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JP3050921B2 - ミネラル組成物 - Google Patents

ミネラル組成物

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JP3050921B2
JP3050921B2 JP10516387A JP51638798A JP3050921B2 JP 3050921 B2 JP3050921 B2 JP 3050921B2 JP 10516387 A JP10516387 A JP 10516387A JP 51638798 A JP51638798 A JP 51638798A JP 3050921 B2 JP3050921 B2 JP 3050921B2
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JP
Japan
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water
mineral
fatty acid
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composition according
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Expired - Lifetime
Application number
JP10516387A
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English (en)
Inventor
宏暢 南部
勝康 中田
騰 坂口
義文 山崎
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Taiyo Kagaku KK
Original Assignee
Taiyo Kagaku KK
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ミネラル組成物およびそれを含有してなる
食品に関する。さらに詳しくは、分散性、特に水相中で
の分散性に優れたミネラル組成物およびそれを含有して
なる食品に関する。
背景技術 一般に、水不溶性ミネラルは、通常1.5以上の高比重
を有するため、水中で沈殿しやすい。したがって、該水
不溶性ミネラルを水中で安定に分散させる際には、まず
該水不溶性ミネラルを微粒子化させる必要がある。
水不溶性ミネラルを微粒子化させる方法としては、一
般に、ボールミルやジェットミルを用いた物理的破砕方
法が知られている。しかしながら、この方法では、数ミ
クロンオーダーの粒子径を有する微粒子を得ることが限
界であるため、かかる微粒子を水中に安定して分散させ
ることができない。
前記微粒子よりもさらに微細なサブミクロンオーダー
の粒子径を有する微粒子を得る方法として、中和造塩反
応を利用した化学的製造方法が数多く報告されている。
この方法によれば、1/100ミクロンの粒子径を有する超
微粒子を生成することが可能である。しかしながら、得
られた超微粒子は、生成後、速やかに2次凝集し、ミク
ロンオーダーの粒子径を有する粗大粒子となるという問
題がある。
この問題を解決する方法として、結晶セルロースや増
粘多糖類を水中に添加することにより、該結晶セルロー
スや増粘多糖類の三次元網目構造中に、1次微粒子を吸
着保持させる方法(特開昭56−117753号公報、特公昭57
−35945号公報)、油脂中に水不溶性ミネラルを添加
し、分散させる際に、得られる混合物中に油脂が30重量
%以上含有されるように調整することにより、比重を軽
減する方法(特開昭57−110167号公報)などが提案され
ている。しかしながら、これらの方法は、いずれも、目
的とする水不溶性ミネラル以外の物質を多量に添加する
必要があるため、分散溶質が希釈されるとともに、水不
溶性ミネラルの分散性に著しく劣るという欠点がある。
この欠点を解決する方法として、水不溶性ミネラルの
微粒子表面を有機酸やアルカリ剤で処理する方法(特開
昭61−15645号公報)、ショ糖エステルなどの界面活性
剤を水不溶性ミネラルの微粒子表面に吸着させる方法
(特開昭63−173556号公報、特開平5−319817号公報)
などが開発されている。しかしながら、前者には、水不
溶性ミネラルを構成する金属イオンが水相に遊離しやす
いという欠点がある。また、後者には、殺菌のための加
熱により、水不溶性ミネラルの微粒子表面に吸着した界
面活性剤層が剥離したり、該微粒子の2次凝集が生じる
という欠点がある。
ところで、栄養素としてのミネラルは、一般に、体内
への吸収性の低いものが多い。また、体内への吸収性が
良好なミネラルは、着色、臭いや味を有していたり、食
品中の他の成分と反応しやすいことのほか、消化管粘膜
に対する刺激性が高いなどの種々の欠点を有する。例え
ば、鉄の補給剤として、特開昭63−276460号公報、特開
平3−10659号公報、特開平5−49447号公報および特開
昭7−170953号公報には、天然由来の鉄素材であるヘム
鉄、フェリチンまたはラクトフェリンが開示されてい
る。しかしながら、これらの鉄素材は、着色や特有の風
味を有するため、食品への利用が限定され、また特定の
臓器から抽出されるものであるため、その抽出に煩雑な
工程を必要とするので大量に製造することができないと
いう問題がある。
本発明の目的は、水不溶性ミネラルに結晶セルロース
や油脂などを多量に必要とせず、加熱安定性が高く、分
散性に優れたミネラル組成物およびそれを含有してなる
食品を提供することである。
また、本発明のもう1つの目的は、体内への吸収性が
高く、着色、臭い、味などがほとんどなく、食品中の他
の成分との反応性が低く、消化管粘膜に対する刺激性が
小さいミネラル組成物およびそれを含有してなる食品を
提供することである。
本発明のこれらの目的および他の目的は、以下の記載
から明らかになるであろう。
発明の開示 本発明によれば、酵素分解レシチンおよび水不溶性ミ
ネラル(但し、カルシウムを除く)を含有してなる食
品、医薬品、飼料又は化粧品用ミネラル含有組成物なら
びに前記ミネラル含有組成物を添加してなる食品が提供
される。
図面の簡単な説明 図1は、実施例1で得られた生成物I、比較例1で得
られた対照品Aおよび比較例2で得られた対照品Bの粒
径分布を示すグラフである。
図2は、実施例4〜6および比較例4〜5で得られた
ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液を用いて得られた鉄剤を
投与したのち、血清中の血清鉄濃度の経時的変化を示す
グラフである。
図3は、実施例6で得られた組成物Vおよび比較例4
で得られた対照品Dの粒径分布を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態 本発明のミネラル組成物は、酵素分解レシチンおよび
水不溶性ミネラルを含有したものである。
本発明のミネラル組成物には、酵素分解レシチンが含
有されているので、水不溶性ミネラルの分散性に優れた
ものである。
本発明に用いられる酵素分解レシチンとしては、植物
レシチンまたは卵黄レシチンをホスホリパーゼAによっ
て脂肪酸エステル部分を限定的に加水分解することで得
られるリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジル
エタノールアミン、リゾホスファチジルイノシートルお
よびリゾホスファチジルセリンを主成分とするモノアシ
ルグリセロリン脂質、ならびにホスホリパーゼDを用い
て生成されるホスファチジン酸、リゾホスファチジン
酸、ホスファチジルグリセロールおよびリゾホスファチ
ジルグリセロールからなる群より選ばれた少なくとも1
種を好適に使用しうる。それらの中では、リゾホスファ
チジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミンお
よびリゾホスファチジルセリンが好ましく、リゾホスフ
ァチジルコリンがより好ましい。酵素分解に用いるホス
ホリパーゼは、豚膵臓などの動物起源、キャベツなどの
植物起源、カビ類などの微生物起源などの由来を問わ
ず、ホスホリパーゼAおよび/またはD活性を有するも
のであればよい。
前記酵素分解レシチンは、いずれも界面活性を有し、
その親水基部分に等しくリン酸基を有しており、ショ糖
脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルなどの非イ
オン性界面活性剤と比較して、水不溶性ミネラル表面の
吸着被覆力が著しく強い性質を有している。そのため、
水不溶性ミネラルの微粒子表面に熱的に安定な酵素分解
レシチンの吸着界面層が形成され、加熱処理を施した際
にも剥離することがなく、効果的に2次凝集が抑制さ
れ、その結果、良好なな水不溶性ミネラルの分散性が得
られる。
なお、酵素分解レシチンを単独で使用しても充分な水
不溶性ミネラルの分散性が得られる。しかしながら、前
記酵素分解レシチンと、オレイン酸ナトリウムなどの金
属石鹸、ノニルフェニルエーテルなどのアルキルエーテ
ル系界面活性剤、Tweenなどのポリオキシエチレン付加
型界面活性剤、非イオン界面活性剤、キラヤやユッカフ
ォーム起源のサポニン系化合物などの他の界面活性剤な
どの成分とを併用した場合には、より優れた分散性が発
現される。それらのなかでは、本発明においては、非イ
オン界面活性剤は、ミネラル組成物の体内吸収性を高め
るので、好適に使用しうるものである。前記非イオン界
面活性剤は、通常、本発明のミネラル組成物中に、0〜
20重量%の範囲内で含まれるように使用されることが好
ましい。
前記非イオン界面活性剤としては、特に限定がない。
該非イオン界面活性剤は、水中で解離しない水酸基やエ
ーテル結合を親水基として有することが好ましい。かか
る非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール
脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステルなどがあ
げられる。それらのなかでは、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルが好ましく、重合度が3以上のポリグリセリンを
70重量%以上含むポリグリセリンからなるポリグリセリ
ン脂肪酸エステルがより好ましく、重合度3〜11のポリ
グリセリンを70重量%以上含むポリグリセリンからなる
ポリグリセリン脂肪酸エステルが特に好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリ
ンと脂肪酸とのエステルをいい、そのエステル化率には
特に限定がない。脂肪酸の種類には、特に限定がない。
本発明においては、該脂肪酸は、炭素数が6〜22、好ま
しくは8〜18、さらに好ましくは12〜14である飽和また
は不飽和の直鎖または分子鎖中に水酸基を有することが
好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの製法について
は、特に限定がなく、脂肪酸と、ポリグリセリンとを酸
もしくはアルカリ触媒の存在下または触媒の非存在下
で、水を除去しながら、200℃以上まで加熱することに
よってエステル化する方法、脂肪酸の代わりにそれに対
応する酸塩化物または酸無水物を使用し、ピリジンなど
の適当な有機溶剤中で、該酸塩化物または酸無水物とポ
リグリセリンとを反応させる方法、ポリグリセリンにあ
らかじめアセタール化などの化学的処理を施し、エステ
ル化後に、得られたアセタールを除去することにより、
副生成物の発生を抑制する方法、必要最小限の水を含有
した非水反応系(有機溶剤系)で酵素を用い、ポリグリ
セリンを選択的にエステル化させる方法などがあげら
れ、それらの中から適宜選択して使用することができ
る。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルに含まれる他の成
分は、適宜分離、除去すればよい。かかる成分は、例え
ば、減圧下での蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留などの蒸留
方法、適当な有機溶剤による抽出法、吸着剤やゲル濾過
剤を充填したカラムクロマトグラフィ法などによって除
去することができる。また、これらの方法の中では、実
用的な観点から、有機溶剤による抽出法およびクロマト
グラフィ法を好適に使用することができる。前記有機溶
剤による抽出法によれば、反応後、水を反応溶液に添加
して有機溶剤で抽出したのち、該有機溶剤を除去するこ
とにより、容易に目的の成分を得ることができる。前記
有機溶剤としては、水に不溶のものであればよい。かか
る有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチ
ル、石油エーテル、ヘキサン、ジエチルエーテル、ベン
ゼン、グリセリントリカプリレートなどの低分子量の油
脂類などがあげられる。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグ
リセリンの組成には、特に限定がない。本発明において
は、前記ポリグリセリンには、重合度が3以上であるポ
リグリセリンが70重量%以上含まれていることが好まし
く、重合度が3〜10であるポリグリセリンが70重量%以
上含まれていることがより好ましい。また、エステル化
率は、特に限定がないが、10〜80%、好ましくは10〜60
%、さらに好ましくは10〜30%であることが望ましい。
また、本発明においては、グリセリンの重合度が2以
上、好ましくは3〜10、さらに好ましくは3〜5である
ポリグリセリンの含有量が70重量%以上であるポリグリ
セリンを構成成分とするポリグリセリン脂肪酸エステル
は、酵素分解レシチンと併用した場合には、水不溶性ミ
ネラルの分散性が極めて良好となる。この場合、前記ポ
リグリセリン脂肪酸エステルの構成成分として用いられ
る脂肪酸の炭素数は、6〜22、好ましくは8〜18、さら
に好ましくは12〜14であることが望ましい。
前記ショ糖脂肪酸エステルとしては、該ショ糖脂肪酸
エステルの構成成分である脂肪酸が炭素数12〜22の飽和
脂肪酸または不飽和脂肪酸であり、かつ平均置換度が1
〜2.5であるショ糖脂肪酸エステルを好適に使用するこ
とができる。ここで、平均置換度とは、ショ糖1分子に
エステル化された脂肪酸の平均結合数をいう。
前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリン
と脂肪酸とのエステルまたはグリセリンと油脂とのエス
テル交換によって得られたモノグリセリド、ジグリセリ
ドおよびトリグリセリドの混合物などがあげられる。前
記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド
の混合物は、用途に応じて、分子蒸留法やカラム法によ
る分離精製処理を施すことにより、モノグリセリドの含
量を高められていてもよい。
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピ
レングリコールと脂肪酸とのエステル化反応またはプロ
ピレングリコールと油脂とのエステル交換反応によって
得られたモノエステルおよびジエステルからなるもので
ある。
前記ソルビタン脂肪酸エステルは、甘味料であるソル
ビトールの脱水物であるソルビタンと脂肪酸とのエステ
ルである。
前記グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコー
ル脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルとし
ては、特に限定なく、市販のものを適宜選択して使用す
ることができる。
なお、結晶セルロースやキサンタンガムなどの増粘多
糖類、ポリビニルアルコールや、酢酸ビニルとポリビニ
ルアルコールとの共重合体などの親水性高分子化合物を
用することでも水不溶性ミネラルの分散性を向上させる
ことができる。しかしながら、酵素分解レシチンが用い
られていなければ、水不溶性ミネラルの2次凝集を抑制
することによって分散性を充分に向上させることができ
ない。
本発明に用いられる水不溶性ミネラルには、特に限定
がない。かかる水不溶性ミネラルとしては、例えば、
鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅などがあげら
れる。これらの中では、鉄、カルシウムおよびマグネシ
ウムが好ましく、鉄がより好ましい。
前記水不溶性ミネラルの形態としては、無機塩、有機
塩などが一般にあげられる。
前記無機塩としては、例えば、鉄塩、カルシウム塩、
マグネシウム塩、亜鉛塩、銅塩、セレン塩などがあげら
れる。これらの無機塩は、それぞれ単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
前記鉄塩としては、例えば、塩化鉄、水酸化鉄、三二
酸化鉄、炭酸鉄、乳酸鉄、ピロリン酸第二鉄、リン酸第
一鉄、硫酸鉄、オロチン酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄
塩、グルコン酸鉄、トレオニン鉄、フマル酸鉄などがあ
げられる。それらのなかでは、ピロリン酸第二鉄、リン
酸第一鉄およびクエン酸鉄塩は、本発明において好適に
使用しうるものである。
前記カルシウム塩としては、例えば、塩化カルシウ
ム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシ
ウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシ
ウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸
カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カ
ルシウム、ウニ殻カルシウム、貝殻カルシウム、カニ殻
カルシウム、牛骨カルシウム、魚骨カルシウム、サンゴ
カルシウム、乳清カルシウム、卵殻カルシウムなどがあ
げられる。それらのなかでは、炭酸カルシウム、ピロリ
ン酸カルシウム、リン酸カルシウム、牛骨カルシウム、
貝殻カルシウム、乳清カルシウムおよび卵殻カルシウム
は、本発明において好適に使用しうるものである。
前記マグネシウム塩としては、例えば、酢酸マグネシ
ウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、ピロリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウ
ムなどがあげられる。それらのなかでは、水酸化マグネ
シウムおよびピロリン酸マグネシウムは、本発明におい
て好適に使用しうるものである。
前記亜鉛塩としては、例えば、硫酸亜鉛、グルコン酸
亜鉛などがあげられる。それらのなかでは、硫酸亜鉛
は、本発明において好適に使用しうるものである。
前記銅塩としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸
銅、酢酸銅、硫酸銅、グルコン酸銅などがあげられる。
それらのなかでは、グルコン酸銅は、本発明において好
適に使用しうるものである。
前記セレン塩としては、例えば、亜セレン酸ナトリウ
ム、セレノメチオニン、セレノシステインなどがあげら
れる。それらのなかでは、セレノメチオニンは、本発明
において好適に使用しうるものである。
本発明に用いられる水不溶性ミネラルの水不溶性には
特に限定がないが、味、食品成分との反応性、消化管粘
膜刺激性などの観点から、25℃水中における溶解度積が
1.0×10-7以下の水不溶性ミネラル、なかでも25℃水中
における溶解度積が1.0×10-7以下の金属塩が好まし
い。該25℃水中における溶解度積が1.0×10-7以下の金
属塩は、例えば、コロイドとして用いることができる。
前記25℃水中における溶解度積が1.0×10-7以下の金
属塩の具体例としては、例えば、塩化銀(AgCl、25℃水
中の溶解度積:1.0×10-10)、ピロリン酸銀(Ag4P2O7
25℃水中の溶解度積:1.0×10-21)、水酸化アルミニウ
ム(Al(OH)、25℃水中の溶解度積:2.0×10-32)、
リン酸アルミニウム(AlPO4、25℃水中の溶解度積:5.8
×10-19)、硫酸バリウム(BaSO4、25℃水中の溶解度
積:1.0×10-10)、リン酸バリウム(Ba3(PO4、25
℃水中の溶解度積:6.0×10-39)、炭酸バリウム(BaC
O3、25℃水中の溶解度積:5.1×10-9)、ピロリン酸カル
シウム(Ca2P2O7、25℃水中の溶解度積:2.0×10-19)、
リン酸カルシウム(Ca3(PO4、25℃水中の溶解度
積:2.0×10-29)、炭酸カルシウム(CaCO3、25℃水中の
溶解度積:4.7×10-9)、水酸化第一鉄(Fe(OH)、25
℃水中の溶解度積:8.0×10-16)、リン酸第一鉄(Fe
3(PO4、25℃水中の溶解度積:1.3×10-22)、ピロ
リン酸第二鉄(Fe4(P2O7、25℃水中の溶解度積:2.
0×10-13)、炭酸第一鉄(FeCO3、25℃水中の溶解度積:
3.5×10-11)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)、25℃
水中の溶解度積:1.1×10-11)、ピロリン酸マグネシウ
ム(Mg2P2O7、25℃水中の溶解度積:2.5×10-13)、塩化
第一銅(CuCl、25℃水中の溶解度積:3.2×10-7)、炭酸
第二銅(CuCO3、25℃水中の溶解度積:2.5×10-10)、水
酸化マンガン(Mn(OH)、25℃水中の溶解度積:1.6×
10-13)、硫酸マンガン(MnSO4、25℃水中の溶解度積:
1.0×10-11)、水酸化ニッケル(Ni(OH)、25℃水中
の溶解度積:2.7×10-15)、リン酸ニッケル(Ni3(P
O4、25℃水中の溶解度積:4.5×10-10)、硫酸鉛(P
bSO4、25℃水中の溶解度積:1.7×10-8)、リン酸鉛(Pb
3(PO4、25℃水中の溶解度積:1.5×10-13)、水酸
化亜鉛(Zn(OH)、25℃水中の溶解度積:7.0×1
0-18)、ピロリン酸亜鉛(Zn2P2O7、25℃水中の溶解度
積:2.0×10-8)などがあげられる。それらの金属塩類の
なかでは、例えば、ピロリン酸カルシウム(Ca2P2O7、2
5℃水中の溶解度積:2.0×10-19)、リン酸カルシウム
(Ca3(PO4、25℃水中の溶解度積:2.0×10-29)、
炭酸カルシウム(CaCO3、25℃水中の溶解度積:4.7×10
-9)、リン酸第一鉄(Fe3(PO4、25℃水中の溶解度
積:1.3×10-22)、ピロリン酸第二鉄(Fe4(P2O7
25℃水中の溶解度積:2.0×10-13)、水酸化マグネシウ
ム(Mg(OH)、25℃水中の溶解度積:1.1×10-11)、
ピロリン酸マグネシウム(Mg2P2O7、25℃水中の溶解度
積:2.5×10-13)、塩化第一銅(CuCl2、25℃水中の溶解
度積:3.2×10-7)、硫酸マンガン(MnSO4、25℃水中の
溶解度積:1.0×10-11)などのリン酸塩、炭酸塩、鉄塩
およびカルシウム塩が好ましく、リン酸第一鉄、ピロリ
ン酸第二鉄、炭酸カルシウム、ピロリンカルシウムに代
表されるピロリン酸塩、リン酸カルシウム、水酸化マグ
ネシウムおよびピロリン酸マグネシウムがより好まし
く、ピロリン酸第二鉄および炭酸カルシウムがさらに好
ましい。
ここで、溶解度積は、塩類の飽和溶液中における陽イ
オンと陰イオンのモル濃度(モル/リットル)の積であ
り、一般的な溶解度との間には、下式の相関関係があ
る。
すなわち、金属塩類をMaΧ(aおよびbはそれぞれ
MおよびΧの原子数を示す)、溶解度をSとすると、溶
解度積(Ksp)は、式: Ksp=〔M〕〔Χ〕=(aS)×(bS)=aa×bb×S
(a+b) 〔式中、〔 〕内はイオン濃度(モル/リットル)〕 で表される。
炭酸カルシウム(CaCO3)を例にとると、CaCO3のKsp
は、4.7×10-9であり、これを該式に当てはめると、 〔Ca〕〔CO3=S2=4.7×10-9 となり、CaCO3の溶解度Sは、約6.9×10-5モル/リット
ル(6.9ppm)であり、CaCO3は水不溶性であることがわ
かる。
このことから、溶解度積が1.0×10-7よりも大きい塩
類の溶解度は、約3.2×10-3モル/リットルとなり、CaC
O3の溶解度と比較して100倍程度大きく、厳密な意味で
の水不溶性とはいえず、水相の若干のpH変化によって水
不溶性ミネラル表面に遊離が生じて不安定になりやす
く、酵素分解レシチンの吸着界面層の形成に障害を生じ
る。
これに対して、本発明においては、水不溶性ミネラル
が用いられており、該水不溶性ミネラルの2次凝集を効
果的に抑制することができるので、水不溶性ミネラルの
1次粒子の形態が保持され、安定な分散性が得られる。
前記水不溶性ミネラルの粒子径は、特に限定がない
が、0.4μm以下であることが分散性の観点から好まし
く、また粒子全体のうちの80体積%以上の粒子が粒子径
0.2μm以下を有することがより好ましい。かかる粒子
径を有する水不溶性ミネラルを得る方法としては、ホモ
ミキサー、ボールミル、ジェットミルなどを用いた物理
的破砕方法、中和造塩などがあげられるが、それらの方
法の中では、均一な粒子径を有する微粒子を得やすい観
点から、中和造塩法が好ましい。ここで中和造塩法と
は、酸とアルカリとを反応させ、塩を得る方法である。
かかる中和造塩法としては、例えば、ピロリン酸第二鉄
(Fe4(P2P2(O7)のように、塩化第二鉄(FeCl3
とピロリン酸四ナトリウム(Na4(P2O7)などの強酸と
強塩基性塩との中和反応を用いる方法、炭酸カルシウム
(CaCO3)などの炭酸(H2CO3)と水酸化カルシウム(Ca
(OH))などの弱酸と強塩基性塩との中和反応を用い
る方法などが知られている。かかる中和造塩法によれ
ば、粒子径が0.01〜0.1μmの超微粒子が得られる。
本発明のミネラル組成物には、必要により、例えば、
分散性または安定性を向上させるために、レシチンなど
のリン脂質、クエン酸モノグリセライド、コハク酸モノ
グリセライド、酢酸モノグリセライド、ジアセチル酒石
酸モノグリセライド、乳酸モノグリセライドなどの有機
酸モノグリセライドなどの添加剤を用いることができ
る。なお、前記レシチンとは、商品の一般名称であり、
リン脂質の総称である。
本発明のミネラル組成物の製造方法については、特に
限定がなく、例えば、水不溶性ミネラルとして金属塩水
溶液に酵素分解レシチンを溶解させる方法、酵素分解レ
シチンの水溶液に、水不溶性ミネラルとして金属塩を分
散させる方法などがあげられる。
本発明のミネラル組成物は、前記したように、酵素分
解レシチンおよび水不溶性ミネラルを含有したものであ
る。
本発明のミネラル組成物は、粉体状で使用することが
できるが、水を含有した水分散体で使用することもでき
る。
この場合、本発明のミネラル組成物における酵素分解
レシチンの含有量は、水不溶性ミネラルの分散性の観点
から、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であ
ることが望ましく、また食品に用いる際に、食品の風味
に悪影響を与えないようにするために、20重量%以下、
好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
また、前記水不溶性ミネラルのミネラル組成物におけ
る含有量は、経済性の観点から、1重量%以上、好まし
くは10重量%以上であることが望ましく、また添加時の
流動性および操作性の観点から、50重量%以下、好まし
くは30重量%以下であることが望ましい。
また、ミネラル組成物における水の含有量は、ミネラ
ル組成物の分散安定性の維持と作業性の観点から、40重
量%以上、好ましくは65重量%以上であることが望まし
く、また経済性の観点から、80重量%以下、好ましくは
75重量%以下であることが望ましい。
本発明のミネラル組成物に、前記他の成分を含有させ
る場合には、かかる他の成分のミネラル組成物における
含有量は、本発明の目的が阻害されない範囲内で、適宜
調整すればよい。本発明のミネラル組成物の用途には、
特に限定がない。かかる用途としては、例えば、食品、
医薬品、飼料、化粧品などがあげられる。
本発明のミネラル組成物を含有する食品としては、例
えば、パン、麺類などに代表される小麦粉加工食品、お
粥、炊き込み飯などの米加工品、ビスケット、ケーキ、
キャンディ、チョコレート、せんべい、あられ、錠菓、
和菓子などの菓子類、豆腐、その加工食品などの大豆加
工食品、清涼飲料、果汁飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭
酸飲料、アルコール飲料などの飲料類、ヨーグルト、チ
ーズ、バター、アイスクリーム、コーヒーホワイトナ
ー、ホイップクリーム、牛乳などの乳製品、醤油、味
噌、ドレッシング、ソース、たれ、マーガリン、マヨネ
ーズなどの調味料、ハム、ベーコン、ソーセージなどの
畜肉加工食品、蒲鉾、はんぺん、ちくわ、魚の缶詰など
の水産加工食品、濃厚流動食、半消化態栄養食、成分栄
養食などの経口経腸栄養食などがあげられる。なお、こ
れらの食品に、炭酸カルシウムやピロリン酸第二鉄組成
物などの水不溶性の塩に代表される水不溶性ミネラルを
含有した本発明のミネラル組成物を添加することで、不
足しがちなカルシウム、鉄分などの栄養補給、強化を行
なうことができる。特に、飲料を中心とする液体食品に
おいては、従来、水不溶性の塩の添加は、水不溶性ミネ
ラルが速やかに沈降することから、その応用範囲が非常
に狭かったが、本発明のミネラル組成物を用いた場合に
は、風味に優れ、化学的にも安定な状態でミネラルの強
化を図ることができる。例えば、食品分野においては炭
酸カルシウム組成物やピロリン酸第二鉄組成物を調製し
て牛乳、乳酸飲料、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料に添
加することにより、分散安定性に優れたカルシウム、鉄
分強化飲料などを製造することができる。本発明のミネ
ラル組成物の食品への添加量に関しては、特に限定がな
く、金属塩の種類、添加する食品および飼料の形態、な
らびにヒトおよび家畜の性別および年齢などに応じて適
宜決定すればよい。
本発明のミネラル組成物を含有する飼料としては、例
えば、ペット、家畜、養殖魚などの餌などがあげられ
る。
本発明におけるミネラル組成物を含有する化粧品とし
ては、化粧水、乳液、浴用剤、クレンジング剤などの洗
浄剤、歯磨剤などがあげられる。中でも、特に浴用剤に
おいては主剤となる炭酸カルシウムなどの塩類が沈殿す
ることで浴槽を傷めるということを抑制できる。
以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1 塩化第二鉄6水和物13kgおよび酵素分解レシチン(サ
ンレシチンL:太陽化学(株)製、商品名)0.3kgをイオ
ン交換水60kgに溶解して鉄溶液を調製した。
ピロリン酸四ナトリウム(10水和物)20kgをイオン交
換水500kgに溶解したピロリン酸溶液中に、攪拌下で前
記で得られた鉄溶液を徐々に添加し、混合液のpHを3.0
に調整した。中和反応によるピロリン酸第二鉄の造塩が
終了した後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固
−液分離を行ない、固相部のピロリン酸第二鉄−酵素分
解レシチン複合体8.2kg(乾燥重量換算)を回収し、イ
オン交換水中に再懸濁して10%ピロリン酸第二鉄スラリ
ー(生成物I)を得た。
比較例1 塩化第二鉄6水和物13kgをイオン交換水60kgに溶解し
て鉄溶液を調製した。
ピロリン酸四ナトリウム(10水和物)20kgをイオン交
換水500kgに溶解したピロリン酸溶液中に、攪拌下で前
記で得られた鉄溶液を徐々に添加して混合液のpHを3.0
に調整した。
次に、実施例1と同様の手法によって固−液分離を行
ない、固相部のピロリン酸第二鉄8kg(乾燥重量換算)
を回収し、イオン交換水中に再懸濁して10%ピロリン酸
第二鉄スラリー(対照品A)を得た。
比較例2 実施例1において、酵素分解レシチンをショ糖脂肪酸
エステル(リョートーシュガーエステルS−1570:三菱
化学(株)製、商品名)に置き換えたほかは、実施例1
と同様にして10%ピロリン酸第二鉄スラリー(対照品
B)を得た。
実施例1および比較例1〜2で得られた生成物Iおよ
び対照品A〜Bの物性として、水分散性および粒径分布
を以下の方法に従って調べた。
〔水分散性〕
実施例1および比較例1〜2で得られた生成物Iおよ
び対照品A〜B(10%ピロリン酸第二鉄スラリー)100g
に、市販牛乳900gを添加し、ピロリン酸第二鉄の濃度を
1%とした際の沈降性を経時的に調べた。
その結果、対照品Aは、静置後10分でほぼ100%が沈
降し、対照品Bは6時間後に約90%が沈降した。
これに対して、実施例1で得られた生成物Iは、500
時間経過後も一切沈降を生じなかった。
〔粒径分布〕
粒径分布は、生成物Iおよび対照品A〜B(10%ピロ
リン酸第二鉄スラリー)をそれぞれレーザー回析粒度分
布測定装置(SYMPATEC社製、商品名:HELOS)によって測
定した。その結果を図1に示す。図1において、
(A)、(B)および(C)は、それぞれ生成物I、対
照品Aおよび対照品Bの粒径分布を示すグラフである。
図1に示された粒径分布および水分散性の結果から、
比較例1で得られた対照品A(粒径分布:0.2〜5μm)
および比較例2で得られた対照品B(粒径分布:0.2〜3
μm)と対比して、実施例1で得られた生成物I(粒径
分布:0.01〜0.3μm)は、非常に小さい粒子径を有する
ことから、水中に均一に分散していることがわかる。
このことから、実施例1によれば、安定な鉄分分散性
を有する鉄分強化牛乳が得られることがわかる。
実施例2 塩化カルシウム2水和物20kgおよび酵素分解レシチン
(サンレシチンL:太陽化学(株)製、商品名)3kgをイ
オン交換水120kgに溶解してカルシウム溶液を調製し
た。
炭酸ナトリウム11kgおよびポリグリセリン脂肪酸エス
テル(サンソフトA−12E:太陽化学(株)製、商品名)
14kgをイオン交換水260kgに溶解した溶解中に、前記で
得られたカルシウム溶液を攪拌下で徐々に添加し、混合
液のpHを9.0に調整した。
中和反応による炭酸カルシウムの造塩反応が終了した
後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離
を行なって固相部の炭酸カルシウム10kg(乾燥重量換
算)を回収し、イオン交換水に再懸濁して10%炭酸カル
シウムスラリー(生成物II)を得た。
比較例3 塩化カルシウム2水和物20kgをイオン交換水120kgに
溶解してカルシウム溶液を調製した。
炭酸ナトリウム11kgをイオン交換水260kgに溶解した
溶解中に、前記で得られたカルシウム溶液を攪拌下で徐
々に添加し、混合液のpHを9.0に調した。
中和反応による炭酸カルシウムの造塩が終了した後、
遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離を行
なって固相部の炭酸カルシウム8kg(乾燥重量換算)を
回収し、イオン交換水に再懸濁して10%炭酸カルシウム
スラリー(対照品C)を得た。
次に、実施例2で得られた生成物IIおよび比較例3で
得られた対照品C(10%炭酸カルシウムスラリー)の透
明性を以下の方法に従って調べた。
〔透明性〕
実施例2で得られた生成物IIまたは比較例3で得られ
た対照品C(10%炭酸カルシウムスラリー)200重量部
をポリビニルアルコール(和光純薬(株)製)の10%水
溶液200重量部中に分散させた後、ガラス表面に厚さが1
mmとなるように塗布し、120℃オーブン中で乾燥し、得
られた塗膜の透明性を目視により観察した。
その結果、実施例2で得られた生成物IIは、良好な透
明性を有したが、比較例3で得られた対照品Cは、CaCO
3の凝集がまだら状に生じており、充分な透明性を有し
なかった。
実施例3 炭酸ナトリウム10g、炭酸水素ナトリウム7gおよび食
用黄色4号(三栄源エフ・エフ・アイ社製、化合物名:
タートラジン)0.02gを40℃の温水100リットル中に溶解
して浴用剤液を調製した。
該浴用剤液中に、実施例2で得られた生成物IIまたは
比較例3で得られた対照品C(10%炭酸カルシウムスラ
リー)50mlを添加し、静置時の炭酸カルシウムの沈殿状
態を観察した。
その結果、比較例3で得られた対照品Cを用いた場合
(比較実験)には、炭酸カルシウムが約20分間ですべて
が沈降した、 これに対して、実施例2で得られた生成物IIを用いた
場合(実施例3)には、100時間以上経過しても沈殿を
生じなかった。
実施例4 ピロリン酸第二鉄90g、モノミリスチン酸ペンタグリ
セリン(重合度3〜11のポリグリセリンの含量:94重量
%)27gおよび酵素含有レシチン8gをイオン交換水883kg
に溶解し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%
ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物III)1.0kgを得
た。
実施例5 ピロリン酸第二鉄90g、モノミリスチン酸ペンタグリ
セリン(重合度3〜11のポリグリセリンの含量:94重量
%)22.5gおよび酵素分解レシチン4.5gをイオン交換水8
83gに溶解し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、1
0%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物IV)1.0kgを
得た。
実施例6 塩化第二鉄6水和物1.3kgおよび酵素分解レシチン30g
をイオン交換水6kgに溶解して鉄溶液を調製した。
ピロリン酸四ナトリウム10水和物2kgおよびモノミリ
スチン酸ペンタグリセリン(重合度3〜11のポリグリセ
リンの含量:94重量%)170gをイオン交換水50kgに溶解
したピロリン酸溶液中に攪拌下、前記で得られた鉄溶液
を徐々に添加し、混合物のpHを3.0に調整した。
中和反応によってピロリン酸第二鉄の造塩が終了した
後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離
を行ない、固相部のピロリン酸第二鉄組成物860g(乾燥
重量換算)を回収し、一部をイオン交換水に再懸濁し
て、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物V)43
00gを得た。
得られた生成物Vに含まれるピロリン酸第二鉄の粒径
分布を、実施例1と同様にして調べたところ、0.01〜0.
3μmであった。
さらに残りの生成物Vを水で希釈し、20%ピロリン酸
第二鉄組成物液とした後、スプレードライ法にて乾燥
し、ピロリン酸第二鉄組成物粉末(生成物VI)410gを得
た。
比較例4 塩化第二鉄6水和物1.3kgをイオン交換水6kgに溶解し
て鉄溶液を調製した。
ピロリン酸四ナトリウム10水和物2kgをイオン交換水5
0kgに溶解したピロリン酸溶液中に攪拌下で、前記で得
られた鉄溶液を徐々に添加し、混合液のpHを3.0に調整
した。
次に、実施例4と同様にして固−液分離を行ない、固
相部のピロリン酸第二鉄0.78kg(乾燥重量換算)を回収
し、イオン交換水に再懸濁して10%ピロリン酸第二鉄ス
ラリー7.7kg(対照品D)を得た。
得られた対照品Dに含まれるピロリ酸第二鉄の粒径分
布を、実施例1と同様にして調べたところ、0.2〜5μ
mであった。
比較例5 比較例4で得られた対照品D(10%ピロリン酸第二鉄
スラリー)2.0kgに酵素分解レシチン30gを添加した後、
充分に攪拌し、酵素分解レシチン含有10%ピロリン酸第
二鉄スラリー(対照品E)2.02kgを得た。
試験例1〔各種鉄剤投与による血清鉄の測定〕 10週齢のSD系雄ラット1群10匹を18時間絶食させた
後、実施例4〜6で得られた生成物III〜Vと比較例4
および5で得られた対照品DおよびEをそれぞれ蒸留水
に溶かし、ラット1匹あたり2mg鉄/kg相当量にしたもの
をゾンデにてラットに強制経口投与した。
また、ブランクとして水だけを前記と同様にラットに
経口投与した。投与後、0.5、1、2、4または8時間
経過後に頚静脈から採血を行ない、速やかに血清分離を
した後、International Committee for Standardizatio
n in Hematologyの標準法に従って血清中における鉄
(血清鉄)濃度を測定した。その結果を図2に示す。な
お、図2において、a、b、c、d、eおよびfは、そ
れぞれ生成物III、生成物IV、生成物V、対照品D、対
照品Eおよび水のデータを示す。
図2に示された結果から、血清中の血清鉄濃度の経時
変化は、比較例4および5で得られた対照品DおよびE
では、投与後30分から1時間で最高血清鉄濃度を示した
後、急激に減少したことがわかる。
これに対して、実施例4〜6で得られた生成物III〜
Vでは、2時間後に最高血清鉄濃度を示した後、ゆるや
かに減少することがわかる。
次に、鉄剤投与後0.5時間から8時間の血清鉄の総量
を示す曲線下面積を表1に示す。
表1に示された結果から明らかなように、生成物III
〜Vの血清鉄の曲線下面積は、対照品D〜Eと対比し
て、危険率5%で有意に高値を示した。
すなわち、鉄剤投与により、血清鉄濃度が上昇するこ
とから、生成物III〜Vは、対照品D〜Eと対比して、
明らかに鉄吸収性が高く、また血清鉄濃度の低下が緩や
で8時間後でも高い血清鉄濃度を維持していることか
ら、優れた徐放性が発現されていることがわかる。
試験例2〔反復投与による胃耐容性試験〕 10週齢のSD系雄ラット1群11匹を48時間絶食させた
後、実施例5で得られた生成物IVとと比較例4で得られ
た対照品D、さらに市販の硫酸第一鉄をそれぞれ蒸留水
に溶かし、ラット1匹あたり30mg鉄/kg相当量にしたも
のをゾンデにて24時間以内に3回ラットに強制経口投与
した。
最終投与5時間後に、胃を摘出し、Adami法にて胃潰
瘍形成の程度を示す胃耐容性の評価を行なった。その評
価結果を表2に示す。
なお、表2中の評価数値は、以下のことを意味する。
0:潰瘍形成なし 1:出血帯あり 2:1〜5個の小さい潰瘍(直径3mm以下) 3:1〜5個の小さい潰瘍または1個の大きい潰瘍 4:数個の大きい潰瘍 5:穴の開いた潰瘍あり 表2に示された結果から明らかなように、対照品Dで
は、一部胃潰瘍の形成が観察されたが、生成物IVでは病
変が認められなかった。
即ち、生成物IVは、対照品Dよりも消化管に対する影
響が小さいことがわかる。
試験例3 実施例6で得られた生成物Vおよび比較例4で得られ
た対照品Dを水で50倍に希釈することによって得られた
各試験液をレーザー回折粒度分布測定装置(SYMPATEC社
製、商品名:HELOS)にて粒径分布を調べた。その結果を
図3に示す。なお、図3において、(A)および(B)
は、それぞれ生成物Vおよび対照品Dの粒径分布を示す
グラフである。
図3に示された結果および表2に示された結果から明
らかなように、実施例6で得られた生成物V(粒径分
布:0.01〜0.3μm)は、比較例4で得られた対照品D
(粒径分布:0.2〜5μm)と比較して、数段に小さい粒
子を有していることから、高い体内吸収性を呈するもの
であると考えられる。
試験例4 実施例4で得られた生成物IIIと市販のヘム鉄とをそ
れぞれ鉄含量が2mgとなるように市販の牛乳100mlに添加
し、溶解させたのち、10名のパネリストにより、異味お
よび異臭について官能試験を行なった。その評価結果を
表3に示す。
表3に示された結果から明らかなように、生成物III
は、ヘム鉄と対比して、異味および異臭がほんど感じら
れないほど優れたものであることがわかる。
なお、ヘム鉄を牛乳に添加したものは、黒い着色を呈
し、パネリスト全員が試飲するのをためらった。
調製例1 卵殻カルシウム3kg、モノカプリン酸ペンタグリセリ
ン(重合度3以上97%、重合度3〜1194%)100gおよび
酵素分解レシチン200gを水6.7kgに分散させた後、超高
圧ホモジナイザーを通し、30%卵殻カルシウム組成物を
調製した。
調製例2 塩化カルシウム2水和物20kgおよび酵素分解レシチン
3kgをイオン交換水120kgに溶解してカルシウム溶液を調
製した。
炭酸ナトリウム11kgおよびモノカプリン酸ペンタグリ
セリン(重合度3〜11のポリグリセリンの含量:94重量
%)14kgをイオン交換水260kgに溶解した溶解中に攪拌
下で、前記で得られたカルシウム溶液を徐々に添加し、
混合液のpHを9.0に調整した。
中和反応による炭酸カルシウムの造塩反応が終了した
後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離
を行ない、固相部の炭酸カルシウム10kg(乾燥重量換
算)を回収し、イオン交換水に再懸濁して10%炭酸カル
シウム組成物液を調製した。
調製例3 水750mlに果糖ブドウ糖液糖100g、クエン酸2.0g、ク
エン酸ナトリウム0.5g、実施例4で得られた生成物III
2.0g、香料適量および着色料適量を添加し、混和後、水
を添加して全量を1000mlに調整して鉄強化清涼飲料水を
得た。
次に、得られた鉄強化清涼飲料水を100mlずつ瓶に詰
め、90℃達温で10分間加熱殺菌を行ない、鉄強化清涼飲
料(鉄6mg/100mlを含有)を調製した。
調製例4 ガゼインナトリウム51g、菜種油13.5g、MCT13.5g、デ
キストリン122g、白糖20g、コハク酸モノグリセリド1.0
g、酵素分解レシチン1.0g、ミルクフレーバー2.0g、塩
化カリウム1.8g、ビタミンA粉末10.5mg、ビタミンB1
酸塩1.3mg、ビタミンB20.8mg、ビタミンB6塩酸塩4.0m
g、ビタミンC84mg、ビタミンD粉末0.6mg、ビタミンE
粉末158mg、ニコチン酸アミド25mg、パントテン酸カル
シウム10.5mg、葉酸4.2mg、実施例4で得られた生成物I
II 1.0gおよび調製例2で得られた10%炭酸カルシウム
組成物液3.0gに水を加えて1リットルとし、ミキサーで
混合後、高圧ホモゲナイザーで200kg/cm2下で乳化を行
ない、次いで得られた乳化状物をアルミ製の袋に200ml
ずつ充填、密封した後116℃の20分間のレトルト殺菌を
して経口流動食(鉄3mg/100ml、カルシウム120mg/100ml
を含有する)を調製した。
調製例5 実施例6で得られた生成物VI 1.0kg、ブドウ糖2.5k
g、乳糖2.0kg、コーンスターチ2.4kg、アゼヒル2.0kgお
よびステアリン酸マグネシウム0.1kgを混合した後、造
粒し、打錠機により打錠し、直径10mmの円形状の鉄補給
錠菓(鉄30mg/gを含有)を製造した。
調製例6 マーガリン200gをホイッパーで滑らかになるまで練り
合わし、次に砂糖230gを徐々に加えて練り合わせた後、
全卵73g、牛乳34g、実施例5で得られた生成物IV 4.0
g、バニラエッセンス3.0gの順に徐々に加え、全体を充
分に混合した。次に、得られた混合物に、小麦粉440gを
篩を通しながら加え、軽く混合して生地を作り、かかる
生地から所定形状の成形品を作製したのち、天板に該成
形品を並べ、170℃で焼成し、鉄強化クッキー(鉄12mg/
100gを含有)を製造した。
調製例7 豚肉800gに実施例4で得られた生成物III 2.0g、食塩
20g、ピロリン酸ナトリウム3.0g、アスコルビン酸ナト
リウム6.0gおよび蔗糖10gを加え、10℃で72時間塩漬し
た後、調味料および香辛料を加え、練り肉を調製した。
この練り肉をケーシングに詰めた後、常法に従い鉄強化
ソーセージ(鉄7.1mg/100gを含有)を製造した。
産業の利用可能性 本発明のミネラル組成物は、水不溶性ミネラルの分散
安定性に優れているので、食品、化粧品、工業用品など
の幅広い分野に利用することができる。
また、本発明のミネラル組成物は、非イオン界面活性
剤を含有している場合、消化管からの吸収性が高く、し
かも徐放性に優れたものであることから少量の使用で充
分な効果があり、さらに副作用を引き起こしにくいた
め、食品、飼料、医薬品などの広範囲の分野での応用が
可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 33/26 A61K 33/26 (72)発明者 山崎 義文 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽 化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−238645(JP,A) 特開 平9−173028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/29 - 1/308 A23L 2/00 - 2/84 A61K 7/00 - 29/04

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酵素分解レシチンおよび水不溶性ミネラル
    (但し、カルシウムを除く)を含有してなる食品、医薬
    品、飼料又は化粧品用ミネラル含有組成物。
  2. 【請求項2】酵素分解レシチンが、ホスホリパーゼAを
    用いて生成されるリゾホスファチジルコリン、リゾホス
    ファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノ
    シートルおよびリゾホスファチジルセリン、ならびにホ
    スホリパーゼDを用いて生成されるホスファチジン酸、
    リゾホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロールお
    よびリゾホスファチジルグリセロールからなる群より選
    ばれた少なくとも1種である請求項1記載のミネラル含
    有組成物。
  3. 【請求項3】水不溶性ミネラルが25℃水中における溶解
    度積1.0×10-7以下の金属塩類のコロイドである請求項
    1又は2記載のミネラル含有組成物。
  4. 【請求項4】水不溶性ミネラルが鉄又はマグネシウムで
    ある請求項1〜3いずれか記載のミネラル含有組成物。
  5. 【請求項5】水不溶性ミネラルが粒子径0.4μm以下の
    微粒子である請求項1〜4いずれか記載のミネラル含有
    組成物。
  6. 【請求項6】さらに、非イオン界面活性剤を含有してな
    る請求項1〜5いずれか記載のミネラル含有組成物。
  7. 【請求項7】非イオン界面活性剤が、グリセリン脂肪酸
    エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
    酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよ
    びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少
    なくとも1種である請求項6記載のミネラル含有組成
    物。
  8. 【請求項8】ポリグリセリン脂肪酸エステルが、重合度
    が3以上のポリグリセリンを70重量%以上含むポリグリ
    セリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルである請
    求項7記載のミネラル含有組成物。
  9. 【請求項9】酸素分解レシチンの含有量が0.01重量%以
    上20重量%以下であり、水不溶性ミネラルの含有量が1
    重量%以上50重量%以下である、請求項1〜8いずれか
    記載のミネラル含有組成物。
  10. 【請求項10】水不溶性ミネラルが酵素分解レシチンの
    存在下で中和造塩させて得られるものである請求項1〜
    9いずれか記載のミネラル含有組成物。
  11. 【請求項11】水不溶性ミネラルの80体積%以上の粒子
    の粒子径が0.2μm以下である請求項1〜10いずれか記
    載のミネラル含有組成物。
  12. 【請求項12】粉体状又は水を含有した水分散体である
    請求項1〜11いずれか記載のミネラル含有組成物。
  13. 【請求項13】請求項1〜12いずれか記載のミネラル含
    有組成物を添加してなる食品。
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