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JP3301294B2 - 健康状態管理装置 - Google Patents

健康状態管理装置

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JP3301294B2
JP3301294B2 JP32923295A JP32923295A JP3301294B2 JP 3301294 B2 JP3301294 B2 JP 3301294B2 JP 32923295 A JP32923295 A JP 32923295A JP 32923295 A JP32923295 A JP 32923295A JP 3301294 B2 JP3301294 B2 JP 3301294B2
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和彦 天野
和夫 上馬場
仁 石山
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Seiko Epson Corp
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Priority to PCT/JP1996/003674 priority patent/WO1997022295A1/ja
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  • Measuring Pulse, Heart Rate, Blood Pressure Or Blood Flow (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液循環の状態か
ら得られる情報をもとに使用者の健康状態を監視して、
該使用者へ適切な助言,指導を行う健康状態管理装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会が一段と進み、成人病
を中心とした中高年者の健康問題が大きく取り上げられ
てきており、これら疾病の原因として巷間さまざまな要
因が挙げられている。それら原因の一つとして、血液循
環が十分でなくなったことに起因すると見られる証拠が
発見されている。血液循環が不充分になると、組織,細
胞が、必要とするだけの酸素や栄養の補給を受けられな
くなる。このような状態が長期間持続すると、臓器や組
織に器質的な病変が準備され、これがある程度進行した
時点で、突如のごとく症状が発現する。
【0003】このようなことから、器質的な病変が進行
してしまわないうちに、その基盤となる血液循環の良否
を判定して疾病の予防に役立てようとする試みが種々な
されてきた。そのようなことから、以前は、危険因子と
して血圧,心電図の変化,血中コレステロール,中性脂
肪濃度などに着目して血液循環の良否を判定していた。
【0004】ところが、実際には、血圧が低くとも脳卒
中,心不全が発病することも少なくなく、他方、高血圧
であっても高齢でなお健在の人もいる。さらに、かなり
の器質的変化があっても心電図等で発見されないことも
多い。このような場合でも、さらに器質的変化が進行す
れば検査器械で発見することは可能であるが、それでは
遅きに失することとなる。
【0005】そうした所、近年において、加速度脈波が
血液循環の良否を表わすものとして有効であることが見
い出されて注目を集めている。そこでまず、血液循環の
目安となる加速度脈波について概説する。周知のよう
に、血液循環の基本は、心臓から押し出された血液が動
脈→組織/臓器の毛細血管→静脈へと如何にうまく移行
していくかにある。
【0006】一方、酸素や栄養の補給は毛細血管で行わ
れており、血液循環の良否は微小血管部分の血行動態に
関わりがあることから、毛細血管の血液含有量の推移が
血液循環の良い目安となると考えられる。というのは、
末端の動脈血圧と静脈血圧との僅かな差が毛細血管にお
ける栄養補給とガス交換に微妙な差を生じさせ、そのた
めに、長い間にはその差が拡大されて、組織や臓器に器
質的な病変が生じると考えられるからである。
【0007】そのため、毛細血管の血液含有量の時間的
推移を観察する方法の一つとして、指尖容積脈波の検査
を行うことが主流となっている。しかしながら、指尖容
積脈波それ自体は比較的起伏に乏しい波形を呈し、従っ
て、微妙な波形の変化の解釈が困難であると考えられて
いた。また、血液循環に関わる変化が微小で、なおか
つ、生体の環境変化に敏感に反応してしまうという問題
もあるとされていた。
【0008】ところが、指尖容積脈波の波形の2回微分
をとり、変化加速度波形(即ち、加速度脈波波形)へと
変換することで、血液循環に関わる情報を拡大,抽出し
て血液循環の状態を分かりやすい形で表示することが可
能となる。図14(a)は指尖容積脈波の原波形の一例
であって、図14(b)は図14(a)の波形の1回微
分である速度脈波の波形を、図14(c)は図14
(a)の波形の2回微分である加速度脈波の波形を示し
ている。
【0009】また、図15は典型的な加速度脈波の一波
形を抽出したものである。同図に示すように、加速度脈
波の一波形中には3つのピークと2つのバレイ(谷)が
存在する。すなわち、最初のピークaの後にバレイbが
見られ、次いでピークc,バレイd,ピークeが続き、
ピークeから次の波形のピークaまでは略平坦である。
もっとも、ピークaを除けば、各点はピークやバレイと
はならずに単なる変曲点となることもある。
【0010】ここで、上記のピークやバレイの振幅は、
それぞれ以下に示すような意味を有している。まず、ピ
ークaは心臓から送り出された血液が指尖の毛細血管床
に到達した信号である。また、バレイbは心臓の拍出量
に関わるものであって、拍出量が多ければ大きく下降す
る。
【0011】また、ピークcは静脈還流に関わり、血液
循環の尺度から見た場合、細静脈が適度に収縮して過度
に血液をプールしていないかどうかを示すものと言え
る。静脈還流が良好な場合、ピークcは基線の近傍或い
は基線より上に上がることもある。一方、細静脈の血液
プールが増加してくると、ピークcは上昇しなくなり、
バレイbより下になることもある。他方、バレイdは心
臓の負担に関わりを持ち、心臓の負担が増加してくると
大きく下降してくる。なお、ピークeは指尖容積脈波の
収縮後隆起の位置に相当するが、具体的な意味は見つか
っていない。
【0012】このような加速度脈波から捉えられる血液
循環の不具合は、ジョギングなどの持久的トレーニング
によって改善されることが知られている。また、一回の
トレーニングだけでも一時的な改善効果が見られ、継続
的なトレーニングを実施すれば、さらに安定した改善効
果が認められるようになる。他方、トレーニングを中断
すると再び血液循環が悪化してしまう。従って、このよ
うな血液循環の改善の程度については、加速度脈波を解
析することにより知ることができると言える。
【0013】ところで、被験者の加速度脈波を解析する
ことにより、該被験者の血液循環の良否の判断を行うこ
とを試みた発明として、特開昭57−93036号公報
が挙げられる。脈波の観測場所としては、指尖部,耳
朶,その他様々な部位が考えられるが、この文献では、
特に指尖容積脈波を測定することとしている。これは、
指尖部が、動脈から静脈への血液移行を捉える上で最も
毛細血管が発達し且つ血液含有量の多い場所であるとい
うこと,指尖部は常時露出していることから脈波の測定
装置へ自由に近接させることが可能であって、測定装置
の構造を簡単化できることなどの理由によるものであ
る。
【0014】次に、上記文献に記載された発明による加
速度脈波計の構成を図16に示す。この装置は、指尖脈
波ピックアップ200,プリアンプ201,オペアンプ
202,CR回路によるアナログ微分回路を2段有する
特徴抽出回路203,オシログラフ204が縦続接続さ
れて構成されている。また、指尖脈波ピックアップ20
0は、被験者の指205を挿入するための開口部20
6,光源207,光電素子208から成るものである。
【0015】そして、オシログラフ204上には、脈波
の波形と、特徴抽出回路203によって算出された該脈
波の1回微分波形,該脈波の2回微分波形、の3種のグ
ラフが描かれる。そこで、オシログラフ204に表示さ
れた加速度脈波をもとにして、被験者の血液循環の良否
を判定することが可能となる。
【0016】まず、第1の判定方法として、バレイbと
バレイdの深さの程度から、加速度脈波の波形をバレイ
b>バレイd,バレイb≒バレイd,バレイb<バレイ
dの3通りに類型化する。さらに、基線に対するピーク
cの高さの高低により、これらバレイb,バレイdの深
さにより類型化されたパターンを、さらに3通りに分類
する。そして、測定された加速度脈波の波形が、これら
の何れのパターンに最も近いかを決定するものである。
【0017】また、第2の判定方法としては、基線に対
するピークcの高さと、基線に対するピークdの深さと
に着目する。そして、図17に示すように、バレイbの
深さを例えば4等分し、分割された各領域について基線
から近い順に0,1,…,5点として表わすこととす
る。さらに、ピークcの高さ,ピークdの深さ等の存在
する位置から、それぞれが何点に相当するかを求めて、
被験者の血液循環の良否を数値化して判定を行うもので
ある。
【0018】なお、この文献においては、応用例とし
て、1)CR回路の代わりに、脈波の測定値をA/D
(アナログ/デジタル)変換器によりデジタル化して、
マイクロコンピュータによりデジタルで処理を行って加
速度脈波を算出するようにしたもの、2)加速度脈波の
波形を、さらにもう1回だけ微分して3次の微分波形を
とり、マイクロコンピュータによってバレイやピークの
位置を求めるようにしたもの、3)呼吸作用によって脈
波の時間間隔が変動するのを補正するために、複数個の
脈波の繰り返し波形について、相対応するピークやバレ
イについて算術平均をとる等の統計的な処理を施すよう
にしたもの、などが考えられている。
【0019】一方、上記の技術を発展させた発明とし
て、特開平2−55035号公報に記載された技術が挙
げられる。そこで、この文献による加速度脈波計の構成
を図18に示すこととする。この図に示すように、脈波
の検出部300は、指尖を挿入する凹部の中に対向して
設けられたランプ301及び光電素子302からなる光
検出器を含んでおり、この光電素子302は抵抗303
〜306と共にブリッジ回路を形成している。このブリ
ッジ回路の出力は差動増幅器307によって増幅される
が、このブリッジ回路が平衡するようにスイッチSによ
ってランプ301の明るさを調整している。なお、符号
Vは電源電圧である。
【0020】また、差動増幅器307の出力は、増幅器
308によってさらに増幅される。増幅された出力は、
波形整形回路309が所定の基準電圧以上の電圧をクリ
ップすることにより矩形波に整形される。さらに、この
出力が微分回路310で微分され、整流回路311によ
って負方向の微分パルスが発生させられて、ワンショッ
トマルチ312をトリガする。すると、ワンショットマ
ルチ312の出力には、時間幅T0 を持った矩形波が得
られることになる。
【0021】また、ゲート回路313は、上述した時間
幅T0 の期間中、差動増幅器307の出力を通過させ
る。ゲート回路313の出力信号は、微分回路314,
315に通すことで、微分回路315の出力に脈波信号
の2次微分出力が得られる。また、波形整形回路316
は、バレイb,ピークc,バレイdが出現する時点でそ
の出力にサンプリングパルスを発生させる。サンプリン
グ回路317は、このサンプリングパルスに従い、遅延
回路318を経た微分回路315の出力をサンプリング
して、逐次記憶回路319へ記憶させる。また、最大値
検出回路320は、逐次記憶回路319の内容を読み出
して、バレイb,ピークc,バレイdの振幅の中の最大
値を記憶する。そして、最大値検出回路320の出力
は、分圧回路321で分圧されて、分圧された各々の電
圧が出力される。
【0022】さらに、制御回路322は、逐次記憶回路
319の出力であるバレイb,ピークc,バレイdの電
圧を逐次的に出力する。この出力はパルスハイトアナラ
イザー323に入力され、該パルスハイトアナライザー
323は、分圧回路321の出力値を比較電圧として使
用し且つバレイb,ピークc,バレイdの電圧をもと
に、これらの電圧を規準化した値(例えば、比c/b,
d/bや比b/a,c/a,d/a等)を出力端子OP
に出力する。
【0023】この出力端子OPにおける出力波形は、マ
イクロコンピュータ等によって、予め類型化された加速
度脈波の波形パターンの何れに属するかが判断されて、
その結果が表示される。この判断にあたっては、まず、
規準化されたバレイb,ピークc,バレイdの大きさ
が、分圧回路321で分圧された分圧帯の何れに属する
かが決定される。そして、バレイb,ピークc,バレイ
dの各々が属する分圧帯についてのそれぞれの大小関係
と、基線とバレイb,ピークc,バレイdの各々の上下
関係とから、測定された脈波を上記のパターンの何れか
に分類して、血液循環の良否の判定を行う。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、健康づ
くりのためには血液循環を良好な状態に保つ必要があ
り、そのためには適度な運動を行って、良好な状態をな
るべく長期間に亘って維持することが肝要である。しか
しながら、従来の加速度脈波計においては、加速度脈波
から抽出した情報を単に被験者へ提示するだけであった
ので、専門の医師や医師から教育を受けた看護婦が付き
添っている必要があった。ところが、毎日多数の患者が
運動を行う度に、その結果を医師や看護婦が評価して次
に実施すべき運動を患者たちへ指導するなどというの
は、医師や看護婦の負担が過大になりすぎ、医療の実態
にそぐわないものと言える。
【0025】とは言っても、専門の医師や看護婦が付き
添わずに、装置の使用者自らが血液循環の良否を判断す
ることは非常に煩わしく不便である。また、医師らの立
ち会いなしに運動を行っても、医師が立ち会っていれば
指導したであろう運動と同程度の質の運動を確実に実施
できる保証は全くない。したがって、インターバルトレ
ーニングやリハビリテーションなどを行った場合に、運
動が弱すぎて効果が出なかったり、反対に、運動が強す
ぎて逆効果になるなど様々な問題が生じる。
【0026】他方、2〜3週間に一遍でも医師の指導を
仰ぐつもりでも、医師の所まで足を運ぶのが億劫となっ
て定期的な指導を行うのもままならない恐れもある。こ
のように、従来からある装置を用いた場合、効果的な運
動の指導を行えるかどうか大いに疑問があった。本発明
は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、
脈波から得られる血液循環状態をもとに使用者の健康状
態を監視して、該使用者へ適切な助言,指導を行うこと
ができ、加えて、使用者が手軽に取り扱うことができる
健康状態管理装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、請求項1記載の発明は、使用者の脈波を測定する
脈波測定手段と、前記使用者の体動を測定するとともに
前記脈波測定手段とは別個に構成された体動測定手段
と、前記体動測定手段の測定結果が所定値以下である場
合に、前記脈波の波形から前記使用者の血液循環の状態
を表わす指標を求める算出手段と、前記指標を前記使用
者へ告知する一方、前記体動の測定結果が所定値を越え
た場合に、前記使用者へ警告を発する告知手段とから構
成したものである。
【0028】また、請求項2記載の発明は、使用者の脈
波を測定する脈波測定手段と、前記使用者の体動を測定
するとともに前記脈波測定手段とは別個に構成された体
動測定手段と、前記使用者による前記脈波の測定指示を
検出する脈波測定指示検出手段と、前記脈波測定指示が
出されている間、前記脈波の波形から前記使用者の血液
循環の状態を表わす指標を求める算出手段と、前記指標
を前記使用者へ告知する一方、前記脈波測定指示が出さ
れている間に、前記体動の測定結果が所定値を越えた場
合に、前記使用者へ警告を発する告知手段とから構成し
たものである。また、請求項3記載の発明は、請求項1
又は2記載の発明において、前記算出手段は、前記脈波
の加速度脈波を求め、該加速度脈波に現れる複数のピー
クと複数のバレイの中から2つを選択して、それらの振
幅比を求めて前記指標とすることを特徴としている。
【0029】また、請求項4記載の発明は、請求項3記
載の発明において、前記算出手段は、前記加速度脈波に
現れる第2のバレイの振幅値を第1のピークの振幅値で
除した値を前記指標とすることを特徴としている。ま
た、請求項5記載の発明は、請求項1又は2記載の発明
において、前記算出手段は、隣接する脈波の時間間隔を
算出し、該時間間隔の変動に対してスペクトル分析を行
い、該分析により得られたスペクトル成分の振幅値を前
記指標とすることを特徴としている。また、請求項6記
載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記
算出手段は、隣接する脈波の時間間隔を算出し、該時間
間隔の変動に対してスペクトル分析を行い、該分析によ
り得られた低周波のスペクトル成分の振幅と高周波のス
ペクトル成分の振幅の比を算出して前記指標とすること
を特徴としている。
【0030】また、請求項7記載の発明は、使用者の脈
波を測定する脈波測定手段と、前記使用者の体動を測定
するとともに前記脈波測定手段とは別個に構成された体
動測定手段と、前記体動測定手段の測定結果が所定値以
下である場合に、隣接する脈波の時間間隔を算出して、
連続する該時間間隔の変動量が所定時間を越える個数を
前記指標として求める算出手段と、前記指標を前記使用
者へ告知する告知手段とを具備してなることを特徴とし
ている
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。まず初めに、本実施形態で
用いている加速度脈波波形の類型について述べることと
する。図2(a)には色々なタイプの加速度脈波波形を
示してある。血液循環が良好な場合、ピークaに対して
バレイbは大きく下降し、ピークcは基線の近傍まで上
昇し、バレイdの下降が少ない波形(同図又は)が
見られる。一方、血液循環が不十分になってくると、心
臓の負担が増加してバレイbとバレイdが同じ程度(同
図)となる。さらに、本格的に血液循環が悪くなって
くると、バレイdがバレイbより下となる波形(同図
)、ピークcがバレイbと同位置となる波形(同図
)、ピークcがバレイbより下になる波形(同図)
などに変容する。
【0038】測定した加速度脈波が、図2(a)の〜
の何れのパターンに属するかの判断基準としては、図
2(b)に示すように、ピークaの振幅とこれ以外のピ
ーク或いはバレイの振幅との比を用いることが考えられ
る。まず、バレイdとピークaの振幅比d/aを基準と
する場合、この値が10%以内であればパターン,1
0〜35%であればパターン,35〜60%であれば
パターン,60〜100%であればパターン乃至
に区分される。
【0039】一方、ピークcとピークaの振幅比c/a
を基準とする場合、この値が−10%以内であればパタ
ーン,10〜15%であればパターン,−15%以
内であればパターン,0〜20%であればパターン
,20〜40%であればパターン,40%以上であ
ればパターンに区分される。もっとも、パターン〜
は互いに範囲が重複するため、パターン〜のみの
区別に使用するか、振幅比d/aの値と組み合わせて用
いることになる。なお、振幅比が負となることがある
が、これは、ピークcやバレイdが基線の上側に位置し
ていることを意味する。
【0040】ここで、ある一人の使用者に着目した場
合、当該使用者の加速度脈波の波形がパターンに近い
ほど健康状態は良好であると言え、逆に、パターンに
近いほど健康状態は悪いという傾向が見られる。このよ
うに、加速度脈波の波形を見ることによって使用者の健
康状態を推知することができ、例えば、虚血性心疾患
(心筋梗塞や狭心症)或いは脳血管障害(脳卒中やくも
膜下出血)の発生の予知にも有用であると考えられる。
【0041】一方、使用者の年齢と加速度脈波との関連
を調べてみると、加齢に従って加速度脈波の波形がパタ
ーンからパターンへと移行してゆく傾向が見られ
る。そこで、使用者から測定した加速度脈波の波形が、
その人の年齢から推定される加速度脈波の波形に比べて
極端にパターン側へ偏っているようであれば、やはり
上記のような疾病の前兆を示すものであると推断するこ
とができる。
【0042】[第1実施形態]次に、本実施形態による
健康状態管理装置の構成を説明する。図1は、同装置の
構成を示すブロック図である。この図において、CPU
(中央処理装置)1は健康状態管理装置内の各回路を制
御する中枢部であって、その機能に関しては、後述する
動作の項にて説明する。
【0043】ROM(リードオンリーメモリ)2にはC
PU1が実行する制御プログラムや各種の制御データ等
が格納されているほか、振幅比d/aなどの使用者の健
康状態のパターンに対応して、望ましい運動を実現する
ための運動強度の目標値(平均的な運動強度),運動強
度の上限値および下限値,運動時間の目標値がそれぞれ
格納されている。RAM(ランダムアクセスメモリ)3
は、CPU1が演算を行う際の作業領域(例えば、運動
中の総運動量の格納域)として使われるほか、次述する
各種センサからの計測値,演算結果などが格納される。
【0044】脈波センサ4は本装置の使用者(或いは携
帯者)の手の指,例えば第2指,に装着された光学式の
脈波検出センサである。この脈波センサ4は、例えば、
発光ダイオードと、フォトトランジスタ等を用いた光セ
ンサとから構成されている。そして、発光ダイオードか
ら放射された光が、皮膚下の血管を介して反射され、光
センサにて受光されて光電変換された結果、脈波検出信
号が得られる。なお、信号対雑音(SN)比を考慮した
場合、発光ダイオードには青色光の発光ダイオードを用
いると良い。
【0045】加速度センサ5は、使用者の体の動きを捉
える体動センサであって、上記の脈波センサ4と同じ場
所、例えば手の指、に取り付けられている。センサイン
ターフェース6は、脈波センサ4および加速度センサ5
の出力を、それぞれ所定の間隔で取り込み、取り込まれ
たアナログ信号をデジタル信号へ変換して出力する。
【0046】表示装置7は使用者に対してメッセージ等
の各種情報を表示するための装置であって、例えば、腕
時計に設けられた液晶表示装置である。また、表示制御
回路8は、CPU1から表示情報を受け取って、これを
表示装置7が使用するフォーマットへ変換して表示装置
7へ表示を行わせる。時計回路9は、通常の計時機能の
ほか、CPU1が予め設定した時刻に達した時点或いは
CPU1が予め設定した時間が経過した時点で、CPU
1へ割り込み信号を送出する機能を有している。
【0047】ここで、健康状態管理装置を「携帯機器」
として人体へ装着する方法として幾つかの態様が考えら
れる。以下にはその一例を示すが、これら以外の様々な
携帯機器と組み合わせることも当然可能である。まず、
第1の態様として、図3に示すような腕時計と組み合わ
せた形態が挙げられる。
【0048】この図に示すように、本態様における健康
状態管理装置は、腕時計構造を有する装置本体100,
この装置本体100に接続されたケーブル101,この
ケーブル101の先端側に設けられたセンサユニット1
02から構成されている。また、装置本体100には、
腕時計の12時方向から使用者の腕に巻き付いて、腕時
計の6時方向で固定されるリストバンド103が取り付
けられている。そして、装置本体100は、このリスト
バンド103によって使用者の腕から着脱自在となって
いる。
【0049】また、センサユニット102は、センサ固
定用バンド104によって遮光されており、使用者の人
指し指の根元〜第2指関節の間に装着されている。セン
サユニット102をこのように指の根元に装着すると、
ケーブル101が短くて済む上、運動中においてもケー
ブル101が使用者の邪魔にならない。また、掌から指
先までの体温の分布を計測してみると、周囲の温度が低
い場合に、指先の温度は著しく低下するのに対して、指
の根元の温度は比較的低下しないことが知られている。
従って、指の根元にセンサユニット102を装着すれ
ば、寒い日に屋外で運動した場合であっても、脈拍数な
どを正確に計測することができる。
【0050】一方、腕時計の6時の方向の表面側には、
コネクタ部105が設けられている。このコネクタ部1
05には、ケーブル101の端部に設けられたコネクタ
ピース106が着脱自在に取り付けられており、コネク
タピース106をコネクタ部105から外すことによ
り、本装置を通常の腕時計やストップウオッチとして用
いることができる。なお、コネクタ部105を保護する
目的から、ケーブル101とセンサユニット102をコ
ネクタ部105から外した状態では、所定のコネクタカ
バーを装着する。このコネクタカバーは、コネクタピー
ス106と同様に構成された部品から電極部などを除い
たものが用いられる。
【0051】このように構成されたコネクタ構造によれ
ば、コネクタ部105が使用者から見て手前側に配置さ
れることとなり、使用者にしてみれば操作が簡単にな
る。また、コネクタ部105が、装置本体100から腕
時計の3時の方向に張り出さないために、運動中に使用
者が手首を自由に動かすことができ、使用者が運動中に
転んだとしても、手の甲がコネクタ部105にぶつから
ない。
【0052】なお、図3におけるその他の部品について
は、図4を参照して、以下に詳細に説明することとす
る。図4は、本態様における装置本体100の詳細を、
ケーブル101やリストバンド103を外した状態で示
したものである。ここで、同図において、図3と同一の
部品には同一の符号を付してあり、ここではその説明を
省略する。
【0053】この図において、装置本体100は樹脂製
の時計ケース107を具備している。時計ケース107
の表面には、現在時刻や日付に加えて、脈拍数などの脈
波情報をデジタル表示するための液晶表示装置108が
設けられている。この液晶表示装置108は、表示面の
左上側に位置する第1のセグメント表示領域108-1、
右上側に位置する第2のセグメント領域108-2、右下
側に位置する第3のセグメント領域108-3、左下側に
位置するドット表示領域108-Dから構成されている。
【0054】ここで、第1のセグメント領域108-1に
は、日付,曜日,現在時刻などが表示される。また、第
2のセグメント領域108-2には、各種の時間測定を実
施するにあたって経過時間などが表示される。また、第
3のセグメント領域108-3には、脈波の測定において
計測された脈拍数などが表示される。さらに、ドット表
示領域108-Dには各種の情報をグラフィック表示する
ことが可能であって、ある時点において本装置がどのよ
うなモードにあるかを表わすモード表示,脈波の原波形
/速度脈波波形/加速度脈波波形の表示,脈拍数の時間
的変化の棒グラフ表示などの様々な表示が可能である。
なお、上記のモードには、健康状態管理装置としての使
用する本来のモードのほかに、時刻や日付を設定するた
めのモード,ストップウォッチとして使用するためのモ
ードなどがある。
【0055】一方、時計ケース107の内部には、脈拍
数の変化などを液晶表示装置108で表示するための信
号処理等を行う制御部109が内蔵されている。この制
御部109は、計時を行うための時計回路を含んでお
り、液晶表示装置108には、通常の時刻表示のほか
に、ストップウォッチとして動作するモードにおいては
ラップタイム,スプリットタイムなどの表示もなされ
る。
【0056】他方、時計ケース107の外周部と表面部
には、ボタンスイッチ111〜117が設けられてい
る。腕時計の2時の方向にあるボタンスイッチ111を
押すと、当該ボタンの押下時点から1時間を経過した時
にアラーム音が発生する。また、腕時計の4時の方向に
あるボタンスイッチ112は、本装置が通常の時計とし
て有している各種モードの切り換えを指示するためのも
のである。
【0057】腕時計の11時方向にあるボタンスイッチ
113を押すと、液晶表示装置108のEL(Electro
Luminescence)バックライトが例えば3秒間点灯して、
しかる後に、自動的に消灯する。また、腕時計の8時方
向にあるボタンスイッチ114は、ドット表示領域10
8-Dに表示すべきグラフィック表示の種類を切り換える
ためのものである。また、腕時計の7時方向にあるボタ
ンスイッチ115を押すことによって、時刻,日付を修
正するモードにおいて、時分秒,年月日,12/24時
間表示切り換えの何れを設定するのかを切り換えること
ができる。
【0058】液晶表示装置108の下側に位置するボタ
ンスイッチ116は、上記の時刻,日付を修正するにあ
たって設定値を1ずつ繰り下げるのに使用されるほか、
ラップを計測する場合において、各ラップをCPU1へ
教示するためのスイッチとしても使用される。また、液
晶表示装置108の上側に位置するボタンスイッチ11
7は、健康状態管理装置としての動作を開始/停止する
指示を行うために使用される。また、このボタンスイッ
チは、上記の時刻,日付の修正モードにおいて設定値を
1ずつ繰り上げるのに使用され、さらに、各種の経過時
間測定の開始/停止の指示を行うためにも使用される。
【0059】また、本装置の電源として用意されている
のは、時計ケース107に内蔵されたボタン形の電池1
18であって、図3に示すケーブル101は電池118
からセンサユニット102に電力を供給し、センサユニ
ット102の検出結果を制御部109に送出する役割を
果たしている。
【0060】また、本装置においては、装置が備える機
能を増やすに伴って、装置本体100を大型化する必要
が生じてくる。しかし、装置本体100は腕に装着され
るという制約があるために、装置本体100を腕時計の
6時の方向や12時の方向には拡大することができな
い。そこで、本態様においては、腕時計の3時の方向及
び9時の方向における長さ寸法が、6時の方向及び12
時の方向における長さ寸法よりも長い横長の時計ケース
107を用いることとしている。
【0061】また、本態様では、リストバンド103を
3時の方向側に偏った位置で時計ケース107に接続し
ている。さらに、リストバンド103から見た場合に、
腕時計の9時の方向に大きな張り出し部分119を有す
るが、かかる大きな張り出し部分は、腕時計の3時の方
向には存在しない。従って、横長の時計ケース107を
用いたわりには、使用者が手首を曲げることができ、使
用者が転んでも手の甲を時計ケース107にぶつけるこ
とがない。
【0062】また、時計ケース107の内部には、電池
118に対して9時の方向に、ブザーとして用いる偏平
な圧電素子120が配置されている。ここで、電池11
8は圧電素子120に比較して重く、装置本体100の
重心位置は3時の方向に偏った位置にある。しかるに、
重心が偏っている側にリストバンド103が接続されて
いることから、装置本体100を安定した状態で腕に装
着することができる。さらに、電池118と圧電素子1
20とを面方向に配置してあるため、装置本体100を
薄型化でき、腕時計の裏面部に電池蓋を設けることによ
って、使用者が電池118を容易に交換することができ
る。
【0063】なお、図1と図3乃至図4との対応である
が、図4の制御部109が、図1のCPU1,ROM
2,RAM3,センサインターフェース6,表示制御回
路8,時計回路9に相当する。また、図3のセンサユニ
ット102が、図1の脈波センサ4,加速度センサ5に
相当し、図3乃至図4の液晶表示装置108が、図1の
表示装置7に相当する。
【0064】また、この態様においては、脈波を使用者
の手の指の根元で測定することとした。しかし、脈波の
測定部位はこれに限られるものではなく、例えば、橈骨
動脈部あるいはその周辺部において脈波の測定を行うよ
うにしても良い。さらに、この態様を一部変形したもの
として、図5に示すように、センサユニット102とセ
ンサ固定用バンド104とを指尖部へ取り付けるように
して、指尖容積脈波を測定するようにした態様が考えら
れる。
【0065】次に、第2の態様として、図6のようなネ
ックレス等のアクセサリーと組み合わせる形態が考えら
れる。この図において、図3乃至図5に示したものと同
一の部品については同じ符号を付してあり、その説明を
省略する。この図において、31はセンサパッドであっ
て、たとえばスポンジ状の緩衝材である。センサパッド
31の中には、図1の脈波センサ4/加速度センサ5が
取り付けられている。これにより、ネックレスを首にか
けることで、首の後ろ側の皮膚に接触して脈波を測定す
ることができる。
【0066】さらに、ブローチ様の形状をしたケース3
2には、図1のCPU1,ROM2,RAM3,センサ
インターフェース6,表示制御回路8,時計回路9が組
み込まれているとともに、上記のケーブル101は鎖3
3の中に埋め込まれている。このように、本実施形態で
は首の付け根の部分の脈波が測定されることになる。ま
た、本態様においては時計機能が格別必要ではないこと
から、表示装置7がグラフィック表示可能なドット表示
領域108-Dだけから構成されていても良い。
【0067】次に、第3の態様として、図7のように眼
鏡と組み合わせることも考えられる。この図において、
図3乃至図6に示したものと同一の部品については同じ
符号を付してあり、その説明を省略する。図7に示すよ
うに、ここでは装置本体が眼鏡のフレームの蔓41に取
り付けられており、その本体はさらにケース42aとケ
ース42bに分かれ、蔓41内部に埋め込まれたリード
線を介して接続されている。なお、このリード線は蔓4
1に沿って這わせるようにしても良い。
【0068】また、ケース42aにおいて、そのレンズ
43側の側面の全面には液晶パネル44が取り付けられ
ている。さらに、該側面の一端には鏡45が所定の角度
で固定されている。加えて、ケース42aには、光源
(図示略)を含む液晶パネル44の駆動回路が組み込ま
れている。そして、この光源から発射された光は、液晶
パネル44を介して鏡45で反射されて、眼鏡のレンズ
43に投射される。従って、この場合にはレンズ43が
図1の表示装置7に相当すると言える。
【0069】また、ケース42bには、図1のCPU
1,ROM2,RAM3,センサインターフェース6,
表示制御回路8,時計回路9が組み込まれている。脈波
センサ4は、パッド46,46に内蔵されており、これ
らパッドで耳朶を挟むことにより耳へ固定するようにな
っている。なお、この態様においては加速度センサ5の
図示を省略してある。また、本実施形態では耳朶におけ
る脈波が測定されることになる。
【0070】次に、上記構成による健康状態管理装置の
動作を説明する。まず、使用者は運動開始前において、
本装置の機能を有効化するためにボタンスイッチ117
を押す。そうすると、脈波センサ4と加速度センサ5か
らそれぞれ脈波波形と加速度値とがセンサインターフェ
ース6へ送出され、デジタル信号に変換される。これと
並行して、CPU1は、読み取った脈波の波形を表示制
御回路8へ送出して脈波の波形を表示装置7上へ表示さ
せる。これにより使用者は、例えば図4の液晶表示装置
108のドット表示領域108-D上において、刻々と変
化する脈波の波形をグラフィック表示により観察するこ
とができる。
【0071】続いて、CPU1は、ボタンスイッチ11
7が押された後であって使用者が運動を開始する前に一
度だけ安静時脈拍数を計測するようにする。ここで、C
PU1は、使用者が運動をしているか否か(換言すれ
ば、使用者が安静状態にあるか否か)を、使用者の体動
に伴う脈波センサ4の動きが脈波の検出に悪影響を及ぼ
す程度にまで達しているかどうかにより判断する。すな
わち、CPU1は、加速度センサ5の出力値が所定値
(一例を挙げれば、0.1G)を越えていれば、使用者
が運動をしている状態(即ち、安静でない状態)にある
ものと判断する。そして、このような状態においては脈
波の検出が正しく実施できないので、CPU1は使用者
に対して身体を動かさないように注意を促すためのメッ
セージを表示装置7上に表示させる。
【0072】そして、CPU1は、加速度センサ5の出
力値が所定値以下となると、使用者が運動をしていない
状態(即ち、安静状態)にあるものと判断して、センサ
インターフェース6から脈波の波形を所定時間だけ読み
取ってRAM3に格納した後、この期間内に取り込んだ
脈波波形を波長単位に分割して波長の数をカウントし、
これを1分当たりに換算して脈拍数を算出する。そし
て、算出した脈拍数を安静時の脈拍数としてRAM3へ
格納する。
【0073】次に、CPU1はRAM3に格納された脈
波波形の中から一波長分を読み取る。次いで、この波形
に対して時間微分を2回とり、図15に示すごとき加速
度脈波波形を求める。そして、CPU1は加速度脈波の
波形の変曲点を求めてピークa,バレイb,ピークc,
バレイdを決定し、各変曲点における振幅値を求める。
なお、これらの変曲点は、加速度脈波の時間微分をとる
などの一般的な手法によって求めることができる。ま
た、算出された加速度脈波の波形や、該加速度脈波を求
める過程で得られる速度脈波の波形を、表示装置7にグ
ラフィック表示するようにしても良い。
【0074】次いで、CPU1は、バレイb,ピーク
c,バレイdの各振幅値をピークaの振幅値で正規化し
た値、つまり振幅比b/a,c/a,d/a、を算出し
て算出結果をRAM3へ格納する。ここで、これらの振
幅比のうち、血液循環の状態を表わす指標としては、振
幅比d/aが最も有用である。そこで、以後、本実施形
態では原則として振幅比d/aだけを用いて説明する。
なお、後述するように、より厳密には振幅比d/aと振
幅比c/aとを用いるのが望ましいが、以下では最も簡
便な方法として振幅比d/aだけを用いた判定を行うも
のとする。
【0075】次に、CPU1は使用者に対してどの程度
の運動をすべきかを指導する。そこでまずCPU1は、
上記のようにして求めた振幅比d/aと図2(b)に示
したテーブルに基づいて、運動前の加速度脈波波形がパ
ターン〜の何れに属するかを判定し、そのパターン
の種類を運動前における加速度脈波波形のパターンとし
てRAM3へ格納するとともに、当該パターンの種類を
表示装置7に表示する。しかるに、パターンの種類だけ
を告知されても、使用者にとってはわかりづらい面があ
る。そこで、例えばパターンと決定された場合に、
「健康状態が不十分になり始めています。」などという
補助的なメッセージを表示装置7へ表示させるようにす
る。次いで、得られた脈波のパターンに対応した運動強
度の目標値,上限値,下限値および運動時間の目標値と
をROM2から読み出してRAM3に格納するととも
に、これらの値を表示装置7上に表示させて、使用者に
対し運動の目標を提示する。
【0076】次に、使用者が運動を開始すると、身体の
動きが激しくなるにつれて加速度センサ5の出力値が徐
々に大きくなってゆく。そして、ある時点から加速度セ
ンサ5の出力値が上述した所定値を上回ると、CPU1
は使用者の運動開始を認識する。すると、CPU1は、
時計回路9から時刻を読み取って、運動開始時の時刻と
してRAM3へ格納するとともに、上記の目標運動時間
だけ経過した時点で割り込みが発生するように時計回路
9へ設定を行う。また、CPU1は、運動中の総運動量
を算出するためにRAM3上に設けた記憶域を「0」に
初期化する。
【0077】そして、使用者が運動をしている間、CP
U1は使用者の脈拍数と運動量を計測して運動の指導を
行う。そのために、まずCPU1は、所定の時間間隔で
センサインターフェース6から脈波波形を読み取って使
用者の脈拍数を算出する。そして、この脈拍数を表示情
報へ変換して表示制御回路8へ送出すると、脈拍数が表
示装置7上に表示される。
【0078】また、CPU1は運動量の算出を行うが、
ここでは運動量をカロリーで表示することとする。カロ
リーは近似的に「脈拍数と運動時間の積」で算出される
ので、CPU1は、上記で求めた脈拍数と直前の脈拍数
測定時から今回の脈拍数測定時までの経過時間を乗算し
て運動量を計算する。なお、運動量の算出にあたって
は、直前の脈拍数と今回の脈拍数は異なるのが普通であ
るから、直前の脈拍数と今回の脈拍数の平均をとるなど
しても良い。さらに、CPU1は、前回までの総運動量
に今回の運動量を加えることにより運動開始時からの総
運動量を求める。そして、運動開始時からの総運動量
と、直前の脈拍数測定時から今回の脈拍数測定時までの
運動量とをRAM3へ格納するとともに、これらを表示
装置7上にも表示する。
【0079】また、運動量は「運動強度と運動時間の
積」でも求められるから、これらの積で求めた運動量
を、上述したカロリーの代わりに表示しても良い。つま
り、計測された脈拍数と運動強度は、次に示す周知のカ
ルボーネの式を満足するから、予めRAM3に格納して
おいた安静時の脈拍数と運動中に計測した脈拍数とから
運動強度が算出でき、これから運動量が求められる。 計測された脈拍数=(安静時の脈拍数)+ {(220−年齢)−安静時の脈拍数}*運動強度 … (1) この式における「運動強度」が80%程度となるとかな
りきつい運動と言え、50%程度であってもややきつい
運動であると言える。なお、この式の「年齢」について
は、図示を省略した入力手段により使用者が指定した年
齢が、予めRAM3上に格納されている。
【0080】一方、CPU1は、計測された脈拍数から
(1)式によって算出される運動強度が、上述した運動
強度の上限値と下限値で決まる範囲を逸脱していないか
どうかを調べる。そして、上限値を上回っているのであ
れば、もう少し運動を軽くするように指示し、他方、下
限値を下回っているのであればもう少し運動の強さを増
すように指示を出す。以上のように、脈拍数と運動量を
表示装置7へ表示することで実施する運動を使用者自身
が加減できるようにするとともに、適正な運動強度で運
動がなされているかが調べられ、過度に強い運動をした
り効果的でない運動を漫然と行うことなく、適度な運動
強度となるような監視がなされる。
【0081】そして、上記の目標とした運動時間が経過
して時計回路9から割り込みが入ると、CPU1は運動
を終えるように使用者へ指示を出す。すると、使用者は
すぐに運動を止めるか或いは区切りの良いところで運動
を止めるので、加速度センサ5の出力値が徐々に低下し
てゆく。他方、CPU1は、加速度センサ5の出力値を
監視しているので、出力値が再び上述した所定値以下と
なったことを検出して、使用者が実際に運動を中断した
ことを認識する。次に、CPU1は、運動開始前と同様
の手順にしたがって振幅比d/aを算出するとともに、
現時点の時刻を時計回路9から読み出して運動終了の時
刻とし、これらの値をRAM3へ格納する。さらに、C
PU1は運動開始時刻と運動終了時刻から正味の運動時
間を算出して同様にRAM3へ格納する。
【0082】次いで、CPU1は、運動前の振幅比d/
a,運動後の振幅比d/a,運動中の総運動量,正味の
運動時間を使用者のボタンスイッチの操作にしたがって
表示装置7へ表示する。また、CPU1は、運動強度の
目標値及び運動時間の目標値から運動量の目標値を求
め、実測による総運動量がこの目標値を中心とした所定
の範囲内に存在するかどうかを調べる。もし、運動量が
適正でなければ、運動量の目標値とともにこの旨を使用
者へ通知して、指示通りの運動が行われていないことを
知らせる。またCPU1は、運動時間に関しても同様の
処理を施し、目標値と実測値とが著しく相違する場合は
その旨を通知して使用者の注意を喚起させる。
【0083】次に、CPU1は、運動実施前と同様にし
て、運動後に測定した振幅比d/aの値が図2(b)に
示す何れのパターンに属するかを決定して、運動後にお
けるパターンの種類を表示装置7に表示させる。さら
に、運動前のパターンと運動後のパターンを比較した結
果、パターンが側へ変化しており状態に改善が見られ
るのであれば、「健康状態が改善されてきています。」
などと言うメッセージを表示装置7上に表示させる。他
方、パターンが側へ変化しており状態が悪化している
場合は、それ以上の運動が好ましくないことも考えられ
るので、運動を中止して必要であれば医師の診断を仰ぐ
ように、使用者へ警告をおこなう。
【0084】このような警告がない場合で、例えば、使
用者がインターバルトレーニングを実施中であってこれ
以後も引き続いて運動を行うのであれば、運動後におい
て求めたパターン(すなわち振幅比d/a)を、これか
ら行う運動についての運動実施前のパターン(振幅比d
/a)として設定する。そして、このパターン(振幅比
d/a)から新たな目標値が設定され、引き続き運動の
指導がなされる。その後、使用者が必要な運動をすべて
終えた時点でボタンスイッチ117を再度押下すれば、
これをCPU1は運動が終了したもの判断して、以後は
運動の指導を停止する。
【0085】他方、使用者が翌日以降に運動を行うので
あれば、一旦ボタンスイッチ117を押して運動の指導
を中止させる。そして、後日に再び運動を行う際、上記
と同様の手順にしたがえば、その日の健康状態に応じた
加速度脈波のパターンが決定されて、当該パターンに対
応する運動の目標値に則った運動の指導が行われる。以
上のようにして、適正な運動を指導して使用者の健康状
態を良好な状態へ移行させてゆくことができる。
【0086】なお、上記実施形態においては、運動の前
後を含めて、計測した脈拍数を表示装置7へ常時表示す
るようにしても良い。また、使用者の実施した運動を評
価する手法としては、以下に述べるようなものも考えら
れる。
【0087】図8は、使用者が実施した運動の運動量
と、運動の前後における振幅比d/aの変化率との関係
の一例を示したものである。この図に示すように、運動
量が少ない場合には、振幅比d/aの変化率は小さく、
概ね+5%未満の値が得られる(図8の”I”の領
域)。次に、これよりも運動量を多くしてゆくと、振幅
比d/aの変化率は徐々に上昇して+5%を越えるよう
になり、その後は、ある時点から該変化率が下降を始
め、振幅比d/aの変化率が再び+5%程度となる(図
8の”II”の領域)。次いで、運動量をもっと増やす
と、振幅比d/aの変化率はさらに下降して+5%を下
回り、−10%程度まで下降する(図8の”III”の
領域)。さらに運動量を増やしてゆくと、振幅比d/a
の変化率はさらに下降して、−10%を下回るようにな
る(図8の”IV”の領域)。
【0088】CPU1は、上述した運動量と振幅比d/
aの変化率との関係をもとに運動の評価を行う。そのた
めに、CPU1は、運動後の振幅比d/aと運動前の振
幅比d/aとの差分を求め、この差分を運動前の振幅比
d/aで除して、振幅比d/aの変化率を算出する。そ
して、得られた振幅比d/aの変化率と運動中に計測さ
れた運動量とを図8のグラフにプロットした場合に、こ
のプロットが領域I〜IVの何れの領域に位置するかに
応じて評価を下す。
【0089】すなわち、図8の”I”の領域に存在すれ
ば、実施した運動が弱すぎたものと評価し、図8の”I
I”の領域に存在すれば運動が適度であったと評価し、
図8の”III”の領域に存在すれば運動がやや強かっ
たものと評価し、図8の”IV”の領域に存在すれば運
動が強すぎたと評価する。そして、この評価結果をもと
に、領域I,II,III,IVの各々の場合につい
て、それぞれ「運動が軽すぎます」,「丁度良い運動で
す」,「運動がやや強い状態です」,「運動が強すぎま
す」などというメッセージを表示装置7上へ表示させ
て、評価結果を使用者へ告知する。
【0090】なお、前述したように、上記では振幅比d
/aだけを用いた場合について説明したが、振幅比d/
aと振幅比c/aとを参照した評価方法を用いることに
よって、いっそう高い精度で運動の評価を行うことが可
能となる。つまり、例えば、振幅比d/aの値が20%
であれば、図2(b)から、加速度脈波の波形がパター
ンに属するものと決定することができる。一方、振幅
比d/aの値が80%であれば、パターン〜の何れ
かに属することまでは特定できるので、これらのパター
ンのうちの何れのパターンであるかを絞り込むために、
さらに振幅比c/aの値を参照する。いま、振幅比c/
aの値が例えば30%であれば、図2(b)から、加速
度脈波の波形がパターンに属するものと決定すること
ができる。
【0091】また、運動の目標値としては上述した運動
強度や運動時間以外にもいろいろ考えられるが、例を挙
げればカロリーの消費量が考えられる。CPU1は、運
動開始前にカロリーの目標値を設定することとし、運動
中は、脈拍数を測定する各時点においてカロリー消費量
を算出するとともに、運動開始時からのカロリー消費量
を積算してRAM3へ格納するようにして、この積算値
が設定した目標値を越えた時点で使用者へ通知するよう
にするものである。
【0092】[第2実施形態]近年、心拍変動から得ら
れるパワースペクトルなどの情報が心臓病,中枢神経疾
患,末梢神経疾患,糖尿病,高血圧,脳血管障害,突然
死などの様々な疾病の診断,治療に用いられ始めてきて
いる。このようなことから、本実施形態では、心拍変動
のゆらぎに対応する脈波のゆらぎの解析からLF,H
F,RR50の各指標を得て、これらを使用者の身体の
状態を表わす指標として用いることとする。そこでま
ず、これら指標の意味について説明する。
【0093】心電図において、ある心拍のR波と次の心
拍のR波との時間間隔はRR間隔と呼ばれており、人体
における自律神経機能の指標となる数値である。図9
は、心電図における心拍と、これら心拍の波形から得ら
れるRR間隔を図示したものである。同図からも見て取
れるように、心電図の測定結果の解析からRR間隔が時
間の推移とともに変動することが知られている。
【0094】一方、橈骨動脈部などで測定される血圧の
変動は、収縮期血圧および拡張期血圧の一拍毎の変動と
して定義され、心電図におけるRR間隔の変動と対応し
ている。図10は、心電図と血圧との関係を示したもの
である。この図からわかるように、一拍毎の収縮期およ
び拡張期の血圧は、各RR間隔における動脈圧の最大値
および該最大値の直前に見られる極小値として測定され
る。
【0095】これら心拍変動或いは血圧変動のスペクト
ル分析を行うことで、これらの変動が複数の周波数の波
から構成されていることがわかる。これらの波は以下に
示す3種類の変動成分に区分される。 ・呼吸に一致した変動であるHF(High Frequency)成
分 ・10秒前後の周期で変動するLF(Low Frequency)
成分 ・測定限界よりも低い周波数で変動するトレンド(Tren
d)
【0096】これら成分を得るには、まず、測定した脈
波の各々について、隣接する脈波と脈波の間のRR間隔
を求めて、得られたRR間隔の離散値を適当な方法(た
とえば3次のスプライン補間)により補間する(図9を
参照)。そして、補間後の曲線にFFT(高速フーリエ
変換)処理を施してスペクトル分析を行うことで、上記
の変動成分を周波数軸上のピークとして取り出すことが
可能となる。図11(a)は、測定した脈波のRR間隔
の変動波形、および、該変動波形を上記3つの周波数成
分に分解した場合の各変動成分の波形を示している。ま
た図11(b)は、同図(a)に示したRR間隔の変動
波形に対するスペクトル分析の結果である。
【0097】この図からわかるように、0.07Hz付
近,0.25Hz付近の2つの周波数においてピークが
見られる。前者がLF成分であり後者がHF成分であ
る。なお、トレンドの成分は測定限界以下であるため図
からは読み取れない。LF成分は交感神経の活動に関係
しており、本成分の振幅が大きいほど緊張の傾向にあ
る。一方、HF成分は副交感神経の活動に関係してお
り、本成分の振幅が大きいほどリラックスの傾向にあ
る。
【0098】LF成分およびHF成分の振幅値には個人
差があるので、このことを考慮した場合、LF成分とH
F成分の振幅比である「LF/HF」が人体の状態の推
定に有用である。そして、上述したLF成分とHF成分
の特質から、「LF/HF」の値が大きいほど緊張の傾
向にあり、「LF/HF」の値が小さいほどリラックス
の傾向にあることが導かれる。一方、RR50とは、所
定時間(例えば1分間)の脈波の測定において、連続す
る2心拍のRR間隔の絶対値が50ミリ秒以上変動した
個数で定義される。RR50の値が大きいほど人体の状
態は鎮静状態にあり、RR50の値が小さいほど興奮状
態にあることが知られている。
【0099】ところで、使用者の身体の状態とこれらの
指標との間には相関関係が存在している。強化トレーニ
ングを実施させて、副交感神経の機能を低下させ交感神
経優位の状態とすることによって、上述したような疾病
を抱える患者の身体の状態に類似した状況を作り出すこ
とができる。そして、強化トレーニングを中止した後の
身体の回復期に上記の指標の変化を観察してみると、例
えば、HF成分は日が経つにつれて増加する傾向を示
し、他方、「LF/HF」の値は日増しに減少する傾向
が見られる。
【0100】つまり、身体の状態が回復してゆくにつれ
て、HF成分或いは「LF/HF」の値は、緊張した状
態を示す値からリラックスした状態を示す値へと増加或
いは減少してゆく。したがって、HF成分や「LF/H
F」のみならずLF成分やRR50も含め、これら各指
標の値の増減を観察することで人体の状態の良否を判定
できるという推定が成り立ち、これら指標を上述した振
幅比d/aの代わりに用いることができるものと考えら
れる。
【0101】次に、本実施形態による健康状態管理装置
について説明する。本実施形態では第1実施形態におけ
る振幅比d/aの代わりに上記4つの指標のうちの1つ
を用いる形態であって、その装置構成は第1実施形態と
同じものである。そこで、以下、本実施形態に特有の動
作を中心に装置の動作を説明することとする。なお、上
記の実施形態では、加速度脈波波形を6つのパターンに
分類することとしたが、本実施形態では、これら指標の
値をその値に応じて幾つかのグレードに分けることと
し、それぞれのグレード毎に予め運動強度の目標値と上
限値と下限値,運動時間の目標値をROM2に設定して
おくこととする。
【0102】運動実施前に使用者がボタンスイッチ11
7を押下するのを契機として、CPU1は加速度センサ
5の出力値をチェックし、使用者が安静状態にあるかど
うかを確認してから安静時の脈拍数を一度だけ計測し
て、計測値をRAM3へ格納する。次に、CPU1は脈
波波形を取り込んで、該脈波波形をもとに上記の4つの
指標を算出する。そこで以下、この処理を詳述する。
【0103】まず、CPU1は脈波の波形から極大点を
抽出するために、脈波の波形に対して時間微分をとり、
時間微分値がゼロの時刻を求めて波形が極点をとる時刻
をすべて求める。次いで、各時刻の極点が極大・極小の
いずれであるのかを、該極点の近傍の波形の傾斜(すな
わち時間微分値)から決定する。たとえば、ある極点に
対して、該極点よりも以前の所定時間分につき波形の傾
斜の移動平均を算出する。この移動平均が正であれば該
極点は極大であり、負であれば極小であることがわか
る。
【0104】次に、CPU1は抽出した極大点の各々に
ついて該極大点の直前に存在する極小点を求める。そし
て、極大点および極小点における脈波の振幅をRAM3
から読み出して両者の振幅差を求め、この差が所定値以
上であれば該極大点の時刻を脈波のピークとする。そし
て、取り込んだ全ての脈波波形に対してこのピークの検
出処理を行ったのち、隣接する2つのピークの時刻をも
とに両者の時間間隔(心拍におけるRR間隔に相当す
る)を計算する。
【0105】上記で得られたRR間隔の値は時間軸上で
離散的であるため、隣接するRR間隔の間を適当な補間
方法により補間して、図11(a)に示すごとき曲線を
得る。次いで、補間後の曲線に対してFFT処理を施し
て、図11(b)に示すようなスペクトルを得る。そこ
で、脈波の波形に対して実施したのと同様の極大判別処
理を適用して、このスペクトルにおける極大値と該極大
値に対応する周波数を求めて、低い周波数領域で得られ
た極大値をLF成分,高い周波数で得られた極大値をH
F成分とし、各成分の振幅を求めて両者の振幅比「LF
/HF」を算出する。さらに、CPU1は、上記で得ら
れたRR間隔をもとにして隣接するRR間隔の時間差を
順次求め、その各々につき該時間差が50ミリ秒を越え
るかどうかを調べる。そして、これに該当する個数を数
えてRR50とする。
【0106】次に、CPU1は使用者に対し、これから
実施すべき運動についての指示を行う。そこでまず、C
PU1は上記のようにして求めた指標の値が何れのグレ
ードに属するかを決定する。そして、決定されたグレー
ドと指標の値とをRAM3へ格納するとともに表示装置
7上に表示したのち、当該グレードに対応した運動強度
の目標値と上限値と下限値及び運動時間の目標値をRO
M2から読み出してRAM3に格納するとともに表示装
置7に表示して、運動の目標値を使用者へ提示する。
【0107】次に、使用者が運動を開始すると、これを
認識したCPU1は運動開始時の時刻をRAM3へ格納
するとともに、目標運動時間を時計回路9へ設定したの
ち、第1実施形態同様に、運動中は脈拍数と運動量とを
計測して運動の指導を行う。すなわち、CPU1は、前
回脈拍数測定時から今回脈拍数測定時までの運動量と脈
拍数とを算出して運動開始時からの総運動量を求め、こ
れらの値をRAM3に格納するとともに表示装置7に表
示させる。さらに、CPU1は(1)式から算出した運
動強度が上限値と下限値で決まる範囲内にあるかどうか
を調べて使用者へ適宜運動強度に関する指示を出す。
【0108】そして、目標の運動時間が経過して時計回
路9から割り込みが入ると、CPU1は運動の終了を使
用者へ指示し、加速度センサ5の出力を監視して使用者
が実際に運動を止めるのを待ち合わせる。次いで、CP
U1は運動開始前と同様に各指標を算出するとともに、
運動終了の時刻を時計回路9から読み取り、正味の運動
時間を算出して、これらの値を全てRAM3へ格納する
とともに表示装置7に表示させる。また、CPU1は、
いま行った運動に対する総運動量と運動時間がそれぞれ
の目標値から所定の範囲内に存在するかどうかを調べ、
もし指示通りの運動が行われていないのであればこの旨
を使用者へ知らせる。
【0109】次に、CPU1は、運動実施前と同様に、
運動後の指標の値が何れのグレードに属するかを判定し
て、得られたグレードと指標の値とを表示装置7に表示
させる。さらに、運動前後における指標の値を比較し
て、状態に改善が見られたのであればその旨のメッセー
ジを表示させる一方、状態が悪化してしまっていれば、
運動を中止して医師の診断を仰ぐように警告を行う。
【0110】ここで、状態が改善されたか悪化したかの
判断基準についてであるが、LF或いは「LF/HF」
の場合は、運動したことによって値が減少していれば改
善されたものとし、増加していれば悪化したものと見な
す。一方、HF或いはRR50の場合は、減少していれ
ば悪化しているものとし、増加していれば改善されたも
のと見なす。
【0111】そして、使用者がこれ以後も引き続いて運
動を行うのであれば、運動後に求めたグレードを、これ
から行う運動の運動実施前のグレードとして設定し、当
該グレードから新たな目標値を得て運動の指導を継続し
て行う。なお、以上の説明では、4つの指標の何れか1
つを用いることとしたが、これら指標の幾つかを総合的
に勘案するようにしても良い。
【0112】[第3実施形態]本実施形態は、第1実施
形態において説明した健康状態管理装置を一部変形した
形態である。すなわち第1実施形態では、使用者が安静
状態にあるか否かを、装置(より詳細に言えばCPU
1)が加速度センサ5の測定結果に基づいて自動的に判
別していた。これに対し、本実施形態では、使用者自ら
が安静状態にあるかどうかを判断してこの旨を装置へ指
示するようにしたものである。
【0113】また、前述したように、第1実施形態にお
ける動作モードは大きく分けて2種のモードから構成さ
れていた。つまり、健康状態管理装置として動作するモ
ードと、時刻や日付を設定したりストップウォッチとし
て使用するといった普通の時計として用いるモードの2
つのモードである。これに対し、本実施形態における動
作モードは3種類のモードを有している。
【0114】第1のモードは、健康状態管理装置として
機能しないモードであって、装置を腕時計に組み込んだ
場合であれば、通常の時計として機能するモードであ
る。また、残りの2つのモードは健康状態管理装置とし
て機能するモードである。すなわち、第2のモードは脈
波測定モードであって、使用者が安静状態にあることを
前提に、使用者の運動実施前或いは運動実施後において
脈波を計測して解析を行うためのモードである。さら
に、第3のモードは脈拍測定モードであって、使用者が
運動をしている最中に脈拍数を測定して運動の指導を行
うためのモードである。
【0115】そして、これら3種類のモード間の切り換
えは、前述したボタンスイッチ117を用いて使用者が
手動で行う。ここで、第1実施形態におけるボタンスイ
ッチ117は健康状態管理装置としての動作を開始/停
止するためのスイッチであった。これに対し、本実施形
態におけるボタンスイッチ117は上記の3種類のモー
ドをサイクリックに切り換えるためのボタンスイッチと
して機能する。つまり、ボタンスイッチ117を押下す
る度に、第1→第2→第3→第1の如くモードが循環的
に遷移してゆく。なお、モードの切り換えを行っている
最中はモードが確定しないようになっており、使用者は
所望のモードになるまでボタンスイッチ117を繰り返
し押下すれば良い。さらに、上記の説明から明らかなよ
うに、第1実施形態における加速度センサ5を用いた安
静状態の判断を、本実施形態では使用者自身が行ってい
るために、本実施形態では本質的に加速度センサ5が不
要となっている。
【0116】次に、本実施形態による健康状態管理装置
の動作を概説する。まず、使用者は運動開始前におい
て、脈波センサ4が動かないように注意しつつボタンス
イッチ117を操作して装置を脈波測定モードへ設定す
る。これにより、CPU1はセンサインターフェース6
から脈波波形を所定時間読み取り、読み取った脈波波形
から安静時の脈拍数を算出してRAM3へ格納する。
【0117】次いで、CPU1は脈波波形を一波形分読
み取り、加速度脈波波形を求めてピークa,バレイb,
ピークc,バレイdを決定して振幅比d/aを算出する
とともに、この振幅比d/aから加速度脈波波形のパタ
ーンを決定し、これらの値をRAM3へ格納する。次
に、このパターンに対応する運動の目標値をROM2か
ら読み出してRAM3に格納するとともに、これらの値
を表示装置7に表示する。その際、運動前における脈波
測定が完了した旨のメッセージを一緒に表示装置7に表
示する。
【0118】すると、当該メッセージを確認した使用者
は、ボタンスイッチ117を操作して装置を脈拍測定モ
ードへ設定するので、これを契機にCPU1は時計回路
9から運動開始時刻を読み取ってRAM3へ格納すると
ともに、時計回路9へ運動時間の設定を行う。一方、ボ
タンスイッチ117を操作した使用者が運動を開始する
と、使用者の運動中、CPU1は脈拍数と運動量を計測
して、第1実施形態と同様に運動の指導を行う。
【0119】その後、時計回路9から割り込みが入る
と、CPU1は運動を止めるように使用者へ指示する。
この指示に従って運動を止めると、使用者はボタンスイ
ッチ117を操作して装置を再び脈波測定モードへ切り
換える。これにより、CPU1は、運動終了時刻を読み
取って正味の運動時間を算出してこれらをRAM3に格
納する。さらにCPU1は、今回の脈波測定モードが運
動後の脈波測定のためであることを認識し、運動開始前
と同様の手順に従って、取り込んだ脈波波形から振幅比
d/aを算出するとともに、加速度脈波のパターンを決
定して、これらの値をRAM3へ格納する。
【0120】次いで、CPU1は、運動前の振幅比d/
a,運動後の振幅比d/a,運動中の総運動量を表示装
置7へ表示するとともに、運動量及び運動時間が適正で
あったかどうかを調べて、必要に応じ使用者へ警告を行
う。また、運動前後における加速脈波波形のパターンの
変化状態を調べて、状態の改善あるいは悪化の程度に応
じた指示を適宜使用者に対して行う。これ以後は、上記
と同様であって、使用者は安静時脈拍数が測定できるよ
うに呼吸を整えたのち、運動開始前の脈波測定の動作か
ら上述した動作を繰り返す。
【0121】なお、不注意により使用者の身体が動いて
しまって、脈波測定モードにおける測定に支障をきたす
場合も考えられなくはない。そこで、このような場合も
考慮して加速度センサ5を補助的に用いることとしても
良い。すなわち、CPU1は運動前及び運動後の脈波の
測定中において、加速度センサ5の出力を定期的に読み
取り、万一使用者の身体が動いていることを検出した場
合、表示装置7上に警告メッセージを表示するか装置に
内蔵したアラームを用いて音で警告を発するなどすれば
良い。
【0122】また、運動前の脈波測定と運動後の脈波測
定を別々のモードとして設けることとして、運動の前後
に応じて使用者がこれら2つのモードの何れか1つを選
択するようにしても良い。さらに、本実施形態は第1実
施形態に適用するものとして説明したが、振幅比d/a
をLF,HF,「LF/HF」,RR50で置き換えれ
ば、第2実施形態にも当然に適用可能である。
【0123】[第4実施形態]次に、上記構成による健
康状態管理装置をリハビリテーション(以下、リハビリ
と称する)の指導に応用した形態を、加速度脈波から得
られる振幅比d/aを用いた場合について説明する。通
常、リハビリは幾つかの段階から成り、治療が進むに従
ってより強度の運動が課された段階へと移行してゆき、
それにつれて患者の状態が改善してゆくようになってい
る。本実施形態は、このようなリハビリ対象者への運動
の指導を付き添い人の介在なしに自動的に行うようにす
るものである。
【0124】本実施形態において、図1のROM2に
は、リハビリの段階毎に振幅比d/a等の「標準的な」
目標値が格納されるとともに、振幅比の値に対応して当
該振幅比を有する身体の状態を達成するために適当と考
えられる運動強度の目標値,上限値,下限値および運動
時間の目標値が格納されている。
【0125】まず、リハビリを開始するにあたっての準
備を行う。すなわち、CPU1は患者の脈波を取り込
み、加速度脈波を求めて各振幅比を求めるとともに、安
静時の脈拍数を算出する。以下に述べるように、これら
の値はリハビリを実施する当日のリハビリ対象者の状態
を表わしている。そこで、ROM2に格納されている振
幅比の「標準的な」目標値を、測定した振幅比と安静時
の脈拍数の値で補正し、リハビリ開始時点における患者
の体調等に合致した目標振幅比を算出して、これをRA
M3へ格納する。次いで、この目標振幅比に対応した運
動強度の目標値,上限値,下限値および運動時間の目標
値をROM2から読み出し、目標振幅比とともに患者へ
告知する。なお、標準振幅比の補正にあたっては、測定
した振幅比と脈拍数の両方を使用しても良いし、何れか
の情報だけを使用しても良い。
【0126】次に、CPU1はリハビリの開始を促すメ
ッセージを表示装置7へ表示させる。これにより、メッ
セージを見た患者が第1段階の運動を開始する。そして
CPU1は、患者が運動中は脈拍数を測定して、測定し
た脈拍数から運動強度を算出し、上述した上限値と下限
値の範囲内にあるかどうかをチェックして、適正な運動
強度を維持するように適宜患者へ指示を行う。またその
一方で、所定時間間隔で運動量を求めて積算してゆく。
【0127】そして、上記の目標運動時間を経過後に、
CPU1が運動の終了を患者へ指示して患者が一旦運動
を中断させると、CPU1は再び脈波を取り込んで運動
後の振幅比を算出し、この段階における振幅比の目標値
に達したかどうかを調べる。そして、目標値にいまだ達
していなければ、測定値が目標値に達するまで、引き続
き運動を行うように患者へ指示を出す。
【0128】他方、測定結果が現段階の運動の目標値に
達した時点で、CPU1は次の段階の運動に移行するこ
とを促すメッセージを表示装置7へ表示させるととも
に、第2段階における新たな振幅比の標準的な目標値を
ROM2から読み出し、上記と同様に補正を行ったの
ち、補正後の振幅比の目標値に対応する新たな運動強度
の目標値,上限値,下限値および運動時間の目標値を表
示させる。これにより、患者は第1段階の運動を終了さ
せて、第2段階の運動へ移行することができる。このよ
うにして、患者は段階を追ってリハビリのメニューをこ
なしてゆくことができる。
【0129】そして、全ての段階が完了した時点で、C
PU1がリハビリ終了の旨のメッセージを表示装置7に
表示させると、患者はリハビリを終わらせる。なお、本
実施形態では振幅比d/aを用いることとして説明した
が、これをLF,HF,「LF/HF」,RR50で置
き換えることも当然に可能である。
【0130】[第5実施形態]次に、上記構成による健
康状態管理装置を、使用者が自らの健康管理に適用する
場合について説明する。CPU1は、毎日、決められた
測定時刻においてセンサインターフェース6から脈波の
取り込みを行う。ここで、本実施形態においては、2時
間おきに測定を実施するものとする。そして、第1実施
形態と同様の手順により、振幅比d/a等を算出して、
時計回路9から読み取った時刻と共にこれら算出結果を
RAM3へ格納する。なお、測定時刻において使用者が
運動中であると振幅比の算出ができないが、その場合に
は、加速度センサ5の出力を監視して、運動が終わるの
を待ってから振幅比の算出を行うようにする。
【0131】一方、各測定時刻(例えば、午後2時)
で、CPU1は、過去所定期間(本実施形態では一週
間)において同時刻(すなわち、午後2時)に求めた振
幅比をそれぞれRAM3から読み出して、これらの振幅
比と現時点(すなわち、午後2時)の振幅比とから移動
平均を求める。そして、この移動平均を、現時点におけ
る振幅比と測定時刻と一緒にしてRAM3へ格納する。
【0132】次いで、前日の同時刻(すなわち、前日の
午後2時)に算出しておいた移動平均の値をRAM3か
ら読み出して、この移動平均の値を現時点の振幅比と比
較する。そして、両者の差が一定値を越えたかどうかを
調べ、一定値を越えていれば警告メッセージを表示装置
7へ表示させることで、現時点における状態が過去一週
間の平均的な状態から逸脱したことがわかり、使用者に
警告を与えることができる。
【0133】なお、上記の説明では、脈波から得られた
振幅比をそのまま使用することとした。しかるに、加速
度センサ5を活動量モニタと見なせば、使用者の体の動
きと加速度脈波との間の相関関係を得ることができる。
そこで、振幅比の算出にあたっては、この相関情報と加
速度センサ5の出力値とをもとにして、計測された振幅
比の値を補正するようにしても良い。
【0134】また、RAM3に格納した過去所定期間
(一週間,一ヶ月,一年など)の振幅比の推移を表示装
置7上にグラフ表示させて、血液循環の状態の変化を使
用者へ告知することも可能である。また、上記の説明で
は振幅比d/aを用いることとしたが、LF,HF,
「LF/HF」,RR50を用いることも当然に可能で
ある。
【0135】[応用形態]なお、上記実施形態では、使
用者に対する様々な告知をメッセージで表示するように
したが、音で告知するようにしても良い。例えば、本装
置を腕時計と組み合わせれば、腕時計に組み込まれてい
る既存のアラーム機能を流用することができる。また、
それ以外の携帯機器の場合についても、圧電素子やスピ
ーカなどを用いた音源を設ければ、アラーム音のみなら
ず音声メッセージなどによる告知も実現することができ
る。こうした音による告知を行えば、視覚障害を持つ人
であっても本装置を何らの支障もなく使用することがで
きる。また、使用者が運動の最中においては、いちいち
表示されたメッセージを見る必要がなくなるため、健常
者にしてみても煩わしくなくて好ましいと言える。
【0136】また、運動の評価結果や使用者への指示内
容に応じて、鳴らす音楽の種類を変えたり音のピッチを
変えるなどして、使用者に違いがわかるような工夫をす
ることも考えられる。さらに、メッセージと音とを併用
して告知するようにしても良い。また、聴力障害者のた
めには、メッセージや音の代わりに触覚へ訴えるように
しても良い。例えば、腕時計の裏面に振動板を取り付け
てこの振動板を振動させるか、あるいは、腕時計全体を
振動させる構造として、振動によって使用者へ告知する
ことが考えられる。さらに、振動の強弱や振動時間に変
化を持たせることによって、メッセージや音声と同様に
様々な態様での告知が可能となる。
【0137】また、上記実施形態では、加速度センサ5
を脈波センサ4に近接配置することとしたが、実際のと
ころ、加速度センサ5は人体のどこに取り付けても良
い。また、上記実施形態では、加速度脈波を用いること
としたが、これは加速度脈波が最も良く知られており、
理解しやすいからに過ぎない。従って、本発明は、脈波
の原波形,1次微分の波形,加速度脈波よりも高次の微
分波形,の何れにも適用することができるのは勿論であ
る。
【0138】ここでは、その一例として、脈波の原波形
を用いた場合について若干の説明を行うこととする。図
12は、典型的な脈波の原波形を示したものである。こ
の図において、(a)は、いわゆる平脈と呼ばれている
ものであり、3つの峰を持つことを特徴とした三峰波で
ある。ここで、同図におけるP1〜P5は脈波の変曲点
(ピーク)である。一方、図12(b)はいわゆる滑脈
と言われている脈波であり、2つの峰を持つことを特徴
とした二峰波である。他方、図12(c)は弦脈と呼ば
れている脈波である。
【0139】これらの各脈波と使用者が行う運動との関
連を調べてみると、一般に、運動前においては、図12
(a)に示す平脈が見られる。また、運動を行った場合
であっても、その運動が軽すぎるような場合には、運動
後においても平脈が観察される。一方、実施した運動が
適度なものであれば、運動後においては図12(b)に
示す滑脈が観察されるようになる。他方、実施した運動
が過度なものであると、運動後においては図12(c)
に示す弦脈の状態を呈することとなる。
【0140】このように、脈波の原波形を用いた場合に
は、運動後における脈波の波形が平脈,滑脈,弦脈の何
れに分類されるかを判別することによって、使用者が行
った運動を評価できることがわかる。ここで、測定され
た脈波から変曲点P1〜P5を抽出して該脈波の特徴を
捉えるには、例えば、本発明の発明者による特許出願
(特願平5−197569号,ストレス評価装置および
生理的年齢評価装置)に詳述された手法を用いることが
可能である。そこで、以下にその概要を述べることとす
る。
【0141】この手法によれば、脈波の各拍の波形につ
いて、次のような情報を採取して脈波の特徴を抽出する
ものである。すなわち、図13に示すように、 1) 脈
波の各拍内に順次現れる変曲点P1〜P5における脈圧
1〜y5, 2) 脈波が立ち上がる脈波開始時刻t0
基準とした場合において、各変曲点P1〜P5が出現す
るまでの経過時間T1〜T5と次の拍の脈波が立ち上がる
までの経過時間T6 ,3) 変曲点P1〜P5の各々が
極大であるか極小であるかの別、である。なお、図1の
ROM2には、平脈,滑脈,弦脈の各々に関する脈波の
特徴である経過時間T1 〜T6 ,脈圧y1〜y5,各変曲
点の極大/極小の別などを、予め格納しておくようにす
る。
【0142】また、この場合における健康状態管理装置
の動作は大略次のようなものである。まず、CPU1
は、取り込んだ脈波の波形から所定のカットオフ周波数
よりも低域の周波数成分だけを取り出して、得られた波
形のデータをRAM3へ格納する。次に、低周波数成分
だけからなる脈波波形について、その時間微分を求める
処理を施す。次いで、算出された時間微分値について所
定期間内の移動平均を算出し、この算出結果を傾斜情報
としてRAM3へ格納する。この傾斜情報は、脈圧が上
昇する傾向にあれば正の値をとり、下降する傾向にあれ
ば負の値をとる。
【0143】次に、CPU1は、上記の演算の結果を調
べて、時間微分値として0が出力された場合には、これ
を変曲点として、この時点における波形の採取時刻及び
脈圧(脈圧y1〜y5に相当する)を求めておく。また、
上記の傾斜情報を参照することにより、それぞれの変曲
点が極大であるのか極小であるのかを決定する。すなわ
ち、ある変曲点に対応して求めた傾斜情報が正であれば
この変曲点は極大点であり、傾斜情報が負であればこの
変曲点は極小点である。さらに、CPU1は、変曲点が
検出される度に、変曲点における脈圧と直前に検出され
た変曲点における脈圧との差分を求め、得られた差分デ
ータをストローク情報としてRAM3へ格納する。
【0144】そして、測定時間内のすべての脈波につい
て以上の処理を行ったあとで、CPU1は、脈波を1拍
毎に分離する処理を行う。まずCPU1は、各変曲点に
対応した傾斜情報とストローク情報をRAM3から取り
出し、取り出されたストローク情報の中から正の傾斜情
報を有するものを選び出す。次いで、これらの中からス
トローク情報の大きなものを上位から所定個数だけ選択
し、さらにその中から中央値に相当するものを選び、脈
波の各拍における立ち上がり部分が決定される。これに
より、この立ち上がりの開始時点を脈波開始時刻t0
して求めることができる。
【0145】以上のようにして、変曲点P1〜P5と、
これら変曲点に対する極大/極小の別,各変曲点におけ
る脈圧y1〜y5が決定される。また、上述した各変曲点
における波形採取時刻と脈波開始時刻t0 との差分を求
めることにより、経過時間T1 〜T5 が算出される。さ
らに、隣接する脈波の拍の間で、脈波開始時刻t0 の間
の時刻の差を求めることにより、脈波の各拍に対して経
過時間T6 が得られる。
【0146】そして、経過時間T1〜T5,脈圧y1 〜y
5 ,変曲点P1〜P5における極大/極小の別の各々に
つき、測定された脈波のものとROM2に格納されてい
る既定の脈波のものとを比較すれば、測定された脈波に
最も適合する脈波のタイプが、平脈,滑脈,弦脈の中か
ら選択でき、脈波のタイプから使用者が行った運動を評
価することができる。
【0147】
【発明の効果】以上説明したように、発明によれば、
使用者から測定した脈波をもとにして、血液循環の状態
を該使用者へ通知するようにしたので、運動中でさえな
ければ、使用者は、いつでも自分の血液循環の状態を知
ることができ、したがって、虚血性心疾患や脳血管障害
などの疾病の予知に役立てることができるという効果が
得られる。
【0148】また、発明によれば、隣接する脈波の時
間間隔の変動のスペクトル分析から得られるスペクトル
成分の振幅値を指標としたので、交感神経や副交感神経
の活動をよく表わした指標に基づいた健康状態の把握,
管理が可能となるという効果が得られる。また、請求項
5記載の発明によれば、隣接する脈波の時間間隔の変動
のスペクトル分析から得られる低周波及び高周波のスペ
クトル成分の振幅比を指標としたので、個人差による指
標のばらつきを排除でき、健康状態を管理する上での客
観的な判断材料を提供することができるという効果が得
られる。
【0149】また、本発明によれば、隣接する脈波の時
間間隔の変動量が所定時間を越える個数を指標としたの
で、人体の興奮,鎮静をよく表わした指標に基づいた健
康状態の把握,管理が可能となるという効果が得られ
る。また、請求項8又は9記載の発明によれば、使用者
が運動中である間は、脈拍数を使用者へ通知するように
したので、運動中においても適宜運動量を調整して、よ
り望ましいトレーニングを積むことができるという効果
が得られる。
【0150】
【0151】
【0152】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による健康状態管理装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】 (a)は指尖容積脈波における加速度脈波の
様々な態様を表わした図であり、(b)は(a)の各パ
ターンについて振幅比d/a及び振幅比c/aの範囲を
示した図である。
【図3】 同装置を腕時計と組み合わせた場合の図であ
る。
【図4】 同装置を腕時計と組み合わせた場合におい
て、該腕時計の構造ををより詳細に表わした平面図であ
る。
【図5】 同装置を腕時計と組み合わせた他の態様を示
す図である。
【図6】 同装置をネックレスと組み合わせた場合の図
である。
【図7】 同装置を眼鏡と組み合わせた場合の図であ
る。
【図8】 使用者が実施した運動の運動量と運動の前後
において測定された振幅比d/aの変化率との関係を表
わす図である。
【図9】心電図とRR間隔の関係を示す図である。
【図10】心電図と脈波との関係を示す図である。
【図11】(a)はRR間隔変動と該変動を構成する周
波数成分の関係を示す図である。また、(b)はRR間
隔変動のスペクトル分析を行った結果を示した図であ
る。
【図12】 典型的な脈波の原波形を示す図であって、
(a)は平脈,(b)は滑脈,(c)は弦脈である。
【図13】 脈波の1拍について、脈波の波形の特徴を
説明するための図である。
【図14】 指尖容積脈波の波形を表わす図であって、
(a)は測定された原波形,(b)は速度脈波,(c)
は加速度脈波である。
【図15】 指尖容積脈波における加速度脈波の一波形
分を取り出した図である。
【図16】 第1の従来技術による加速度脈波計の構成
を示すブロック図である。
【図17】 同技術において、測定された加速度脈波を
類型化する際に行う加速度脈波波形の分割の様子を表わ
した図である。
【図18】 第2の従来技術による加速度脈波計の構成
を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…CPU、3…RAM、4…脈波センサ、5…加速度
センサ、6…センサインターフェース、7…表示装置、
8…表示制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−212327(JP,A) 特開 平2−1224(JP,A) 特開 平7−143972(JP,A) 特開 平2−1218(JP,A) 特開 平1−288230(JP,A) 実開 平6−75406(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/00 - 5/04 A61B 10/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用者の脈波を測定する脈波測定手段
    と、 前記使用者の体動を測定するとともに前記脈波測定手段
    とは別個に構成された体動測定手段と、 前記体動測定手段の測定結果が所定値以下である場合
    に、前記脈波の波形から前記使用者の血液循環の状態を
    表わす指標を求める算出手段と、 前記指標を前記使用者へ告知する一方、前記体動の測定
    結果が所定値を越えた場合に、前記使用者へ警告を発す
    告知手段とを具備してなる健康状態管理装置。
  2. 【請求項2】 使用者の脈波を測定する脈波測定手段
    と、前記使用者の体動を測定するとともに前記脈波測定手段
    とは別個に構成された体動測定手段と、 前記使用者による前記脈波の測定指示を検出する脈波測
    定指示検出手段と、 前記脈波測定指示が出されている間、前記脈波の波形か
    ら前記使用者の血液循環の状態を表わす指標を求める算
    出手段と、 前記指標を前記使用者へ告知する一方、前記脈波測定指
    示が出されている間に、前記体動の測定結果が所定値を
    越えた場合に、前記使用者へ警告を発する告知手段とを
    具備してなる健康状態管理装置。
  3. 【請求項3】 前記算出手段は、前記脈波の加速度脈波
    を求め、該加速度脈波に現れる複数のピークと複数のバ
    レイの中から2つを選択して、それらの振幅比を求めて
    前記指標とすることを特徴とする請求項1又は2記載の
    健康状態管理装置。
  4. 【請求項4】 前記算出手段は、前記加速度脈波に現れ
    る第2のバレイの振幅値を第1のピークの振幅値で除し
    た値を前記指標とすることを特徴とする請求項3記載の
    健康状態管理装置。
  5. 【請求項5】 前記算出手段は、隣接する脈波の時間間
    隔を算出し、該時間間隔の変動に対してスペクトル分析
    を行い、該分析により得られたスペクトル成分の振幅値
    を前記指標とすることを特徴とする請求項1又は2記載
    の健康状態管理装置。
  6. 【請求項6】 前記算出手段は、隣接する脈波の時間間
    隔を算出し、該時間間隔の変動に対してスペクトル分析
    を行い、該分析により得られた低周波のスペクトル成分
    の振幅と高周波のスペクトル成分の振幅の比を算出して
    前記指標とすることを特徴とする請求項1又は2記載の
    健康状態管理装置。
  7. 【請求項7】 使用者の脈波を測定する脈波測定手段
    と、 前記使用者の体動を測定するとともに前記脈波測定手段
    とは別個に構成された体動測定手段と、 前記体動測定手段の測定結果が所定値以下である場合
    に、 隣接する脈波の時間間隔を算出して、連続する該時
    間間隔の変動量が所定時間を越える個数を前記指標と
    て求める算出手段と、 前記指標を前記使用者へ告知する告知手段と を具備して
    なる 健康状態管理装置。
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