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JP3152598U - 断熱材 - Google Patents

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JP3152598U
JP3152598U JP2009003441U JP2009003441U JP3152598U JP 3152598 U JP3152598 U JP 3152598U JP 2009003441 U JP2009003441 U JP 2009003441U JP 2009003441 U JP2009003441 U JP 2009003441U JP 3152598 U JP3152598 U JP 3152598U
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鈴木 篤
篤 鈴木
永田 万亀男
万亀男 永田
豊高 福原
豊高 福原
賢一 米田
賢一 米田
尾上 宏
宏 尾上
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Abstract

【課題】軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる断熱材を提供する。【解決手段】非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で95/5〜5/95となるように混綿した後、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在した繊維構造体に、金属製シートを積層する。【選択図】図2

Description

本考案は、軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる断熱材に関する。
従来、床、壁、屋根等の住宅用断熱材や産業資材用途に使用される断熱材としては、ガラスウールにフェノール樹脂等をスプレー法、含浸法等により付与したものや、ガラスウールに替えて発泡ウレタン、発泡スチレン等を用いる方法が種々検討されている。
また、近年は、ポリエステル捲縮繊維をマトリックスとし、熱接着性繊維で該繊維を固定したポリエステル繊維製断熱材が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの繊維系断熱材は、ある一定の熱伝導率を保持し、伝導および対流による熱移動を抑制する効果はあるものの、輻射による熱移動を反射によって抑制することはほとんど期待できず、断熱性、遮熱性の点で十分とはいえなかった。また、発泡ウレタン系断熱材は、床、壁、屋根等への型追従性において十分とはいえなかった。
特開平6−257048号公報 特開平7−102461号公報
本考案は、上記の背景に鑑みなされたものであり、軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる断熱材を提供することにある。
本考案者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とで構成された繊維構造体に金属製シートを積層すると、軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる断熱材が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本考案に到達した。
かくして、本考案によれば「非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で95/5〜5/95となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在した繊維構造体と、該繊維構造体に積層された金属製シートとを含むことを特徴とする断熱材。」が提供される。
その際、前記繊維構造体の平均密度が5〜50kg/mの範囲内であることが好ましい。
また、前記繊維構造体の厚さは、1〜200mmの範囲内であることが好ましい。
さらに、前記非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列していることが好ましい。
さらに、前記繊維構造体は、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列している繊維構造体をプレスしたものであることが好ましい。
さらに、前記金属製シートに孔があけられていることが好ましい。
さらに、前記金属製シートの厚さは、5〜100μmの範囲内であることが好ましい。
さらに、前記金属製シートは、アルミ箔からなることが好ましい。
さらに、前記金属製シートは、厚さ5〜100μmのアルミ箔であることが好ましい。
さらに、前記金属製シートの片面または両面には、有機樹脂からなるフィルムが積層してなることが好ましい。
本考案によれば、軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる断熱材が得られる。
T/Wの測定方法を説明するための模式図である。 本考案の断熱材の一例を模式的に示す図である。 本考案の断熱材の一例(上面図)である。
以下、本考案の実施の形態について詳細に説明する。
本考案で使用する非弾性捲縮短繊維(マトリックス繊維)としては、綿、ウール等の天然繊維やカーボン繊維等の無機繊維、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維等、さらには雑綿又は反毛とよばれるリサイクル繊維等も使用できる。
なかでも、取り扱い性及びリサイクル性の点より合成繊維が好ましい。
特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリピバロラクトン、ポリ乳酸(PLA)、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリオレフィン、またはこれらの共重合体からなる短繊維ないしそれら短繊維の混綿体、または上記ポリマー成分のうちの2種類以上からなる複合短繊維等を好ましく挙げることができる。
かかるポリマー中には、着色剤、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
これら短繊維のうち、リサイクル性や繊維形成性等の観点から、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維が特に好ましい。
この場合の、捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与、異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、捲縮数が3〜40個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)となるように通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与など、種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
ここで、前記非弾性捲縮短繊維において、単繊維径が10〜100μmの範囲内であることが好ましい。この単繊維径が10μmよりも小さいと、充分な剛性が得られず取り扱いが難しくなるおそれがある。逆に、この単繊維径が100μmよりも大きいと、外観の均一性が不十分となるおそれがある。ポリエチレンテレフタレートの場合、単糸繊度としては、1.3〜90dtexの範囲内であることが好ましい。
前記非弾性捲縮短繊維の単繊維横断面形状は、通常の丸断面でもよいし、三角、四角、扁平、中空などの異型断面であってもよい。異型構造の繊維を使用することにより、短繊維集合体を嵩高性にし、軽量であるだけでなく断熱性にも優れた繊維集合体を得ることが可能である。異型構造の例としては、中空(単孔、多孔)、三角形、多角形、Y型、W型等がある。例えば、中空型構造の繊維の場合、繊維の中空部分に空気が保持されるため断熱性が向上して好ましい。通常、短繊維集合体を断熱材として使用する場合、短繊維集合体中に発生する空気対流によって熱が移動するが、中空型構造の繊維を使用することによりこれを抑える効果がある。また、三角形、多角形、Y型、W型等の場合、繊維表面積が多くなることと、構造体の空間をより細かく分割することにより熱の移動を抑制する効果がある。
なお、単繊維横断面形状が異型の場合、前記単繊維径はその外接円の直径を使用するものとする。また、丸中空断面の場合は、外径寸法を測定するものとする。
前記非弾性捲縮短繊維の繊維長としては、30〜100mmの範囲内であることが好ましい。この繊維長が30mmよりも小さいと、充分な剛性が得られないおそれがある。逆に、この繊維長が100mmよりも大きいと、工程安定性が損われるおそれがある。
また、前記非弾性捲縮短繊維は、単独ポリマーからなるものだけでなく、複合繊維も好ましく用いられる。例えば、サイドバイサイドの構造を有し自己捲縮発現性を有する繊維等である。また、サイドバイサイド構造と上記中空型構造を組み合わせた繊維も知られており、このタイプの繊維も特に好ましく用いられる。
前記非弾性捲縮短繊維は、1種類のみでなく、複数の種類を組み合わせてもよい。
次に、熱接着性複合短繊維の熱融着(熱接着性)成分は、上記の非弾性捲縮短繊維を構成するポリマー成分より、40℃以上低い融点を有することが肝要である。この温度が40℃未満では、接着が不十分となる上、腰のない取り扱いにくい繊維構造体となるおそれがある。また、熱処理温度の細かな制御が必要となり、生産性に劣るものとなる。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
このうち、ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6,000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしては、p,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
また、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5,000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
特に、接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常、30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常、30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、さらにはそれらを変性したポリマー等を挙げることができる。
上記の熱融着成分の中でも、共重合ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色材その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
熱接着性複合短繊維において、熱融着成分の相手側成分としては前記のような非弾性のポリエステルが好ましく例示される。その際、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分と相手側成分が、複合比率で10/90〜70/30の範囲にあるのが適当である。熱接着性複合短繊維の形態としては、特に限定されないが、熱融着成分と相手側成分とが、サイドバイサイド、芯鞘型であるのが好ましく、より好ましくは芯鞘型である。この芯鞘型の熱接着性複合短繊維では、熱融着成分が鞘部となり、相手側成分が芯部となるが、この芯部は同心円状、または偏心状にあってもよい。
かかる熱接着性複合短繊維において、単繊維径としては10〜70μmの範囲内であることが好ましい。単糸繊度としては、2〜40dtexの範囲内であることが好ましい。かかる熱接着性複合短繊維は、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。
本考案においては、上記非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維を混綿させ、加熱処理することにより、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点及び該熱接着性複合短繊維と該非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体が形成される。
この際、非弾性捲縮短繊維と熱接着複合短繊維との重量比率は、(非弾性捲縮短繊維)/(熱接着複合短繊維)で95/5〜5/95(好ましくは95/5〜60/40)である必要がある。熱接着複合短繊維の比率がこの範囲より少ない場合は、固着点が極端に少なくなり形態保持性が損われるおそれがある。一方、熱接着複合短繊維の比率がこの範囲より多い場合は、接着点が多くなり過ぎ、カット性が低下するおそれがある。
さらに、本考案の断熱材に含まれる繊維構造体において、前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列していると、床、壁、屋根等への型追従性がさらに向上し好ましい。
ここで、「厚さ方向に配列している」とは、繊維構造体を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図1において0°≦θ≦60°)の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図1において60°<θ≦90°)の総本数をWとしてT/Wを算出して、T/Wが1.5以上であることである。
このような繊維構造体を製造する方法には特に限定はなく、従来公知の方法を任意に採用すれば良いが、例えば非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とを混綿し、ローラーカードにより均一なウェッブとして紡出した後、特開2007−025044号公報の図1に示すような熱処理機を用いて、ウェッブをアコーディオン状に折りたたみながら加熱処理し、熱融着による固着点を形成させる方法などが好ましく例示される。例えば特表2002−516932号公報に示された装置(市販のものでは、例えばStruto社製Struto設備など)などを使用するとよい。
また、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列している繊維構造体をプレスすることも好ましいことである。
かくして得られた繊維構造体において、その厚さの制限はないが、1mm以上(好ましくは1〜200mm、より好ましくは10〜100mmである。厚さが1mm未満では、断熱効果が低下したり、天井等の空間に固定できなくなるおそれがある。逆に、厚さが200mmよりも大きいと、本考案の断熱材を床、壁、天井などに使用する場合、取り付けスペースの容積を超えてしまうおそれがある。
また、繊維構造体の平均密度としては、5〜50kg/mの範囲内であることが好ましい。この平均密度が5kg/mよりも小さい場合、断熱効果が低下するおそれがある。逆に、この平均密度が50kg/mよりも大きい場合、硬度が大きくなりすぎカット性が低下するおそれがある。平均密度は、さらに好ましくは10〜30kg/mである。
繊維構造体の密度は、ラインスピードや繊維構造体のプレス時の厚さにより調整することができる。
なお、前記繊維構造体には、染色加工、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工、金属蒸着など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
本考案の断熱材は、前記繊維構造体の片面または両面に金属製シートを積層してなるものである。前記繊維構造体の断熱性能だけではなく、金属製シート部分で輻射による熱移動を反射させることで断熱性能をより改善することが可能となる。
本考案に使用する金属製シートは、一般的な金属箔地を圧延して引き伸ばしたものが好適に使用される。この場合、強度や経済性、壁材としての使用時の作業性を考慮すると、厚さが5μm以上100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜25μmである。厚さが5μm未満であると、非常に薄いため作業中に破れてしまうといった問題が発生するおそれがある。一方、100μmより大であると、剛性が大きくなり壁や天井のR部に沿って曲げることが困難になり、使用時の挿入性や床、壁、屋根への型追従性といった作業性が悪くなるおそれがある。
金属製シートに使用する素材としては、アルミ、銅、黄銅、ニッケル、クローム、金、銀、SUS等が挙げられる。例えば、アルミの場合、一般的に使用されるアルミ箔が利用可能である。これらの金属製シートは、赤外線に対する反射率が40〜100%と非常に大きい。このため、表面で輻射による熱移動を抑制することが可能となる。
また、金属製シートの片面もしくは両面に、補強材としてフィルムを単層もしくは複層積層することが可能である。この場合、厚さが5μm以上100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜25μmである。厚さが5μm未満であると、非常に薄いため作業中に破れてしまうといった問題が発生するおそれがある。一方、100μmより大であると、剛性が大きくなり壁や天井のR部に沿って曲げることが困難になり、使用時の挿入性や床、壁、屋根への型追従性といった作業性が悪くなるおそれがある。
フィルムに使用する素材としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ乳酸(PLA)やこれらの共重合体に代表されるポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、その他ポリオレフィンが挙げられる。
さらには、前記金属製シートに、一定のピッチ間隔で孔を空けて全体として通気性・透湿性を付与させることも可能である。この場合、ピッチ間隔は2mm以上50mm以下で孔径0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。ピッチ間隔および孔径がこの範囲外であると所定の通気性・透湿性を得ることが困難となるおそれがある。
次に、本考案の遮熱材の製造方法について説明する。
まず、上記非弾性捲縮短繊維(マトリックス繊維)と熱接着性複合短繊維を任意の混率で混合し、不織布製造設備に投入して熱処理を施す。熱処理温度は熱接着性複合短繊維中の熱接着性成分が軟化又は溶融する温度より高く、他の繊維成分が溶融する温度より低い温度で行う。これにより熱接着性複合短繊維(の一部)が溶融する。
次いで、かかる繊維構造体を必要に応じてプレスした後、前述した金属製シートを繊維構造体の上面および/または下面から重ね合わせ、ロール等で加熱圧着することにより積層が可能となる。このとき、繊維構造体中の熱接着性複合短繊維の再溶融によりと繊維構造体と金属製シートが接着するが、より接着強度を向上させるためにパウダー状、不織布状の接着剤を使用することも可能である。
さらには、裏面に樹脂バッキング加工、さらには、形態安定性向上等のために裏面層に各種薄手の不織布シート、織編物、ウレタンフォーム、各種フィルム等を貼り合わせることも問題ない。
かくして得られた断熱材において、前記金属製シートにより、輻射による熱移動を反射によって抑制することができるので、軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる。
本考案の断熱材は、家屋の天井、ビルデイングの天井、壁、床、カーペット、居住空間の仕切り面、自動車内装材などの用途に好適に使用される。
以下、実施例をあげて本考案を詳細に説明するが、本考案はこれらによって何ら限定されるものではない。
(1)融点
Du Pont社製
熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
(2)T/W
繊維構造体を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図1において0°≦θ≦60°)の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維(図1において60°<θ≦90°)の総本数をWとしてT/Wを算出した。なお、本数の測定は、任意の10ヶ所について各々30本の繊維を透過型光学顕微鏡で観察し、その数を数えた。
(3)厚さ、目付、密度
JIS K6400により測定した。
(4)熱伝導率(W/mk)
JIS K1412により測定した。
(5)反射率(%)
JIS R3106により測定した。
(6)通気度(cc/cm/s)
JIS A1324により測定した。
(7)透湿性(ng/m・S・Pa)
JIS A1324により測定した。
(8)型追従性
JIS L1018の45°カンチレバー法により測定した。
◎:試験片の一端が斜面に接した時の他端の位置が100mm未満。
○:試験片の一端が斜面に接した時の他端の位置が100〜200mm。
×:試験片の一端が斜面に接した時の他端の位置が200mmを超える。
[実施例1]
融点が110℃の共重合ポリエステルを鞘成分に配し、融点が256℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分に配した、単糸繊度2.2dtex、繊維長51mmの芯鞘型熱接着性複合短繊維(芯成分:鞘成分が重量比で50:50、グレー色に着色)20重量%と、機械捲縮(捲縮数9ケ/2.54cm)を付与した、融点が256℃のポリエチレンテレフタレートからなる、単糸繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(非弾性捲縮短繊維、)80重量%とを用いてブレンド、カーデイング、クロスレイアー、カーデイングし、次いでStruto社製、Struto設備(特表2002−516932号公報に示された装置と同様のもの)を使用し、ウエブを駆動ローラ(表面速度2.5m/分)により、温度が200℃に設定された熱風サクション式熱処理機内へ押し込むことでアコーディオン状に折り畳み、目付け200gr/m、厚さ10mm、平均密度20kg/mの繊維構造体を得た。この繊維構造体において、T/Wが1.5以上であり、熱接着性複合短繊維と非弾性捲縮短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列していた。また、熱接着性複合短繊維の単繊維径は20μm、非弾性捲縮短繊維の単繊維径は20μmであった。
この繊維構造体を、出口にて回転スリッターで幅1100mm、長さ20mのサイズにカットを行った。さらに、次工程において繊維構造体の上面に、金属製シートとして(株)ZAPP製アルミ箔シート(アルミ箔7μm及びアルミ箔下層にポリエチレンテレフタレートフィルム12μm+ポリエチレンフィルム30μm)を積層して熱ローラにて加熱圧縮を行い積層した。さらに、この両端部をスリットし、図2のような、幅1,000mm、長さ20mの住宅用断熱・遮熱材を得た。この住宅用断熱・遮熱材を実際に床、壁、屋根に施工したところ、挿入性や型追従性が改善され作業性がスピードアップした。また、金属製シートと比較して遮熱性(反射率)に優れており、トータルの断熱性能が向上した。これらの物性値を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、金属製シートとして(株)ZAPP製アルミ箔シート(アルミ箔7μm及びアルミ箔下層にポリエチレンテレフタレートフィルム12μm+ポリエチレンフィルム30μm。ピッチ間隔20mmで孔径0.5mmの孔あき)を用いること以外は、実施例1と同様にした(図3参照)。この住宅用断熱・遮熱材を実際に床、壁、屋根に施工したところ、挿入性や型追従性が改善され作業性がスピードアップした。また、金属製シートと比較して遮熱性(反射率)が優れておりトータルの断熱性能が向上しただけではなく、通気性および透湿性も付与することが可能となった。これらの物性値を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、同じ原綿組成でカーデイング、クロスレイアー処理を行い、目付け200gr/m、厚さ10mm、平均密度20kg/mの繊維構造体を得た。この繊維構造体において、T/Wが1.5未満であった。次いで、実施例1と同様に金属製シートを積層した。
この遮熱材を実際に床、壁、屋根に施工したところ、繊維方向が2次元的に並んでおり挿入性や型追従性がやや悪かった。また、実施例1と比較して遮熱性(反射率)が悪く、トータルの断熱性能は低かった。これらの物性値を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、繊維構造体にかえて、厚さ10mmの公知のポリウレタン(イノアック社製、F4)を用いること以外は実施例1と同様にした。
この遮熱材を実際に床、壁、屋根に施工したところ、型追従性が極めて悪かった。
*)比較例1は、実施例の繊維構造体に代えて、ポリウレタン製を使用した。
本考案によれば、軽量で断熱性、遮熱性に優れ、しかも床、壁、屋根等への型追従性に優れる断熱材が提供され、その工業的価値は極めて大である。
1:熱接着性複合短繊維または非弾性捲縮短繊維
2:繊維構造体の厚さ方向
3:熱接着性複合短繊維または非弾性捲縮短繊維の配列方向
4:繊維構造体
5:金属製シート
6:繊維構造体
7:孔

Claims (9)

  1. 非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で95/5〜5/95となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在した繊維構造体と、該繊維構造体に積層された金属製シートとを含むことを特徴とする断熱材。
  2. 前記繊維構造体の平均密度が5〜50kg/mの範囲内である、請求項1に記載の断熱材。
  3. 前記繊維構造体の厚さが1〜200mmの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の断熱材。
  4. 前記非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列している、請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材。
  5. 前記繊維構造体が、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列している繊維構造体をプレスしたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材。
  6. 前記金属製シートに孔があけられている、請求項1〜5のいずれかに記載の断熱材。
  7. 前記金属製シートの厚さが5〜100μmの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の断熱材。
  8. 前記金属製シートがアルミ箔からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の断熱材。
  9. 前記金属製シートの片面または両面に有機樹脂からなるフィルムが積層してなる、請求項1〜8のいずれかに記載の断熱材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012112072A (ja) * 2010-11-25 2012-06-14 Teijin Fibers Ltd 繊維構造体および複合繊維構造体およびクッション材および吸音材および断熱材
JP2014000710A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Teijin Ltd 複合繊維構造体
JP2014214476A (ja) * 2013-04-25 2014-11-17 株式会社コスモプロジェクト
JP2016044191A (ja) * 2014-08-20 2016-04-04 日本遮熱株式会社 電食防止層形成用コーティング材、及び遮熱材

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