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JP3348296B2 - センサレスモータの駆動装置 - Google Patents

センサレスモータの駆動装置

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JP3348296B2
JP3348296B2 JP22513692A JP22513692A JP3348296B2 JP 3348296 B2 JP3348296 B2 JP 3348296B2 JP 22513692 A JP22513692 A JP 22513692A JP 22513692 A JP22513692 A JP 22513692A JP 3348296 B2 JP3348296 B2 JP 3348296B2
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signal
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衡一 稲垣
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Sony Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モーターの駆動方法お
よびその駆動装置、特に、位相シフトにPLLを用いた
センサレスモータの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば2相のブラシレスモータを
駆動する回路においては、ホール素子等の回転検出素子
を用いずに、駆動コイルに発生する逆起電圧を利用して
駆動コイルに通電される駆動電流を切り換えるようにな
されたもの(2相センサレスモータ)として以下に述べ
るようなものが知られている。図6(A)は、従来の2
相センサレスモータの駆動装置2である。図6におい
て、コイル10aおよびコイル10bは、2相センサレ
スモータの駆動コイルである。なお、2相センサレスモ
ータのコイル10a、10b以外の部分は省略してあ
る。
【0003】コイル駆動装置11a、11b〜14a、
14bは、パワートランジスタとバッファを含み、コイ
ル10aおよびコイル10bを駆動する回路である。論
理回路15〜18は、ラッチ回路20、21の出力から
コイル10aおよびコイル10bの駆動制御信号を生成
する論理回路である。論理回路19は、比較回路29a
の出力を反転する論理回路である。
【0004】ラッチ回路20、21は、遅延回路25の
出力S25により制御され、それぞれマスク回路26、
27の出力をラッチするラッチ回路である。論理回路2
2は、比較回路29a、29bの出力信号S29a、S
29bの排他的論理和をとる論理回路である。微分回路
23は、論理回路22の出力信号S22の微分を行う論
理回路である。
【0005】PLL回路24は、微分回路23の出力S
23の16倍の周波数のクロックパルスを発生するPL
L回路である。遅延回路25は、出力S23に、PLL
回路24から出力されるクロックパルスS24の、例え
ば、6クロック分程度の時間遅延を加え、電気角で45
°の位相差を持つスイッチイングタイミング信号を生成
する回路である。
【0006】マスク回路26、27は、スイッチングタ
イミング信号S25に基づき、コイル10a、10bに
流す電流のスイッチングに伴うキックバック電圧波形に
起因するゼロクロス点が論理回路22に入力されるのを
防止する回路である。ここで、スイッチングに伴うキッ
クバック電圧波形とは、図2(Q)その他の範囲に示さ
れる急峻な波形をさす。この波形はゼロクロス点を通る
ので、センサレスモータの回転によらないゼロクロス点
が検出されてしまう。
【0007】マスク回路26の論理構成を図6(B)に
示す。図6(B)に示す入力(D)には、論理回路19
介した出力S19が入力され、入力(CLK)には、
遅延回路25の出力S25が入力される。出力S25が
論理値1である場合は、出力S25が論理値1に変化す
る際の入力(D)の論理値が保存される。出力S25が
論理値0の場合は入力(D)の論理値がそのまま出力
(Q)に出力される。この論理構成はマスク回路27に
共通である。
【0008】スイッチ28は、いわゆるアクティブブレ
ーキ制御を行う際等に、図6中にeで示される点から入
力される制御信号に基づき、コイル駆動装置11a、b
〜14a、14bを介してコイル10a、10bに流れ
る電流の向きを逆転し、センサレスモータの単位時間当
たりの回転数(回転速度)を制御する回路である。
【0009】比較回路29a、29bは、コイル10a
およびコイル10bの両端(a)、(b)および
(c)、(d)に発生する逆起電圧を検出する回路であ
る。比較回路29a、29bは、それぞれの正入力およ
び負入力に入力される信号を比較し、論理値(1または
0)を出力する。なお、従来の2相センサレスモータの
駆動装置2を構成する各論理回路の論理は図中に示され
ている通りである。
【0010】以下、従来の2相センサレスモータの駆動
装置2の動作を説明する。2相センサレスモータは、二
つのコイル、すなわちコイル10aおよびコイル10b
に交互に通電することにより所定の回転動作を得る。コ
イル10aは、対を構成するコイル駆動装置11a、1
1b、12aおよび12bの入力をハイレベルすること
により通電され、コイル10bは、対を構成するコイル
駆動装置13a、13b、14aおよび14bの入力を
ハイレベルにすることにより通電される。
【0011】上記各駆動装置11a、b〜14a、14
bの入力信号の論理値を適当に組み合わせることによ
り、コイル10a、10bの任意の方向に電流を流すこ
とができる。例えば、コイル10aに、図6中の矢印で
示す方向に電流を流す場合、コイル駆動装置11a、1
2bの入力信号を論理値1にし、コイル駆動装置11
b、12aの入力信号を論理値0にする。このように、
コイル駆動回路11a、11b〜14a、14bへの入
力論理値の組み合わせにより、任意のコイルの任意の方
向に電流を流すことができる。
【0012】ここで、コイル10a、10bの両端には
それぞれ比較回路29a、29bが接続され、各コイル
の無通電時に発生する逆起電圧を検出するように構成さ
れている。比較回路29a、29bは、コイル10a、
10bの両端の電位差が0Vとなる点(ゼロクロス点)
で論理値が反転する。つまり、従来の2相センサレスモ
ータの駆動装置2では、比較回路29a、29bでコイ
ル10a、10bで発生する逆起電圧のゼロクロス点を
検出することによりセンサレスモータの回転を検出す
る。
【0013】比較回路29aが検出したゼロクロス点は
論理回路19で論理値が反転されマスク回路26に入力
される。比較回路29bが検出したゼロクロス点はマス
ク回路27に入力される。
【0014】ここで、マスク回路26に入力される論理
回路19の出力S19を図2の(C)に示す。このS1
9は、図2の(R)その他の範囲のように、上述したコ
イル10a、10bに流す電流のスイッチングに伴う逆
起電圧波形に起因するゼロクロス点を含んでいる。そこ
で、図2(F)に示される遅延回路25の出力S25
で、この上記スイッチングに伴う逆起電圧波形に起因す
るゼロクロス点をマスクし、誤動作を防止する。マスク
回路26の出力S26を図2(G)に示す。
【0015】なお、遅延回路25の出力S25は、以下
に述べるような方法で得られる。マスク回路26、27
の出力S26、S27の排他的論理和を論理回路22で
演算し、その出力S22を微分回路23で微分し、図2
(E)に示されるような微分波形出力S23を得る。こ
の出力S23はさらにPLL回路24に入力され、PL
L回路24では、出力S23に同期し、S23の16倍
の周波数のクロックパルスS24が出力される。さら
に、このクロックパルスS24は遅延回路25に入力さ
れ、遅延回路25でS23に対し6〜7パルス分の遅延
がかけられ、出力S25が生成される。
【0016】また、比較回路29bの出力S29bにつ
いても、マスク回路27において、論理回路19の出力
S19と同様の処理が行われる。出力S29bの波形を
図2(D)に、マスク回路27の出力S27を図2
(H)に示す。以上述べたマスク回路26、27の動作
により、スイッチングに伴うキックバック電圧波形に起
因するゼロクロス点は従来の2相センサレスモータの駆
動装置2の動作に影響を与えない。
【0017】ラッチ回路20、21では、遅延回路25
の出力S25に基づき、前記マスク回路26、27の出
力信号S26、S27をラッチし、論理回路15〜1
8、スイッチ28、およびコイル駆動装置11a、11
b〜14a、14bを介してコイル10a、10bを駆
動する。
【0018】ここで、センサレスモータのコイルの電流
制御に、例えば、PWM駆動制御を使用した場合、装置
の電源にノイズが発生する。さらに、このノイズがコイ
ルの逆起電圧に飛び込むことがある。この結果、逆起電
圧波形のゼロクロス点付近で1パルスのみ発生するはず
の微分回路23の出力S23が複数発生する。
【0019】この際のコイルの逆起電圧波形と、前記微
分回路出力の関係を図7に示す。図7において、(A)
は、コイル10aまたはコイル10bに発生する逆起電
圧VabまたはVcdの波形である。上記ノイズが波形にの
っている。(B)は、微分回路23の出力S23の波形
である。上記ノイズが図7中に示すゼロクロス点を横切
るたびに、本来、図7中(C)に示す部分で1つのみ発
生する出力S23が複数出力されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来の2相センサレス
モータの駆動装置は以上述べたように構成されているの
で、センサレスモータにPWM制御を行った場合、電源
に発生するノイズがコイルの逆起電圧にのり、逆起電圧
のゼロクロス点検出が正常に行われないことがある。上
記ノイズに起因するゼロクロス点がPLL回路に入力さ
れる結果、PLL回路の出力するクロックパルスの周波
数が急激に高くなり、異常な値となる。これに伴い、コ
イル駆動回路のスイッチングを行うタイミングも異常と
なり、正常なセンサレスモータの回転動作が得られなく
なるという問題点がある。また、上記ノイズに起因する
ゼロクロス点検出信号がPLL回路に入力された場合、
動作が不安定となる。さらに装置の起動時である場合、
PLL回路が内部発振を起こす可能性が大きいという問
題点がある。
【0021】本発明のセンサレスモータの駆動装置は、
このような問題点に鑑みてなされたものであり、センサ
レスモータについてPWM制御等を行う場合においても
上記によるセンサレスモータの異常動作を防止すること
ができ、PLL回路の動作が安定なセンサレスモータの
駆動装置を得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のセンサレスモータの駆動装置は、複数のコ
イルのそれぞれの両端に接続され、前記コイルを付勢す
るドライバ回路と、前記複数のコイルの両端の電圧のゼ
ロクロス点を検出する比較回路と、前記比較回路からの
信号をマスク可能なマスク回路と前記ゼロクロス点に
同期したクロックパルスを生成するPLL回路と、前記
クロックパルスから生成されたスイッチングタイミング
信号に基づき、動作周期毎に前記各ドライバ回路の制御
を行う信号を発生する制御回路と、前記クロックパルス
に基づいて、前記マスク回路からのゼロクロス点に対し
て前記動作周期の区間内で所定数のクロックパルス分だ
け遅延した前記スイッチングタイミング信号を生成し、
前記制御回路に出力するスイッチングタイミング信号生
成回路と、前記ゼロクロス点の入力に応じて、マスクを
開始させる信号を前記マスク回路に出力するマスクタイ
ミング信号生成回路とを有する。
【0023】また、前記マスクタイミング信号生成回路
におけるマスクの幅をモータの回転数に応じて変更可能
な回路を有する。
【0024】
【作用】ラッチ信号発生用の第1の遅延回路とは別に設
けられた、第2の遅延回路の出力によりリセットされ、
微分回路の出力によりセットされるフリップフロップ
は、スイッチングに伴うゼロクロス点および上記ノイズ
に起因するゼロクロス点をマスクするタイミングを規定
する信号を生成する。マスク回路は、前記フリッププロ
ップから出力される前記タイミング信号に基づき、ゼロ
クロス点を検出する比較回路出力をマスクし、後段の回
路に不要なゼロクロス点が入力されるのを防止する。ま
た、第2の遅延回路の遅延時間を可変とすることによ
り、ゼロクロス点検出のタイミングを調節する。
【0025】
【実施例】以下、第1の実施例について説明する。図1
は、本発明の第1の2相センサレスモータの駆動装置1
の構成を示す図である。図1において、遅延回路30
は、PLL回路24の出力を遅延し、フリップフロップ
31をリセットする信号を生成する遅延回路である。フ
リップフロップ31は、マスク回路26、27がそれぞ
れその入力信号をマスクするタイミングを規定する信号
を出力するセットリセットフリップフロップである。こ
こで説明しない第1の2相センサレスモータの駆動装置
1の各部分の動作は、従来の2相センサレスモータの駆
動装置2の対応する各部分に同じである。また、第1の
2相センサレスモータの駆動装置1の各論理回路の論理
は、図1中に示す通りである。
【0026】第1の2相センサレスモータの駆動装置1
と従来の2相センサレスモータの駆動装置2の差は、以
下の点である。 (1)PLL回路24の出力に、ラッチ回路20、21
へのラッチタイミング信号を生成する第1の遅延回路2
5の他に、フリップフロップ31をリセットする信号を
生成する遅延回路30を設けた。 (2)遅延回路30によりリセットされ、微分回路23
の出力S23によりセットされ、マスク回路26、27
がそれぞれ論理回路19の出力S19、および比較回路
29bの出力をマスクするタイミングを規定する信号を
生成するフリップフロップ31を設けた。
【0027】以下、動作を説明する。図2は、第1の2
相センサレスモータの駆動装置1の各部分の信号波形を
示す図である。図2において、(A)は、コイル10a
の両端の電圧Vabの波形、(B)は、コイル10bの両
端の電圧Vcdの波形である。なお、図2中(Q)に示す
ような急峻な波形は、コイル10a、10bに流す電流
のスイッチングに伴う逆起電圧である。(C)は、比較
回路29aの出力S29aの波形、(D)は比較回路2
9bの出力S29b波形である。この波形においては、
電源に由来するノイズに起因する波形の乱れは省略され
ている。
【0028】(E)は、微分回路23の出力S23の波
形である。(F)は、遅延回路25の出力S25の波形
である。(G)は、マスク回路26の出力S26の波
形、(H)は、マスク回路27の出力S27の波形であ
る。(I)は、ラッチ回路20の出力S20波形、
(J)は、ラッチ回路21の出力S21の波形である。
【0029】(K)は、論理回路15の出力S15の波
形、(L)は、論理回路16の出力S16の波形、
(M)は、論理回路17の出力S17の波形、(N)
は、論理回路17の出力S17の波形である。(O)
は、従来の2相センサレスモータの駆動装置2のマスク
回路26、27に入力されるマスク信号である。この信
号は遅延回路25の出力S25の波形に同じである。こ
の波形は(P)に示すフリップフロップ31の出力S3
1と比較の差異が明確になるように図2中に入れたもの
である。(P)は、フリップフロップ31の出力波形S
31である。なお、図2のt〜tは電気的位相を示
し、t〜tj+1(j=1〜7)間は電気角90°
示す。
【0030】以下、第1の2相センサレスモータの駆動
装置1の動作を説明する。コイル10a、10bの両端
に発生する電圧Vab、Vcdの波形は、それぞれ図2
(A)、(B)に示される通りである。この電圧には、
図2中に(Q)で示されるような、スイッチングに伴う
キックバック電圧および図7(A)に示すような電源に
由来するノイズがのっている。
【0031】このコイル10a、10bの両端電圧はそ
れぞれ比較回路29a、29bに入力され、ゼロクロス
点が検出される。図2(C)、(D)は、比較回路29
a、bの出力S29a、S29bである。これらの波形
においては、論理値の変化点が検出されたゼロクロス点
に相当する。
【0032】上記出力S29aは論理回路19を介して
マスク回路26に入力され、出力S29bはそのままマ
スク回路27に入力される。マスク回路26、27で
は、フリップフロップ31の出力S31に基づいて、そ
れぞれ論理回路19の出力S19、出力S29bをマス
クし、論理回路22およびラッチ回路20、21に出力
する。
【0033】ここで、上述の通り、マスク回路26、2
7は、フリップフロップ31の出力により制御され、出
力S31が論理値1の場合、出力S31が1に変化する
際の入力を保持し、出力S31が論理値0の場合、入力
値をそのまま出力する回路である。マスク回路26、2
7の出力をそれぞれ図2(G)、(H)に示す。また、
出力S31の波形を図2(P)に示す。
【0034】出力S26、S27は論理回路22に入力
され、排他的論理和が演算される。この出力S22は微
分回路23に入力され、変化点が検出される。微分回路
23の出力S23の波形を図2(E)に示す。出力S2
3はPLL回路24に入力され、PLL回路24では、
出力S23を基準信号として、出力S23に同期し、出
力S23の16倍の周波数のクロックパルスを出力す
る。なお、第一の実施例ではPLL回路24は出力S2
3の16倍の周波数のクロックパルスを発生し、遅延回
路25、30では、それに応じた遅延を加えるように構
成したが、PLL回路24で発生する周波数はこれに限
らず、また、遅延回路25、30で出力S23に与える
遅延はこの値に限らない。
【0035】上記クロックパルスおよび出力S23は遅
延回路25に入力され、出力S23から、例えば、上記
クロックパルスで6パルス分遅延された出力S25が出
力される。この出力S25は、動作の安定のため、例え
ば、上記クロックパルスで1パルス分の幅を有してい
る。ただし、この出力S25のパルス幅は、この値に限
らない。出力S25の波形を図2(F)に示す。
【0036】一方、遅延回路30は、出力S23に、例
えば、上記クロックパルス6パルス分の遅延を加えた出
力S30を出力する。ここで、出力S25と出力S30
を共用し、遅延回路30を省略して構成してもよい。ま
た、上記遅延は6パルス分でなくともよく、また、遅延
回路25、30において、それぞれ異なる遅延時間を与
えるよう構成してもよい。
【0037】出力S25はラッチ回路20、21に入力
される。ラッチ回路20、21は、出力S25の立ち上
がりでそれぞれ出力S26、27をラッチし、出力す
る。ラッチ回路20、21の出力S20、S21をそれ
ぞれ図2(I)、(J)に示す。この出力S20、S2
1は、図2に示す通り、互いに電気角90°の位相差を
もち、電気角360°を周期とする信号である。出力S
20、S21は論理回路15〜18を介してコイル駆動
回路11a、11b〜14a、14bに入力される。
【0038】コイル駆動回路11a、11b〜14a、
14bは、入力に論理値1を入力されることにより、そ
れぞれのパワートランジスタがオン状態となり、コイル
10a、10bを付勢する。この結果、センサレスモー
タ(図示せず)が回転動作を行う。
【0039】フリップフロップ31は、遅延回路30の
出力S30が論理値1の場合リセットされ、微分回路2
3の出力S23が1の場合セットされる。よって、フリ
ップフロップ31の出力S31は、出力S23の立ち上
がりで論理値1となり、出力S30の立ち上がりで論理
値0になる。なお、第1の実施例では、出力S30の立
ち上がりは出力S25の立ち下がりに一致している。
【0040】出力S31を図2(P)に示す。比較のた
め、図2(O)に出力S25を示す。出力S25は上述
した従来の2相センサレスモータの駆動装置2のマスク
回路26、27のCLK入力に入力される信号と同じで
ある。出力S31は、出力S25の立ち下がりで論路値
0となり、出力S23の立ち上がりで論理値1となって
いる。
【0041】出力S31はマスク回路26、27に入力
される。マスク回路26、27は、上述のように、出力
S31が論理値1の場合、出力S31が論理値1になる
際の入力を保持するので、上記スイッチングに伴うゼロ
クロス点をマスクし、論理回路22およびラッチ回路2
0、21への上記スイッチングに伴うゼロクロス点の影
響を排除することができる。
【0042】また、出力S31は、微分回路23の出力
23の立ち上がりで論理値1となる。よって、出力S
31が論理値0に変化した後の最初の出力S23の立ち
上がりで論理値1となり、その後再び出力S31が論理
値0になるまでS23は出力されない。このため、図7
に示した、上記ノイズに起因する複数のゼロクロス点の
うち、最初のゼロクロス点のみが検出されることにな
る。
【0043】上述したコイル10a、10bの両端の電
圧Vab、Vcd微分出力S23の関係を図3に示
す。図3おいて、(A)はコイル10aまたは10bの
両端の電圧VabまたはVcdの波形である。(B)は
微分回路23の出力S23の波形である。図7において
は、電圧Vab、Vcdがゼロクロス点を横切るたびに
発生していた出力S31が、最初に電圧Vab、Vcd
がゼロクロス点を横切る図3(C)の部分でのみ発生す
る。
【0044】以上の構成とすることにより、上記ノイズ
によるゼロクロス点の影響を排除することができ、第1
の2相センサレスモータの駆動装置1の誤動作を防止す
ることができ、さらに、PLL回路24の動作を安定化
することができる。
【0045】以下、第二の実施例を説明する。図4は、
第2の実施例におけるPLL回路24と遅延回路30の
構成を示す図である。第2の実施例におけるセンサレス
モータの駆動装置は、第1の2相センサレスモータの駆
動装置1のPLL回路24と遅延回路30の構成を変更
し、センサレスモータの回転に応じて、出力S31のう
ち、上記スイッチングに伴うゼロクロス点をマスクする
部分の幅を変更するように構成されたものである。
【0046】図4において、コンパレータ240は、微
分回路23の出力S23と、PLL回路24の出力クロ
ックパルスの周波数を(1/16)したパルスを比較す
る比較回路である。LPF241は、コンパレータ24
0の出力S240に含まれる周波数成分のうち、一定周
波数以下の成分を通過させるローパスフィルタ回路であ
る。VCO242は、LPF241の出力S241によ
り制御され、出力S241の電圧に対応した周波数のク
ロックパルスを発生する電圧制御発振回路である。VC
O242は出力S23の16倍付近の周波数のクロック
パルスを発振する。この際、出力S241の電圧が高い
場合には高い周波数のクロックパルスを出力し、出力S
241の電圧が低い場合には低い周波数のクロックパル
スを出力する。分周回路243は、VCO242から出
力されるクロックパルスを(1/16)の周波数にする
(16分周する)分周回路である。以上の各部分が第2
の実施例のPLL回路24を構成する。
【0047】比較回路300は、LPF241の出力S
241と、基準電圧Vref を比較する比較回路である。
出力S241が基準電圧Vref より低い場合、論理値0
を出力し、出力S241が基準電圧Vref より高い場合
論理値1を出力する。可変遅延回路301は、比較回路
300の出力S300の論理値に応じ、出力S23に遅
延を加え、出力する回路である。ここで、出力S300
が論理値1の場合、出力S23には上記クロックパルス
6クロック分の遅延が加えられ、出力S300が論理値
0の場合、出力S23には上記クロックパルス4クロッ
ク分の遅延が加えられる。以上の各部分が遅延回路30
を構成する。なお、第二の実施例のPLL回路24およ
び遅延回路30を構成する各部分間の接続は図中に示す
通りである。
【0048】以下、動作を説明する。コンパレータ24
0に加えられる出力S23は、上記クロックパルスを分
周回路243で16分周したパルスと比較される。この
比較結果はLPF241に入力される。LPF241で
は、出力S241の一定周波数以上の周波数成分を取り
除く。このLPF241の出力S241は、VCO24
2に入力される。VCO242は、出力S241の電圧
に応じた出力S23の周波数の16倍付近の周波数のク
ロックパルスを発生する。このクロックパルスは分周回
路243に加えられ、16分周され、ふたたびコンパレ
ータ240に入力される。以上に述べたPLL回路24
の各部分の動作は、一般に知られたアナログPLL回路
と同様な動作である。
【0049】ここで、出力S241は、出力S23の周
波数が高い場合、高い電圧値を示し、出力S23の周波
数が低い場合、低い電圧値を示す。この出力S241を
比較回路300に入力し、基準電圧Vref と比較する。
上述の通り、出力S241が基準電圧Vref より低い場
合、論理値0が出力され、出力S241が基準電圧V
ref より高い場合論理値1が出力される。
【0050】出力S241の論理値により、可変遅延回
路301で出力S23に与えられる遅延は変化する。つ
まり、出力S23の周波数が一定周波数以上となり、そ
れに伴い出力S241がVref を越えた場合、可変遅延
回路301で出力S23に加えられる遅延は上記クロッ
クパルス6クロック分となる。出力S23の周波数が一
定周波数以下となり、それに伴い出力S241がVref
以下になった場合、可変遅延回路301で出力S23に
加えられる遅延は上記クロックパルス4クロック分とな
る。
【0051】上記のような遅延を加えられた可変遅延回
路301の出力は、フリップフロップ31のリセット入
力に入力される。このため、出力S23の周波数、つま
りセンサレスモータの回転数に応じて、出力S31のう
ち、上記スイッチングに伴うゼロクロス点をマスクする
部分が変更される。図5は第二の実施例のPLL回路2
4および遅延回路30により、出力S31の幅が変化す
る様子を示したものである。実際には出力S23の周波
数の変化により、図中に示したtj 〜tj+1 の間隔も変
化するが、説明の便宜上、(A)と(B)の位相関係を
同じにしてある。
【0052】図5(A)は、センサレスモータの回転数
が高く、出力S31の上記部分の幅が広くなった場合を
示す。図5(B)は、センサレスモータの回転数が低
く、出力S31の上記部分の幅が狭くなった場合を示
す。
【0053】第二の実施例のようにPLL回路24およ
び遅延回路30を構成することにより、第一の実施例に
示した第1の2相センサレスモータの駆動装置1におい
て得られる効果の他に以下の効果が付随する。センサレ
スモータのロータが、何らかの原因で回転が遅くなり、
または止まることがある。この際、コイル10a、10
bに大きな電流が流れる。その電流のスイッチングに伴
い、コイル10a、10bに幅の広いキックバック電圧
が発生し、このキックバック電圧波形が出力S31の通
常動作時の上記部分からはみ出すことがあり得る。
【0054】この場合、スイッチングに伴うゼロクロス
点が異常に短い周期でカウントされ、出力S23の数が
多くなる。その結果、出力S242の電圧が異常に高く
なり、PLL回路24に異常発振が生じることがある。
つまり、実際にはセンサレスモータの回転数が低くなっ
ているにもかかわらず、PLL回路24側からはあたか
もセンサレスモータの回転数が高くなっているように見
えることがあるということである。このような場合に出
力S31の上記部分を広くし、逆起電圧の上記をはみ出
した部分の影響を排除し、センサレスモータの駆動装置
の安定な動作を実現する。
【0055】なお、PLL回路24のクロックパルスの
周波数は、出力S23の16倍の周波数でなくともよ
い。その場合、分周回路の分周比はクロックパルスの周
波数に応じて変更される。また、可変遅延回路301の
出力S23に与える遅延は、上述の4クロック分、およ
び6クロック分でなくともよく、センサレスモータの回
転数等に応じてセンサレスモータの駆動装置の構成に最
適な値とすればよい。また、可変遅延回路301の遅延
を2段階としたが、必要に応じてさらに細かい値を設定
できるように段階を多くしてもよい。
【0056】また、以上述べた実施例においては、本発
明のセンサレスモータの駆動装置を2相センスレスモー
タに適用した場合を示したが、適切に構成を変更するこ
とにより、本発明は他のセンスレスモータ、例えば3相
センサレスモータ等にも適用可能である。以上述べた実
施例の他、本発明のセンサレスモータの駆動装置は種々
の構成をとることができる。以上述べた実施例は例示で
ある。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のセンサレス
モータの駆動装置によれば、センサレスモータについて
PWM制御等を行う場合においても、電源等に発生する
ノイズによるセンサレスモータの異常動作を防止するこ
とができ、PLL回路の動作が安定なセンサレスモータ
の駆動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の2相センサレスモータの駆動装
置を示す図である。
【図2】第1の2相センサレスモータの駆動装置の各部
分の信号波形を示す図である。
【図3】センサレスモータの2つのコイルの両端の電圧
ab、Vcdと微分回路の出力の関係を示す図である。
【図4】第二の実施例におけるPLL回路と遅延回路の
構成を示す図である。
【図5】第二の実施例のPLL回路および遅延回路によ
り、フリップフロップの出力の幅が変化する様子を示し
たものである。
【図6】従来の2相センサレスモータの駆動装置であ
る。
【図7】従来の2相センサレスモータの駆動装置のコイ
ルの両端の電圧と、微分回路出力の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】 1・・・第1の2相センサレスモータの駆動装置 10・・・コイル 11〜14・・・コイル駆動回路 15〜19・・・論理回路 20、21・・・ラッチ回路 22・・・論理回路 23・・・微分回路 24・・・PLL回路 25・・・遅延回路 26、27・・・マスク回路 28・・・スイッチ 29・・・比較回路 30・・・遅延回路 31・・・フリップフロップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のコイルのそれぞれの両端に接続さ
    れ、前記コイルを付勢するドライバ回路と、 前記複数のコイルの両端の電圧のゼロクロス点を検出す
    る比較回路と、前記比較回路からの信号をマスク可能なマスク回路と前記ゼロクロス点に同期したクロックパルスを生成する
    PLL回路と、 前記クロックパルスから生成されたスイッチングタイミ
    ング信号に基づき、動作周期毎に前記各ドライバ回路の
    制御を行う信号を発生する制御回路と、 前記クロックパルスに基づいて、前記マスク回路からの
    ゼロクロス点に対して前記動作周期の区間内で所定数の
    クロックパルス分だけ遅延した前記スイッチングタイミ
    ング信号を生成し、前記制御回路に出力するスイッチン
    グタイミング信号生成回路と、 前記ゼロクロス点の入力に応じて、マスクを開始させる
    信号を前記マスク回路に出力するマスクタイミング信号
    生成回路と を有するセンサレスモータの駆動装置。
  2. 【請求項2】前記マスクタイミング信号生成回路におけ
    るマスクの幅をモータの回転数に応じて変更可能な回路
    を有する請求項1に記載のセンサレスモータの駆動装
    置。
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