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JP3124913B2 - 末端にビニル含有酸アミド基を有するフッ素化ポリエーテルの精製方法 - Google Patents

末端にビニル含有酸アミド基を有するフッ素化ポリエーテルの精製方法

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JP3124913B2 JP07222635A JP22263595A JP3124913B2 JP 3124913 B2 JP3124913 B2 JP 3124913B2 JP 07222635 A JP07222635 A JP 07222635A JP 22263595 A JP22263595 A JP 22263595A JP 3124913 B2 JP3124913 B2 JP 3124913B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも一方の
末端にビニル含有酸アミド基を有するフッ素化ポリエー
テルから、このフッ素化ポリエーテルに不純物として含
まれるカルボン酸及び/又はカルボン酸塩を除去、精製
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】少なくとも一方の末端にビニル含有酸ア
ミド基を有するフッ素化ポリエーテル(以下、単に末端
ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルという
こともある。)は、例えばこのフッ素化ポリエーテルを
ベースポリマーとして、白金触媒の存在下で前記フッ素
化ポリエーテルのビニル基と、架橋剤としてSiH基含
有有機珪素化合物のSiH基との付加・硬化反応により
ゴム硬化物を得るための液状ゴム材料である付加型硬化
性組成物(例えば特開平5−331372)のビニル基
供給原料として利用されている。このような末端ビニル
含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルの製造方法と
しては、例えば次のような反応を利用したものが知られ
ている(特開昭60−34924、USP4, 094,
911)。
【0003】 FCOCF2O(CF2CF2O)m (CF2O)n CF2COF ………(1) ↓CH3OH CH3OCOCF2O(CF2CF2O) m (CF2O)n CF2COOCH3 ………(2) ↓H2NCH2CH=CH2 CH2=CHCH2NHCOCF2O(CF2CF2O)m (CF2O)n CF2CONHCH2CH=CH2 ………(3)
【0004】上記方法は、カルボン酸ハライド基を有す
る化合物からアミド化合物を製造する方法の一つを応用
した例である。また、メチルエステル(2)を経由しな
いで、末端に酸フロライド基を有するフッ素化ポリエー
テルとして上記化合物(1)とアリルアミン(NH2
2 CH=CH2 )とを直接反応させる方法も知られて
いる。末端酸フロライド基含有フッ素化ポリエーテルと
しては、上記化合物(1)の他に次のようなものがあ
る。
【0005】
【化1】 これらの原料フッ素化ポリエーテルも前述のように一級
又は二級のアミンと反応させて直接、目的物に誘導する
ことができる。
【0006】ところで、以上のような従来の方法で末端
ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルを製造
した場合、原料として使用されるフッ素化ポリエーテル
の酸フロライド基は加水分解を受け易いため、僅かな水
分でも混入すると、加水分解によりカルボン酸及び/又
はカルボン酸塩を生じ、その結果、これらが目的物中に
不純物として含まれることになる。これら不純物を含む
製品をそのまま前述の付加型硬化性組成物の原料として
使用すると、硬化反応が十分に行えなかったり、保存中
に水素ガスを発生しながらゲル化する等の不都合が生じ
る。そこで目的製品からこれらの不純物を除去、精製す
ることが要望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、以上のような
不純物は、もともと原料自体が高分子量であることか
ら、分子量が高く、しかも分子量分布を有する混合物か
らなるため、蒸留等の通常の方法で分離、除去すること
は不可能である。勿論、原料への水分の混入を完全に防
ぐことができるならば、前記問題は解決するが、実際に
は原料の保存時や操作又は取扱い時に水分の混入を避け
ることは極めて困難である。
【0008】このように従来の方法により製造される末
端ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルは、
一般に不純物としてカルボン酸及び/又はカルボン酸塩
を含有することは避けられず、またその精製も通常の方
法では困難であった。従って本発明の課題は、末端ビニ
ル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルを製造する
際に副反応によって生成するカルボン酸及び/又はカル
ボン酸塩を簡単に除去できる前記フッ素化ポリエーテル
の精製方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記付加
型硬化性組成物の硬化反応等に不都合な、末端ビニル含
有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテル中の不純物を除
去する方法について種々検討した結果、前記フッ素化ポ
リエーテルをアミン化合物の存在下に加熱すると、不純
物であるカルボン酸及びカルボン酸塩が分解して消失す
ること、及びこうして精製された末端ビニル含有酸アミ
ド基含有フッ素化ポリエーテルは液状ゴム材料である付
加型硬化性組成物のビニル基供給原料として用いてもS
iH基供給原料との付加硬化反応に際し、何等の不都合
も生じない上、保存性も優れていることを見い出し、本
発明を完成した。
【0010】即ち本発明の精製方法は、少なくとも一方
の末端をビニル含有酸アミド基で含有したフッ素化ポリ
エーテルに含まれるカルボン酸及び/又はカルボン酸塩
を除去して、このフッ素化ポリエーテルを精製する方法
であって、前記不純物含有フッ素化ポリエーテルをアミ
ン化合物の存在下で加熱することを特徴とするものであ
る。
【0011】また本発明の精製方法は前記不純物含有フ
ッ素化ポリエーテルの製造工程において、反応(アミド
化反応)終了後の反応混合物系にそのまま適用すること
も可能である。この場合は見方を変えれば、末端ビニル
含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテル(精製品)の
製造方法である。
【0012】末端ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポ
リエーテル 本発明の精製方法が適用される、不純物を含有する末端
ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルのビニ
ル含有酸アミド基としては、例えば式: −CON(R1 )−R2 −CH=CH2 [但し、R1 は−H,−Ph(但し、Phはフェニルを
表す。) ,−CH3 又は−CH2 CH=CH2 を表し、
またR2 は−CH2 −又は−Ph’−Si( CH3)2
( 但し、Ph’はフェニレン基を表す。) を表す。]で
示されるものが挙げられる。このビニル含有酸アミド基
は、フッ素化ポリエーテルの一方の末端だけに或いは両
方の末端に結合していてよい。このようなビニル含有酸
アミド基含有フッ素化ポリエーテルの具体例としては下
記のものが挙げられる。
【0013】1)両末端にビニル含有酸アミド基が結合
した例
【0014】
【化2】 上式中、Rは以下のような二価のフッ素化ポリエーテル
鎖である。
【0015】
【化3】
【0016】2)片末端だけにビニル含有酸アミド基が
結合した例
【化4】 (上式中、dは1〜200の整数。) これらの末端ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエ
ーテルは、前述のように不純物としてカルボン酸及び/
又はカルボン酸塩を含んでいる。これら不純物は末端ビ
ニル基含有フッ素化ポリエーテルの主鎖であるフッ素化
ポリエーテルの構造によって異なるが、末端部分が例え
ば次のようなカルボン酸:
【0017】
【化5】 及びそれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩等である。
【0018】アミン化合物 本発明において、アミン化合物は不純物としてカルボン
酸及びカルボン酸塩を含む末端ビニル基含有フッ素化ポ
リエーテル中のカルボン酸及びカルボン酸塩を熱分解し
て除去するために使用される。このようなアミン化合物
としては、一級、二級又は三級アミンであればよく、例
えばブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、及びジメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルア
ミノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン等が挙げられる
が、好ましくは前記アミノシラン化合物のようなN−S
i結合含有アミン化合物である。
【0019】精製方法 本発明の精製方法を実際に行うには、基本的には製造後
の不純物を含む末端ビニル含有酸アミド基含有フッ素化
ポリエーテルにアミン化合物を添加混合し、撹拌しなが
ら、好ましくは80〜250℃、更に好ましくは120
〜160℃の温度に加熱すればよい。加熱時間は30分
〜3時間程度が適当である。
【0020】また本発明の精製方法を前述のように前記
不純物含有フッ素化ポリエーテルの製造方法に適用する
場合は、この不純物含有フッ素化ポリエーテルの製造工
程において、反応(アミド化反応)終了後の反応混合物
系にそのままアミン化合物を添加混合し、前述のように
加熱する。即ちこの場合は、少なくとも一方の末端に酸
ハライド基を有するフッ素化ポリエーテルを出発原料と
して、この酸ハライド基を直接的に又は間接的にビニル
含有酸アミド基に転換して、不純物としてカルボン酸及
び/又はカルボン酸塩を含むビニル含有酸アミド基含有
フッ素化ポリエーテルを生成させ、次に前記不純物を含
むフッ素化ポリエーテルをアミン化合物の存在下で加熱
する。前記酸ハライド基を直接的にビニル含有酸アミド
基に転換するには、例えば末端酸フロライド基含有フッ
素化ポリエーテルとアリルアミンとを過剰のトリエチル
アミンの存在下にアミド化反応させる。なお、この転換
方式の場合は、反応混合物をそのまま加熱することによ
り精製できる。一方、前記酸ハライド基を間接的にビニ
ル含有酸アミド基に転換するには、例えば従来の技術に
おいて説明したように、以下のようなメチルエステル
(2)を経由する反応を利用する。
【0021】 FCOCF2O(CF2CF2O)m (CF2O)n CF2COF ………(1) ↓CH3OH CH3OCOCF2O(CF2CF2O) m (CF2O)n CF2COOCH3 ………(2) ↓H2NCH2CH=CH2 CH2=CHCH2NHCOCF2O(CF2CF2O)m (CF2O)n CF2CONHCH2CH=CH2 ………(3)
【0022】いずれの転換方式の場合も、アミド化反応
終了後、更にジメチルアミノトリメチルシランのような
アミノシラン系化合物を過剰に添加して加熱することが
好ましい。
【0023】以上の加熱処理により、不純物を含む末端
ビニル含有酸アミド基含有フッ素化ポリエーテルから不
純物であるカルボン酸及び/又はカルボン酸塩が除去さ
れるが、加熱終了後は、処理物から減圧ストリップ等の
方法により過剰のアミン化合物を分離し、更にこれを活
性炭等の吸着剤で処理する。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例及び比較例を示す。
【0025】比較例1 下記フッ素化ポリエーテル:
【0026】
【化6】 (m,nはm+nの平均値で92)200gを500m
Lセパラブルフラスコに入れ、撹拌しながら、N−アリ
ルアニリン4.7g、トリエチルアミン2.4g及び
1, 3−ビス(トリフロロメチル)ベンゼン13.0g
の混合物を約10分間かけて滴下した。この時、内容物
の温度は26℃から34℃に上昇した。その後、29〜
34℃の温度で3時間撹拌を続けた。得られた反応混合
物をジエチルエーテルで数回洗浄し、生成した塩及び過
剰のN−アリルアニリンを分離した後、70℃、10m
mHgの条件でストリップを行った。得られたポリマー
198gに活性炭2g、キョーワード700S(ケイ酸
マグネシウムの粉末)5g及びパーフロロオクタン50
gを添加し、60℃で3時間撹拌を行い、濾過した後、
100℃、10mmHgの条件でストリップを行って、
両末端にビニル含有アミド基を有するフッ素化ポリエー
テル195gを得た。
【0027】このポリマーをIRスペクトル分析したと
ころ、1795cm-1にカルボン酸の吸収が認められ
た。このポリマー中のカルボン酸の含有率は、標準添加
法により定量したところ、3.0×10-4mol/10
0gであった。
【0028】実施例1 比較例1で製造した両末端にビニル含有アミド基を有す
るフッ素化ポリエーテル100gを200mLセパラブ
ルフラスコに入れ、トリエチルアミン0.78gを加
え、撹拌しながらオイルバスを用いて150℃で2時間
加熱処理した。この処理液について150℃、2mmH
gでストリップを行い、冷却した後、活性炭1g、キョ
ーワード700S2g及びパーフロロオクタン50gを
加え、60℃で2時間撹拌した。次に、得られた液を濾
過し、活性炭を分離した後、100℃、10mmHgの
条件でストリップを行って前記フッ素化ポリエーテルの
精製品97gを得た。このフッ素化ポリエーテルを比較
例1と同様にIRスペクトル分析したところ、カルボン
酸の特性吸収は全く認められなかった。
【0029】実施例2 下記フッ素化ポリエーテル:
【0030】
【化7】 (m,nはm+nの平均値で92)
【0031】100gを200mLセパラブルフラスコ
に入れ、撹拌しながら、N−アリルアニリン2.4g、
トリエチルアミン1.2g、及び1, 3−ビストリフロ
ロメチルベンゼン13.0gを加え、25〜30℃の温
度で3時間撹拌した。次にジエチルアミノトリメチルシ
ラン1.8gを加え、150℃で2時間撹拌した後、1
50℃、10mmHgの条件でストリップを行った。こ
れに活性炭1g、キョーワード700S(ケイ酸マグネ
シウムの粉末)2g及びパーフロロオクタン50gを添
加し、60℃で2時間撹拌した。以下、実施例1と同様
に、濾過、ストリップを行って、両末端にビニル含有ア
ミド基を有するフッ素化ポリエーテル95gを得た。こ
のポリマーを比較例1と同様にIRスペクトル分析した
ところ、カルボン酸の特性吸収は全く認められなかっ
た。
【0032】硬化試験 比較例1、実施例1及び実施例2で得られた、両末端に
ビニル含有アミド基を有するフッ素化ポリエーテル各1
00.0部(重量部、以下同様)を白金触媒0.4部、
制御剤0.4部、硬化剤2.1部及び充填剤10.0部
と混合して液状ゴムを調製し、硬化性、硬度及び保存安
定性について試験した。白金触媒、制御剤、硬化剤及び
充填剤としては、下記のものを使用した。 白金触媒:塩化白金酸をCH2=CHSi(CH3)2OSi(CH3)2CH=CH
2 で変性した触媒のトルエン溶液(白金濃度で1.0重
量%) 制御剤:エチニルシクロヘキサノールの50%トルエン
溶液 硬化剤:(分子の平均組成)
【0033】
【化8】 充填剤:トリメチルシロキシ基で処理された比表面積2
00m3 /gの煙霧質シリカ 試験方法は下記の通りである。
【0034】硬化性:試料を150℃で1時間硬化さ
せ、指触により硬化物のタック感を調べる。 硬度:前記硬化物の硬度をJISK6301に規定の方
法で、スプリング式硬さ試験機A形を用いて測定する。 保存安定性:試料を空気中40℃で7日間保存し、ゲル
化の有無を調べる。
【0035】硬化試験の結果を表1に示す。
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明方法によれば、末端ビニル含有ポ
リアミド基含有フッ素化ポリエーテルから不純物として
含まれるカルボン酸及び/又はカルボン酸塩を簡単に除
去することができる。こうして精製された末端ビニル含
有ポリアミド基含有フッ素化ポリエーテルをSiH基含
有有機珪素化合物と共に付加型硬化性組成物の原料とし
て用いれば、硬化性及び保存安定性に優れた液状ゴム材
料を得ることができる。またこの精製物をヒドロシリル
化反応の原料として使用する場合には、収率の向上及び
反応率の向上が期待される。
フロントページの続き (72)発明者 松田 高至 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−256500(JP,A) 特開 平5−320178(JP,A) 特開 昭60−34924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 65/00 - 65/48 WPI/L

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の末端にビニル含有酸ア
    ミド基を有するフッ素化ポリエーテルに不純物として含
    まれるカルボン酸及び/又はカルボン酸塩を除去して、
    このフッ素化ポリエーテルを精製する方法であって、前
    記不純物含有フッ素化ポリエーテルをアミン化合物の存
    在下で加熱することを特徴とする精製方法。
  2. 【請求項2】 アミン化合物がN−Si結合を含む化合
    物である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 加熱温度が80〜250℃である請求項
    1記載の方法。
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