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JP3121245B2 - 含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方法並びにそれを含有する室温硬化性シリコーン組成物 - Google Patents

含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方法並びにそれを含有する室温硬化性シリコーン組成物

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JP3121245B2
JP3121245B2 JP07262106A JP26210695A JP3121245B2 JP 3121245 B2 JP3121245 B2 JP 3121245B2 JP 07262106 A JP07262106 A JP 07262106A JP 26210695 A JP26210695 A JP 26210695A JP 3121245 B2 JP3121245 B2 JP 3121245B2
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隆文 坂本
伸一 佐藤
則之 小池
靖 山本
正俊 荒井
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ゴム材料
や離型剤に有用なエラストマーを得るのに適した含フッ
素有機ケイ素化合物及びその製造方法並びにそれを含有
する室温硬化性シリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機フッ素化合物は各種分野
で使用されており、例えば有機フッ素化合物を150℃
以上の高温で架橋剤を用いて架橋して得たエラストマー
は、ゴム材料や離型剤として利用されている。しかし、
従来の有機フッ素化合物から得たエラストマーは耐薬品
性が十分でなく、特に耐溶剤性、耐酸性及び耐塩基性が
十分でないものが多い。また、特にシーラントや成形部
品等に使用するエラストマーは、前記の耐薬品性のほ
か、更に離型性や撥水性に優れ、かつ室温で硬化するも
のが望ましいが、従来そのようなエラストマーを得るこ
とができる有機フッ素化合物は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐薬
品性、離型性及び撥水性に優れたエラストマーを得るの
に適した新規含フッ素有機ケイ素化合物及びその製造方
法並びにそれを含有する室温硬化性シリコーン樹脂組成
物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、下記一
般式(1):
【化8】 [式中、R1 及びR2 は独立に置換又は非置換の1価炭
化水素基であり、R3 は独立に水素原子又は置換若しく
は非置換の1価炭化水素基であり、R4 は独立に置換又
は非置換の2価炭化水素基であり、Rf は独立に2価の
パーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリ
エーテル基であり、Xは独立に加水分解性基であり、Q
は下記一般式(2):
【0005】
【化9】 (式中、R5 は結合途中に酸素原子、窒素原子及びケイ
素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を介在さ
せてもよい置換又は非置換の2価炭化水素基であり、R
3 は前記と同じである)又は下記一般式(3):
【0006】
【化10】 (式中、R6 及びR7 は独立に置換又は非置換の2価炭
化水素基である)で表される基であり、aは0以上の整
数であり、bは1、2又は3である]で表される含フッ
素有機ケイ素化合物である。
【0007】本発明の第二は、下記一般式(4):
【化11】 (式中、R2 、R3 、Rf 、Q及びaは前記と同じであ
り、R13は独立にケイ素原子に結合した水素原子とヒド
ロシリル化反応が可能な脂肪族不飽和結合を有する置換
又は非置換の1価炭化水素基である)で表される有機ケ
イ素化合物と、下記一般式(5):
【0008】
【化12】 (式中、R1 、b及びXは前記と同じである)で表され
るオルガノハイドロジェンシランとを触媒の存在下に反
応させる前記の含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法で
ある。
【0009】本発明の第三は、前記の含フッ素有機ケイ
素化合物を含有する室温硬化性シリコーン組成物であ
る。本発明の第四は、前記の室温硬化性シリコーン組成
物を硬化して得られる硬化物である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。含フッ素有機ケイ素化合物 本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、前記一般式
(1)で表される。 置換基R1 、R2 、R3 及びR4 一般式(1)中のR1 及びR2 で示される非置換の1価
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、
(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等が挙げられ
る。前記のアルキル基としては、例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、
デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げら
れ、さらに代表的なものはメチル基、エチル基、プロピ
ル基等の炭素原子数1〜3の低級アルキル基;ブチル
基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基である。
【0011】前記のシクロアルキル基としては、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル
等の炭素原子数3〜8のシクロアルキル基が挙げられ、
さらに代表的なものはシクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基等の炭素原子数5〜6のシクロアルキル基である。
【0012】前記のアリール基としては、例えば、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニ
リル基等の炭素原子数6〜15のアリール基が挙げら
れ、さらに代表的なものはフェニル基、トリル基、キシ
リル基等の炭素原子数6〜8のアリール基である。
【0013】前記のアラルキル基としては、例えば、ベ
ンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メ
チルベンジル基等の炭素原子数7〜10のアラルキル基
が挙げられ、さらに代表的なものはベンジル基、フェニ
ルエチル基等の炭素原子数7〜8のアラルキル基であ
る。
【0014】前記のアルケニル基としては、例えば、ビ
ニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、
ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘ
キセニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基が挙
げられ、さらに代表的なものはビニル基、アリル基、ブ
テニル基等の炭素原子数2〜4のアルケニル基である。
【0015】前記のR1 及びR2 で示される置換の1価
炭化水素基は、前記の非置換の1価炭化水素基の水素原
子の少なくとも一部をフッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基であり、
代表的なものは、例えば、クロロメチル基、2−ブロモ
エチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフ
ルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,
6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数1〜8のハ
ロゲン置換アルキル基が挙げられ、さらに代表的なもの
は3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の
炭素原子数3〜8のハロゲン置換アルキル基である。
【0016】一般式(1)中のR3 は水素原子又は置換
若しくは非置換の1価炭化水素基である。R3 の置換又
は非置換の1価炭化水素基としては、前記のR1 及びR
2 として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0017】一般式(1)中のR4 の置換又は非置換の
2価炭素水素基としては、例えば、炭素原子数1〜2
0、特に2〜10の2価の炭化水素基が挙げられ、代表
的なものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレ
ン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン
基等のアルキレン基、さらに代表的なものとしてメチレ
ン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素原子数1〜3
のアルキレン基;シクロヘキシレン基等の炭素原子数が
3〜6のシクロアルキレン基;フェニレン基、トリレン
基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基等
のアリーレン基、、さらに代表的なものとしてフェニレ
ン基、トリレン基の炭素原子数6〜8のアリーレン基;
あるいはこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲ
ン原子等で置換した基、あるいはこれらの置換又は非置
換のアルキレン基、アリーレン基の組み合わせなどが例
示される。中でも、合成の容易さ、化合物の安定性など
の点からエチレン基、プロピレン基が好ましい。
【0018】置換基Q 一般式(1)中のQは、前記一般式(2)又は一般式
(3)で示される基である。 (i) 一般式(2)で表される基 一般式(2)中のR3 は前記と同じである。一般式
(2)中のR5 としては、R4 として例示した前記の置
換又は非置換の2価炭素水素基のほか、結合の途中に酸
素原子、窒素原子及びケイ素原子からなる群より選ばれ
る少なくとも1種を介在する置換又は非置換の2価炭化
水素基が挙げられる。R5 の2価炭化水素基において、
前記の酸素原子は−O−として介在することができ、前
記の窒素原子は−NR10−(但し、R10は水素原子、ア
ルキル基又はアリール基である)として介在することが
できる。
【0019】前記のR10のアルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチ
ル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基等が挙げられ、特に代表的なものは、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イ
ソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチ
ル基、ヘキシル基党の炭素原子数1〜6のアルキル基で
ある。
【0020】前記のR10のアリール基としては、例え
ば、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素原子数
6〜8のアリール基が挙げられる。R5 の2価炭化水素
基において前記のケイ素原子は、例えば下記の基のよう
に直鎖状又は環状のオルガノシロキサンを含有する基又
はオルガノシリレン基として介在することができる。
【0021】
【化13】 [前記式中、R11は独立にアルキル基又はアリール基で
あり、R12は独立にアルキレン基又はアリーレン基であ
り、nは0〜10の整数、代表的には0〜5の整数であ
る] 前記のR11のアルキル基又はアリール基としては、前記
のR10と同様のものが挙げられる。R12のアルキレン基
としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレ
ン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプ
チレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等の
炭素原子数1〜10のアルキレン基が挙げられる。R12
のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリ
レン基、キシリレン基、ナフチレン基等の炭素原子数6
〜10のアリーレン基が挙げられる。
【0022】このようなR5 の結合の途中に酸素原子、
窒素原子及びケイ素原子からなる群より選ばれる少なく
とも1種を介在する置換又は非置換の2価炭化水素基の
具体例としては、例えば、下記式で表されるものが挙げ
られる。
【化14】 (前記式中、Meはメチル基である)
【0023】(ii)一般式(3)で表される基 一般式(3)中のR6 及びR7 の置換又は非置換の2価
炭素水素基としては、前記一般式(1)のR4 として例
示したものと同様のものが挙げられ、代表的なものとし
ては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチル
エチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキ
レン基、さらに代表的なものとしてメチレン基、エチレ
ン基、プロピレン基等の炭素原子数1〜3のアルキレン
基;あるいはこれらの基の水素原子の一部又は全部をハ
ロゲン原子等で置換した基などが例示される。
【0024】(iii)Qで表される基の具体例 前記の一般式(2)又は(3)で表される基Qの具体例
としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【化15】 (前記式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基
であり、Rfはパーフルオロアルキレン基又は2価のパ
ーフルオロポリエーテル基である) 前記式のRfは、次に示す一般式(1)のRfと同様の
ものが挙げられる。
【0025】置換基Rf 一般式(1)のRf で表されるパーフルオロアルキレン
基は、下記一般式: −Cm 2m− (式中、mは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数
である)で示される直鎖状又は分岐状のものである。
【0026】一般式(1)のRf で表される2価パーフ
ルオロポリエーテル基としては、例えば、下記一般式:
【化16】 (式中、Yは独立にフッ素原子又はトリフルオロメチル
基であり、p、q及びrは、p≧1、q≧1、2≦p+
q≦200を満足する整数であり、好ましくは3≦p+
q≦110、0≦r≦6を満足する整数である)、下記
一般式:
【0027】
【化17】 (式中、rは前記と同じであり、s及びtは、s≧0、
t≧0、2≦s+t≦200を満足する整数であり、好
ましくは3≦s+t≦110を満足する整数である)、
下記一般式:
【0028】
【化18】 (式中、Yは前記と同じであり、u及びvは1≦u≦1
00、1≦v≦100を満足する整数である)、下記一
般式:
【0029】
【化19】 (式中、wは1≦w≦100を満足する整数である)等
で表されるものが挙げられる。このようなRf の具体例
としては、例えば、
【0030】
【化20】 (式中、n+mは平均で38である),
【化21】 (式中、nは平均で5〜50、例えば8であり、mは平
均で1〜10、例えば2である),
【化22】 (式中、nは平均で5〜50、例えば15であり、mは
平均で1〜10、例えば2である),
【化23】 (式中、nは5〜100の整数、例えば10である),
【化24】 (式中、n+mは平均で2〜200、好ましくは30〜
110である),
【化25】 (式中、n+mは平均で20〜110、例えば30であ
る)等が挙げられる。
【0031】置換基X 一般式(1)のXで表される加水分解性基としては、例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等
のハロゲン原子;下記一般式で示される基などが挙げら
れる。
【0032】
【化26】 (式中、R8 及びR9 はそれぞれ水素原子又は置換又は
非置換の1価炭化水素基である) 前記のR8 及びR9 で表される置換又は非置換の1価炭
化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の
アルキル基、代表的なものとしてはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソブチル基等の炭素原子数が1〜4
のアルキル基;シクロヘキシル基等の炭素原子数が3〜
6のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニ
ル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基
等のアルケニル基、代表的なものとしてはビニル基、イ
ソプロペニル基等の炭素原子数が2〜4のアルケニル
基;フェニル基等のアリール基;或いはこれらの基の水
素原子が部分的にアルコキシ基などで置換された基、例
えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシ
メチル基、エトキシエチル基等のアルコキシ置換アルキ
ル基などが挙げられる。
【0033】一般式(1)中のその他の定義 一般式(1)のaは、aは0以上の整数であり、代表的
には0〜10の整数、さらに代表的には、0、1、2、
3、4、5又は6である。従って、一般式(1)の有機
フッ素化合物1分子中にはパーフルオロアルキレン基又
は2価のパーフルオロポリエーテル基が1個以上含まれ
る。一般式(1)のbは独立に1、2又は3である。従
って、加水分解性基Xを1〜3個含むものである。
【0034】含フッ素有機ケイ素化合物 本発明の一般式(1)で表される含フッ素有機ケイ素化
合物は、数十cStの低粘度ポリマーから固形の生ゴム
状のポリマーまでを包含する。例えば、熱加硫ゴム用と
しては、取り扱いやすさを考慮すると生ゴム状のポリマ
ーを用いればよい。また、液状ゴム用としては、25℃
における粘度が100〜100,000cSt程度のも
のを用いればよい。なお、粘度が低すぎると得られる硬
化物の弾性がなくなり、脆いものとなる場合がある。
【0035】含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法 本発明の製造方法は、前記一般式(4)で表される有機
ケイ素化合物と、前記一般式(5)で表されるオルガノ
ハイドロジェンシラン又はオルガノハイドロジェンシロ
キサンとを触媒の存在下に反応させる前記一般式(1)
の含フッ素有機ケイ素化合物の製造方法である。
【0036】一般式(4)の有機ケイ素化合物 一般式(4)のR2 、R3 、Rf 、Q及びaは前記と同
じであり、R13は独立にケイ素原子に結合した水素原子
とヒドロシリル化反応が可能な脂肪族不飽和結合を有す
る置換又は非置換の1価炭化水素基である。前記のR13
としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル
基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シ
クロヘキセニル基等の炭素数2〜8、さらに代表的なも
のとしては炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。
【0037】一般式(4)の有機ケイ素化合物の製造
方法 (i) aが0の有機ケイ素化合物の製造方法 前記一般式(4)のaが0の有機ケイ素化合物[下記一
般式(4−1)]は、例えば、下記反応式が示すよう
に、一般式(6)で示される両末端に酸フロライド基を
有する化合物と一般式(7)で示されるアミン化合物と
をトリエチルアミン等の受酸剤の存在下で反応させるこ
とにより合成することができる。
【化27】 (式中、R2 、R3 、R13及びRf は前記と同じであ
る)
【0038】一般式(6)の化合物と一般式(7)のア
ミン化合物との配合比は、特に限定されるものではない
が、式(6)の化合物の使用量(A) /式(7)の化合物
の使用量(B) [モル比]が0.5〜0.2となる量が好
ましい。反応条件は、特に制限はなく20〜100℃で
1〜8時間程度でよく、好ましくは20〜50℃で2〜
4時間反応させる。
【0039】(ii) aが1以上の有機ケイ素化合物の製
造方法 前記一般式(4)のaが1以上の有機ケイ素化合物は、
例えば、前記一般式(6)の化合物と下記一般式
(8): H−Q−H (8) (式中、Qは前記と同じである)で表される化合物とを
トリエチルアミン等の受酸剤の存在下で反応させた後、
得られた反応生成物に、前記一般式(7)で示されるア
ミン化合物を反応させることにより得ることができる。
【0040】一般式(6)の化合物と一般式(8)の化
合物との配合比は、モル換算で式(6)の化合物の使用
量(A) を式(8)の化合物の使用量(C) より少なくしな
い限り、特に限定されるものではない。なお、一般式
(1)のaは、(A)/(C) を調節することにより目的に応
じた値にすることができる。(A)/(C) を大きくすれば比
較的分子量の小さなポリマーを合成することができ、
(A)/(C) の値を1に近づければ分子量の大きなポリマー
を合成することができる。反応条件は、前記(i) の反応
条件と同様でよい。
【0041】上記式(4)の有機フッ素化合物におい
て、Qがケイ素原子を介在するものである有機フッ素化
合物は、式(7)のアミン化合物のR13がビニル基の場
合、下記一般式(9)で示される両末端にビニル基を有
する化合物が合成され、これと例えば下記一般式(1
0)で示される化合物とを前記と同様の付加反応触媒の
存在下で反応させることにより合成することができる。
【化28】 (但し、式中R2 、R3 、Rf は前記と同様) H−P−H (10) (但し、式中Pとしては、下記
【化29】 等が例示される。
【0042】この反応で上記式(9)で示される両末端
にビニル基を有する化合物と式(10)の化合物との使
用量の比率は、モル換算で式(9)の化合物の使用量
(d) を式(10)の化合物の使用量(e) より少なくない
限り、特に限定されるものではない。なお、(d)/(e) を
大きくすれば比較的分子量の小さなポリマーを合成する
ことができ、(d)/(e) の値を1に近づければ分子量の大
きなポリマーを合成することができる。反応温度は、5
0〜150℃程度でよく、好ましくは80〜120℃で
ある。反応時間は2〜4時間程度でよい。
【0043】一般式(5)の化合物及び触媒 一般式(5)のR1 、X及びbは前記と同じである。前
記触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒
として周知の白金族金属系触媒、例えば、塩化白金酸、
アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,9
72号明細書参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコン
プレックス(米国特許第3,159,601号明細書、
同第3,159,662号明細書、同第3,775,4
52号明細書参照)、白金黒もしくはパラジウムなどを
アルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたも
の、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリ
ス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキン
ソン触媒)等を挙げることができる。これらのうち、コ
ンプレックス系のものは、アルコール系、ケトン系、エ
ーテル系等の有機溶剤に溶解して使用するのが好まし
い。触媒の使用量は、所謂触媒量でよい。
【0044】含フッ素有機ケイ素化合物の製造 本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、前記一般式
(4)の有機ケイ素化合物と一般式(5)の化合物とを
前記触媒の存在下に反応させて得ることができる。一般
式(5)の化合物の使用量は、一般式(4)の有機ケイ
素化合物1モル当たり、通常2〜10モル、好ましくは
2〜5モルである。反応温度は、50〜150℃程度で
よく、好ましくは80〜120℃である。反応時間は2
〜4時間程度でよい。反応終了後、反応生成物中に残存
する式(5)の化合物は、減圧ストリップにより除去す
ることができる。
【0045】このようにして得られた本発明の含フッ素
有機ケイ素化合物は、分子鎖両末端に加水分解性の基X
を有しているので、例えば、大気中の水分によって共加
水分解すると共に縮重合しゴム状の硬化物を形成する。
従って、本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、室温硬
化性シリコーン樹脂組成物のベースポリマーとして使用
することができる。
【0046】室温硬化性シリコーン組成物 本発明の組成物は、前記一般式(1)の含フッ素有機ケ
イ素化合物のほか、触媒を含み、さらに該組成物には接
着助剤を添加することができる。前記の触媒は、組成物
の硬化速度をさらに速めるものであり、例えば、鉛−2
−エチルオクトエート、ジブチルスズジアセテート、ジ
ブチルスズジラウレート、ブチルスズトリ−2−エチル
ヘキソエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト
−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキ
ソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸
第1スズ、ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸
スズ、ナフテン酸チタン、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸
コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機カルボン酸の金
属塩;テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘ
キシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、
テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネートなどの有機
チタン酸エステル;オルガノシロキシチタン、β−カル
ボニルチタンなどの有機チタン化合物;アルコキシアル
ミニウム化合物;3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジア
ミンなどのアミノアルキル基置換アルコキシシラン、ヘ
キシルアミン、リン酸ドデシルアミンなどのアミン化合
物およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセ
テートなどの第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢
酸ナトリウム、シュウ酸リチウムなどのアルカリ金属の
低級脂肪酸;ジメチルヒドロキシアミン、ジエチルヒド
ロキシルアミンなどのジアルキルヒドロキシルアミン;
テトラメチルグアニジン、下記式:
【0047】
【化30】 などのグアニジル基含有シランもしくはシロキサン等の
グアニジル化合物;を挙げることができ、これらは1種
単独でも2種以上を組み合わせても使用することもでき
る。なお、上記のうち、特にグアニジル化合物は、硬化
反応を良好に進行させると共に接着性向上機能を併せて
有しているので好ましい。これらの触媒は、通常、前記
一般式(1)で表される本発明の含フッ素有機ケイ素化
合物100重量部当り、0.1〜5重量部程度の範囲が
好適である。
【0048】前記の接着助剤は、組成物を硬化した際に
該硬化物と各種基材との接着性をさらに向上させるもの
である。このような接着助剤としては、例えばビニルク
ロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエト
キシシラン、さらには、一部フッ素化されたシラン、例
えば3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシ
ラン、並びに下記式:CF3 (CF2 7 CH2 CH2
−Si(OCH3 3 及び
【化31】 で表されるもの等が挙げられる。
【0049】また、本発明の組成物には、前記の触媒及
び接着助剤のほか、従来からこの種の組成物に使用され
ている各種の添加剤、例えば煙霧質シリカ、沈降性シリ
カ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タル
クおよびベントナイトなどの補強剤、アスベスト、ガラ
ス繊維および有機繊維などの繊維質充填剤、メタクリル
酸カリウム、着色剤、ベンガラおよび酸化セリウム等を
配合することもできる。これらは目的に応じてその所定
量を添加すればよい。
【0050】また本発明の組成物は、必要に応じて非水
の有機溶媒で希釈した溶液として保存し、或いは使用に
供することができる。特に、有機溶媒溶液として使用す
ることは、薄い硬化皮膜を形成する場合に好適である。
このような有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、
シクロヘキサン、トルエン、石油エーテル、キシレン等
の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、n−ブチルエー
テル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系
溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケト
ン、酢酸エチル等のケトン系溶媒、メチレンクロライ
ド、クロルベンゼン、クロロホルム等の塩素化炭化水素
系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、トリフロ
ロベンゼン、メタキシレンヘキサフロライド等のフッ素
系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることがで
き、これらは必要に応じて2種以上を混合して使用して
もよい。
【0051】本発明の組成物は、常温での硬化により、
撥水性、撥油性、耐薬品性、防汚性、耐候性等の含フッ
素皮膜に特有の性質に加え、各種基材に対する接着性及
び強度等の特性に優れた硬化皮膜を形成することができ
る。従って、本発明の組成物は、建築分野、工業プラン
ト、各種装置類などのコーティング剤あるいは塗料とし
て有用である。また、各種金属、樹脂、コンクリート等
に対する接着性に優れることから、特に外装材にコーテ
ィングした場合、長期にわたってその美観を保持するこ
とができる。さらに、本発明の組成物は、各種粉体、例
えばシリカフィラー、石英粉末、セラミック粉末、金属
粉末、さらには砂などの表面処理剤にも応用でき、撥水
撥油性を付与できる等の効果がある。
【0052】本発明の組成物は上記した各成分の所定量
を、乾燥雰囲気中で均一に混合することにより一液型の
室温硬化性シリコーン組成物として得ることができる。
この組成物は、例えば、空気中の湿分によって加水分解
及び縮重合反応が進行し、ゴム弾性体の硬化物を形成す
る。本発明の組成物は、常温で硬化するが加熱して硬化
を促進することもできる。得られる硬化物は、組成物中
のベース成分である含フッ素有機ケイ素化合物のフッ素
含有率が極めて高いことに関連して、耐溶剤性、耐薬品
性、耐熱性及び耐寒性の何れの特性にも優れている。こ
の組成物は、建築、土木産業におけるシーリング剤、コ
ーティング材等に適しているほか、電気、電子部品の接
着、シール材及び自動車産業におけるFIPG材料とし
ても非常に有用である。
【0053】
【実施例】以下、参考例及び実施例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。なお、本例中Meはメチル基を表す。参考例1 撹拌棒、温度計、ジムロート及び滴下ロートを備えた 3
00ml四つ口フラスコ内に下記式:
【化32】 (式中、m+nの平均は38である)で示される両末端に
酸フロライド基を有する化合物189.2g(25℃における粘
度:430cSt)を投入した。そしてこれを室温下に攪拌し
ながら滴下ロートより下記式:
【0054】
【化33】 で示される化合物13.8g とトリエチルアミン6.5gとの混
合物を滴下し、滴下終了後、60℃で2時間反応を行っ
た。次に、得られた反応混合物を加圧濾過し、濾液を 1
20℃/3mmHgで減圧ストリップし、淡黄色がかった透明
の液状化合物195.3gを得た。この液状化合物を前記と同
様のフラスコに投入し、これにメタキシレンヘキサフロ
ライド50.0g を加え、撹拌しながら100 ℃に昇温した
後、塩化白金酸のイソプロピルアルコール2%溶液0.2g
を添加した。次いで、これに滴下ロートから下記式:
【0055】
【化34】 で示されるシクロテトラシロキサン4.9gを滴下し、反応
を行った。滴下終了後、反応生成物を熟成させながらガ
スクロマトグラフで前記のシクロテトラシロキサンが消
失するのを確認し、フラスコ内容物を室温まで冷却し
た。次に、フラスコ内に、活性炭1.5gを投入して2時間
撹拌した後、反応混合物を加圧濾過し、得られた濾液を
120℃/3mmHgで減圧ストリップし、透明な液状化合物
197.4gを得た。
【0056】この液状化合物は、粘度が15200cSt(25
℃) であり、屈折率が1.334 であった。この液状化合物
1H- NMR及びIR測定した結果、以下に示す吸収が
認められた。 1H- NMR(TMS標準) δ=3.42 ppm(S, N-CH3 , 12H) δ=5.5 〜6.3ppm(m, SiCH=CH2 , 6H) δ=7.1 〜7.8ppm(m, arom,16H) 1100〜1300cm-1 νC-F 1480,1580,1600cm -1 νarom 1690cm-1 νC=0 また、この化合物のビニル基含有量を定量したところ、
0.014 モル/100g であり、得られた化合物は、下記構造
式(11):
【0057】
【化35】 (式中、Rf は下記式:
【化36】 (式中、m+nは平均で38である)で表される基であ
り、Qは下記式:
【化37】 で表される基であり、aは平均で1である)で表される
有機ケイ素化合物であることが確認された。
【0058】〔実施例1〕撹拌棒、温度計、ジムロート
及び滴下ロートを備えた500ml 四つ口フラスコ内に前記
構造式(11)で示される両末端にビニル基を有する化
合物276.2g及びメタキシレンヘキサフロライド55g を投
入し、撹拌しながら該フラスコ内容物の温度が80℃にな
るようにオイルバスにて加熱した。次に、フラスコ内に
塩化白金酸のイソプロピルアルコール2%溶液0.3gを添
加し、次いで滴下ロートからトリメトキシシラン7.3gを
滴下して反応を行った。滴下終了後、反応生成物を熟成
させながら1H- NMR分析により前記式(11)の化合
物のビニル基(−CH=CH2 :δ=5.5 〜6.3ppm) が消失
するのを確認してから、100 ℃/10mmHgで減圧ストリッ
ピングを行ない、未反応のシラン成分を除去し、淡黄色
がかった透明の液状化合物278.3gを得た。得られた液状
化合物は、粘度が34200cSt(25 ℃) であり、屈折率が1.
338 であった。この液状化合物を1H- NMR及びIRで
測定した結果、以下に示す吸収が認められた。1 H- NMR(TMS 標準) δ=3.67ppm(S, Si-OCH 3, 18H) δ=3.44ppm(S, N-CH 3, 12H) δ=7.1 〜7.8ppm(m, arom, 16H) IR 1100〜1300cm-1 νc-F 1480,1580,1600cm -1 νarom 1690cm-1 νc=O
【0059】また、この液状化合物を加水分解し、脱離
したメタノール量を定量したところ、0.044mol/100g で
あり、下記構造式(12):
【化38】 (式中、Rf 、Q及びaは前記と同じである)で示され
る含フッ素有機ケイ素化合物であることが確認された。
【0060】〔実施例2〕実施例1において、トリメト
キシシラン7.3gに代えて、下記式(13):
【化39】 で示されるシラン化合物7.9gを用いた以外は実施例1と
同様に反応、後処理を行い淡黄色がかった透明の液状化
合物279.2gを得た。得られた液状化合物は、粘度が3550
0cSt(25 ℃) であり、屈折率が1.340(25℃) であった。
この液状化合物を1H- NMR及びIRで測定した結果、
以下に示す吸収が認められた。1 H- NMR(TMS標準) δ=3.40ppm(S, N-CH 3 , 12H) δ=4.1 〜4.2ppm(m, OC=CH2 , 8H) δ=7.1 〜7.8ppm(m, arom, 16H) IR 1100〜1300cm-1 νC-F 1480,1580,1600cm -1 νarom 1690cm-1 νC=O 1645cm-1 νC=C
【0061】また、この化合物を加水分解し、脱離した
アセトン量を定量したところ、0.028mol/100g であり、
下記構造式(14):
【化40】 (式中、Rf 、Q及びaは前記と同じである)で表され
る含フッ素有機ケイ素化合物であることが確認された。
【0062】〔実施例3〕実施例2において、前記式
(13)で示されるシラン化合物7.9gに代えて、下記式
(15):
【化41】 で示されるシラン化合物8.1gを用いた以外は実施例2と
同様に反応、後処理を行い淡黄色がかった透明の液状化
合物280.1gを得た。得られた液状化合物は、粘度が3590
0cSt(25 ℃) であり、屈折率が1.341(25℃) であった。
この液状化合物を1H- NMR及びIRで測定した結果、
以下に示す吸収が認められた。1 H- NMR(TMS標準) δ=1.94ppm(S, SiOCCH3 , 12H) δ=3.45ppm(S, N-CH3 , 12H) δ=7.1 〜7.8ppm(m, arom, 16H) IR 1100〜1300cm-1 νC-F 1480,1580,1600cm -1 νarom 1690cm-1 νC=O (N-C=O) 1720cm-1 νC=O (SiOC=O)
【0063】また、この化合物を加水分解し、脱離した
酢酸量を定量したところ、0.028mol/100g であり、下記
構造式(16):
【化42】 (式中、Rf 、Q及びaは前記と同じである)で表され
る含フッ素有機ケイ素化合物であることが確認された。
【0064】〔実施例4〕撹拌棒、温度計、ジムロート
及び滴下ロートを備えた500ml 四つ口フラスコ内に前記
式(11)のRf が下記式:
【化43】 (式中、m+nは平均で38である)で表される基であ
り、Qが下記式:
【化44】 で表される基であり、aが平均で2である化合物393.9g
とメタキシレンヘキサフロライド64.8g とを投入し、撹
拌しながら該フラスコ内容物の温度が70℃になるように
オイルバスにて加熱した。次に、フラスコ内に塩化白金
酸のイソプロピルアルコール2%溶液0.3gを添加し、次
いで滴下ロートからトリメトキシシラン7.3gを滴下して
反応を行った。その後、実施例1と同様に反応、後処理
を行ったところ、淡黄色がかった透明の液状化合物397.
2gを得た。
【0065】得られた化合物は、粘度が84700cSt(25
℃) であり、屈折率が1.323(25℃) であった。り、1H-
NMR、IR測定した結果、以下に示す吸収が認められ
た。1 H- NMR(TMS標準) δ=0.45ppm(S, Si-CH3 , 12H) δ=1.1 〜1.5ppm(m, CH-CH3 , 12H) δ=3.42ppm(S, N-CH3 , 6H) δ=3.63ppm(S, SiO-CH3 , 18H) δ=7.1 〜7.8ppm(m, arom, 8H) IR 1100〜1300cm-1 νC-F 1480,1580,1600cm -1 νarom 1690cm-1 νC=O
【0066】また、この化合物を加水分解し、脱離した
メタノール量を定量したところ、0.031mol/100g であ
り、下記構造式(17):
【化45】 (式中、Rf 、Q、aは本実施例の式(11)のものと
同じである)で示される含フッ素有機ケイ素化合物であ
ることが確認された。
【0067】〔実施例5〕実施例1において、式(1
1)の化合物276.2gに代えて、下記式(18):
【化46】 (式中、Rf は下記式:
【化47】 (式中、m+nは平均で94である)で表される基であ
る)で表される化合物320.2gを用い、メタキシレンヘキ
サフロライドの使用量を60.0g にした以外は実施例1と
同様に反応、後処理を行い淡黄色がかった透明の液状化
合物324.7gを得た。
【0068】得られた液状化合物は、粘度が18700cSt(2
5 ℃) であり、屈折率が1.318(25℃) であった。この液
状化合物を1H- NMR及びIRで測定した結果、以下に
示す吸収が認められた。1 H- NMR(TMS標準) δ=0.42(S, Si-CH3 , 12H) δ=3.56(S, Si-OCH3 , 18H) δ=7.1 〜7.8(m, arom, 8H) IR 1100〜1300cm-1 νC-F 1540cm-1 δN-H 1480,1580,1600cm -1 νarom 1710cm-1 νC=O 3330cm-1 νN-H
【0069】また、この化合物を加水分解し、脱離した
メタノール量を定量したところ、0.038mol/100g であ
り、下記構造式(19):
【化48】 (式中、Rf は本実施例の式(18)のRf と同じであ
る)で示される含フッ素有機ケイ素化合物であることが
確認された。
【0070】〔実施例6〕実施例1で得られた式(1
2)の含フッ素有機ケイ素化合物100g、MTカーボ
ン20gを混合し、この混合物を3本ロールに1回通
し、その後ジブチルスズジオクトエート0.1gを混合
することにより組成物Iを得た。この組成物Iを厚さ2
mmのシートに成形し、該シートを温度20℃、相対湿
度55%の雰囲気下に14日間放置して硬化した。得ら
れたシート状のゴム弾性体(以下、弾性体Iという)の
ゴム物性をJIS C 2123に準拠して測定した。
結果を表1に示す。また、前記組成物Iを室温下に密封
状態で保存した。組成物Iは6カ月以上安定であった。
6カ月経過後の組成物Iを前記と同様にしてシート状の
ゴム弾性体(以下、弾性体I’という)を作製し、この
ゴム弾性体について前記と同様にしてゴム物性を測定し
た。表1に結果を示す。なお、表中の硬さは、スプリン
グ式硬さ試験機(A型)を用いて測定した値である(以
下、同じ)。
【0071】
【表1】 次に、前記弾性体Iについて、下記の耐溶剤性並びに耐
酸性及び耐塩基性を評価した。結果を表3及び表4に示
す。
【0072】耐溶剤性 表3に示した25℃の各溶剤に弾性体を7日間浸漬し、
その体積変化率で耐溶剤性を評価した。なお、表3のフ
ッ素ゴムは比較のために用いたデュポン社製バイトンE
−60Cである。
【0073】耐酸性及び耐塩基性 表4に示した25℃の各水溶液に弾性体を7日間浸漬
し、その体積変化率で耐溶剤性を評価した。なお、表4
のシリコーンゴムは比較のために用いた信越化学工業
(株)製KE−951である。
【0074】〔実施例7〕実施例6に用いた組成物Iに
代えて、実施例6で用いた含フッ素有機ケイ素化合物1
00g、MTカーボン20g、噴霧質シリカ2g、ジブ
チルスズジラウレート0.3g、ビニルトリメトキシシ
ラン2g及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン1
gを混合した組成物IIを用いた以外は実施例6と同様に
してゴム弾性体の物性を測定した。結果を表2に示す。
なお、表2の弾性体IIは、調製直後の組成物IIから得た
シート状弾性体であり、弾性体II’は6カ月間室温下に
密封保存した組成物IIから得たシート状弾性体である。
【0075】また、弾性体IIについて実施例6と同様に
して耐溶剤性並びに耐酸性及び耐塩基性を評価した。結
果を表3及び表4に示す。さらに、本実施例で得られた
弾性体IIについては、下記耐熱性及び耐寒性を評価し
た。結果を表5及び表6に示す。
【0076】耐熱性 弾性体IIを250℃で120時間加熱する前と後のゴム
物性(JIS C 2123に準拠)を測定し評価し
た。なお、表5には加熱前の重量に対する加熱後の重量
の減少率(加熱減量:重量%)も併記した。
【0077】耐寒性 JIS K 6301に従い、試験片をドライアイス/
エタノール中で−70℃に冷却し、次いで、これを1℃
/minの速度で昇温した。そして、この時の各温度に
おける剛性率を上島製作所製ゲーマンねじり試験機で測
定し、室温における剛性率に対し2倍、5倍、10倍及
び100倍となったときの温度を、それぞれT2
5 、T10、T100 とした。なお、表6のフッ素ゴムは
比較のために用いたデュポン社製バイトンE−60Cで
ある。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】〔実施例8〕実施例6で用いた含フッ素有
機ケイ素化合物100重量部及びメチルトリメトキシシ
ラン2重量部の混合物をメタキシレンヘキサフロライド
に溶解し、前記混合物の20重量%溶液を調製した。こ
の溶液にスライドガラスを30秒間ディッピングした
後、20℃、55%RHの条件で18時間放置し、該ス
ライドガラス表面に硬化皮膜を形成した。この硬化皮膜
を形成したスライドガラス上にn−ヘキサデカンを1滴
載せたとき、及び純水を1滴載せたときのそれぞれの液
滴のスライドガラスに対する接触角を測定した。結果を
表7に示す。
【0084】〔実施例9〕実施例6で用いた含フッ素有
機ケイ素化合物100重量部、メチルトリメトキシシラ
ン2重量部及びジブチルチンジラウレート0.2重量部
の混合物をメタキシレンヘキサフロライドに溶解し、前
記混合物の50重量%溶液を調製した。この溶液をスラ
イドガラス表面に塗布し、20℃、55%RHの条件で
6時間放置し、該スライドガラス表面に硬化皮膜を形成
した。このこの硬化皮膜を形成したスライドガラスにつ
いて実施例8と同様にして接触角を測定した。結果を表
7に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
【発明の効果】本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、
末端に加水分解性シリル基を有するため、例えば空気中
の湿気(水分)と反応することにより架橋し、エラスト
マーとなり得る。また、本発明の含フッ素有機ケイ素化
合物はフッ素含有率が高いため、これを含有する室温硬
化性シリコーン組成物は、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、
さらには離型性及び撥水性にも優れたシーラント、成形
部品、押出部品、被覆材料、離型剤等を得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 伸一 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 小池 則之 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 山本 靖 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 荒井 正俊 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−224242(JP,A) 特開 平6−145356(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/12 C07F 7/18 C07F 7/21 C08G 77/452 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 [式中、R1 及びR2 は独立に置換又は非置換の1価炭
    化水素基であり、R3 は独立に水素原子又は置換若しく
    は非置換の1価炭化水素基であり、R4 は独立に置換又
    は非置換の2価炭化水素基であり、Rf は独立にパーフ
    ルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテ
    ル基であり、Xは独立に加水分解性基であり、Qは下記
    一般式(2): 【化2】 (式中、R5 は結合途中に酸素原子、窒素原子及びケイ
    素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を介在さ
    せてもよい置換又は非置換の2価炭化水素基であり、R
    3 は前記と同じである)又は下記一般式(3): 【化3】 (式中、R6 及びR7 は独立に置換又は非置換の2価炭
    化水素基である)で表される基であり、aは0以上の整
    数であり、bは1、2又は3である]で表される含フッ
    素有機ケイ素化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(4): 【化4】 [式中、R2 は独立に置換又は非置換の1価炭化水素基
    であり、R3 は独立に水素原子又は置換若しくは非置換
    の1価炭化水素基であり、Rf は独立にパーフルオロア
    ルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル基であ
    り、R13は独立にケイ素原子に結合した水素原子とヒド
    ロシリル化反応が可能な脂肪族不飽和結合を有する置換
    又は非置換の1価炭化水素基であり、Qは下記一般式
    (2): 【化5】 (式中、R5 は結合途中に酸素原子、窒素原子及びケイ
    素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を介在さ
    せてもよい置換又は非置換の2価炭化水素基であり、R
    3 は前記と同じである)又は下記一般式(3): 【化6】 (式中、R6 及びR7 は独立に置換又は非置換の2価炭
    化水素基である)で表される基であり、aは0以上の整
    数である]で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式
    (5): 【化7】 (式中、R1 は置換又は非置換の1価炭化水素基であ
    り、Xは加水分解性基であり、bは1、2又は3であ
    る)で表されるオルガノハイドロジェンシランとを触媒
    の存在下に反応させる請求項1に記載の含フッ素有機ケ
    イ素化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の含フッ素有機ケイ素化
    合物を含有する室温硬化性シリコーン組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の室温硬化性シリコーン
    組成物を硬化して得られる硬化物。
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