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JP3193087B2 - AlGaInP半導体発光装置 - Google Patents

AlGaInP半導体発光装置

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JP3193087B2
JP3193087B2 JP33880591A JP33880591A JP3193087B2 JP 3193087 B2 JP3193087 B2 JP 3193087B2 JP 33880591 A JP33880591 A JP 33880591A JP 33880591 A JP33880591 A JP 33880591A JP 3193087 B2 JP3193087 B2 JP 3193087B2
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向星 高橋
昌宏 細田
篤勇 角田
健太郎 谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はAlGaInP半導体発光装置
に関し、特に低しきい値で動作するAlGaInP系赤色半導
体レーザ装置、あるいは高発光効率の発光ダイオード装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型・高出力・定価格という利点
を有する半導体レーザ素子の実用化により、従来レーザ
光源の使用が困難であった一般産業機械や民生機械への
レーザの応用が進んでいる。中でも光ディスク装置や光
通信等の分野における進歩はめざましいものがある。今
後、半導体レーザ素子はさらに多くの分野に応用されて
いくものと考えられる。
【0003】AlGaInP結晶を用いた半導体発光装置は、
従来のAlGaAs結晶を用いた半導体レーザ装置より100
nm以上短波長側に発光波長帯を有する。例えば、半動体
レーザ装置の場合、光ディスク等の記録密度向上や、He
-Neレーザの代替となりうる特性をもつことから、実用
化に向けて研究が進められている。
【0004】図3は、従来のAlGaInP系結晶を用いた半
導体レーザ装置の一例を示す。この半導体レーザ装置は
互いに異なる2つのクラッド層33、39の間に、これ
らのクラッド層より屈折率の大きい活性層35が形成さ
れたダブルヘテロ構造を備えている。ダブルヘテロ構造
では、光導波路を構成して光を効率よく活性層35内に
閉じ込めるために、活性層35の屈折率は2つのクラッ
ド層33、39の屈折率より大きくする必要がある。
【0005】この半導体レーザ装置は、n型AlGaInPク
ラッド層33の裏面側に、n型GaAsバッファ層32、n
型GaAs基板31、電極314が順に積層されている。ま
た、p型AlGaInPクラッド層39の表面側に、n型GaAs
電流狭搾層312、p型GaInP中間層310、p型GaAs
コンタクト層311、電極313が順に積層されてい
る。なお、p型GaInP中間層310、p型GaAsコンタク
ト層311は中央部にエッチングによって形成され、そ
の外周部にn型GaAs電流狭搾層312が積層されてい
る。
【0006】このようなダブルヘテロ構造において、半
導体レーザのしきい値上昇、あるいは信頼性の低下をも
たらす、活性層35内、及び活性層35と障壁層33、
39の界面でのキャリアの非発光消滅過程は、下記の式
で表されるキャリア(正孔)の非発光寿命τnrで定量的
にできる。即ち、τnrが短いとキャリア(正孔)は非発
光過程で多く消滅してしまい、発光に寄与しなくなる。
【0007】1/τnr=1/τnra + S/d ここで、τnraは活性層35の内部でのキャリアの非発
光寿命、Sは活性層35と障壁層33、39の境界面で
のキャリアの非発光再結合消滅速度の総和、dは活性層
の厚さを表す。
【0008】一般に、前記の例のように、活性層35が
Alを含まない結晶材料である場合は、GaInP活性層3
5自体のキャリアの非発光消滅はきわめて小さく、1/
τnraは無視できる。従って、キャリアの非発光過程は
活性層35と障壁層33、39の界面での非発光再結合
過程に支配される。
【0009】また、量子井戸活性層のようにdが非常に
小さくなると、上式から明かなように、特に界面での非
発光過程の影響は大きくなる。従って、半導体発光装置
においては、活性層35と障壁層33、39の界面を良
質にすることが、その特性向上のために重要となる。
【0010】この界面再結合を低減化する方法として
は、例えばGaInP/AlGaInPからなる超格子バッファ層3
2を裏面側の障壁層33の後に成長し、その直後に活性
層35を成長する方法が、分子線結晶成長法では知られ
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、超格子
バッファ層32を、例えば分子線結晶成長法で成長する
場合は、頻繁にセルシャッタを開閉する必要があり、結
晶成長装置の故障の要因となり得る。
【0012】また、AlGaAs系材料で良質なAlGaAs結晶を
成長する方法として知られている高温での結晶成長は、
AlGaInP結晶の成長において、高温でのP、Ga、In
の再蒸発が起り、この結晶系では成長温度等の成長条件
をきわめて精度よく制御する必要がある。
【0013】本発明は、このような従来技術の欠点を解
決するためになされたものであり、その目的は、GaInP
活性層と障壁層との界面の品質を向上させ、AlGaInP系
半導体発光装置の信頼性を向上させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のAlGaInP
半導体発光装置は、GaxIn1-xPからなる活性層を、
Gaの混晶比が活性層より大きくx<yの条件を満足す
るGayIn1-yPからなる障壁層で挟み込むとともに、
活性層を挟みこんだ障壁層を、AlGaInPにて構成
されたクラッド層にて挟みこんだダブルヘテロ構造を有
することを特徴とする
【0015】好ましくは、前記活性層をGaAs基板に格子
整合する組成比のGaInPで形成する。また、通常GaAsを
基板とし、これに格子整合させたGaInP結晶はx=0.
51となる。そして、上記のごとくx=0.75以上の
混晶比のGaxIn1-xP結晶で活性層を挟み込むことに
よって、キャリア閉じ込めの可能なダブルヘテロ接合を
形成できる。x>0.51のGaInP結晶では、格子定数
が前記活性層(x=0.51)のそれより小さい。x=
0.75のGaInPでは、Ga0.51In0.49Pとの格子不
整合率が1.5%程度になる。
【0016】従って、この層をバリア層として、GaAs層
との格子整合系の結晶層に挿入する場合には、歪み破壊
によるミスフイット転移が生じないように層厚は臨界膜
厚以下とする必要がある。例えば、x=0.75のGaIn
P層の場合には10nm程度以下にする必要があると考え
られる。この際、バリア層の厚さが薄くなると、いわゆ
るトンネリング現象によってキャリアはバリア層を突き
抜け、活性層から逃げだしてしまう。トンネリング確率
の解析結果より10nm程度のバリア層があればトンネリ
ングは防ぐことが出来る。
【0017】
【作用】本発明のAlGaInP半導体発光装置では、活性層
とAlGaInP障壁層との間にAlを含まないGaInP結晶を挿
入することによって、活性層とAlGaInP障壁層との界面
の品質が向上する。それゆえ、AlGaInP系半導体発光装
置の信頼性は高くなり、高効率となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】図1は、本発明AlGaInP半導体発光装置の
一実施例を示す。このAlGaInP半導体発光装置は、図に
示すようなダブルヘテロ構造を有する。このダブルヘテ
ロ構造は、ほぼ中央に位置するGa0.51In0.49P 活
性層15(厚さ80nm)と、その裏面側に積層されたn
型Ga0.75In0.25P障壁層14(厚さ10nm)と、そ
の表面側に積層されたp型Ga0.75In0.25P障壁層1
6(厚さ10nm)と、で構成されている。GaInP障壁層
であるn型Ga0.75In0.25P障壁層14及びp型Ga
0.75In0.25P障壁層16のGaの混晶比は、GaInP活
性層であるGa0.51In0.49P 活性層15のGaの混
晶比より大きい。即ち、x<yの条件を満足する。ダブ
ルヘテロ構造では、光導波路を構成して光を効率よく活
性層内に閉じ込めるには、屈折率はクラッド層より活性
層の方が大きくなければならないので、活性層の禁制帯
幅はクラッド層のそれより小さい必要がある。
【0020】更に、n型Ga0.75In0.25P障壁層14
の裏面側には、n型(Al0.7Ga0.30.51In0.49
クラッド層13(厚さ1.0μm)、n型GaAsバッファ
層12、n型GaAs基板11、Au-Ge-Ni電極114を順に
積層している。
【0021】また、p型Ga0.75In0.25P障壁層16
の表面側には、p型(Al0.7Ga0.30.51In0.49
クラッド層17(厚さ0.3nm)、Ga0.51In0.49
エッチングストップ層18(厚さ8nm)、p型(Al
0.7Ga0.30.51In0.49Pクラッド層19(厚さ0.
5μm)、p型Ga0.51In0.49P中間層110(厚さ
50nm)、p型GaAsコンタクト層111、n型GaAs電流
狭搾層112、Au-Zn電極113を順に積層している。
【0022】なお、p型(Al0.7Ga0.30.51In
0.49Pクラッド層19、p型Ga0.51In0.49P中間層
110、p型GaAsコンタクト層111は中央部にエッチ
ングによって形成され、その外周部にn型GaAs電流狭搾
層112が積層されている。
【0023】以上の各結晶層は、例えば分子線結晶成長
法で形成される。成長ウエハの表面には、酸化シリコン
膜がスパッタリングで形成された後、これをマスクとし
て上部の19、110、111の各層がエッチングで除
去される。この上にn型GaAs電流狭搾層112を、例え
ば分子線結晶成長法によって再成長し、その後メサ上部
に成長したn型GaAs電流狭搾層112を酸化シリコン膜
とともに除去する。最後に、表面にAu-Zn電極113、
裏面にAu-Ge-Ni電極114を形成すれば、屈折率導波型
AlGaInP系半導体レーザ装置を作製できる。
【0024】成長したウエハの表面、断面を電子顕微鏡
観察及びX線解析で測定することによって、転移欠陥の
ない良好な結晶膜が成長されていることが確認された。
また、半導体レーザの特性も従来と遜色なく特に低しき
い値の改善が得られた。
【0025】図2は、本発明AlGaInP半導体発光装置の
他の実施例を示す。このAlGaInP半導体発光装置は、端
面発光型発光ダイオード装置の一例であって、第1実施
例と同様にダブルヘテロ構造を有する。このダブルヘテ
ロ構造は、ほぼ中央に位置するGa0.45In0.55P活性
層25(厚さ10nm)と、その裏面側に積層されたn型
Ga0.75In0.25P障壁層24(厚さ10nm)と、その
表面側に積層されたp型Ga0.75In0.25P障壁層26
(厚さ10nm)と、で構成されている。このダブルヘテ
ロ構造では、GaInP障壁層であるn型Ga0.75In0.25
P障壁層24及びp型Ga0.75In0.25P障壁層26の
Gaの混晶比は、GaInP活性層であるGa0.45In0.55
P活性層25のGaの混晶比より大きい。
【0026】更に、Ga0.75In0.25P障壁層24の裏
面側には、n型(Al0.7Ga0.30.51In0.49Pクラ
ッド層23(厚さ1.0μm)、n型GaAs基板21、Au-
Ge-Ni電極214を順に積層している。
【0027】また、Ga0.75In0.25P障壁層26の表
面側には、p型(Al0.7Ga0.30.51In0.49Pクラ
ッド層29(厚さ1.0μm)、Ga0.51In0.49P中
間層210(厚さ50nm)、p型GaAsコンタクト層21
1、Au-Zn電極213を順に積層している。
【0028】Ga0.45In0.55P活性層25は、格子不
整合系のx組成を選び、x<0.51としたもので、主
にバンドギャップエネルギーの縮小の効果により発光波
長は680nm程度と、格子整合したGa0.45In0.55
活性層25よりも長くなっている。
【0029】以上の実施例においては、結晶成長の方法
として分子線結晶成長法を用いた場合について説明した
が、本発明のAlGaInP半導体発光装置が結晶成長の方法
によらないことはもちろんである。また、例えば、Ga
0.45In0.55P活性層25が量子井戸で、それを挟むキ
ャリア閉じ込め層から構成される分離閉じ込めヘテロ構
造において、分離閉じ込め層の一部として活性層の両側
に本発明のGa0.45In0.55P活性層25を用いても同
様の効果を期待できる。
【0030】
【発明の効果】本発明のAlGaInP半導体発光装置では、
GaxIn1-xPからなる活性層を、Gaの混晶比が活性
層より大きいGayIn1-yPからなる障壁層で挟み込ん
だダブルヘテロ構造を有する。この活性層とAlGaInP障
壁層との間にAlを含まないGaInP結晶を挿入すること
によって、活性層とAlGaInP障壁層との界面の品質が向
上する。これにより、信頼性の高い、高効率あるいは低
しきい値のAlGaInP系半導体発光装置を提供できる。
【0031】請求項2に記載のものは、活性層がGaAs基
板に格子整合する組成比のGaInPで構成されているの
で、比較的厚い活性層を有する半導体発光装置に於いて
も、歪による品質劣化を招くことなく本発明を適用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるAlGaInP系半導体レー
ザ装置の断面図。
【図2】AlGaInP系半導体レーザ装置の他の実施例を示
す断面図。
【図3】従来のAlGaInP系結晶を用いた半導体レーザ装
置の一例を示す断面図。
【符号の説明】
11、21 n型GaAs基板 12 n型GaAsバッファ層 13、23 n型(Al0.7Ga0.30.51In0.49
Pクラッド層 14、24 n型Ga0.75In0.25P障壁層 15、25 Ga0.45In0.55P活性層 16、26 Ga0.75In0.25P障壁層 17 p型(Al0.7Ga0.30.51In0.49
Pクラッド層 18 Ga0.51In0.49Pエッチングストッ
プ層 19、29 p型(Al0.7Ga0.30.51In0.49
Pクラッド層 110、210 p型Ga0.51In0.49P中間層 111、211 p型GaAsコンタクト層 112、 n型GaAs電流狭搾層 113、213 Au-Zn電極 114、214 Au-Ge-Ni電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角田 篤勇 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 谷 健太郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−265183(JP,A) 特開 平2−310985(JP,A) 特開 昭61−271888(JP,A) 特開 平5−63291(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 H01L 33/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaxIn1-xPからなる活性層を、Ga
    の混晶比が活性層より大きくx<yの条件を満足するG
    yIn1-yPからなる障壁層で挟み込むとともに、活性
    層を挟みこんだ障壁層を、AlGaInPにて構成され
    たクラッド層にて挟みこんだダブルヘテロ構造を有する
    ことを特徴とするAlGaInP半導体発光装置。
  2. 【請求項2】 前記活性層が、GaAs基板に格子整合
    する組成比のGaInPで形成されている請求項1に記
    載のAlGaInP半導体発光装置。
  3. 【請求項3】 前記障壁層のGa y In 1-y Pが、0.6
    <y<1を満足する請求項1に記載のAlGaInP半
    導体発光装置。
  4. 【請求項4】 前記障壁層の厚さは、結晶破壊の生じる
    臨界膜厚以下で、トンネリングを防止することができる
    厚さ以上である請求項1に記載のAlGaInP半導体
    発光装置。
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