JP3090857B2 - 段付き工作物外周加工機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、同期回転する主軸セン
タ、心押しセンタの間の工作物に推力をかけてクランプ
して回転駆動する段付き軸の外周加工機に関する。

【０００２】

【従来の技術】工作物の両センタ穴に主軸センタ及び心
押軸センタをあてがい工作物を位置決めし、更に対向さ
せて停止させた主軸センタ及び心押軸センタで工作物を
支持して研削する時、工作物を回転駆動するには主軸セ
ンタの外側に開閉可能なチャックをもうけて、このチャ
ックを介して主軸の回転を工作物に伝えて研削砥石車を
用いて工作物を研削する円筒削盤が一般に知られてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来一般の円筒研
削盤では、専用の砥石車、チャック等の治具が必要で、
また生産品番のかわる場合、前記砥石車等を交換しなけ
ればならず時間的にロスがあり、小ロット生産への対応
が困難である。

【０００４】更に、工作物を回転駆動するためにはチャ
ックの掴み代が必要であるので両端までの加工を必要と
する工作物では最小でも２工程の加工が必要となり、面
倒がある。

【０００５】また、心押軸センタの軸方向のクランプ力
を大きくするとセンタが焼付く。更に小さなクランプ力
では工作物の位置決めができず切込み速度が遅くなり、
更に、工作物の回転数を余り大きくすると、センタ穴が
焼付く。この制約のため研削条件選択の範囲が狭くなる
等の不都合がある。

【０００６】更にトラバース研磨方式ではトラバース前
進側の砥石車エッジには直接研削しろの分だけ負荷が加
わる。工作物１回転ごとの実研削しろは砥石幅方向に一
定ではない。工作物１回転ごとの切り残し量との関連で
砥石摩耗が進行し、母線形状が崩れていく、所要精度を
維持出来なくなれば、砥石を再修正しなければならな
い、即ち不均一な砥石減耗と、頻繁に砥石修正をしなけ
ればならない等の欠点がある。

【０００７】本発明は前記課題に対処する段付き工作物
外周加工機を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する段付
き工作物外周加工機の第１の手段は、主軸のセンタと心
押し軸のセンタの間の工作物に推力を与えてクランプ
し、該主軸及び心押し軸を同期回転駆動する手段を備
え、しかも前記心押し軸を、回転および直動両者の案内
軸受としての静圧ラジアル軸受により非接触支持し、心
押し軸の奥側には、シール隙間をもって油圧シリンダ内
に設けられ、工作物クランプ時にはクランプ圧力により
工作物を前記主軸側に押付けるピストンとして作用し、
工作物アンクランプ時には静圧スラスト軸受に接するス
ラストプレートを設けたもので、第２の手段は、揺動中
心が砥石幅中心の延長線上に設けられた揺動テーブルを
左右両方向に一定角度揺動することにより、それぞれ一
定角度のテーパを有する２円錐面からなる砥石車を左右
に揺動して、工作物を左方向あるいは右方向にトラバー
ス研削するとき、前進方向の砥石車円錐面が研削作用に
携わることを特徴としたものである。

【０００９】

【作用】加工機ベッド１の前面側の一端側に設けた静圧
軸受１６された主軸１５を有した主軸ヘッド２と、これ
に対応させて、静圧ラジアル軸受２０により非接触支持
された心押し軸１９を有した心押軸ヘッド３を設け、一
方の心押軸ヘッド３は軸線方向のテーブル案内盤５に摺
嵌したスライドテーブル４上に設けて、前記両軸１５，
１９の先端に設けたセンタ１５ｂ及び１９ｂを、工作物
Ｗの両センタ穴にあてがい、非接触支持された心押し軸
１９を軸方向の左方向に押込むと、心押し軸１９のクラ
ンプ力によって工作物Ｗはクランプ保持され、この工作
物Ｗは２つのサーボモータで同期回転駆動され、クラン
プされた状態のまま同期回転する。

【００１０】また同期回転する工作物Ｗは、テーブル案
内盤５と平行なテーブル案内盤７と、これに摺嵌されて
Ｘ方向にトラバースするクロスフィードテーブル６上
の、前記テーブル案内盤７と直交するＹ方向のテーブル
案内盤８に摺嵌されＹ方向にインフィードする砥石台テ
ーブル１３上の砥石車ヘッド９で軸受された研削砥石車
１０で、クロスフィードテーブル６と、インフィードす
る砥石台テーブル１３及びスライドテーブル４の位置を
ＮＣプログラムによって位置制御して工作物Ｗの外周形
状に研削砥石車１０を移動させ加工を行うものである。

【００１１】

【実施例】図は、本発明に係る段付きシャフト外周加工
機の一実施例を示したもので、以下図に基いて説明す
る。

【００１２】１はベッドで、このベッド１の前面側の一
端側には主軸ヘッド２、他端には、主軸ヘッド２と対応
させて、心押し軸ヘッド３を設け、この心押し軸ヘッド
はスライドテーブル４上に設ける。このスライドテーブ
ル４は軸線方向のテーブル案内盤５に摺嵌して可動でき
るようにしてある。更に、ベッド１の後部側には、前記
テーブル案内盤５と平行にＸ方向の左右に移動するクロ
スフィードテーブル６を摺嵌して案内するテーブル案内
盤７を横設し、クロスフィードテーブル６をＸ方向にト
ラバースするようにしてある。

【００１３】更に、前記クロスフィードテーブル６上に
は、前記テーブル案内盤７と直交するＹ方向のテーブル
案内盤８を設け、このテーブル案内盤８には、砥石台テ
ーブル１３をＹ方向に移動できるように摺嵌する。砥石
台テーブル１３には、前端側に砥石車ヘッド９を取付
け、後部側には、一端に研削砥石車１０を設けて前記砥
石車ヘッド９に軸受された回転軸１１を駆動するモータ
１２を取付けてある。

【００１４】更に、前記回転軸１１は、研削砥石車１０
の反対端にプーリ１１ａを取付けて、前記モータ１２と
ベルト１４により連絡させ、モータ１２の駆動で研削砥
石車１０に回転を伝えるようにしてある。

【００１５】前記ベッド１上に設けた主軸ヘッド２に
は、図１に示すように主軸１５を有し、この主軸１５
は、静圧ラジアル軸受１６と、スラストプレート１５ａ
に対向する静圧スラスト軸受１６ａを有して位置決めさ
れ、この主軸１５の一端はカップリング１７を介してサ
ーボモータ１８に連絡されている。また、前記心押し軸
ヘッド３の心押し軸１９は、ラジアル方向の静圧ラジア
ル軸受２０により非接触支持され、また心押し軸１９に
はスラストプレート１９ａを設けてある。

【００１６】このスラストプレート１９ａの左側は静圧
スラスト軸受２１に対向し、右側は油圧シリンダ室２２
のピストン受面圧となっている。

【００１７】前記油圧シリンダ室２２の圧油は、左側方
向へはスラストプレート１９ａ外径部の隙間ｎ、右側へ
は軸外径部の隙間ｍでシールされてクランプ圧力が油圧
シリンダ室２２内にこもっている。

【００１８】またシリンダ室２２内の油はシール隙間ｎ
又はｍを通って僅かに外部に流出している。前記心押し
ヘッド２のスライドテーブル４の左方向の移動端はセン
タ１９ｂが工作物Ｗの右端にくるように設定する。

【００１９】工作物Ｗを主軸１５のセンタ１５ｂと心押
し軸１９のセンタ１９ｂ間においてから、スライドテー
ブル４を左端まで移動させると、心押し軸１９は心押軸
ヘッド３内で右側に移動し、スラストプレート１９ａは
スラスト軸受２１から離れ、心押し軸１９がシリンダ室
２２の圧力で工作物Ｗを主軸側に推力を与えて押し付け
ることになる。

【００２０】更に、心押し軸１９のセンタ側の反対端は
カップリング１７ａを介してサーボモータ１８ａに連絡
されて、回転を前記主軸１５側のサーボモータ１８に同
期させている。

【００２１】カップリング１７ａは、心押し軸１９とサ
ーボモータ１８ａの間の軸方向の位置のずれを吸収でき
る構造になっている。工作物Ｗのないときは、心押し軸
１９はスラスト軸受２１により位置決めされる。

【００２２】次に前記心押軸ヘッド３を設けたスライド
テーブル４、クロスフィードテーーブル６及び砥石台テ
ーブル１３等スライドテーブルの位置決め機構について
説明する。この各スライドテーブルは同じ機構で位置決
めされるため図４では、これをスライドテーブル４につ
いて説明する。

【００２３】心押軸ヘッド３のスライドテーブル４には
リニアスケール２３を取付け、更に、このリニアスケー
ル２３と対応して読取る検出器２４を前記ベッド１に設
け、検出器２４による読取り信号で、ＮＣ（数値制御装
置）２５の位置指令値と現在のテーブル位置との差（誤
差信号）を検出してＰＩコントローラ２６（サーボアン
プ）に出力する。ベッド１に設けた油圧シリンダ２７内
は差圧制御形サーボ弁２９を介して油圧源３０に連絡さ
せて、前記誤差に比例した、或いは誤差を積分した値に
比例した推力が発生し、スライドテーブル４に連結した
ピストン３１でスライドテーブル４を移動する。この時
のスライドテーブル４の位置をリニアスケール２３で検
出しているから、誤差が零となる位置でスライドテーブ
ル４は静止する。

【００２４】次に前記した工作物Ｗを支持する主軸ヘッ
ド２と心押軸ヘッド３の主軸１５及び心押し軸１９に設
けた両センタ１５ｂ，１９ｂ間でクランプ完了して保持
された工作物Ｗをサーボモータ１８、１８ａにより両セ
ンタで同期回転駆動し、更に、この工作物Ｗは、ＮＣ
（数値制御）プログラムにより、これを研削する研削砥
石車１０はＸ，Ｙ方向のテーブル案内盤８、クロスフィ
ードテーブル６が制御され、Ｘ方向にトラバースしなが
ら工作物Ｗの外周を研削する（図６参照）。

【００２５】また、図７は研削砥石車１０が摩耗した時
外周面を修正するようにしたもので、主軸１５の先端の
センタ１５ｂに設けた取付け面に修正砥石車３１をボル
ト３２によって取付け、この修正砥石車３１を取付けた
主軸１５はプリセットされた回転数で回転し、回転軸１
１に取付けた研削砥石車１０は数値制御プログラムによ
ってＸ，Ｙ位置が制御され、砥石台テーブル１３とクロ
スフィードテーブル６による切込み、トラバースによる
修正サイクルで修正する。

【００２６】また、主軸１５及び心押し軸１９は夫々先
端にセンタ１５ｂ，１９ｂのインロー部を嵌合し、これ
をボルト３３により取付けるが、この取付けた時のセン
タ１５ｂ，１９ｂの外周と軸の中心線とは、製作及び取
付け等で誤差が生じ、この誤差によって偏心している。
従って偏心をセルフ研削して振れを修正する。

【００２７】そのため、研削砥石車１０の回転軸１１に
センタ修正用砥石車３４を取付け、心押し軸１９を前進
された状態で主軸センタ１５ｂ、心押軸センタ１９ｂを
回転起動してセンタ修正用砥石車３４に切込みをかけ、
両センタ１５ｂ，１９ｂの円錐面を研削加工する（図８
参照）。

【００２８】次に前記テーブル案内盤５，７，８の構造
を説明する。この構造は、ベッド１に取付ける基準ガイ
ド３５とテーブルに取付ける固定ガイド３６と、調整ガ
イド３７に３分割にして、テーブルに取付け一体にした
固定部材３８に螺合して調整する調整ねじ杆３９によっ
て調整ガイド３７を基準ガイド３５に締込んだ後固定ボ
ルト４０によってテーブルと一体にして使用する。即ち
製作を容易にすると共に、基準ガイド３５との隙間調節
を容易にするようにしてある（図１０を参照）。

【００２９】次に前記段付きシャフト外周加工機の他の
実施例を図１１乃至図１３に基いて説明する。この実施
例は、第一実施例と異なる点は砥石台テーブル１３上
に、揺動できるようにした揺動テーブル４１を設けたこ
とである。

【００３０】即ち、ベッド１の前面側には、第一実施例
と同じように一端側には主軸ヘッド２、他端側には対応
させた心押軸ヘッド３を配し、この心押ヘッド３は、ベ
ッド１上に横設したテーブル案内盤５に摺嵌したスライ
ドテーブル４上に設けてある。

【００３１】更に、ベッド１の後部側には、前記テーブ
ル案内盤５と平行に、クロスフィードテーブル６をＸ方
向の左右に案内するテーブル案内盤７を横設し、このテ
ーブル案内盤７によって可動する前記クロスフィードテ
ーブル６上には、テーブル案内盤７と直交するテーブル
案内盤８を設け、かつ、このテーブル案内盤８に前記第
１実施例と同じ砥石台テーブル１３を摺嵌してＹ方向に
移動可能にして設けてある。更に、砥石台テーブル１３
上には、研削砥石車１０の回転軸１１を軸受した砥石車
ヘッド９を前端側に、後部側には、前記回転軸１１をベ
ルト１４を介して駆動するモータ１２を設けた揺動テー
ブル４１が載せられている。この揺動テーブル４１は、
揺動の中心を研削幅の中心の延長線上で、前記砥石台テ
ーブル１３に軸４２によって軸支して揺動可能となって
いる。また揺動テーブル４１は、前記軸４２を中心にし
て揺動テーブル４１を左右方向に一定揺動角度となる位
置に、研削砥石車１０を停止させるストッパ４３，４３
ａを設けてある。この時の研削砥石車１０は、傾斜角度
だけ砥石両端面にそいだ形の２円錐面とし、図１３に示
すように工作物Ｗに対して研削砥石が右行、左行すると
き、夫々反時計方向、時計方向にさせた状態でトラバー
ス研削する。この砥石車１０で研削することで従来のよ
うな砥石車１０の修正することなく形状の変化を生じな
い。

【００３２】

【発明の効果】本発明は上述のように、主軸、心押し軸
の両センタを高速制御サーボモータを用いて同期回転駆
動し、心押軸センタは左右可動位置調整ができ、かつ軸
方向にクランプ力を与える構造となっていると共に、工
作物はクランプされた状態で同期回転するため、回転駆
動するためのチャック等の治具を必要とせず一工程で作
業ができ面倒がなく、時間的ロスもない。またセンタ間
にスベリがないので、大きな力でクランプしてもセンタ
穴が焼付くことがない。更に研削により工作物に負荷ト
ルクがかかったとき、センタ穴部の摩擦力で、工作物は
両センタの回転数に保持され、工作物のみが加速回転す
ることはない。更に、大きな力でクランプしているから
摩擦力を十分大きくすることができる。

【００３３】また、砥石幅中心の延長線上に揺動中心を
配置した揺動テーブルを砥石台テーブルに設けると共
に、研削時の不均一な砥石の摩耗を避けるため、研削代
だけテーパをつけたテーパ砥石車を用いて減耗を一定と
なるようにし、砥石車の母線は直線で研削を継続しても
変化がなく、砥石車は互いに逆方向になった２つの円錐
面に成形したことで、テーパ角度だけ交互に傾けてトラ
バース研削するので砥石車を修正することなく形状の変
化が生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る段付き工作物外周加工機の一部を
段面した正面図である。

【図２】平面図である。

【図３】図１の心押軸側の一部拡大断面図である。

【図４】スライドテーブル（クロスフィードテーブル、
ホイールテーブル）位置決め機構の説明図である。

【図５】圧力制御形サーボ弁の原理図である。

【図６】工作物研削サイクルの説明図である。

【図７】研削砥石車修正サイクルの説明図である。

【図８】両センタの修正説明図である。

【図９】スライドテーブルと案内盤の平面図である。

【図１０】図９のＸ−Ｘ線の縦断面図である。

【図１１】段付き工作物外周加工機の他の実施例の平面
図である。

【図１２】研削砥石車の傾きを示した図１１の一部の拡
大図である。

【図１３】図１１の研削砥石車の工作物研削時を示した
一部の拡大図である。

【符号の説明】

１ ベッド ２ 主軸ヘッド ３ 心押軸ヘッド ４ スライドテーブル ５，７，８ テーブル案内盤 ６ クロスフィードテーブル ９ 砥石車ヘッド １０ 研削砥石車 １１ 回転軸 １１ａ プーリ １２ モータ １５ｂ，１９ｂ センタ １３ 砥石台テーブル １４ ベルト １５ 主軸 １５ａ，１９ａ スラストプレート １６ 軸受 １６ａ，２１ 静圧スラスト軸受 １７ カップリング １８ サーボモータ １９ 心押し軸 ２０ 静圧ラジアル軸受 ２２，２７ 油圧シリンダ室 ２３ リニアスケール ２４ 検出器 ２５ 数値制御装置 ２６ Ｐ１コントローラ ２９ 圧力制御形サーボ弁 ３０ 油圧源 ３１ 修正砥石車 ３２，３３ ボルト ３４ センタ修正用砥石車 ３５ 基準ガイド ３６ 固定ガイド ３７ 調整ガイド ３８ 固定部材 ３９ 調整ねじ杆 ４０ 固定ボルト ４１ 揺動テーブル ４２ 軸 ４３，４３ａ ストッパ

フロントページの続き (72)発明者 石井正▲き▼ 静岡県浜松市和合町220−172 (56)参考文献 特開 平２−124266（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−200601（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−241050（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−273318（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−88157（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−45394（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−306178（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−37449（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−143132（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B24B 5/04 B24B 41/06 B23B 23/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主軸のセンタと心押し軸のセンタの間の
   工作物に推力を与えてクランプし、該主軸及び心押し軸
   を同期回転駆動する手段を備え、しかも前記心押し軸
   を、回転および直動両者の案内軸受としての静圧ラジア
   ル軸受により非接触支持し、心押し軸の奥側には、シー
   ル隙間をもって油圧シリンダ内に設けられ、工作物クラ
   ンプ時にはクランプ圧力により工作物を前記主軸側に押
   付けるピストンとして作用するスラストプレートを設
   け、工作物がないときは、前記心押し軸は静圧スラスト
   軸受により位置決めされることを特徴とする段付き工作
   物外周加工機。
2. 【請求項２】 揺動中心が砥石幅中心の延長線上に設け
   られた揺動テーブルを左右両方向に一定角度揺動するこ
   とにより、それぞれ一定角度のテーパを有する２円錐面
   からなる砥石車を左右に揺動して、工作物を左方向ある
   いは右方向にトラバース研削するとき、前進方向の砥石
   車円錐面が研削作用に携わることを特徴とした請求項１
   記載の段付き工作物外周加工機。