JP3394678B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
半導体発光素子Info
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Description
(LED)、レーザダイオード(LD)等の半導体発光
素子に係り、特に、発光効率が高く、長寿命、波長の安
定なIII−V族窒化物半導体を発光層とする半導体発
光素子に関する。
ウム(In)を含む窒化物半導体(InAAlBGa
1-A-BN、0≦A、0≦B、A+B≦1)を発光層とす
る半導体発光素子は、紫外色から赤色に発光するLE
D、LD等の発光素子の材料として期待され、開発が進
められている。
発光素子の従来例の略断面図であり、特開平8―316
528号公報、発明の名称:窒化物半導体発光素子、出
願人:日亜化学工業株式会社である。図9において、サ
ファイア基板等の絶縁性基板60の上にn型窒化ガリウ
ム系化合物半導体層とp型窒化ガリウム系化合物半導体
層とが積層されており、バッファ層61、n型コンタク
ト層62、第2のn型クラッド層63、第1のn型クラ
ッド層64、活性層65、第1のp型クラクド層66、
第2のp型クラッド層67、およびp型コンタクト層6
8が順に積層された構造であり、n型コンタクト層62
には負電極69が形成され、p型コンタクト層68には
正電極70が形成されている。
れるn型またはp型クラクド層の材料設定に特色があ
り、第1のn型クラッド層64は、活性層65よりも小
さい熱膨張係数を持ち、第1のp型クラッド層66は、
活性層65よりも小さい熱膨張係数を持ち、且つ活性層
65を単一量子井戸構造または多重量子井戸構造とする
ことにより、活性層を構成する窒化物半導体の本来のバ
ンドギャップエネルギーよりも低いエネルギーの光を発
光させるようにしたことを特色とする窒化物半導体発光
素子である。
光ピーク波長との関係を示したものであり、詳しくは単
―量子井戸構造の活性層の厚さ、つまり量子井戸層の厚
さと、発光素子の発光ピーク波長との関係を示す図であ
る。図10において、線αは活性層がノンドープIn
0.05Ga0.95Nよりなる発光素子を示し、線βは活性層
がノンドープIn0.3Ga0.7Nよりなる発光素子を示し
ている。両方とも発光素子の構造は第2のクラッド層
と、第1のn型クラッド層と、活性層と、第1のp型ク
ラッド層と、第2のp型クラッド層とを順に積層したダ
プルヘテロ構造である。第2のn型クラッド層は0.1
μmのSiドープn型Al0.3Ga0.7Nよりなり、第1
のn型クラッド層は500オングストロームのIn0.01
Ga0.99Nよりなり、第1のp型クラッド層は20オン
グストロームのMgドープp型In0.01Ga0.99Nより
なり、第2のp型クラッド層は0.1μmのMgドープ
p型Al0.3Ga0.7Nよりなるダブルへテロ構造であ
る。このように、活性層の膜厚を変えると、発光波長が
変化することを示している。
本来のバンドギャップエネルギーでは380nm付近の
紫外発光を示すが、膜厚を薄くすることにより420n
m近くまで波長を長して青紫色の発光にできる。また線
βで示すIn0.3Ga0.7N活性層は本来のバンドギャッ
プエネルギーでは480nm付近の青緑色発光である
が、同じく膜厚を薄くすることにより、520nm近く
の純緑色発光が得られている。
p型クラッド層で挟まれた活性層の膜厚を薄くすること
により、発光波長を長波長にすることができる。つま
り、通常の膜厚の厚い活性層ではその活性層のバンドギ
ャップエネルギーに相当する発光しか示さないが、この
従来例の単―量子井戸構造の活性層では、井戸層の膜厚
を薄くすることによって、バンドギヤップエネルギーが
小さくなり、元の井戸層のバンドギャップエネルギーよ
りも低エネルギーの光、即ち長波長を発光させることが
可能となる。しかもノンドープであるので、不純物をド
ープしたものよりも結晶性がよいので出力が高くなり、
さらにバンド間発光で半値幅の狭い色純度の良い発光が
得られている。
成すると、活性層の結晶性が悪く、例えばIn組成比が
0.3〜0.5では結晶性が悪くなって発光出力が非常
に低かったが、薄膜にすることにより、大きなIn組成
比でも結晶性良く成長できるようになるという作用もあ
る。そして、この上記の従来例では、量子井戸層の膜厚
は100オングストローム以下、さらに好ましくは70
オングストローム以下となるように形成することが好ま
しい、としている。
n0.05Ga0.95N活性層を用い、If(順方向電流)=
20mAで、Vf(順方向電圧)=3.5V、発光ピー
ク波長λp=410nm(青色発光)、発光出力Wp=
5mW、発光スペクトルの半値幅△λ=20nm、であ
った。
n0.2Ga0.8N活性層を用い、If(順方向電流)=2
0mAで、Vf(順方向電圧)=3.5V、発光ピーク
波長λp=465nm(青色発光)、発光出力Wp=5
mW、発光スペクトルの半値幅△λ=25nm、であっ
た。
n0.3Ga0.7N活性層を用い、If(順方向電流)=2
0mAで、Vf(順方向電圧)=3.5V、発光ピーク
波長λp=500nm(緑色発光)、発光出力Wp=3
mW、発光スペクトルの半値幅△λ=40nm、であっ
た。
ロームのIn0.4Ga0.6Nからなる単一量子井戸構造の
活性層を用い、If(順方向電流)=20mAで、Vf
(順方向電圧)=3.5V、発光ピーク波長λp=52
5nm(緑色発光)、発光出力Wp=4mW、発光スペ
クトルの半値幅△λ=40nm、であった。
素子においては、青緑色、緑色、黄緑色の発光素子を得
るためには、Inの組成比を大きくしなければならな
い。しかしながら、InGaN混晶系またはInGaA
lN混晶系材料から成る発光層を使う場合、上述のよう
に、Inの組成比が大きくなると、例えばInGaNの
三元混晶は相分離を起こし易く、発光層の量子井戸中の
InGaN層中に設定したIn組成よりも大きな領域と
なる所の量子ドットが自然形成されること、そしてIn
GaNの量子井戸構造の発光層からの発光は、この量子
ドットに局在した励起子発光と考えられるため、ウエハ
面内で均一な発光波長を持つ半導体発光素子を得ること
が困難な状況にある。また、量子ドットの発生による発
光層内の格子不整合による歪み緩和が発生し、且つIn
GaN層と他半導体層との格子不整合による歪みの緩和
が発生し、それらに起因する非発光再結合が多くなり、
発光効率が低く、寿命の短い発光素子しか得られていな
いのが現状である。また、発光波長の注入電流依存性が
大きく、発光波長の安定した発光素子が得にくい現状に
ある。
528号公報においては、活性層(発光層)の膜厚は7
0オングストローム以下が望ましいと記載してはいるも
のの、実施の形態よりなる値は膜厚70オングストロー
ムの活性層についての記載であり、上記の説明から、こ
の膜厚は量子ドットが発生している膜厚であると推測で
きる。
半導体発光素子は、III−V族窒化物半導体を発光層
とする半導体発光素子であって、発光層が多重量子井戸
構造であり、多重量子井戸構造を構成する単位量子井戸
層が3原子層数乃至10原子層数の層厚であり、単位量
子井戸層に含まれるIII族元素のInの組成比が35
%以上かつ65%以下であり、多重量子井戸構造を構成
する障壁層がIn X Ga 1-X N(0.35≦X≦0.6
5)であることを特徴とするものである。
素子は、III−V族窒化物半導体を発光層とする半導
体発光素子であって、発光層が多重量子井戸構造であ
り、多重量子井戸構造を構成する単位量子井戸層が3原
子層数乃至10原子層数の層厚であり、単位量子井戸層
に含まれるIII族元素のInの組成比が35%以上か
つ65%以下であり、多重量子井戸構造を構成する障壁
層がIn X Ga 1-X N(X≦0.35)であることを特徴
とするものである。
素子は、発光層がInXGa1-XN(0.35≦X≦0.
65)であることを特徴とするものである。
素子は、発光層がInX(AlYGa1-Y)1-XN(0<Y
≦1.0、0.35≦X≦0.65)であることを特徴
とするものである。
素子は、III−V族窒化物半導体を発光層とする半導
体発光素子であって、発光層が単一半導体層構造、単一
量子井戸構造または多重量子井戸構造であり、単一半導
体層構造を構成する単一半導体層または単一量子井戸構
造もしくは多重量子井戸構造を構成する単位量子井戸層
が3原子層数乃至10原子層数の層厚であり、単一半導
体層または単位量子井戸層がIn X (Al Y Ga 1-Y ) 1-X
N(0<Y≦1.0、0.35≦X≦0.65)である
ことを特徴とするものである。
素子は、発光層が多重量子井戸構造であり、多重量子井
戸構造を構成する障壁層がIn X Ga 1-X N(0.35≦
X≦0.65)であることを特徴とするものである。
素子は、発光層が多重量子井戸構造であり、多重量子井
戸構造を構成する障壁層に含まれるIII族元素のIn
の組成比が35%以下であることを特徴とするものであ
る。
素子は、多重量子井戸構造を構成する障壁層がInXG
a1-XN(X≦0.35)であることを特徴とするもの
である。
光素子は、III−V族窒化物半導体を発光層とする半
導体発光素子であって、発光層が多重量子井戸構造であ
り、多重量子井戸構造を構成する単位量子井戸層が3原
子層数乃至10原子層数の層厚であり、単位量子井戸層
に含まれるIII族元素のInの組成比が35%以上か
つ65%以下であり、多重量子井戸構造を構成する障壁
層がInX(AlYGa1-Y)1-XN(0<Y≦1.0、
0.35≦X≦0.65)である、または、多重量子井
戸構造を構成する障壁層に含まれるIII族元素のIn
の組成比が35%以下であることを特徴とするものであ
る(ただし、単位量子井戸層がIn 0.35 Ga 0.65 Nであ
るものを除く)。また、本発明の請求項10記載の半導
体発光素子は、発光層がIn X Ga 1-X N(0.35≦X
≦0.65)であることを特徴とするものである。
の形態よりなる半導体発光素子に関する図である。以下
に、本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態よりなる半導体発光素子の構造を示す断面図
である。半導体発光素子の成長は、MOCVD法(有機
金属気相成長法)を使用する。III族元素の輸送ガス
としてTMG(トリメチルガリュウム)、TEG(トリ
エチルガリュウム)、TMI(トリメチルインジュウ
ム)、TMA(トリメチルアルミニュウム)等を使用
し、V族元素の輸送ガスとしてNH3 (アンモニア)を
使用する。n型ドーパントの輸送ガスとしてSiH4
(シラン)を、使用し、またp型ドーパントの輸送ガス
としてCp2 Mg(シクロペンタジエチルマグネシュウ
ム)またはエチルCp2 Mgを使用する。
00℃で熱クリーニングした後、基板温度を550℃に
下げ、層厚50nmのノンドープのAlNのバッファ層
2を成長させる。次に基板温度を1050℃まで上げて
層厚4μmのSiドープn型GaN層3を成長させる。
次に基板温度を800℃に下げ、6原子層数(算定値約
1.6nm、即ち、16オングストローム)のノンドー
プIn0.4Ga0.6Nの発光層(単―半導体層)4、層厚
50nmのMgドープp型Al0.2Ga0.8NのInGa
N蒸発防止層5を順次成長させる。次に基板温度を10
50℃まで上げて、層厚0.5μmのMgドープp型G
aN層6を成長させる。続いて、成長層の一部をSiド
ープn型GaN層3が露出するまでエッチングを行い、
その表面にn型電極7を形成する。また、Mgドープp
型GaN層6の表面にp型電極8を蒸着する。次に、ウ
エハーをチップに分割(チップサイズ約400μm角)
し、ステムにマウント後樹脂モールドを行い、半導体発
光素子(LED素子)とする。
つ半導体発光素子において、Inの組成と発光面積の比
率を測定した結果を図6に示す。図6において、発光層
として膜厚約5nm(50オングストローム)のノンド
ープInXGa1-XN(0≦X≦1.0)の半導体層を用
い、発光層のIn組成を変化させた時、低電流駆動(1
mA以下)における発光領域の全面積に対する発光して
いる面積の比率を図6に示す。図6において、ノンドー
プInXGa1-XNの発光層のIn組成XがX=0.0〜
0.2及びX=0.8〜1.0においては、発光面積の
比率が0.92とほぼ一定であるのに対し、X=0.2
〜0.8においては、発光面積の比率が大きく減少し、
X=0.4〜0.6においては、発光面積の比率が0.
67程度の低い値となることを示している。
鏡)観察から、発光層のIn組成が0.35〜0.65
の領域で発光層の相分離による量子ドットの密度が増大
すること、発光層のIn組成が0〜0.35及び0.6
5〜1.0の領域ではGaまたはIn組成が支配的とな
り、量子ドットの密度が逆に減少すること、を見い出だ
した。
65の領域においては、量子ドットの密度が増加するこ
とが、発光層内で結晶の組成の違いによるミスフィット
転位を増加させる原因となっている。この発光層内のミ
スフィット転位は、非発光再結合の中心となるため、素
子の発光強度の減少及び発光素子の寿命を短くする原因
となっている。
成長時に自然発生的に形成されるため、その組成及び大
きさの制御は不可能である。このため、1枚のウエハか
ら取り出される発光素子の特性の分布が大きくなり、例
えば発光波長の分布が著しく大きくなる、といった現象
が起こる。このような量子ドットの発生は、InGaA
lNを発光層とする場合も、図6で示したと同様のIn
組成に対する発光面積の比率の減少(依存性)が観測さ
れた。
トごとに、その形状、Inの組成が異なっているため、
発光させるために注入されたキャリアは、発光層全体で
は広いエネルギー範囲に分布することとなる。しかも、
InGaN、またはInGaAlN結晶中のキャリアの
移動度が低く、かつ、キャリアの緩和時間が長いため、
発光は注入されたキャリアが低エネルギーにまで緩和す
る前に高エネルギー状態で発光が起きる。この原因によ
りInGaN、またはInGaAlN発光層を量子井戸
構造とする発光素子においては、その発光波長の注入電
流依存性が大きいことを見い出だした。なお、この現象
は発光層のIn組成が大きくなる程(即ち、発光波長が
長波長になる程)顕著となる。例えば、InGaNの量
子井戸構造の緑色発光ダイオード(Inの組成比0.4
5、発光波長520nm)では、駆動電流を10mA変
化させるとその発光ピーク波長は約10nm短波長側へ
シフトし、色が変化するという問題や、フルカラーディ
スプレーへの応用では、その色調整を難しくする、とい
った問題があった。
半導体層または単位井戸層または多重量子井戸構造にお
いてもみられる。ここに、単―量子井戸構造とは、量子
井戸層が一層よりなる構造を指す。すなわち、単―量子
井戸構造の発光層(活性層)は、単―の井戸層だけで構
成される。また、単―半導体層とは単―半導体層より構
成された発光層のことであり、量子井戸構造を形成しな
い発光層の場合も包含している。また、多重量子井戸構
造とは、量子井戸層と障壁層を交互に積層した多層膜構
造である。この多層膜構造において、両側の2つ最外層
は、それぞれ井戸層により構成される。多重量子井戸構
造の尤も単純な構造は、量子井戸層/障壁層/量子井戸
層の場合である。
N発光層の厚さを変化させた時、発光層の原子層数(層
厚)に対する発光面積の減少比率を示す。図7におい
て、発光層の原子層数が1〜5原子層数では、発光面積
の減少比率が0.08であり、発光層の原子層数が6〜
9原子層数では、発光面積の減少比率が大きく増加し、
0.08〜0.24となり、発光層の原子層数が10〜
15原子層数では、発光面積の減少比率が増加したまま
で、0.24となった。この結果、発光層の厚さが9原
子層数以下の領域では、発光面積の減少比率が小さくな
ることを示している。言い換えると、発光層の層厚を薄
くすることにより量子ドットの発生が抑制され、非発光
再結合の少なく、明るい半導体発光素子を得ることがで
きることを示している。従って、実用的な半導体発光素
子を得るための発光層の層厚は1原子層数乃至15原子
層数、好ましくは3原子層数乃至10原子層数、である
と言える。
導体発光素子であるInX(Al0.02Ga0.98)1-XNを
発光層を持つ発光素子のInの組成比をパラメータとし
て、発光層の層厚(原子層数)と半導体発光素子の発光
強度との関係を示す。半導体発光素子の構造は図1に示
した略断面図と同様である。InX(Al0.02G
a0.98)1-XN発光層の組成比X=0.35の場合、素
子の発光強度は7原子層数及び8原子層数で最大とな
り、InX(Al0.02Ga0.98)1-XN発光層の組成比X
=0.52の場合、素子の発光強度は5原子層数で最大
となり、InX(Al0.02Ga0.98)1-XN発光層の組成
比X=0.65の場合、素子の発光強度は4原子層数で
最大となる結果が得られた。
原子層数より厚くなるにしたがって発光強度が増大し、
ある膜厚の層数において発光強度はピークを持ち、更に
層数を厚くすると逆に発光強度が低下してゆく。これ
は、発光層の厚さが薄い領域では層厚が増すにつれ、発
光層中のキャリア濃度が増大し発光強度が増加し、ある
厚さを越えると、発光層の上下の結晶との格子不整合が
原因で発生している発光層中の歪みが緩和され、ミスフ
ィット転位が生じ、このミスフィット転位が非発光再結
合の中心となって発光強度は急激に低下する。発光強度
がピークを示す層厚は発光層のIn組成(発光層中の歪
み)によって決まり、In組成が増えるとともに発光強
度が最大となる層厚(原子層数)は薄くなる。
から説明すると、発光強度がピークを持つまでの発光層
の膜厚は量子ドットが発生しない膜厚の領域であり、発
光強度がピークを過ぎて減少する発光層の膜厚は量子ド
ットの発生が始まっている膜厚の領域であると説明でき
る。また、量子ドットの発生は、単―量子井戸構造や多
重量子井戸構造の単位井戸層についてのみ観測されるこ
とである。
発明はIII−V族窒化物半導体を発光層とする半導体
発光素子において、発光層は単―半導体層構造または単
一量子井戸構造または多重量子井戸構造であり、且つ単
―半導体層または単位量子井戸層の層厚が1原子層数乃
至15原子層数で構成されることを特徴とする半導体発
光素子である。重ねて言えば、単―半導体層または単位
量子井戸層の層厚が1原子層数乃至15原子層数で構成
されることを特徴とするものであると並列記載している
のは、1原子層数乃至15原子層数という非常に薄い半
導体層では、量子井戸層を形成しない場合も存在するか
らである。
0.98)1-XN発光層を一例として説明したが、この現象
はInXGa1-XN発光層やInXGaYAl1-X-YN発光
層についても同様の結果が得られる。
原子層数以下の層厚)を単位量子井戸層とする多重量子
井戸構造のとする場合においても、In組成が35%か
ら65%までのInXGa1-XN、またはInXGaYAl
1-X-YNにおいて、明るい半導体発光素子が得られると
共に、ウエハ内の素子特性分布を小さくすることができ
る。
図7、図8の知見に基づく結果であり、この場合発光層
は単―半導体層(6原子層数)のノンドープIn0.4G
a0.6Nの井戸層4を選択して用いた場合の結果であ
る。LED素子は順方向電流If=20mAで、順方向
電圧Vf=3.5V、発光ピーク波長λp=485nm
(青緑色)、発光出力Wp=6mWであった。順方向電
流Ifを5mAから15mAまで変化させた時の発光ピ
ーク波長λpのシフト(変化量)は3nm以下であり、
同一ウエハ内(2インチφ)における発光ピーク波長の
分布は5nm以下であった。室温連続20mAの通電テ
ストの寿命は2000時間以上であった。
ーク波長シフトは5nm、ピーク波長の分布は10n
m、寿命は1000時間であった。本発明により出力で
1.5倍、ピーク波長シフトは3/5、ピーク波長の分
布は1/2に低減され、寿命は2倍以上に改善された。
態よりなる半導体発光素子の略断面図を図2に示す。こ
の場合、半導体発光素子の成長にはガスソースMBE法
(分子線エピタキシー法)を使用する。III族分子線
源としてGa金属、In金属、Al金属を使用し、V族
分子線源としてNH3または窒素ガスの分解により生成
した窒素ラジカルを使用する。分解は、RF(Radi
o Frequency)プラズマ、ECR(Elec
tron Cycltron Resonance)プ
ラズマまたは熱クラッキングの手法を使用する。n型ド
ーパントとしてSiをp型ドーパントとしてMgを使用
する。
囲気で850℃で熱クリーニングした後、基板温度を5
00℃に下げ、層厚30nmのノンドープGaNのバッ
ファ層10を成長させる。次に基板温度を700℃まで
上げて層厚2μmのSiドープn型GaN層11、2原
子層数のノンドープIn0.6(Ga0.97Al0.03)0.4N
の量子井戸層12と、3原子層数のノンドープIn0.4
Ga0.6Nの障壁層13とで、周期数4(量子井戸層×
4、障壁層×3)の多重量子井戸構造の発光層14、層
厚0.5μmのMgドープp型GaN層15を順次成長
させる。次に成長層の一部をSiドープn型GaN層1
1が露出するまでエッチングを行い、その表面にn型電
極16を形成し、Mgドープp型GaN層15の表面に
p型電極17を蒸着する。次に、ウエハーをチップに分
割して樹脂モールドを行い、LED素子とする。
Aで、順方向電圧Vf=4.0V、発光ピーク波長λp
=550nm(黄緑色)、発光出力Wp=4mWであっ
た。順方向電流Ifを10mAから20mAまで変化さ
せた時の発光ピーク波長λpのシフト(変化量)は4n
m以下であり、同一ウエハ内(2インチφ)における発
光ピーク波長の分布は7nm以下であった。室温連続2
0mAの通電テストの寿命は1000時間以上であっ
た。従来例では、発光出力は3mWでピーク波長シフト
は10nm、ピーク波長の分布は20nm、寿命は50
0時間であった。本発明により出力で1.3倍、ピーク
波長シフトは2/5、ピーク波長の分布は1/3に低減
され、寿命は倍以上に改善された。
態よりなる半導体発光素子の略断面図を図3に示す。こ
の場合、半導体発光素子の成長にはMOCVD法(有機
金属気相成長法)を使用する。III族元素の輸送ガス
としてTMG(トリメチルガリュウム)、TEG(トリ
エチルガリュウム)、TMI(トリメチルガリュウ
ム)、TMA(トリメチルアルミニュウム)を使用し、
V族元素の輸送ガスとしてNH3 (アンモニア)を使用
する。n型ドーパントの輸送ガスとしてSiH4 (シラ
ン)をp型ドーパントの輸送ガスとしてCp2 Mg(シ
クロペンタジエチルマグネシュウム)または、エチルC
p2 Mgを使用する。
0℃で熱クリーニングした後、基板温度を600℃に下
げ、層厚40nmのノンドープAlNのバッファ層19
を成長させる。次に基板温度を1100℃まで上げて層
厚4μmのSiドープn型GaN層20、層厚50nm
のSiドープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層21を順
次成長させる。次に基板温度を750℃に下げ、4原子
層数のSiドープn型In0.65Ga0.35Nの発光層(単
―量子井戸構造)22、層厚50nmのMgドープp型
Al0.1Ga0.9Nクラッド層23を順次成長させる。
0.5μmのMgドープp型GaN層24を成長させ
る。次に、Siドープn型GaN層20が露出するまで
エッチングを行い、その一部をさらに、AlNのバッフ
ァ層19のエッチングを行い、n型SiC基板18が露
出するまでエッチングを行う。n型SiC基板18の裏
面及びエッチングで露出したn型SiC基板18とSi
ドープn型GaN層20とを電気的に接続するようにn
型電極25を蒸着し、Mgドープp型GaN層24の表
面にp型電極26を蒸着する。次に、ウエハーをチップ
に分割して樹脂モールドを行い、LED素子とする。
Aで、順方向電圧Vf=4.0V、発光ピーク波長λp
=570nm(黄色)、発光出力Wp=2mWであっ
た。順方向電流Ifを10mAから20mAまで変化さ
せた時の発光ピーク波長λpのシフト(変化量)は5n
m以下であり、同一ウエハ内におけるピーク波長の分布
は10nm以下であった。室温連続20mAの通電テス
トの寿命は1000時間以上であった。従来例では、発
光出力は1mWでピーク波長シフトは20nm、ピーク
波長の分布は30nm、寿命は500時間であった。本
発明により出力で2倍、ピーク波長シフトは1/4、ピ
ーク波長の分布は1/3に低減され、寿命は2倍以上に
改善された。
態よりなる半導体発光素子の略断面図を図4に示す。こ
の場合、半導体発光素子の成長にはMOCVD法(有機
金属気相成長法)を使用する。III族元素の輸送ガス
としてTMG(トリメチルガリュウム)、TEG(トリ
エチルガリュウム)、TMI(トリメチルインジュウ
ム)、TMA(トリメチルアルミニュウム)を使用し、
V族元素の輸送ガスとしてNH3 (アンモニア)を使用
する。n型ドーパントの輸送ガスとしてSiH4 (シラ
ン)をp型ドーパントの輸送ガスとしてCp2 Mg(シ
クロペンタジエチルマグネシュウム)または、エチルC
p2 Mgを使用する。
℃で熱クリーニングした後、基板温度を550℃に下
げ、層厚25nmのGaNのバッファ層29を成長させ
る。次に基板温度を1050℃まで上げて層厚4μmの
Siドープn型GaN層30、層厚0.5μmのSiド
ープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層31、層厚0.1
μmのSiドープGaN光ガイド層32を順次成長させ
る。次に基板温度を850℃に下げ、7原子層数のノン
ドープIn0.52Ga0.48Nの量子井戸層33と、層厚3
nmのノンドープIn0.15(Ga0.95Al0.05)0.85N
の障壁層34とで、周期数3(量子井戸層×3、障壁層
×2)の多重量子井戸構造の発光層35、層厚50nm
のMgドープp型Al0.2Ga0.8NのInGaN蒸発防
止層36を順次成長させる。次に基板温度を1050℃
まで上げて層厚0.1μmのMgドープGaN光ガイド
層37、層厚0.5μmのMgドープp型Al0.1Ga
0.9Nクラッド層38、0.5μmのMgドープp型G
aN層39を成長させる。次に、Siドープn型GaN
層30及びGaNのバッファ層29及びn型SiC基板
28が露出するまでエッチングを行い、その表面にn型
電極40を蒸着し、Mgドープp型GaN39の表面に
p型電極41を蒸着する。次に、劈開にて長さ1mmの
共振器を作製し、チップに分割し半導体レーザ素子とし
た。この半導体レーザ素子は閾値電流100mAで室温
パルス発振(最大出力5mW)し、発振波長は520n
mの緑色であった。
態よりなる半導体発光素子の略断面図を図5に示す。こ
の場合、半導体発光素子の成長にはガスソースMBE法
(分子線エピタキシー法)を使用する。III族分子線
源としてGa金属、In金属、Al金属を使用し、V族
分子線源としてNH3 または窒素ガスの分解により生成
した窒素ラジカルを使用する。分解は、RF(Radi
o Frequency)プラズマ、ECR(Elec
tron Cycltron Resonance)プ
ラズマまたは熱クラッキングの手法を使用する。n型ド
ーパントとしてSiをp型ドーパントとしてMgを使用
する。
で900℃で熱クリーニングした後、基板温度を700
℃まで下げて層厚2μmのSiドープn型GaN層4
3、層厚0.5μmのSiドープn型Al0.1Ga0.9N
クラッド層44、層厚50nmのSiドープGaN光ガ
イド層45、5原子層数のノンドープIn0.35Ga0.65
Nの発光層(単―量子井戸構造)46を順次成長させ
る。次に層厚50nmのMgドープGaN光ガイド層4
7、層厚0.5μmのMgドープp型Al0.1Ga0.9N
クラッド層48、層厚0.5μmのMgドープp型Ga
N層49を成長させる。次に、Mgドープp型GaN層
49及びMgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4
8の一部をエッチングし、幅5μmのリッヂ導波路を形
成する。次に、窒化シリコン膜(Si3N4)の絶縁膜5
0を形成する。リッヂストライプ部上の窒化シリコン膜
(Si3N4)の絶縁膜50を除去する。n型GaN基板
42の裏面の研磨を行う。次に、n型GaN層42裏面
にn型電極51を蒸着し、リッヂストライプ部のMgド
ープp型GaN層49の表面にp型電極52を蒸着す
る。次に、劈開にて1mmの共振器を作製し、チップに
分割し半導体レーザ素子とする。
A、発振波長470nmで室温連続発振し、室温におけ
る出力1.5mWの寿命は50時間であった。駆動電流
を50mAから100mAに変化させた場合の発振波長
のシフトは0.5nm以下、同一ウエハにおける発振波
長の分布は5nm以下であった。従来例では、閾値電流
80mA、寿命は27時間、発振波長のピークシフトは
5nmであった。本発明により駆動電流の低減がはか
れ、長寿命で発振波長の安定な素子が実現できた。
体を発光層とする半導体発光素子において、本発明のよ
うに、発光層のうちの光を生じさせる層を3原子層数乃
至10原子層数の層厚とすると、量子ドットの発生が低
減され、非発光再結合が低減できる。さらに、発光層の
薄層化により他の層及び基板との格子定数差による歪み
緩和が発生せず、非発光再結合が低減できる。その結
果、ウエハ面内で均一な発光波長を持ち、且つ発光波長
の注入電流依存性が小さく、発光効率が高く、寿命の長
い青色、青緑色、緑色、黄緑色の半導体発光素子を得る
ことができる。
子の略断面図である。
子の略断面図である。
子の略断面図である。
子の略断面図である。
子の略断面図である。
関し、膜厚約5nmのノンドープInXGa1-XNの発光
層を用い、発光層のIn組成を変化させたときの発光層
全面積に対する低電流駆動時における発光面積の比率を
示す図である。
関し、発光層InXGa1-XNの原子層数に対する発光面
積の減少比率の変化を示す図である。
関し、InX(Al0.02Ga0.98)1-XNを発光層を持つ
発光素子のInの組成比をパラメータとして、発光層の
原子層数と素子の発光強度との関係を示す。
光素子の略断面図である。
発光素子において、活性層の厚さと発光ピーク波長との
関係を示し図である。
層(発光層) 5 層厚50nmのMgドープp型Al0.2Ga0.8Nの
InGaN蒸発防止層 6 層厚0.5μmのMgドープp型GaN層 7 n型電極 8 p型電極 9 サファイアA面基板 10 層厚30nmのGaNのバッファ層 11 層厚2μmのSiドープn型GaN層 12 2原子層のノンドープIn0.6Ga0.4Nの量子井
戸層 13 3原子層のノンドープIn0.4Ga0.6Nの障壁層 14 周期数4(井戸層×4、障壁層×3)の多重量子
井戸構造の発光層 15 層厚0.5μmのMgドープp型GaN層 16 n型電極 17 p型電極 18 n型SiC基板 19 層厚40nmのノンドープAlNのバッファ層 20 層厚4μmのSiドープn型GaN層 21 層厚50nmのSiドープn型Al0.1Ga0.9N
クラッド層 22 4原子層のSiドープn型In0.65Ga0.35Nの
量子井戸層(単―半導体層) 23 層厚50nmのMgドープp型Al0.1Ga0.9N
クラッド層 24 層厚0.5μmのMgドープp型GaN層 25 n型電極 26 p型電極 28 n型SiC基板 29 層厚30nmのGaNのバッファ層 30 層厚4μmのSiドープn型GaN層 31 層厚0.5μmのSiドープn型Al0.1Ga0.9
Nクラッド層 32 層厚0.1μmのSiドープGaN光ガイド層 33 7原子層のノンドープIn0.52Ga0.48Nの量子
井戸層 34 層厚3nmのノンドープIn0.15(Ga0.95Al
0.05)0.85Nの障壁層 35 周期数3(量子井戸層×3、バリア層×2)の多
重量子井戸構造の発光層 36 層厚50nmのMgドープp型Al0.2Ga0.8N
のInGaN蒸発防止層 37 層厚0.1μmのMgドープGaN光ガイド層 38 層厚0.5μmのMgドープp型Al0.1Ga0.9
Nクラッド層 39 0.5μmのMgドープp型GaN層 40 n型電極 41 p型電極 42 n型GaN基板 43 層厚2μmのSiドープn型GaN層 44 層厚0.5μmのSiドープn型Al0.1Ga0.9
Nクラッド層 45 層厚50nmのSiドープGaN光ガイド層 46 5原子層のノンドープIn0.35Ga0.65Nの発光
層(単―量子井戸層) 47 層厚50nmのMgドープGaN光ガイド層 48 層厚0.5μmのMgドープp型Al0.1Ga0.9
Nクラッド層 48 Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層 49 層厚0.5μmのMgドープp型GaN層 50 窒化シリコン膜(Si3N4)の絶縁膜 51 n型電極 52 p型電極
Claims (10)
- 【請求項1】 III−V族窒化物半導体を発光層とす
る半導体発光素子において、前記 発光層が多重量子井戸構造であり、前記多重量子井戸構造を構成する 単位量子井戸層が3原
子層数乃至10原子層数の層厚であり、単位量子井戸層
に含まれるIII族元素のInの組成比が35%以上か
つ65%以下であり、 前記多重量子井戸構造を構成する障壁層がIn X Ga 1-X
N(0.35≦X≦0.65)である ことを特徴とする
半導体発光素子。 - 【請求項2】 III−V族窒化物半導体を発光層とす
る半導体発光素子において、前記発光層が多重量子井戸構造であり、 前記多重量子井戸構造を構成する単位量子井戸層が3原
子層数乃至10原子層数の層厚であり、 単位量子井戸層
に含まれるIII族元素のInの組成比が35%以上か
つ65%以下であり、 前記多重量子井戸構造を構成する障壁層がIn X Ga 1-X
N(X≦0.35) であることを特徴とする半導体発光
素子。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の半導体発
光素子において、前記 発光層がInXGa1-XN(0.35≦X≦0.6
5)であることを特徴とする半導体発光素子。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の半導体発
光素子において、前記 発光層がInX(AlYGa1-Y)1-XN(0<Y≦
1.0、0.35≦X≦0.65)であることを特徴と
する半導体発光素子。 - 【請求項5】 III−V族窒化物半導体を発光層とす
る半導体発光素子において、前記発光層が単一半導体層構造、単一量子井戸構造また
は多重量子井戸構造であり、 前記単一半導体層構造を構成する単一半導体層または前
記単一量子井戸構造もしくは多重量子井戸構造を構成す
る単位量子井戸層が3原子層数乃至10原子層数の層厚
であり、単一半導体層または単位量子井戸層がIn
X (Al Y Ga 1-Y ) 1-X N(0<Y≦1.0、0.35≦
X≦0.65) であることを特徴とする半導体発光素
子。 - 【請求項6】 請求項5記載の半導体発光素子におい
て、前記発光層が多重量子井戸構造であり、 前記 多重量子井戸構造を構成する障壁層がIn X Ga 1-X
N(0.35≦X≦0.65)であることを特徴とする
半導体発光素子。 - 【請求項7】 請求項5記載の半導体発光素子におい
て、前記発光層が多重量子井戸構造であり、 前記 多重量子井戸構造を構成する障壁層に含まれるII
I族元素のInの組成比が35%以下であることを特徴
とする半導体発光素子。 - 【請求項8】 請求項7記載の半導体発光素子におい
て、前記 多重量子井戸構造を構成する障壁層がInXGa1-X
N(X≦0.35)であることを特徴とする半導体発光
素子。 - 【請求項9】 III−V族窒化物半導体を発光層とす
る半導体発光素子において、前記発光層が多重量子井戸構造であり、 前記多重量子井戸構造を構成する単位量子井戸層が3原
子層数乃至10原子層数の層厚であり、単位量子井戸層
に含まれるIII族元素のInの組成比が35%以上か
つ65%以下であり、 前記 多重量子井戸構造を構成する障壁層がInX(AlY
Ga1-Y)1-XN(0<Y≦1.0、0.35≦X≦0.
65)である、または、前記多重量子井戸構造を構成す
る障壁層に含まれるIII族元素のInの組成比が35
%以下であることを特徴とする半導体発光素子(ただ
し、単位量子井戸層がIn 0.35 Ga 0.65 Nであるものを
除く)。 - 【請求項10】 請求項9記載の半導体発光素子におい
て、 前記発光層がIn X Ga 1-X N(0.35≦X≦0.6
5)であることを特徴と する半導体発光素子。
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