、2量体以上をビルデ
ィングブロックとしたオリゴヌクレオチドの化学合成法
も提案されている(例えば、総説として日本化学会編,
「核酸の化学と分子生物学−化学総説46」, 学会出版
センター, 1985, pp. 209-240.など)。しかしながら、
これらのビルディングブロックは水酸基の保護・脱保護
及びリン酸化という一連の工程が非常に複雑であり、し
かも各工程で副生物や不純物を除去するために、抽出や
クロマトグラフィーなどの操作が必要となり、操作上の
繁雑さを招くだけでなく、ビルディングブロックを合成
するためのコストを高くしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オリ
ゴヌクレオチドの製造において、抽出やクロマトグラフ
ィーなどの操作の繁雑さがなく、新規なビルディングブ
ロックとなるヌクレオチド誘導体を提供することであ
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、2量体ヌクレオチ
ド化合物を構成する核酸塩基の保護基部分にポリエチレ
ングリコール鎖を導入した場合、その入手が容易になる
だけでなく、オリゴデオキシリボヌクレオチドの製造に
利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるヌクレオ
チド誘導体である。 【0005】 【化3】 【0006】(式中、R1およびR2は水素原子、ヘテロ
原子を含んでいてもよいアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基もしくはアラルキル基を示し、R1とR2
は同一であっても異なっていても良く、R3およびR4は
水素原子またはヌクレオチド化学において通常用いられ
る保護基を示し、R5およびR6は水素原子、水酸基、ア
ルコキシ基またはトリアルキルシリルオキシ基を示し、
Xは酸素原子または硫黄原子、B1およびB2はヌクレオ
チド化学において通常の保護基で保護した塩基または下
記式(2)で表されるB’を示し、B1およびB2のうち
少なくとも1つはB’である。ただし、R1およびR2の
いずれもが水素原子、メチル基またはエチル基である場
合を除く) 【0007】 B’=−B”−C(=O)−A−(OCH2CH2)nOCH3 (2) 【0008】(式中、B”は下記式(3)で示されるい
ずれかの基を示し、nは3以上の整数、Aは2価基でア
リレン基、もしくはヘテロ原子を含んでも良い直鎖ある
いは分岐鎖を含むアルキレン基をそれぞれ示す。) 【0009】 【化4】 【0010】 【発明の実施の形態】本発明におけるヌクレオチド誘導
体は、核酸塩基のアミノ基またはイミノ基の保護基とし
て、ポリエチレングリコール鎖を含む化合物であり、前
記式(1)で表される化合物である。式(1)におい
て、R1およびR2としては水素原子、メチル基、イソプ
ロピル基、ターシャリーブチル基および1,1−ジエチ
ル−3−ブテニル基などが挙げられ(ただし、R1およ
びR2のいずれもが水素原子、メチル基またはエチル基
の場合を除く)、R3およびR4としては水素原子、4,
4’−ジメトキシトリチル基、アセチル基、ベンゾイル
基、トリメチルシリル基およびターシャリーブチルジメ
チルシリル基が挙げられ、R5およびR6としては水素原
子、メトキシ基、ターシャリーブチルジメチルシリルオ
キシ基および水酸基が挙げられ、Xとしては酸素原子お
よび硫黄原子が挙げられる。またB1およびB2はヌクレ
オチド化学において通常の保護基で保護した塩基、例え
ば、1−(N−4−ベンゾイルシトシニル)基、9−
(N−6−ベンゾイルアデニニル)基、9−(N−2−
イソブチリルグアニニル)基、1−チミニル基、1−ウ
ラニル基および前記式(2)で表されるB’が挙げら
れ、B1、B2のうち少なくとも1つはB’である。 【0011】前記ヌクレオチド誘導体は下記式(4)で
表されるヌクレオシドを亜リン酸化し、さらに、得られ
た亜リン酸トリエステルを酸化もしくは硫化することに
よって得られる。 【0012】 【化5】 【0013】(式中、B”、R3、R4、R5、Aおよび
nは前記式(1)と同じ) 【0014】上記亜リン酸化の方法は、先に取り上げた
ケスターやカルザースらの方法を用いることもできる
し、本発明者らの別の報告による方法(北村ら、特願平
10−367384)も利用できる。例えば、前記式
(4)で表される5’−O,塩基保護−ヌクレオシド
(例えば、R3が4,4’−ジメトキシトリチル、R4お
よびR5が水素原子の化合物)を減圧乾燥するか、ある
いはピリジンもしくは1,4−ジオキサン等の有機溶媒
に溶解してから共沸脱水した後、トルエン、ピリジン、
テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはアセトニトリ
ル等の有機溶媒溶液中、0.9〜1.2当量のオルガノ
オキシビスアゾリルホスフィン{例えば、2−シアノ−
1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシビス
イミダゾリルホスフィン}を−80℃〜室温の条件で反
応させることにより、下記式(5)で表されるホスホル
モノアゾリド化合物が得られる。この反応は低温で行な
った方が、目的のホスホルモノアゾリド化合物の収率は
良い。また、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製した
ものを用いた方が良い。この反応溶液の31P NMRスペ
クトルを測定して反応が完了したことを確認すれば良
い。 【0015】 【化6】 【0016】(式中、B、R1〜R4、Aおよびnは前
記式(1)と同じであり、Xはを示す) 【0017】上記で得られたホスホルモノアゾリド化合
物は、分離・精製すること無く、次の反応に用いること
ができ、オルガノオキシビスアゾリルホスフィンに対し
て0.8〜1.2当量の、少なくとも核酸塩基だけは適
当に保護されたヌクレオシドを、別に減圧乾燥するか共
沸操作をした後、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフ
ラン、クロロホルムまたはアセトニトリル等の有機溶媒
の溶液として、−80℃〜室温の条件で、上記で得られ
た反応溶液に混合し反応させることにより2量化反応は
達成される。この場合、第2番目のヌクレオシドの3’
水酸基は、必ずしも保護されている必要はない。 【0018】次に、オルガノオキシビスアゾリルホスフ
ィンに対して1.5〜10当量の、別に減圧乾燥させて
おいた硫黄粉末を、2量化反応の進行が確認された上記
反応溶液に加え、0℃〜室温条件下、2時間〜12時間
硫化反応を行なうことで、本発明におけるヌクレオシド
誘導体(Xは硫黄原子)であるチオリン酸トリエステル
が生成する。得られたチオリン酸トリエステルは室温以
下であれば、空気中で取り扱うことができ、例えば、反
応溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
に供すれば、容易にその高純度品を得ることができる。 【0019】上記のヌクレオチド誘導体の合成反応は、
核酸塩基に結合しているポリエチレングリコール鎖とは
直接的には関係が無い。例えば、上記反応においてオル
ガノオキシビスアゾリルホスフィンに対して0.8〜
1.2当量の、核酸塩基の保護基部分にポリエチレング
リコール鎖を有するヌクレオシド化合物{前記式(4)
においてR3、R4、R5がいずれも水素原子のもの}を
用いて2量化反応を実施すれば、2つの核酸塩基の双方
にポリエチレングリコール鎖が導入された2量体を得る
こともできる。また、最初の亜リン酸化反応を通常のヌ
クレオチド化学で用いられる5’−O,塩基保護−ヌク
レオシドに対して実施し(北村ら、特願平10−367
384号公報参照)、第2番目のヌクレオシドとして核
酸塩基の保護基部分にポリエチレングリコール鎖を有す
るヌクレオシド化合物{前記式(4)においてR3、
R4、R5がいずれも水素原子のもの}を用いれば、3’
末端側の核酸塩基にのみポリエチレングリコール鎖が導
入された2量体が得ることができる。 【0020】本願発明におけるヌクレオチド誘導体は、
エーテル類には難溶であり、例えば、ヌクレオチド誘導
体を含むクロロホルム溶液をジエチルエーテル中に加え
ると、このヌクレオチド誘導体は白色固体として沈澱す
る。また、2−プロパノールによる再結晶を試みても、
白色固体として沈澱する。従って、ヌクレオチド誘導体
は容易に回収することができる。ゆえに、ポリエチレン
グリコール鎖を有しない通常の保護ヌクレオチドを利用
して2量体成分を得るときに必要であった分離・精製操
作の大半は、本願発明におけるヌクレオチド誘導体にお
いては不要となる。さらに、ヌクレオチド誘導体は、ア
セトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジンおよび有
機塩素系溶媒に可溶であり、これらポリエチレングリコ
ールに対する良溶媒中、適当に保護された第3番目以降
のヌクレオシ(チ)ドを反応させることにより、配列が
明らかな多量体を得ることができる。 【0021】 【実施例】以下、実施例により本発明について詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 (合成例1) 2−シアノ−1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)
エトキシビスイミダゾリルホスフィンの合成 2−シアノ−1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)
エトキシジクロロホスフィン(350mg,1.25m
mol)のトルエン(5ml)溶液にアルゴン雰囲気
下、室温の条件で、トリメチルシリルイミダゾール
(0.40ml,2.75mmol)を加え5分間反応
させた。副生したクロロトリメチルシランおよびトルエ
ンを室温で10分間減圧留去した後、残留トルエンおよ
び過剰のトリメチルシリルイミダゾールを35℃の条件
で2時間減圧留去し、無色透明、油状の2−シアノ−1
−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシビスイ
ミダゾリルホスフィン(V)を得た。得られた化合物の
31P NMR(161.9MHz,外部標準;(CH3
O)3P=140ppm,CDCl3)は、δ=109.
3であった。 【0022】(合成例2) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物の合成 合成例1で得られた2−シアノ−1−(1,1−ジエチ
ル−3−ブテニル)エトキシビスイミダゾリルホスフィ
ンを(重)クロロホルム(2.5ml)に溶解させて
0.50M溶液とし、アルゴン雰囲気下、室温で2時間
減圧乾燥させた5’−O−(4,4−ジメトキシトリチ
ル)−2’−デオキシシチジン−N−ポリエチレングリ
コール誘導体(ポリエチレングリコールの数平均分子量
(Mn)350,前記式(4)においてB”=シトシン
誘導体,R4=4,4−ジメトキシトリチル基、R4=R
5=水素原子、A=フェニレン基のもの、1.20g、
1.25mmol)に室温で加えた。均一になった後、
そのまま一晩静置して反応させ、目的のホスホルアゾリ
ド化合物を得た。得られた化合物の31P NMR(16
1.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=140pp
m,CDCl3)は、δ=134.3,131.5,1
30.8,127.4であった。 【0023】(合成例3) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物を用いた2量化反応(CpC前駆体の合
成) 上記合成例2で得られたのホスホルアゾリド化合物(in
situ DNA合成試薬)の(重)クロロホルム反応溶液
(2.0ml,約1mmol)に、5’−O,塩基保護
−2’−デオキシシチジン−ポリエチレングリコール誘
導体(ポリエチレングリコールの数平均分子量(Mn)
350,前記式(4)においてB”=シトシン誘導体,
R3=R4=R5=水素,A=フェニレン基のもの,65
0mg,1mmol)の重クロロホルム溶液(2ml)
をアルゴン雰囲気下、0℃で加え、そのまま一晩4℃で
静置して反応させ、2量体を得た。この時の第2番目の
ヌクレオシドの水酸基の反応選択性は、31P NMRに
よると5’水酸基/3’水酸基=92/8であった。得
られた化合物の31P NMR(161.9MHz,外部
標準;(CH3O)3P=140ppm,CDCl3)
は、δ=141.7,141.0,140.8,14
0.4であった。上記で得られた2量化反応溶液の一部
(2ml,総重量2.95g,約0.5mmol)を測
り取り、これを無水ジエチルエーテル(30ml)に攪
拌しながら加えると、2〜5分で白色の固体が析出し
た。更に10分間激しく攪拌した後、4℃で一晩放置し
た。デカンテーションしてエーテルを除去し、残査は無
水エーテル(5ml)で3回洗浄した。この残査を減圧
乾燥し、31P NMRを測定した結果、上記に示したス
ペクトルと同様であり、目的とした2量体が回収された
ことが確認できた(882mg,回収率88%)。 【0024】(実施例1) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物を用いた2量化反応(CpsA保護体の合
成) 上記合成例2で得られたホスホルアゾリド化合物(in s
itu DNA合成試薬)のクロロホルム反応溶液(5m
l,約2.5mmol)に、N−ベンゾイル−2’−デ
オキシアデノシン(890mg,2.5mmol)のク
ロロホルム/ピリジン混合溶液(1/2(v/v),5
ml)をアルゴン雰囲気下、0℃で加え、そのまま一晩
4℃で静置して反応させ2量化させた。この反応溶液
に、室温条件下、予め別に3時間以上減圧乾燥させてお
いた硫黄粉末(160mg,5mmol)を投入し、更
に12時間攪拌した。溶媒を室温以下の温度で減圧留去
し、残査をクロロホルム(20ml)に再溶解し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタ
ノール=100/3)で精製すると、目的とする2量体
(チオリン酸トリエステル)が得られた(3.43g,
収率88%)。得られた化合物の31P NMR(16
1.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=140pp
m,CDCl3)は、δ=66.3,66.0,65.6
であった。得られた2量体(CpsA保護体)を1.0g
秤取り、クロロホルム(5ml)に溶解し、これにジエ
チルエーテル(50ml)を攪拌しながら加えると、白
色の固体が析出した。4℃で一晩放置したのち、デカン
テーションしてエーテルを除去し、残査はエーテル(5
ml)で3回洗浄した。この残査を減圧乾燥し、31PN
MRを測定した結果、スペクトルは上記のものと同様で
あり、2量体が回収されたことが確認できた(0.97
g,回収率97%)。また同様に2量体を1.30g秤
取り、2−プロパノール(40ml)を加えて50〜5
5℃に加温して一旦均一溶液とした後に4℃で一晩放置
すると、上記と同じく白色固体が得られた(1.04
g,回収率80%)。 【0025】(実施例2) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物を用いた2量化反応(CpsG保護体の合
成) N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシンの代わり
に、N−イソブチリル−2’−デオキシグアノシン(8
90mg,2.5mmol)のクロロホルム/ピリジン
混合溶液(1/2(v/v),5ml)を用いた以外
は、実施例1と同様に反応を行ない、目的とする2量体
(チオリン酸トリエステル)を得た(3.15g,収率
81%)。得られた化合物の31P NMR(161.9
MHz,外部標準;(CH3O)3P=140ppm,CD
Cl3)は、δ=66.6,66.2,65.8,6
5.4であった。 【0026】(実施例3) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物の2量体の合成(ApsC保護体の合成) 2−シアノ−1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)
エトキシジクロロホスフィン(570mg,2.02m
mol)のトルエン(5ml)溶液にアルゴン雰囲気
下、室温の条件で、トリメチルシリルイミダゾール
(0.65ml,4.44mmol)を加え5分間反応
させた。副生したクロロトリメチルシランおよびトルエ
ンを室温で10分間減圧留去した後、残留トルエンおよ
び過剰のトリメチルシリルイミダゾールを35℃の条件
で2時間減圧留去し、無色透明、油状の2−シアノ−1
−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシビスイ
ミダゾリルホスフィンを得た。これを無水クロロホルム
(4.0ml)に溶解させて0.50M溶液とし、アル
ゴン雰囲気下、室温の条件で、室温で2時間減圧乾燥し
たN−6−ベンゾイル−5’−O−(4,4−ジメトキ
シトリチル)−2’−デオキシアデノシン(1.39
g、2.12mmol)に加えた。反応液は均一とな
り、そのまま一晩4℃で静置して反応させ、ホスホルア
ゾリド化合物(in situ DNA合成試薬)を調製した。
この反応溶液を、1,4−ジオキサンで共沸処理した
5’−O,塩基保護−2’−デオキシシチジン−ポリエ
チレングリコール誘導体(ポリエチレングリコールの数
平均分子量(Mn)350,前記式(4)においてB”
=シトシン誘導体,R3=R4=R5=水素,A=フェニ
レン基のもの,1.6g,2.4mmol)に0℃で加
え、そのまま一晩4℃で静置し2量化させ、亜リン酸ト
リエステルを得た。得られた化合物の31P NMR(1
61.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=140p
pm,CDCl3)は、δ=142.8,142.6,
142.0,140.6であった。更に、室温条件下、
予め別に3時間以上減圧乾燥させておいた硫黄粉末(1
60mg,5mmol)を投入し、12時間攪拌した。
溶媒を室温以下の温度で減圧留去し、残査をクロロホル
ム(20ml)に再溶解し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(クロロホルム/メタノール=100/3)
で精製すると、目的とする2量体(チオリン酸トリエス
テル)が得られた(3.16g,ジクロロホスフィンか
らの通算収率70%)。得られた化合物の31P NMR
(161.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=14
0ppm,CDCl3)は、δ=66.5,66.5,6
5.8,65.6であった。さらに、上記で得られたチ
オリン酸トリエステルを、トリクロロ酢酸のクロロホル
ム・メタノール溶液(9/1(v/v),3%)中で、
室温下、30分処理すると、リン酸部分を損なうこと無
く、脱トリチル化反応が完了した。得られた化合物の31
P NMR(161.9MHz,外部標準;(CH
3O)3P=140ppm,CDCl3)は、δ=67.0,
66.7,66.2であった。 【0027】 【発明の効果】本発明のヌクレオチド誘導体は、オリゴ
ヌクレオチドの製造において、ヌクレオチド鎖を構築す
る際の出発原料として、あるいは鎖長を伸長する基本構
成単位(ビルディングブロック)として利用できる。こ
れを利用して調製する多量体は、ポリエチレングリコー
ルの性質を利用して分離・精製することが可能で、従来
法のそれと比較すると生成物の取り扱いが極めて容易と
なる。従って、本発明のヌクレオチド誘導体は多量体ビ
ルディングブロックの調製に対して極めて有用である。
誘導体に関するものであり、該ヌクレオチド誘導体は、
例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチドの製造中間原
料として有機合成化学、生化学および医薬産業上、有用
な化合物である。 【0002】 【従来の技術】従来のオリゴデオキシリボヌクレオチド
およびオリゴリボヌクレオチドの合成に関しては、固相
合成法が採用されている。この方法に従えば、ヌクレオ
シドの3’−水酸基を多孔質ガラスなどの不溶性担体上
に固定した出発物質を用い、オリゴヌクレオチド鎖を
3’末端から5’末端方向に1塩基ずつ伸長していくの
が一般的である。このために任意の配列のオリゴヌクレ
オチドの合成が可能となる(ケスターら,特開昭62−
50479号公報、カルザースら,特開昭63−284
39号公報を参照)。しかしながら、上記の方法では、
すべての工程が逐次反応によって構成されているため、
どの工程も反応収率100%か限りなくそれに近く進行
しなければ、目的の配列を有するオリゴヌクレオチドは
得られないという点が問題である。特に、ヌクレオチド
鎖伸長工程であるリン酸化反応工程(縮合反応)は、現
在の最高レベルをもってしても、各伸長反応毎の収率が
98.5〜99.5%であって、この反応収率の高低
が、目的とする配列を有するオリゴヌクレオチドの全収
率を決定する要因となっている。最近、全収率を向上さ
せる方策として、縮合回数を減らすことの出来る2量体
ヌクレオチドを、ヌクレオチド鎖を構築する際のビルデ
ィングブロックとした合成法が有効という報告がある
{クロッツら,バイオオルガニックアンドメディシナル
ケミストリーレターズ(Bioorg. Med. Chem. Let
t.,),1997,7,73-78.}。また、2量体以上をビルデ
ィングブロックとしたオリゴヌクレオチドの化学合成法
も提案されている(例えば、総説として日本化学会編,
「核酸の化学と分子生物学−化学総説46」, 学会出版
センター, 1985, pp. 209-240.など)。しかしながら、
これらのビルディングブロックは水酸基の保護・脱保護
及びリン酸化という一連の工程が非常に複雑であり、し
かも各工程で副生物や不純物を除去するために、抽出や
クロマトグラフィーなどの操作が必要となり、操作上の
繁雑さを招くだけでなく、ビルディングブロックを合成
するためのコストを高くしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オリ
ゴヌクレオチドの製造において、抽出やクロマトグラフ
ィーなどの操作の繁雑さがなく、新規なビルディングブ
ロックとなるヌクレオチド誘導体を提供することであ
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、2量体ヌクレオチ
ド化合物を構成する核酸塩基の保護基部分にポリエチレ
ングリコール鎖を導入した場合、その入手が容易になる
だけでなく、オリゴデオキシリボヌクレオチドの製造に
利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるヌクレオ
チド誘導体である。 【0005】 【化3】 【0006】(式中、R1およびR2は水素原子、ヘテロ
原子を含んでいてもよいアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基もしくはアラルキル基を示し、R1とR2
は同一であっても異なっていても良く、R3およびR4は
水素原子またはヌクレオチド化学において通常用いられ
る保護基を示し、R5およびR6は水素原子、水酸基、ア
ルコキシ基またはトリアルキルシリルオキシ基を示し、
Xは酸素原子または硫黄原子、B1およびB2はヌクレオ
チド化学において通常の保護基で保護した塩基または下
記式(2)で表されるB’を示し、B1およびB2のうち
少なくとも1つはB’である。ただし、R1およびR2の
いずれもが水素原子、メチル基またはエチル基である場
合を除く) 【0007】 B’=−B”−C(=O)−A−(OCH2CH2)nOCH3 (2) 【0008】(式中、B”は下記式(3)で示されるい
ずれかの基を示し、nは3以上の整数、Aは2価基でア
リレン基、もしくはヘテロ原子を含んでも良い直鎖ある
いは分岐鎖を含むアルキレン基をそれぞれ示す。) 【0009】 【化4】 【0010】 【発明の実施の形態】本発明におけるヌクレオチド誘導
体は、核酸塩基のアミノ基またはイミノ基の保護基とし
て、ポリエチレングリコール鎖を含む化合物であり、前
記式(1)で表される化合物である。式(1)におい
て、R1およびR2としては水素原子、メチル基、イソプ
ロピル基、ターシャリーブチル基および1,1−ジエチ
ル−3−ブテニル基などが挙げられ(ただし、R1およ
びR2のいずれもが水素原子、メチル基またはエチル基
の場合を除く)、R3およびR4としては水素原子、4,
4’−ジメトキシトリチル基、アセチル基、ベンゾイル
基、トリメチルシリル基およびターシャリーブチルジメ
チルシリル基が挙げられ、R5およびR6としては水素原
子、メトキシ基、ターシャリーブチルジメチルシリルオ
キシ基および水酸基が挙げられ、Xとしては酸素原子お
よび硫黄原子が挙げられる。またB1およびB2はヌクレ
オチド化学において通常の保護基で保護した塩基、例え
ば、1−(N−4−ベンゾイルシトシニル)基、9−
(N−6−ベンゾイルアデニニル)基、9−(N−2−
イソブチリルグアニニル)基、1−チミニル基、1−ウ
ラニル基および前記式(2)で表されるB’が挙げら
れ、B1、B2のうち少なくとも1つはB’である。 【0011】前記ヌクレオチド誘導体は下記式(4)で
表されるヌクレオシドを亜リン酸化し、さらに、得られ
た亜リン酸トリエステルを酸化もしくは硫化することに
よって得られる。 【0012】 【化5】 【0013】(式中、B”、R3、R4、R5、Aおよび
nは前記式(1)と同じ) 【0014】上記亜リン酸化の方法は、先に取り上げた
ケスターやカルザースらの方法を用いることもできる
し、本発明者らの別の報告による方法(北村ら、特願平
10−367384)も利用できる。例えば、前記式
(4)で表される5’−O,塩基保護−ヌクレオシド
(例えば、R3が4,4’−ジメトキシトリチル、R4お
よびR5が水素原子の化合物)を減圧乾燥するか、ある
いはピリジンもしくは1,4−ジオキサン等の有機溶媒
に溶解してから共沸脱水した後、トルエン、ピリジン、
テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはアセトニトリ
ル等の有機溶媒溶液中、0.9〜1.2当量のオルガノ
オキシビスアゾリルホスフィン{例えば、2−シアノ−
1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシビス
イミダゾリルホスフィン}を−80℃〜室温の条件で反
応させることにより、下記式(5)で表されるホスホル
モノアゾリド化合物が得られる。この反応は低温で行な
った方が、目的のホスホルモノアゾリド化合物の収率は
良い。また、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製した
ものを用いた方が良い。この反応溶液の31P NMRスペ
クトルを測定して反応が完了したことを確認すれば良
い。 【0015】 【化6】 【0016】(式中、B、R1〜R4、Aおよびnは前
記式(1)と同じであり、Xはを示す) 【0017】上記で得られたホスホルモノアゾリド化合
物は、分離・精製すること無く、次の反応に用いること
ができ、オルガノオキシビスアゾリルホスフィンに対し
て0.8〜1.2当量の、少なくとも核酸塩基だけは適
当に保護されたヌクレオシドを、別に減圧乾燥するか共
沸操作をした後、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフ
ラン、クロロホルムまたはアセトニトリル等の有機溶媒
の溶液として、−80℃〜室温の条件で、上記で得られ
た反応溶液に混合し反応させることにより2量化反応は
達成される。この場合、第2番目のヌクレオシドの3’
水酸基は、必ずしも保護されている必要はない。 【0018】次に、オルガノオキシビスアゾリルホスフ
ィンに対して1.5〜10当量の、別に減圧乾燥させて
おいた硫黄粉末を、2量化反応の進行が確認された上記
反応溶液に加え、0℃〜室温条件下、2時間〜12時間
硫化反応を行なうことで、本発明におけるヌクレオシド
誘導体(Xは硫黄原子)であるチオリン酸トリエステル
が生成する。得られたチオリン酸トリエステルは室温以
下であれば、空気中で取り扱うことができ、例えば、反
応溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
に供すれば、容易にその高純度品を得ることができる。 【0019】上記のヌクレオチド誘導体の合成反応は、
核酸塩基に結合しているポリエチレングリコール鎖とは
直接的には関係が無い。例えば、上記反応においてオル
ガノオキシビスアゾリルホスフィンに対して0.8〜
1.2当量の、核酸塩基の保護基部分にポリエチレング
リコール鎖を有するヌクレオシド化合物{前記式(4)
においてR3、R4、R5がいずれも水素原子のもの}を
用いて2量化反応を実施すれば、2つの核酸塩基の双方
にポリエチレングリコール鎖が導入された2量体を得る
こともできる。また、最初の亜リン酸化反応を通常のヌ
クレオチド化学で用いられる5’−O,塩基保護−ヌク
レオシドに対して実施し(北村ら、特願平10−367
384号公報参照)、第2番目のヌクレオシドとして核
酸塩基の保護基部分にポリエチレングリコール鎖を有す
るヌクレオシド化合物{前記式(4)においてR3、
R4、R5がいずれも水素原子のもの}を用いれば、3’
末端側の核酸塩基にのみポリエチレングリコール鎖が導
入された2量体が得ることができる。 【0020】本願発明におけるヌクレオチド誘導体は、
エーテル類には難溶であり、例えば、ヌクレオチド誘導
体を含むクロロホルム溶液をジエチルエーテル中に加え
ると、このヌクレオチド誘導体は白色固体として沈澱す
る。また、2−プロパノールによる再結晶を試みても、
白色固体として沈澱する。従って、ヌクレオチド誘導体
は容易に回収することができる。ゆえに、ポリエチレン
グリコール鎖を有しない通常の保護ヌクレオチドを利用
して2量体成分を得るときに必要であった分離・精製操
作の大半は、本願発明におけるヌクレオチド誘導体にお
いては不要となる。さらに、ヌクレオチド誘導体は、ア
セトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジンおよび有
機塩素系溶媒に可溶であり、これらポリエチレングリコ
ールに対する良溶媒中、適当に保護された第3番目以降
のヌクレオシ(チ)ドを反応させることにより、配列が
明らかな多量体を得ることができる。 【0021】 【実施例】以下、実施例により本発明について詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 (合成例1) 2−シアノ−1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)
エトキシビスイミダゾリルホスフィンの合成 2−シアノ−1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)
エトキシジクロロホスフィン(350mg,1.25m
mol)のトルエン(5ml)溶液にアルゴン雰囲気
下、室温の条件で、トリメチルシリルイミダゾール
(0.40ml,2.75mmol)を加え5分間反応
させた。副生したクロロトリメチルシランおよびトルエ
ンを室温で10分間減圧留去した後、残留トルエンおよ
び過剰のトリメチルシリルイミダゾールを35℃の条件
で2時間減圧留去し、無色透明、油状の2−シアノ−1
−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシビスイ
ミダゾリルホスフィン(V)を得た。得られた化合物の
31P NMR(161.9MHz,外部標準;(CH3
O)3P=140ppm,CDCl3)は、δ=109.
3であった。 【0022】(合成例2) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物の合成 合成例1で得られた2−シアノ−1−(1,1−ジエチ
ル−3−ブテニル)エトキシビスイミダゾリルホスフィ
ンを(重)クロロホルム(2.5ml)に溶解させて
0.50M溶液とし、アルゴン雰囲気下、室温で2時間
減圧乾燥させた5’−O−(4,4−ジメトキシトリチ
ル)−2’−デオキシシチジン−N−ポリエチレングリ
コール誘導体(ポリエチレングリコールの数平均分子量
(Mn)350,前記式(4)においてB”=シトシン
誘導体,R4=4,4−ジメトキシトリチル基、R4=R
5=水素原子、A=フェニレン基のもの、1.20g、
1.25mmol)に室温で加えた。均一になった後、
そのまま一晩静置して反応させ、目的のホスホルアゾリ
ド化合物を得た。得られた化合物の31P NMR(16
1.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=140pp
m,CDCl3)は、δ=134.3,131.5,1
30.8,127.4であった。 【0023】(合成例3) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物を用いた2量化反応(CpC前駆体の合
成) 上記合成例2で得られたのホスホルアゾリド化合物(in
situ DNA合成試薬)の(重)クロロホルム反応溶液
(2.0ml,約1mmol)に、5’−O,塩基保護
−2’−デオキシシチジン−ポリエチレングリコール誘
導体(ポリエチレングリコールの数平均分子量(Mn)
350,前記式(4)においてB”=シトシン誘導体,
R3=R4=R5=水素,A=フェニレン基のもの,65
0mg,1mmol)の重クロロホルム溶液(2ml)
をアルゴン雰囲気下、0℃で加え、そのまま一晩4℃で
静置して反応させ、2量体を得た。この時の第2番目の
ヌクレオシドの水酸基の反応選択性は、31P NMRに
よると5’水酸基/3’水酸基=92/8であった。得
られた化合物の31P NMR(161.9MHz,外部
標準;(CH3O)3P=140ppm,CDCl3)
は、δ=141.7,141.0,140.8,14
0.4であった。上記で得られた2量化反応溶液の一部
(2ml,総重量2.95g,約0.5mmol)を測
り取り、これを無水ジエチルエーテル(30ml)に攪
拌しながら加えると、2〜5分で白色の固体が析出し
た。更に10分間激しく攪拌した後、4℃で一晩放置し
た。デカンテーションしてエーテルを除去し、残査は無
水エーテル(5ml)で3回洗浄した。この残査を減圧
乾燥し、31P NMRを測定した結果、上記に示したス
ペクトルと同様であり、目的とした2量体が回収された
ことが確認できた(882mg,回収率88%)。 【0024】(実施例1) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物を用いた2量化反応(CpsA保護体の合
成) 上記合成例2で得られたホスホルアゾリド化合物(in s
itu DNA合成試薬)のクロロホルム反応溶液(5m
l,約2.5mmol)に、N−ベンゾイル−2’−デ
オキシアデノシン(890mg,2.5mmol)のク
ロロホルム/ピリジン混合溶液(1/2(v/v),5
ml)をアルゴン雰囲気下、0℃で加え、そのまま一晩
4℃で静置して反応させ2量化させた。この反応溶液
に、室温条件下、予め別に3時間以上減圧乾燥させてお
いた硫黄粉末(160mg,5mmol)を投入し、更
に12時間攪拌した。溶媒を室温以下の温度で減圧留去
し、残査をクロロホルム(20ml)に再溶解し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタ
ノール=100/3)で精製すると、目的とする2量体
(チオリン酸トリエステル)が得られた(3.43g,
収率88%)。得られた化合物の31P NMR(16
1.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=140pp
m,CDCl3)は、δ=66.3,66.0,65.6
であった。得られた2量体(CpsA保護体)を1.0g
秤取り、クロロホルム(5ml)に溶解し、これにジエ
チルエーテル(50ml)を攪拌しながら加えると、白
色の固体が析出した。4℃で一晩放置したのち、デカン
テーションしてエーテルを除去し、残査はエーテル(5
ml)で3回洗浄した。この残査を減圧乾燥し、31PN
MRを測定した結果、スペクトルは上記のものと同様で
あり、2量体が回収されたことが確認できた(0.97
g,回収率97%)。また同様に2量体を1.30g秤
取り、2−プロパノール(40ml)を加えて50〜5
5℃に加温して一旦均一溶液とした後に4℃で一晩放置
すると、上記と同じく白色固体が得られた(1.04
g,回収率80%)。 【0025】(実施例2) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物を用いた2量化反応(CpsG保護体の合
成) N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシンの代わり
に、N−イソブチリル−2’−デオキシグアノシン(8
90mg,2.5mmol)のクロロホルム/ピリジン
混合溶液(1/2(v/v),5ml)を用いた以外
は、実施例1と同様に反応を行ない、目的とする2量体
(チオリン酸トリエステル)を得た(3.15g,収率
81%)。得られた化合物の31P NMR(161.9
MHz,外部標準;(CH3O)3P=140ppm,CD
Cl3)は、δ=66.6,66.2,65.8,6
5.4であった。 【0026】(実施例3) メトキシポリエチレングリコール鎖を有するホスホルア
ゾリド化合物の2量体の合成(ApsC保護体の合成) 2−シアノ−1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)
エトキシジクロロホスフィン(570mg,2.02m
mol)のトルエン(5ml)溶液にアルゴン雰囲気
下、室温の条件で、トリメチルシリルイミダゾール
(0.65ml,4.44mmol)を加え5分間反応
させた。副生したクロロトリメチルシランおよびトルエ
ンを室温で10分間減圧留去した後、残留トルエンおよ
び過剰のトリメチルシリルイミダゾールを35℃の条件
で2時間減圧留去し、無色透明、油状の2−シアノ−1
−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシビスイ
ミダゾリルホスフィンを得た。これを無水クロロホルム
(4.0ml)に溶解させて0.50M溶液とし、アル
ゴン雰囲気下、室温の条件で、室温で2時間減圧乾燥し
たN−6−ベンゾイル−5’−O−(4,4−ジメトキ
シトリチル)−2’−デオキシアデノシン(1.39
g、2.12mmol)に加えた。反応液は均一とな
り、そのまま一晩4℃で静置して反応させ、ホスホルア
ゾリド化合物(in situ DNA合成試薬)を調製した。
この反応溶液を、1,4−ジオキサンで共沸処理した
5’−O,塩基保護−2’−デオキシシチジン−ポリエ
チレングリコール誘導体(ポリエチレングリコールの数
平均分子量(Mn)350,前記式(4)においてB”
=シトシン誘導体,R3=R4=R5=水素,A=フェニ
レン基のもの,1.6g,2.4mmol)に0℃で加
え、そのまま一晩4℃で静置し2量化させ、亜リン酸ト
リエステルを得た。得られた化合物の31P NMR(1
61.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=140p
pm,CDCl3)は、δ=142.8,142.6,
142.0,140.6であった。更に、室温条件下、
予め別に3時間以上減圧乾燥させておいた硫黄粉末(1
60mg,5mmol)を投入し、12時間攪拌した。
溶媒を室温以下の温度で減圧留去し、残査をクロロホル
ム(20ml)に再溶解し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(クロロホルム/メタノール=100/3)
で精製すると、目的とする2量体(チオリン酸トリエス
テル)が得られた(3.16g,ジクロロホスフィンか
らの通算収率70%)。得られた化合物の31P NMR
(161.9MHz,外部標準;(CH3O)3P=14
0ppm,CDCl3)は、δ=66.5,66.5,6
5.8,65.6であった。さらに、上記で得られたチ
オリン酸トリエステルを、トリクロロ酢酸のクロロホル
ム・メタノール溶液(9/1(v/v),3%)中で、
室温下、30分処理すると、リン酸部分を損なうこと無
く、脱トリチル化反応が完了した。得られた化合物の31
P NMR(161.9MHz,外部標準;(CH
3O)3P=140ppm,CDCl3)は、δ=67.0,
66.7,66.2であった。 【0027】 【発明の効果】本発明のヌクレオチド誘導体は、オリゴ
ヌクレオチドの製造において、ヌクレオチド鎖を構築す
る際の出発原料として、あるいは鎖長を伸長する基本構
成単位(ビルディングブロック)として利用できる。こ
れを利用して調製する多量体は、ポリエチレングリコー
ルの性質を利用して分離・精製することが可能で、従来
法のそれと比較すると生成物の取り扱いが極めて容易と
なる。従って、本発明のヌクレオチド誘導体は多量体ビ
ルディングブロックの調製に対して極めて有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 Nucleic Acids Res
earch,1989年,Vol.17, N
o.2,p.4863−4871
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C07H 19/06 - 19/10
C07H 19/16 - 19/207
C07H 21/00 - 21/04
REGISTRY(STN)
CA(STN)
CAOLD(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】下記式(1)で表されるヌクレオチド誘導
体。 【化1】 (式中、R1およびR2は水素原子、ヘテロ原子を含んで
いてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基
もしくはアラルキル基を示し、R1とR2は同一であって
も異なっていても良く、R3およびR4は水素原子または
ヌクレオチド化学において通常用いられる保護基を示
し、R5およびR6は水素原子、水酸基、アルコキシ基ま
たはトリアルキルシリルオキシ基を示し、Xは酸素原子
または硫黄原子、B1およびB2はヌクレオチド化学にお
いて通常の保護基で保護した塩基または下記式(2)で
表されるB’を示し、B1およびB2のうち少なくとも1
つはB’である。ただし、R1およびR2のいずれもが水
素原子、メチル基またはエチル基である場合を除く) B’=−B”−C(=O)−A−(OCH2CH2)nOCH3 (2) (式中、B”は下記式(3)で示されるいずれかの基を
示し、nは3以上の整数、Aは2価基でアリレン基、も
しくはヘテロ原子を含んでも良い直鎖あるいは分岐鎖を
含むアルキレン基をそれぞれ示す。) 【化2】
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP13988399A JP3485025B2 (ja) | 1999-05-20 | 1999-05-20 | ヌクレオチド誘導体 |
US09/471,802 US6380378B1 (en) | 1998-12-24 | 1999-12-23 | Nucleotide compound, nucleotide block oligonucleotide, and method for producing them |
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JP13988399A JP3485025B2 (ja) | 1999-05-20 | 1999-05-20 | ヌクレオチド誘導体 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000327696A JP2000327696A (ja) | 2000-11-28 |
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ID=15255814
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13988399A Expired - Fee Related JP3485025B2 (ja) | 1998-12-24 | 1999-05-20 | ヌクレオチド誘導体 |
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---|---|
JP (1) | JP3485025B2 (ja) |
-
1999
- 1999-05-20 JP JP13988399A patent/JP3485025B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Nucleic Acids Research,1989年,Vol.17, No.2,p.4863−4871 |
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