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JP2976567B2 - スクロ−ル圧縮機 - Google Patents

スクロ−ル圧縮機

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JP2976567B2
JP2976567B2 JP3088141A JP8814191A JP2976567B2 JP 2976567 B2 JP2976567 B2 JP 2976567B2 JP 3088141 A JP3088141 A JP 3088141A JP 8814191 A JP8814191 A JP 8814191A JP 2976567 B2 JP2976567 B2 JP 2976567B2
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昌寛 竹林
博 岩田
和夫 関上
恒一 稲場
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スクロ−ル圧縮機に係
り、特に空気調和機、冷蔵庫等の冷凍機に用いられ、冷
凍機の小形化を図るのに好適な圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍機に用いられる従来の圧縮機は、例
えば、特開平1−170780号公報に記載のように、
圧縮機に吸い込まれる冷媒中に液冷媒が多量に含まれる
場合に、圧縮機構部の圧縮室において液圧縮等の異常な
高圧が発生するのを避けるために、液冷媒を一時的に貯
溜するアキュムレ−タが、熱交換器と圧縮機との間の配
管に取付けられている。
【0003】また、冷凍サイクルに接続した従来の圧縮
機を低温の周囲雰囲気中に長時間放置した場合、冷凍サ
イクルに封入されている冷媒が圧縮機内の冷凍機油に多
量に溶け込み、圧縮機構部を収納した密閉容器であるチ
ャンバ内が冷媒が溶け込んだ冷凍機油で満たされること
がある。したがって、圧縮機の圧縮室内もこの冷凍機油
で満たされるため、この状態で始動すると液体を圧縮す
ることになり、モータのトルクが不足して始動できなか
ったり、液圧縮が生じ圧縮機のラップが損傷する恐れが
ある。
【0004】このため、従来の圧縮機の中には、圧縮機
の吸込み口に通じる配管にアキュムレ−タを接続し、始
動前に圧縮機を逆回転させ、圧縮室内に満たされた冷凍
機油を一旦アキュムレ−タへ追い出し、内部をガスの状
態にした後に始動する方法が用いられることがある。
【0005】また、従来の圧縮機に付属しているアキュ
ムレ−タには、圧縮機に冷媒と共に流れ込むゴミを除去
するためのフィルタが内蔵されていることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】冷暖兼用エアコンなど
最近の冷凍機は、幅広い能力範囲で使用され、封入する
冷媒量も極めて多くなっている。このため、これら冷凍
機に搭載される前記従来技術における圧縮機には、大き
な容積のアキュムレ−タを接続する必要がある。特に、
冷媒を直接圧縮室に吸い込む高圧チャンバ形圧縮機の場
合には、特に大きな容積のアキュムレ−タが必要であ
る。
【0007】本発明の目的は、冷凍サイクルからアキュ
ムレ−タを除去できる圧縮機を提供し、冷凍機を小型化
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、密閉容器内
に設けられ、台板上に直立する渦巻状のラップが設けら
れた固定スクロールと、この固定スクロールラップに噛
み合うラップを有する旋回スクロールとを備え、この旋
回スクロールが旋回することにより、前記固定スクロー
ルラップ及び前記旋回スクロールラップの外周に設けら
れた吸込み室から吸込まれた冷媒を吐出し口から前記密
閉容器内に吐出するスクロール圧縮機において、冷凍サ
イクルと接続された時、冷媒を前記吸込み室へ導く吸込
みパイプと、前記吸込み室からこの吸い込みパイプを介
して前記冷凍サイクルへの冷媒の流出を防止する逆止弁
と、前記吐出し口に設けられ、前記密閉容器からこの吐
出し口へ冷媒の流入を防止する逆止弁と、前記吸込み室
と前記密閉容器とを連通する通路と、前記密閉容器から
この通路を介して前記吸込み室への冷媒の流入を防止す
る逆止弁とを備えることにより達成される。
【0009】また、上記目的は、密閉容器内に、電動機
と、この電動機に連結された圧縮機構部とが収納された
スクロール圧縮機であって、台板上に直立する渦巻状の
ラップが設けられた固定スクロールと、この固定スクロ
ールラップに噛み合うラップを有する旋回スクロールと
により前記圧縮機構部を構成し、前記電動機と連結さ
れ、前記旋回スクロールを駆動するクランク軸と、この
クランク軸を支持する軸受を有するフレームとを備えた
スクロール圧縮機において、前記固定スクロール及び前
記フレームと夫々毎に接合され、この固定スクロール及
びこのフレームとを連結、内部圧力が高まったとき変形
する固定部材とを備えることにより達成される。
【0010】また、上記目的は、密閉容器内に設けら
れ、台板上に直立する渦巻状のラップが設けられた固定
スクロールと、この固定スクロールラップに噛み合うラ
ップを有する旋回スクロールとを備え、この旋回スクロ
ールが旋回することにより、吸込みパイプから、前記固
定スクロールラップ及び前記旋回スクロールラップの外
周に設けられた吸込み室を介して吸込まれた冷媒を吐出
し口から前記密閉容器内に吐出するスクロール圧縮機に
おいて、前記吸込み室に設けられ、前記固定スクロール
ラップ及び前記旋回スクロールラップの外周側と前記吸
込みパイプ側とを仕切る円環状フィルタとを備えること
により達成される。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】
【0015】同様に、圧縮室が冷凍機油で満たされてい
る場合に、圧縮機を逆回転させると、圧縮室の冷凍機油
は、圧縮機吸込み室とチャンバ内を連通する連通路を通
りチャンバ内に流出し、吐出し口には逆止め弁を設けて
いるので圧縮室に流入する液はなく、圧縮室内はガス冷
媒の状態になる。したがって、この状態で圧縮機を正回
転させれば、モータトルクが不足すること無く始動でき
る。
【0016】
【0017】同様に、圧縮室の圧力が異常に高くなった
場合において、固定スクロ−ルとフレ−ムを固定した固
定部材が変形し、これらの接触面にすき間が生じる。こ
のため、旋回と固定スクロ−ルの両ラップ先端及び台板
間にすき間が生じ、圧縮室が吸込み室あるいはチャンバ
内に連通するため、圧縮室内には、液圧縮等の激しい圧
力上昇は生じない。
【0018】また、圧縮機構部の吸込み室内にフィルタ
を設け、冷媒と共に流入してくるゴミ等が圧縮室に侵入
することを防いでいる。
【0019】
【実施例】以下、スクロール圧縮機につき図1ないし図
3を用いて説明する。図1は、スクロール圧縮機の縦断
面図、図2は、図1のA−A矢視断面図、図3は、旋
スクロール支持板の詳細を示す縦断面図である。
【0020】まず、スクロ−ル圧縮機の全体構成を図1
により説明する。図1に示すスクロール圧縮機は、密閉
容器1内の上部に圧縮機構部、下部に電動機部が収納さ
れ、底部に潤滑油を溜めた貯溜部が設けられている。圧
縮機構部は、固定スクロール2、旋回スクロール3、フ
レ−ム4、オルダムリング27を主要構成要素としてい
る。固定スクロール2の吸込み室7には外部の冷凍サイ
クルに接続する吸込みパイプ8を設けている。固定スク
ロール2と旋回スクロール3とは、それぞれの台板面に
直立する渦巻状のラップ部をそれぞれ互いに内側に向け
て噛みあわせて圧縮室6を形成している。旋回スクロー
ル3のボス部にはクランク軸5の偏心部5aが旋回軸受
20を介し回転自在に嵌入され、台板部の溝(図示せ
ず)とフレ−ム4の溝(図示せず)にはオルダムリング
27が摺動自在に配設されている。
【0021】また、旋回スクロール3の台板には、台板
を貫通し、圧縮過程中の圧縮室6に連通する連通孔18
aが設けられ、フレ−ム4と旋回スクロール3の台板と
によって囲まれる空間を密閉容器1内より低圧力にした
吐出圧力と吸入圧力との中間的な圧力(以下、中間圧力
という)が作用する中間圧力室21を形成している。旋
回スクロール3の台板は、この中間圧力と圧縮機構部の
吸込み圧力との圧力差によって固定スクロール2に押え
付けられるように支えられながら回動している。フレ−
ム4の外周部は、密閉容器1に溶接等で固定されてお
り、固定スクロール2はボルト29によりフレ−ム4に
締結されている。
【0022】クランク軸5には電動機を構成するロ−タ
10が焼嵌めなどにより嵌着されており、電動機を構成
するステ−タ9は密閉容器1内に焼嵌めなどにより固定
されている。22は、フレ−ム4によってクランク軸5
を支持する主軸受、13は、クランク軸5の下部を支持
する副軸受である。クランク軸5の下端は潤滑油25中
に浸漬され、また、このクランク軸5を軸方向に貫通
し、一端が旋回軸受20に連通する給油路24が設けら
れている。さらに、この給油路24の途中には、クラン
ク軸5を半径方向に貫通し、主軸受22に連通する潤滑
油供給孔23が設けられている。
【0023】次に、このように構成されたスクロール圧
縮機の動作を説明する。ロ−タ10はステ−タ9より回
転力を受け、クランク軸5が回転し、旋回スクロール3
はオルダムリング27の作用により自転することなく偏
心回動(公転)する。旋回スクロール3の偏心回動によ
り、吸込みパイプ8を通して吸込まれた冷媒ガスは固定
スクロール2の吸込み室7から圧縮室6で徐々に圧縮さ
れ、吐出し口28から密閉容器1の中に放出される。放
出された冷媒ガスは電動機部を冷却した後、吐出しパイ
プ14から外部の冷凍サイクルへ供給される。
【0024】次に、各軸受への潤滑油の供給について説
明する。密閉容器1底部に貯溜されている潤滑油は、中
間圧力室21と密閉容器1との圧力差によって、クラン
ク軸5の給油路24を通り、旋回軸受20の一端に吸い
上げられる。主軸受22へは、圧力差によって給油路2
4に吸い上げられた潤滑油を潤滑油供給孔23を通り供
給される。また、クランク軸5下部の副軸受13は、潤
滑油貯溜部25に浸っている。
【0025】図3は、旋回スクロ−ル3の支持構造の詳
細を示す縦断面図である。図1、図3において、30
は、弾性体であるバネ31によって支えられた支持板、
32は、固定スクロ−ル2とフレ−ム4との間に設けら
れ、支持板30が旋回スクロ−ル3との間にわずかなす
き間(図3中δ)を保つようにするストッパである。
【0026】本参考例によれば、吸込み冷媒中に液冷媒
が多量に含まれ、圧縮室6の圧力が異常に高くなるよう
な場合に、旋回スクロール3は下向きの力を受け、支持
板32と共にバネ31を押し縮め、下方に移動する。こ
のため、旋回スクロール3と固定スクロール2ラップ間
及び台板間にすき間が生じ、圧縮室6が中間圧室21あ
るいは吸込み室7に連通し、圧縮室6の圧力は緩和され
るので、この圧力が異常に高くなることはなく、ラップ
が破損する恐れはない。
【0027】また、圧縮室6の圧力が異常に高くなる場
合以外の通常の運転においては、旋回スクロ−ル3の背
部に加わる中間圧力による合力が、圧縮室6の圧力によ
る合力より大きいため、旋回スクロ−ル3は固定スクロ
−ル2に押し付けられながら回動する。このとき支持板
30は、ストッパ32によって、旋回スクロ−ル3の台
板との間にわずかなすき間を開けて止めている。又、オ
ルダムリング27も同様に旋回スクロ−ル3の台板との
間にわずかなすきまを有するように構成されている。し
たがって、旋回スクロ−ル3と支持板30は互いに接触
することがないため、摩擦損失が小さい、効率良い運転
ができる。
【0028】以上、本参考例によれば、吸込み冷媒中に
多量の液冷媒が含まれるような場合においても、圧縮室
に液圧縮等の異常な高圧力が発生することがなくなり、
圧縮機を接続する冷凍サイクルから、液冷媒を一時的に
貯留するアキュムレータを取り除くことができる。
【0029】次に、本発明の第の実施例を図4により
説明する。図4は、本実施例に係るスクロール圧縮機の
縦断面図である。図4において、図1と同番号を付した
部品は、図1と同じ部品であり、同様の作用を行う。3
3は、吸込みパイプ8への逆流を止める逆止弁、34
は、圧力バランス時に逆止弁33を吸込みパイプ8に接
触させるバネ、35は、密閉容器1から吐出し口28へ
の流入を止める吐出し弁、36は、吐出し弁35の変位
量を規制するリテーナ、39は、吸込み室7と密閉容器
1を連通する連通路、37は、密閉容器1から吸込み室
7への逆流を止める逆止弁、38は、逆止弁37の変位
量を規制するリテーナである。
【0030】本実施例のスクロール圧縮機においても動
作は前述した参考例と同様であり説明を省略する。
【0031】圧縮機を搭載した冷凍機を低温雰囲気に長
時間放置した場合、冷凍サイクルに封入されている冷媒
が、圧縮機に封入されている冷凍機油中に多量に溶け込
み、その体積が増加するため、密閉容器1内が液体で満
たされた状態になることがある。この状態で、圧縮機を
一旦逆回転させ、容積が小さくなる吸込み室7から、こ
の中に満たされていた液体を連通路39を通過させ、密
閉容器1へ押し出す。また、逆回転により、圧縮機を一
種の膨張機として作用させ、吐出し口28を吐出し弁3
5によって密閉容器1からの流入を止めることにより、
圧縮室6内を減圧しガス状態する。この状態にした後圧
縮機を正回転させ、通常の圧縮運転を開始する。
【0032】本実施例によれば、圧縮室をガスの状態に
してから始動させるため、このときの圧縮トルクが小さ
く、始動に必要なモータトルクを小さくすることができ
る。また、圧縮室の液体を密閉容器内に送りこむため、
従来技術の圧縮機の様に、逆回転させたときに、圧縮室
内の液体を一旦送りこむためのアキュムレ−タを備える
必要がないという効果がある。
【0033】次に本発明の第の実施例を図5及び図6
により説明する。図5は、本実施例にかかるスクロール
圧縮機の縦断面図、図6は、図5における圧縮機構部を
連結固定する連結部材の構造を示す説明図である。図5
及び図6において図1と同番号を付した部品は、図1と
同部品であり、同様の作用を行う。40は、固定スクロ
ール2とフレーム4を連結する固定枠であり、縦方向に
半割になっている。固定スクロール2とフレーム4はボ
ルト41、42によってそれぞれ固定枠40に固定され
ている。固定枠40は溶接等によって密閉容器1に固定
されている。
【0034】固定スクロール2の組立、調節を容易にす
るために、固定スクロール2の外径をフレーム4の外径
よりも小さくしている。本実施例のスクロール圧縮機に
おいても動作は、前述した参考例と同様であり説明を省
略する。
【0035】本実施例によれば、吸込み冷媒中に液冷媒
が多量に含まれ、圧縮室6の圧力が異常に高くなるよう
な場合に、旋回スクロ−ル3は下向きの力を受け、押し
下げられてフレ−ム4を下向きの力を加え、反対に固定
スクロ−ル2には、上向きの力が加わる。したがって、
固定枠40が変形して固定スクロ−ル2とフレ−ム4と
の間にすき間が生じる。これにより、旋回スクロ−ル3
と固定スクロ−ル2ラップ間及び台板間にすき間が生
じ、区切られた圧縮室6同士が内部で連通し、また、圧
縮室6が中間圧室21あるいは吸込み室7に連通し、圧
縮室6内の圧力が緩和される。したがって、この圧力が
液圧縮のように異常に高くなることはなく、ラップが破
損する恐れはない。
【0036】又、本実施例によれば、固定枠40を密閉
容器1に溶接しているので、固定スクロ−ル2あるいは
フレーム4の材質に、密閉容器1と溶接できない材質を
用いることができる。例えば、密閉容器1と固定枠40
を鉄系金属、固定スクロ−ル2やフレーム4をアルミ材
とすることが可能である。
【0037】以上、本実施例によれば、吸込み冷媒中に
多量の液冷媒が含まれるような場合においても、圧縮室
に液圧縮等の異常な高圧力が発生することがなくなり、
圧縮機を接続する冷凍サイクルから、液冷媒を一時的に
貯溜するアキュムレ−タを取り除くことができる効果が
ある。
【0038】次に、液圧縮に関する参考となる例を図7
及び図8により説明する。図7は、本参考例に係るスク
ロール圧縮機の縦断面図、図8は、図7のB−B矢視断
面図で、固定スクロール2の詳細を示す横断面図であ
る。図7及び図8において図1と同番号を付した部品
は、図1と同部品であり、同様の作用を行う。50、5
1は、圧縮室6と密閉容器1内を連通する開放路であ
り、固定スクロール2のラップに添って設け、これらの
内径はラップの厚さより小さい。従って、旋回スクロー
ル3の回動に伴い、そのラップによって閉塞する位置が
ある。図8は、固定スクロール2及び旋回スクロール3
のラップによって囲まれる圧縮室6が、最大密閉空間6
a,6bを形成する圧縮行程開始時点を示している。5
1は、この時点において圧縮室6に開口するように穿設
した第1の開放路であり、2個形成される圧縮室にそれ
ぞれ設けてある。また50は、圧縮が進行した時点から
開口し、圧縮室6が吐出し口28に連通する圧縮行程終
了時点まで開口している第2の開放路である。本参考例
のスクロール圧縮機においても動作は、前述した参考例
のスクロール圧縮機と同様であり説明を省略する。
【0039】前述したように、圧縮機を搭載した冷凍機
を低温雰囲気に長時間放置した場合、冷凍サイクルに封
入されている冷媒が、圧縮機に封入されている冷凍機油
中に多量に溶け込み、その体積が増加するため、密閉容
器1内が液体で満たされた状態になることがある。この
状態で、圧縮機を始動すると、圧縮室3内の圧力は上昇
し、密閉容器1内の圧力より高くなるため、この中に満
たされていた液体は第1の開放路51を通し密閉容器1
へ押し出される。
【0040】本参考例によれば、圧縮室6が液体で満た
された状態で始動させても、第1の開放路51から液体
を逃がすことができるため、この時の圧縮トルクは小さ
く、始動に必要なモータトルクを小さくすることができ
る。また、吸込み冷媒の中に液冷媒が混入し、液圧縮す
るような状態になった場合においても、第1及び第2の
開放路51、50から圧力を開放できる。
【0041】したがって、従来技術の圧縮機のように、
始動するために、逆回転によって圧縮室6内の液体を一
旦送りこむためや、液冷媒が流入した場合に、一時この
液冷媒を貯溜するためのアキュムレ−タを備える必要が
ないという効果がある。
【0042】次に、本発明の第の実施例を図9及び図
10により説明する。図9は、本実施例に係る圧縮機の
縦断面図、図10は、図9のC−C矢視断面図で、固定
スクロール2の詳細を示す横断面図である。図9及び図
10において、図1と同番号を付した部品は、図1と同
じ部品であり、同様の作用を行う。図9及び図10にお
いて、52は、吸込み室7にあって、吸込みパイプ8側
と圧縮室6側を仕切るように備えた円環状のフィルタで
ある。又、本実施例のスクロール圧縮機の動作は、前述
した参考例に示すスクロール圧縮機と同様であり説明を
省略する。本実施例のスクロール圧縮機は、吸込み室7
内部にフィルタ52を備え、冷媒と共に圧縮機構部へ流
入するゴミを除去し、圧縮室6に侵入するのを防止する
構造である。
【0043】本実施例によれば、フィルタ52によりゴ
ミ等を除去しているため、異物による摺動部分の噛りや
ラップの損傷を防止できる。また、吸込み室7内にフィ
ルタ52を配置しているので、圧縮機の外形形状を変え
ず、コンパクトに配置できる。さらに、フィルタは円環
状に構成しているため、フィルタ面積を大きくとれ、流
路抵抗を小さくできる効果がある。
【0044】以上本実施例によれば、フィルタを圧縮機
に内蔵しているので、従来技術の圧縮機に付属していた
フィルタを兼ねたアキュムレ−タを備える必要がない効
果がある。
【0045】次に、前述した第6の実施例を図11及び
図12により説明する。図11は、本実施例に係る圧縮
機の横断面図であり、図9のC−C矢視断面図に相当す
る。図12は、図11の固定スクロ−ル2の詳細を示す
横断面図である。図11及び図12において、図1と同
番号を付した部品は、図1と同じ部品であり、同様の作
用を行う。図11及び図12において、53は、吸込み
室7にあって、吸込みパイプ8側と圧縮室6側を仕切る
ように備えた円環状のフィルタであり、弾性力のある材
料で製作してあるある。54、55は固定スクロ−ル2
の吸込み室側面及び天井面に設けた円環溝であり、フィ
ルタ53を嵌め込み固定している。本実施例のスクロ−
ル圧縮機の動作は、前述した第1の実施例のスクロ−ル
圧縮機と同様であり説明を省略する。
【0046】本実施例の圧縮機は、吸込み室7内部にフ
ィルタ53備え、冷媒と共に圧縮機構部へ流入するゴミ
を除去し、圧縮室6に侵入するのを防止する構造であ
る。また、フィルタ53は円環溝55に嵌めて固定して
いるので、回動する旋回スクロ−ル3に接触しない構造
である。
【0047】本実施例によれば、フィルタ53によりゴ
ミ等を除去しているため、異物による摺動部分の噛りや
ラップの損傷を防止できるなど、前述の第5の実施例と
同様の効果がある。また、フィルタ53は円環溝55に
嵌め込み、旋回スクロ−ル3には接触しないように構成
しているため、フィルタ53自身の摩耗をなくし、摩擦
損失を低減して圧縮機の効率を高める効果がある。
【0048】以上本実施例によれば、フィルタ53を圧
縮機に内蔵しているので、従来技術の圧縮機に付属して
いたフィルタを兼ねたアキュムレ−タを備える必要がな
い効果がある。
【0049】
【発明の効果】
【0050】本発明によれば、圧縮機が冷凍機油で満た
されている場合に、圧縮機を逆回転させると、圧縮室の
冷凍機油は、圧縮機吸込み室とチャンバ内を連通する連
通路を通りチャンバ内に流出し、吐出し口には逆止弁を
設けているので圧縮室に流入する液はなく、圧縮室内は
ガス冷媒の状態になる。従って、この状態で圧縮機を正
回転させれば、モータトルクが不足すること無く始動で
きる。このため、圧縮室内の液体を一旦送りこむための
アキュムレータをなくすことができるため、冷凍サイク
ルの占有容積を小さくし、冷凍機を小型化できると共
に、原価を低減できる効果がある。
【0051】
【0052】又、圧縮室の圧力が異常に高くなった場合
において、固定スクロ−ルとフレ−ムを固定した固定部
材が変形し、これらの接触面にすき間が生じる。このた
め、旋回と固定スクロ−ルの両ラップ先端及び台板間に
すき間が生じ、圧縮室が吸込み室あるいはチャンバ内に
連通するため、圧縮室内には、液圧縮等の激しい圧力上
昇は生じない。このため、圧縮室内の液体を一旦送りこ
むために必要なアキュムレ−タをなくすことができるた
め、冷凍サイクルの占有容積を小さくし、冷凍機を小形
化できると共に、原価を低減できる効果がある。
【0053】また、圧縮機構部の吸込み室内にフィルタ
を設け、冷媒と共に流入してくるゴミ等が圧縮室に侵入
することを防ぐことができる効果がある。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例に係るスクロール圧縮機の縦断面図であ
る。
【図2】図1の圧縮機構部を示すA−A矢視断面図であ
る。
【図3】図1の支持板の詳細を示す部分の縦断面図であ
る。
【図4】本発明の第の実施例に係るスクロール圧縮機
の縦断面図である。
【図5】本発明の第の実施例に係るスクロール圧縮機
の縦断面図である。
【図6】図5の固定枠の詳細を説明する部分断面の斜視
図である。
【図7】参考例に係るスクロール圧縮機の縦断面図であ
る。
【図8】図7の固定スクロールの詳細を示すC−C矢視
断面図である。
【図9】本発明の第の実施例に係るスクロール圧縮機
の縦断面図である。
【図10】図9の固定スクロールの構造を示すD−D矢
視断面図である。
【図11】本発明の第の実施例の圧縮機の構造を示す
横断面図である。
【図12】図11の固定スクロールの詳細を示すE−E
矢視部分の縦断面図である。
【符号の説明】
1…密閉容器、2…固定スクロール、3…旋回スクロー
ル、4…フレーム、5…クランク軸、6…圧縮室、6a
…最大密閉空間、7…吸込み室、9…ステータ、10…
ロータ、11…開放弁、15…リテーナ、16…ボル
ト、18a…連通孔、20…旋回軸受、21…中間圧力
室、22…主軸受、23…潤滑油供給孔、24…給油
路、25…潤滑油貯溜部、27…オルダムリング、28
…吐出し口、30…支持板、31…バネ、32…ストッ
パ、33…逆止弁、34…バネ、35…吐出し弁、36
…リテーナ、37…逆止弁、38…リテーナ、39…連
通路、40…固定枠、41、42…固定ボルト、50…
第2の開放路、51…第1の開放路、52、53…フィ
ルタ、54、55…円環溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲場 恒一 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社 日立製作所 栃木工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04C 18/02 311 F04C 29/10 331

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内に設けられ、台板上に直立す
    る渦巻状のラップが設けられた固定スクロールと、この
    固定スクロールラップに噛み合うラップを有する旋回ス
    クロールとを備え、この旋回スクロールが旋回すること
    により、前記固定スクロールラップ及び前記旋回スクロ
    ールラップの外周に設けられた吸込み室から吸込まれた
    冷媒を吐出し口から前記密閉容器内に吐出するスクロー
    ル圧縮機において、冷凍サイクルと接続された時、冷媒
    を前記吸込み室へ導く吸込みパイプと、前記吸込み室か
    らこの吸い込みパイプを介して前記冷凍サイクルへの冷
    媒の流出を防止する逆止弁と、前記吐出し口に設けら
    れ、前記密閉容器からこの吐出し口へ冷媒の流入を防止
    する逆止弁と、前記吸込み室と前記密閉容器とを連通す
    る通路と、前記密閉容器からこの通路を介して前記吸込
    み室への冷媒の流入を防止する逆止弁とを備えたスクロ
    ール圧縮機。
  2. 【請求項2】 密閉容器内に、電動機と、この電動機に
    連結された圧縮機構部とが収納されたスクロール圧縮機
    であって、台板上に直立する渦巻状のラップが設けられ
    た固定スクロールと、この固定スクロールラップに噛み
    合うラップを有する旋回スクロールとにより前記圧縮機
    構部を構成し、前記電動機と連結され、前記旋回スクロ
    ールを駆動するクランク軸と、このクランク軸を支持す
    る軸受を有するフレームとを備えたスクロール圧縮機に
    おいて、前記固定スクロール及び前記フレームと夫々毎
    に接合され、この固定スクロール及びこのフレームとを
    連結し、内部圧力が高まったとき変形する固定部材とを
    備えたスクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 密閉容器内に設けられ、台板上に直立す
    る渦巻状のラップが設けられた固定スクロールと、この
    固定スクロールラップに噛み合うラップを有する旋回ス
    クロールとを備え、この旋回スクロールが旋回すること
    により、吸込みパイプから、前記固定スクロールラップ
    及び前記旋回スクロールラップの外周に設けられた吸込
    み室を介して吸込まれた冷媒を吐出し口から前記密閉容
    器内に吐出するスクロール圧縮機において、前記吸込み
    室に設けられ、前記固定スクロールラップ及び前記旋回
    スクロールラップの外周側と前記吸込みパイプ側とを仕
    切る円環状フィルタとを備えたスクロール圧縮機。
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