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JP3003447B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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Publication number
JP3003447B2
JP3003447B2 JP5048211A JP4821193A JP3003447B2 JP 3003447 B2 JP3003447 B2 JP 3003447B2 JP 5048211 A JP5048211 A JP 5048211A JP 4821193 A JP4821193 A JP 4821193A JP 3003447 B2 JP3003447 B2 JP 3003447B2
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JP
Japan
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fuel ratio
air
exhaust gas
concentration
generated torque
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太容 吉野
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01NGAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; GAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINES
    • F01N2240/00Combination or association of two or more different exhaust treating devices, or of at least one such device with an auxiliary device, not covered by indexing codes F01N2230/00 or F01N2250/00, one of the devices being
    • F01N2240/18Combination or association of two or more different exhaust treating devices, or of at least one such device with an auxiliary device, not covered by indexing codes F01N2230/00 or F01N2250/00, one of the devices being an adsorber or absorber
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01NGAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; GAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINES
    • F01N2570/00Exhaust treating apparatus eliminating, absorbing or adsorbing specific elements or compounds
    • F01N2570/12Hydrocarbons

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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の排気浄化装置
に関し、詳しくは、HCの吸着能力を有し、HC存在下
でNOxを還元する触媒を排気通路に備えた排気浄化装
置において、前記触媒のNOx還元性能を維持するため
の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、理論空燃比よりも大幅にリーンな
空燃比域(例えば20〜22程度の空燃比)で燃焼させるリ
ーンバーン内燃機関が開発されており、かかるリーンバ
ーン内燃機関では、リーン空燃比域でNOxを浄化させ
るためにリーンNOx触媒が使用されている。
【0003】前記リーンNOx触媒は、ゼオライトを主
成分とするものであり、排気中のHCを一時的に吸着
し、このHCによりNOxを還元するものであると推定
されている。従って、前記リーンNOx触媒におけるN
Oxの浄化処理には、HCの存在が不可欠であり、排気
中のHC/NOx比が低下すると、NOx還元性能が低
下する。
【0004】そこで、HC量の不足によってリーンNO
x触媒のNOx還元性能が低下するときに、排気中のH
C量を強制的に増大させて、NOx還元性能を維持でき
るようにした排気浄化装置が提案されており、排気中の
HC量を強制的に増大させるための手段として以下のよ
うな手段A〜Cを採用している。 (A) .燃料の噴射時期を遅らせることによって、壁流
となって燃焼室に流れ込む燃料量を多くして燃料の霧化
を抑制することにより、排気中のHCを増やす(特開平
3−217640号公報参照)。
【0005】(B) .冷却水温度を低くすることで燃焼
室の壁温を低下させ、これにより、燃料の霧化を抑制し
て排気中のHCを増やす(特開平3−229914号公
報参照)。 (C) .キャニスタに吸着捕集された蒸発燃料、又は、
ブローバイガスを、リーンNOx触媒上流で排気中に添
加し、排気中のHCを増やす(特開平3−242415
号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(A) 〜 (C) に示す手段のうち、 (A) の壁流量の増
大や (B) の燃焼室壁温の低下を実施した場合には、不
完全燃焼が増加して燃焼が不安定となり、運転性の悪化
をもたらす惧れがあった。また、 (B) の燃焼室壁温を
低下させる手段の場合は、HC不足が判断されてから、
冷却水温度を下げて実際に燃焼室壁温が低下するまでの
時間損失が大きく、この間のNOxは充分に浄化されず
に排出されてしまい、NOx還元性能を安定的に維持さ
せることが困難である。
【0007】更に、 (C) のHCを排気中に添加する手
段では、未使用の燃料を排気中に添加するものであるか
ら、燃費の悪化をもたらすという問題があった。また、
リーンバーン内燃機関では、理論空燃比付近の出力空燃
比域とリーン空燃比域との間で目標空燃比の切り換えを
行なうときに、トルクの急激な変化により運転性を損な
うことがないように、空燃比を徐々に変化させることが
行なわれている。ところが、NOxの排出量は、図4に
示すように、前記目標空燃比の切り換え途中の空燃比域
(16〜18程度の空燃比)で最も多くなり、このときにH
C/NOx比が小さくなってリーンNOx触媒のNOx
還元性能が低下するので、目標空燃比切り換えの際に多
量のNOxが排出されるという問題があった。
【0008】ここで、前述のような目標空燃比切り換え
の際に、NOx量に対してHC量が不足してNOx還元
性能が低下することを、前述のようなHC量の増大手段
によって補償しようとしても、空燃比がNOx濃度がピ
ークとなる空燃比域に該当していることや排気中のHC
濃度の低下を直接的に検出した結果に基づいてHC量増
大手段を作動させたのでは、応答遅れが生じると共に、
多量に排出されるNOxの還元に必要とするだけのHC
量を確保できなくなる場合もあり、NOx還元能力を安
定的に高く維持させることは困難であった。
【0009】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、リーンNOx触媒のNOx還元性能を維持させる
ためのHC量の増大制御が、機関運転性を悪化させるこ
となく、また、未使用の燃料を用いることなく実現でき
るようにすると共に、リーンバーン内燃機関における目
標空燃比の切り換え時に、NOx還元性能を安定的に維
持できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのため本発明にかかる
内燃機関の排気浄化装置は、図1に示すように構成され
る。図1において、空燃比切り換え手段は、機関吸入混
合気の目標空燃比を機関運転条件に応じて理論空燃比付
近の出力空燃比域と理論空燃比よりも大きなリーン空燃
比域とに切り換える手段であって、前記出力空燃比域と
リーン空燃比域との間で空燃比を徐々に変化させる
【0011】排気浄化触媒は、排気通路に介装されHC
の吸着能力を有しHC存在下でNOxを還元する触媒で
ある。また、HC濃度増大手段は、排気浄化触媒上流側
の排気中HC濃度を増大せしめる手段である。そして、
HC濃度制御手段は、前記出力空燃比域と前記リーン空
燃比域との間での空燃比の切り換えが開始される直前の
所定期間において、HC濃度増大手段により排気中のH
C濃度を増大させる。
【0012】ここで、前記HC濃度制御手段が、HC濃
度増大手段によるHC濃度の増大を、機関の低回転・低
負荷時ほどより長い期間行なわせるよう構成すると良
い。
【0013】また、前記HC濃度増大手段が、機関吸入
混合気の空燃比を強制的に目標空燃比よりもリッチ化さ
せることで、前記排気浄化触媒の上流側の排気中HC濃
度を増大せしめる構成とすることができ、かかる構成に
おいては、図2に示すように、HC濃度増大手段により
空燃比がリッチ化されるときに、該リッチ化に伴う発生
トルクの増大を抑制する方向に、発生トルクに関与する
空燃比以外の制御対象を制御する発生トルク制御手段を
設けることが好ましい。
【0014】ここで、内燃機関が各気筒別に燃料を噴射
供給する燃料噴射手段を備えて構成される場合には、前
HC濃度増大手段が、特定気筒に噴射供給される燃料
量を強制的に増大補正することで前記特定気筒の空燃比
のみをリッチ化させ、前記発生トルク制御手段が、前記
特定気筒での発生トルクを他気筒の発生トルクに一致さ
せるべく、前記特定気筒に対してのみ発生トルクを抑制
する制御を行なうよう構成することができる。
【0015】また、前記HC濃度増大手段が全気筒の空
燃比を強制的にリッチ化させ、前記発生トルク制御手段
が前記目標空燃比相当の発生トルクに一致させるべく全
気筒に対して発生トルクを抑制する制御を行なうよう構
成することもできる。また、前記発生トルク制御手段
が、点火時期と排気還流量との少なくと一方を制御する
ことによって発生トルクの増大を抑制する構成とすると
良い。
【0016】
【0017】
【作用】かかる構成の排気浄化装置によると、力空燃
比域とリーン空燃比域との間での空燃比の切換えが開始
される直前に、排気浄化触媒の上流側の排気中HC濃度
を増大させる処理がなされる。ここで、排気浄化触媒の
HC吸着能力によって前記HC濃度増大処理によって増
大したHCが一定期間吸着されるから、空燃比切り換え
途中でNOx濃度がピークとなる空燃比域を通過するこ
とがあっても、上記のようにして事前に吸着させておい
たHCによってNOxの還元性能を維持することが可能
となる。
【0018】ここで、機関の低回転・低負荷時にはHC
の排出量が少ないから、空燃比切り換え直前にHC量の
増大を図る場合には、低回転・低負荷時ほど長い期間H
C量増大処理を実行させるようにする。また、本発明で
は、排気浄化触媒上流側のHC濃度を増大させる手段
を、機関吸入混合気の空燃比を強制的に所定期間だけ目
標空燃比よりもリッチ化させる手段とし、HC濃度増大
のために空燃比をリッチ化させたことによって出力の急
増が発生することを抑止すべく、空燃比以外の制御対象
を出力抑制方向に制御させる。
【0019】前記空燃比のリッチ化は、全気筒ではなく
特定気筒のみ行なわせる構成とすることができ、この場
合には、気筒間での発生トルクのばらつきが生じないよ
うに、前記リッチ化させる特定気筒の発生トルクを他気
筒のレベルに一致させるようにする。また、前記空燃比
のリッチ化は、全気筒で行なっても良く、この場合に
は、基準の目標空燃比相当の発生トルクとなるように、
全気筒に対して発生トルクを抑制する制御を施す。
【0020】前記空燃比のリッチ化に伴う出力増大を抑
制するには、点火時期の遅角補正や排気還流量の増大制
御を行なえば良い。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。一実施例
のシステム構成を示す図3において、内燃機関1には、
エアクリーナ2,吸気ダクト3,スロットルチャンバ
4,吸気マニホールド5を介して空気が吸入される。
【0022】前記吸気ダクト3には、機関の吸入空気流
量Qを検出するエアフローメータ6が介装されている。
前記スロットルチャンバ4には、吸入空気量を調整する
バタフライ式のスロットル弁7が介装されており、この
スロットル弁7には、その開度TVOを検出するポテン
ショメータ式のスロットルセンサ8が付設されている。
【0023】また、前記スロットル弁7をバイパスして
機関に供給される補助空気量を制御するために、開度制
御されるアイドル制御バルブ9、エアコン信号に応じて
オン・オフ的に開閉するファーストアイドルコントロー
ルバルブ(FICD)10、冷却水温度に応じて補助空気
量を調整するエアレギュレータ11が設けられている。一
方、前記吸気マニホールド5の各ブランチ部には、図示
しないフューエルタンクから圧送されプレッシャレギュ
レータにより所定圧力に調整された燃料を、間欠的に機
関1に噴射供給するための電磁式のインジェクタ12が設
けられており、このインジェクタ12の開弁時間を介して
燃料供給量、引いては、機関吸入混合気の空燃比を制御
できるようになっている。
【0024】また、各気筒の燃焼室に臨ませて点火栓13
が設けられており、この点火栓13には、点火時期制御信
号に応じてイグニッションコイル14で発生した高電圧が
ディストリビュータ15を介して分配供給されるようにな
っている。前記ディストリビュータ15には、クランク角
センサ16が内蔵されており、該クランク角センサ16は、
所定クランク角毎に検出信号を出力する。尚、前記クラ
ンク角センサ16からの検出信号に基づいて機関回転速度
が算出される。
【0025】機関1からの排気は、排気マニホールド1
7,排気ダクト18,リーンNOx触媒19(排気浄化触
媒),マフラー20を介して大気中に排出される。前記排
気ダクト18には、機関吸入混合気の空燃比と密接な関係
にある排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ21が介装
されている。また、リーンNOx触媒19の下流側には排
気温度を検出する排気温度センサ22が設けられている。
【0026】前記リーンNOx触媒19は、遷移金属或い
は貴金属を担持せしめたゼオライトからなり、HCの吸
着能力(HCストレージ効果)を有すると共に、酸化雰
囲気中HC存在下でNOxを還元する機能を有する触媒
である。マイクロコンピュータを内蔵したコントロール
ユニット23は、前記各種センサの他、機関の冷却水温度
を検出する水温センサ24,機関のノッキング振動を検出
するノックセンサ25からの検出信号などを入力し、イン
ジェクタ12による燃料噴射量、点火栓13による点火時
期、更に、アイドル制御バルブ9で調整される補助空気
量などを制御する機能を有している。
【0027】尚、図3において、26はキャニスタであ
り、図示しないフューエルタンク内の蒸発燃料を吸着捕
集すると共に、該吸着捕集した蒸発燃料を機関吸気系に
脱離供給する。前記コントロールユニット23は、機関吸
入混合気の目標空燃比を、前記各種センサに基づき検出
される運転条件に応じて、理論空燃比付近の出力空燃比
域と、理論空燃比よりも大きな燃焼安定限界付近のリー
ン空燃比域(空燃比20〜22程度)とに切り換え、該切り
換え設定される目標空燃比に応じて燃料噴射量を制御す
るようになっている。従って、本実施例の機関1は所謂
リーンバーン機関である。
【0028】ここで、前記リーンNOx触媒は、前述の
ように、HCの存在によってNOxを還元処理するもの
であるから、HC量が不足するとNOxの還元性能が低
下する。特に、前述のように出力空燃比域とリーン空燃
比域との間で空燃比を変化させるときには、図4に示す
ように、NOx排出量がピークとなる空燃比域(空燃比
16〜18程度)を通過し、然も、このときにHC/NOx
比が小さくなって、リーンNOx触媒19におけるNOx
の還元処理が期待できなくなるので、空燃比の切り換え
を行なうときに多くのNOxが大気中に排出される惧れ
がある。
【0029】そこで、本実施例では、空燃比切り換え時
に以下のようにしてHC量を確保して、NOxの還元性
能を維持できるようにしてある。図5のフローチャート
は、出力空燃比域(略理論空燃比)とリーン空燃比域と
の間における目標空燃比の切り換え制御を示すものであ
る。尚、本実施例において空燃比切り換え手段としての
機能は、前記図5のフローチャートに示すように、コン
トロールユニット23がソフトウェア的に備えている。ま
た、本実施例では機関1は直列4気筒機関とする。
【0030】図5のフローチャートに示すルーチンは、
1サイクル毎に実行されるものであり、まず、機関負
荷,回転速度,冷却水温度等の情報を読み込む(S1
1)。前記機関負荷は、前記エアフローメータ6で検出
される吸入空気流量Qと、クランク角センサ16からの検
出信号に基づいて算出される機関回転速度Neとに基づ
いて別のルーチンで演算される基本燃料噴射量Tp(←
K×Q/Ne)で代表させることができる。
【0031】そして、前記機関負荷,回転速度の情報に
基づいて、現状の運転条件が予め設定されたリーン運転
領域に含まれるか否かを判別し、更に、冷却水温度の情
報に基づいてリーン運転可能な条件であるか否かを判別
することで、リーン運転が可能であるか否かを判別する
(S12)。ここで、リーン運転が可能であると判別され
た場合には、目標空燃比の設定切り換え状態を示すリー
ン判定フラグFLEANに1をセットし(S13)、リー
ン運転が不可能で出力空燃比域(理論空燃比)での燃焼
(ストイキ運転)を行なわせる必要があるときには、前
記リーン判定フラグFLEANに0をセットする(S1
4)。
【0032】次いで、今回設定されたリーン判定フラグ
FLEANと、本プログラム前回実行時に設定されたリ
ーン判定フラグFLEAN(=FL−OLD)とを比較
する(S15)。ここで、今回設定されたリーン判定フラ
グFLEANが前回値に対して異なるとき、換言すれ
ば、リーン空燃比域から出力空燃比域への切り換え、又
は、出力空燃比域からリーン空燃比域への切り換えが行
なわれたときには、リッチ化フラグFRICHに1をセ
ットする(S16)。
【0033】前記リッチ化フラグFRICHは、実際に
空燃比の切り換えを行なう前の所定期間だけ、切り換え
前の空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼させる状態を示
すフラグである(図9参照)。一方、前記リーン判定フ
ラグFLEANが前回と同じ場合には、リッチ化フラグ
FRICHの設定を行なわずに進む。
【0034】そして、本プログラムの次回実行時におけ
るS15での判別のために、今回設定されたリーン判定フ
ラグFLEANを前回値FL−OLDにセットする(S
17)。次いで、上記のリーン運転が可能であるか否か
の判定結果を受けて、実際の目標空燃比の設定を行なう
(S18)。
【0035】前記S18における目標空燃比設定の詳細
は、図6及び図7のフローチャートに示してある。尚、
本実施例において、HC濃度増大手段,HC濃度制御手
段,発生トルク制御手段としての機能は、前記図6及び
図7のフローチャートに示すように、コントロールユニ
ット23がソフトウェア的に備えている。
【0036】この図6及び図7のフローチャートにおい
て、まず、前記リッチ化フラグFRICHの判定を行な
う(S201)。そして、前記リッチ化フラグFRICHが
1であるときには、空燃比をリッチ化させる制御の初期
状態を判定するためのフラグFR−OLDを判定する
(S202)。
【0037】ここで、前記フラグFR−OLDが0であ
ると判別され、リッチ化制御の初期状態であるときに
は、前記フラグFR−OLDに1をセットした後(S20
3)、図8に示すように予め機関負荷と機関回転速度とに
より割り付けられたマップから、空燃比を実際に切り換
える前に空燃比を強制的にリッチ化させる期間TRを読
み取る(S204)。そして、前記リッチ化期間TRを計測
するためのタイマーtRを所定値Δtだけカウントアッ
プさせ(S205)、リッチ化期間の計測をスタートさせ
る。
【0038】即ち、出力空燃比域とリーン空燃比域との
間における空燃比の切り換えが設定されても、直ちに切
り換えを開始するのではなく、前記リッチ化期間TRだ
け空燃比の切り換え開始を遅延させ、該遅延期間中に切
り換え前の空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼させるこ
とでHCを多く排出させて、前記遅延期間中にリーンN
Ox触媒19に対して可能範囲内の最大量のHCを吸着さ
せるようにする(図9参照)。
【0039】前記リーンNOx触媒19では、その触媒の
担持量によって吸着可能なHC総量MOが決定されるの
で、運転条件及び空燃比設定から機関からのHC排出量
を求め、更に、この値からHC吸着量が前記吸着可能量
MOになるまでの時間を求め、この時間を前記リッチ化
期間TRとしてある。HCの排出量は、高負荷・高回転
になるほど増加するので、前記リッチ化期間TRは、機
関の高負荷・高回転ほど短い期間に、換言すれば、機関
の低負荷・低回転ほど長い期間となるように設定され
る。従って、前記リッチ化期間TRだけ所定のリッチ化
処理を行なえば、リーンNOx触媒19に対して吸着可能
な最大量のHCが吸着されることが予測される。
【0040】次に、機関負荷と機関回転速度とにより割
り付けられた通常運転時用の空燃比・点火時期のマップ
を、前記リーン判定フラグFLEANに基づいて参照
し、この参照値をそれぞれMKMR,MADVにセット
する(S206)。前記通常運転時用の空燃比・点火時期マ
ップは、図10に示すように、出力空燃比域用(ストイキ
用)とリーン空燃比域用との2種類が予め用意されてお
り、前記リーン判定フラグFLEANに基づいていずれ
か一方のマップを選択し、そのときの機関負荷と回転と
から目標となるリーン空燃比と点火時期とを前記選択し
たマップから参照する。
【0041】そして、前記参照値MKMR, MADVを
各気筒毎に割り当てられたKMR(i),ADV(i)
(i=1〜4)に格納させる(S207)。ここで、リーン
判定フラグFLEANは前回に対して反転しており、本
来であれば、リーン判定フラグFLEANが1であれば
リーン空燃比域(リーン運転)用のマップを参照し、ま
た、リーン判定フラグFLEANが0であれば出力空燃
比域(ストイキ運転)用のマップを参照することにな
る。
【0042】しかしながら、本実施例では前記リッチ化
期間TR中(フラグFRICHが1である間)は空燃比
の切り換えを遅延させ、リーン判定フラグFLEANが
反転してから前記リッチ化期間TRが経過した後に初め
て空燃比の切り換えを行なう(図9参照)。従って、前
述のように、リッチ化フラグFRICHが1であると判
定されるリッチ化期間TRであるS206 では、リーン判
定フラグFLEANが0であるリーン空燃比域から出力
空燃比域への切り換え時には、切り換え前のリーン空燃
比域用のマップを参照し、また、リーン判定フラグFL
EANが1である出力空燃比域(理論空燃比)からリー
ン空燃比域への切り換え時には、切り換え前の出力空燃
比域用のマップを参照するものとする。
【0043】上記では、全気筒の空燃比・点火時期とし
て、切り換え前の空燃比設定に対応する通常データを設
定させたが、次のS208 ,S209 では、特定気筒の空燃
比のみをリッチ化させるために、前記特定気筒の空燃比
・点火時期設定を書き換える処理が行なわれる。即ち、
出力空燃比域とリーン空燃比域との間での空燃比切り換
えが指示されると、特定気筒以外の気筒については単純
に実際の切り換え制御の開始を遅らせるが、特定気筒に
ついては、前記遅延期間内で強制的に多くのHCを排出
させるべく、少なくとも他気筒よりもリッチ化させるも
のである。
【0044】コントロールユニット23には、予め前記特
定気筒をリッチ化させるための空燃比・点火時期マップ
として、図10(c),(d)に示すように、出力空燃比
域(ストイキ)からリーン空燃比域への切り換え時に用
いるマップと、逆方向への切り換え時に用いるマップと
が備えられており、例えば出力空燃比域からリーン空燃
比域への切り換え時のリッチ化期間においては、他気筒
については図10(a)のマップが用いられるが、特定気
筒については図10(c)のマップが用いられる。
【0045】ここで、図10(a)のマップと図10(c)
のマップ、図10(b)のマップと図10(d)のマップを
それぞれに比較すると、同一の負荷・回転に対応するデ
ータSijとS' ij 又はLijとL' ij を用いて制御し
たときには同じ発生トルクが得られるようになってい
る。リッチ化期間TRにおいては、特定気筒のみがリッ
チ化されることになるから、空燃比の設定のみを気筒間
で異ならせると、発生トルクが特定気筒で大きくなっ
て、気筒間における発生トルクがアンバランスとなって
しまう。そこで、空燃比としてはリッチ化されても、該
リッチ化に伴って他気筒よりも発生トルクが大きくなる
ことがないように、点火時期を補正したマップをリッチ
化用の空燃比・点火時期マップとして設定し(図11参
照)、リッチ化させる特定気筒の発生トルクとリッチ化
されない他気筒の発生トルクが等しくなるようにしてあ
る。
【0046】即ち、図11に示すように、所定のリーン空
燃比で燃焼される他気筒に対し、特定気筒の空燃比を9
程度と大幅にリッチ化させると、該リッチ化に伴って前
記リッチ化気筒の発生トルクのみが増大してしまう。そ
こで、前記リッチ化による発生トルクの増大分を、点火
時期の遅角(リタード)設定によって相殺できるような
空燃比・点火時期のデータを予め実験によって求め、こ
れをリッチ化用マップとして設定する。そして、通常マ
ップを用いて制御される気筒での発生トルクと、リッチ
化用マップを用いて制御される気筒での発生トルクが、
同一負荷・回転条件で略等しくなるようにしてある。
【0047】S208 では前述のようにして設定されてい
るリッチ化用空燃比・点火時期マップを空燃比の切り換
え方向に応じて参照し、機関負荷・回転に応じた空燃比
・点火時期の参照値をKMR(1),ADV(1)にセ
ットする。尚、前記KMR(1),ADV(1)は、前
述のステップで通常運転用の制御値がセットされるが、
前記リッチ化用のマップの参照値に置き換えられる。
【0048】尚、本実施例では、図9に示すように、出
力空燃比域で14〜16程度の空燃比に制御され、リーン空
燃比域では20〜22程度の空燃比に制御されるのに対し、
出力空燃比域からリーン空燃比域への切り換え時には、
特定気筒の空燃比を所定期間だけ10〜12程度に低下(リ
ッチ化)させてから実際の切り換えを開始させ、また、
リーン空燃比域から出力空燃比域への切り換え時には、
特定気筒の空燃比を所定期間だけ8〜10程度に低下(リ
ッチ化)させてから実際の切り換えを開始させるように
した。
【0049】上記のようにして空燃比を切り換える直前
の所定期間TRにおいて、切り換え前の目標空燃比(他
気筒の空燃比)に対して特定気筒の空燃比のみを発生ト
ルクを増大させることなくよりリッチ化させる空燃比・
点火時期を設定すると、次いで、前記特定気筒(1番気
筒)に対する設定空燃比・点火時期の前回値KMR−O
LD(1),ADV−OLD(1)として、通常マップ
を参照したものではなく、前記リッチ化用マップを参照
したものをセットする(S209)。
【0050】次に、タイマーtR によって計測される時
間に基づいて所定のリッチ化期間TRが経過したか否か
を判別する(S210)。そして、リッチ化期間TRが経過
していない場合には、そのままS214 以降の目標空燃比
の設定ステップに進むが、リッチ化期間TRが経過した
ことが判別されると、前記フラグFRICH,FR−O
LD及びタイマーtR をゼロリセットし(S211)、前記
リッチ化期間TRだけ遅延させておいた空燃比の切り換
えを開始させるようにする。
【0051】前記リッチ化フラグFRICHがゼロリッ
トされると、次回からは、リーン判定フラグFLEAN
に対応して、フラグFLEANが0であるときには出力
空燃比域用の通常マップ(図10(a))を参照し、ま
た、フラグFLEANが1であるときにはリーン空燃比
域用の通常マップ(図10(b))を参照して、各気筒の
共通の空燃比・点火時期を設定する(S212 ,S213
)。
【0052】S214 〜S222 は、出力空燃比域とリーン
空燃比域の間での空燃比切り換えを行なうときに、切り
換え前の空燃比から徐々に切り換え後の空燃比に変化さ
せて、空燃比の切り換えに伴う急激な出力変化が生じな
いように目標空燃比を設定するためのステップである。
まず、今回マップを参照して設定された空燃比KMR
(i)と前回の空燃比KMR−OLD(i)とを比較
し、空燃比の増大設定がなされたか否かを判別する(S
214)。
【0053】ここで、設定空燃比が増大変化していると
判別された場合には、前回値KMR−OLD(i)に対
して所定のステップ量ΔRMRを加算したデータと、今
回の設定空燃比KMR(i)とを比較し、小さい方のデ
ータを最終的な目標空燃比TMR(i)にセットする。
従って、出力空燃比域からリーン空燃比域に移行すると
きには、理論空燃比付近から最終的なリーン空燃比へ一
度に変化するのではなく、前記ステップ量ΔRMRずつ
徐々に変化することになる。
【0054】一方、マップを参照して求められる設定空
燃比が変化していないか又は減少変化している場合に
は、前回値KMR−OLD(i)から所定のステップ量
ΔLMRを減算したデータと、今回の設定空燃比KMR
(i)とを比較し、大きい方のデータを最終的な目標空
燃比TMR(i)にセットする。従って、リーン空燃比
域から出力空燃比域へ移行するときには、リーン空燃比
から理論空燃比付近へ一度に変化するのではなく、前記
ステップ量ΔLMRずつ徐々に変化することになる。
【0055】また、マップを参照して求められる設定空
燃比が変化していない場合、即ち、安定的な理論空燃比
或いはリーン空燃比運転状態、若しくは、前記リッチ化
期間TRにおいては、マップ参照値がそのまま目標空燃
比TMR(i)として設定されることになる。S217 〜
S219 では、前記目標空燃比TMR(i)の設定と同様
にして、点火時期TADV(i)を徐々に変化させる処
理を行なう。
【0056】上記の目標空燃比TMR(i)及びTAD
V(i)は、各気筒別に行なわれるようになっており、
S214 〜S219 の一連の処理が一旦終了すると、気筒数
カウンタi(初期値=1)を1アップさせる。そして、
このカウンタiが4を超えるようになるまで、換言すれ
ば、全気筒について目標空燃比TMR(i)及びTAD
V(i)の設定が終了するまでは、S214 〜S219 の処
理を繰り返す。
【0057】目標空燃比TMR(i)及びTADV
(i)の設定が全気筒について終了すると、前記カウン
タiを初期値である0にリセットした後(S222)、前記
目標空燃比TMR(i)及びTADV(i)を図示しな
い空燃比・点火時期制御ルーチンへ渡し、前記目標空燃
比TMR(i)に対応する噴射量制御及びTADV
(i)に対応する点火時期制御が行なわれる。
【0058】上記図6及び図7のフローチャートに示し
た制御を概略的に述べると、出力空燃比域(ストイキ運
転)とリーン空燃比域(リーン運転)との間で切り換え
を行なうときに、切り換えを所定期間TRだけ延期し、
かかる切り換え延期期間において特定気筒の空燃比のみ
をリッチ化させる。かかる空燃比リッチ化に当たって
は、リッチ化に伴う発生トルクの増大を抑制すべく点火
時期を他気筒に比べて遅角設定し、他気筒の発生トルク
と同等レベルとする。
【0059】上記のように特定気筒をリッチ化させる
と、該特定気筒からの排気中に含まれるHC量を強制的
に増大させることができ、この特定気筒から排出される
HC量に応じた前記期間TRの設定によって、前記空燃
比切り換え遅延期間内でリーンNOx触媒19に対して吸
着可能な最大量のHCを吸着させることができる。そし
て、前記リッチ化期間TRが経過し、リーンNOx触媒
19に最大量のHCが吸着されたものと推定される状態に
なってから、実際の空燃比切り換えを開始させる。
【0060】ここで、理論空燃比付近の出力空燃比域と
リーン空燃比域(空燃比20〜22程度)との間の空燃比域
(空燃比16〜18)で機関1からのNOx排出量がピーク
となるが、上記のように空燃比切り換えを開始させる直
前にリーンNOx触媒19に対して積極的に多くのHCを
吸着させておけば、実際にNOxが機関から多量に排出
される空燃比状態となったときに、前記吸着させておい
たHCの存在によってNOxの還元性能を維持させるこ
とが可能となる。
【0061】従って、本実施例によれば、目標空燃比が
出力空燃比域(理論空燃比)とリーン空燃比域との間で
切り換えられるときに、出力の急激な変化を回避すべく
徐々に空燃比を変化させる構成としても、切り換え途中
の空燃比域で多量に排出されるNOxを良好に還元処理
することが可能となり、運転性を維持しつつNOx排出
量の増大を回避できる。
【0062】尚、空燃比切り換え直前の所定期間におい
て、噴射時期を遅らせたり、燃焼室壁温度を低下させた
り、更には、ブローバイガスやキャニスタ23から脱離さ
れた蒸発燃料を排気系に添加することによって、リーン
NOx触媒19に対して空燃比切り換え途中に多量に排出
されるNOxの処理に供することができるHCを吸着さ
せるようにしても良い。
【0063】しかしながら、本実施例のように、機関吸
入混合気の空燃比をリッチ化させる構成とすれば、前記
HC量の確保のために不完全燃焼が大幅に増大したり、
燃焼に全く供しない燃料を前記HC量の確保のために使
用することがなく、更に、応答良くHC量の増大を図れ
るため、機関の運転性や燃費を大幅に悪化させることな
く、NOxの安定的な浄化を図ることが可能である。
【0064】ところで、空燃比の切り換え直前に、リー
ンNOx触媒19に対して最大量のHCを吸着させるため
にリッチさせる気筒が発生するトルクが、他の気筒(切
り換え前の空燃比で通常に制御されている気筒)が発生
するトルクと等しくするには、図示平均有効圧Peが互
いに等しい値となる空燃比・点火時期とすれば良い。し
かし、前記図示平均有効圧Peを等しくしても、dPe
/dθまでは等しくすることはできないので、リッチ化
させた気筒と他の気筒とでは軸加振力が異なった大きさ
になり、リッチ化気筒における軸加振力がより大きくな
る。
【0065】一方、直列4気筒機関の場合、機関振動に
及ぼす影響はフライホイルに対して最も遠い1番気筒の
軸加振力が最も大きい。また、4番気筒の軸加振力は、
直にクランクメインベアリングに加わるが、メインベア
リングはフライホイルによる加振力が加わり強度的に最
も厳しい。従って、上記実施例では、説明を簡略化する
ためにリッチ化させる特定気筒を1番気筒としたが、機
関振動の低減や耐久性向上のためには、2番気筒や3番
気筒をリッチ化させる特定気筒とすることが望ましい。
【0066】また、図12のフローチャートに示すよう
に、空燃比の切り換え直前の所定期間において通常制御
される気筒に対してリッチ化させる気筒を順次切り換え
る構成とすることもできる。前記図12のフローチャート
は、前述した図6のフローチャートにおけるS208,S20
9 の部分の代わりに実行されるものである。
【0067】まず、リッチ化気筒カウンタCYL−N
(初期値=1)で指定される気筒をリッチ化気筒とし
て、このリッチ化気筒に対する空燃比KMRと点火時期
ADVとをマップを参照して決定する(S31)。尚、前
記空燃比KMRと点火時期ADVとは、リッチ化されず
に通常に切り換え前の空燃比設定に応じて制御される気
筒に対して、空燃比としてはリッチであるが、発生トル
クとして同等となるものである。
【0068】次いで、上記設定された空燃比KMRと点
火時期ADVを当該リッチ化気筒における前回値として
KMR−OLD,ADV−OLDにセットする(S3
2)。次に、前記リッチ化気筒カウンタCYL−Nを1
アップし(S33)、該1アップされたリッチ化気筒カウ
ンタが4を超えた場合には(S34)、初期値である1に
リセットする処理を行なう(S35)。
【0069】従って、前記リッチ化気筒カウンタCYL
−Nは1サイクル毎に1→2→3→4→1と変化し、こ
れに伴ってリッチ化される気筒が1サイクル毎に#1→
#2→#3→#4→#1と順次変化することになる。空
燃比をリッチ化すると、その気筒の燃焼室壁温が低下す
るが、上記のようにリッチ化気筒を順次変化させる構成
であれば、1つの気筒の壁温だけが低下してシリンダの
熱応力がアンバランスとなることがない。
【0070】更に、上記実施例では、4気筒のうちの1
気筒のみをHC量の確保のために強制的にリッチ化させ
る構成としたが、2乃至3気筒或いは全気筒を空燃比切
り換え前の所定期間内でリッチ化させる構成としても良
い。例えばリーン運転から急加速のために出力空燃比
(理論空燃比)に切り換えるときに、空燃比切り換えを
比較的短時間のうちに行なわなければならない場合があ
る。空燃比の切り換えを急ぐのに伴い、一時的にリッチ
化させる期間(リッチ化期間TR)を短縮させようとす
ると、前記リッチ化期間におけるHC濃度を高める必要
が生じる。そのため、一時的にリッチ化させる気筒の数
を増やして対応することが考えられ、要求されるHC濃
度によっては全気筒を一時的にリッチ化することも可能
である。
【0071】図13のフローチャートは、機関1の急加速
時には、1気筒のみではなく全気筒についてリッチ化を
行なう制御を示すフローチャートであり、前述の図6の
フローチャートにおいて、追加実行されるようになって
いる。即ち、空燃比切り換え直前のリッチ化期間TRを
計測するためのタイマーtRをカウントアップさせると
(S205)、スロットルセンサ8で検出されるスロットル
弁7の開度TVOを読み込む(S1001)。
【0072】そして、今回読み込んだ開度TVOと前回
値TVO−OLDとの差ΔTVO、即ち、1サイクル間
における開度TVOの変化量を演算し(S1002)、該Δ
TVOに基づいてスロットル弁7が所定以上の割合で開
操作されている状態(急加速)であるか否かを判別する
(S1003)。ここで、急加速状態でない場合には、S20
6 へ進み、前述の説明通りに特定1気筒のみをリッチ化
させる処理を行なう。
【0073】一方、急加速であると判別された場合に
は、必要HC量をリーンNOx触媒19に吸着させる処理
を早急に終わらせる必要があるから、全気筒についてリ
ッチ化させるべくリッチ化用マップを参照して全気筒の
空燃比・点火時期を設定する(S1004,S1005)。ここ
で、上記のように全気筒を同時にリッチ化させる構成で
あれば、気筒間における発生トルクのばらつきは生じな
いが、空燃比をリッチ化させる処理のみを行なうと、リ
ッチ化と同時に発生トルクが急増することになってしま
う。しかしながら、前記リッチ化マップは、空燃比につ
いてはリッチ化させるが、点火時期の遅角設定によっ
て、通常の空燃比・点火時期マップを用いて制御したと
きと略同等の発生トルクが得られるように設定されてい
るので、全気筒についてリッチ化を行なっても、発生ト
ルクが急増することはない。
【0074】尚、図13のフローチャートでは省略した
が、急加速判定に伴って全気筒リッチ化処理を行なう場
合には、リッチ化期間TRを1気筒のみリッチ化させる
場合に比べて短縮させる構成とすると良い。上記のよう
にして全気筒をリッチ化させる構成とすれば、気筒間に
おける軸加振力のアンバランスが生じないため、振動・
耐久性の点で有利であり、また、短時間のうちにリーン
NOx触媒19に対して最大量のHCを吸着させることが
できるからリッチ化期間を短縮できる。
【0075】また、上記では、空燃比切り換えを開始さ
せる前の所定期間において空燃比をリッチ化させる処理
において、急加速時であるときにのみ全気筒をリッチ化
させ、急加速時以外では1気筒のみをリッチ化させるこ
とになるが、急加速時以外であっても全気筒をリッチ化
させる構成としても良い。また、加速を急加速,緩加速
に判別し、例えば加速時以外は1気筒のみ、緩加速時に
は2気筒を、急加速時には全気筒をリッチ化させる構成
としても良い。更に、2気筒或いは3気筒をリッチ化さ
せるときには、リッチ化させる気筒群を順次変化させる
構成としても良い。
【0076】尚、上記実施例では、ゼオライトを主成分
とするリーンNOx触媒19を排気通路に備えた機関1に
ついて述べたが、HCの吸着能力を有し、HC存在下で
NOxを還元する触媒であれば、上記のように空燃比の
切り換え直前に触媒上流側のHC量を増やすことで、切
り換えが開始される前に触媒に対してNOx処理に充分
な量のHCを吸着させることができ、以て、切り換え途
中でのNOx処理能力を高めることができるから、前記
リーンNOx触媒に限らず三元触媒であっても良い。
【0077】また、上記実施例では、空燃比をリッチ化
させることによる発生トルクの増大を点火時期の遅角設
定によって相殺させるようにしたが、特に全気筒をリッ
チ化させる構成では、排気還流量の制御によってリッチ
化に伴う発生トルクの増大を抑制する構成とすることも
できる。更に、点火時期と排気還流量との組み合わせに
よって発生トルクの増大を抑制する構成としても良い。
【0078】また、前記リーンNOx触媒のHC吸着能
力は、HC濃度やガス流量の他、排気温度(触媒温度)
によっても変化するから、排気温度センサ22で検出され
る排気温度に応じてリッチ化期間TRを変化させる構成
としても良い。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
HCの吸着能力を有しHC存在下でNOxを還元する触
媒によって排気中のNOxを処理する排気浄化装置にお
いて、理論空燃比付近の出力空燃比域と、理論空燃比よ
りも大きなリーン空燃比域と間で目標空燃比が徐々に切
り換えられるときに、前記切り換えを開始する直前の所
定期間において触媒上流側のHC量を増大させて、前記
触媒に対して充分なHCを吸着させるから、切り換え途
中のNOx処理能力を高めることができるという効果が
ある。
【0080】また、触媒上流側のHC量を増大させる手
段として、機関吸入混合気の空燃比をリッチ化させる構
成としたことから、不完全燃焼を大幅に増大させること
なく、また、燃費の大幅な悪化をもたらすことなく、然
も、応答良くHC量の増大が図れる一方、前記リッチ化
によって出力が変動することがなく運転性を良好に保つ
ことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック図。
【図2】本発明の基本構成を示すブロック図。
【図3】実施例のシステム構成を示す概略図。
【図4】空燃比に対するNOx,HCの排出量変化の様
子を示す線図。
【図5】空燃比切り換え制御を示すフローチャート。
【図6】空燃比切り換え時のHC増大制御を示すフロー
チャート。
【図7】空燃比切り換え時のHC増大制御を示すフロー
チャート。
【図8】HC増大制御(リッチ化)期間のマップを示す
図。
【図9】実施例における空燃比変化の様子を示すタイム
チャート。
【図10】実施例における空燃比・点火時期マップを示す
図。
【図11】空燃比・点火時期と発生トルクとの関係を示す
線図。
【図12】リッチ化気筒を変化させる実施例を示すフロー
チャート。
【図13】全気筒をリッチ化させる実施例を示すフローチ
ャート。
【符号の説明】
1 内燃機関 6 エアフローメータ 12 インジェクタ 16 クランク角センサ19 リーンNOx触媒 23 コントロールユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 21/08 301 F02D 21/08 301C 41/14 310 41/14 310A 41/36 41/36 B 43/00 301 43/00 301B 301H 301N 45/00 301 45/00 301G F02P 5/15 F02P 5/15 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/04 330 F01N 3/24 ZAB F02D 41/14 310 F02D 41/36 F02D 43/00 301

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関吸入混合気の目標空燃比を機関運転条
    件に応じて理論空燃比付近の出力空燃比域と理論空燃比
    よりも大きなリーン空燃比域とに切り換える手段であっ
    て、前記出力空燃比域とリーン空燃比域との間で空燃比
    を徐々に変化させる空燃比切り換え手段を有してなる内
    燃機関の排気浄化装置であって、 排気通路に介装されHCの吸着能力を有しHC存在下で
    NOxを還元する排気浄化触媒と、 該排気浄化触媒の上流側の排気中HC濃度を増大せしめ
    るHC濃度増大手段と、 前記空燃比切り換え手段により前記出力空燃比域と前記
    リーン空燃比域との間での空燃比の切り換えが開始され
    直前の所定期間において、前記HC濃度増大手段によ
    り排気中のHC濃度を増大させるHC濃度制御手段と、 を含んで構成されたことを特徴とする内燃機関の排気浄
    化装置。
  2. 【請求項2】前記HC濃度制御手段が、前記HC濃度増
    大手段によるHC濃度の増大を、機関の低回転・低負荷
    時ほどより長い期間行なわせることを特徴とする請求項
    1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 【請求項3】前記HC濃度増大手段が、機関吸入混合気
    の空燃比を強制的に目標空燃比よりもリッチ化させるこ
    とで、前記排気浄化触媒の上流側の排気中HC濃度を増
    大せしめる構成であって、 前記HC濃度増大手段により空燃比がリッチ化されると
    きに、該リッチ化に伴う発生トルクの増大を抑制する方
    向に、発生トルクに関与する空燃比以外の制御対象を制
    御する発生トルク制御手段を設けたことを特徴とする請
    求項1又は2記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 【請求項4】内燃機関が各気筒別に燃料を噴射供給する
    燃料噴射手段を備えて構成され、前記HC濃度増大手段
    が、特定気筒に噴射供給される燃料量を強制的に増大補
    正することで前記特定気筒の空燃比のみをリッチ化さ
    せ、前記発生トルク制御手段が、前記特定気筒での発生
    トルクを他気筒の発生トルクに一致させるべく、前記特
    定気筒に対してのみ発生トルクを抑制する制御を行なう
    ことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の排気浄化装
    置。
  5. 【請求項5】前記HC濃度増大手段が全気筒の空燃比を
    強制的にリッチ化させ、前記発生トルク制御手段が前記
    目標空燃比相当の発生トルクに一致させるべく全気筒に
    対して発生トルクを抑制する制御を行なうことを特徴と
    する請求項3記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 【請求項6】前記発生トルク制御手段が、点火時期と排
    気還流量との少なくと一方を制御することによって発
    生トルクの増大を抑制することを特徴とする請求項3,
    4又は5のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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