JP3385144B2 - 跳上げシートのロック装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はバン、ワンボックス
カーと称される自動車に装着されるセカンドシート、サ
ードシートのロック装置、詳しくは、前後方向に長い長
尺状のロアレールと、このロアレールに摺動自在に嵌合
するアッパーレールとからなるシートの前後位置調整用
のスライドレールに、シートクッションを跳上げ可能に
取付けると共に、リクライニング装置によりシートバッ
クを傾動可能に取付けてなる跳上げシートにおけるロッ
ク装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の、例えばセカンドシートには、フ
ロントシートの近端近傍とサードシートの前端近傍との
間の車床に長尺状のロアレール（ロングロアレール）を
固設して、セカンドシートをフロントシート、サードシ
ートの近傍まで移動させた後、シートクッションを起立
状のシートバック方向に跳上げることにより、セカンド
シートとフロントシート間、或いはセカンドシートとサ
ードシート間における前後の間隔を広くして、そのスペ
ースを荷台等に有効に利用できるようにしたものがあ
る。

【０００３】ところで、前記セカンドシートにおけるシ
ートクッションの跳上げは、シートクッションがロング
ロアレールにおける所定位置以上に前方又は後方に移動
した場合のみに行うことができるように規制されてい
る。この規制手段はロングロアレールに沿って別のサブ
レールを設け、このサブレールと、このサブレールに対
応するアッパーレール、シートクッション側に跳上げを
規制する装置を設けた構造である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って、従来品はロン
グロアレールに沿って設けたロングロアレールと別のサ
ブレールと、このサブレールに対応するアッパーレー
ル、シートクッションとに、シートクッションの跳上げ
を防止するロック装置を設けているため、構造が複雑で
スライドレール自体が大きくなり且つ重量増を招く不具
合があった。

【０００５】そこで、本発明は跳上げシートの跳上げ状
態において、シートクッションの跳上げ状態を保持し且
つシートバックの後倒を防止し得るロック装置をコンパ
クト化することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めの本発明に係る跳上げシートのロック装置は、車床側
のロングロアレールにアッパーレールを前後方向に摺動
自在に嵌合し、アッパーレールにサイドブラケットを一
体に締結し、左右のサイドブラケット間にシートクッシ
ョンを回転軸によってシートバック方向に跳上げ可能に
軸着し且つ前記サイドブラケットにシートバックをリク
ライニング装置によって移動可能に取付けてなる跳上げ
シートにおいて、前記シートクッションには、前記回転
軸に近設する位置にストッパピンを突設し、前記シート
バック側に設けたリクライニング装置の操作レバーにケ
ーブルの一端を連結すると共にシートバック側にシート
バックと共に前後に回動する回転規制プレートを固設
し、前記サイドブラケットには、前記ストッパピンが摺
動する円弧状の長孔と、ピンにより上下方向に摺動自在
にサイドブラケットに枢着しばねの弾力により後部が上
方に付勢されているチップアップレバーと、このチップ
アップレバーの後部に上下方向に揺動自在に取付け後部
側に有するストッパが前記回転規制プレートに接合する
ストッパ付リンクと、前記回転軸とストッパピンとの間
に設けると共に前記ケーブルの他端を連結してなるリン
クプレートとを設け、前記アッパーレールにはロアレー
ルの底面方向に上下方向に回動自在に軸着しバネにより
下方に付勢されストッパピンが係合する係合凹部とスト
ッパピンが突き当たる凸部とを有するラッチを設け、前
記ロアレールにはその底面における前後方向の所定位置
にラッチの下端が下方に突出する規制孔を開設してなる
ことを特徴とするものである。

【０００７】シートを前方又は後方に移動してロングロ
アレールの所定位置に到達すると、アッパーレールに設
けたラッチがロングロアレールの底面に設けた規制孔に
落ち込み停止する。そして、ばねの弾力に抗してチップ
アップレバーを下方に引くと、ストッパピンがチップア
ップレバーの係合切欠部から脱出するため、シートクッ
ションをシートバック方向に跳上げることができる。

【０００８】このシートクッションの跳上げにより、ラ
ッチの係合凹部にストッパピンが係合するためラッチを
上方に回動しチップアップレバーの係合切欠部にストッ
パピンが係合する。従って、規制レバーがバネの弾力に
抗して上方に回動して規制孔から上方に脱出しチップア
ップレバーの戻りにより、チップアップレバーの先端部
がストッパピンに係合しシートクッションを跳上げ状態
にロックする。従って、シートを更に前方又は後方に移
動することにより、ラッチがロングロアレール内を移動
し、ロングロアレールの底面に突き当たっているためラ
ッチは回動できず、チップアップレバーを操作しても、
ラッチの係合凹部に係合状態のストッパピンは規制レバ
ーから脱出することがない。従って、チップアップレバ
ーの操作によるシートクッション（ＳＣ）の倒伏操作が
不可能となる。

【０００９】また、シートクッション（ＳＣ）の跳上げ
によりケーブルが緊張しリクライニング装置（Ｒ）の操
作レバー（１０３）がロックされるため、シートクッシ
ョン（ＳＣ）の跳上げ状態でシートバック（ＳＢ）の後
倒操作が不可能となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づいて説明する。図示するものはフロントシート
とサードシート間に配設するセカンドシートのロック装
置を示す。図１は本発明に係るロック装置の分解図で、
図中（１）はシートクッション（ＳＣ）の左右両側に配
設してシートクッション（ＳＣ）を跳上げ可能に回転軸
（３）により軸着すると共にシートバック（ＳＢ）を傾
動可能に取付けるサイドブラケットで、この左右のサイ
ドブラケット（１）にはシートクッション（ＳＣ）の回
転軸（３）挿通用の挿通孔（１０）と、シートクッショ
ン（ＳＣ）の回転軸（３）に対して後下方に突出するス
トッパピン（９）が摺動する円弧状の長孔（１１）が開
孔され、この長孔（１１）の後方にはピン（１２）が突
設されている。

【００１１】従って、シートクッション（ＳＣ）は回転
軸（３）を回転中心に、シートバック方向に跳上げら
れ、ストッパピン（９）が長孔（１１）の最上端位置に
おいてシートクッション（ＳＣ）が使用状態になり、最
下端位置において跳上げ状態になるように構成されてい
る。従って、このシートクッション（ＳＣ）を跳上げて
前方に移動することによりシートの前後方向の幅が狭く
なり、そのシートの後方のスペースが拡大する。

【００１２】以上の一方のサイドブラケット（１）には
図示するが如く、シートクッション（ＳＣ）の跳上げ状
態を保持する跳上げロック装置と、シートクッションの
跳上げ状態でシートバックの後倒を防止するシートバッ
クの後倒防止ロック装置が装着されている。以上の跳上
げロック装置は図７に示すように、シートを矢印の如
く、所定位置（Ｎ）に対して前方である跳上げ領域
（Ａ）に移動した際に、起立状に跳上げたシートクッシ
ョン（ＳＣ）が倒伏して使用状態とならぬようにロック
するものである。シートバック（ＳＢ）の後倒防止ロッ
ク装置は跳上げ領域（Ａ）においてシートバック（Ｓ
Ｂ）のリクライニング装置のロック解除用操作レバーを
操作しても、シートバック（ＳＢ）が後倒しないよう
に、また、シートバック（ＳＢ）が後倒した状態でシー
トクッション（ＳＣ）が跳上げできないようにロックす
るものである。即ち、シートが跳上げ領域において誤っ
て着座することができないようにシートクッション（Ｓ
Ｃ）、シートバック（ＳＢ）の形態を一定に保持するも
のである。

【００１３】そして、所定位置（Ｎ）の後方である着座
領域（Ｂ）においては、シートクッション（ＳＣ）を図
２に示すように跳上げ操作が可能に、また、シートバッ
ク（ＳＢ）がリクライニング装置により自由に傾動でき
るように構成されている。

【００１４】なお、以上の所定位置（Ｎ）とは前席であ
るフロントシートとの間に一定のスペースを有し着座者
が正常に着座し得るシートの最前位置をいう。そして、
この所定位置（Ｎ）より後方位置を、着座者が正常な状
態でシートに着座してシートの前後位置を調節できる着
座領域（Ａ）とし、所定位置（Ｎ）から、ロングロアレ
ール（９）の最先端までを跳上げ領域（Ａ）とし、この
跳上げ領域（Ａ）がシートクッション（ＳＣ）を跳上げ
てその後方スペースを拡大し得る位置であり、フロント
シートとの間にシートクッション（ＳＣ）に正常に着座
するスペースが存在しない前後方向の位置である。

【００１５】跳上げロック装置はサイドブラケット
（１）に取付けられるチップアップレバー（２）と、ア
ッパーレール（６）に取付けられるラッチ（４）と、ロ
ングロアレール（７）の底面に固設される規制孔（５）
などから構成されている。

【００１６】チップアップレバー（２）はサイドブラケ
ット（１）のピン（１２）に、ピン（１２）を中心に前
部と後部が上下方向に揺動自在に軸着し後部側に操作ノ
ブ（２４）、前部側にストッパピン（９）を掛止する係
合切欠部（２１）（２２）を有し、ばね（２３）の弾力
によって後部側を上方に付勢するように取付けられてい
る。

【００１７】また、前記ストッパピン（６）が係合する
係合切欠部（２１）は下端縁側に、また、係合切欠部
（２２）は先端縁に夫々切欠形成され、係合切欠部（２
１）はシートクッション（ＳＣ）の着座状態のロック
用、前側の係合切欠部（２２）は、跳上げ状態のシート
クッション（ＳＣ）のロック用として使用する。

【００１８】そして、このチップアップレバー（２）の
後端にはシートバック（ＳＢ）の後倒防止ロック装置を
構成するストッパ（８３）付のリンク（８４）が連結さ
れている。

【００１９】ラッチ（４）は下端に一体に固着した係止
ピン（４２）と、ストッパピン（９）が突き当たる当接
部（４５）と、ストッパピン（９）が係合する係合凹部
（４１）と、回転規制ストッパ部（３３）とを有するプ
レートで、アッパーレール（６）に取付けられている。
図中（４３）はピン（６２）挿通用の通孔を示す。

【００２０】ラッチ（４）はアッパーレール（６）の垂
直部（６０Ｂ）と、この垂直部（６０Ｂ）に溶接した支
持プレート（６１）との間に介在し、上下方向にピン
（６２）で回動自在に軸着され、バネ（４０）の弾力に
より下方に付勢されている。図中（６２Ａ）はピン（６
２）挿通孔を示す。そして、このラッチ（４）の係合凹
部（４１）は係止ピン（４２）が下方に移動した際に、
ストッパピン（９）が入り込むように構成されている。

【００２１】また、以上のラッチ（４）の下端に設けた
係止ピン（４２）は、ロングロアレール（７）の底面に
前記バネ（４０）の弾力により接合し、ロングロアレー
ル（７）のロック孔（７１）…に落ち込むことがないよ
うに左右方向に長く形成されている。そして、このラッ
チ（４）の当接部（４５）、係合凹部（４１）はロアレ
ール（７）よりサイドブラケット（１）の切欠部（１
３）から上方に突出するように配設されている。図中
（１３Ａ）はラッチ（４）の回動を規制する規制部を示
す。

【００２２】そして、ラッチ（４）内にはコイルバネか
らなるバネ（４０）が装着され、このバネ（４０）の一
端は、アッパーレール（８）に掛止されているため、ラ
ッチ（４）は常にバネ（４０）の弾力により下方に付勢
されている。

【００２３】アッパーレール（６）は、前記サイドブラ
ケット（１）に一体に締結され、車床に固定したロング
ロアレール（７）内を前後方向に摺動自在に嵌合されて
いる。図中（６０Ａ）はアッパーレール（６）の取付
部、（６０Ｂ）はロングロアレール（７）内に下部が嵌
合する垂直部を示す。前記ラッチ（４）はサイドブラケ
ット（１）の長孔（１１）下方における上部が切欠され
ている垂直部（８０Ｂ）と、支持プレート（６１）との
間に取付けられている。図中（６１Ａ）はラッチ（４）
を上方に回動した際に、係止ピン（４２）が入り込む切
欠、（６３）はローラーを示す。

【００２４】ロングロアレール（７）は、フロントシー
トとサードシート間の車床内に埋設した長尺状のレール
で、底部には多数のアッパーレール（８）をロックする
多数のロック孔（７１）…が定間隔あけて設けてあり、
外部に露出する上面には合成樹脂製カバー（７２）が一
体に固設されている。図中（７０）はロングロアレール
（７）の底面を示す。

【００２５】そして、このロングロアレール（７）の前
部底面である前記跳上げ領域（Ａ）と着座領域（Ｂ）と
の間の所定位置（Ｎ）にロック孔（７１）に対して大径
で、係止ピン（４２）が落ち込む規制孔（５）が開孔さ
れている。

【００２６】シートバック（ＳＢ）の後倒防止ロック装
置は、サイドブラケット（１）における回転軸（３）と
ストッパピン（９）との間に架設したリンクプレート
（８０）と、前記ストッパ（８３）付リンク（８４）
と、シートバック（ＳＢ）側に設けたリクライニング装
置（Ｒ）の操作レバー（１０３）と前記リンクプレート
（８０）とを連結するケーブル（８２）と、シートバッ
ク（ＳＢ）の後側と共に回動する回転規制プレート（８
１）とから構成されている。

【００２７】リンクプレート（８０）はその長さ方向の
略中間に連結ピン（８０Ｃ）が突設され、この連結ピン
（８０Ｃ）がケーブル（８２）の端部に設けた連結プレ
ート（８２Ａ）の長孔内に挿入されている。図中（８０
Ａ）はリンクプレート（８０）における回転軸挿通用の
通孔、（８０Ｂ）は同ストッパピン挿通孔を示す。

【００２８】ストッパ（８３）付のリンク（８４）は、
略く字状に折曲され、リクライニング装置のロアブラケ
ット（１０１）に突設した枢支ピン（８５）に揺動自在
に枢支され、先端が前記チップアップレバー（２）にピ
ン（８４Ｂ）によって連結され、他端にピンによってス
トッパ（８３）が連結されている。図中（８４Ａ）は枢
支ピン（８５）の挿通孔を示す。

【００２９】ストッパ（８３）はロアブラケット（１０
１）に設けたガイド片（８６）（８６）に貫通されてお
り、ガイド片（８６）（８６）を通して回転規制プレー
ト（８１）方向に向けて前進、後退するように構成され
ている。

【００３０】即ち、ばね（２３）の弾力によってチップ
アップレバー（２）の後部が上方に付勢されている際に
は、リンク（８４）は枢支ピン（８５）を中心に上下方
向に揺動自在に取付けられているため、リンク（８４）
の後部側に連結されているストッパ（８３）は回転規制
プレート（８１）に対して離れる方向に後退している。

【００３１】そして、ばね（２３）の弾力に抗してチッ
プアップレバー（２）の後部に設けた操作ノブ（２４）
を下方に押すと、リンク（８４）の後部が上方に回動し
てストッパピン（８３）が回転規制プレート（８１）方
向に前進して先端が回転規制プレート（８１）の端縁に
接合する。

【００３２】図示するリクライニング装置（Ｒ）は、ロ
ック解除用の操作レバー（１０３）をシートバック側の
アッパーブラケット（１０２）に設け、ロアブラケット
（１０１）をサイドブラケット（１）の後部に一体に締
結し、このロアブラケット（１０１）にセクターギャ
（１００）を設け、このセクターギャ（１００）に噛合
するロックアーム（１０４）をアッパーブラケット（１
０２）に設けてロックアーム（１０４）のセクターギャ
（１００）に対する係脱を操作レバー（１０３）の操作
で行うようにしたものである。

【００３３】以上のアッパーブラケット（１０２）にロ
アブラケット（１０１）は回転軸（１０５）によって連
結され、回転軸（１０５）を回転中心にアッパーブラケ
ット（１０２）は前後方向に回動してシートバック（Ｓ
Ｂ）を傾動する。図中（１００Ａ）はセクターギャ（１
００）のギャ、（１００Ｂ）は回転軸（１０５）の通
孔、（１０３Ａ）は操作レバー（１０３）の枢支ピン、
（１０４Ａ）はロックアーム（１０４）のギャを夫々示
す。

【００３４】以上の操作レバー（１０３）は矢印方向に
回動操作することにより、ロックアーム（１０４）がセ
クターギャ（１００）から離脱してシートバック（Ｓ
Ｂ）のサイドブラケット（１）に対するロック状態が解
除され、この操作レバー（１０３）の後部側に設けた突
起（１０３Ｂ）にケーブル（８２）の一端部（８２Ｂ）
が連結されている。

【００３５】回転規制プレート（８１）は円盤状に形成
され、アッパーブラケット（１０２）に一体に締結さ
れ、回転軸（１０５）を回転中心に回転し、周縁には凸
部（８１Ａ）と凹部（８１Ｃ）が形成されている。この
凸部（８１Ａ）は前記ストッパ（８３）が後退時に、ス
トッパ（８３）の先端が接合又は近接する大きさに形成
されている。また、凹部（８１Ｃ）はストッパ（８３）
の前進時にストッパ（８３）の先端が接合又は近接する
ように形成されている。図中（８１Ｂ）は回転軸挿通孔
を示す。

【００３６】図２は着座領域（Ｂ）におけるシートバッ
ク（ＳＢ）とシートクッション（ＳＣ）のロック状態を
示し、シートバック（ＳＢ）はリクライニング装置
（Ｒ）によりサイドブラケット（１）にロックされ、操
作レバー（１０３）をばね（１０７）の弾力に抗して矢
印方向に引くとロックが解除され、所定の傾動角度が得
られるようになっている。図中（１０６）はリターンス
プリングを示す。

【００３７】このシートバック（ＳＢ）を後倒する際
に、同時に回転規制プレート（８１）も回動するが、サ
イドブラケット（１）側のストッパ（８３）に回転規制
プレート（８１）が突き当たることがないため、シート
バック（ＳＢ）は自由に後倒できる。また、操作レバー
（１０３）に一端部を連結するケーブル（８２）は、長
孔付の連結プレート（８２Ａ）を介してリンクプレート
（８０）に連結されているため、ケーブル（８２）によ
って操作レバー（１０３）の回動操作が規制されない。

【００３８】一方に、シートクッション（ＳＣ）はスト
ッパピン（９）がチップアップレバー（２）の係合切欠
部（２１）に係合することによりロックされ、この係合
状態（ロック状態）はチップアップレバー（２）の後部
を上方に付勢するばね（２３）の弾力により保持されて
いる。また、このばね（２３）の弾力により、リンク
（８４）の前部側が上方に付勢されているため、リンク
（８４）の後部側に設けたストッパ（８３）は後退して
おり、前述の如く、回転規制プレート（８１）の回転が
規制されない。

【００３９】そして、アッパーレール（６）と一体のサ
イドブラケット（１）とは、アッパーレール（６）に設
けたラッチ（４）がバネ（６２）の弾力で下方に押圧さ
れているため、ラッチ（４）の係止ピン（４２）はロア
レール（７）の底面に接合している。

【００４０】従って、アッパーレール（６）はロングロ
アレール（７）内を着座領域（Ｂ）内において前後に摺
動してその前後位置を調節できるが、前方に摺動させた
際にラッチ（４）の係止ピン（４２）はロングロアレー
ル（７）の規制孔（５）内に落ち込み停止する。この位
置が前記所定位置（Ｎ）である。

【００４１】なお、アッパーレール（６）はスライドレ
ールのロック装置（不図示）により、ロングロアレール
（７）にロックされ、アッパーレール（６）に設けたロ
ック歯が図１に示すロック孔（７１）に挿入することに
より所定の前後位置にロックされる。

【００４２】図３は着座領域（Ｂ）においてシートバッ
ク（ＳＢ）を後倒した場合を示し、シートバック（Ｓ
Ｂ）の後倒に伴い回転規制プレート（８１）が回動して
回転規制プレート（８１）の凸部（８１Ａ）がストッパ
（８３）の先端に位置する。従って、この状態でシート
クッション（ＳＣ）を跳上げてシートを跳上げ領域
（Ａ）に移動しようとしても、ストッパ（８３）が回転
規制プレート（８１）の凸部（８１Ａ）に突き当たって
いるため、チップアップレバー（２）が作動できない。

【００４３】そのため、図２に示すように、シートバッ
ク（ＳＢ）を前方に起立状に戻して回転規制プレート
（８１）の凹部（８１Ｃ）がストッパ（８３）の先端方
向に位置した状態にしなければならない。即ち、シート
バック（ＳＢ）を後倒した状態で、シートクッション
（ＳＣ）を跳上げることができないし、また、シートバ
ック（ＳＢ）を後倒した状態で跳上げ領域（Ａ）に移動
することができないようにしている。

【００４４】図４はチップアップレバー（２）を操作し
てシートクッション（ＳＣ）を跳上げる状態を示し、こ
のシートクッション（ＳＣ）の跳上げはシートを前進さ
せて所定位置（Ｎ）において移動した際に行うことがで
きる。即ち、シートが所定位置（Ｎ）に位置すると、ラ
ッチ（４）の係止ピン（４２）がロングロアレール
（７）の規制孔（５）に落ち込み係合凹部（４１）がス
トッパピン（９）方向に回動する。その状態でばね（２
３）の弾力に抗してチップアップレバー（２）の操作ノ
ブ（２４）を下方向に押すと、チップアップレバー
（２）はピン（１２）を回転中心に回転し、前部側が上
方に移動するため、ストッパピン（９）を係止している
チップアップレバー（２）の係合部切欠部（２１）が、
ストッパピン（９）から離脱すると共にストッパ（８
３）が矢印方向に前進して回転規制プレート（８１）の
凹部（８１Ｃ）に接合する。従って、シートクッション
（ＳＣ）のサイドブラケット（１）に対するロック状態
が解除されると共にシートバック（ＳＢ）をリクライニ
ング装置（Ｒ）により後倒しても、回転規制プレート
（８１）の凸部（８１Ａ）にストッパ（８３）が突き当
たるため、シートバック（ＳＢ）の後倒角度も一定範囲
内に規制される。

【００４５】然る後、シートクッション（ＳＣ）の前部
側を上方に持ち上げると、シートクッション（ＳＣ）は
回転軸（３）を回転中心に回転して図５に示すように起
立状に跳上げられる。

【００４６】このシートクッション（ＳＣ）の跳上げに
より、ストッパピン（９）が回動してラッチ（４）の係
合凹部（４１）に入り、ラッチ（４）がバネ（４０）の
弾力に抗して上方に回動する。それに伴って、ラッチ
（４）の係止ピン（４２）が上方に移動して規制孔
（５）より脱出するため、シートは跳上げ領域（Ａ）に
移動可能な状態となる。

【００４７】また、ストッパピン（９）の回動によりリ
ンクプレート（８０）も同時に回動し、リンクプレート
（８０）の連結ピン（８０Ｃ）が前方に移動する。従っ
て、ケーブル（８２）は緊張状態になり、リクライニン
グ装置（Ｒ）の操作レバー（１０３）を矢印方向に操作
してシートバック（ＳＢ）のロック状態を解除してシー
トバック（ＳＢ）を後倒しようとしても操作レバー（１
０３）はケーブル（８２）に引張られているため、操作
レバー（１０３）の操作ができず、シートバック（Ｓ
Ｂ）のロックを解除して後倒することができない。

【００４８】そして、ばね（２３）の弾力でチップアッ
プレバー（２）を元の状態に戻すと、ストッパピン
（９）にチップアップレバー（２）の係合切欠部（２
２）が係合し、跳上げ状態のシートクッション（ＳＣ）
をロックする。

【００４９】そこで、図５の状態でスライドレールのロ
ック装置によりアッパーレール（６）のロングロアレー
ル（７）に対するロックを解除して、シートを所定位置
（Ｎ）から跳上げ領域（Ａ）に移動する。この移動によ
り、図７鎖線に示すように、シートクッション（ＳＣ）
が跳上げられて、シートの前後幅が狭くなっているた
め、シートの後方のスペースが拡大し、荷台等として有
効に利用可能となる。なお、跳上げ領域（Ａ）に移動後
はスライドレールのロック装置によりアッパーレール
（６）はロングロアレール（７）にロックされる。

【００５０】この跳上げ領域（Ａ）において、図６に示
すように、跳上げられシートクッション（ＳＣ）は倒伏
して着座状態に戻ることなく、また、シートバック（Ｓ
Ｂ）も後倒できないように構成されている。

【００５１】即ち、ラッチ（４）の係止ピン（４２）が
ロングロアレール（７）の底面（７０）に接合し、回動
できない。従って、チップアップレバー（２）の操作を
してもラッチ（４）が回動せず、ストッパピン（９）が
ラッチ（４）の係合凹部（４１）から脱出することがな
いため、シートクッション（ＳＣ）を前方に倒して着座
可能な状態とすることが不可能となる。

【００５２】また、シートバック（ＳＢ）はリクライニ
ング装置（Ｒ）の操作レバー（１０３）に連結するケー
ブル（８２）が緊張状態であるため、操作レバー（１０
３）を矢印方向に操作してリクライニング装置（Ｒ）の
ロック状態を解除できないため、起立状態のシートバッ
ク（ＳＢ）を後倒してそのシートバック（ＳＢ）に後向
きに着座するなどの行為ができないようになる。

【００５３】

【発明の効果】本発明によれば、ロングロアレールに摺
動自在に嵌合するアッパーレールと一体の跳上げシート
は、シートクッションの跳上げ状態でシートバックのリ
クライニング操作が不能で起立状にロックされると共に
跳上げ状態のシートクッションの使用状態への変更操作
も不可能でロックされる。そのため、シートの非使用状
態でのロックが確実になりシートクッションの跳上げ状
態でのシートをシートとして着座することが困難となり
誤ってシートに不安定に着座する虞れが全くない。加え
て、構造が簡単であり、ロック装置全体がコンパクトに
なり軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の分解斜視図である。

【図２】着座状態の部分切欠側面図である。

【図３】着座状態でシートバックを後倒した状態の部分
切欠側面図である。

【図４】チップアップレバーを操作した状態の部分切欠
側面図である。

【図５】シートクッションの跳上げ時における部分切欠
側面図である。

【図６】シートクッションの跳上げ状態の部分切欠側面
図である。

【図７】跳上げシートの作動状態を示す説明図である。

【符号の説明】

ＳＣ シートクッション ＳＢ シートバック Ｒ リクライニング装置 １ サイドブラケット ２ チップアップレバー ３ シートクッションの回転軸 ４ ラッチ ５ 規制孔 ６ アッパーレール ７ ロングロアレール ９ ストッパピン ８０ リンクプレート ８１ 回転規制プレート ８２ ケーブル ８３ ストッパ ８４ リンク １０３ リクライニング装置の操作レバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60N 2/00 - 2/72 A47C 7/56

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車床側のロングロアレールにアッパーレ
   ールを前後方向に摺動自在に嵌合し、アッパーレールに
   サイドブラケットを一体に締結し、左右のサイドブラケ
   ット間にシートクッションを回転軸によってシートバッ
   ク方向に跳上げ可能に軸着し且つ前記サイドブラケット
   にシートバックをリクライニング装置によって移動可能
   に取付けてなる跳上げシートにおいて、 前記シートクッションには、前記回転軸に近設する位置
   にストッパピンを突設し、 前記シートバック側に設けたリクライニング装置の操作
   レバーにケーブルの一端を連結すると共にシートバック
   側にシートバックと共に前後に回動する回転規制プレー
   トを固設し、 前記サイドブラケットには、前記ストッパピンが摺動す
   る円弧状の長孔と、ピンにより上下方向に摺動自在にサ
   イドブラケットに枢着しばねの弾力により後部が上方に
   付勢されているチップアップレバーと、このチップアッ
   プレバーの後部に上下方向に揺動自在に取付け後部側に
   有するストッパが前記回転規制プレートに接合するスト
   ッパ付リンクと、前記回転軸とストッパピンとの間に設
   けると共に前記ケーブルの他端を連結してなるリンクプ
   レートとを設け、 前記アッパーレールにはロアレールの底面方向に上下方
   向に回動自在に軸着しバネにより下方に付勢されストッ
   パピンが係合する係合凹部とストッパピンが突き当たる
   凸部とを有するラッチを設け、 前記ロアレールにはその底面における前後方向の所定位
   置にラッチの下端が下方に突出する規制孔を開設してな
   ることを特徴とする跳上げシートのロック装置。
2. 【請求項２】 前記チップアップレバーにはストッパピ
   ンがシートクッションの着座状態、跳上げ状態で係合す
   る係合切欠部を設けてなる請求項１記載の跳上げシート
   のロック装置。
3. 【請求項３】 前記規制孔はアッパーレールをロアレー
   ルにロックするロック孔に対して大径に形成してなる請
   求項１記載の跳上げシートのロック装置。
4. 【請求項４】 前記回転規制プレートにおけるストッパ
   が突き当たる端縁に、シートバックの後傾を規制する突
   部を設けてなる請求項１記載の跳上げシートのロック装
   置。