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JP2903755B2 - 能動型サスペンション - Google Patents

能動型サスペンション

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Publication number
JP2903755B2
JP2903755B2 JP9403491A JP9403491A JP2903755B2 JP 2903755 B2 JP2903755 B2 JP 2903755B2 JP 9403491 A JP9403491 A JP 9403491A JP 9403491 A JP9403491 A JP 9403491A JP 2903755 B2 JP2903755 B2 JP 2903755B2
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JP
Japan
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lateral acceleration
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vehicle
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acceleration detection
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JP9403491A
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研輔 福山
直人 福島
洋介 赤津
至 藤村
正晴 佐藤
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、能動型サスペンション
に係り、特に、車両の旋回制動時のタックイン現象を防
止するようにした能動型サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の能動型サスペンションとしては、
例えば本出願人が先に提案した特開昭60−19181
2号公報に記載されているものがある。
【0003】この従来例は、車両のステア特性を変化可
能なステア特性制御機構と、車両の横加速度を検出する
横加速度検出手段と、車両の制動動作を検出する制動検
出手段と、両検出手段の検出値に基づいて横加速度が所
定値以上で、且つ制動状態であるときに、前記ステア特
性制御機構を車両がアンダステア化するように作動させ
る制御手段とを備えた構成を有し、この構成により旋回
制動時のタックイン減少を防止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の能動型サスペンションにあっては、横加速度が所定
値以上で制動状態になったときに車両をアンダーステア
化する構成となっていたため、コーナー進入時に先ず減
速してから操舵入力し、これによって横加速度が増加す
るという一連の動作中に横加速度が所定値以上あり、且
つ制動加速度も働いているような場合にも、車両ステア
特性がアンダーステア化されてコーナー進入時のアンダ
ーステア感が強くなって回頭性が低下するという未解決
の課題がある。
【0005】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、コーナー進入時の
アンダーステア感が強くなることを抑制しながら効果的
にタックイン現象を防止することができる能動型サスペ
ンションを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するた
め、本発明に係る能動型サスペンションは、図1に示す
ように、車両に作用する横加速度を検出する横加速度検
出手段と、車両の制動状態を検出する制動状態検出手段
と、前記横加速度検出手段及び制動状態検出手段の各検
出値を入力し、横加速度が所定以上で制動状態となった
ときに車両に発生する左右輪間荷重移動量の前輪側配分
を大きくする荷重移動量制御手段を備えた能動型サスペ
ンションにおいて、前記横加速度検出手段及び荷重移動
量制御手段間に、当該横加速度検出手段の横加速度検出
値に対して遅れ時間を与える遅延手段を介挿したことを
特徴としている。
【0007】
【作用】本発明においては、横加速度検出手段で検出し
た横加速度検出値をローパスフィルタ、遅延回路等の遅
延手段を介して荷重移動量制御手段に入力するようにし
ているので、荷重移動量制御手段での横加速度検出値に
遅延時間を生じることから荷重移動量制御手段によるア
ンダーステア化するタイミングが遅れることにより、過
渡的にアンダーステア化する閾値を上げたことになり、
コーナー進入時には、車両のステア特性をニュートラル
ステアに近い状態を維持して、回頭性を確保し、タック
イン現象を生じる横加速度領域となると、車両のステア
特性をアンダーステア化する。このため、車両のタック
イン現象を生じ易い横加速度領域だけをアンダーステア
化することができ、車両の旋回特性を向上させることが
できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0009】図2は本発明の一実施例を示す概略構成図
であって、後輪駆動車である場合を示している。図中、
10FL,10FRは非駆動輪となる前左輪,前右輪、
10RL,10RRは駆動輪となる後左輪,後右輪,1
2は車輪側部材,14は車体側部材を各々示し、16は
能動型サスペンションを示す。
【0010】能動型サスペンション16は、車体側部材
14と各車輪側部材12との間に各別に装備された流体
シリンダとしての油圧シリンダ18FL〜18RRと、
この油圧シリンダ18FL〜18RRの作動油圧を各々
調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、本油圧系の
油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御弁20FL
〜20RR間に介挿された蓄圧用のアキュムレータ2
4,24と、車体の横方向に作用する横加速度を検出す
る横加速度センサ26と、車体の前後方向に作用する前
後加速度を検出する制動状態検出手段を構成する前後加
速度センサ28と、圧力制御弁20FL〜20RRの出
力圧を個別に制御するコントローラ30とを備えてい
る。ここで、油圧シリンダ18FL〜18RR及び圧力
制御弁20FL〜20RRで輪荷重調節手段が構成され
ている。
【0011】また、能動型サスペンション16は、油圧
シリンダ18FL〜18RRに対して車輪側部材12及
び車体部材14間に個別に並列装備されたコイルスプリ
ング36,…,36と、油圧シリンダ18FL〜18R
Rの後述する圧力室Lに個別に連通した絞り弁32及び
振動吸収用のアキュムレータ34とを含む。ここで、各
コイルスプリング36は、比較的低いバネ定数であって
車体の静荷重を支持するようになっている。
【0012】油圧シリンダ18FL〜18RRの各々
は、シリンダチューブ18aを有し、このシリンダチュ
ーブ18aには、ピストン18cにより閉塞された上側
圧力室Lが形成されている。そして、シリンダチューブ
18aの上端が車体側部材14に取付けられ、ピストン
ロッド18bの下端が車輪側部材12に取付けられてい
る。
【0013】また、圧力制御弁20FL〜20RRの各
々は、円筒状の挿通孔内に摺動可能に収容されたスプー
ルを有する弁ハウジングと、この弁ハウジングに一体に
設けられた比例ソレノイドとを有するパイロット操作形
に形成されている。この圧力制御弁20FL〜20RR
の作動油に対する供給ポート及び戻りポートが油圧配管
38,39を介して油圧源22の作動油供給側及び作動
油戻り側に連通され、出力ポートが油圧配管40を介し
て油圧シリンダ18FL〜18RRの圧力室Lの各々に
連通されている。
【0014】このため、比例ソレノイドの励磁コイルに
供給する圧力指令値としての励磁電流Iの値を制御する
ことにより、励磁電流Iに応じた出力圧Pを出力ポート
から油圧シリンダ18FL(〜18RR)の圧力室Lに
供給できる。つまり、制御圧PC は、図3に示す如く、
励磁電流iをその最小値iMIN から最大値iMAX まで変
化させると、これに略比例して最小圧PMIN から最大圧
MAX (油圧源22のライン圧)まで直線的に変化す
る。
【0015】さらに、横加速度センサ26は、図4に示
すように、直進走行状態で零、直進走行状態から右操舵
した右旋回状態で横加速度に応じた正の電圧値となり、
反対に左操舵した左旋回状態で横加速度に応じた負電圧
値となる横加速度検出値YG を出力する。また、前後加
速度センサ28は、図5に示すように、停車時又は定速
走行時に零、車両の加速時にその加速状態に応じた正の
電圧値となり、反対に車両の減速時にその減速状態に応
じた負の電圧値となる前後加速度検出値XG を出力す
る。
【0016】コントローラ30は、図6に示すように、
横加速度センサ26の横加速度検出値YG をディジタル
値に変換するA/D変換器82と、前後加速度センサ2
8の前後加速度検出値XG をディジタル値に変換するA
/D変換器83と、各A/D変換器82,83の変換出
力が入力されるマイクロコンピュータ84と、このマイ
クロコンピュータ84から出力される圧力指令値IFL
RRをアナログ値に変換するD/A変換器85FL〜8
5RRと、これらD/A変換器の変換出力が入力され、
これらに基づいて各圧力制御弁20FL〜20RRの比
例ソレノイドに対する励磁電流iFL〜iRRを出力するソ
レノイド駆動回路86FL〜86RRとを備えている。
【0017】ここで、マイクロコンピュータ84は、少
なくとも入力インタフェース回路84a、出力インタフ
ェース回路84b、演算処理装置84c及び記憶装置8
4dを備え、演算処理装置84cで、前後加速度検出値
G が負である制動状態であると判断したときに、横加
速度検出値YG を例えばローパスフィルタ処理によるり
遅延処理を行って例えば1秒程度の遅延時間を発生さ
せ、この遅延横加速度検出値YGDに基づいて制御ゲイン
Y を算出すると共に、前後加速度検出値XG に基づい
て後述する前後配分比補正値αX を算出し、制御ゲイン
Y と戦後配分比補正値αx とに基づいて左右輪間の荷
重移動量の前輪側配分αを算出し、この前輪側配分α
と、横加速度検出値YG とに基づいて各圧力制御弁20
FL〜20RRに対する圧力指令値IFL〜IRRを算出
し、これらを出力インタフェース回路84bを介してD
/A変換器85FL〜85RRに出力する。
【0018】記憶装置84dは、演算処理装置84cの
演算処理に必要な処理プログラムを予め記憶していると
共に、演算処理装置の処理結果を逐次記憶し、且つ演算
処理に必要な遅延横加速度検出値YGDとゲインKY との
関係を示すゲイン変換マップ及び前後加速度検出値XG
と前後配分比補正値αX との関係を示す補正値変換マッ
プを予め記憶している。
【0019】ここで、ゲイン変換マップは、図7に示す
ように、制御ゲインKY が、遅延横加速度検出値YGD
絶対値が予め設定した閾値YGD1 に達するまでの間は
“0”ゲインを維持し、遅延横加速度検出値の絶対値|
GD|が設定値YGD1 を越えると、ゲインKY が直線的
に増加し、遅延横加速度検出値の絶対値|YGD|がYGD
2 以上となると“1”を維持するように設定されてい
る。
【0020】また、補正値変換マップは、図8に示すよ
うに、前後加速度検出値の絶対値|XG |が予め設定さ
れた前後加速度設定値XG1に達するまでの間は補正値α
Y が直線的に増加し、前後加速度検出値の絶対値|XG
|が設定値XG2を越えると、予め設定された最大値α
max を維持し、さらに設定値XG3を越えると、直線的に
減少し、設定値XG4以上となると零を維持するように設
定されて、タックイン現象を生じ易い減速度領域で前輪
側配分αが大きくなるように選定されている。
【0021】次に、上記実施例の動作を演算処理装置8
4cの処理手順を示す図9のフローチャートを伴って説
明する。
【0022】すなわち、図9のフローチャートは、所定
のメインプログラムに対して所定時間(例えば20mse
c)毎に起動されるタイマ割込処理として実行され、先
ずステップS1で、横加速度センサ26の横加速度検出
値YG及び前後加速度センサ28の各検出値を読込む。
【0023】次いで、ステップS2に移行して、車両が
制動状態であるか否かを前後加速度検出値XG が負であ
るか否かによって判定し、XG ≧0であるときに制動状
態ではないものと判断して、ステップS3に移行し、制
御ゲインKY 及び補正値αY を零に設定してから後述す
るステップS7に移行し、XG <0であるときには、ス
テップS4に移行する。
【0024】このステップS4では、横加速度検出値Y
G をローパスフィルタ処理することにより、1秒程度の
遅延時間となる遅延横加速度検出値YGDを算出し、次い
でステップS5に移行して、算出した遅延横加速度検出
値YGDをもとに図7のゲイン変換マップを参照して、制
御ゲインKY を算出する。次いで、ステップS6に移行
して、前後加速度検出値XG をもとに図8の補正値変換
マップを参照して、前輪側配分補正値αY を算出してか
らステップS7に移行する。
【0025】このステップS7では、下記(1) 式の演算
を行って、左右輪間の荷重移動量の前輪側配分αを算出
する。
【0026】α=α0 +KY ・αY …………(1) ここで、α0 は初期設定値であって、例えば0.5に設
定されている。
【0027】次いで、ステップS8に移行して、下記
(2) 式〜(5)式に従って各圧力制御弁20FL〜20R
Rに対する圧力指令値IFL〜IRRを算出する。
【0028】IFL=IFL0 +α・KL ・YG
………(2) IFR=IFR0 −α・KL ・YG …………(3) IRL=IRL0 +(1−α)KL ・YG …………(4) IRR=IRR0 −(1−α)KL ・YG …………(5) ここで、IFL0 〜IRR0 は車体をフラットに維持するた
めの中立圧指令値、KL はロール抑制制御ゲインであ
る。
【0029】次いで、ステップS9に移行して、上記ス
テップS8で算出した圧力指令値I FL〜IRRをD/A変
換器85FL〜85RRに出力してからタイマ割込処理
を終了する。
【0030】ここで、前後加速度センサ28及びステッ
プS2の処理が制動状態検出手段に対応し、ステップS
4の処理が遅延手段に対応し、ステップS5〜S9の処
理が荷重移動量制御手段に対応している。
【0031】したがって、今、車両が凹凸が無く乾燥し
たコンクリート路等の高摩擦係数を有する良路を直進定
速走行しているものとする。この直進定速走行状態で
は、横加速度センサ26の横加速度検出値YG 及び前後
加速度センサ28の前後加速度検出値XG が共に零とな
る。このため、ステップS2で直進走行状態であると判
断されるので、ステップS3に移行して、制御ゲインK
Y 及び補正値αY が零に設定され、次いでステップS7
に移行するので、前輪側配分αは初期設定値α0 とな
る。
【0032】次いで、ステップS8に移行して、圧力指
令値IFL〜IRRを算出するが、このとき横加速度検出値
G が零であることにより、(2) 〜(5) 式の右辺第2項
が零となって、各圧力指令値IFL〜IRRは、それぞれ中
立圧指令値IFL0〜IRR0 となり、これらがD/A変換
器85FL〜85RRに出力される。
【0033】このため、各駆動回路86FL〜86RR
から出力される励磁電流iFL〜iRRが各油圧シリンダ1
8FL〜18RRで車体をフラットに維持可能な推力で
且つ車両のステア特性を例えばニュートラルステアに維
持する電流値となり、圧力制御弁20FL〜20RRの
制御圧PC が中立圧PCNとなって、油圧シリンダ18F
L〜18RRで車体をフラットで且つニュートラルステ
ア特性に維持する推力を発生する。
【0034】この直進定速走行状態から、旋回状態に移
行するために、先ずブレーキペダルを踏込んで制動状態
とすると、車体に減速度が作用して前後加速度センサ2
8の前後加速度検出値XG が負方向に増加する。このた
め、ステップS2で制動状態であると判断されるので、
ステップS4に移行して横加速度検出値YG をローパス
処理して遅延横加速度検出値YGDを算出する。しかしな
がら、この状態では旋回前であるので、横加速度検出値
G が零を維持している関係上、遅延横加速度検出値Y
GDも零を維持している。このため、ステップS5で算出
される制御ゲインKY は零を維持するので、ステップS
7で算出される前輪側配分αも初期設定値α0 を維持
し、ステップS8で算出される圧力指令値IFL〜IRR
中立圧指令値IFL0 〜IRR0 を維持する。
【0035】そして、この制動状態を維持しながらステ
アリングホイール(図示せず)を右(又は左)切りして
右(又は左)旋回状態に移行すると、車体に横加速度が
発生することになる。このため、横加速度センサ26か
ら出力される横加速度検出値YG が図10で実線図示の
ように零から横加速度に対応した正(又は負)方向に増
加する。このとき、制動状態を継続しており、ステップ
S2からステップS4に移行する状態を継続するので、
ステップS4でローパスフィルタ処理によって算出され
る遅延横加速度検出値YGDは、図10で破線図示のよう
に、横加速度検出値YG に対して1秒程度遅れて増加す
ることになる。一方、前後加速度検出値XG は制動状態
を継続していることから、設定値XG1以上となる負の比
較的大きな値となっており、ステップS6で算出される
前輪側配分補正値αY は最大値α Ymaxとなっている。
【0036】しかしながら、遅延横加速度検出値YGD
予め設定したYGD1 に達するまでの間は、ステップS5
で算出される制御ゲインKY が零を維持するので、ステ
ップS7で算出される左右輪間の荷重移動量の前輪側配
分αは初期設定値α0 を維持することになり、車両のス
テア特性は略ニュートラルステア特性を維持して、旋回
開始時の回頭性を確保することができると共に、横加速
度検出値YG の増加によってステップS8で算出される
各圧力指令値IFL〜IRRは、車体が沈み込む左側(又は
右側)の圧力制御弁20FL,20RLの圧力指令値I
FL,IRL(又は圧力制御弁20FR,20RRの圧力指
令値IFR, RR)が前述した直進走行状態における圧力
指令値IFL0,RL0 (又はIFR0,RR0)に対してα・
L ・Y G ,(1−α)KL ・YG 分増加し、逆に車体
が迫り上がる右側(又は左側)の圧力制御弁20FR,
20RRの圧力指令値IFR,IRR(又は圧力制御弁20
FL,20RLの圧力指令値IFL, RL)が前述した直
進走行状態における圧力指令値IFR0,RR0 (又はI
FL0,RL0 )に対してα・KL ・YG ,(1−α)・K
L ・YG 分減少する。
【0037】この結果、外輪側の油圧シリンダ18F
L,18RL(又は18FR,18RR)の推力が共に
略等しく増加し、内輪側の油圧シリンダ18FR,18
RR(又は18FL,18RL)の推力が共に略等しく
減少することにより、アンチロール効果を発揮して車体
を略フラットな状態に維持することができる。
【0038】このように、旋回を開始した後、遅延横加
速度検出値YGDが増加して、設定値YGD1 以上となる
と、これに応じてステップS5で算出される制御ゲイン
Y が徐々に増加し、ステップS7で算出される前輪側
配分αが初期設定値α0 より徐々に増加することにな
る。このため、ステップS8で算出される圧力指令値I
FL〜IRRは、前輪側では、前輪側配分αが設定値α0
り大きな値となることから、旋回外輪側の圧力指令値I
FL(又はIFR)がα・KL ・YG 分増加し、旋回内輪側
の圧力指令値IFR(又はIFL)がα・KL ・YG 分減少
して左右輪間の荷重移動量が大きくなり、且つ後輪側で
は駆動輪側配分(1−α)が設定値α0 より小さくなる
ため、左右輪間の荷重移動量が小さくなり、これに応じ
て車両のステア特性がアンダーステア側に変更され、タ
ックイン現象を防止して、車両の旋回性能及び安定性を
向上させることができる。
【0039】因みに、従来例のように、横加速度検出値
G に基づいて車両のステア特性をアンダーステア側と
する場合には、図10の実線図示の曲線L1 上の点Aで
前輪側配分αが増加を開始することになり、旋回開始直
後から車両のステア特性がアンダーステア側に変更開始
されることになり、アンダーステア感が強くなるもので
あるが、上記実施例によれば、図10で破線図示の曲線
2 上の点Bでステア特性がアンダーステア側に変更開
始されることになり、これと同時点の曲線L1 上の点C
で表されるように、前記点Aに比較してアンダーステア
側への変更開始が遅れることになり、旋回初期時のアン
ダーステア感を弱めて回頭性を向上させながらタックイ
ン現象を生じる領域では強アンダーステア特性を確保し
てタックイン現象を確実に防止することができる。
【0040】なお、上記各実施例においては、コントロ
ーラ30としてマイクロコンピュータを適用した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、関
数発生器、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成す
ることもできる。
【0041】また、上記各実施例においては、制御弁と
して圧力制御弁を適用して圧力制御を行う場合について
説明したが、これに限らず流量制御弁を適用して流量制
御を行うようにしてもよい。
【0042】さらに、上記各実施例においては、車両の
横加速度を検出してアンチロール制御を行う能動型サス
ペンションについて説明したが、これに限定されるもの
ではなく、車体の前後加速度を使用するアンチピッチ制
御、上下加速度を使用するアンチバウンス制御等を単独
又は互いに組み合わせるようにしてもよい。
【0043】さらにまた、上記実施例においては、作動
流体として作動油を適用した場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、他の圧縮性の低い流体
を適用することができる。
【0044】また、上記各実施例においては、輪荷重調
節手段を構成するアクチュエータとして油圧シリンダを
適用した場合について説明したが、これに限定されるも
のではなく、空気圧シリンダ等の他のアクチュエータを
適用することもできる。
【0045】さらに、上記実施例では、制動状態検出手
段として、前後加速度センサ28を適用した場合につい
て説明したが、これに限定されるものではなく、マスタ
ーシリンダの圧力上昇を検出する圧力センサ、ブレーキ
ペダルの踏力を検出する踏力センサ、ブレーキペダルの
踏込ストロークを検出するストロークセンサ、皿にはエ
ンジンブレーキ発生の原因となるアクセルペダルの急戻
し操作を検出するスロットル開度センサ等の制動状態を
検出可能なセンサを適用し得る。
【0046】さらにまた、上記実施例においては、横加
速度検出値YG の遅延手段として、マイクロコンピュー
タでローパスフィルタ処理する場合について説明した
が、これに限らず、横加速度検出値YG をアナログロー
パスフィルタ及びA/D変換器を介してマイクロコンピ
ュータ84に入力するようにしてもよく、さらには遅延
回路等のむだ時間要素を適用することもできる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る能動
型サスペンションによれば、横加速度検出手段で検出し
た横加速度検出値を遅延手段で所定時間遅延させて輪荷
重制御手段に供給する構成としたので、車両が制動状態
で旋回する場合に旋回初期時のアンダーステア感を弱め
て回頭性を確保しながらタックイン現象を生じ易い横加
速度領域のみ車両のステア特性をアンダーステア側とし
て、タックイン現象を効果的に抑制することができ、旋
回性能を向上させることができるという効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す基本構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】上記実施例に適用し得る圧力制御弁の出力特性
線図である。
【図4】上記実施例に適用し得る横加速度センサの出力
特性線図である。
【図5】上記実施例に適用し得る前後加速度センサの出
力特性線図である。
【図6】上記実施例に適用し得るコントローラの一例を
示すブロック図である。
【図7】上記実施例に適用し得る遅延横加速度YG と制
御ゲインKY との関係を示すゲイン変換マップを示す説
明図である。
【図8】上記実施例に適用し得る前後加速度XG と前輪
側配分補正値αY との関係を示す補正値変換マップを示
す説明図である。
【図9】コントローラに適用し得るマイクロコンピュー
タの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】上記実施例の動作の説明に供する旋回時の前
後加速度と横加速度との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10FL,10FR 前輪(非駆動輪) 10RL,10RR 後輪(駆動輪) 16 能動型サスペンション 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 26 横加速度センサ 28 前後加速度センサ(制動状態検出手段) 30 コントローラ 84 マイクロコンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 至 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 佐藤 正晴 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/015

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に作用する横加速度を検出する横加
    速度検出手段と、車両の制動状態を検出する制動状態検
    出手段と、前記横加速度検出手段及び制動状態検出手段
    の各検出値を入力し、横加速度が所定以上で制動状態と
    なったときに車両に発生する左右輪間荷重移動量の前輪
    側配分を大きくする荷重移動量制御手段を備えた能動型
    サスペンションにおいて、前記横加速度検出手段及び荷
    重移動量制御手段間に、当該横加速度検出手段の横加速
    度検出値に対して遅れ時間を与える遅延手段を介挿した
    ことを特徴とする能動型サスペンション。
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