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JP3359744B2 - 多孔性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

多孔性フィルムおよびその製造方法

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JP3359744B2
JP3359744B2 JP16246494A JP16246494A JP3359744B2 JP 3359744 B2 JP3359744 B2 JP 3359744B2 JP 16246494 A JP16246494 A JP 16246494A JP 16246494 A JP16246494 A JP 16246494A JP 3359744 B2 JP3359744 B2 JP 3359744B2
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lactic acid
mol
porous film
weight
acid
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法正 篠田
健次 森田
鋼一 内木
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解性を有する多
孔性フィルムおよびその製造方法に関する。詳しくは、
自然環境下で加水分解性を有する乳酸系ポリマー、特定
のクエン酸アルキルエステルおよび微粉状充填剤を含む
フィルム状樹脂組成物を延伸して得られた加水分解性多
孔性フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】本発明の多孔性フィルムは、多孔性フィル
ムの特徴である優れた透湿性および通気性を有すること
は勿論であるが、主原料が乳酸系ポリマーであり、且つ
可塑剤として特定のクエン酸アルキルエステルを含むた
め、柔軟性に富み、加水分解性を有する多孔性フィルム
であるけれども機械強度の経時低下が少ないものであ
る。そのため、包装材料、濾過材料等の用途に適してお
り、その上、近年大きな問題となっている廃棄物処理問
題においても期待される素材である。
【0003】
【従来の技術】従来より、ポリオレフィン系樹脂等に有
機または無機の非相溶性物質を特定の割合で配合した
後、溶融製膜し、次いで、延伸加工して得られる多孔性
フィルムが知られている(例えば、特公昭53−125
42号公報、特開昭56−99242号公報、特開昭5
7−59727号公報、特開昭60−129240号公
報、特開昭62−138541号公報)。これらに開示
される多孔性フィルムは、上記用途の内、主として使い
捨て紙オムツ等の衛生材料の防漏フィルムまたは包装材
料等として使用され、一般的には使用した後に直ちに廃
棄される、所謂、使い捨て用途である。
【0004】しかし、ポリオレフィン系樹脂等から成形
された多孔性フィルムは、自然環境下で加水分解しない
か、または加水分解速度が極めて低いため、使用の後、
埋設処理された場合、半永久的に地中に残存することと
なる。また、海洋投機された場合は景観を損なったり、
海洋生物の生活環境を破壊したりして、消費の拡大と共
に廃棄物の処理が社会問題となっている。
【0005】これまで、自然環境下で加水分解される多
孔性フィルムは知られていない。熱可塑性を有し、加水
分解性のポリマーとして、ポリ乳酸およびそのコポリマ
ーが知られている。これらの乳酸系ポリマーは、コーン
スターチやコーンシロップのような安価な原料を醗酵し
て得られ、また、エチレンのような石油化学原料からも
得られる。
【0006】米国特許1,995,970号公報には、
乳酸、ラクチドまたはそれらの混合物の重合に関する乳
酸系ポリマーの製造方法が開示されている。この乳酸系
ポリマーは、その生体適合性と加水分解性から外科手術
用の縫合糸、医学用徐放性材料として用いられる。しか
し、ポリ乳酸等の乳酸系ポリマーは柔軟性に欠けてお
り、該ポリマーを加工して多孔性フィルムにすることは
困難であった。
【0007】乳酸系ポリマーに可塑剤を添加して柔軟性
を付与した多孔性フィルムが知られている。すなわち、
本発明者らは、特願平4−100883号(特開平5−
247245号公報)に係わる特許出願において、ポリ
乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー80
〜95重量%、および、可塑剤0〜20重量%を含むポ
リ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し、平均粒径が
0.3〜4μmの微粉状充填剤40〜250重量部を添
加した混合物を溶融製膜した後、少なくとも一軸方向に
1.1倍以上延伸したことを特徴とする多孔性フィル
ム、を提案した。
【0008】該発明において可塑剤として使用する化合
物として、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘
導体、乳酸、直鎖状乳酸オリゴマー、環状乳酸オリゴマ
ー、ラクチド等が挙げられている。さらに可塑化効果の
点でこれらの化合物の内で、乳酸、直鎖状乳酸オリゴマ
ー、環状乳酸オリゴマー、ラクチドが好ましい旨、記載
されている。
【0009】しかし、上記化合物を可塑剤として使用し
て得られる多孔性フィルムは、優れた透湿性、通気性、
加水分解性等を有し、且つ柔軟性に富むものであるが、
例えば、引張強度等の機械特性が経時と共に比較的短期
間(2年以内)で低下する欠点を有する。従って、例え
ば包装材料、濾過材料等のようにその用途期間がある程
度長期(2年以上)にわたるものには必ずしも好適に使
用し得るものとはいえない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点に鑑み、透湿性、通気性、加水分解性、柔軟性
に優れ、且つ、引張強度等の機械特性の経時低下が少な
い多孔性フィルムおよびその製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに研
究を続けた結果、可塑剤として特定のクエン酸アルキル
エステル化合物を使用することにより上記目的が達成し
得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】すなわち、本発明は、ポリ乳酸または乳酸
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー80〜95重量%、
および、アセチルクエン酸トリエチルおよびアセチルク
エン酸トリブチルから選ばれた可塑剤5〜20重量%を
含むポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し、平均粒
径が0.3〜4μmの微粉状充填剤40〜250重量部
を添加した混合物を溶融製膜した後、少なくとも一軸方
向に1.1〜10倍延伸したことを特徴とする多孔性フ
ィルム、およびその製造方法である。
【0013】本発明の多孔性フィルムは、従来の多孔性
フィルムと同様、優れた透湿性、通気性、柔軟性および
加水分解性を有することは勿論であるが、可塑剤として
特定のクエン酸アルキルエステルを含むため、機械強度
の経時低下が少ないことに特徴がある。そのため、包装
材料、濾過材料等のようにその用途期間がある程度長期
にわたるものに好適に使用することができる。
【0014】本発明の多孔性フィルムは、特定の乳酸系
ポリマーに、特定のクエン酸アルキルエステル化合物及
び特定に粒径を有する微粉状充填剤を加え、ヘンシェル
ミキサー等により混合した後、ペレット化するか、また
はしないで、一軸あるいは二軸式スクリュー押出機等を
用いて混練、溶融し、環状または線状のダイから押出し
て製膜した後、延伸することにより製造される。
【0015】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明に用いる乳酸系ポリマーとは、ポリ乳酸または乳酸
とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。コモノ
マーとして用いられるヒドロキシカルボン酸として、グ
リコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒド
ロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ
ヘプタン酸等が例示される。
【0016】好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸
またはD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%、さ
らに好ましくは該単位85〜98モル%、及び、それぞ
れの対掌体の乳酸単位0〜15モル%、さらに好ましく
は、該対掌体単位2〜15モル%からなるものである。
また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、
L−乳酸またはD−乳酸いずれかの単位85〜100モ
ル%、好ましくは該単位85〜98モル%、及び、ヒド
ロキシカルボン酸単位0〜15モル%、好ましくは該単
位2〜15モル%からなるものである。好ましいヒドロ
キシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシカプ
ロン酸が挙げられる。
【0017】これらの乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D
−乳酸およびヒドロキシカルボン酸の中から必要とする
構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することによ
り得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体で
あるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコ
リドおよびカプロラクトン等から必要とする構造のもの
を選んで開環重合することにより得ることができる。
【0018】ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であ
るL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラク
チド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラ
クチドおよびD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混
合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれの
ラクチドも用いることができる。ただし、主原料は、D
−ラクチドまたはL−ラクチドが好ましい。
【0019】本発明に用いられる好ましい乳酸系ポリマ
ーは、上記組成のポリ乳酸または乳酸とヒドロキシカル
ボン酸とのコポリマーであるが、それらは、次の〜
の方法により得ることができる。
【0020】L−ラクチドをおよそ85モル%以上と
D−ラクチドおよび、またはグリコリドをおよそ15モ
ル%以下とを共重合させる、D−ラクチドをおよそ8
5モル%以上とL−ラクチドおよび、またはグリコリド
をおよそ15モル%以下とを共重合させる、L−ラク
チドをおよそ70モル%以上とDL−ラクチドおよび、
またはグリコリドをおよそ30モル%以下とを共重合さ
せる、L−ラクチドをおよそ70モル%以上とメソ−
ラクチドおよび、またはグリコリドをおよそ30モル%
以下とを共重合させる、D−ラクチドをおよそ70モ
ル%以上とDL−ラクチドおよび、またはグリコリドを
およそ30モル%以下とを共重合させる、D−ラクチ
ドをおよそ70モル%以上とメソ−ラクチドおよび、ま
たはグリコリドをおよそ30モル%以下とを共重合させ
る。
【0021】これらの乳酸系ポリマーは高分子量である
ことが好ましく、濃度0.5g/dlのクロロホルム溶
液(25℃)の固有溶液粘度が1〜10であることが好
ましく、さらに好ましくは3〜7である。固有溶液粘度
が1未満であると、溶融粘度が低すぎて押出機のダイの
スリットから流下し、成形し難いばかりでなく、脆すぎ
て取扱が困難であり、また、10を超えると溶融粘度が
高過ぎて押出成形性等が悪くなるので好ましくない。
【0022】ラクチド、または、ラクチドとグリコリド
を重合させて、短時間で高分子量のポリマーを得るため
には触媒を用いるのが好ましい。このような重合触媒と
しては、この重合反応に触媒効果を示す各種のものが使
用できる。例えば、公知なものとして、オクタン酸第一
錫、四塩化錫、塩化亜鉛、四塩化チタン、塩化鉄、三フ
ッ化ホウ素エーテル錯体、塩化アルミニウム、三フッ化
アンチモン、酸化鉛等の主として多価金属を含む化合物
が挙げられ、中でも錫化合物または亜鉛化合物が好まし
く使用される。錫化合物の中ではオクタン酸第一錫が特
に好ましい。使用量はラクチド、または、ラクチドとグ
リコリドの総量に対して、およそ0.001〜0.1重
量%程度が好ましい。
【0023】また、重合の際には、公知の連鎖増大剤を
用いることができる。連鎖増大剤としては、ラウリルア
ルコール等の高級アルコール類、乳酸やグリコール酸等
のヒドロキシ酸類が好ましく用いられる。連鎖増大剤の
共存により、重合速度が大きくなるので短時間でポリマ
ーを得ることができる。また、連鎖増大剤の量を加減す
ることによりポリマーの分子量を調節することもでき
る。しかし、連鎖増大剤の量を多くしすぎると生成ポリ
マーの分子量は小さくなる傾向があるので、連鎖増大剤
を使用する場合には、その量はラクチド、または、ラク
チドとグリコリドの総量に対して0.1重量%以下であ
ることが好ましい。
【0024】重合または共重合するに当たって、溶媒を
用いても用いなくてもよいが、高分子量のポリマーを得
るには、ラクチドまたはグリコリドを溶融した状態で塊
状重合することが好ましい。
【0025】重合温度は、溶融重合の場合には原則的に
はモノマーであるラクチド、またはラクチドとグリコリ
ドの融点(90℃付近)以上の温度であればよい。ま
た、例えば、クロロホルム等の溶媒を用いる溶液重合の
場合には、ラクチド、または、ラクチドとグリコリドの
融点以下の温度で重合することが可能である。いずれの
場合も、250℃を越えると生成ポリマーの分解が起こ
るので好ましくない。
【0026】本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂組成物
は、上記乳酸系ポリマーを80〜95重量%および可塑
剤を5〜20重量%含む樹脂組成物である。
【0027】本発明に用いる可塑剤は、アセチルクエン
酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルおよびそれ
らの混合物である。かかる可塑剤を乳酸系ポリマーに添
加することにより、乳酸系ポリマーは効果的に可塑化さ
れ、得られる樹脂組成物は柔軟性を帯びる。樹脂組成物
中の可塑剤の量が5重量%以上になると柔軟性がはっき
り現れるようになり、20重量%を越えると、該組成物
を溶融押出し、延伸する時の成形性が悪くなり、また、
得られた成形物の強度が弱くなるため好ましくない。可
塑剤として上記のような特定のクエン酸アルキルエステ
ル化合物を用いることにより、例えば、乳酸、ラクチド
等を可塑剤として用いた多孔性フィルムに比べて、引張
強度等の機械強度の経時的低下を少なく抑えることが可
能である。
【0028】乳酸系ポリマーに可塑剤を混合する方法と
して、乳酸系ポリマーをクロロホルム、塩化メチレン、
トルエンおよびキシレン等の溶媒に溶解させるか、また
は、乳酸系ポリマーを100〜280℃に加熱溶融さ
せ、所定量の可塑剤を添加、混合する方法が挙げられ
る。
【0029】上記方法で得られたポリ乳酸系樹脂組成物
を180〜280℃において、圧縮成形、溶融押出成形
等してフィルム状、シート状または棒状等に成形し、こ
れをドライアイス−メタノール等を用いて約−20℃程
度に冷却した後、ハンマーミル等を用いて粉砕するか、
または、同様にして溶融押出成形等してペレット状にし
てもよい。粉砕物またはペレット状物されたポリ乳酸系
樹脂組成物に微粉状充填剤が混合される。ポリ乳酸系樹
脂に可塑剤を混合する際に、同時に微粉状充填剤混合し
てもよい。
【0030】本発明に用いられる微粉状充填剤は、無機
質微粉体または有機質微粉体であり、無機微粉体質微粉
体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化
アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイ
カ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト
粉、ゼオライト、珪酸白土等が用いられ、特に、炭酸カ
ルシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ、
珪酸白土等が好ましく用いられる。また、有機質微粉体
としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末等が用
いられる。
【0031】これらの微粉状充填剤の平均粒径として
は、0.3〜4μmのものが好ましい。さらに好ましく
は、上記粒径を有し、かつ比表面積が15m2/g以下
のものである。比表面積が0.5〜5m2/gの範囲の
ものがさらに好ましい。平均粒径が、4μmを超えると
フィルムの延伸性が悪く、均一に白化する前にフィルム
が切れることがある。そのため、作業安定性に劣り、フ
ィルムを均一にに多孔化できないことがあり好ましくな
い。また、0.3μm未満だと無機質微粉体を高充填で
きなくなりフィルムの多孔化が不可能となる。また、比
表面積が15m2/gを越えると、無機質微粉体の形状
が無定型、板状、針状などとなるので粒径分布が広くな
り、フィルムの延伸性が低下し、フィルムを多孔化する
ための成形性が低下するので好ましくない。
【0032】微粉状充填剤の使用量は、ポリ乳酸系樹脂
組成物100重量部に対し40〜250重量部であり、
好ましくは60〜150重量部である。この使用量が4
0重量部未満では、多孔化が不充分で連通孔が少なくな
るため、充分な通気性及び透湿性が得られず、250重
量部を越えて用いた場合は溶融押出性、成形性および延
伸性が低下する。
【0033】次に、本発明の多孔性フィルムの製造方法
を説明する。ポリ乳酸系樹脂組成物に微粉状充填剤を加
え、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラ
ー型混合機等を用いて常温にて5〜30分程度混合し、
その後、通常の一軸または二軸スクリュー押出機によっ
て混練し、ペレット化する。次いで、得られたペレット
をインフレーション成形機または、Tダイ成形機を用い
て製膜する。ペレット化せず直接押出機で成膜すること
もできる。
【0034】押出温度は、好ましくは、100〜270
℃の範囲、より好ましくは、130〜250℃の範囲で
ある。100℃未満では、押出安定性が得難く、また過
負荷に陥りやすく、270℃を越えると、乳酸系ポリマ
ーの分解が激しくなるので、好ましくない。
【0035】本発明で用いる押出機のダイは、環状また
は線状のスリットを有するものでよい。ダイの温度は押
出温度範囲と同じ程度で良い。
【0036】その後、少なくとも一軸方向に、1.1〜
10倍、好ましくは1.1〜7倍延伸を行う。延伸は多
段階に分けて行ってもよいし、二軸方向に延伸してもよ
い。延伸倍率が1.1倍未満の場合は、フィルムの多孔
化が不充分となる。10倍を超えるとフィルムが破れる
ことが多くなり好ましくない。
【0037】延伸温度は乳酸系ポリマーのガラス転移点
(以下、Tgという)〜Tg+50℃の範囲が好まし
い。延伸後、孔の形態安定性を増すために熱固定を行っ
てもよい。多孔性フィルムの厚さは、用途により異なる
が、一般的には10〜300μm程度である。
【0038】なお、本発明において、本発明の目的を損
なわない範囲で着色剤、強化剤及びその他の充填剤等を
添加することも可能である。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、この実施例で用いた評価方法は、以下の
通りである。
【0040】溶液粘度 乳酸系ポリマーをクロロホルムに溶解し(濃度0.5g
/dl)、その溶液粘度をウベローデ型粘度計を用いて
25±0.05℃において測定し、下記数式(1)〔数
1〕
【0041】
【数1】 〔式中、T0は溶媒の測定時間(sec)、T1は試料溶
液の測定時間(sec)、Cは試料溶液の濃度(g/d
l)を示す〕により固有粘度ηを算出する。
【0042】比表面積 BET吸着法により測定する。
【0043】平均粒子径 (株)島津製作所製、型式SS−100の粉体比表面積
測定器(透過法)にて試料3gを断面積2cm2、高さ
1cmの資料筒に充填し、500mm水柱で50ccの
空気透過の時間より算出する。
【0044】透湿度 ASTM−E−96−66に準じて測定する。
【0045】引張強度 引張試験機〔(株)オリエンテック社製、商品名:万能
型材料試験機、形式:UCT〕を用いて、製造直後の試
料、相対湿度60%、温度23℃において半年間、1年
間または2年間放置した試料のフィルムの長さ方向につ
いて、JIS−Z−1702に規定される方法により測
定する。
【0046】調製例1 乳酸オリゴマーの調製:反応機にL−ラクチド1.8k
gおよび乳酸水溶液(濃度87重量%)を装入し、撹拌
下、100℃において2時間加熱した。これを冷却した
ところ、常温で粘性のある透明な液体(乳酸オリゴマ
ー)が得られた。この乳酸オリゴマーをテトラヒドロフ
ランに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーを用いて重合度分布を測定した。その結果、平均重合
度は2.8であった。
【0047】実施例1〜7、比較例1〜2 市販のL−ラクチド(以下、L−LTDという)、DL
−ラクチド(以下、DL−LTDという)およびグリコ
リド(以下、GLDという)をそれぞれ酢酸エチルを用
いて4回再結晶して精製した。また、ε−カプロラクト
ン(以下、CLという)を水素化カルシウム上で乾燥し
た後、蒸留して精製した。表面をシラン処理したガラス
製反応容器に〔表1〕に示す量の上記L−LTD、DL
−LTD、GLD、CLおよび触媒としてオクタン酸第
一錫を仕込み、該容器内を減圧脱気して1昼夜乾燥し
た。該反応容器を〔表1〕に示す所定温度まで加熱して
所定時間重合した。反応終了後、反応容器より、反応生
成物を取り出した。得られた乳酸系ポリマーを、P1〜
P4と呼ぶ。これらの乳酸系ポリマーの固有粘度を測定
し、その結果を〔表1〕に示す。
【0048】
【表1】 次いで、これらの乳酸系ポリマーに可塑剤として、アセ
チルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチ
ル、クエン酸トリブチルまたは調製例1で得た乳酸オリ
ゴマーを〔表2〕に示す割合で添加した後、〔表2〕に
示す温度でプラストミルを用いて混合し、ポリ乳酸系樹
脂組成物、C1〜C5を得た。さらに、これらの樹脂組
成物を〔表2〕に示す温度で100kg/cm2でプレ
スして厚さ1mmのシート状に加工した。
【0049】
【表2】 〔表3〕に示すポリ乳酸系樹脂組成物を液体窒素を用い
て冷却し、ハンマーミル粉砕機を用いて粉砕した後、
〔表3〕に示す平均粒子径を有する微粉状充填剤を〔表
3〕に示す量だけ加え、ヘンシェルミキサーを用いて室
温で混合した。該混合物を二軸スクリュー押出機を用い
てペレット化した後、一軸スクリュー押出機にて230
℃でTダイより押し出し、〔表4〕に示す延伸後の多孔
性フィルムの厚みになるように、それぞれ製膜した。次
いで、60℃において〔表4〕に示す延伸倍率で、一軸
方向にロール延伸し、多孔性フィルムを得た。
【0050】得られた多孔性フィルムについて上記に示
す物性について評価し、その結果を〔表4〕に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明の多孔性フィルムは、ポリ乳酸系
ポリマーから得られた従来の多孔性フィルムに比較して
同等の通気性、透湿度、剛軟度を有するにもかかわら
ず、引張強度等の機械特性の経時低下が少ない。そのた
め、包装材料、濾過材料等のようにその用途期間がある
程度長期にわたるものに好適に使用することができる。
そして、使用後廃棄された場合には、自然界で加水分解
されるため廃棄物が蓄積することがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−247245(JP,A) 特開 平4−335060(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 C08L 67/04

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボ
    ン酸コポリマー80〜95重量%、および、アセチルク
    エン酸トリエチルおよびアセチルクエン酸トリブチルか
    ら選ばれた可塑剤5〜20重量%を含むポリ乳酸系樹脂
    組成物100重量部に対し、平均粒径が0.3〜4μm
    の微粉状充填剤40〜250重量部を添加した混合物を
    溶融製膜した後、少なくとも一軸方向に1.1〜10倍
    延伸したことを特徴とする多孔性フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸が、L−乳酸単位85〜100
    モル%およびD−乳酸単位0〜15モル%、または、D
    −乳酸単位85〜100モル%およびL−乳酸単位0〜
    15モル%を含むポリ乳酸である請求項1記載の多孔性
    フィルム。
  3. 【請求項3】 乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
    が、L−乳酸単位85〜100モル%およびグリコール
    酸単位0〜15モル%、または、D−乳酸単位85〜1
    00モル%およびグリコール酸単位0〜15モル%を含
    むコポリマーである請求項1記載の多孔性フィルム。
  4. 【請求項4】 微粉状充填剤が、硫酸バリウム、炭酸カ
    ルシウムおよび酸化マグネシウムから選ばれた少なくと
    も1種の無機質微粉である請求項1記載の多孔性フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 ポリ乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボ
    ン酸コポリマー80〜95重量%、および、アセチルク
    エン酸トリエチルおよびアセチルクエン酸トリブチルか
    ら選ばれた可塑剤5〜20重量%を含むポリ乳酸系樹脂
    組成物100重量部に対し、平均粒径が0.3〜4μm
    の微粉状充填剤40〜250重量部を添加した混合物
    を、押出機を用いて混練、溶融押出して未延伸フィルム
    となし、次いで該未延伸フィルムを少なくとも一軸方向
    に1.1〜10倍延伸することをことを特徴とする多孔
    性フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリ乳酸が、L−乳酸単位85〜100
    モル%およびD−乳酸単位0〜15モル%、または、D
    −乳酸単位85〜100モル%およびL−乳酸単位0〜
    15モル%を含むポリ乳酸であることを特徴とする請求
    項5記載の多孔性フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
    が、L−乳酸単位85〜100モル%およびグリコール
    酸単位0〜15モル%、または、D−乳酸単位85〜1
    00モル%およびグリコール酸単位0〜15モル%を含
    むコポリマーであることを特徴とする請求項5記載の多
    孔性フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 微粉状充填剤が、硫酸バリウム、炭酸カ
    ルシウムおよび酸化マグネシウムから選ばれた少なくと
    も1種の無機質微粉であることを特徴とする請求項5記
    載の多孔性フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 押出機を用いて混練、溶融押出しする温
    度が100〜270℃であることを特徴とする請求項5
    記載の多孔性フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 未延伸フィルムの延伸温度が該乳酸系
    ポリマーのガラス転移点〜ガラス転移点+50℃である
    ことを特徴とする請求項5記載の多孔性フィルムの製造
    方法。
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