JP2006340613A - 鉄強化用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 近年、ミネラル摂取量の不足が指摘され、その原因により引き起こされるとされる成人病の予防や健康維持等に関して、いろいろな種類のミネラルの役割が重要視され始めている。本発明は、飲食品中に還元作用を有する糖が存在していても、添加した3価の鉄塩が還元されて2価鉄になることがなく、鉄独特の不快な味の発生が低減される鉄強化用組成物及びそれを含有する鉄強化飲食品を提供することを目的とする。
【解決手段】 還元作用を有する糖を含有する飲食品に用いることを特徴とする、3価の水不溶性鉄塩と乳化剤を含有することにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 還元作用を有する糖を含有する飲食品に用いることを特徴とする、3価の水不溶性鉄塩と乳化剤を含有することにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本願発明は、還元作用を有する糖を含有する飲食品に用いることを特徴とする鉄強化用組成物及び、その鉄強化用組成物を含有する還元作用を有する糖含有飲食品に関する。
近年、ミネラル摂取量の不足が指摘され、その原因により引き起こされるとされる成人病の予防や健康維持等に関して、いろいろな種類のミネラルの役割が重要視され始めている。
その中でも鉄は血中の蛋白質であるヘモグロビンに結合した状態で存在することが知られており、鉄不足の状態になると組織中の貯蔵鉄から補われる。貯蔵鉄が不足した状態は潜在性貧血症と呼ばれ、日本人の約60%以上が患っていると言われている。この傾向は、女子高生や若い成人女性において特に顕著であり、その結果鉄欠乏性貧血を起こす女性が多数見られる。
現在、さまざまな鉄が強化された飲食品が開発されているが、元来鉄には特有の強い金属味があり、飲食品の咆哮性が大きく損なわれる問題がある。さらに鉄には2価及び3価の鉄が存在するが、3価鉄と比べ2価鉄がより鉄独特の錆味が強いと知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
これらを改善する方法として、鉄剤としての3価鉄と、甘味成分として非還元性糖質及び/又は高甘味度甘味料とを含有する飲食品(例えば、特許文献1、2、3参照)が挙げられるが、使用できる甘味成分が限定され、さらに飲食品中の他の成分に還元性成分が含まれていると、鉄味の発生を十分に阻止することができない。
本発明は、飲食品中に還元作用を有する糖が存在していても、添加した3価の鉄塩が還元されて2価鉄になることがなく、鉄独特の不快な味の発生が低減される鉄強化用組成物及びそれを含有する鉄強化飲食品を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、還元作用を有する糖を含有する飲食品に、鉄剤として3価の水不溶性鉄塩と乳化剤を混合してなる鉄強化用組成物を配合することにより、還元作用を有する糖が存在していても2価鉄の発生が抑制され、鉄独特の不快な味の鉄味の発生が低減された鉄強化飲食品を提供できることを見出し、本願発明を完成させた。
本発明によれば、飲食品中に還元作用を有する糖が存在していても、2価鉄の発生が抑制され、鉄独特の不快な味の鉄味の発生が低減される鉄強化用組成物及びそれを含有する鉄強化飲食品を提供することができる。
本発明に使用される鉄強化用組成物は、3価の水不溶性鉄塩と乳化剤の混合物を含有することを1つの大きな特徴とする。また本発明の鉄強化用組成物においては、3価の水不溶性鉄塩は乳化剤によって被覆されており、そのため飲食品中に還元作用を有する糖が存在していても、3価の水不溶性鉄塩から鉄味がより強い2価鉄への還元が抑制され、鉄味の発生が低減することができる。
本発明に用いられる3価の水不溶性鉄塩とは、特に限定されるものではなく、例えば、ピロリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、水酸化第二鉄、酸化第二鉄等が挙げられる。これらは単独で配合してもよく、また、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本願発明に用いられる水不溶性鉄塩の不溶性とは、特に限定されるものではないが、味、消化管粘膜刺激性等の観点から、日本の第七版食品添加物公定書通則29の試験法において「極めて溶けにくい」(溶質1gを溶かすに要する水の量が1,000ml以上10,000ml未満)又は、「ほとんど溶けない」(溶質1gを溶かすに要する水の量が10,000ml以上)に該当するものをいい、好ましくは、「ほとんど溶けない」に該当するものである。
本願発明における乳化剤は、水不溶性鉄塩の表面を強く被覆することができるものであれば特に限定するものではなく、一般的な食品用乳化剤、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、有機酸脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等が挙げられる。それらの中でも、リゾレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
本願発明におけるリゾレシチンとは、レシチンをホスホリパーゼによって加水分解することで得られるものであれば、特に限定されるものではない。その原料となる、レシチンについては、大豆等の植物由来レシチン又は卵黄等の動物由来レシチンのいずれでも使用できる。ホスホリパーゼについては、豚膵臓等の動物起源、キャベツ等の植物起源、カビ類等の微生物起源等の由来を問わず、ホスホリパーゼA及び/又はD活性を有するものであればいずれでも使用でき、好ましくは、ジアシルグリセロリン脂質の1位又は2位の脂肪酸エステル結合を加水分解する酵素であるホスホリパーゼAが良く、更に好ましくは、ジアシルグリセロリン脂質の2位を加水分解するホスホリパーゼA2が良い。
本願発明で用いられる、ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステルをいい、これを構成するポリグリセリンの平均重合度や脂肪酸の種類、エステル化率については、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩をより強く被覆するためには、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、3以上が好ましく、3〜11が更に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、6〜22が好ましく、8〜18が更に好ましく、12〜14が最も好ましい。
本願発明で用いられる、ショ糖脂肪酸エステルとは、ショ糖と脂肪酸とのエステルをいい、これを構成する脂肪酸の種類ついては、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩をより強く被覆するためには、炭素数が8〜20であることが好ましく、10〜16がより好ましく、12〜14が最も好ましい。
本願発明で用いられる乳化剤のHLBは、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩をより強く被覆するためには、好ましくはHLB6〜20であり、より好ましくは8〜18であり、更に好ましくは10〜16である。HLBの値は、例えば本発明において使用する各種乳化剤の使用量の比を調節することにより調整することができる。
本願発明の鉄強化用組成物は例えば、水不溶性鉄塩と乳化剤を混合、攪拌することにより得ることができる。混合の方法としては、水不溶性鉄塩分散液に乳化剤を溶解する方法、乳化剤の水溶液に鉄塩を分散させる方法等が用いられる。また、水に水不溶性鉄塩分散液及び乳化剤を同時に添加し、混合してもよい。攪拌は例えばホモミキサー等を使用して行うことができる。強い攪拌を行うことにより、より強く乳化被覆された水不溶性鉄塩を得ることができる。
上記のように、水不溶性鉄塩と乳化剤の混合、攪拌は水溶液中で行うことができる。乳化剤による水不溶性鉄塩の被覆を安定して行うという観点から、水不溶性鉄塩と乳化剤との混合、攪拌時に使用する水の量としては、水不溶性鉄塩100重量部に対して水100重量部以上であることが好ましく、300重量部以上であることがより好ましい。使用する水の量の上限としては特に限定はされず、例えば混合、攪拌に使用される容器の大きさ等に応じて、使用可能な水の量を使用すればよい。また、ここで使用される水の種類としては特に限定されるものではないが、例えばイオン交換水などを使用することができる。
水不溶性鉄塩と乳化剤を混合する際の混合比率としては、乳化剤による水不溶性鉄塩の被覆を安定して行うという観点から、水不溶性鉄塩100質量部あたり1重量部以上であることが好ましく、5重量部以上であることがより好ましい。また上限としては、水不溶性鉄塩100質量部に対して2000重量部以下であることが好ましく、1000重量部以下であることがより好ましい。かかる範囲内であれば、本鉄強化用組成物を含有させた食品も、乳化剤由来の独特の味により該食品本来の風味が損なわれることがないため、好ましい。
また、水不溶性鉄塩と乳化剤を攪拌する際の攪拌時間は特に限定されるものではなく、攪拌に使用するミキサーの種類等に応じて、水不溶性鉄塩が乳化剤により被覆された状態となるように適宜設定されればよい。なお、水不溶性鉄塩が乳化剤に被覆されたかどうかの確認は、例えば以下のようにして行うことができる。混合、攪拌後の水不溶性鉄塩と乳化剤を含有する水溶液を、例えばCellulose Acetate(0.1μm;ADVANTEC製)等のフィルターを使用してフィルター濾過することに水不溶性鉄塩を取り除く。残りの水溶液中に存在する乳化剤の量を測定し、用いた乳化剤の全量と比較する。以上により、水不溶性鉄塩の被覆に使用された乳化剤の量を確認でき、水不溶性鉄塩が乳化剤に被覆されたかどうかを間接的に確認することができる。また、電子顕微鏡等を使用して、水不溶性鉄塩が乳化剤に被覆されているかどうかを直接的に確認してもよい。
本願発明における還元作用を有する糖としては、一般的に分子内に遊離性のアルデヒド基やケトン基をもち、還元性を示す糖類のことをいい、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、マルトース、キシロース、マンノース、ラムノース、ソルボース、リボース、タガトース、タロース、リキソース、L−アラビノース等が挙げられ、なかでもグルコース、フルクトース、ラクトースが好ましい。これらは単独で配合してもよく、また、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本願発明における鉄強化飲食品は、還元作用を有する糖を多く含有していても、添加した3価の鉄塩が還元されて2価鉄になることがなく、鉄独特の不快な味の鉄味の発生が低減されることを特徴とする。従って、本願発明における鉄強化飲食品中における還元作用を有する糖の含有量は特に限定されるものではないが、特に、還元作用を有する糖が高含有されている飲食品において本発明の効果が顕著である。ここで高含有とは、3価の水不溶性鉄塩100重量部に対して、還元作用を有する糖500重量部以上であり、より好ましくは1000重量部以上であり、さらに好ましくは3000重量以上含有している状態をいう。
また、本願発明における、鉄強化飲食品の形態としては、特に限定するものではなく、例えば、飲料類、乳製品、調味料、畜肉加工食品、水産加工食品、タブレット形状食品、経口経腸栄養食等が挙げられる。
本願発明における鉄強化飲食品への3価の不溶性鉄塩の配合量については、特に制限はなく、添加する飲食品の形態、ならびにヒト性別及び年齢等に応じて適宜決定すればよい。但し、飲食品の鉄味を考慮した場合、2価の鉄イオン濃度が2mg/100g以下であることが好ましく、1mg/100g以下であることがさらに好ましい。
実施例1
ピロリン酸第二鉄90g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水796.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物I)900gを得た。
ピロリン酸第二鉄90g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水796.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物I)900gを得た。
実施例2
ピロリン酸第二鉄90g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトA−14E:太陽化学(株)製、HLB13.0)27g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水769.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物II)900gを得た。
ピロリン酸第二鉄90g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトA−14E:太陽化学(株)製、HLB13.0)27g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水769.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物II)900gを得た。
実施例3
ピロリン酸第二鉄90g、ショ糖脂肪酸エステル(サンソフトSE−16:太陽化学(株)製、HLB16.0)54g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水742.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物III)900gを得た。
ピロリン酸第二鉄90g、ショ糖脂肪酸エステル(サンソフトSE−16:太陽化学(株)製、HLB16.0)54g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水742.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物III)900gを得た。
比較例1
ピロリン酸第二鉄90gをイオン交換水810gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(対照品IV)900gを得た。
ピロリン酸第二鉄90gをイオン交換水810gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(対照品IV)900gを得た。
比較例2
塩化第二鉄90gをイオン交換水810gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、溶解し、10%塩化第二鉄組成物懸濁液(対照品V)900gを得た。
塩化第二鉄90gをイオン交換水810gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、溶解し、10%塩化第二鉄組成物懸濁液(対照品V)900gを得た。
比較例3
硫酸第一鉄90gをイオン交換水810gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、溶解し、10%硫酸第一鉄組成物懸濁液(対照品VI)900gを得た。
硫酸第一鉄90gをイオン交換水810gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、溶解し、10%硫酸第一鉄組成物懸濁液(対照品VI)900gを得た。
試験例1
実施例1〜3で得られた生成物I〜IIIをそれぞれ最終の鉄含量を5mg/100gになるように添加して、さらに還元作用を有する糖としてフルクトースを最終3%になるように添加して鉄強化飲料I〜IIIを調製した。同様に比較例1〜3で得られた対照品IV〜VIをそれぞれ最終の鉄含量を5mg/100gになるように添加して、さらに還元作用を有する糖としてフルクトースを最終3%になるように添加して鉄強化飲料IV〜VIを調製した。
実施例1〜3で得られた生成物I〜IIIをそれぞれ最終の鉄含量を5mg/100gになるように添加して、さらに還元作用を有する糖としてフルクトースを最終3%になるように添加して鉄強化飲料I〜IIIを調製した。同様に比較例1〜3で得られた対照品IV〜VIをそれぞれ最終の鉄含量を5mg/100gになるように添加して、さらに還元作用を有する糖としてフルクトースを最終3%になるように添加して鉄強化飲料IV〜VIを調製した。
試験例1で得られた鉄強化飲料I〜VIを55℃で7日間保存して飲料中における2価の鉄イオン濃度の測定を行った。測定は鉄測定キット(FeC−テストワコー;和光純薬工業社製)を使用した。通常、同キットでは、還元剤を添加して、全ての鉄を2価鉄に還元させたのち測定を行うが、本試験では還元剤の添加を行わないことで、現在2価になっている鉄のみ定量することが可能となる。まず飲料I〜VIをイオン交換水で50倍希釈した後、それぞれ200mlずつを試験管に分注し、次に付属の0.4M酢酸緩衝液(pH6.25)2.0mlを試験管に添加して十分混合し、さらに、付属の発色試薬の22mM 2−ニトロソ−5−(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール1滴を滴下して十分混合した。そして、この溶液を室温で10分間放置した後、750nmにおける吸光度を測定した。検量線作成用として、鉄の標準液(鉄濃度:0〜200μg/dl)各0.2mlずつを試験管に分注し、次に還元剤の0.45Mチオグリコール酸を予め混合した0.4M酢酸緩衝液(pH6.25)を2.0mlずつを試験官に分注して十分混合し、その後は同様に、発色試薬1滴を滴下して十分混合した。そして、この溶液を室温で10分間放置した後、750nmにおける吸光度を測定した。この値から検量線を作成して各飲料中の2価の鉄イオン濃度を求めた。
次に10人のパネラーにより官能試験を実施した。評価方法は以下の通りである。
鉄味がしない。 0
鉄味がほとんどしない。 1
鉄味がややする。 2
鉄味がする。 3
鉄味が強くする。 4
鉄味がほとんどしない。 1
鉄味がややする。 2
鉄味がする。 3
鉄味が強くする。 4
評価点の平均値を下記の表2に記す。
表1及び表2に示すように、還元作用を有する糖を含有する飲料に、3価の水不溶性鉄塩と乳化剤を混合してなる鉄強化用組成物を添加することにより、製造直後及び7日後において、2価鉄への還元が抑制され、鉄味の発生が低減することができることが確認された。これに対して、予め乳化剤と混合させていない鉄剤を添加すると2価鉄の生成が促進され、不快な鉄味を生じる結果となった。
次に、3価の水可溶性鉄塩及び2価の鉄塩と乳化剤を混合した鉄組成物を調製した。
比較例4
塩化第二鉄90g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水796.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%塩化第二鉄組成物懸濁液(対照品VII)900gを得た。
塩化第二鉄90g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水796.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%塩化第二鉄組成物懸濁液(対照品VII)900gを得た。
比較例5
硫酸第一鉄90g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水796.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%硫酸第一鉄組成物懸濁液(対照品VIII)900gを得た。
硫酸第一鉄90g、リゾレシチン(サンソフトA−1:太陽化学(株)製 リゾレシチン含量33%、HLB18.0)13.5gをイオン交換水796.5gに混合し、ホモミキサーにて充分に攪拌、分散し、10%硫酸第一鉄組成物懸濁液(対照品VIII)900gを得た。
試験例2
比較例4,5で得られた対照品VII、VIIIをそれぞれ最終の鉄含量を5mg/100gになるように添加して、さらに還元作用を有する糖としてフルクトースを最終3%になるように添加して鉄強化飲料VII、VIIIを調製した。同様に各飲料中の2価の鉄イオン濃度測定及び官能検査を行った。結果を表3に記す
比較例4,5で得られた対照品VII、VIIIをそれぞれ最終の鉄含量を5mg/100gになるように添加して、さらに還元作用を有する糖としてフルクトースを最終3%になるように添加して鉄強化飲料VII、VIIIを調製した。同様に各飲料中の2価の鉄イオン濃度測定及び官能検査を行った。結果を表3に記す
結果を表3に示すように、水可溶性の鉄塩と乳化剤を混合した鉄組成物を、還元作用を有する糖を含有する飲食品に添加しても、製造直後及び7日後において、2価鉄の生成が抑制されず、不快な鉄味を生じる結果となった。
実施例4
実施例2で得られた10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物II)を、スプレードライヤーで粉末化を行い、70%ピロリン酸第二鉄組成物粉末(生成物IV)を得た。
実施例2で得られた10%ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液(生成物II)を、スプレードライヤーで粉末化を行い、70%ピロリン酸第二鉄組成物粉末(生成物IV)を得た。
実施例5
清涼飲料(グルコース3%含有) 1Lに実施例1で得られた乳化剤被覆された3価の水不溶性鉄強化用組成物を含む懸濁液(鉄として約3.0重量%含有)1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化清涼飲料を得た(鉄量3.0mg/100g)。
清涼飲料(グルコース3%含有) 1Lに実施例1で得られた乳化剤被覆された3価の水不溶性鉄強化用組成物を含む懸濁液(鉄として約3.0重量%含有)1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化清涼飲料を得た(鉄量3.0mg/100g)。
実施例6
ヨーグルト飲料(マルトース1%含有) 1Lに実施例1で得られた乳化剤被覆された3価の水不溶性鉄強化用組成物を含む懸濁液1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化ヨーグルト飲料を得た(鉄量3.0mg/100g)。
ヨーグルト飲料(マルトース1%含有) 1Lに実施例1で得られた乳化剤被覆された3価の水不溶性鉄強化用組成物を含む懸濁液1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化ヨーグルト飲料を得た(鉄量3.0mg/100g)。
実施例7
リンゴ果汁飲料(グルコース、フルクトース等を含む還元作用を有する糖でトータル3%含有) 実施例1で得られた乳化剤被覆された3価の水不溶性鉄強化用組成物を含む懸濁液1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化清涼飲料を得た(鉄量3.0mg/100g)。
リンゴ果汁飲料(グルコース、フルクトース等を含む還元作用を有する糖でトータル3%含有) 実施例1で得られた乳化剤被覆された3価の水不溶性鉄強化用組成物を含む懸濁液1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化清涼飲料を得た(鉄量3.0mg/100g)。
実施例8
タブレット(グルコース5%、ラクトース50%)10gに実施例4で得られた乳化剤被覆された不溶性鉄組成物粉末(鉄として約21.0重量%含有)0.1gを添加して、打錠を行い、鉄強化タブレットを得た(鉄量2.1mg/1g)。
タブレット(グルコース5%、ラクトース50%)10gに実施例4で得られた乳化剤被覆された不溶性鉄組成物粉末(鉄として約21.0重量%含有)0.1gを添加して、打錠を行い、鉄強化タブレットを得た(鉄量2.1mg/1g)。
これまで還元作用を有する糖を含有した飲食品に鉄塩を添加しても、還元作用を有する糖の影響により鉄味がより強い2価鉄が生成され、特有の鉄味の発生がする問題があったが、鉄強化用組成物として、本願発明で得られた乳化剤被膜した3価の水不溶性鉄塩を配合することにより、還元作用を有する糖が存在していても特有の鉄味の発生が低減されるので、飲食品に対する鉄強化用組成物として有用であり、その産業上の利用価値は大である。
Claims (5)
- 還元作用を有する糖を含有する飲食品に用いることを特徴とする、3価の水不溶性鉄塩と乳化剤を含有してなる鉄強化用組成物
- 3価の水不溶性鉄塩が乳化剤により被覆されていることを特徴とする、請求項1記載の鉄強化用組成物
- 乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、およびリゾレシチンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の鉄強化用組成物。
- 請求項1〜3いずれかに記載の鉄強化用組成物を含有し、鉄味の発生が抑制されたことを特徴とする、還元作用を有する糖を含有する鉄強化飲食品
- 2価の鉄イオン濃度が、飲食品全体の鉄濃度に対して50%以下であり、かつ2mg/100g以下であることを特徴とする請求項4に記載の鉄強化飲食品
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