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JP3287682B2 - N−シアノエタンイミド酸エステルの製造方法 - Google Patents

N−シアノエタンイミド酸エステルの製造方法

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JP3287682B2
JP3287682B2 JP34380293A JP34380293A JP3287682B2 JP 3287682 B2 JP3287682 B2 JP 3287682B2 JP 34380293 A JP34380293 A JP 34380293A JP 34380293 A JP34380293 A JP 34380293A JP 3287682 B2 JP3287682 B2 JP 3287682B2
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ester
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cyanogen chloride
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秀雄 白川
松夫 小野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化シアン、アンモニ
ア、オルト酢酸エステルから出発して、N−シアノエタ
ンイミド酸エステル、特にメチルエステル、またはエチ
ルエステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−シアノエタンイミド酸エステルは、
たとえば殺虫剤として有用なN−シアノ−N′−(2−
クロロ−5−ピリジルメチル−N′−メチルアセトアミ
ジンを製造する原料として重要であり、また、スルホニ
ル尿素系除草剤の中間体である2−アミノ−4−メトキ
シ−6−メチル−s−トリアジンを製造する原料として
も重要な化合物である。
【0003】このN−シアノエタンイミド酸エステルの
製造方法として、次の三つの方法が知られている。すな
わち、第一の方法は、二段階の工程でアセトニトリル、
塩化水素ガス、アルコールおよびシアナミドから製造す
る方法(ドイツ特許第3411203号明細書)であ
り、また、第二の方法は、オルト酸エステルとシアナ
ミドを無水酢酸存在下で反応させてN−シアノエタンイ
ミド酸エステルを製造する方法(J.Org.Che
m.,28巻、1816ページ)、さらに、第三の方法
は、オルト酢酸エステルとシアナミドを酸性触媒の存在
下でアルコール性溶媒中でN−シアノエタンイミド酸エ
ステルを製造する方法(ドイツ特許第3815084号
明細書)である。
【0004】しかし、第一の方法では、著しく腐食性の
塩化水素ガスを用いるため高価な装置を必要としてい
た。また第二の方法では、副生物として多量の酢酸メチ
ル、酢酸が生じる欠点があり、第三の方法は前述の第
一、第二の方法の欠点を解決しているが、高価な無水の
シアナミドを用いなければならず、安価にN−シアノエ
タンイミド酸エステルを製造することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無水
シアナミドを用いないで、塩化シアンとアンモニアとオ
ルト酢酸エステルを出発原料としてN−シアノエタンイ
ミド酸エステルを経済的かつ安全に製造する方法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、塩化シ
アン、アンモニアおよびオルト酢酸エステルの反応によ
ってN−シアノエタンイミド酸エステルを製造するにあ
たり、メタノール、エタノール、エチルエーテル、イソ
プロピルエーテルおよびアセトニトリルから選ばれる1
種以上の有機溶媒中で、塩化シアンとアンモニアとオル
ト酢酸エステルとを、−20〜40℃の条件で反応させ
ることを特徴とするN−シアノエタンイミド酸エステル
の製造方法に関する。
【0007】本発明の方法は、N−シアノエタンイミド
酸エステル、特にそのメチルエステル、エチルエステル
の製造に適している。
【0008】本発明における有機溶媒は、アセトニトリ
ル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、メタノー
およびエタノールから選ばれる1種以上であり、特に
アセトニトリルまたはイソプロピルエーテルが、反応液
を撹拌するうえで好ましい。
【0009】有機溶媒の使用量に制限はないが、撹拌を
容易にするため、オルト酢酸エステル1モルあたりに使
用する有機溶媒の量は、100〜1000mlで、特に
300ml〜500mlが好ましい。
【0010】また、オルト酢酸エステル1モルあたりの
塩化シアンの量は0.5〜2モルが好ましく0.6〜
1.4モルがより好ましく、1.0〜1.5モルが特に
好ましい。塩化シアンの量が1.0モル以下では収率が
低下し、1.5モル以上では、塩化シアン、アンモニア
が無駄に消費される。オルト酢酸エステル1モルあたり
のアンモニアの量は、1〜4モルが好ましく、1.2〜
2.8モルがより好ましい。
【0011】塩化シアンとアンモニアとオルト酢酸エス
テルの混合方法としては、塩化シアンとアンモニアとオ
ルト酢酸エステルとを同時に有機溶媒中で−20〜40
℃の条件で反応させる方法であっても、−20〜40℃
の条件で塩化シアンとアンモニアを有機溶媒中で反応さ
せた後に、−20〜40℃の条件でオルト酢酸エステル
を加える方法、あるいは、有機溶媒とオルト酢酸エステ
ルの混合溶液に、塩化シアンとアンモニアを−20〜4
0℃の条件で反応させる方法のいずれであってもよい。
【0012】塩化シアンとアンモニアを有機溶媒中で反
応させた後に、オルト酢酸エステルを加える方法の場合
においては、反応液を濾過し、析出した塩化アンモニウ
ムを除去し、さらに反応液を濃縮した後に、オルト酢酸
エステルを反応してもさしつかえない。
【0013】塩化シアンとアンモニアとオルト酢酸エス
テルとの混合時の反応温度は、−20以上40℃以下で
実施されるが、特に−5〜20℃が好ましい。不必要に
冷却することは、高性能の冷凍機を必要とするだけでし
かない。40℃以上ではアンモニアおよび塩化シアンが
気化し、収率が低下するだけでなく、反応器の上部やベ
ントラインに塩化アンモニウムが付着するため、反応に
支障をきたす。
【0014】塩化シアンとアンモニアとオルト酢酸エス
テルとを反応させた後の熟成は、20〜130℃で行う
ことができ、特に40〜90℃が好ましい。熟成は0.
5〜5時間で完了する。20℃以下では熟成に長時間を
要する。
【0015】反応後の生成物の単離は、反応液を濃縮
し、反応で生成したアルコールと反応に用いた有機溶媒
を除いた後、水に難溶な有機溶媒で抽出し、水洗するこ
とにより実施される。この間必要であれば、反応系を濾
過してもさしつかえない。抽出用に用いる有機溶媒とし
ては、トルエン、塩化メチレン、ヘキサン、イソプロピ
ルエーテル、酢酸ブチルが好ましい。
【0016】このようにして得られる粗生成物は、次工
程の医農薬の合成に十分利用可能な純度を持つものであ
るが、必要に応じて、蒸留、クロマトグラフィー等の通
常の有機化学的手法により、さらに精製することができ
る。
【0017】以下実施例によって本発明を詳述するが、
本発明はこれによって限定されるものではない。
【0018】
【実施例】
実施例1 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた50
0mlの4つ口反応釜に、アセトニトリル280gを仕
込んだ。この反応釜を0℃に冷却してから、塩化シアン
55ml(比重1.21 純度95.5% 1.03m
ol)をガス発生器で気化させ、反応釜に導入した。同
時にアンモニアガス35.6g(2.09mol)を反
応釜に導入した。この間、反応温度を−2〜2℃に保っ
た。
【0019】ガス導入後、0℃で1時間撹拌してから、
析出した塩化アンモニウムを濾過し、アセトニトリル5
0gで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ減圧濃縮し、濃
縮液64.7gを得た。
【0020】この濃縮液に、室温でオルト酢酸トリメチ
ル109g(0.91mol)を加え、65℃で2時間
撹拌して熟成させた後、反応液を蒸留し、生成したメタ
ノールおよびアセトニトリル合計58.2gを留去させ
た。得られた濃縮液114gを0℃に冷却し、塩化メチ
レン95g、冷水71gを加えて撹拌し分液した。水相
はさらに塩化メチレン95g抽出した。
【0021】得られた塩化メチレン溶液を合わせて、5
00mlの蒸留釜に入れ、塩化メチレンを留去させた
後、107℃/30mmHgの留分として、67.4g
のN−シアノエタンイミド酸メチルエステルを得た。オ
ルト酢酸トリメチルからの収率は75.3%であった。
【0022】実施例2 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた50
0mlの4つ口反応釜に、アセトニトリル280gを仕
込んだ。この反応釜を0℃に冷却してから、塩化シアン
55ml(比重1.21 純度95.5% 1.03m
ol)をガス発生器で気化させ、反応釜に導入した。同
時にアンモニアガス35.6g(2.09mol)を反
応釜に導入した。この間、反応温度は0〜6℃に保っ
た。さらに0℃で1時間撹拌してから、反応液を濃縮
し、濃縮液136.5gを得た。
【0023】この濃縮液に、室温でオルト酢酸トリメチ
ル118g(0.98mol)を加え、65℃で90分
間撹拌して熟成させ、減圧蒸留し、生成したメタノール
およびアセトニトリル83.3gを留去させて、N−シ
アノエタンイミド酸メチルエステル含有する濃縮液1
67gを得た。
【0024】濃縮液に、酢酸ブチル120g、冷水23
0gを加えて撹拌し分液した。水相を酢酸ブチル60g
でさらに抽出した。得られたN−シアノエタンイミド酸
メチルエステル含有の酢酸ブチル溶液を濃縮し、減圧蒸
留して97℃/20mmHgの留分68.4gを得た。
この留分のN−シアノエタンイミド酸メチルエステルの
純度は98.0%で、オルト酢酸トリメチルからの収率
は70.0%であった。
【0025】実施例3 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた10
00mlの4つ口反応釜に、オルト酢酸トリメチル12
0g(1.00mol)とアセトニトリル280.9g
を仕込んだ。この反応釜を10℃に冷却してから、塩化
シアン53.1ml(比重1.21 純度95.5%
1.00mol)をガス発生器で気化させ、反応釜に導
入した。同時にアンモニアガス34.0g(2.00m
ol)を反応釜に導入した。この間、反応温度を8〜1
8℃に保った。
【0026】その後、64℃で1時間撹拌した後、反応
液を濃縮し299.0gを留去させ、20℃に冷却して
濾過した。濾過物を塩化メチレン120gで洗浄し、濾
過液と洗浄液を合わせた。塩化メチレン溶液を120g
で洗浄し、塩化メチレンを留去させた後、減圧蒸留して
107℃/30mmHgの留分66.1gを得た。この
留分のN−シアノエタンイミド酸メチルエステルの純度
は98.0%で、オルト酢酸トリメチルからの収率は6
6.0%であった。
【0027】実施例4 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた50
0mlの4つ口反応釜に、オルト酢酸トリメチル80g
(0.67mol)とアセトニトリル188.3gを仕
込んだ。この反応釜を5℃に冷却してから、塩化シアン
35.4ml(0.67mol)をガス発生器で気化さ
せ、反応釜に導入した。塩化シアンの導入開始と同時に
アンモニアガス22.7g(1.33mol)を反応釜
に導入した。この間、反応温度を6〜15℃に保った。
【0028】17℃で19時間放置した後、メタノール
およびアセトニトリルを留去させ、20℃に冷却して濾
過し、濾過物を塩化メチレン80gで洗浄した。濾過液
と洗浄液を合わせ、水80gで洗浄し、溶媒を留去させ
た後、113〜117℃/40mmHgの留分43.6
gを得た。この留分のN−シアノエタンイミド酸メチル
エステルの純度は99.1%で、オルト酢酸トリメチル
からの収率は68.4%であった。
【0029】実施例5 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた30
0mlの4つ口反応釜に、オルト酢酸トリエチル53.
5g(0.33mol)とイソプロピルエーテル13
1.1gを仕込んだ。この反応釜を5℃に冷却してか
ら、塩化シアン17.7ml(0.33mol)をガス
発生器で気化させ、反応釜に導入した。塩化シアンの導
入開始と同時にアンモニアガス11.3g(0.67m
ol)を反応釜に導入した。この間、反応温度を5〜2
1℃に保った。さらに30℃で30分間撹拌してから濾
過した。
【0030】濾過液を65℃で3時間して熟成させ
反応溶液149.6g中のN−シアノエタンイミド酸
ルエステル濃度は15.6%で、N−シアノエタン
イミド酸エチルエステルの収率は62.9%であった。
【0031】実施例6 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた10
00mlの4つ口反応釜に、オルト酢酸トリメチル12
0g(1.00mol)とメタノール278.4gを仕
込んだ。この反応釜を10℃に冷却してから、塩化シア
ン53.1ml(1.00mol)をガス発生器で気化
させ反応釜に導入した。同時にアンモニアガス34.1
g(2.00mol)を塩化シアンと同時に反応釜に導
入した。この間、反応温度を10〜20℃に保った。
【0032】60℃で2時間撹拌した後、反応液を濃縮
し、20℃に冷却して濾過し、濾過物を塩化メチレン1
20gで洗浄した。濾過液と洗浄液を合わせ、水120
gで洗浄し、N−シアノエタンイミド酸メチルエステル
を12.7%含有する塩化メチレン溶液282.6gを
得た。N−シアノエタンイミド酸メチルエステルの収率
は36.7%であった。
【0033】比較例 攪拌機、冷却器、温度計、ガス導入管2本を備えた30
0mlの4つ口反応釜に、オルト酢酸トリメチル40g
(0.33mol)とトルエン180mlを仕込んだ。
この反応釜を5℃に冷却してから、塩化シアン17.7
ml(0.33mol)をガス発生器で気化させ、反応
釜に導入した。アンモニアガス11.3g(0.67m
ol)を塩化シアンと同時に65分間で反応釜に導入し
た。この間、反応温度を5〜16℃に保った。30℃で
30分間反応させた後濾過した。濾過液を70℃で4時
間撹拌した。その後反応液を20℃に冷却して濾過した
が濾過液182.1gの中のN−シアノエタンイミド酸
メチルエステル濃度は1.38%であり反応収率は7.
7%であった。
【0034】
【発明の効果】発明によれば無水シアナミドを用いな
いで、塩化シアンとアンモニアとオルト酢酸エステルを
出発原料として、N−シアノエタンイミド酸エステルを
比較的高収率で、経済的にかつ安全にしかも工業的に極
めて簡単な方法で得ることができるという利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−11553(JP,A) 特開 平7−82252(JP,A) 特開 平5−186413(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 261/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化シアン、アンモニアおよびオルト酢
    酸エステルの反応によってN−シアノエタンイミド酸エ
    ステルを製造するにあたり、メタノール、エタノール、
    エチルエーテル、イソプロピルエーテルおよびアセトニ
    トリルから選ばれる1種以上の有機溶媒中で、塩化シア
    ンとアンモニアとオルト酢酸エステルとを−20〜40
    ℃の条件で反応させることを特徴とするN−シアノエタ
    ンイミド酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 塩化シアンおよびアンモニアを有機溶媒
    中で反応させた後に、オルト酢酸エステルを加える請求
    項1記載のN−シアノエタンイミド酸エステルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 機溶媒とオルト酢酸エステルの混合溶
    液に、塩化シアンとアンモニアを加え反応させる請求
    項1記載のN−シアノエタンイミド酸エステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 オルト酢酸エステル1モルあたり塩化シ
    アン0.6〜1.4モルおよびアンモニア1.2〜2.
    8モルを使用する請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    N−シアノエタンイミド酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 オルト酢酸エステルが、オルト酢酸トリ
    メチルまたはオルト酢酸トリエチルである請求項1〜
    のいずれか1項に記載のN−シアノエタンイミド酸エス
    テルの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方
    法により反応させた後、さらに20〜130℃の条件で
    熟成させるN−シアノエタンイミド酸エステルの製造方
    法。
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