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JP3274345B2 - 画像表示装置及び前記装置における画像表示方法 - Google Patents

画像表示装置及び前記装置における画像表示方法

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JP3274345B2
JP3274345B2 JP3988296A JP3988296A JP3274345B2 JP 3274345 B2 JP3274345 B2 JP 3274345B2 JP 3988296 A JP3988296 A JP 3988296A JP 3988296 A JP3988296 A JP 3988296A JP 3274345 B2 JP3274345 B2 JP 3274345B2
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
    • H01J2201/3165Surface conduction emission type cathodes

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  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に複数の電
子放出素子を備えた電子源とその駆動方法及び装置と、
前記電子源を用いた画像表示方法及びその装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、例えば表面伝導型電子放出素子や、電界放
出型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属
型放出素子(以下MIM型と記す)などが知られてい
る。
【0003】表面伝導型電子放出素子としては、例え
ば、M. I. Elinson, Radio E-ng. Electron Phys., 10,
1290, (1965)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン(Eli
nson)等によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄
膜によるもの[G. Dittmer:“Thin Solid Films”,9,3
17 (1972)]や、In2O3/SnO2薄膜によるもの[M.
Hartwell and C. G.Fonstad:”IEEE Trans. ED Con
f.”,519 (1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木
久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]
等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、図28に前述のM. Hartwellら
による素子の平面図を示す。図28において、3001
は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物
よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示
のようにH字形の平面形状に形成されている。この導電
性薄膜3004に、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成
される。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],幅W
は、0.1[mm]に設定されている。尚、図示の便宜
から、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央
に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、
実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわ
けではない。
【0006】M. Hartwellらによる素子をはじめとして
上述の表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を
行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ば
れる通電処理を施すことにより電子放出部3005を形
成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングと
は、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、
もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとした
レートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄
膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せ
しめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形
成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形もし
くは変質した導電性薄膜3004の一部には亀裂が発生
する。この通電フォーミング後に導電性薄膜3004に
適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近において
電子放出が行われる。
【0007】またFE型の例としては、例えば、W. P.
Dyke & W. W. Dolan,“Field emission”, Advance in
Electron Physics, 8, 89 (1956)や、或は、C. A. Spi
ndt,“Physical properties of thin-film field emis
sion cathodes with molybdenium cones”, J. Appl. P
hys., 47, 5248 (1976)などが知られている。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例として、図
29に前述のC. A. Spindtらによる素子の断面図を示
す。同図において、3010は基板で、3011は導電
材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコー
ン、3013は絶縁層、3014はゲート電極である。
本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極301
4の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタコ
ーン3012の先端部より電界放出を起こさせるもので
ある。
【0009】また、FE型の他の素子構成として、図2
9のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ
平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0010】また、MIM型の例としては、例えば、C.
A. Mead,“Operation of tunnel-emission Devices,
J. Appl. Phys., 32,646 (1961)などが知られている。
MIM型の素子構成の典型的な例を図30に示す。同図
は断面図であり、図において、3020は基板で、30
21は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オン
グストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜
300オングストローム程度の金属よりなる上電極であ
る。MIM型においては、上電極3023と下電極30
21の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極3
023の表面より電子放出を起こさせるものである。
【0011】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため加熱用ヒータ
を必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造が単純
であり、微細な素子を作成可能である。また、基板上に
多数の素子を高い密度で配置しても基板の熱溶融などの
問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒータの加熱
により動作するため応答速度が遅いのとは異なり、冷陰
極素子の場合には応答速度が速いという利点もある。こ
のような理由により冷陰極素子を応用するための研究が
盛んに行われてきている。
【0012】例えば、表面伝導型電子放出素子は、冷陰
極素子の中でも特に構造が単純で製造も容易であること
から、大面積に亙り多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで例えば本願出願人による特開昭64−313
32号公報において開示されるように、多数の素子を配
列して駆動するための方法が研究されている。
【0013】また、表面伝導型電子放出素子の応用につ
いては、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画
像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0014】特に画像表示装置への応用としては、例え
ば本願出願人によるUSP5,066,883や特開平
2−257551号公報や特開平4−28137号公報
において開示されているように、表面伝導型電子放出素
子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合
わせて用いた画像表示装置が研究されている。このよう
な表面伝導型電子放出素子と蛍光体とを組み合わせて用
いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よ
りも優れた特性が期待されている。例えば、近年普及し
てきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるため
バックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優
れていると言える。
【0015】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、例えば、本願出願人によるUSP 4,904,895号に開
示されている。また、FE型を画像表示装置に応用した
例として、例えば、R. Meyerらにより報告された平板型
表示装置が知られている。[R. Meyer:“Recent Develop
ment on Microtips Display at LETI”, Tech. Digest
of 4th Int. Vacuum Microelectronics Conf., Nagaham
a, pp 6〜9(1991)]。
【0016】また、MIM型を多数個並べて画像表示装
置に応用した例は、例えば本願出願人による特開平3−
55738号に開示されている。
【0017】本願発明者らは、上記従来技術に記載した
ものを初めとして、種々の材料、製法、構造の冷陰極素
子を試みてきた。更に、多数の冷陰極素子を配列したマ
ルチ電子ビーム源、並びにこのマルチ電子ビーム源を応
用した画像表示装置について研究を行ってきた。
【0018】本願発明者らは、例えば図31に示す電気
的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。
即ち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの
素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子
ビーム源である。
【0019】図中、4001は冷陰極素子を模式的に示
したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配
線を示している。行方向配線4002及び列方向配線4
003は、実際には有限の電気抵抗を有するものである
が、図においては配線抵抗4004及び4005として
示されている。上述のような配線方法を、単純マトリク
ス配線と呼ぶ。尚、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子ビ
ーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだ
けの素子を配列し配線するものである。
【0020】表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス
配線したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビ
ームを出力させるため、行方向配線4002及び列方向
配線4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マ
トリクスの中の任意の1行の表面伝導型電子放出素子を
駆動するには、選択する行の行方向配線4002には選
択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4
002には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して
列方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動
電圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗40
04及び4005による電圧降下を無視すれば、選択す
る行の表面伝導型電子放出素子には、(Ve−Vs)の電
圧が印加され、また非選択行の表面伝導型電子放出素子
には(Ve−Vns)の電圧が印加される。ここで、これ
らVe,Vs,Vnsの電圧値を適宜の大きさの電圧にすれ
ば、選択する行の表面伝導型電子放出素子だけから所望
の強度の電子ビームが出力されるはずであり、また列方
向配線4003の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれ
ば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビー
ムが出力されるはずである。また、表面伝導型電子放出
素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加
する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時
間の長さも変えることができるはずである。
【0021】従って、表面伝導型電子放出素子を単純マ
トリクス配線したマルチ電子ビーム源には種々の応用で
きる可能性があり、例えば画像情報に応じた電気信号を
適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に
用いることができる。
【0022】このような表面伝導型放出素子を用いたカ
ラー画像表示装置では、そのフェースプレート上にマル
チ電子源から放出された電子が衝突することにより発光
する赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体が図
32に示す様にデルタ状に配列されている。このデルタ
配列は、同図に示すように上下の2ラインで蛍光体のピ
ッチが行方向に1/2ピッチずれている。そのため、図
33に示すように、各蛍光体に対応する放出素子部10
10も同様に水平方向に1/2ピッチずらして配置する
必要がある。しかしながらこのような配列にすると、列
方向配線1012を同図のように蛇行させる必要があ
る。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、放出
素子部を蛍光体の配置に合わせて各行毎に1/2ピッチ
ずつずらして配置すると、それに対応して列方向配線1
012を蛇行しなければならない。しかし、このように
配線が蛇行すると、配線が直線である場合に比べてパタ
ーンの引き回しが複雑になって製作しにくく、また、こ
のような配線の蛇行は配線そのものの長さを長くするこ
とになり配線抵抗が増大するという問題があった。
【0024】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、列方向配線を蛇行させることなく複数の電子放出素
子をマトリクス上に配列した電子源とその駆動方法及び
装置と、前記電子源を用いた画像表示方法及びその装置
を提供することを目的とする。
【0025】本発明の目的は、デルタ状に配列された蛍
光体を列方向配線を直線にして正マトリクス状に配列さ
れた電子放出素子により照射駆動して画像を表示できる
電子源とその駆動方法及び装置と、前記電子源を用いた
画像表示方法及びその装置を提供することにある。
【0026】また本発明は、1つの蛍光体を複数の電子
放出素子よりの放出電子で駆動することにより、発光輝
度を高めることができる電子源とその駆動方法及び装置
と、前記電子源を用いた画像表示方法及びその装置を提
供することにある。
【0027】本発明の他の目的は、表示に要する電子放
出素子の数を減らして製造コストの低下、製造工程の削
減を達成できる電子源とその駆動方法及び装置と、前記
電子源を用いた画像表示方法及びその装置を提供するこ
とにある。
【0028】また本発明の他の目的は、1行に配列され
た電子放出素子からの放出電子で2行分の画像を表示で
きる電子源とその駆動方法及び装置と、前記電子源を用
いた画像表示方法及びその装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電子源は以下のような構成を備える。即ち、
マトリクス状に配列された複数の電子放出素子を備える
電子源であって、列方向配線に対して時計回り方向と反
時計回り方向に所定角度回転させた電子放出素子を交互
に配置し、同一行に位置している前記電子放出素子の一
方の電極が共通の行方向配線に接続され、前記同一行に
位置している前記電子放出素子の他方の電極がそれぞれ
異なる列方向配線に接続されている。
【0030】また上記目的を達成するために本発明の電
子源の駆動装置は以下のような構成を備える。即ち、請
求項1に記載の電子源の駆動装置であって、前記複数の
電子放出素子を行単位に選択する走査行選択手段と、前
記走査行選択手段による選択に同期して選択された行方
向配線に正極性の電位を印加する第1の行印加手段と、
前記第1の行印加手段により正極性の電位が印加された
行の電子放出素子の隣接する2個が接続されている列方
向配線に負極性で同じ電位の電圧信号を印加する第1の
列印加手段と、前記走査行選択手段による選択に同期し
て選択された行方向配線に負極性の電位を印加する第2
の行印加手段と、前記第2の行印加手段により負極性の
電位が印加された行の電子放出素子の、前記直前に印加
されたのとは異なる隣接する2個が接続されている列方
向配線に正極性で同じ電位の電圧信号を印加する第2の
列印加手段とを備える。
【0031】更に上記目的を達成するために本発明の画
像表示装置は以下のような構成を備える。即ち、マトリ
クス状に配列された複数の電子放出素子を備える電子源
を用いた画像表示装置であって、前記複数の電子放出素
子と異なる形状に配置された複数の蛍光体を有する表示
用プレートと、列方向配線に対して時計回り方向と反時
計回り方向に所定角度回転させた電子放出素子を交互に
配置し、同一行に位置している前記電子放出素子の内の
1つおきに配置された第1の電子放出素子の一方の電極
が共通の行方向配線に接続され、前記同一行に位置して
いる前記第1の電子放出素子以外の第2の電子放出素子
の一方の電極が次の行方向配線に接続され、前記第1の
電子放出素子の他方の電極がそれぞれ異なる列方向配線
に接続され、前記第2の電子放出素子の他方の電極のそ
れぞれが前記列方向配線のそれぞれに接続した電子源
と、前記複数の電子放出素子を行単位に選択する走査行
選択手段と、前記走査行選択手段による選択に同期して
選択された行方向配線に正極性の電位を印加する第1の
行印加手段と、前記第1の行印加手段により正極性の電
位が印加された行の電子放出素子に接続されている列方
向配線に負極性の画像信号を印加する第1の列印加手段
と、前記走査行選択手段により次に行が選択されると、
当該選択された行方向配線に正極性の電位を印加する第
2の行印加手段と、前記第2の行印加手段により正極性
の電位が印加された行の電子放出素子に接続されている
列方向配線に負極性の画像信号を印加する第2の列印加
手段とを有する。
【0032】更に上記目的を達成するために本発明の画
像表示方法は以下のような工程を備える。即ち、請求項
1に記載の電子源と、前記電子源の複数の電子放出素子
と異なる形状に配置された複数の蛍光体を有する表示用
プレートとを備えた画像表示装置における画像表示方法
であって、前記複数の電子放出素子を行単位に選択する
工程と、行の選択に同期して選択された行方向配線に負
極性の電位を印加する工程と、前記負極性の電位が印加
された行の1つおきに配置された第1の電子放出素子に
接続されている列方向配線に正極性の画像信号を印加す
る工程と、前記負極性の電位が印加された行の前記第1
の電子放出素子以外の電子放出素子に接続されている列
方向配線に正極性で、かつ次行の画像信号を印加する工
程とを備える。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0034】以下、本発明の実施の形態の画像表示装置
について説明するが、説明の便宜上本実施の形態の表示
パネル1000の基本的構成と製法、電子源の構成と製
造方法、電子源を駆動する電気回路の構成及び駆動の方
法の順で説明する。
【0035】(表示パネル1000の構成と製造方法)
まず最初に本実施の形態の表面伝導型電子放出素子を基
板上にマトリクス状に配列した表示パネル1000の構
成と製造法について具体的な例を示して説明する。
【0036】図1は、本実施の形態に用いた表示パネル
1000の外観斜視図であり、内部構造を示すためにパ
ネル1000の1部を切り欠いて示している。
【0037】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、1005
〜1007により表示パネル1000の内部を真空に維
持するための気密容器を形成している。この気密容器を
組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十分な強度
と気密性を保持させるため封着する必要があるが、例え
ばフリットガラスを接合部に塗布し、大気中或は窒素雰
囲気中で摂氏400〜500度で10分以上焼成するこ
とにより封着を達成した。この気密容器内部を真空に排
気する方法については後述する。
【0038】リアプレート1005には基板1001が
固定されているが、該基板1001上には表面伝導型放
出素子1002が、図のように行及び列方向に対して斜
め方向に配置された状態でN×M個形成されている(こ
こでN,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示
画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビ
ジョンの表示を目的とした表示装置においては、N=3
000,M=1000以上の数を設定することが望まし
い。本実施の形態においてはN=3072,M=102
4とした)。これらN×M個の表面伝導型放出素子10
02は、M本の行方向配線1003とN本の列方向配線
1004により単純マトリクス配線されている。これら
基板1001、表面伝導型電子放出素子1002、行方
向、列方向配線1003,1004によって構成される
部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、このマルチ電
子ビーム源の製造方法や構造については、後で詳しく述
べる。
【0039】尚、本実施の形態においては、気密容器の
リアプレート1005にマルチ電子ビーム源の基板10
01を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基
板1001が十分な強度を有するものである場合には、
気密容器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基
板1001自体を用いてもよい。
【0040】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施の形態は
カラー表示装置用の表示パネル1000であるため、蛍
光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤
(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体が塗り分
けられている。各色の蛍光体は、例えば図2に示すよう
にデルタ状に塗り分けられ、各色の蛍光体の間には黒色
の導電体1010が設けてある。このような黒色の導電
体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多
少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにする
ためや、外光の反射を防止して表示コントラストの低下
を防ぐため、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップ
を防止するためなどである。黒色の導電体1010に
は、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適する
ものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0041】なお、モノクローム画像表示用の表示パネ
ルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜10
08に用いれば良く、また黒色導電材料は必ずしも用い
なくともよい。
【0042】また、蛍光膜1008のリアプレート10
05側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック
1009を設けてある。このメタルバック1009を設
けた目的は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反
射して光利用率を向上させるためや、負イオンの衝突か
ら蛍光膜1008を保護するため、電子ビーム加速電圧
を印加するための電極として作用させるため、更には蛍
光膜1008を励起した電子の導電路として作用させる
ためなどである。このメタルバック1009は、蛍光膜
1008をフェースプレート基板1007上に形成した
後、蛍光膜1008の表面を平滑化処理し、その上にA
l(アルミニウム)を真空蒸着する方法により形成し
た。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用
いた場合にはメタルバック1009は用いない。
【0043】また、本実施の形態では用いなかったが、
加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、
フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、例えば、ITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0044】また、端子Dx1〜Dxm,Dy1〜Dynおよび
Hvは、この表示パネル1000と後述する駆動用電気
回路とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気
接続用端子である。また、端子Dx1〜Dxmはマルチ電子
ビーム源の行方向配線1003と、端子Dy1〜Dynはマ
ルチ電子ビーム源の列方向配線1004と、Hvはフェ
ースプレート1007のメタルバック1009と電気的
に接続している。
【0045】また、この気密容器内部を真空に排気する
には、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空
ポンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗
[torr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。このゲッター膜とは、
例えばBaを主成分とするゲッター材料をヒータもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
このゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10
のマイナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[torr]
の真空度に維持される。
【0046】以上、本発明の実施の形態の表示パネル1
000の基本構成と製法を説明した。
【0047】次に、前述の実施の形態の表示パネル10
00に用いたマルチ電子ビーム源の製造方法について説
明する。本実施の形態の画像表示装置に用いるマルチ電
子ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電
子源であれば、冷陰極素子の材料や形状或は製法に制限
はない。従って、例えば表面伝導型放出素子やFE型、
或はMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
但し、表示画面が大きくてしかも安価な表示装置が求め
られる状況の下では、これらの冷陰極素子の中でも表面
伝導型放出素子が特に好ましい。即ち、FE型ではエミ
ッタコーンとゲート電極の相対位置や形状が電子放出特
性を大きく左右するため、極めて高精度の製造技術を必
要とするが、これは大面積化や製造コストの低減を達成
するには不利な要因となる。またMIM型では、絶縁層
と上電極の膜厚を薄くてしかも均一にする必要がある
が、これも大面積化や製造コストの低減を達成するには
不利な要因となる。その点、本実施の形態の表面伝導型
放出素子は比較的製造方法が単純なため、大面積化や製
造コストの低減が容易である。また、本願発明者らは表
面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしくはその周
辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電子放出特
性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見出してい
る。従って、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電
子ビーム源に用いるには最も好適であるといえる。そこ
で、上記実施の形態の表示パネル1000においては、
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した
表面伝導型放出素子を用いた。
【0048】そこで、まず好適な表面伝導型放出素子に
ついて基本的な構成と製法および特性を説明し、その後
で多数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビー
ム源の構造について述べる。
【0049】(表面伝導型電子放出素子の好適な素子構
成と製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜か
ら形成する表面伝導型電子放出素子の代表的な構成に
は、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0050】図17は、本実施の形態の表示パネル10
00に使用されるマルチ電子源の製造工程の概略を示す
図である。
【0051】まずステップS100で、後述するように
基板1001上に電極及び導電性薄膜を形成し、ステッ
プS101で、その基板を含む気密容器を作成し、その
気密容器内の排気した後、その電極間に電圧を印加して
電子放出部を形成する。そしてステップS102で、そ
の電子放出部に対して通電して活性化を実施する。
【0052】(平面型の表面伝導型電子放出素子)まず
平面型表面伝導型電子放出素子の素子構成と製法につい
て説明する。
【0053】図18に示すのは、平面型の表面伝導型電
子放出素子の構成を説明するための平面図(a)および
断面図(b)である。
【0054】図中、1101は基板、1102と110
3は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電
フォーミング処理により形成した電子放出部、1113
は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0055】基板1101としては、例えば、石英ガラ
スや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アル
ミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述
の各種基板上に、例えばSiO2を材料とする絶縁層を
積層した基板などを用いることができる。また、基板1
101上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極
1102と1103は、導電性を有する材料によって形
成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,
Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじめとする金属、
或はこれらの金属の合金、或はIn2O3 −SnO2をは
じめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、な
どの中から適宜材料を選択して用いればよい。これら電
極1102,1103を形成するには、例えば真空蒸着
などの製膜技術とフォトリソグラフィ、エッチングなど
のパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形成
できるが、それ以外の方法(例えば印刷技術)を用いて
形成してもさしつかえない。
【0056】素子電極1102と1103の形状は、こ
の表面伝導型電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設
計される。一般的には、電極間隔Lは通常は数百オング
ストロームから数百マイクロメータの範囲から適当な数
値を選んで設計されるが、なかでも表示装置に応用する
ために好ましいのは数マイクロメータより数十マイクロ
メータの範囲である。また、素子電極の厚さdについて
は、通常は数百オングストロームから数マイクロメータ
の範囲から適当な数値が選ばれる。
【0057】また、導電性薄膜1104の部分には微粒
子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素と
して多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)の
ことをさす。この微粒子膜を微視的に調べれば、通常
は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、或は微
粒子が互いに隣接した構造か、或は微粒子が互いに重な
り合った構造が観測される。この微粒子膜に用いた微粒
子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロ
ームの範囲に含まれるものであるが、なかでも好ましい
のは10オングストロームから200オングストローム
の範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に
述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、
素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接
続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良
好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後
述する適宜の値にするために必要な条件などである。具
体的には、数オングストロームから数千オングストロー
ムの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいのは1
0オングストロームから500オングストロームの間で
ある。
【0058】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,A
u,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
O2,In2O3,PbO,Sb2O3などをはじめとする
酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB
4,GdB4などをはじめとする硼化物や、TiC,Zr
C,HfC,TaC,SiC,WCなどをはじめとする
炭化物や、TiN,ZrN,HfNなどをはじめとする
窒化物や、Si,Geなどをはじめとする半導体や、カ
ーボンなどがあげられ、これらの中から適宜選択され
る。
【0059】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0060】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図18の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0061】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。この亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述す
る通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。
この亀裂内には、数オングストロームから数百オングス
トロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、
実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示す
るのは困難なため、図18においては模式的に示した。
【0062】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0063】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もし
くはその混合物であり、膜厚は500[オングストロー
ム]以下とするが、300[オングストローム]以下と
するのがさらに好ましい。
【0064】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図18においては模式
的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜11
13の一部を除去した素子を図示した。
【0065】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施の形態においては以下のような素子を用いた。
【0066】即ち、基板1101には青板ガラスを用
い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。
【0067】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0068】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図19(a)〜
(d)は、表面伝導型電子放出素子の製造工程を説明す
るための断面図で、各部材の表記は前記図18と同一で
ある。
【0069】(1)まず、図19(a)に示すように、
基板1101上に素子電極1102および1103を形
成する。この素子電極1102,1103を形成するに
あたっては、予め基板1101を洗剤、純水、有機溶剤
を用いて十分に洗浄した後、素子電極の材料を堆積させ
る。この材料を堆積する方法としては、例えば、蒸着法
やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。その
後、堆積した電極材料をフォトリソグラフィ・エッチン
グ技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の
素子電極(1102と1103)を形成する。
【0070】(2)次に、同図(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0071】この導電性薄膜を形成するにあたっては、
まず前記(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥
し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリ
ソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニ
ングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用
いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶
液である。具体的には、本実施の形態では主要元素とし
てPdを用いた。また、実施の形態では塗布方法とし
て、ディッピング法を用いたが、それ以外のたとえばス
ピンナー法やスプレー法を用いてもよい。
【0072】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施の形態で用いた有機金属溶液の
塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0073】(3)次に、同図(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する。この通電フ
ォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1
104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形も
しくは変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に変
化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性
薄膜のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した部
分(即ち、電子放出部1105)においては、薄膜に適
当な亀裂が形成されている。尚、この電子放出部110
5が形成される前と比較すると、形成された後は、素子
電極1102と1103の間で計測される電気抵抗は大
幅に増加する。
【0074】このフォーミング時の通電方法をより詳し
く説明するために、図20に、フォーミング用電源11
10から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。
【0075】微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミ
ングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施
の形態の場合には、同図に示したようにパルス幅T1の
三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。そ
の際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧し
た。また、電子放出部1105の形成状況をモニタする
ためのモニタパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの
間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計
測した。
【0076】本実施の形態においては、例えば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、例え
ばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10
[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1
[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加す
るたびに1回の割りで、モニタパルスPmを挿入した。
ここでフォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないよ
うに、モニタパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定し
た。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵
抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即ち、モ
ニタパルス印加時に電流計1111で計測される電流が
1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フ
ォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0077】尚、上記の方法は、本実施の形態の表面伝
導型電子放出素子に関する好ましい方法であり、例えば
微粒子膜の材料や膜厚、或は素子電極間隔Lなど表面伝
導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それに応
じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0078】(4)次に、図19(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。この通電活性化処理とは、
前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部
1105に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素
もしくは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである。
(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積
物を部材1113として模式的に示した。)なお、通電
活性化処理を行うことにより、行う前と比較して、同じ
印加電圧における放出電流を典型的には100倍以上に
増加させることができる。
【0079】具体的には、10のマイナス2乗乃至10
のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電
圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中
に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化
合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファ
イト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストローム]以下、より好ましくは300[オングスト
ローム]以下である。
【0080】この通電活性化における通電方法をより詳
しく説明するために、図21(a)に、活性化用電源1
112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実
施の形態においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加
して通電活性化処理を行ったが、具体的には、矩形波の
電圧Vacは14[V]、パルス幅T3は1[ミリ
秒]、パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。尚、上
述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型電子放出素
子に関する好ましい条件であり、表面伝導型電子放出素
子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜
変更するのが望ましい。
【0081】図19(d)に示す1114は該表面伝導
型電子放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉する
ためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および
電流計1116が接続されている。尚、基板1101を
表示パネル1000の中に組み込んでから活性化処理を
行う場合には、表示パネル1000の蛍光面をアノード
電極1114として用いる。そして活性化用電源111
2から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流I
eを計測して通電活性化処理の進行状況をモニタし、活
性化用電源1112の動作を制御する。電流計1116
で計測された放出電流Ieの一例を図21(b)に示
す。
【0082】こうして活性化電源1112からパルス電
圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放出電流I
eは増加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくな
る。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活
性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性
化処理を終了する。
【0083】なお、上述の通電条件は、本実施の形態の
表面伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であり、
表面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、そ
れに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0084】以上のようにして、図19(e)に示す平
面型の表面伝導型電子放出素子を製造した。
【0085】(垂直型の表面伝導型電子放出素子)次
に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成し
た表面伝導型電子放出素子のもうひとつの代表的な構
成、すなわち垂直型の表面伝導型電子放出素子の構成に
ついて説明する。
【0086】図22は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図である。
【0087】図において、1201は基板、1202と
1203は素子電極、1206は段差形成部材、120
4は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォ
ーミング処理により形成した電子放出部、1213は通
電活性化処理により形成した薄膜である。
【0088】この垂直型の表面伝導型電子放出素子が先
に説明した平面型の表面伝導型電子放出素子と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。従
って、図18の平面型素子における素子電極間隔Lは、
垂直型においては、段差形成部材1206の段差高Ls
として設定される。尚、基板1201、素子電極120
2および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜120
4、については、前記平面型の説明中に列挙した材料を
同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1
206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性
の材料を用いる。
【0089】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子の
製法について説明する。図23(a)〜(f)は、製造
工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図
22と同一である。
【0090】(1)まず、図23(a)に示すように、
基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0091】(2)次に、同図(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、
例えば、真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用い
てもよい。
【0092】(3)次に、同図(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0093】(4)次に、同図(d)に示すように、絶
縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0094】(5)次に、同図(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0095】(6)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する
(図19(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミ
ング処理と同様の処理を行えばよい)。
【0096】(7)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる(図19(d)を用いて説明し
た平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよ
い)。
【0097】以上のようにして、図23(f)に示す垂
直型の表面伝導型電子放出素子を製造した。
【0098】(表示装置に用いた表面伝導型電子放出素
子の特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型電子放出
素子について、その素子構成と製法を説明したが、次に
表示装置に用いた素子の特性について述べる。
【0099】図24は、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、及び(素子電
流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示
す。尚、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さ
く、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、これらの
特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを変更す
ることにより変化するものであるため、2本のグラフは
各々任意の単位で図示した。
【0100】この表示装置に用いた表面伝導型電子放出
素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性
を有している。
【0101】第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと
呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放
出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電
圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放
出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0102】第2に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ie
の大きさを制御できる。
【0103】第3に、表面伝導型電子放出素子に印加す
る電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速
度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって
素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0104】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を表示装置に好適に用いることができ
た。例えば、多数の素子を表示画面の画素に対応して設
けた表示装置において、第1の特性を利用すれば、表示
画面を順次走査して表示を行うことが可能である。即
ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧
Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾
値電圧Vth未満の電圧を印加する。そして駆動する素子
を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査
して表示を行うことが可能である。
【0105】また、第2の特性か、又は第3の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0106】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型電子放
出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造について述べる。
【0107】図25に示すのは、前述の図1の表示パネ
ル1000に用いたマルチ電子ビーム源の平面図であ
る。ここで、基板1001上には、図19で示したもの
と同様な表面伝導型電子放出素子が配列され、これらの
素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極100
4とにより、単純マトリクス状に配線されている。行方
向配線電極1003と列方向配線電極1004の交差す
る部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されてお
り、電気的な絶縁が保たれている。
【0108】図25のA−A’に沿った断面図を図26
に示す。
【0109】尚、このような構造のマルチ電子源は、予
め基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1
004、電極間絶縁層(不図示)および表面伝導型電子
放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向
配線電極1003および列方向配線電極1004を介し
て各素子に給電して、前述したように、通電フォーミン
グ処理と通電活性化処理を行うことにより製造した。
【0110】[実施の形態1] (表示パネル1000の駆動回路の説明)次に、本実施
の形態の表示パネル1000を用いた実施の形態1の画
像表示装置の電気回路の構成を説明する。
【0111】図3は、本実施の形態の表示パネル100
0を駆動するための実施の形態1の回路の基本構成を示
すブロック図である。
【0112】図中、23はデコーダで、入力したテレビ
ジョン信号(NTSC信号等)から同期信号S1と画像
データ(RGB信号)を分離し、同期信号S1をタイミ
ング制御回路15に出力するとともに、画像データをデ
ータ配列変換器22に出力している。タイミング制御回
路15は、この同期信号S1からスイッチ切り換え信号
S2,S3を発生して、それぞれ切替回路18のスイッ
チ17及び電圧供給回路20のスイッチ21に出力して
いる。尚、信号S2,S3のそれぞれは、1水平走査
(1H)毎に各スイッチ17,21を切換えている。デ
ータ配列変換器22は、入力したRGB画像データをシ
リアル/パラレル変換器14にシリアルで出力してい
る。こうしてシリアル/パラレル変換器14でシリアル
からパラレルデータに変換された画像データ(D1〜D
n)は、パルス幅変調器13に入力されてパルス幅変調
され、パルス幅変調信号(D1'〜Dn')として変調信号
電圧変換器12に出力される。こうして電圧信号に変換
されたパルス信号が表示パネル1000の列方向端子
(Dy1〜Dyn)に入力される。スイッチ21はこの電圧
信号の極性を切り換えるためのスイッチで、電源26或
は27のいずれかからの電圧を変調信号電圧変換器12
に出力している。24は高圧端子Hvにアノード電圧
(加速電圧)Vaを入力するための電源である。
【0113】20は変調信号電圧発生器12に電圧を供
給する電圧供給回路である。19は走査行選択回路で、
表示パネル1000の表示駆動する行を選択して、その
選択した行にパルス信号S5を出力している。反転回路
25は、パルス発生器16から出力されるパルス信号S
4の極性を反転するための反転回路である。
【0114】以下、各部の機能について説明する。
【0115】入力したテレビジョン信号は、デコーダ2
3により同期信号S1と画像データとに分離されて出力
されている。データ配列変換器22は、デコーダ23か
ら供給される3原色(RGB)の輝度信号を表示パネル
1000の画素配列に合わせてサンプリングし、シリア
ルな画像データとしてシリアル/パラレル変換器14に
出力している。タイミング制御回路15はデコーダ23
より供給される同期信号S1に基づいて各部の動作タイ
ミングを調整するためのタイミング制御信号(S2,S
3,および他の不図示の信号)を発生している。シリア
ル/パラレル変換器14は、データ配列変換器22から
出力された画像データを画像の1ライン分(即ち、n画
素)を蓄積し、シリアル信号からパラレル信号に変換し
てD1〜Dnで示されるn個の並列画像データを出力して
いる。パルス幅変調器13は、シリアル/パラレル変換
器14から入力されるn個の画素データに基づいてパル
ス幅変調信号D1'〜Dn'を変調信号電圧変換器12に出
力している。
【0116】変調信号電圧変換器12は、パルス幅変調
器13から出力された変調信号の電圧を、マルチ電子ビ
ーム源を駆動するのに適した電圧に変換するための電圧
変換回路である。この変調信号電圧変換器12には、電
圧供給回路20からそれぞれ極性の異なる電圧が供給さ
れる。この電圧供給回路20には切替えスイッチ21が
設けられており、スイッチ21は信号S3により1水平
同期時間(1H)ごとに切り替えられる。即ち、スイッ
チ21がa側の端子に接続されている場合は、変調パル
スがハイレベルの時に−Vf[V]が印加され、スイッ
チ21がb側端子に接続されている時には+Vf[V]
が印加されるようになっている。
【0117】パルス発生器16は表示パネル1000の
1ラインを選択駆動するためのパルス信号S4を発生し
て切替回路18に出力している。この切替回路18は、
このパルス信号S4の極性を反転するための回路で、タ
イミング制御回路15からの信号S2により、切替えス
イッチ18が1Hごとに切り替えられる。この切替回路
18から出力される信号S5は、スイッチ17がa側端
子に接続されている時には、パルス発生器16からのパ
ルス信号S4がそのまま走査行選択回路19に出力さ
れ、スイッチ17がb側端子に接続されている時には、
反転器25を通って、その極性が反転された信号S5と
して走査行選択回路19に入力される。走査行選択回路
19は、タイミング制御回路15からの信号S2に応じ
て表示パネル1000の行方向端子Dx1〜Dxmのm本の
走査ラインのうち、1つの行方向ラインを選択して、そ
の選択した走査線に信号S5を伝達している。
【0118】図4は、本実施の形態1の表示パネル10
00の電子源基板の構成を説明する図で、ここでは水平
型の電子放出素子の場合で示している。
【0119】ここで例えば、表示パネル1000のi行
目の蛍光体1008−1に表示する際には、電子放出素
子1002の内、電子放出部1105が図のY軸に対し
て反時計回り方向にθ度の角度となるように配置され、
行方向配線1003−2に接続された電極1102と、
列方向配線1004−1に接続された電極1103とに
挟まれている放出素子が駆動される。また、表示パネル
1000の(i+1)行目の蛍光体1008−2に表示
する際には、電子放出素子1002の内、電子放出部1
105が図のY軸に対して時計回り方向にθ度の角度と
なるように配置され、列方向配線1004−1,100
4−2に接続された電極1103と行方向配線1003
−2に接続された電極1102とに挟まれている放出素
子が駆動される。従って、i行目に画像を表示する場合
には、走査行選択回路19で行方向配線1003−2を
選択して、その行方向配線に正の電位を印加し、列方向
配線の各対となっている線(例えば図4の1004−
1)に同じ負極性のパルス信号を印加することにより達
成でき、また(i+1)行を表示する際には、走査行選
択回路19で行方向配線1003−2を選択して、その
行方向配線に負の極性の電位を印加し、列方向配線の隣
接する2つの線(例えば図4の1004−1の右側の線
と1004−2の左側の線)に同じ正極性のパルス信号
を印加することにより達成できる。尚、図4において、
点線で示された部分1008は、フェースプレート10
07上の蛍光体位置を示している。
【0120】尚、変調信号電圧変換器12は、常に隣接
する2本の列方向端子を選択して、これら2つの端子に
同じ映像信号に基づくパルス幅変調信号を印加してい
る。また走査行選択回路19は、例えばノンインターレ
ースで表示する際には、2行表示すると次の走査行を選
択し、インターレース表示の場合は各行を表示するごと
に次の走査行を選択するように動作する。
【0121】図5は、1つの電子放出素子1002の電
子放出部1105を図4の断面A−A’で切った場合の
断面図である。
【0122】本実施の形態の表示パネル1000では、
フェースプレート1007の内側には蛍光体1008が
塗布されている。電極1102,1103はそれぞれ行
方向配線1003、列方向配線1004と接続されてお
り、ある値以上の素子電圧(Vf[V])が印加される
と、電子放出部1105から電子が放出される。こうし
て放出された電子は、フェースプレート1007と電子
放出部1105との間に印加されたアノード電圧Va
[V]によりフェースプレート1007方向に加速され
てフェースプレート1007に照射される。この時、放
出された電子は中心軸100に沿って電子放出部110
5の真上方向に進むのではなく、電子軌道101で示す
ように進む。この電子軌道101は、電極1102が正
極性で電極1103が負極性となるよう素子電圧Vfを
印加した場合のものである。この場合、中心軸100と
電子のランディング位置との間の距離Lefは次式(1)
により算出できる。
【0123】
【数1】
【0124】 Lef=2×K×Lh×SQRT(Vf/Va) (1) 但し、Lh[m]は、放出素子と蛍光体との距離 Kは、放出素子の種類や形状により決まる定数 SQRT(A)は、Aの平方根を示している。
【0125】定電圧源24は、端子Hvを介して表示パ
ネル1000の蛍光膜1008にVa[V]のアノード
電圧を印加している。
【0126】次に、本実施の形態1の表示駆動回路にお
ける動作タイミングを図6のタイミングチャートを参照
して説明する。図中、図3と共通する信号を示す記号は
同じものを使用している。
【0127】NTSC信号等の映像信号は、デコーダ2
3、データ配列変換器22、シリアル/パラレル変換器
14、パルス幅変調器13を通ってパルス幅変調信号D
1'〜Dn'に変換される。図6のパルス幅信号D'jは列方
向のj番目の信号を示し、D'j+1は同じ列方向の(j+
1)番目の信号を、D'j+2は(j+2)番目の列方向信
号を示したものである。これらのパルス信号は、最初の
1水平走査期間(1H)では、列方向信号D'jとD'j+1
に同じ信号が入力され、次の1水平走査期間(1H)で
は信号D'j+1とD'j+2に同じ信号が入力されるというパ
ターンが繰り返される。
【0128】タイミング制御回路15から出力されるス
イッチ切替え信号S2,S3は、1Hごとに発生されて
スイッチ17,21のそれぞれを切り換えている。図6
において、各信号S2,S3における“a”“b”は、
各スイッチにおいて接続される端子を表している。電圧
供給回路20から変調信号電圧変換器12に供給される
電圧は、スイッチ21が端子aに接続されている時には
負極性に、端子bに接続されている時には正極性にな
る。このため表示パネル1000に入力される映像信号
Dyj,Dyj+1,Dyj+2は、図6に示す様になる。
【0129】また、パルス発生器16から出力されるパ
ルス信号S4は、1H周期で発生する。本実施の形態1
では、パルス信号S4の極性を正極性とする。このパル
ス信号S4の極性を切り換えるための切替回路18のス
イッチ17を切り換えるための信号S2は、タイミング
制御回路15から1H周期で出力されるので、スイッチ
17は1Hごとに端子aと端子bとに交互に接続され
る。これにより切替回路18から出力される走査信号D
xiは、図6に示すように、1Hごとに極性が反転した信
号となる。この時、映像信号Dyj,Dyj+1,Dyj+2と走
査信号S5の極性とは常に反対でなければならない。
【0130】このようなタイミングで表示パネル100
0を駆動すると、表示パネル1000のi行目の電子放
出素子には、最初の1Hでは映像信号(Dy1〜Dyn)が
負極性で、走査信号(Dx1〜Dxm)が正極性となって電
圧が印加され、次の1Hでは映像信号(Dy1〜Dyn)が
正極性で、走査信号(Dx1〜Dxm)が負極性となって電
圧が印加される。
【0131】図5を参照して前述したように、本実施の
形態の表面伝導型素子は電極1102が正極性、電極1
103が負極性の時は、電子放出部1105から放出さ
れる電子は電子軌道101を描いて蛍光体1008に到
達する。ここで電極1102を負極性、電極1103を
正極性というように、電極1102,1103の極性を
反対にすると、電子軌道は102(図の破線)で示すよ
うになる。
【0132】図7は、以上の様にして実施の形態1の表
示パネル1000を駆動した際、各々の電子放出部11
05からどのように蛍光体1008に電子が照射される
かを示した図である。
【0133】図7は、表示パネル1000を図1のZ軸
方向から見た図であり、蛍光体1008はフェースプレ
ート1007の内側に設けられており、列方向配線10
04、行方向配線1003、電極1102,1103及
び放出素子1002はリアプレート(基板)1001上
に配置されている。
【0134】図7において、矢印は電子放出部1105
から放出される電子の軌道を示しており、矢印の始点は
電子放出部1105、終点は蛍光体1008上にある。
【0135】最初の1Hでは、i行目の放出素子100
2に、列方向配線1004より映像信号(Dy1〜Dyn)
が負極性で、行方向配線1003より走査信号(Dx1〜
Dxn)が正極性で印加される。すると電子の軌道は図の
実線で示す矢印のようになり、2i行目の蛍光体100
8に照射される。この時、j列目の蛍光体1008に
は、2つの放出素子からの電子が照射される。ここでj
列目の蛍光体を照射している2つの放出素子の映像信号
線には同じ映像信号(パルス幅変調信号)が入力されて
いるので、j列目の蛍光体1008は1つの放出素子か
らの電子で発光する場合に比べて2倍の輝度で発光する
ことになる。
【0136】このようにして1Hごとに走査信号(Dx1
〜Dxn)と映像信号(Dy1〜Dyn)の極性を入れ変え、
最初の1Hと次の1Hで対になる2本の列方向配線を変
えながら、隣合う列方向配線1004に同じ映像信号を
印加することにより、デルタ配列の蛍光体1008を使
用して2倍の輝度の画像を表示することができる。
【0137】[実施の形態2]次に、実施の形態2の表
示装置の表示回路の構成について図8を参照して説明す
る。図8は、本実施の形態2の表示回路の基本構成を示
すブロック図で、前述の図3と共通する部分は同じ番号
で示し、その説明を省略している。
【0138】図9は、表示パネル1000における素子
配列を説明するための図である。
【0139】表示パネル1000のj列目の素子は、放
出素子1002の電子放出部1105が図のY軸に対し
て反時計回り方向に60度の角度となるように配置さ
れ、行方向配線1003に接続された電極1102と列
方向配線1004に接続された電極1103とに挟まれ
ている。また表示パネル1000の(j+1)列目の素
子は、放出素子1002の電子放出部1105が図のY
軸に対して時計回り方向に60度の角度となるように配
置され、列方向配線1004に接続された電極1103
と行方向配線1003に接続された電極1102とに挟
まれている。各放出素子1002は、蛍光体1008の
2行に対して1行の割合で配置され、かつ1行における
放出素子の数は、i行の蛍光体1008の数と(i+
1)行の蛍光体1008の数との和に等しくなってい
る。また、行方向配線1003の数は放出素子の行数と
同じ数であり、列方向配線1004の数は1行中の放出
素子の数と同じになっている。
【0140】尚、この実施の形態2においても、表示パ
ネル1000における放出素子1002と放出電子のラ
ンディング位置との関係は、前述の図5の場合と同様で
ある。
【0141】走査信号発生器29は、画像を表示するタ
イミングに合わせて、表示パネル1000が内蔵するマ
ルチ電子ビーム源を順次走査するための走査信号を発生
している。具体的には、表示パネル1000の行方向端
子Dx1〜Dxmに接続されたm本の走査線の内の1ライン
に選択電圧Vs[V]を、他の(m−1)ラインに非選
択電圧を印加している。このラインの切替は、タイミン
グ制御回路15aから出力される走査タイミング制御信
号S2に基づいて行われる。
【0142】図10は、以上のように表示装置を駆動し
た際、各々の電子放出部1105からどのように蛍光体
1008に電子が照射されるのかを示した図である。
【0143】図10は、表示パネル1000を図1のZ
軸方向から見た図であり、蛍光体1008はフェースプ
レート1007の内側に設けられており、列方向配線1
004、行方向配線1003、電極1102,1103
及び放出素子1002は、基板1001上に配置されて
いる。
【0144】図10において、矢印は電子放出部110
5から放出される電子の軌道を示し、矢印の始点は電子
放出部1105、終点は蛍光体1008上に位置してい
る。以下、この図を参照して表示パネル1000のi行
目に表示する場合を説明する。
【0145】走査信号発生器29によりi行目の走査線
1003−iが選択されると、そのi行目の行方向配線
1003−iの電位はVs[V]に、列方向配線100
4の電位がVf[V]になる。これにより放出素子10
02から電子が放出され、その軌道は図10の矢印のよ
うになる。
【0146】即ち、図10に示すように、i行目の放出
素子の内、列方向配線1004−1,1004−3,1
004−5等に接続された放出素子から放出された電子
は2i行目の蛍光体1008に照射され、同じi行目の
放出素子の内、列方向配線1004−2,1004−4
等に接続された放出素子から放出された電子は(2i+
1)行目の蛍光体1008に照射されている。同様に、
(i+1)行目の放出素子の内、列方向配線1004−
1,1004−3,1004−5等に接続された放出素
子から放出された電子は(2i+2)行目の蛍光体10
08に照射され、同じ(i+1)行目の放出素子の内、
列方向配線1004−2,1004−4等に接続された
放出素子から放出された電子は(2i+3)行目の蛍光
体1008に照射されている。ここで2i行目の蛍光体
1008と(2i+1)行目の蛍光体1008とは、行
方向に1/2ピッチずれて配置されているため、デルタ
配列をした2行の蛍光体が1度で照射されて発光するこ
とになる。
【0147】図11は、本発明の実施の形態2の表示回
路の動作タイミングを示すタイミング図である。
【0148】このようにして1行に配列された放出素子
の電子放出部1105の角度を、j列目では画面の鉛直
方向に対して反時計回りに−60度、(j+1)列目で
は60度というように交互に傾けて配置することによ
り、電子放出素子を正マトリクス状に配列して列方向配
線1004を蛇行させることなく、デルタ状に配列され
た蛍光体1008に電子を照射させて画像を表示するこ
とができる。また、1行の放出素子を選択して2行分の
蛍光体1008を同時に発光させることができるため1
行当たりの発光時間を約2倍にでき、その発光輝度を約
2倍にすることができる。
【0149】[実施の形態3]次に本発明の実施の形態
3について説明する。本実施の形態3の場合も、表示パ
ネル1000の製法、その好ましい電子放出素子100
2の構造と製法、電気回路の構成については前述の実施
の形態と同じである。但し、前述の実施の形態において
は、図3の列方向配線1004の本数が1行中の放出素
子の個数と同数で、行方向配線1003の本数が放出素
子の行数と同数であったのに対して、本実施の形態3で
は列方向配線1004の本数は1行中の蛍光体1008
の数と同数、行方向配線1003の数は蛍光体1008
の行数と同じであるという点が異なる。このため前述の
実施の形態1における図1の構成は本実施の形態3では
図12のようになり、前述の図25は図13のようにな
る。
【0150】また、前述の実施の形態2においては、走
査線(行方向配線1003)側が負極性で、映像信号
(列方向配線1004)側が正極性となるように信号を
入力していたが、本実施の形態3においては、これとは
逆に走査線側を正極性、映像信号側を負極性となるよう
に信号を入力する。尚、この実施の形態3における画像
表示回路の構成は、前述の図8の構成において、電源2
8の出力を負極性にし、走査信号発生器29の出力信号
を正極性とすることで実現できるため、その説明を省略
する。
【0151】本実施の形態3の表示パネル1000aの
構成を図14に示す。
【0152】表示パネル1000aのi行目を表示する
際には、放出素子の電子放出部1105が図のY軸に対
して反時計回り方向に60度の角度で配置された放出素
子が選択駆動され、(i+1)行目を表示する際には、
同じく電子放出部1105が図のY軸に対して時計回り
方向に60度の角度となるように配置された放出素子が
選択駆動されて表示が行われる。この表示パネル100
0aでは、電子放出素子は蛍光体1008の2行に対し
て1行の割合で配置され、かつ1行における放出素子の
数はi行の蛍光体1008の数と(i+1)行の蛍光体
1008の数との和となっている。また、行方向配線1
003の数は、蛍光体1008の行数と同じ数、更に列
方向配線1004の数は1行中の蛍光体1008の数と
同じ数である。
【0153】次に、この表示パネル1000aを用いて
表示を行う場合の動作を図15を用いて説明する。
【0154】図15は、前述の図10と同様に図12の
表示パネル1000aをZ軸方向から見た図である。
【0155】2i行目の蛍光体1008を発光させる際
には、2i行目の行方向配線1003−1を選択し、列
方向配線1004から映像信号を入力する。これにより
i行目の放出素子の内、2i行目の行方向配線1003
−1に接続された放出素子から電子が図の実線矢印のよ
うに放出され、この放出された電子は2i行目の蛍光体
1008に照射される。
【0156】次に(2i+1)行目の蛍光体1008を
発光させる際には、(2i+1)行目の行方向配線10
03−2を選択し、列方向配線1004から映像信号を
入力する。これにより、i行目の放出素子の内、(2i
+1)行目の行方向配線1003−2に接続された放出
素子から電子が図の破線矢印のように放出され、この放
出された電子は(2i+1)行目の蛍光体1008に照
射される。
【0157】この実施の形態3における動作タイミング
を図16に示す。
【0158】このようにして列方向配線を配線を蛇行さ
せることなく、デルタ状に配列された蛍光体1008に
電子を照射して画像表示を行うことができる。更に、本
実施の形態3の場合、前述の実施の形態2に比べて、列
方向配線1004の配線ピッチを2倍にとることができ
るため、表示パネルの製作がより容易となる。
【0159】図27は、本実施の形態の表面伝導型電子
放出素子を電子ビーム源として用いた表示パネル100
0に、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画
像情報源より提供される画像情報を表示できるように構
成した多機能表示装置の一例を示すブロック図である。
【0160】図中、1000は本実施の形態の表示(デ
ィスプレイ)パネル、2101は表示パネル1000の
駆動回路、2102はディスプレイコントローラ、21
03はマルチプレクサ、2104はデコーダ、2105
は入出力インターフェース回路、2106はCPU、2
107は画像生成回路、2108および2109および
2110は画像メモリインターフェース回路、2111
は画像入力インターフェース回路、2112および21
13はTV信号受信回路、2114は入力部である。
尚、本実施の形態の表示装置は、例えばテレビジョン信
号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信
する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生する
ものであるが、本実施の形態の表示パネル1000の特
徴と直接関係しない音声情報の受信、分離、再生、処
理、記憶などに関する回路やスピーカなどについては説
明を省略する。以下、画像信号の流れに沿って各部の機
能を説明する。
【0161】まず、TV信号受信回路2113は、例え
ば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝
送されるTV画像信号を受信するための回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例
えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式など
の諸方式でもよい。また、これらより更に多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとする
いわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適し
た前記表示パネル1000の利点を生かすのに好適な信
号源である。TV信号受信回路2113で受信されたT
V信号は、デコーダ2104に出力される。TV信号受
信回路2112は、例えば同軸ケーブルや光ファイバな
どのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号
を受信するための回路である。またTV信号受信回路2
113と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られ
るものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデ
コーダ2104に出力される。
【0162】画像入力インターフェース回路2111
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画
像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回
路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力
される。画像メモリインターフェース回路2110は、
ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶され
ている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた
画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリ
インターフェース回路2109は、ビデオディスクに記
憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込
まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像
メモリインターフェース回路2108は、いわゆる静止
画ディスクのように、静止画像データを記憶している装
置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた
静止画像データはデコーダ2104に出力される。入出
力インターフェース回路2105は、本表示装置と、外
部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークも
しくはプリンタなどの出力装置とを接続するための回路
である。画像データや文字データ・図形情報の入出力を
行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の
備えるCPU2106と外部との間で制御信号や数値デ
ータの入出力などを行うことも可能である。
【0163】また、画像生成回路2107は、前記入出
力インターフェース回路2105を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、或はCPU21
06より出力される画像データや文字・図形情報に基づ
き表示用画像データを生成するための回路である。本回
路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄
積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応
する画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリ
や、画像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとし
て画像の生成に必要な回路が組み込まれている。本回路
により生成された表示用画像データは、デコーダ210
4に出力されるが、場合によっては前記入出力インター
フェース回路2105を介して外部のコンピュータネッ
トワークやプリンタ入出力することも可能である。
【0164】CPU2106は、主として本表示装置の
動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業
を行う。例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を
出力し、表示パネル1000に表示する画像信号を適宜
選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示
する画像信号に応じてディスプレイパネル・コントロー
ラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数
や走査方法(例えばインターレースか、ノンインターレ
ースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適
宜制御する。そして画像生成回路2107に対して画像
データや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは前
記入出力インターフェース回路2105を介して外部の
コンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字
・図形情報を入力する。なお、CPU2106は、むろ
んこれ以外の目的の作業にも関わるものであっても良
い。例えば、パーソナルコンピュータやワードプロセッ
サなどのように、情報を生成したり処理する機能に直接
関わっても良い。あるいは、前述したように入出力イン
ターフェース回路2105を介して外部のコンピュータ
ネットワークと接続し、例えば数値計算などの作業を外
部機器と協動して行っても良い。
【0165】入力部2114は、前記CPU2106に
使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力
するためのものであり、例えばキーボードやマウスのほ
か、ジョイスティック、バーコードリーダ、音声認識装
置など多様な入力機器を用いる事が可能である。また、
デコーダ2104は、前記2107ないし2113より
入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信
号とI信号、Q信号に逆変換するための回路である。な
お、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内
部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えば
MUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像
メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためであ
る。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表
示が容易になる、あるいは前記画像生成回路2107お
よびCPU2106と協同して画像の間引き、補間、拡
大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に
行えるようになるという利点が生まれるからである。
【0166】マルチプレクサ2103は、CPU210
6より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択
するものである。即ち、マルチプレクサ2103はデコ
ーダ2104から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路2101に出
力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を
切り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビ
のように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異
なる画像を表示することも可能である。ディスプレイパ
ネル・コントローラ2102は、CPU2106より入
力される制御信号に基づき駆動回路2101の動作を制
御するための回路である。
【0167】まず、表示パネル1000の基本的な動作
にかかわるものとして、例えば表示パネル1000の駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路2101に対して出力する。また、表
示パネル1000の駆動方法に関わるものとして、例え
ば画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースか
ノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回
路2101に対して出力する。また場合によっては表示
画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといっ
た画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に対
して出力する場合もある。駆動回路2101は、表示パ
ネル1000に印加する駆動信号を発生するための回路
であり、マルチプレクサ2103から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネル・コントローラ2102
より入力される制御信号に基づいて動作するものであ
る。
【0168】以上、各部の機能を説明したが、図27に
例示した構成により、本実施の形態の表示装置において
は、多様な画像情報源より入力される画像情報を表示パ
ネル1000に表示することが可能である。即ち、テレ
ビジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ
2104において逆変換された後、マルチプレクサ21
03において適宜選択され、駆動回路2101に入力さ
れる。一方、ディスプレイコントローラ2102は、表
示する画像信号に応じて駆動回路2101の動作を制御
するための制御信号を発生する。駆動回路2101は、
上記画像信号と制御信号に基づいて表示パネル1000
に駆動信号を印加する。これにより、表示パネル100
0において画像が表示される。これらの一連の動作は、
CPU2106により統括的に制御される。
【0169】また、本実施の形態の表示装置において
は、前記デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、画
像生成回路2107およびCPU2106が関与するこ
とにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを
表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例え
ば拡大、縮小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補
間、色変換、画像の縦横比変換などをはじめとする画像
処理や、合成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどを
はじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本
実施の形態の説明では特に触れなかったが、上記画像処
理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集
を行うための専用回路を設けても良い。
【0170】従って、本実施の形態の表示装置は、テレ
ビジョン放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止
画像および動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの
端末機器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末
機器、ゲーム機などの機能を一台で兼ね備える事が可能
で、産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広
い。尚、この図27は、表面伝導型電子放出素子を電子
ビーム源とする表示パネル1000を用いた表示装置の
構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定されるも
のではない。例えば、図27の構成要素のうち使用目的
上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えな
い。またこれとは逆に、使用目的によってはさらに構成
要素を追加しても良い。例えば、この表示装置をテレビ
電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音声マ
イク、照明機、モデムを含む送受信回路などを構成要素
に追加するのが好適である。
【0171】この表示装置においては、とりわけ表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源とする表示パネル10
00が容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行き
を小さくすることが可能である。それに加えて、表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源とする表示パネル10
00は大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れ
るため、本表示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を
視認性良く表示することが可能である。
【0172】なお、本発明は、複数の機器(例えばホス
トコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリン
タなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの
機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置
など)に適用してもよい。
【0173】また、本発明の目的は、前述した実施形態
の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記
録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そ
のシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPU
やMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを
読出し実行することによっても、達成されることは言う
までもない。
【0174】この場合、記憶媒体から読出されたプログ
ラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することに
なり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発
明を構成することになる。
【0175】プログラムコードを供給するための記憶媒
体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディス
ク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD
−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMな
どを用いることができる。
【0176】また、コンピュータが読出したプログラム
コードを実行することにより、前述した実施形態の機能
が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示
に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレ
ーティングシステム)などが実際の処理の一部または全
部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が
実現される場合も含まれる。
【0177】さらに、記憶媒体から読出されたプログラ
ムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボード
やコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる
メモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に
基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わ
るCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、そ
の処理によって前述した実施形態の機能が実現される場
合も含まれる。
【0178】以上説明したように本実施の形態によれ
ば、デルタ配列の蛍光体を持つ表示装置において、列方
向配線を蛇行させる必要がなくなる。そのため、列方向
配線は直線でよく、配線作成の負荷を軽減できる。
【0179】また本実施の形態によれば、蛍光体の数に
対して電子放出素子の数を少なくできるため、製造コス
トの低減、装置の小型化を実現できる。
【0180】また1つの蛍光体に複数の電子放出素子か
らの放出電子を照射できるため、消費電力を増大させる
ことなく、その発光輝度を高めることができる。
【0181】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、列
方向配線を蛇行させることなく複数の電子放出素子をマ
トリクス上に配列した電子源とその駆動方法及び装置
と、前記電子源を用いた画像表示方法及びその装置を提
供できる。
【0182】また本発明によれば、デルタ状に配列され
た蛍光体を列方向配線を直線にして正マトリクス状に配
列された電子放出素子により照射駆動して画像を表示で
きるという効果がある。
【0183】また本発明によれば、1つの蛍光体を複数
の電子放出素子よりの放出電子で駆動することにより発
光輝度を高めることができる。
【0184】更に本発明によれば、表示に要する電子放
出素子の数を減らして製造コストの低下、製造工程の削
減を達成できるという効果がある。
【0185】また本発明によれば、1行に配列された電
子放出素子からの放出電子で2行分の画像を表示でき
る。
【0186】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の表示パネルの一部を切り欠いて
示す外観斜視図である。
【図2】本実施の形態の表示パネルに使用される蛍光体
の配列状態を説明する図である。
【図3】本実施の形態1の画像表示回路の構成を示すブ
ロック図である。
【図4】本実施の形態1の電子源の構成を示す平面図で
ある。
【図5】電子放出素子から放出された電子が蛍光体に到
達する位置関係を説明する図である。
【図6】本実施の形態1の回路の動作を示すタイミング
チャートである。
【図7】本実施の形態1における電子放出素子から蛍光
体への電子放出を説明する図である。
【図8】本実施の形態2の画像表示回路の構成を示すブ
ロック図である。
【図9】本実施の形態2の電子放出素子の配列を説明す
る図である。
【図10】本実施の形態2における電子放出素子から蛍
光体への電子放出を説明する図である。
【図11】本実施の形態1の回路の動作を示すタイミン
グチャートである。
【図12】本実施の形態3の表示パネルの一部を切り欠
いて示す外観斜視図である。
【図13】本実施の形態3の電子源の電子放出素子の配
列を示す図である。
【図14】本実施の形態3の表示パネルにおける電子放
出素子の配列を説明する図である。
【図15】本実施の形態3における電子放出素子から蛍
光体への電子放出を説明する図である。
【図16】本実施の形態3の回路の動作を示すタイミン
グチャートである。
【図17】本実施の形態におけるマルチ電子源の製造工
程を示すフローチャートである。
【図18】本実施の形態で用いた平面型の表面伝導型電
子放出素子の平面図(a)、断面図(b)である。
【図19】平面型の表面伝導型電子放出素子製造工程を
示す断面図である。
【図20】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形例
を示す図である。
【図21】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)、
放出電流Ieの変化(b)例を示す図である。
【図22】本実施の形態で用いた垂直型の表面伝導型電
子放出素子の断面図である。
【図23】垂直型の表面伝導型電子放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図24】本実施の形態で用いた表面伝導型電子放出素
子の典型的な特性を示すグラフ図である。
【図25】本実施の形態で用いたマルチ電子ビーム源の
基板の平面図である。
【図26】本実施の形態で用いたマルチ電子ビーム源の
基板の一部断面図である。
【図27】本発明の実施の形態である多機能画像表示装
置の構成を示すブロック図である。
【図28】従来の表面伝導型電子放出素子の構成を示す
図である。
【図29】従来のFE型電子放出素子の構成を示す図で
ある。
【図30】従来のMIM型電子放出素子の構成を示す図
である。
【図31】従来のマルチ電子源のマトリクス配線を説明
する図である。
【図32】デルタ配列の蛍光体を説明する図である。
【図33】蛍光体の配列に合わせて電子放出素子を配列
した際、電子放出素子が水平方向に1/2ピッチずれる
ことによる列方向配線の蛇行を説明する図である。
【符号の説明】
12 変調信号電圧変換器 13 パルス幅変調器 14 シリアル/パラレル変換器 15,15a タイミング制御回路 16 パルス発生器 17,21 切替スイッチ 19 走査行選択回路 22 データ配列変換器 24,26,27 電源 25 反転回路 29 走査信号発生器 1000,1000a 表示パネル 1001 絶縁性基板 1002 表面伝導型放出素子 1003 行方向配線 1004 列方向配線 1005 リアプレート 1007 フェースプレート 1008 蛍光膜 1010 黒色導電体 1102,1103,1202,1203 素子電極 1105、1205 電子放出部 1110 フォーミング用電源 1111,1116 電流計 1112 活性化用電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−198003(JP,A) 特開 平9−199064(JP,A) 特開 平9−213246(JP,A) 特開 平6−342636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 31/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが対向する一対の電極を有する
    複数の電子放出素子を複数の行方向配線及び列方向配線
    を用いてマトリクス状に配列した電子源を用いた画像表
    示装置であって、 前記複数の電子放出素子の配列形態とは異なるデルタ
    状に配置された複数の蛍光体を有する表示用プレート
    と、各電子放出素子の前記一対の電極が対向する方向と前記
    列方向配線の各方向とが交差し、1つの行において、隣
    接する電子放出素子間で、前記一対の電極が対向する方
    向が交差するように電子放出素子を 配置し、同一行に位
    置している前記電子放出素子の一方の電極が共通の行方
    向配線に接続され、前記同一行に位置している前記電子
    放出素子の他方の電極がそれぞれ異なる列方向配線に接
    された電子源と、 前記複数の電子放出素子を行単位に選択する走査行選択
    手段と、 前記走査行選択手段による選択に同期して選択された行
    方向配線に正極性の電位を印加する第1の行印加手段
    と、 前記第1の行印加手段により正極性の電位が印加された
    方向配線に接続された電子放出素子の隣接する各2個
    からなる第1の素子対群のそれぞれを接続する隣接する
    各2本の列方向配線のそれぞれに負極性で走査行の画像
    信号に応じたパルス幅の同じ電位を印加する第1の列印
    加手段と、 前記走査行選択手段による選択に同期して選択された
    行方向配線に負極性の電位を印加する第2の行印加手
    段と、 前記第2の行印加手段により負極性の電位が印加された
    前記方向配線に接続された電子放出素子の内、前記
    1の素子対群とは異なる電子放出素子の隣接する各2個
    からなる第2の素子対群のそれぞれを接続する隣接する
    各2本の列方向配線のそれぞれに正極性で前記走査行の
    次の走査行の画像信号に応じたパルス幅の同じ電位の画
    像信号を印加する第2の列印加手段とを有し、前記第1及び第2の素子対群の各素子対 からの放出電子
    前記複数の蛍光体のそれぞれを照射することを特徴と
    する画像表示装置。
  2. 【請求項2】 それぞれが対向する一対の電極を有する
    複数の電子放出素子 を複数の行方向配線及び列方向配線
    を用いてマトリクス状に配列した電子源を用いた画像表
    示装置であって、 前記複数の電子放出素子の配列形態とは異なるデルタ
    状に配置された複数の蛍光体を有する表示用プレート
    と、一つの行において、隣接する 列方向配線に対して時計回
    り方向と反時計回り方向に所定角度回転させた電子放出
    素子を交互に配置し、同一行に位置している前記電子放
    出素子の一方の電極が共通の行方向配線に接続され、前
    記同一行に位置している前記電子放出素子の他方の電極
    がそれぞれ列方向配線に接続された電子源と、 前記複数の電子放出素子を行単位に選択する走査行選択
    手段と、 前記走査行選択手段による選択に同期して選択された
    記共通の行方向配線に電圧を印加する行印加手段と、 前記共通の行方向配線に印加された電圧と逆極性で走査
    行の画像信号に応じたパルス幅の電圧を前記列方向配線
    の一つおきに印加する第1列印加手段と、前記共通の行方向配線に印加された電圧と逆極性で前記
    走査行の次の走査行の画像信号に応じたパルス幅の電圧
    を、前記第1列印加手段で印加した列方向の配線以外の
    配線に印加する第2印加手段と、 を備えることを特徴とする画像表示装置。
  3. 【請求項3】 それぞれが対向する一対の電極を有する
    複数の電子放出素子を複数の行方向配線及び列方向配線
    を用いてマトリクス状に配列した電子源を用いた画像表
    示装置であって、一つの行において、 時計回り方向と反時計回り方向に所
    定角度回転させた電子放出素子を交互に配置して共通の
    列方向配線に接続し、同一行に位置している前記電子放
    出素子の内の1つおきに配置された第1の電子放出素子
    の一方の電極が共通の行方向配線に接続され、前記同一
    行に位置している前記第1の電子放出素子以外の第2の
    電子放出素子の一方の電極が前記共通の行方向配線の次
    行方向配線に接続され、前記第1の電子放出素子の他
    方の電極がそれぞれ異なる列方向配線に接続され、前記
    第2の電子放出素子の他方の電極のそれぞれが前記複数
    列方向配線のそれぞれに接続された電子源と、 前記複数の電子放出素子を行単位に選択する走査行選択
    手段と、 前記走査行選択手段による選択に同期して、選択された
    電子放出素子を接続する前記共通の行方向配線に電圧を
    印加し、次の行走査のタイミングで前記共通の行方向配
    線の次の行方向配線に電圧を印加する行印加手段と、前記共通の行印加手段への電圧の印加に同期して、 前記
    共通の行方向配線に印加された電圧と逆極性で走査行の
    画像信号に応じたパルス幅の電圧を前記列方向配線のそ
    れぞれに印加し、前記共通の行方向配線の次の行方向配
    線への電圧の印加に同期して、前記走査行の次の行の画
    像信号に応じたパルス幅の電圧を前記列方向配線のそれ
    ぞれに印加する列印加手段と、 を有することを特徴とする画像表示装置。
  4. 【請求項4】 前記所定角度は60度であることを特徴
    とする請求項2又は3に記載の画像表示装置。
  5. 【請求項5】 前記電子放出素子の電子放出部の略中心
    が前記蛍光体の2行の間に位置し、かつ電子放出素子の
    行数は蛍光体の行数の半分であることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置
  6. 【請求項6】 前記電子放出素子の電子放出部の略中心
    が行方向に対して蛍光体の行方向の長さを約1:3に分
    割する位置に設けられていることを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置
  7. 【請求項7】 前記電子放出素子は表面伝導型放出素子
    であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項
    に記載の画像表示装置
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の画像表示装置における
    画像表示方法であって、 前記複数の電子放出素子を行単位に選択する工程と、 行の選択に同期して選択された行方向配線に正極性の電
    位を印加する工程と、 前記正極性の電位が印加された行の電子放出素子の隣接
    する前記第1の素子対群のそれぞれが接続されている
    2本の列方向配線のそれぞれに負極性で走査行の画像信
    号に応じたパルス幅の同じ電位の画像信号を印加する工
    程と、 行の選択に同期して選択された行方向配線に負極性の電
    位を印加する工程と、 前記負極性の電位が印加された行の電子放出素子の内、
    前記直前に印加された前記第1の素子対群とは異なる
    記第2の素子対群のそれぞれが接続されている各2本の
    列方向配線のそれぞれに正極性で前記走査行の次の走査
    行の画像信号に応じたパルス幅の同じ電位の画像信号を
    印加する工程とを有し、前記第1及び第2の素子対群のそれぞれ素子対 からの放
    出電子で前記複数の蛍光体のそれぞれを照射することを
    特徴とする画像表示方法。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載の画像表示装置における
    画像表示方法であって、 前記複数の電子放出素子を行単位に選択する工程と、 行の選択に同期して選択された行方向配線に電圧を印加
    する工程と、 前記行方向配線に印加された電圧と逆極性で走査行の画
    像信号に応じたパルス幅の電圧を前記複数の列方向配線
    の一つおきにに印加する第1印加工程と、前記行方向配線に印加された電圧と逆極性で前記走査行
    の次の走査行の画像信号に応じたパルス幅の電圧を、前
    記第1印加工程で印加していない前記列方向配線に印加
    する第2印加工程と、 を有することを特徴とする画像表示方法。
  10. 【請求項10】 請求項に記載の画像表示装置におけ
    る画像表示方法であって、 前記複数の電子放出素子を行単位に選択する工程と、 行選択に同期して選択された電子放出素子を接続する前
    記共通の行方向配線に電圧を印加する第1印加工程と、 前記共通の行方向配線に接続された電子放出素子に接続
    されている前記複数の列方向配線のそれぞれに前記電圧
    と逆極性で走査行の画像信号に応じたパルス幅の電圧を
    印加する工程と、前記共通の行方向配線の次の行方向配線に電圧を印加す
    る第2印加工程と、 前記次の行方向配線に接続された 電子放出素子に接続さ
    れている前記列方向配線のそれぞれに、前記第2印加に
    おける前記電圧と逆極性で前記走査行の次の走査行の画
    像信号に応じたパルス幅の電圧の画像信号を印加する工
    程と、 を有することを特徴とする画像表示方法。
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