JP3241613B2 - 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法 - Google Patents
電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法Info
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Description
子源、表示素子および画像形成装置の製造方法に関し、
とりわけインクジェット方式を用いた前記製造方法に関
する。
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知ら
れている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、
「FE型」という)、金属/絶縁層/金属型(以下、
「MIM型」という)や、表面伝導型電子放出素子等が
ある。
P.Dyke&W.W.Dolan,“Field e
mission”,Advance in Elect
ron Physics,8,89(1956)あるい
はC.A.Spindt,“PHYSICAL Pro
perties of thin−film fiel
d emission cathodes with
molybdenumcones”,J.Appl.P
hys.,47,5248(1976)等に開示された
ものが知られている。
A.Mead,“Operation of Tunn
el−Emission Devices”,J.Ap
ply.Phys.,32,646(1961)]等に
開示されたものが知られている。
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子の例としては、SnO2 薄膜
を用いたもの[M.I.Elinson,Radio
Eng.Electron Pys.,10,1290
(1965)]、Au薄膜を用いたもの[G.Ditt
mer:“ThinSolid Films”,9,3
17(1972)]、In2 O3 /SnO2薄膜を用い
たもの[M.Hartwell and C.G.Fo
nstad,“IEEE Trans.ED Con
f.”,519(1975)]およびカーボン薄膜を用
いたもの[荒木久 他:“真空”、第26巻、第1号、
22頁(1983)]等が報告されている。
な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図18
に模式的に示す。同図において1は絶縁性基板等からな
る基体である。4は導電性膜で、H型形状のパターン
に、スパッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、
後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子
放出部5が形成される。なお、図中の素子電極間隔L
は、0.5mm〜1mm、W’は、0.1mmで設定さ
れている。
に、一対の素子電極と、該素子電極に接合され該素子電
極とは別に形成された導電性膜とを有する表面伝導型電
子放出素子が報告されている。その構成は例えば特開平
7−235255号公報などに記載されている。図19
は、その構成を模式的に示したものである。導電性膜4
は好ましい電子放出部5を形成するために、導電性微粒
子よりなることが好ましく、例えば酸化パラジウムPd
Oの微粒子膜が好ましく用いられることが報告されてい
る。
おいては、電子放出を行なう前に予め通電フォーミング
と呼ばれる通電処理によって導電性膜4に電子放出部5
を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォー
ミングとは前記導電性膜4の両端に直流電圧あるいは非
常にゆっくりした昇電圧(例えば1V/分程度)あるい
はパルス電圧を印加通電し、導電性膜を局所的に破壊、
変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした
電子放出部5を形成することである。なお、電子放出部
5は導電性膜4の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近か
ら電子放出が行なわれる。前記通電フォーミング処理を
した表面伝導型電子放出素子は、上述の導電性膜4に電
圧を印加し、素子に電流を流すことにより、上述の電子
放出部5より電子を放出せしめるものである。
部が導電性膜のどの部分に、またどのような形に形成さ
れるかという点については十分な制御が難しく、多数の
素子を作成した場合に、電子放出部の形成される位置が
素子毎にばらつき、同じようにできなかったり、電子放
出部が両方の電極の間で蛇行してしまう場合があった。
このような電子放出部の位置と形状のばらつきは、素子
の電子放出特性にも反映し、放出電流Ieや、電子放出
効率η(放出電流Ieと素子に流れる電流Ifとの比、
すなわちη=Ie/If)が、素子毎に異なってしまう
場合があった。
いる場合、例えばこれにより画像形成装置を構成する場
合には、均一な輝度となるように映像信号を入力して
も、電子放出素子毎に放出電流Ieが異なってしまい、
このため画像の輝度ムラを生じさせ、重大な問題とな
る。
と、これに応じて電子ビームの径が広がって、画像形成
装置の螢光膜上の輝点の大きさも大きくなってしまう。
このため、高精細画像を表示するために画素のピッチを
狭くした場合、隣接する画素に電子ビームの一部が照射
されてしまい、画像の質が低下するなどの懸念もある。
により、いくつかの方法が提案されている。例えば特開
平1−112633号公報では、融点の異なる2種類の
導電体により上記導電性膜を形成し、2種の導電体の接
した線に沿って電子放出部の形成を行なわせることによ
り、電子放出部の位置を制御した例が述べられている。
特開平2−247940号公報には、電子放出部を形成
しようとする位置に段差が形成されるように段差形成部
材を設け、これを跨いで導電性膜を形成し、通電フォー
ミング処理により、上記段差に沿って電子放出部を形成
する方法が述べられている。さらに、特開平8−966
99号公報では、一方の素子電極の厚みを大きくしてお
き、該素子電極のエッジに沿って、電子放出部を形成す
る方法が述べられている。また、特願平7−32527
9号出願には、レーザービーム等を局所的に照射するな
どの方法により、導電性膜の一部の組成を変化させ、抵
抗値の大きな部分を形成しておき、通電フォーミングに
よりこの部分に電子放出部を形成する方法が述べられて
いる。
よる電子放出部の形成工程において、電子放出部の位置
や形状をある程度制御する方法は何通りか考案されてい
る。しかしながら上述の方法は、電子放出部が形成され
るべき位置の導電性膜の形状、組成等を他の導電性膜の
部分と異ならせしめるために、レーザービームを用いた
り、突起などの部材を形成するなど、微細加工の技術を
用いたものであったり、あるいは、同じく微細加工技術
により形成された素子電極のエッジの急峻な形状を利用
したりするものである。
例における問題点に鑑みてなされたもので、その目的
は、工程が簡素で低コストな電子放出素子の製造方法な
らびにそれを用いた電子源、画像形成装置の製造方法を
提供することにある。また、本発明の目的は、量産性に
優れ、歩留まりの向上した電子放出素子ならびにそれを
用いた電子源、画像形成装置の製造方法を提供すること
にある。また、本発明の目的は、電子放出特性の均一性
の向上した電子放出素子ならびにそれを用いた電子源、
画像形成装置の製造方法を提供することにある。また、
本発明の目的は、電子放出部の形成位置を制御し得る電
子放出素子ならびにそれを用いた電子源、画像形成装置
の製造方法を提供することにある。
め、本発明では、基体上に形成された一対の対向する素
子電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、
該導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子
放出素子の製造方法において、該製造方法が(1)上記
導電性膜を形成する材質の原料となる物質を含むインク
を、インクジェット装置により液滴として所定の位置に
付与する工程と、(2)付与された液滴を乾燥および/
または焼成して、導電性膜とする工程と、(3)上記一
対の素子電極間に電圧を印加して、上記導電性膜に電流
を流すことにより電子放出部を形成する工程とを有し、
上記(1)と(2)の工程により形成される導電性膜
が、(3)の工程によりジュール熱の発生により電子放
出部の形成がなされやすい潜像を有するように工程
(1)と(2)が行なわれることを特徴とする。
与えることにより該液体を吐出するいわゆるバブルジェ
ット方式のインクジェット装置を用いることができる。
する素子電極と、該素子電極の双方に接続された導電性
膜と、該導電性膜の一部に形成された電子放出部を有す
る電子放出素子を基体上に複数配置し、これら電子放出
素子に接続された配線を有してなる電子源の製造方法に
おいて、前記電子放出素子を前記記載の方法で製造する
ことを特徴とするものである。
は、一対の対向する素子電極と、該素子電極の双方に接
続された導電性膜と、該導電性膜の一部に形成された電
子放出部を有する電子放出素子を基体上に複数配置し、
これら電子放出素子に接続された配線を有してなる電子
源と、該電子源より放出される電子の照射を受けて発光
することにより、画像を表示する画像形成部材を、真空
容器に内包してなる画像形成装置の製造方法において、
前記電子源を前記記載の方法で製造することを特徴とす
るものである。
ットを利用することにより、電子放出部の形成位置を制
御しようとするものである。すなわち、電子放出素子を
用いた製品を製造する場合、微細加工等の技術を用いず
に製造できることが、コスト低減などのために好ましい
ことは当然である。例えば導電性膜を形成する方法とし
ては、成膜した後にフォトリソグラフィーなどの微細加
工技術によりパターニングする方法に替えて、該導電性
膜の材質の前駆体を含有する溶液を、インクジェット装
置により基体に付与した後、乾燥・加熱処理などを行な
う方法が考えられるが、この際上述した方法のように電
子放出部の位置を制御するために微細加工を用いるなら
ば、インクジェット装置を用いて製造することの利点が
損なわれてしまう。また、素子電極と配線の形成は、印
刷による方法、あるいは上記と同様のインクジェット装
置を用いる方法が考えられるが、これにより形成される
電極のエッジは、金属薄膜に微細加工を行なった場合の
ように急峻な形状にはなりにくく、急峻なエッジの効果
を利用した方法は適用しがたい。
出部の位置を制御する方法は、インクジェット装置を用
いる電子放出素子の製造方法と併用するには、必ずしも
適していない。
どによる導電性膜、電極、配線の製造方法と併用するの
に適した、電子放出部の位置制御の方法が求められてい
た。
の製造方法は、大面積の基体に多数の電子放出素子を配
置して使用する場合には、フォトリソグラフィー技術な
どを用いてパターニングする方法に比べ、工程や製造装
置がより簡単で、そのメリットは極めて大きく、このよ
うな面からも、上記の要求は強いものであった。
あり、本発明は、インクジェット装置を用いて原料を液
滴として付与することにより、導電性膜を形成する際、
前述の通電フォーミング処理により電子放出部が形成さ
れやすい「潜像」を形成し、電子放出部の形成される位
置の制御を行なうものである。
の導電性膜を形成する。この円形の導電性膜またはその
前駆体である金属化合物などの膜を以下「ドット」と呼
ぶ。一つのドットは一つの液滴の付与により形成される
場合も、同じ場所に複数の液滴が繰り返し付与されて形
成される場合もある。
ド91の構成を模式的に示す。図は、インクジェット装
置の中でも特にバブルジェット(BJ)のヘッドの構成
を示すもので、図22Aは、液滴の吐出口94が一つの
もの、図22Bは、吐出口が複数並列に並んだものであ
る。
電性膜の原料溶液を加熱し、瞬間的に気泡を発生させる
ことにより、吐出口94より溶液を数ngから数十ng
程度の液滴として所定の量を吐出する。これに替わりピ
エゾ素子の圧電効果による変形を利用して溶液を吐出さ
せる、ピエゾジェット方式を用いても良い。
ンクに接続されて、ヘッド91内に溶液を連続的に供給
する。
の方法が提案される。第1は、導電性膜を形成するため
に、一対の素子電極を結ぶ方向に複数のドットを付与す
る場合に、膜厚の比較的厚い部分と、比較的薄い部分を
形成し、該膜厚の比較的薄い部分を、電子放出部形成の
ための潜像として用いる方法である。
の素子電極の際に位置する場合も、図3のように素子電
極間隙の中央部に位置する場合もある。
を形成する方法としては、インクジェット装置により同
じ場所に上記液滴を重ねて形成する場合に、液滴を重ね
る回数を制御する方法、あるいは濃度の異なる液滴をそ
れぞれの位置に付与する方法などが採用できる。
トの膜厚に対する、膜厚の厚い部分を形成するドットの
膜厚の比は、2以上であることが好ましい。
るために同じ位置に重ねて液滴を付与する場合や、図2
Aの4−1のドット同士あるいは4−2のドット同士な
ど同じ性質のドットを形成する際には、連続して液滴を
付与して良いが、性質の異なるドットの形成の際は、例
えば図1Aの4−1のドットを形成するための液滴を付
与した後、これを乾燥させ、あるいはさらに加熱焼成し
た後に4−2のドットを形成するための液滴を付与する
必要がある。これは、先に付与した液滴が乾燥する前
に、性質の異なるドットの液滴が前の液滴と一部重なっ
て付与されると、溶液の状態で両者が混合してしまい、
目的とする潜像の形成が達成されない可能性があるから
である。このことは以下に述べる他の方法においても同
様である。
ォーミング処理の際の)電流密度の違いを利用するもの
である。すなわち図4に示すようにドットの中心を、素
子電極間隙の中央付近ではなく、一方の素子電極の方に
寄せて形成し、一方の素子電極エッジでは導電性膜の幅
が広く、他方の素子電極エッジでは狭くなるようにす
る。このようにすると、幅の狭い方の電極エッジ付近に
おいて、フォーミング処理の際に電流密度が最も高くな
り、電子放出部が形成されやすくなる。なお、導電性膜
の膜厚の分布は、条件により変化するため一概には言え
ないが、適当な条件を選べばドット中央部で厚く、周辺
部で薄くなるようにすることができる。この場合には、
上記の方法による電子放出部の位置制御の効果をより確
実にすることができる。
に形成されるためには、両方の素子電極エッジにおける
導電性膜の幅が、(w1 /w2 )≧2(W1 ,W2 はそ
れぞれ、素子電極2,3のエッジ部分での、導電性膜の
幅)という関係を満たせばよいことが、予備的な検討に
よりわかった。
方向に、複数のドットを部分的に重ねて形成する場合に
は、導電性膜全体としての幅は、両方のエッジのところ
でそれほど違わないが、ドットの重なり方の違いにより
導電性膜の膜厚が異なるため、同様の効果が生ずる。
べて抵抗率を高くし、該抵抗率の比較的高い部分を潜像
として用いる方法である。
化されやすい金属を形成するための原料を液滴として付
与し金属と金属酸化物の部分をそれぞれ形成する方法、
同じ金属の原料であっても、熱分解温度の異なる原料を
液滴として付与し、熱分解工程を適当に調整して、金属
とその酸化物の部分をそれぞれ形成する方法、部分的に
還元剤を置き、導電性膜の一部を金属に、還元剤のない
部分を金属酸化物とする方法、あるいは異なる種類の金
属膜を形成する2種の液滴をそれぞれ付与して、ドット
を形成し、両方のドットの重なった部分で合金を形成
し、この部分での抵抗率が、単一金属よりなる部分より
も大きくなることを利用する方法(例えばNiとCrの
膜を形成し、合金化した部分はニクロム合金となり抵抗
率が高くなることを用いる)などを用いることができ
る。
されやすい金属の組み合わせとしてはPdとPtを例示
することができる。
原料は、例えば比較的熱分解温度の低い金属化合物を、
酢酸パラジウム−ビス(N−ブチルエタノールアミ
ン)、酢酸パラジウム−ジ(N−ブチルエタノールアミ
ン)、酢酸パラジウム−ビス(N,N−ジエチルエタノ
ールアミン)、酢酸パラジウム−ビス(N,N−ジメチ
ルエタノールアミン)よりいずれか一つ選び、比較的熱
分解温度の高い金属化合物を、酢酸パラジウム−モノエ
タノールアミン、酢酸パラジウム−モノブタノールアミ
ン、酢酸パラジウム−モノプロパノールアミンよりいず
れか一つを選べばよい。
子や白金カーボン微粒子などをもちいることができる。
これらの還元性物質は、該還元性物質の微粒子の分散液
を、インクジェット装置により所定の位置に液滴として
付与することにより、配置することができる。
幅を狭くして、通電フォーミング処理により電子放出部
を形成されやすくした部分を「構造潜像」、抵抗率を高
くして同じく電子放出部を形成されやすくした部分を
「組成潜像」と呼ぶ。
を、従来の微細加工技術によるパターニングにより形成
することも考えられるが、これと比較してインクジェッ
ト装置を用いた本発明の方法は、工程や製造装置が簡単
になるという以外に、次のような利点をも有する。
よび第3の方法で示したようにドットの厚さを異ならせ
たり、異種材料の液滴を付与して、導電性膜を形成する
方法を、微細加工によるパターニングにより実現する場
合には、一旦、導電性膜あるいはその原料の膜の一部を
形成しパターニングした後、その上にリフトオフ用のマ
スクを形成したり、あるいはその上に重ねて形成した膜
をパターニングするためにエッチングしたりする必要が
あるが、これを行なうためには、初めの膜と基体の付着
強度がある程度強いことや、初めの膜の上に重ねて形成
した膜のみを選択的にエッチングできることなどの条件
が満たされなければならない。このために適用できる材
料には制限がある。これに対し、インクジェット装置を
用いる本発明では、微細加工によるパターニングを行な
わないので、前記のような条件による制約がなく、材料
選択の自由度が大きい。すなわち導電膜材料の様々な組
み合わせに対し、適用可能な製造方法である。
子放出素子の一例を図1〜6を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
構成を示す模式的平面図および断面図である。図1にお
いて1は基体、2と3は素子電極、4は導電性膜、5は
電子放出部である。
純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2 を積層したガラ
ス基体等、アルミナ等のセラミックス、およびSi基体
等を用いることができる。
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,C
u,Pd等の金属もしくは合金またはPd,Ag,A
u,RuO2,Pd−Ag等の金属もしくは金属酸化物
とガラス等から構成される印刷導体、In2O3 −Sn
O2等の透明電導体およびポリシリコン等の半導体材料
等から適宜選択することができる。
用される形態等を考慮して設計される。素子電極間隔L
は、好ましくは、数百nmから数百μmの範囲とするこ
とができ、より好ましくは、数μmから数十μmの範囲
とすることができる。
出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とするこ
とができる。素子電極2,3の膜厚dは、数十nmから
数μmの範囲とすることができる。
1上に、導電性膜4、対向する素子電極2,3の順に積
層した構成とすることもできる。
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバ
レージ、素子電極2,3間の抵抗値および後述する通電
フォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常
は数百pmから数百nmの範囲とすることが好ましく、
より好ましくは1nmより50nmの範囲とするのが良
い。なお、上記のように膜厚の違いを利用して構造潜像
を形成する場合、その部分の膜厚はそれ以外の部分より
も薄い必要があり、上記の範囲より薄くなる場合があ
る。導電性膜の抵抗値は、RS が102 から107 Ω/
□の値である。なおRS は、厚さがt、幅がwで長さが
lの薄膜の抵抗Rを、R=RS (l/w)と表わしたと
きに現れる量で、膜の抵抗率が場所によらず一定値ρで
あれば、RS =ρ/tと表わすことができる。
明した以外の方法では潜像の部分のRS は他より大きい
ことが必須であり(前記第2の具体例においてもそうで
あっても良い)、この部分のRS の値は上記の上限以上
となる場合もある。
t,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,F
e,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,S
nO2 ,In2 O3 ,PbO,Sb2 O3 等の金属酸化
物等の中から適宜選択される。
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、数百pmから数百nmの範囲、好
ましくは1nmから20nmの範囲である。
う言葉を用いるので、その意味について説明する。小さ
な粒子を「微粒子」と呼び、これよりも小さなものを
「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」よりもさらに小さく
原子の数が数百個程度以下のものを「クラスター」と呼
ぶことは広く行なわれている。しかしながら、それぞれ
の境は厳密なものではなく、どのような性質に注目して
分類するかにより変化する。また「微粒子」と「超微粒
子」を一括して「微粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書
中での記述はこれに沿ったものである。
(木下是雄 編、共立出版 1986年9月1日発行)
では次のように記述されている。「本稿で微粒子と言う
ときにはその直径がだいたい2〜3μm程度から10n
m程度までとし、特に超微粒子と言うときは粒径が10
nm程度から2〜3nm程度までを意味することにす
る。両者を一括して単に微粒子と書くこともあってけっ
して厳密なものではなく、だいたいの目安である。粒子
を構成する原子の数が2個から数十〜数百個程度の場合
はクラスターと呼ぶ」(195ページ 22〜26行
目)。
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径
の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
108 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の
尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超
微粒子−創造科学技術−」林主税、上田良二、田崎明
編;三田出版 1988年 2ページ1〜4行目)「超
微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個〜数
百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスターと呼
ばれる」(同書2ページ12〜13行目)。
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数百pm〜1nm程度、上限は数
μm程度のものを指すこととする。
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜4の膜
厚、膜質、材料および後述する通電フォーミング等に依
存したものとなる。電子放出部5の内部には、数百pm
から数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が依存する場
合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する
材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するもの
となる。電子放出部5およびその近傍の導電性膜4に
は、炭素および炭素化合物を有することもできる。次
に、本発明の製造方法を電子放出素子の構成の例を示す
模式図(図1〜図6)および工程説明図(図20A〜図
21G)を参照しながら具体的に説明する。
等を用いて十分に洗浄した(図20A)後、素子電極
2,3を形成する(図20B)。素子電極の形成方法と
しては、導電体材料のペーストを印刷法により所望の形
状とした後、これを加熱処理する方法、あるいは金属化
合物などの溶液をインクジェット法により所望の形状と
なるように基体上に付与した後、加熱処理により導電性
の材質に変化させて電極を形成する方法、真空蒸着、ス
パッタ法等により素子電極材料を堆積後、例えばフォト
リソグラフィー技術を用いて所定の形状の電極を形成す
る方法などいずれを用いても良く、使用目的等に応じて
適宜選択される。
滴付与装置により導電性膜の原料となる物質を液滴とし
て基体上に付与する(該液滴の材料を以下「導電性膜形
成用インク」と呼ぶ)。該導電性膜形成用インクは液滴
付与装置を用いて基体上に所望の形状に付与できればど
のような状態でも良いが、水または溶剤に前述した金属
などの導電性材料の微粒子を分散した分散液、金属化合
物の溶液(溶媒は水、有機溶剤など)などが用いられ
る。
合物からなる場合、導電性膜形成用インクの金属含有量
は、金属元素の種類、金属化合物の種類などにより適切
な範囲は多少異なるが、0.01〜5wt%の範囲が望
ましい。含有量が低すぎると所望厚さの導電性膜を形成
するためには多量の液滴を付与しなくてはならず、この
工程に必要な時間が長くなるだけでなく、所望の形状を
形成することが難しくなる。逆に含有量が多すぎると、
結果として形成された導電性膜の膜厚が著しく不均一と
なる場合があり、電子放出特性の制御が難しくなる。
る。図1は膜厚の異なる2種類の導電性膜のドットをそ
の一部が重なるように形成した例である。膜厚を異なら
せる方法としては、金属含有量の異なる導電性膜形成用
インクを用い、膜厚の厚いドットを金属含有量の高いイ
ンク、膜厚の薄いドットを金属含有量の低いインクを用
いて形成する方法、液滴の付与回数を異ならせることに
より形成する方法がある。
を示すもので、インクジェット装置の吐出口94から、
金属含有量の高いインクの液滴96−1を吐出し、素子
電極の一方2に接続するように付与する(図20C)。
続いてこれを加熱焼成し、膜厚の厚い導電性膜のドット
4−1を形成する(図20D)。
6−2をもう一方の素子電極3に接続するように付与し
(図21E)、加熱焼成して膜厚の薄い導電膜のドット
4−2を形成する(図21F)。なお、インクの種類に
よっては、初めの液滴の付与後、加熱焼成せず、乾燥の
み行ない、続いて2番目の液滴を付与してから、加熱焼
成して導電膜を形成する場合もある。
も、ほぼ同様な手順を採用することができる。
膜厚が薄く、この部分が電子放出部の形成されやすい部
分すなわち構造潜像となる。とりわけ電極エッジの部分
では、電極と導電性膜の厚さの比が大きい場合などに、
その接合部で膜厚が特に薄くなる場合があり、電極エッ
ジに隣接して電子放出部が形成されやすくなる場合があ
る。図2は、図1と同様な構成で、幅の広い導電性膜を
形成した場合である。
違いがあれば、電子放出部の位置を制御できるかについ
て、予備的な検討を行なったところ、ドットの膜厚が2
倍以上違えば、確実に制御できることがわかった。な
お、基体、素子電極、導電性膜の材質、形状によっては
膜厚の比がこれ以下でも制御が可能な場合もあり、上記
条件は絶対的なものとはいえない。
薄いドットを形成する方法である。上記の場合と同様の
方法で形成することができる。
電極間隙の中心からずらすことにより、素子電極3のエ
ッジ付近の導電性膜の幅を最も狭くすることにより、こ
の部分の近傍に電子放出部を形成されやすくした場合で
ある。ドットの半径をR、電極間隙をL、ドット中心の
電極間隙中央からのズレ量をδLとすると、素子電極2
および3のエッジ位置における導電性膜の幅W1 および
W2 は、
電極3のエッジ付近に確実に形成される条件、(W1 /
W2 )≧2は、
い。
方向に複数のドットを部分的に重ねて導電性膜を形成す
る場合にも、1つのドットに対する直径により上記の条
件を満たすδLの値を決めればよい。
5に模式的に示すように、一対の素子電極を結ぶ方向に
複数のドットを形成する。このとき形成されるドットは
焼成などの処理を経た後、比較的低抵抗の導電性膜の部
分4−1と比較的高抵抗の導電性膜の部分4−2となる
ものである。
うないくつかの方法がある。第1の方法は、比較的酸化
されにくい金属と、比較的酸化されやすい金属のそれぞ
れの化合物を含有する導電性膜形成用インクによりドッ
トを形成し、比較的酸化されにくい金属よりなる導電性
膜の部分(4−1)と比較的酸化されやすい金属の酸化
物よりなる導電性膜の部分(4−2)を形成する方法で
ある。例えば比較的酸化されにくい金属としてPt、比
較的酸化されやすい金属としてPdを用い、金属Ptと
酸化Pd(PdO)よりなる導電性膜を形成する。それ
ぞれの金属化合物を含有する導電性膜形成用インクを用
いてドットを形成し、適当な酸化雰囲気中で加熱処理す
ることにより上記金属化合物を熱分解しても良いし、非
酸化雰囲気中でそれぞれ熱分解により一旦金属とした
後、適当な酸化雰囲気中で熱処理することによりPdを
酸化しても良い。
って、熱分解温度の異なる金属化合物を含有する導電性
膜形成用インクを用い、適当な条件で加熱処理すること
により一方は金属、他方はその金属の酸化物とする方法
である。この際、長時間熱処理を続けると両方とも金属
酸化物になってしまうが、加熱の条件を適当に設定する
とより低い熱分解温度を有する方を酸化物とし、他方を
熱分解により金属とした後、酸化が進行する前に処理を
終了することにより金属とすることができる。
図5に示されるものとは異なる)、インクジェット装置
により、予め素子電極間隙の一部、例えば両方の電極の
近傍、に還元剤を配置しておき、この上から導電性膜を
形成して熱処理することにより、還元剤のある部分を金
属膜に、それ以外の部分を金属酸化物の膜にする。これ
により上記導電性膜は、素子電極付近では金属、中央付
近では金属酸化物となり、中央部に組成潜像が形成され
る。
質よりなるドットをそれぞれ形成し、2つのドットの重
なった部分(以降「交差部」と記す)を両者の物質の合
金とすることにより、この部分の抵抗が残りの部分より
も大きくなるようにするものである。これにより電子放
出部の位置制御の効果を十分に得るためには、交差部に
形成される合金の抵抗率が、交差部以外の金属の抵抗率
より1桁程度以上高くなるような材料の組み合わせを用
いることが望ましい。
放出部を形成する。本発明の方法におけるフォーミング
処理は、一対の素子電極間に電圧を印加し、上記工程で
形成した導電性膜に電流を流すことによって行なう。素
子電極2,3間に不図示の電源を用いて電圧を印加し電
流を流すと、導電性膜4の上記潜像の形成された部位に
構造の変化した電子放出部5が形成される。通電フォー
ミングによれば導電性膜4に局所的に破壊、変形もしく
は変質等の構造の変化した部位が形成される。該部位が
電子放出部5を構成する。図21Gにおいては導電性膜
の膜厚の薄い部分、とりわけ素子電極3に隣接した部分
に電子放出部が形成された様子を示す。潜像の位置や、
構造は前述したそれぞれの方法により異なり、図20G
に示されたものに限定されないことは言うまでもない。
a,bに示す。電圧波形は、パルス波形が好ましい。こ
れにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印
加する図7aに示した手法とパルス波高値を増加させな
がら電圧パルスを印加する図7bに示した手法がある。
のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1μ秒〜1
0m秒、T2は、10μ秒〜100m秒の範囲で設定さ
れる。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は、電子放出素子の形態に応じて適宜選択される。
このような条件のもと、例えば数秒から数十分間電圧を
印加する。パルス波形は三角波に限定されるものではな
く、矩形波など所望の波形を採用することができる。
に示したのと同様とすることができる。三角波の波高値
(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば、0.
1Vステップ程度ずつ、徐々に増加させることができ
る。
隔T2中に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電
流を測定し、抵抗値を求めて、例えば1MΩ以上の抵抗
を示した時、通電フォーミングを終了させる。
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが著
しく変化する工程である。
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことで行なうことができる。この雰
囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを
用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する
有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポ
ンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機
物質のガスを導入することによっても得られる。このと
きの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、
真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるた
め場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質として
は、アルカン、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、
ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン
酸等の有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メ
タン、エタン、プロパンなどCn H2n+2で表される飽和
炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn H2n等の組成
式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メ
タノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミ
ン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオ
ン酸等、あるいはこれらの混合物が使用できる。この処
理により、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素ある
いは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出
電流Ieが著しく変化するようになる。
出電流Ieを測定しながら、適宜行なう。なお、パルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
ァイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する、H
OPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結
晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、GC
は結晶粒が20nm程度になり結晶構造の乱れがさらに
大きくなったものを指す)、非晶質カーボン(アモルフ
ァスカーボンおよび、アモルファスカーボンと前記グラ
ファイトの微結晶の混合物を指す)であり、その膜厚は
50nm以下の範囲とするのが好ましく、30nm以下
の範囲とするのがより好ましい。
出素子は、安定化工程を行なうことが好ましい。この工
程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真
空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオ
イルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使
用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソー
プションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げ
ることが出来る。
散ポンプを用い、これから発生するオイル成分に由来す
る有機ガスを用いた場合は、この成分の分圧を極力低く
抑える必要がある。真空容器内の有機成分の分圧は、上
記の炭素および炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧
で1×10-6Pa以下が好ましく、さらには1×10-8
Pa以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気する
ときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、
電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくす
るのが好ましい。このときの加熱条件は80〜250
℃、好ましくは150℃以上で、できるだけ長時間処理
するのが望ましいが、特にこの条件に限るものではな
く、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成など
の諸条件により適宜選ばれる条件により行なう。真空容
器内の圧力は極力低くすることが必要で、1〜3×10
-5Pa以下が好ましく、さらに1.3×10-6Pa以下
が特に好ましい。
気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好
ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除
去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定
な特性を維持することが出来る。
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
また真空容器や基体などに吸着したH2 O,O2 なども
除去でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが安
定する。
可能な電子放出素子の基本特性について図8および図9
を参照しながら説明する。
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図8においても、図1〜6に示し
た部位と同じ部位には図1〜6に付した符号と同一の符
号を付している。図8において、11は真空容器であ
り、12は排気ポンプである。真空容器11内には電子
放出素子が配されている。即ち、1は電子放出素子を構
成する基体であり、2および3は素子電極、4は導電性
膜、5は電子放出部である。13は電子放出素子に素子
電圧Vfを印加するための電源、14は素子電極2,3
間の導電性膜4を流れる素子電流Ifを測定するための
電流計、15は素子の電子放出部5より放出される放出
電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。16は
アノード電極15に電圧を印加するための高圧電源、1
7は素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを
測定するための電流計である。一例として、アノード電
極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極
と電子放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲とし
て測定を行なうことができる。
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気中での測定評価を行なえるようになっ
ている。排気ポンプ12は、ターボポンプ、ロータリー
ポンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポン
プ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。
ここに示した基体を配した真空処理装置の全体は、不図
示のヒーターにより加熱できる。従って、この真空処理
装置を用いると、前述の通電フォーミング以降の工程も
行なうことができる。
測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係を模式的に示した図である。図9においては、放
出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、
任意単位で示している。なお、縦、横軸ともリニアスケ
ールである。
可能な電子放出素子は、放出電流Ieに関して対する三
つの特徴的特性を有する。
電圧と呼ぶ、図9中のVth)以上の素子電圧を印加す
ると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧V
th未満では放出電流Ieがほとんど検出されない。つ
まり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vth
を持った非線形素子である。
電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するため、放出
電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。
すなわち、アノード電極15に捕捉される電荷量は、素
子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
明を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に
応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。
この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成
した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能と
なる。
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vf
に対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特
性は、前述の工程を制御することで制御できる。
装置について以下に述べる。本発明を適用可能な電子放
出素子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源あるい
は、画像形成装置が構成できる。
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直行する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これ
とは別に、電子放出素子をX方向およびY方向に行列状
に複数配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電
極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配
された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配
線に共通に接続するものが挙げられる。このようなもの
は所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス
配置について以下に詳述する。
子については、前述したとおり(i)〜(iii)の特
性がある。すなわち、電子放出素子からの放出電子は、
しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加する
パルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一方、しきい
値電圧未満では、電子は殆ど放出されない。この特性に
よれば、多数の電子放出素子を配置した場合において
も、個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、入
力信号に応じて、電子放出素子を選択して電子放出量を
制御できる。
な電子放出素子を複数配して得られる基板について、図
10を用いて説明する。図10において、21は基板、
22はX方向配線、23はY方向配線である。24は電
子放出素子、25は結線である。
‥,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することができ
る。配線の材料、膜厚、幅は、適宜設定される。Y方向
配線23はDy1,Dy2,‥‥,Dynのn本の配線よりな
り、X方向配線22と同様に形成される。これらm本の
X方向配線22とn本のY方向配線23との間には、不
図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分
離している(m,nは、共に正の整数)。
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線22を形成した基板21の
全面あるいは一部に所望の形状で形成され、特に、X方
向配線22とY方向配線23の交差部の電位差に耐え得
るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向
配線22とY方向配線23は、それぞれ外部端子として
引き出されている。
(不図示)は、m本のX方向配線22とn本のY方向配
線23と導電性金属等からなる結線25によって電気的
に接続されている。
25を構成する材料、結線25を構成する材料および一
対の素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部あ
るいは全部が同一であっても、またそれぞれ異なっても
よい。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料より
適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が
同一である場合には、素子電極に接続した配線は素子電
極ということもできる。
子放出素子24の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線23には、Y方向に配列した電子放出素子24の
各列を入力信号に応じて変調するための不図示の変調信
号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加される
駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号
の差電圧として供給される。
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
用いて構成した画像形成装置について、図11と図12
および図14を用いて説明する。図11は、画像形成装
置の表示パネルの一例を示す模式図であり、図12は、
図11の画像形成装置に使用される螢光膜の模式図であ
る。図14はNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を
行なうための駆動回路の一例を示すブロック図である。
数配した基板、31は基板21を固定したリアプレー
ト、36はガラス基板33の内面に螢光膜34とメタル
バック35等が形成されたフェースプレートである。3
2は支持枠であり、該支持枠32には、リアプレート3
1およびフェースプレート36が低融点のフリットガラ
ス等を用いて接合される。
る。22,23は電子放出素子の一対の素子電極と接続
されたX方向配線およびY方向配線である。
持枠32およびリアプレート31で構成され、例えば大
気中あるいは窒素中で、400〜500度の温度範囲で
10分以上焼成することで、封着して構成される。リア
プレート31は主に基板21の強度を補強する目的で設
けられるため、基板21自体で十分な強度を持つ場合は
別体のリアプレート31は不要とすることができる。す
なわち、基板21に直接支持枠32を封着し、フェース
プレート36、支持枠32および基板21で外囲器37
を構成しても良い。一方、フェースプレート36とリア
プレート31との間に、スペーサーとよばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器37の構成することもできる。
光膜34は、モノクロームの場合は螢光体のみから構成
することができる。カラーの螢光膜の場合は、螢光体の
配列によりブラックストライプ(図12A)あるいはブ
ラックマトリクス(図12B)などと呼ばれる黒色導電
材41と螢光体42とから構成することができる。ブラ
ックストライプあるいはブラックマトリクスを設ける目
的は、カラー表示の場合、必要となる三原色螢光体の各
螢光体42間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目
立たなくすることと、螢光膜34における外光反射によ
るコントラストの低下を抑制することにある。ブラック
ストライプあるいはブラックマトリクスの材料として
は、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、
導電性があり、光の透過および反射が少ない材料を用い
ることができる。
モノクローム、カラーによらず、沈殿法、印刷法等が採
用できる。螢光膜34の内面側には通常メタルバック3
5が設けられる。メタルバックを設ける目的は、螢光体
の発光のうち内面側への光をフェースプレート36側へ
鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子ビ
ーム加速電圧を印加するための電極として作用させるこ
と、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージ
から螢光体を保護すること等である。メタルバックは、
螢光膜作製後、螢光膜の内面側表面の平滑化処理(通
常、「フィルミング」と呼ばれる)を行ない、その後A
1を真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
4の導電性を高めるため、螢光膜34の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
は各色螢光体と電子放出素子とを対応させる必要があ
り、十分な位置合わせが不可欠となる。
一例を以下に説明する。図13はこの工程に用いる装置
の概要を示す模式図である。画像形成装置51は、排気
管52を介して真空チャンバー53に連結され、さらに
ゲートバルブ54を介して排気装置55に接続されてい
る。真空チャンバー53には、内部の圧力および雰囲気
中の各成分の分圧を測定するために、圧力計56、四重
極質量分析器57等が取り付けられている。画像表示装
置51の外囲器37内部の圧力などを直接測定すること
は困難であるため、該真空チャンバー53内の圧力など
を測定し、処理条件を制御する。
スを真空チャンバー内に導入して雰囲気を制御するた
め、ガス導入ライン58が接続されている。該ガス導入
ライン58の他端には導入物質源60が接続されてお
り、導入物質がアンプルやボンベなどに入れて貯蔵され
ている。ガス導入ラインの途中には、導入物質を導入す
るレートを制御するための導入量制御手段59が設けら
れている。該導入量制御手段59としては具体的には、
スローリークバルブなど逃す流量を制御可能なバルブ
や、マスフローコントローラーなどが、導入物質の種類
に応じて、それぞれ使用が可能である。
気し、フォーミングを行なう。この際、例えば図14に
示すように、Y方向配線23を共通電極61に接続し、
X方向配線22の内の一つに接続された素子24に電源
62によって、同時に電圧パルスを印加して、フォーミ
ングを行なうことができる。パルスの形状や、処理の終
了の判定などの条件は、個別素子のフォーミングについ
ての既述の方法に準じて選択すればよい。また、複数の
X方向配線に、位相をずらせたパルスを順次印加(スク
ロール)することにより、複数のX方向配線に接続され
た素子をまとめてフォーミングすることも可能である。
図14中、63は電流測定用抵抗を、64は電流測定用
のオシロスコープを示す。
う。外囲器37内は、十分に排気した後、有機物質がガ
ス導入ライン58から導入される。あるいは、個別素子
の活性化方法として既述のように、まず油拡散ポンプや
ロータリーポンプで排気し、これによって真空雰囲気中
に残留する有機物質を用いても良い。また、必要に応じ
て有機物質以外の物質も導入される場合がある。このよ
うにして形成した有機物質を含む雰囲気中で、各電子放
出素子に電圧を印加することにより、炭素あるいは炭素
化合物、ないし両者の混合物が電子放出部に堆積し、電
子放出量がドラスティックに上昇するのは、個別素子の
場合と同様である。このときの電圧の印加方法は、上記
フォーミングの場合と同様の結線により、一つの方向配
線につながった素子に、同時の電圧パルスを印加すれば
よい。
様に、安定化工程を行なうことが好ましい。
持しながら、イオンポンプ、ソープションポンプなどの
オイルを使用しない排気装置55により排気管52を通
じて排気し、有機物質の十分少ない雰囲気にした後、排
気管をバーナーで熱して溶解させて封じきる。外囲器3
7の封止後の圧力を維持するために、ゲッター処理を行
なうこともできる。これは、外囲器37の封止を行なう
直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等
を用いた加熱により、外囲器37内の所定の位置に配置
されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該
蒸着膜の吸着作用により、外囲器37内の雰囲気を維持
するものである。
て構成した画像形成装置に、NTSC方式のテレビ信号
に基づいたテレビジョン表示を行なうための駆動回路の
構成例について、図15を用いて説明する。図15にお
いて、71は画像形成装置、72は走査回路、73は制
御回路、74はシフトレジスタである。75はラインメ
モリ、76は同期信号分離回路、77は変調信号発生
器、VxおよびVaは直流電圧源である。
oxm、端子Doy1ないしDoyn、および高圧端子Hvを
介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1ない
しDoxmには、画像形成装置内に設けられている電子
源、すなわち、M行N列の行列状にマトリクス配線され
た電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動するた
めの走査信号が印加される。
より選択された一行の電子放出素子の各素子の出力電子
ビームを制御するための変調信号が印加される。高圧端
子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kVの直
流電圧が供給されるが、これは電子放出素子から放出さ
れる電子ビームに螢光体を励起するのに十分なエネルギ
ーを付与するための加速電圧である。
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各ス
イッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧と0V
(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、画像形成
装置71の端子Dx1ないしDxmと電気的に接続される。
S1ないしSmの各スイッチング素子は、制御回路73
が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであ
り、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わ
せることにより構成することができる。
出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき、走査
されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しき
い値電圧未満となるような一定電圧を出力するよう設定
されている。
号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動作
を整合させる機能を有する。制御回路73は、同期信号
分離回路76より送られる同期信号Tsyncに基づいて、
各部に対してTscanおよびTsft およびTmry の各制御
信号を発生する。
れるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度
信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数分
離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路76により分離された同期信号は、垂直同期信
号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上、
Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離さ
れた画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号と表わし
た。該DATA信号はシフトレジスタ74に入力され
る。
ルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路73より送られる制御信号Tsft に基づいて動作す
る(すなわち、制御信号Tsft は、シフトレジスタ74
のシフトクロックであると言うこともできる)。シリア
ル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子
N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1ないし
IdnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ74よ
り出力される。
ータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路73より送られる制御信号Tmry に従って
適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶された内容
は、I'd1ないしI'dnとして出力され、変調信号発生器7
7に入力される。
いしI'dnの各々に応じて電子放出素子の各々を適切に駆
動変調するための信号源であり、その出力信号は、端子
Doy1ないしDoynを通じて画像形成装置71内の電子
放出素子に印加される。
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。すなわち、電子放出には明確なしきい値電圧V
thがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出
が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素
子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。こ
のことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、
例えば電子放出しきい値未満の電圧を印加しても電子放
出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を印加す
る場合には電子ビームが出力される。その際、パルスの
波高値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強
度を制御する事が可能である。また、パルスの幅Pwを
変化させることにより出力される電子ビームの電荷の総
量を制御することが可能である。
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器77として、一定長さの電圧パルス
を発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高
値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることが
できる。
変調信号発生器77として、一定の波高値の電圧パルス
を発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの
幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いるこ
とができる。
は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもので
も採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記
憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
号分離回路76の出力信号DATAをデジタル信号化す
る必要があるが、これは回路76の出力部にA/D変換
器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ75の
出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調
信号発生器77に用いられる回路が若干異なったものと
なる。すなわち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の
場合、変調信号発生器77には、例えばD/A変換回路
を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス
幅変調方式の場合、変調信号発生器77には、例えば、
高速の発振器、発振器の出力する波数を計数する計数器
(カウンタ)および計数器の出力値と前記メモリの出力
値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路
を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変
調された変調信号を電子放出素子の駆動電圧にまで電圧
増幅するための増幅器を付加することもできる。
合、変調信号発生器77には、例えばオペアンプなどを
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の
場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採
用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧まで電圧
増幅するための増幅器を付加することもできる。
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1ないしDoxm、Doy1ないしDoynを介し
て電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧
端子Hvを介してメタルバック35あるいは透明電極
(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加
速された電子は、螢光膜34に衝突し、発光が生じて画
像が形成される。
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに
限られるものではなく、PALやSECAM方式などの
他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例え
ば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも
採用できる。
成装置について図16および図17を用いて説明する。
示す模式図である。図16において、21は基板、81
は電子放出素子である。82、Dx1〜Dx10 は、電子放
出素子81を接続するための共通配線である。電子放出
素子81は、基板21上に、X方向に並列に複数個配さ
れている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個
配されて、電子源を構成している。各素子行の共通配線
間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動
させることができる。すなわち、電子ビームを放出させ
たい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子
ビームを放出しない素子行には、電子放出しきい値未満
の電圧を印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9
は、例えばDx2,Dx3を同一配線とすることもできる。
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。83はグリッド電極、84は電子が通過するため
の空孔、85はDxo1 ,Dxo2 ,‥‥,Dxom よりなる
容器外端子である。86はグリッド電極83と接続され
たG1,G2,‥‥,Gnからなる容器外端子である。
ここに示した画像形成装置と図11に示した単純マトリ
クス配置の画像形成装置との大きな違いは、基板21と
フェースプレート36の間にグリッド電極83を備えて
いるか否かである。
レート36の間には、グリッド電極83が設けられてい
る。グリッド電極83は、電子放出素子から放出された
電子ビームを変調するためのものであり、はしご型配置
の素子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電
子ビームを通過させるため、各素子に対応して1個ずつ
円形の開口84が設けられている。グリッドの形状や設
置位置は図17に示したものに限定されるものではな
い。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設
けることもでき、グリッドを電子放出素子の周囲や近傍
に設けることもできる。
86は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの螢光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
もできる。
に模式的に示したものと同様である。以下に本実施例の
工程を説明する。
インクは、 インクA;酢酸パラジウムモノエタノールアミン(PA
ME)を金属濃度が2wt.%となるように水に溶解し
たもの インクB;インクAを水により3倍に希釈したもの 実際の電子源の作成に先立ち、インクジェット装置の吐
出条件を調整する。すなわち、上記2種類のインクをそ
れぞれ圧電素子を用いたインクジェット装置に充填す
る。さらに、下記の工程で電子源用の基体として使用す
る石英と同じものを用意し、これに上記インクを吐出さ
せ、ドットを形成、その後大気中300℃、10分間の
熱処理を行なう。これにより形成されたドットの厚さ
と、直径を測定し、インクAによるドットの膜厚が30
nm、インクBによるドットの膜厚が10nm、ドット
の直径がいずれも約20μmとなるように、吐出条件を
定めた。
フォトリソグラフィーの技術により、基板上に複数の素
子電極対とこれに接合されたマトリクス状配線を形成し
た。素子電極は厚さ約100nmのNiにより構成さ
れ、素子電極間隙Lは20μm、素子電極長Wは100
μmとした。
る。これは図1Aの導電性膜4−1に対応するドットで
ある。ドットの中心が素子電極2のエッジから素子電極
3の方へ5μmの位置となるようにインクジェット装置
の位置を制御する。石英基板上のすべての素子電極対の
当該位置に上記ドットを形成する。
は、素子電極3のエッジから素子電極2の方に5μmの
位置とした。両方のドットの中心間隔は10μmであ
る。
う。これにより、PdO微粒子よりなる導電性膜4が形
成される。
した。この処理に用いたパルス波形は、図7Bに示すよ
うな、波高値の漸増する三角波パルスである。列方向の
配線をすべてグランドに接続し、行方向の配線の内の一
つに上記パルス電圧を印加することにより電子放出部を
形成した。各行のすべての素子のフォ−ミングが完了す
ると、別の行に対して同様の処理を行ない、すべての素
子について電子放出部を形成した。
源を観察したところ、いずれの素子においても、膜厚の
薄い方のドットの素子電極エッジの近くに電子放出部が
形成されていることがわかった。
リアプレート、支持枠等の部材と組み合わせて、図11
に示すような画像形成装置を構成した。続いて電子放出
素子の活性化処理を行なった。不図示の排気管を通じて
真空排気装置により外周器の内部を排気した後、アセト
ンを導入して圧力を1.3×10-1Paとなるよう調整
する。駆動回路から外部端子を介して電子源の行方向配
線に波高値16V、パルス幅100μ秒の矩形波パルス
を印加する。各行方向配線にパルスを印加するタイミン
グを少しずつずらし、電子源全体では60Hzの周期で
繰り返しパルスが印加されるように駆動回路を設定し
た。パルスの印加を30分間行なった後停止し、外囲器
の内部を再び排気した。
けたところ、10時間後に圧力が2.7×10-5Paと
なった。排気を続けながら外囲器を徐冷した後、排気管
をバーナーで熱することにより溶着して封じきった。こ
の後、外囲器内に予め設置されたゲッター(不図示)
を、高周波により加熱してゲッタ処理を行なった。
タルバックに高圧端子を通じて5kVの電圧を印加し、
電子源の各電子放出素子から、単純マトリクス駆動によ
り電子放出を行なわせて各素子の放出電流Ieの値を測
定した。各素子のIeのバラツキ幅は12%であった。
を除き、実施例1と同様の方法で電子源を作成し、SE
Mで電子放出部の形状を観察した。本例の場合、電子放
出部は電極間隙の半分程度の幅に蛇行しているのが観察
された。またこれを用いて同様に画像形成装置を作成
し、電子放出特性の測定を行なった。その結果、各素子
のIeのバラツキ幅は16%であった。
素子を作成したものである。ただし、電極間隙を140
μmとし、一対の素子電極を結ぶ方向に対し、直径50
μmのドットを5個、それに垂直な方向には同じく3個
のドットを並べたものである。このうち電極間隙の中央
の3個のドットは、インクBにより、他のドットはイン
クAにより形成したものである。インクAのドットは素
子電極に接するドットの中心が素子電極エッジから10
μm離れた位置に、その隣のドットの中心がさらに25
μm離れた位置となるように形成した。インクBによる
ドットは電極間隙中央に形成した。素子電極の対を結ぶ
方向と垂直の方向へは、中心が互いに25μm離れるよ
うに形成した。
EMにより観察したところ、電子放出部の蛇行の範囲
は、電極間隙中央の20μm幅の中、すなわちインクB
により形成されたドットの中に形成されていることがわ
かった。
成して、電子放出特性を測定したところ、各素子の放出
電流Ieのバラツキは12%であった。
実施例2と同様にして画像形成装置を作成した。電子放
出部の蛇行幅は、素子電極間隙の半分程度であることが
SEMによる観察からわかった。また、電子放出特性を
測定した結果、放出電流Ieのバラツキ幅は18%であ
った。
のサイズを測定した。実施例2では150μm程度であ
るのに対し、比較例2では200μm程度であった。両
者の差50μmは、形成された電子放出部の蛇行幅に対
応するものと考えられる。
同様の構成を有する。すべてのドットを、インクBを用
い、膜厚の厚いドットに対しては、同一箇所に液滴付与
を3回、膜厚の薄いドットに対しては1回行なうことに
より導電性膜を形成したことを除き、実施例1と同様の
工程を施した。SEMによる観察、電子放出素子特性の
測定とも、実施例1と同様の結果が得られた。
ッド(製品名:BC−01、キヤノン(株)製)を用い
た以外は実施例1,2と同様の工程により画像形成装置
を作成した。それぞれ実施例1,2により作成したもの
と同様の電子放出部形状を有し、同様の電子放出特性が
得られた。
た後、上記のインクAによるドットを1つずつ形成し
た。本実施例においては素子電極間隙を20μmとし、
ドットの直径を40μmとなるように吐出条件を調整し
た。
方の素子電極近傍に形成されるためには、導電性膜のド
ットが素子電極と接する位置での導電性膜の幅の比(W
1 /W2 )が2以上であればよいことがわかっていたの
で、ドットの中心が電極間隙中央から素子電極2の方に
7.5μmずれたところになるようにドット形成を行な
った。幾何学的にはこの条件で(W1 /W2 )≒2.0
5となり、上記の条件を満たす。ずれ量がこれよりも小
さいと、電子放出部位置の制御の確実性が徐々に低下す
る。一方、ずれ量がこれよりも大きくなるとW2 が急激
に小さくなり、それに伴い電子放出部の長さも短くなる
ため、電子放出量の低下につながる。このため上記ずれ
量はむやみに大きくすることは好ましくない。
EMにより電子放出部の形状を観察したところ、目的通
りすべての電子放出素子で素子電極3のエッジ付近に電
子放出部が形成された。電子放出特性を測定したとこ
ろ、放出電流Ieのバラツキ幅は、10%であった。
とを除き、実施例6と同様にして画像形成装置の作成を
行なった。電子放出部は電極間隙中で大きく蛇行してい
るのが観察された。電子放出特性の測定では、放出電流
Ieのバラツキ幅は14%であった。
隙を30μm、ドットの直径を60μmとし、ドット中
心を素子電極間隙の中央から素子電極2の側に11μm
ずらした。さらに、該ドットを一対の素子電極を結ぶ方
向と直交する方向に30μmずつずらして5つ形成し
た。このようにして形成した導電性薄膜は、素子電極2
に近い方ではドットが重なっているため、全体としては
両方の素子電極のエッジ付近での導電性膜の幅に大きな
違いはないが、導電性膜の膜厚が素子電極間隙中央から
のずれに対応した違いを有することになる。
たところ、実施例6と同様に目的通り素子電極3のエッ
ジ付近に電子放出部が形成されているのが確かめられ、
画像形成装置を形成して電子放出特性を測定したとこ
ろ、放出電流Ieのバラツキ幅は8%であった。
A,Bに模式的に示した構成を有する。本実施例で液滴
の材料として使用されるのは次の2種類の導電性膜形成
用インクである。 インクC;テトラアンミン白金(II)ニトレートを金属濃
度が2wt.%となるように水に溶解したもの インクD;インクAと同じもの
る素子電極2,3を作成した。使用したインクはPtレ
ジネートペーストである。該ペーストにより電極の形状
を形成後、約70℃で乾燥し、約580℃で大気中で焼
成することにより素子電極を形成した。素子電極の厚さ
は約100nm、素子電極間隙は30μmである。ただ
し各素子は独立に構成されており、マトリクス配線は有
しない。
BC−01、キヤノン(株)製)に上記の2種のインク
を充填し、それぞれ基板上に付与した。続いて、大気中
300℃で10分間の熱処理を施すことにより、Ptお
よびPdOよりなるドット4−1,4−2を形成した。
に電子放出素子をセットし、真空漕内を排気して圧力が
1.3×10-4Paとし、実施例1と同様のパルス電圧
を印加しフォーミング処理を行なった。
ンを導入し、圧力を1.3×10-1Paとする。素子電
極間に波高値18V、パルス幅100μ秒、パルス間隔
10m秒の矩形波パルスを印加し、活性化処理を施し
た。30分後、素子電流の増加が飽和する傾向を見せた
ところでパルス電圧の印加を停止し、真空装置内部を再
び排気した。
気を続けたところ、10時間で圧力が2.7×10-5P
aとなった。ヒーターを切って、真空装置を徐冷した。
子に印加したパルス電圧は波高値16Vの矩形波パルス
である。素子とアノード電極の間隙は4mmとし、アノ
ード電圧は1kVとした。
したところ、放出電流Ieのバラツキは7%であった。
測定終了後上記素子をSEMにより観察したところ、い
ずれの素子においても、素子電極3のエッジ付近に電子
放出部が形成されていることがわかった。
工程により素子を作成した。測定も同様に行なった結
果、放出電流Ieのバラツキは14%であった。また測
定終了後SEMによる電子放出部の観察を行なったとこ
ろ、比較例1の場合と同様に大きく蛇行していることが
わかった。
ルアミン)(PADBE)1.28gを12gの水に溶
解したもの(金属濃度2wt.%) をドット形成用の液滴の原料として用いた。予め大気中
での熱処理における両者の熱分解の様子を調べたとこ
ろ、PAMEは170℃付近で金属に分解し、280℃
でPdOが生成し始め、PADBEは145℃付近で金
属に分解し始め、255℃でほぼPdOになった。
は、出発物質に依存しないはずであるが、上記のような
違いが生じたのは、Pd化合物から金属Pdに速く変化
した方が、その後の熱処理時間が実質的に長くなること
や、金属Pdとなったときの微視的な形態の違いによ
り、PdOに変化するまでの反応速度に違いがあったた
めであろうと思われる。
りなる素子電極の複数の対を形成した。素子電極間隙は
20μmとした。上記インクを用い、実施例8と同様に
素子電極間にインクEによるドット4−1とインクDに
よるドット4−2を形成し、270℃10分間の熱処理
を行なって導電性膜4を形成した。ただし本実施例で
は、いずれのドットも一対の素子電極を結ぶ方向と垂直
の方向に4つのドットを互いにずらして、隣接するドッ
ト同士は互いに部分的に重なるように形成したものであ
る。平面図は上述した図2Aと類似の構成となる。
ミング処理、活性化処理を行なった。ただし、活性化処
理の際のアセトンの圧力は1×10-2Paであり、印加
したパルスの波高値は、0Vから14Vまで5V/分で
昇圧した後、14Vに固定して行なった。さらに真空装
置を約200℃に保ちながら10時間排気を続けた後、
ヒーターを切って徐冷した。
を行なったところ、実施例8とほぼ同様の測定結果が得
られた。測定終了後、SEMにより素子の形態を観察し
た結果、実施例8と同様に素子電極3のエッジ付近に電
子放出部が形成されていることがわかった。
アミン)(PABE)0.84gを12gの水に溶解し
たもの を用いた。大気中の熱処理実験により、PABEは14
5℃で金属Pdに分解し、245℃でほぼPdOに変化
することが確かめられた。
図3Aに示すものと類似し、中央の列のドットがインク
Fにより、他のドットがインクDにより形成されたもの
である。実施例8と同様に各ドットをインクジェット装
置を用いて形成、大気中260℃10分間の熱処理を行
なった後、実施例8と同様の方法でフォーミング処理、
活性化処理を行ない、さらに真空装置を加熱しながら排
気することにより、高真空を実現し、電子放出特性を測
定した。結果は、実施例8とほぼ同様の結果が得られ
た。
なったところ、導電性膜のほぼ中央に、電子放出部が形
成されていることがわかった。
様の構成を有するものである。本実施例においては、 インクG;酢酸パラジウム−モノブタノールアミン(P
AMB)を水に溶解したもの、金属濃度にして2wt.
% インクH;酢酸パラジウム−ビス(N,N−ジエチルエ
タノールアミン)(PADEE)を水に溶解したもの、
金属濃度にして2wt.% を用いた。熱分解の特性を調べたところ、PAMBは1
80℃付近で金属Pdに分解し、260℃でPdOに変
化した。PADEEは140℃で金属Pdに分解し、2
30℃でPdOに変化した。
膜を形成するための熱処理は、大気中で240℃10分
間とした。実施例9と同様にフォーミング処理、活性化
処理、真空装置内の排気を行ない、電子放出特性の測定
を行なった。
た。また、SEMによる形態観察の結果も、実施例9と
同様のものであった。
0と同様のものである。本実施例で用いた導電性膜形成
用インクは、 インクI;酢酸パラジウム−モノプロパノールアミン
(PAMP)を水に溶解したもの、金属濃度にして2w
t.% インクJ;酢酸パラジウム−ビス(N,N−ジメチルエ
タノールアミン)(PADME)を水に溶解したもの、
金属濃度にして2wt.% である。
180℃付近で金属Pdに分解し、270℃でPdOに
変化した。PADMEは120℃で金属Pdに分解し、
230℃でPdOに変化した。
性膜を形成するための熱処理は、大気中で240℃10
分間とした。実施例9と同様にフォーミング処理、活性
化処理、真空装置内の排気を行ない、電子放出特性の測
定を行なった。
た。また、SEMによる形態観察の結果も、実施例9と
同様のものであった。
金レジネートペーストをインクとして用いてオフセット
印刷により形成、これを70℃で乾燥した後、約580
℃で焼成してPtよりなる素子電極を複数対形成した。
粒子であるファーネスブラック(HAF、平均粒径30
nm)の1wt.%水分散液(分散性を向上させるた
め、界面活性剤を0.1wt.%を含有)を充填し、素
子電極間にこの液滴を付与した。このときカーボン微粒
子分散液は、ペーストの焼成により形成した素子電極に
若干吸い込まれ、カーボン微粒子は両方の素子電極の近
傍に集まった。その後100℃で10分間乾燥した。
ル)+エチレングリコール+PVA(ポリビニルアルコ
ール)30wt.%の液に、酢酸パラジウムモノエタノ
ールアミン(PAME)を金属濃度にして1wt.%と
なるように混ぜたもの をインクジェット装置により基板に付与し、300℃1
0分間の焼成を行なう。このとき、カーボン微粒子のあ
る素子電極近傍は、炭素の還元性によりPdは酸化され
ず金属のままとなる。一方、素子電極の中央付近ではカ
ーボン微粒子が十分に存在しないため、Pdが酸化され
てPdOが主成分となる。この中央付近のPdOにより
構成される部分が、周辺の金属Pdにより構成される部
分よりも抵抗が高く、組成潜像となる。
処理、活性化処理を行ない、真空装置を加熱しながら排
気して高真空とした。この素子の電子放出特性の測定を
行なったところ、素子毎の放出電流Ieのバラツキは6
%であった。SEMによる形態の観察の結果、電子放出
部は素子電極の中央に形成され、蛇行の幅は小さいもの
であった。
粒子の代わりに白金カーボン微粒子を用いたことを除
き、実施例13と同様の方法で電子放出素子を作製し
た。この白金カーボン微粒子は、平均粒径30nmのカ
ーボン微粒子に塩化白金を吸着させて乾燥、700℃で
4時間の還元処理を施したものを用いた。
Kの液滴を付与、焼成して、上記実施例と同様の組成潜
像を有する導電性薄膜を形成し、フォーミング処理、活
性化処理も同様に行なった。
幅が5%、SEM観察の結果は実施例13とほぼ同じで
あった。
フィー技術によりAuの素子電極を形成した。
なるように水に溶解したもの インクM;酢酸クロム(III) を金属濃度が2wt.%と
なるように水に溶解したもの を使用した。
た。インクLによりドット4−1、インクMによりドッ
ト4−2を形成する。ドット4−1が金属Niの膜厚に
して40nm、ドット4−2がCrの膜厚にして10n
mになるように液滴の吐出条件をそれぞれ制御した。
間の熱処理を行ない、上記のドットをそれぞれ分解して
金属膜とする。この後温度を500℃まで上昇させて1
時間保持し、その後徐冷する。これは2つのドットの交
差部において、NiとCrの合金を形成させるためであ
る。
ない、真空装置を200℃に保持しながら排気すること
により、真空装置内を高真空にした。
性の測定を行なった結果、放出電流Ieのバラツキは1
1%であった。測定終了後SEMによる観察を行なった
ところ、電子放出部が両方のドットの交差部に形成さ
れ、蛇行幅が狭くなっているのが観察された。
ニクロム合金の典型的な組成であり、Ni,Cr単体に
比べ2桁程度高い抵抗率を持つものであることから、フ
ォーミングによる通電により、この領域で大きな発熱が
生ずるため電子放出部がこの領域に収まるのであろうと
思われる。さらに、金属Crはbccの結晶構造を有
し、Niはfccの結晶構造を有するが、上記組成の合
金は、Niに近い構造を有するため、合金の領域とCr
の領域との界面は機械的に弱いものと思われる。このた
め、フォーミング処理により電子放出部が形成される
際、この部分が電子放出部形成のきっかけとなる、とい
う効果が寄与している可能性もある。
よりインクジェット装置を用いて、電子放出素子の導電
性膜を形成する場合にも、構造潜像あるいは組成潜像を
有するように該導電性膜形成することができ、これにつ
づくフォーミング工程において電子放出部を形成する際
に、その位置を素子電極間隙の中央付近、あるいは一方
の素子電極の近傍など必要に応じて制御でき、その蛇行
幅を小さくすることができる。これにより、電子放出特
性の均一性を向上させることができ、また素子電極間隙
が広い場合にも、蛍光膜上の輝点のサイズを小さくする
ことができ、高精細の画像を表示するのに適した画像形
成装置を作成することができる、さらにまた、これによ
り輝度ムラが少なく高画質の画像形成装置を製造するこ
とが可能となる。
より、従来の潜像を用いる方法よりも導電性膜の形成に
用いる材料の選択の自由度の広い、製造方法を実現する
ことができる。
クジェットによらないパターニング方法で形成しようと
すると、薄い方の膜を形成、パターニングした後、厚い
方の膜のためのパターニング用マスクをすでに形成した
薄い方の膜に重ねて形成し、有機金属溶液を塗布、焼
成、リフトオフによるパターニング、といったような手
順をとらねばならない。薄い方の膜に重ねてパターニン
グ用マスクを形成する必要があることから、初めに形成
する薄い方の膜は、基板に対してある程度の密着性が必
要である。実施例1のように導電膜の材質がPdOのよ
うな酸化物である場合は、ガラス基板に対してある程度
の密着性があり、このようなことも可能であるし、金属
Pdを材質とする場合にもPdOの状態でパターニング
し、最後に還元して金属Pdとすることができる。しか
しながら、Ptを導電膜として使う場合には、Ptを酸
化することは極めて困難であり、上述のような方法を採
用することはできない。インクジェット法であれば、適
当なPtの有機化合物を使用することにより、容易に実
現できる。
差部の合金化が比較的低温でできるのは、金属化合物の
状態で両方のドットが重なっており、熱分解の際に合金
化が起こるからであると思われる。これを、上述のよう
な2度の成膜、パターニングにより行なおうとすると、
例えば先ずパターニングされたNiOの膜を形成、これ
にCr膜を形成した後、NiOをNiに還元した後、交
差部の合金化を行なわなくてはならない。この場合、N
iとCrは金属の状態で重なっているため、原子同士が
互いに十分拡散しなくては合金化しない。このためには
高温で長時間処理する必要があり、ガラス基板などの耐
熱性を考えると困難である。
ット法を用いることは、導電膜の材質を自由に選択しな
がら、フォーミング工程の改善を実現する上で、利点を
有することが理解されるであろう。
す模式的図である。
す模式的図である。
す模式的図である。
す模式的図である。
す模式的図である。
す模式的図である。
ルス電圧の波形を説明するための図である。
の電子放出特性を測定する装置の構成を示す模式図であ
る。
の特性を説明するための図である。
を示す模式図である。
置の構成を示す模式図である。
構成を示す模式図である。
る際に使用する真空装置の構成を示す模式図である。
グ処理を行なう際の電源の接続方法を示す模式図であ
る。
りNTSC信号による画像を表示するための装置の構成
を示すブロック図である。
を示す模式図である。
置の構成を示す模式図である。
式図である。
す模式図である。
る方法の工程の一例を示す模式図である。
る方法の工程の一例を示す模式図である。
図である。
4−2,4−3:導電性膜4を構成するドット、5:電
子放出部、11:真空容器、12:排気ポンプ、13:
電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、1
4:素子電極2,3間の導電性膜4を流れる素子電流I
fを測定するための電流計、15:素子の電子放出部5
より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード
電極、16:アノード電極15に電圧を印加するための
高圧電源、17:素子の電子放出部5より放出される放
出電流Ieを測定するための電流計、21:基板、2
2:X方向配線、23:Y方向配線、24:電子放出素
子、25:結線、31:リアプレート、32:支持枠、
33:ガラス基板、34:螢光膜、35:メタルバッ
ク、36:フェースプレート、37:外囲器、41:黒
色導電材、42:螢光体、51:画像形成装置、52:
排気管、53:真空チャンバー、54:ゲートバルブ、
55:排気装置、56:圧力計、57:四重極質量分析
器、58:ガス導入ライン、59:導入量制御手段、6
0:導入物質源、61:共通電極、62:電源、63:
電流測定用抵抗、64:オシロスコープ、71:画像形
成装置、72:走査回路、73:制御回路、74:シフ
トレジスタ、75:ラインメモリ、76:同期信号分離
回路、77:変調信号発生器、Vx,Va:直流電圧
源、81:電子放出素子、82,Dx1〜Dx10 :共通配
線、83:グリッド電極、84:電子透過孔、85,D
xo1 ,Dxo2 ,‥‥,Dxom :共通配線容器外端子、8
6:グリッド電極容器外端子、91:インクジェットヘ
ッド、92:ヒーター、93:溶液流路、94:吐出
口、95:溶液供給管、96−1,96−2:インクの
液滴、Hv:高圧端子。
Claims (20)
- 【請求項1】 基体上に形成された一対の対向する素子
電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、該
導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子放
出素子の製造方法であって、 (1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジェット装置により液滴として所
定の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、上記(1)の工程に際し、上記インク中の
導電性膜を形成する材質の原料の含有率の互いに異なる
異種のインクを用いて、前記原料の含有率の大きいイン
クにて上記工程(2)における導電性膜の厚い部分を、
前記原料の含有率の小さいインクにて上記工程(2)に
おける導電性膜の薄い部分を、それぞれ形成して、上記
(3)の工程において前記導電性膜の薄い部分をジュー
ル熱の発生により電子放出部の形成がなされやすい潜像
となすことを特徴とする電子放出素子の製造方法。 - 【請求項2】 基体上に形成された一対の対向する素子
電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、該
導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子放
出素子の製造方法であって、(1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジェット装置により液滴として所
定の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、上記(1)の工程に際し、上記インクの 付
与回数を多くすることで上記工程(2)における導電性
膜の厚い部分を、上記インクの付与回数を少なくするこ
とで上記工程(2)における導電性膜の薄い部分を、そ
れぞれ形成して、上記(3)の工程において前記導電性
膜の薄い部分をジュール熱の発生により電子放出部の形
成がなされやすい潜像となすことを特徴とする電子放出
素子の製造方法。 - 【請求項3】 前記導電性膜の薄い部分を形成する前記
インクの付与に より形成されるドットの膜厚に対する、
前記導電性膜の厚い部分を形成する当該ドットの膜厚の
比が、2以上であることを特徴とする請求項1または2
に記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項4】 基体上に形成された一対の対向する素子
電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、該
導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子放
出素子の製造方法であって、 (1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジェット装置により液滴として一
対の対向する素子電極間の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、上記(1)の工程に際し、上記インクの 付
与により形成されるドットの中心を、上記素子電極間の
中心線からずらして、一方の素子電極エッジにおける上
記ドットの幅W2を他方の電極エッジにおけるドットの
幅W1よりも小さく形成して、上記(3)の工程におい
て前記ドットの幅が狭い方の導電性膜の素子電極エッジ
近傍をジュール熱の発生により電子放出部の形成がなさ
れやすい潜像となすことを特徴とする電子放出素子の製
造方法。 - 【請求項5】 上記ドットの幅の比が 【数1】 を満たすことを特徴とする、請求項4に記載の電子放出
素子の製造方法。 - 【請求項6】 上記ドットが概略円形であり、該ドット
半径をR、電極間隙をL、上記ドット中心の電極間隙中
心線からのズレをδLとしたとき、次の式 【数2】 を満たすことを特徴とする、請求項5に記載の電子放出
素子の製造方法。 - 【請求項7】 基体上に形成された一対の対向する素子
電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、該
導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子放
出素子の製造方法であって、 (1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジェット装置により液滴として所
定の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、上記(1)の工程に際し、上記インクとし
て、第2の金属元素の化合物を含有するインクと該第2
の金属元素よりも酸化されやすい第1の金属元素の化合
物を含有するインクとを用いて、前記第1の金属元素の
化合物を含有するインクにて上記工程(2)における導
電性膜の金属酸化物からなる部分を、前記第2の金属元
素の化合物を含有するインクにて上記工程(2)におけ
る導電性膜の金属からなる部分を、それぞれ形成して、
上記(3)の工程において前記導電性膜の金属酸化物か
らなる 抵抗率の高い部分をジュール熱の発生により電子
放出部の形成がなされやすい潜像となすことを特徴とす
る電子放出素子の製造方法。 - 【請求項8】 上記第1の金属元素がPd、第2の金属
がPtであることを特徴とする、請求項7に記載の電子
放出素子の製造方法。 - 【請求項9】 基体上に形成された一対の対向する素子
電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、該
導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子放
出素子の製造方法であって、 (1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジ ェット装置により液滴として所
定の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、 上記(1)の工程に際し、上記インクとして、第2の金
属化合物を含有するインクと該 第2の金属化合物より
も、その金属化合物から金属に熱分解する際の分解温度
が低い第1の金属化合物を含有するインクとを用いて、
前記第2の金属化合物を含有するインクにて上記工程
(2)における導電性膜の金属からなる部分を、前記第
1の金属化合物を含有するインクにて上記工程(2)に
おける導電性膜の前記金属の酸化物からなる部分を、そ
れぞれ形成して、上記(3)の工程において前記導電性
膜の金属酸化物からなる抵抗率の高い部分をジュール熱
の発生により電子放出部の形成がなされやすい潜像とな
すことを特徴とする電子放出素子の製造方法。 - 【請求項10】 上記、第1の金属化合物が、酢酸パラ
ジウム−ビス(N−ブチルエタノールアミン)、酢酸パ
ラジウム−ジ(N−ブチルエタノールアミン)、酢酸パ
ラジウム−ビス(N,N−ジエチルエタノールアミ
ン)、酢酸パラジウム−ビス(N,N−ジメチルエタノ
ールアミン)より選ばれるいずれか一つであり、第2の
金属化合物が、酢酸パラジウム−モノエタノールアミ
ン、酢酸パラジウム−モノブタノールアミン、酢酸パラ
ジウム−モノプロパノールアミンより選ばれるいずれか
一つであることを特徴とする、請求項9に記載の電子放
出素子の製造方法。 - 【請求項11】 基体上に形成された一対の対向する素
子電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜と、
該導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子
放出素子の製造方法であって、 (1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジェット装置により液滴として所
定の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、上記(1)の工程に際し、上記所定 の位置
の一部に還元性の物質を配置し、上記インクとして金属
化合物を含有するインクを付与することで、上記工程
(2)における導電性膜の前記還元性の物質が配置され
た部分を金属からなる導電性膜に、その他の部分を金属
酸化物からなる導電性膜として、上記(3)の工程にお
いて前記導電性膜の金属酸化物からなる抵抗率の高い部
分をジュール熱の発生により電子放出部の形成がなされ
やすい潜像となすことを特徴とする電子放出素子の製造
方法。 - 【請求項12】 上記還元性の物質が、カーボン微粒子
であることを特徴とする、請求項11に記載の電子放出
素子の製造方法。 - 【請求項13】 上記還元性の物質が、白金カーボン微
粒子であることを特徴とする、請求項11に記載の電子
放出素子の製造方法。 - 【請求項14】 上記、還元性物質を配置する方法が、
該還元性物質の微粒子の分散液を、インクジェット装置
により所定の位置に液滴として付与する方法であること
を特徴とする、請求項11〜13に記載の電子放出素子
の製造方法。 - 【請求項15】 「基体上に形成された一対の対向する
素子電極と、該素子電極の双方に接続された導電性膜
と、該導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する
電子放出素子の製造方法であって、 (1)上記導電性膜を形成する材質の原料となる物質を
含むインクを、インクジェット装置により液滴として所
定の位置に付与する工程と、 (2)付与された液滴を乾燥および/または焼成して、
導電性膜とする工程と、 (3)上記一対の素子電極間に電圧を印加して、上記導
電性膜に電流を流すことにより電子放出部を形成する工
程とを有し、上記(1)の工程に際し、 第1の金属を含
有するインクと、第2の金属を含有するインクとを互い
のドットが交差するように付与し、上記工程(2)にお
ける焼成により前記導電性膜の当該ドットの交差部を両
方の金属よりなり、もとの金属より1桁以上高い抵抗率
を有する合金となすことで、上記(3)の工程において
前記導電性膜の抵抗率の高い部分をジュール熱の発生に
より電子放出部の形成がなされやすい潜像となすことを
特徴とする電子放出素子の製造方法。 - 【請求項16】 上記第1の金属がNi、第2の金属が
Crであり、交差部がニクロム合金であることを特徴と
する、請求項15に記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項17】 前記電子放出素子が表面伝導型である
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の電
子放出素子の製造方法。 - 【請求項18】 前記インクジェット装置が、液体に熱
を与えることにより該液体を吐出するバブルジェット方
式のものであることを特徴とする請求項1〜17のいず
れかに記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項19】 一対の対向する素子電極と、該素子電
極の双方に接続された導電性膜と、該導電性膜の一部に
形成された電子放出部を有する電子放出素子を基体上に
複数配置し、これら電子放出素子に接続された配線を有
してなる電子源の製造方法において、 前記電子放出素子の製造に、請求項1〜18のいずれか
に記載の方法を用いることを特徴とする電子源の製造方
法。 - 【請求項20】 一対の対向する素子電極と、該素子電
極の双方に接続された導電性膜と、該導電性膜の一部に
形成された電子放出部を有する電子放出素子を基体上に
複数配置し、これら電子放出素子に接続された配線を有
してなる電子源と、該電子源より放出される電子の照射
を受けて発光することにより、画像を表示する画像形成
部材を、真空容器に内包してなる画像形成装置の製造方
法において、 前記電子源を、請求項19に記載の方法を用いて製造す
ることを特徴とする、画像形成装置の製造方法。
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