JP2920298B2 - スクータ型自動二輪車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、スクータ型自動二輪車に関する。

（従来の技術） この種のスクータ型自動二輪車はヘッドパイプの後下
方にステップ部を有しており、該ステップ部からは左右
一対のシートレールフレームが延出している。このシー
トレールフレームはステップ部から後方に向かって斜め
上方に立ち上がり、そこから略水平に後方へ向かって延
出しており、該シートレールフレームの上方にはシート
等が設けられ、同シートレールフレームの下方にはユニ
ットスイング式エンジンが設けられている。そして、シ
ートレールフレーム、ユニットスイング式エンジン等は
ボディカバーによって被われている（例えば、特開昭57
−114774号公報参照）。

（発明が解決しようとする課題） 上記構成を有する従来のスクータ型自動二輪車におい
ては、シートレールフレームがボディカバーの内側に位
置するためにこれがボディカバー内の有効スペースを狭
める結果となっている。このため、特にヘルメットの収
納空間の確保に苦慮する。

又、ユニットスイング式エンジンの懸架軸はシートレ
ールフレームの幅に規制されるため、該エンジンの支持
剛性を高めることが困難であるという問題があった。

本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的
とする処は、ステップ部から後方へ延出する左右のフレ
ーム部材を意匠面として構成することによって、これら
の内側に大きなスペースを確保することができるととも
に、ボディカバーの高さ寸法の縮小等を図ることができ
るスクータ型自動二輪車を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明は、シート下方にユ
ニットスイング式エンジンを備えるスクータ型自動二輪
車において、ヘッドパイプの後下方に位置するステップ
部から後方へ延出し車体の左右最外側に位置して意匠面
を構成する左右のフレーム部材を鋳造にて成形し、該フ
レーム部材の外側面と、当該フレーム部材の上方に位置
して該フレーム部材とは別部品である樹脂製のボディカ
バーの外側面とで連続面を形成するとともに、各フレー
ム部材の上部に車体内側に延びるエンジン支持部を一体
に形成し、左右のエンジン支持部同士を連結するととも
に、左右のエンジン支持部にその両端部が支持されるピ
ボットシャフトによって前記ユニットスイング式エンジ
ンを回動自在に支持したことを特徴とする。

（作用） 本発明によれば、左右のフレーム部材が車体の最外側
に位置するため、これらの内側に大きなスペースが確保
され、このスペース内にヘルメット等を収納するための
ボックス、その他の部品を納めることができる。

又、フレーム部材が意匠面を構成することができるた
め、このフレーム部材が従来の自動二輪車のボディカバ
ーの一部を構成することとなり、本発明に係る自動二輪
車のボディカバーの高さ寸法がフレーム部材の高さ寸法
だけ縮小されることとなってボディカバーの素材である
樹脂材が少なくて済むこととなる。

更に、本発明によれば、各フレーム部材の上部に車体
内側に延びるエンジン支持部を一体に形成したために部
品点数が削減され、又、左右のエンジン支持部同士を一
体に形成したためにフレーム部材の剛性が高められる。

又、車体の最外側に位置して意匠面を構成する左右の
フレーム部材に一体に形成されたエンジン支持部にその
両端部が支持されるピボットシャフトによってユニット
スイング式エンジンを回動自在に支持したため、該ユニ
ットスイング式エンジンの懸架幅が拡大して該エンジン
の支持剛性が高められる。

（実施例） 以下に本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図は本発明に係るスクータ型自動二輪車のフレー
ム構造を示す側面図、第２図は同部分平面図、第３図
（ａ），（ｂ）はそれぞれ第１図のＡ−Ａ線、Ｂ−Ｂ線
断面図、第４図、第５図はそれぞれ第１図のＣ−Ｃ線、
Ｄ−Ｄ線断面図、第６図は第１図の矢視Ｅ方向の図、第
７図は第１図のＦ−Ｆ線断面図である。

第１図に示すスクータ型自動二輪車１において、２は
車体前方に位置するヘッドパイプであり、該ヘッドパイ
プ２内には不図示のステアリングシャフトが挿通してい
る。そして、このステアリングシャフトの上端にはハン
ドル３が取り付けられ、下端にはフロントフォーク４が
取り付けられており、該フロントフォーク４の下端には
前輪５が回転自在に軸支されている。尚、車体の前部は
樹脂製のフロントカバー６にて被われている。

又、前記ヘッドパイプ２からは角パイプ状（第３図参
照）のダウンフレーム７が後方に向かって斜め下方に延
出しており、該ダウンフレーム７は途中で略直角に曲げ
られて後方に向かって斜め上方に延出している。そし
て、このダウンフレーム７の後端部の前後からは第２図
及び第３図に示すように左右２本のクロスメンバー8,
8、9,9が側方へ向かって突設されており、左右のクロス
メンバー8,9、8,9にはアルミニウム鋳造によって一体成
形された左右一対のフレーム部材であるサイドフレーム
10,10が取り付けられている。即ち、各サイドフレーム1
0の前部に形成されるステップ部10aは第３図に示すよう
に断面コの字状に成形され、該ステップ部10aの内側に
開口する開口部10a−１には前記クロスメンバー8,9の端
部が差し込まれており、これらステップ部10aとクロス
メンバー8,9とはボルト11…及びナット12…によって締
付一体化されている。

上記各サイドフレーム10は図示のように車体の最外側
に位置しており、そのステップ部10aからはフレーム部1
0bが後方に向かって斜め上方に略直線状に延出してお
り、このフレーム部10bとステップ部10aとは滑らかな連
続面10cで繋がれている。そして、ステップ部10aにおい
ては、その幅寸法は大きく、高さ寸法が小さく設定され
ており、フレーム部10bは意匠面を構成している。

ところで、サイドフレーム10,10のステップ部10a,10a
間の部位はライダーが足を載せるべきステップ部13を構
成しているが、このステップ部13においては、サイドフ
レーム10,10のステップ部10a,10a間のクロスメンバー8,
8、9,9及びダウンフレーム７上には、第２図及び第３図
に示すように底板14が嵌め込まれており、該底板14の後
端部は上方に立ち上がっている。

一方、第１図に示すように前記サイドフレーム10,10
間には、ユニットスイング式エンジン15の前部が枢着支
持されており、同ユニットスイング式エンジン15の後部
はリヤクッション16を介してサイドフレーム10,10側に
懸架されている。そして、ユニットスイング式エンジン
15の後部から側方へ向かって突出する不図示の出力軸に
は後輪17が取り付けられている。

ここで、ユニットスイング式エンジン15の懸架構造を
第４図及び第５図に基づいて説明する。

第４図に示すように、各サイドフレーム10の上部には
車体内側に延びるエンジン支持部としての取付部10が一
体に形成されており、左右の取付部10d,10d（一方は図
示せず）間にはクロスメンバー18がボルト19,19によっ
て取り付けられて架設されている。

又、各取付部10dにはピボットブラケット20がボルト2
1にて垂直に取り付けられており、このピボットブラケ
ット20にはリンク部材22がボルト23及びナット24にて締
着されている。そして、左右のリンク部材22,22（一方
は図示せず）間には、ピボットシャフト25がこれの一端
に螺合するナット26にて締め付けられて横架されてお
り、このピボットシャフト25によってユニットスイング
式エンジン15の先端ボス部15aが挿通支持されている。

又、第５図に示すように両サイドフレーム10,10（一
方のみ図示）間にはクロスメンバー27がボルト28,28
（一方のみ図示）によって取り付けられて横架されてお
り、該クロスメンバー27の一端部側にはチャンネル状の
クッションブラケット29がボルト30及びナット31にて締
着されている。そして、このクッションブラケット29に
は前記リヤクッション16の上端部がボルト32及びナット
33によって取り付けられている。尚、リヤクッション16
の下端部は第１図に示すようにユニットスイング式エン
ジン15の後端ボス部15bに連結されている。又、第１図
及び第２図中、34は両サイドフレーム10,10間に架設さ
れたクロスメンバーである。

ところで、本実施例においては、前記ユニットスイン
グ式エンジン15の左右には第１図に示すようにエアクリ
ーナボックス35とオイルタンク36が配されている。

又、前述のようにサイドフレーム10,10は車体の最外
側に位置し、そのフレーム部10b,10bは意匠面を構成す
るため、前記取付部10d,10d、ピボットブラケット20、
リンク部材22、クッションブラケット29等は全て両サイ
ドフレーム10,10の内側に配され、これらが露出して美
感を損ねることがない。又、サイドフレーム10,10のフ
レーム部10b,10bが意匠面を構成するため、樹脂製のボ
ディカバー37は該フレーム部10b,10bの上方に位置し、
該ボディカバー37の外側とフレーム部10b,10bの外側面
とは第４図乃至第７図に示すように滑らかな連続面を構
成している。

ところで、ボディカバー37の上部にシート38が配され
るが、該シート38の下方でボディカバー37とサイドフレ
ーム10,10にて囲まれる空間には、ヘルメット等を収納
すべき収納ボックス39と燃料タンク40が収納されてい
る。収納ボックス39は第１図に示すようにその前方上部
がヒンジ軸41にてシート38に取り付けられており、底部
が前記クロスメンバー18にボルト42…によって取り付け
られている。

又、前記燃料タンク40は収納ボックス39の後方の車体
後端部に配され、これは前記サイドフレーム10,10及び
クロスメンバー27に取り付けられている。即ち、第１
図、第５図及び第６図に示すように燃料タンク40の周縁
にはフランジ部40aが形成されており、該燃料タンク40
はその前半部をクロスメンバー27の中空部27aに通し、
フランジ部40aをクロスメンバー27及びサイドフレーム1
0,10にボルト43…にて締着することによって、サイドフ
レーム10,10とクロスメンバー27に取り付けられてい
る。尚、各サイドフレーム10とボディカバー37との接合
部には、第６図に示すようにゴムダンパー44が部分的に
介在せしめられている。

以上において、本実施例では、サイドフレーム10,10
を車体の最外側に位置せしめたため、これらの内側には
大きな収納スペースが確保され、このスペース内にヘル
メット等を収納すべき収納ボックス39や燃料タンク40を
十分収納することが可能となる。

又、サイドフレーム10,10のフレーム部10b,10bが意匠
面を構成するため、このフレーム部10b,10bが従来のス
クータ型自動二輪車のボディカバーの一部を構成するこ
ととなり、本実施例に係る自動二輪車１のボディカバー
37の高さ寸法が該フレーム部10b,10bの高さ寸法分だけ
縮小されることなってボディカバー37の素材である樹脂
材が少なくて済むというメリットも得られる。

更に、本実施例では、左右のサイドフレーム10,10の
各上部に車体内側に延びる取付部10d,10dを一体に形成
したために部品点数が削減され、又、左右の取付部10d,
10d同士をクロスメンバー18によって連結したためにサ
イドフレーム10,10の剛性が高められる。

又、車体の最外側に位置して意匠面を構成するサイド
フレーム10,10に一体に形成された取付部10d,10dにその
両端部が支持されるピボットシャフト25によってユニッ
トスイング式エンジン15を回動自在に支持したため、該
ユニットスイング式エンジン15の懸架幅が拡大して該エ
ンジン15の支持剛性が高められる。

（発明の効果） 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、シー
ト下方にユニットスイング式エンジンを備えるスクータ
型自動二輪車において、ヘッドパイプの後下方に位置す
るステップ部から後方へ延出し車体の左右最外側に位置
して意匠面を構成する左右のフレーム部材を鋳造にて成
形し、該フレーム部材の外側面と、当該フレーム部材の
上方に位置して該フレーム部材とは別部品である樹脂製
のボディカバーの外側面とで連続面を形成するととも
に、各フレーム部材の上部に車体内側に延びるエンジン
支持部を一体に形成し、左右のエンジン支持部同士を連
結するとともに、左右のエンジン支持部にその両端部が
支持されるピボットシャフトによって前記ユニットスイ
ング式エンジンを回動自在に支持したため、左右のフレ
ーム部材を意匠面として構成することができ、これらの
内側に大きなスペースを確保することができるととも
に、ボディカバーの高さ寸法の縮小、フレーム部材及び
エンジン支持部の剛性向上、部品点数の削減等を図るこ
とができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るスクータ型自動二輪車のフレーム
構造を示す側面図、第２図は同部分平面図、第３図
（ａ），（ｂ）はそれぞれ第１図のＡ−Ａ線、Ｂ−Ｂ線
断面図、第４図、第５図はそれぞれ第１図のＣ−Ｃ線、
Ｄ−Ｄ線断面図、第６図は第１図の矢視Ｅ方向の図、第
７図は第１図のＦ−Ｆ線断面図である。 １……スクータ型自動二輪車、２……ヘッドパイプ、10
……サイドフレーム（フレーム部材）、10a……ステッ
プ部、10d……取付部（エンジン支持部）、15……ユニ
ットスイング式エンジン、25……ピボットシャフト、37
……ボディカバー、38……シート。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シート下方にユニットスイング式エンジン
   を備えるスクータ型自動二輪車において、 ヘッドパイプの後下方に位置するステップ部から後方へ
   延出し車体の左右最外側に位置して意匠面を構成する左
   右のフレーム部材を鋳造にて成形し、該フレーム部材の
   外側面と、当該フレーム部材の上方に位置して該フレー
   ム部材とは別部品である樹脂製のボディカバーの外側面
   とで連続面を形成するとともに、各フレーム部材の上部
   に車体内側に延びるエンジン支持部を一体に形成し、左
   右のエンジン支持部同士を連結するとともに、左右のエ
   ンジン支持部にその両端部が支持されるピボットシャフ
   トによって前記ユニットスイング式エンジンを回動自在
   に支持したことを特徴とするスクータ型自動二輪車。