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JP3218557B2 - 抄紙方法 - Google Patents

抄紙方法

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JP3218557B2
JP3218557B2 JP01925096A JP1925096A JP3218557B2 JP 3218557 B2 JP3218557 B2 JP 3218557B2 JP 01925096 A JP01925096 A JP 01925096A JP 1925096 A JP1925096 A JP 1925096A JP 3218557 B2 JP3218557 B2 JP 3218557B2
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JP
Japan
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salt
monomer
soluble polymer
anionic
papermaking
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JP01925096A
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智法 中村
英之 若松
英俊 坂本
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Hymo Corp
Original Assignee
Hymo Corp
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Priority to ES96942614T priority patent/ES2146920T5/es
Priority to PT96942614T priority patent/PT877120E/pt
Priority to TW085116014A priority patent/TW342418B/zh
Priority to EP96942614A priority patent/EP0877120B2/en
Priority to PCT/JP1996/003748 priority patent/WO1997023691A1/ja
Priority to KR10-1998-0702388A priority patent/KR100422282B1/ko
Priority to DE69607394T priority patent/DE69607394T3/de
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製紙工程における抄
紙方法に関するものであり、さらに詳しくは製紙の抄紙
工程において抄紙パルプに特定の両性水溶性重合体を添
加して歩留および/あるいは濾水性を向上させる抄紙方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、製紙の抄紙工程において、生産性
の向上、使用原料添加薬品の低減、循環する白水の清浄
化等の目的のために歩留向上剤あるいは濾水性向上剤が
使用されている。
【0003】歩留向上剤あるいは濾水性向上剤として
は、一般に水溶性高分子物質、すなわちポリアクリルア
ミドおよび、その誘導体、ポリエチレンイミン、ポリア
ミドポリアミンエピクロヒドリン樹脂等の合成高分子物
質、あるいは澱粉および、その誘導体等の天然水溶性高
分子物質が使用されている。また歩留および/あるいは
濾水性をさらに向上させることを目的に種々の方法が提
案されている。
【0004】例えば、カチオン性澱粉とアニオン性コロ
イダルシリカを用いる方法(特開昭57−51900号
公報)、陽イオン性基を有するアクリルアミド系ポリマ
ーとコロイダルシリカを用いる方法(特開昭62−15
391号公報)、コロイド珪酸およびカチオン性もしく
は両性のポリアクリルアミド誘導体とカチオン性澱粉を
添加する方法(特開昭62−110998号公報)、カ
チオン性ポリマーとベントナイトを使用して歩留りを向
上させる方法(特開昭62−191598号公報)等多
様な提案がなされている。
【0005】これらの方法は、水溶性高分子を単独で用
いる方法以上に歩留りの向上あるいは濾水性の向上が図
られてはいるが、最近の製紙技術の高度化や故紙使用率
の増加による原料パルプ事情の悪化、抄紙用水の水質の
低下などにより充分に満足しえるものでなく、さらなる
歩留りあるいは濾水性の向上方法が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製紙
工程においてセルロース繊維および填料などの歩留りを
向上させ、かつ/あるいは濾水性を向上させることによ
り、抄紙工程、乾燥工程での生産性を向上させることに
ある。また、本発明の他の目的は循環する白水を清浄に
保つことにより、安定した抄紙方法を確立することにあ
る。さらには白水回収工程での負荷の低減、廃水処理工
程での負荷の低減をはかる抄紙方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、製紙の
抄紙工程において抄紙パルプに、特定の重合法によって
製造された両性水溶性重合体とアニオン性コロイダルシ
リカおよび/あるいはベントナイトを添加することによ
り、上記目的が達成できることを見出し本発明に至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は製紙の抄紙工程におい
て抄紙パルプに塩水溶液中での分散重合法によって製造
された両性水溶性水溶性重合体を添加し、次いでアニオ
ン性コロイダルシリカおよび/あるいはベントナイトを
添加し、歩留まりおよび/あるいは濾水性を向上させる
ことを特徴とする抄紙方法である。
【0009】また、本発明は製紙の抄紙工程において抄
紙パルプに、生成する重合体を溶解しない塩水溶液中
で、かつその塩水溶液に溶解可能な高分子電解質の分散
剤の共存下でカチオン性単量体とアニオン性単量体を必
須成分とする複数種の単量体混合物を撹拌しながら重合
する塩水溶液中での分散重合法によって製造された両性
水溶性重合体を添加し、次いでアニオン性コロイダルシ
リカおよび/あるいはベントナイトを添加し、歩留まり
および/あるいは濾水性を向上させることを特徴とする
抄紙方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】上記塩水溶液中での分散重合法は
特開昭61−123610号公報あるいは特開昭62−
20511号公報に開示されており、両性水溶性重合体
の油分を含まない高濃度液状品の製法として、最近注目
されている重合法である。
【0011】本発明者らは、塩水溶液中での分散重合法
で製造した両性水溶性重合体は、同じ単量体組成をもっ
た従来の重合法、たとえば水溶液重合法、油中水型乳化
重合法で製造された両性水溶性重合体に比べ、アニオン
性コロイダルシリカおよび/あるいはベントナイトと併
用した時に、著しく歩留りおよび/あるいは濾水性を向
上させることを見出し本発明に至った。
【0012】これは、塩水溶液中での分散重合法の特質
に起因していると考えられる。この重合法では、重合前
には単量体は重合溶媒である塩水溶液中に均一に溶解し
ているが、重合が進むにしたがって、生成した重合体が
塩水溶液中から分離析出してき、分散剤の助けで微粒子
の分散液を形成する。すなわち、均一相から2相への相
分離が起きている。この重合メカニズムは明白には解明
されてないが、水溶液重合法、油中水型乳化重合法のよ
うに重合が均一相で行われる重合とは異なった立体的分
子構造の重合体、例えば枝分かれが多い重合体あるいは
ブロック重合体等が生成していると予想される。この立
体的分子構造の違いが、歩留りおよび/あるいは濾水性
を向上させている要因と予想できる。
【0013】本発明に用いる両性水溶性重合体を構成す
るカチオン性単量体のひとつは下記式(1)で表される
ものを用いることが好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】(ただし、式中、AはOまたはNH;Bは
24 、C36 、C35 OH;R1 はHまたはC
3 ;R2 、R3 は炭素数1〜4のアルキル基;R4
Hまたは炭素数1〜4のアルキル基;X- はアニオン性
対イオンを表す。) 上記式(1)で表されるカチオン性単量体の代表的なも
のとしては、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジ
ルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチル
ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリルアミ
ドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、メ
タクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム
クロリドなどを挙げることができる。
【0016】また、本発明で用いる他のカチオン性単量
体は下記式(2)で表されるものを用いることが好まし
い。
【0017】
【化4】
【0018】(ただし、式中、AはOまたはNH;Bは
24 、C36 、C35 OH;R1 はHまたはC
3 ;R2 、R3 は炭素数1〜4のアルキル基;R4
Hまたは炭素数1〜4のアルキル基;X- はアニオン性
対イオンを表す。)
【0019】上記式(2)で表されるカチオン性単量体
の代表的なものとしては、(メタ)アクリロイルオキシ
エチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アク
リルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩あ
るいは硫酸塩などを挙げることができる。
【0020】上記式(1)のカチオン性単量体はアミノ
基に疎水性の強いベンジル基が結合しており、その結
果、水溶性重合体にもかかわらず塩溶液に溶解しにくく
なっている。そのためカチオン性水溶性重合体の構成要
素に上記式(1)のカチオン性単量体が含まれている場
合は上記式(1)で表されるカチオン性単量体と上記式
(2)で表されるカチオン性単量体のモル比は広範囲に
設定することが可能である。
【0021】本発明に用いる両性水溶性重合体、上記の
カチオン性単量体と共に必須成分としてアニオン性単量
体を用いる。アニオン性単量体としては、例えば、イタ
コン酸あるいはその塩、マレイン酸あるいはその塩、フ
マール酸あるいはその塩、(メタ)アクリル系アニオン
単量体あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0022】(メタ)アクリル系アニオン単量体の代表
的なものとしては、例えば(メタ)アクリル酸あるいは
その塩、あるいは2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸あるいはその塩あるいはこれらの混合物
が挙げられる。
【0023】これらの複数のイオン性単量体と(メタ)
アクリルアミドを共重合することも可能である。本発明
で用いる両性水溶性重合体は上記式(1)および/ある
いは上記式(2)で表されるカチオン性単量体と上記ア
ニオン性単量体と(メタ)アクリルアミドを共重合した
ものが、より好ましい。これら単量体の好ましいモル比
は特に限定されないが、生成した重合体が重合溶媒であ
る塩水溶液に溶解しない、すなわち塩析するような単量
体のモル比が必須条件である。
【0024】しかしながら両性水溶性重合体の特徴を示
すためには、カチオン、アニオンを含めた全イオン性単
量体は共重合体中に5モル%以上含まれることが好まし
く、10モル%以上含まれることがさらに好ましい。全
イオン性単量体が共重合体中に5モル%未満であると歩
留り、濾水性などの各種の特性が不十分となる。
【0025】また、それぞれのイオン性単量体のモル比
に関しては、両性共重合体中のカチオン基がアニオン基
より多いほうが好ましいため、カチオン性単量体のグラ
ム当量値がアニオン性単量体のグラム当量値より大なる
ことが好ましい。
【0026】さらに、これら以外の単量体、例えば、ア
クリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、スチレン等の
疎水性単量体も生成した共重合体が水溶性であるなら
ば、共重合させることも可能である。
【0027】上記の両性水溶性重合体の好ましい例とし
ては、例えば、上記式(1)で表されるカチオン性単量
体またはその混合物3〜99モル%、上記式(2)で表
されるカチオン性単量体またはその混合物0〜50モル
%、上記アニオン性単量体1〜30モル%および全単量
体中の前記成分以外の単量体がアクリルアミドから成る
単量体の分散共重合体を挙げることができる。
【0028】上記の両性水溶性重合体の好ましい他の例
としては、例えば、上記式(2)で表されるカチオン性
単量体またはその混合物3〜30モル%、アニオン性単
量体1〜30モル%、全単量体中の前記成分以外の単量
体がアクリルアミドから成る単量体の分散共重合体を挙
げることができる。
【0029】重合は分散剤の共存下に複数単量体を塩水
溶液中で撹拌しながら行うが、この時の単量体濃度は5
重量%以上が好ましく、10重量%以上がさらに好まし
く、15〜40重量%が特に好ましい。単量体濃度が5
重量%未満であると分散液中の重合体濃度が低くなるの
で好ましくない。
【0030】重合溶媒であり、分散媒である塩水溶液に
ついては、重合生成物が溶解しない、すなわち塩析する
ことが重要な条件である。すなわちこの条件を満たす、
両性水溶性重合体の単量体組成、塩の種類、塩の濃度の
組み合わせが重要である。
【0031】塩の代表的なものとしては、例えば硫酸ナ
トリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸
アルミニウム、リン酸二水素ナトリウムなどの多価アニ
オンの塩を好ましく挙げることができるが、これら以外
の塩でも、重合生成物を溶解しないものならば用いるこ
とができる。
【0032】重合時の反応液中の塩濃度は、上記式
(1)および式(2)で表されるカチオン性単量体、ア
ニオン性単量体などのモル比や、使用する塩の種類など
により異なるので、特に限定されない。しかし、通常、
重合時の反応液中の塩濃度は、重合反応液の重量から単
量体の重量を除いた重合溶媒に対して15重量%以上
で、飽和濃度まであるいは溶解度の限界までの範囲が好
ましく、15重量%以上30重量%以下がさらに好まし
く、15重量%以上25重量%以下が特に好ましい。塩
濃度が15重量%未満であると反応中の反応液の粘度が
高くなり重合が困難になる。
【0033】塩は重合時の溶媒中に添加して重合する
が、塩の一部は重合終了後、分散液中に添加してもよ
い。重合時の溶媒中に塩を一度に添加して重合するより
も、塩の一部を重合終了後、分散液に添加した方が分散
液の粘度を低下させることができる。塩の一部を重合終
了後、分散液に添加して得られる分散液中の塩濃度は1
5重量%以上、飽和濃度まであるいは溶解度の限界まで
の範囲が好ましく、さらに好ましくは15〜25重量%
である。
【0034】種々の塩の種類、塩の濃度を変化させても
重合生成物が塩析しない単量体の組成や、重合生成物の
塩析が起きない両性水溶性重合体の単量体組成と塩の種
類、濃度の組み合わせは不適当である。
【0035】重合時に共存させる高分子電解質の分散剤
は、塩水溶液に溶解可能なことが必須条件である。
【0036】高分子電解質としては、生成物である両性
共重合体中のカチオン性単量体のグラム当量値がアニオ
ン性単量体のグラム当量値より大なることが好ましいた
め、カチオン性高分子電解質の使用が好ましい。
【0037】カチオン性高分子電解質の代表的なものと
しては、例えば50〜100モル%のジメチルアミノエ
チル(メタ)3アクリレート塩酸塩あるいは硫酸塩、ジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩酸塩あ
るいは硫酸塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ
メチルアンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプ
ロピルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルジアリルア
ンモニウム塩およびその混合物の中から選ばれる1種の
カチオン性単量体、および0〜50モル%のアクリルア
ミドを(共)重合したカチオン性高分子電解質を好まし
く挙げることができる。
【0038】高分子電解質の分散剤の量は全単量体の量
に対して、およそ1〜15重量%であり、さらに約1〜
10重量%が好ましい。1重量%未満では重合生成物が
分散状態で得られず、互いに付着し大きな塊となってし
まい好ましくない。また15重量%を超える量の使用は
最終的に得られた分散液自体の粘性が高くなり易流動性
が失われる場合もあるので好ましくない。
【0039】重合温度は、重合開始剤の種類により異な
るので特に限定されず、重合開始剤が機能する温度であ
ればよい。また、重合開始剤も一般的に使用されている
レドックス系、アゾ系などどのようなものを使用しても
よく、特に限定されない。
【0040】両性水溶性重合体分散液中の両性水溶性重
合体の濃度は5重量%以上の高濃度であり、通常は5重
量%以上で約40重量%以下である。なお両性水溶性重
合体分散液中には上記の塩および上記の分散剤が含まれ
ている。
【0041】上記の分散液は両性水溶性重合体を高濃度
で含有するが、両性水溶性重合体は微粒子の状態で分散
液中に安定に分散しているのでその粘度は低く、通常1
0〜3000cPの低粘度であるので、容易に流動し、
非常に取り扱い易い特徴がある。
【0042】上記の分散液中の両性水溶性重合体粒子の
平均粒径は通常0.1〜150μmであり、好ましくは
0.1〜50μm、さらに好ましくは0.1〜30μm
である。両性水溶性重合体粒子の平均粒径が150μm
を超えると沈殿し易くなるので貯蔵安定性に欠ける上、
分散液の使用時に水と混合しても両性水溶性重合体粒子
が大きいために溶解性が悪く、完全に溶解するまでに長
時間を要する。
【0043】上記の分散液中の両性水溶性重合体の分子
量は特に限定されない。しかし、製紙の抄紙工程に用い
る場合は、分子量は大きいことが好ましい。両性水溶性
重合体の濃度が0.5重量%となるように分散液を2重
量%硫酸アンモニウム水溶液に溶解した溶液の固有粘度
で表すと、通常、およそ7dl/g〜30dl/gの範
囲である。
【0044】上記の分散液は貯蔵安定性に優れており、
常温で保存しても粒子が付着し合って塊になるなどの不
都合を生じない。
【0045】抄紙工程において、両性水溶性重合体の添
加量は紙料SS当たり0.001重量%から0.2重量
%であり、アニオン性コロイダルシリカおよび/あるい
はベントナイトの添加量の総和が紙料SS当たり0.0
01重量%から0.2重量%が好ましい。
【0046】さらに両性水溶性重合体の添加量が紙料S
S当たり0.005重量%から0.1重量%であり、ア
ニオン性コロイダルシリカおよび/あるいはベントナイ
トの添加量の総和が紙料SS当たり0.005重量%か
ら0.1重量%がより好ましい。
【0047】また抄紙工程においては、両性水溶性重合
体を製紙工程のセントリスクリーン前に添加し、アニオ
ン性コロイダルシリカおよび/あるいはベントナイトを
セントリスクリーン後に添加することが好ましい。
【0048】尚、循環する白水が、アニオン性物質等に
より、多大に汚染されている場合には、ポリ−ジメチル
ジアリルアンモニウムクロリド、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン等の低分
子量カチオン性ポリマーを併用することにより、本発明
の効果は更に大きく改善される。
【0049】本発明で使用するアニオン性コロイダルシ
リカは、特に限定されるものではない。アニオン性コロ
イダルシリカは通常水中で水和により表面にOH基を有
する二酸化ケイ素であり、その粒子表面は多孔性で水中
では一般に負(−)に帯電している。具体的には、例え
ば特開昭57−51900号公報に記載の表面積約50
〜約1000m2 /g、好ましくは約300〜約700
2 /gのシリカ粒子を有するコロイド状ケイ酸ゾル、
このコロイド状ケイ酸ゾルを約20〜90%、好ましく
は約20〜90%含有するコロイダルシリカを挙げるこ
とができる。また、約5〜20mμの範囲のほぼ一様な
太さで一平面内のみの伸長を有し、かつ動的光散乱法に
よる粒子径が約40〜300mμである細長い形状のア
ニオン性シリカゾルも好ましく使用できる。
【0050】
【作用】塩水溶液中での分散重合法で製造した両性水溶
性重合体は、同じ単量体組成をもった、従来の重合法、
たとえば水溶液重合法、油中水型乳化重合法で製造され
た両性水溶性重合体に比べ、アニオン性コロイダルシリ
カおよび/あるいはベントナイトと併用した時に、著し
く歩留りおよび/あるいは濾水性を向上させる。
【0051】塩水溶液中での分散重合法では、重合前に
は単量体は重合溶媒である塩水溶液中に均一に溶解して
いるが、重合が進むにしたがって、生成した重合体が塩
水溶液中から分離析出する。すなわち、均一相から2相
への相分離が起きている。この重合メカニズムは明白に
は解明されてないが、水溶液重合法、油中水型乳化重合
法のように重合が均一相で行われる重合とは異なった立
体的分子構造の重合体、例えば枝分かれが多い重合体
等、が生成され、この立体的分子構造の違いが、歩留り
および/あるいは濾水性を向上させている要因と予想で
きる。
【0052】
【実施例】次に実施例によって、本発明を具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に制約されるものではない。
【0053】(重合体の調製例) (No.1〜3)攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導
入管を備えた1リットルの五つ口のセパラブルフラスコ
に、分散剤としてポリアクリロイルオキシエチルトリメ
チルアンモニウムクロリド4.2g、析出剤として硫酸
アンモニウム84.0gをとり、イオン交換水303.
0gを加えて溶解した。これに表1記載の組成のモノマ
ー100.0gを仕込み、50℃に加温しながら、窒素
置換した。これに重合開始剤として2,2’−アゾビス
(2−アミジノプロパン)塩酸塩の1%水溶液を2.0
g加え、攪拌下、50℃で10時間重合すると、塩水溶
液に分散した微粒子の重合体が得られた。この反応液に
21gの硫酸アンモニウムを加えて溶解し、本発明で使
用する分散重合体試料A〜Cを得た。分散重合体試料
(両性水溶性重合体分散液)A〜Cのモノマー組成およ
び2重量%の硫酸アンモニウム水溶液中での固有粘度を
表1に記載する。
【0054】(No.4〜6)比較のために同様に表1
記載の組成のモノマーを用い、水溶液重合法および逆相
エマルジョン重合法により表1記載の比較試料a〜cを
得た。比較試料a〜cのモノマー組成および2重量%の
硫酸アンモニウム水溶液中での固有粘度を表1に記載す
る。
【0055】
【表1】
【0056】(実施例1〜7)両性水溶性重合体分散液
A〜Cを抄紙パルプに添加して歩留率を測定する試験を
行った。 (針葉樹サラシクラフトパルプ)針葉樹晒クラフトパル
プ(L−BKP)[カナデイアン・スタンダード・フリ
ーネス(C.S.F)=400cc]に填料として重質
炭酸カルシウムを15重量%(対パルプ)添加し、SS
濃度0.5重量%となるように調整した。このスラリー
を用いて、ブリット式ダイナミックジャーテスターによ
り、歩留率を測定した。
【0057】試験は以下の手順で行った。0.5重量%
パルプスラリー500mlをブリット式ダイナミックジ
ャーテスターに投入する。1500rpmで攪拌を開始
し、調製例で得られた両性水溶性重合体0.1重量%水
溶液を添加する。この時から計時を開始する。30秒
後、0.1重量%ベントナイト(商品名:オーガノゾー
ブ−O、アライドコロイド社製)および/あるいは0.
1重量%アニオン性コロイダルシリカ(商品名:BMA
−780、日産エカノーベル社製)を添加する。更に3
0秒後、白水採取用のコックを開き、150mesh
wireを通過した白水を流出させる。初期10秒間の
白水を捨て、その後30秒間の白水を採取する。この間
の白水量をXmlとする。この白水を予め105℃での
乾燥重量(W0 g)を測定してある定量用濾紙(東洋濾
紙株式会社NO.5C)にて濾過し、105℃にて乾燥
し、重量を測定する。この重量をw1 gとする。次い
で、600℃にて灰化し、灰分重量を測定する。この重
量をfgとする。白水中のSS濃度及び灰分濃度を次式
にて求める。
【0058】
【0059】
【0060】0.5重量%パルプスラリーについても、
同様にSS濃度、灰分濃度を測定する。それぞれ、SS
o、Ashoとする。総歩留率および填料歩留率を次式
にて求める。
【0061】
【0062】
【0063】得られた結果をまとめて表2に示す。
【0064】(比較例1〜7)実施例1で用いた両性水
溶性重合体分散液A〜Cの代わりに溶液重合タイプの両
性水溶性重合体およびエマルジョタイプの両性水溶性重
合体a〜cを用いて、実施例1と同様の方法で歩留率を
測定した。得られた結果を表2に併せて示す。
【0065】
【表2】
【0066】(実施例8〜14)両性水溶性重合体分散
液A〜Cを抄紙パルプに添加して濾水性の試験を行っ
た。段ボール故紙:新聞故紙=90:10の混合パルプ
(C.S.F=300cc)をパルプ濃度1重量%に調
整し、更に液体硫酸バンドを3重量%(対パルプ)添加
し、pHを5.8とした。このスラリー300mlを5
00mlビーカーに採取し、スリーワンモーターにて、
600rpmで攪拌しながら、調製例1で得られた両性
水溶性重合体A〜Cの0.1重量%水溶液を添加する。
30秒後、0.1重量%アニオン性コロイダルシリカお
よび/あるいは0.1重量%ベントナイトを添加する。
更に30秒後、攪拌を停止し、このスラリーを1リット
ルメスシリンダーに移す。清水にて全量を1リットルと
した後、転倒攪拌を3回行い、カナディアン・スタンダ
ード・フリーネステスターに投入する。C.S.F測定
の手順に従い、側管に流出する濾液量を測定する。得ら
れた結果を表3に示す。
【0067】(比較例8〜14)実施例8〜14で用い
た両性水溶性重合体分散液A〜Cの代わりに両性水溶性
重合体a〜cを用いて実施例8〜14と同様な方法に
て、濾水量を測定した。得られた結果を表3に併せて示
す。
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明の抄紙方法により、製紙工程にお
いてセルロース繊維および填料の歩留りを向上させ、か
つ/あるいは濾水性を向上させることができ、それによ
り、抄紙工程、乾燥工程での生産性を向上させることが
できる。また、本発明の抄紙方法により、循環する白水
を清浄に保つことができ、さらに、白水回収工程での負
荷の低減、廃水処理工程での負荷の低減をはかることが
できる。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製紙の抄紙工程において紙料に塩水溶液
    中での分散重合法(すなわち、単量体を溶解し生成重合
    体を溶解しない塩水溶液中で、該塩水溶液に可溶な高分
    子電解質から成る分散剤の共存下で、攪拌しながら重合
    を行い、微細重合体粒子の分散液を得る重合法)によっ
    て製造された両性水溶性重合体を添加混合し、ついでア
    ニオン性コロイダルシリカおよび/あるいはベントナイ
    トを添加混合することにより、歩留りおよび/あるいは
    濾水性を向上させる抄紙方法であって前記両性水溶性重合体として、下記式(1)で表される
    カチオン性単量体またはその混合物3〜99モル%、下
    記式(2)で表されるカチオン性単量体またはその混合
    物0〜50モル%、アニオン性単量体1〜30モル%お
    よび全単量体中の前記成分以外の単量体がアクリルアミ
    ドから成る単量体の分散共重合体を添加混合することを
    特徴とする抄紙方法 。 【化1】 (ただし、式中、AはOまたはNH;BはC 2 4 、C
    3 6 、C 3 5 OH;R 1 はHまたはCH 3 ;R 2
    3 は炭素数1〜4のアルキル基;X - はアニオン性対
    イオンを表す。) 【化2】 (ただし、式中、AはOまたはNH;BはC 2 4 、C
    3 6 、C 3 5 OH; 1 はHまたはCH 3 ;R 2
    3 は炭素数1〜4のアルキル基;R 4 はHまたは炭素
    数1〜4のアルキル基;X - はアニオン性対イオンを表
    す。)
  2. 【請求項2】 分散剤が、50〜100モル%のジメチ
    ルアミノエチル(メタ)3アクリレート塩酸塩あるいは
    硫酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
    ド塩酸塩あるいは硫酸塩、(メタ)アクリロイルオキシ
    エチルトリメチルアンモニウム塩、(メタ)アクリロイ
    ルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩、ジメチル
    ジアリルアンモニウム塩およびその混合物の中から選ば
    れる1種のカチオン性単量体、および0〜50モル%の
    アクリルアミドを(共)重合したカチオン性高分子電解
    質から成ることを特徴とする請求項1に記載の抄紙方
    法。
  3. 【請求項3】 分散重合法に用いる塩水溶液を形成する
    塩が2価アニオン塩であることを特徴とする請求項1に
    記載の抄紙方法。
  4. 【請求項4】 上記式(2)で表されるカチオン性単量
    体またはその混合物3〜30モル%、アニオン性単量体
    1〜30モル%、全単量体中の前記成分以外の単量体が
    アクリルアミドから成る単量体の分散共重合体を両性水
    溶性重合体として添加混合することを特徴とする請求項
    1ないし請求項3に記載の抄紙方法。
  5. 【請求項5】 上記式(1)で表されるカチオン性単量
    体がアクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモ
    ニウムクロリドであることを特徴とする請求項1ないし
    請求項4に記載の抄紙方法。
  6. 【請求項6】 上記式(2)で表されるカチオン性単量
    体がアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム
    クロリドであることを特徴とする請求項1ないし請求項
    5に記載の抄紙方法。
  7. 【請求項7】 両性水溶性重合体を形成するアニオン性
    単量体が(メタ)アクリル酸またはその塩、イタコン酸
    またはその塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンス
    ルホン酸またはその塩およびそれらの混合物から選ばれ
    る1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    に記載の抄紙方法。
  8. 【請求項8】 両性水溶性重合体を形成するアニオン性
    単量体がアクリル酸であることを特徴とする請求項1な
    いし請求項に記載の抄紙方法。
  9. 【請求項9】 両性水溶性重合体を形成するカチオン性
    単量体のグラム当量数がアニオン性単量体のグラム当量
    数よりも大なることを特徴とする請求項1ないし請求項
    に記載の抄紙方法。
  10. 【請求項10】 2重量%硫酸アンモニウム水溶液中に
    おける両性水溶性重合体の固有粘度が7dl/g〜30
    dl/gであることを特徴とする請求項1ないし請求項
    に記載の抄紙方法。
  11. 【請求項11】 両性水溶性重合体の添加量が紙料SS
    あたり0.001〜0.2重量%でありアニオン性コロ
    イダルシリカおよび/あるいはベントナイトの添加量の
    総和が紙料SSあたり重量0.001〜0.2重量%で
    あることを特徴とする請求項1ないし請求項10に記載
    の抄紙方法。
  12. 【請求項12】 両性水溶性重合体を製紙工程のセント
    リスクリーン前に添加しアニオン性コロイダルシリカお
    よび/あるいはベントナイトをセントリスクリーン後に
    添加することを特徴とする請求項1ないし請求項11
    記載の抄紙方法。
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