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JP2973496B2 - シート状物にメタリック塗装を施す方法 - Google Patents

シート状物にメタリック塗装を施す方法

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JP2973496B2
JP2973496B2 JP2236251A JP23625190A JP2973496B2 JP 2973496 B2 JP2973496 B2 JP 2973496B2 JP 2236251 A JP2236251 A JP 2236251A JP 23625190 A JP23625190 A JP 23625190A JP 2973496 B2 JP2973496 B2 JP 2973496B2
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邦彦 一川
清 三嶋
伸一 牧野
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Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はシート状物、特に薄い金属板にダイコーティ
ングによりメタリック塗装を施す方法に関するものであ
る。
<従来技術とその課題> シート状物に連続的に塗装を施す方法はいくつか知ら
れている。その多くは塗装用ロールを用いる方法であ
る。しかし、この方法でシート状物にメタリック塗装を
施すと、塗料中のメタリック顔料に配向が起り、筋状の
塗装むらを生じ易い。
シート状物に連続的に塗装を施す他の方法としてダイ
を用いる方法も知られている。このダイコーティング方
式は、磁気記録媒体の製造に際しての磁性塗料の塗布
や、写真用感光材の製造に際しての感光剤の塗布などに
用いられている。しかしダイコーティング方式でメタリ
ック塗装を施すと、ロールコーティング方式の場合と同
様に筋状の塗装むらを生じ易い。
従ってメタリック塗装は主にスプレーコーティング方
式で行なわれているが、更に経済的で効率の良いメタリ
ック塗装方法が望まれている。
<課題を解決するための手段> 本発明によれば、複数の塗料を同時に重ねて塗布する
ことのできる複層ダイを用い、ダイから直接的に、又は
塗布ロールを介して間接的に、シート状物の表面に下層
にメタリック塗料、上層に非メタリック塗料というよう
に複数の塗料を同時に層状に塗布することにより、シー
ト状物に高品質のメタリック塗装を連続的に施すことが
できる。
本発明方法によれば、ダイコーティング方式又はダイ
・ロールコーティング方式であるにもかかわらず筋状の
塗装むらが発生し難い理由は詳らかではない。しかしメ
タリック塗料が直接にダイのリップと接触せずに、メタ
リック塗料の上に重なっている非メタリック塗料を介し
て間接的にリップと接触しているので、メタリック顔料
が剪断力を受けて配向を起す傾向が小さいことが影響し
ているものと考えられる。また配向が起きても、リップ
から離れてから塗料が硬化するまでの間において、未だ
両者がウエット状態、すなわち塗料内で顔料が流動可能
な状態にある間に、配向していた顔料の配向がくずれ、
かつその際に顔料の一部が上層の非メタリック塗料層中
に入り込むという現象も生起しているものと考えられ
る。このメタリック顔料の配向弛緩に際しては、メタリ
ック塗料層の上に非メタリック塗料がかぶさっていて、
メタリック塗料層表面の急激な乾燥(=硬化)が阻止さ
れていることも寄与しているものと考えられる。
本発明について更に詳細に説明するに、本発明は複数
の塗料層を重ねて塗布することのできる任意のダイを用
いて実施することができる。
このようなダイとしては各種の様式のものが入手可能
である。
第1図はこのようなダイの代表的なものの一つの概念
図である。図中、(1)はダイであり、上刃(2)、中
刃(3)及び下刃(4)の重ね合わされた3枚の刃と、
両側の側板(図示せず)とから構成されている。上刃お
よび下刃には、それぞれ塗料保持部(5)、(6)及び
ここに塗料を供給するための塗料供給口(7)、(8)
が設けられている。上刃の下面と中刃の上面との間隙、
及び下刃の上面と中刃の下面との間隙は、それぞれスロ
ット(9)及び(10)となっている。
スロットを流れる塗料の厚さ、すなわちスロットの上
下の間隔は通常100〜500μである。
スロット(9)と(10)との交差角(α)は、スロッ
ト(9)を流れる非メタリック塗料とスロット(10)を
流れるメタリック塗料とが、滑らかに合流して重なった
塗料層を形成できるように鋭角、通常は30度以下とする
のが好ましい。なお、中刃の先端はナイフエッジであっ
てもよいが、工作上および取扱い上からは若干の丸みを
帯びさせるのが好ましい。
また、スロット(9)と(10)とは、図示の如く、ダ
イの内部で合流させて単一のスロット(11)を形成させ
るのが好ましいが、それぞれが独立して外部に開口する
ようにしてもよい。なお、第1図においては、ダイ
(1)を支持し且つ塗布ロール又は、被塗装物であるシ
ート状物とダイのリップ(12)、(13)との位置関係を
調整する機構や、ダイに塗料を定量供給する機構などは
省略されている。
本発明においては、ダイから流出した塗料は直接に被
塗装物であるシート状物に塗布してもよく、またダイか
ら流出した塗料をいったん塗布ロールにうけ、次いで塗
布ロールからシート状物に塗布するようにしてもよい。
ダイから直接にシート状物に塗布する際のダイ(1)
と被塗装物であるシート状物との位置関係の代表例の一
つは、第2図に示す如く、支持ロール(14)にシート状
物(17)を支持し、スリット(11)をシート状物に垂直
に、即ちロールの中心に向けて配置する方法である。こ
の方法によればシート状物は固定支持されているので、
ダイ(1)のリップとシート状物との間隔は一定に保た
れる。他の代表的な例の一つは、第3図に示す如く、上
下の案内ロール(15)、(16)に懸架されていて非固定
支持状態にあるシート状物(17)にダイ(1)を対向さ
せる方法である。この方法ではダイ(1)のリップとシ
ート状物との間隔は、ダイからの塗料の吐出圧力により
変化する。第4図は第3図の方法の一変形であり、非塗
布状態においてシート状物がロールから僅かに離れた位
置、通常はシート状物の下面がロールから50〜500μm
離れた位置でシート状物にダイを対向させている。この
方法によるときは、第3図の場合よりも塗膜の厚さの局
部的変動を小さくできる。
ダイから流出した塗料を、いったん塗布ロール上にう
け、次いで塗布ロールから被塗装物であるシート状物に
塗料の成層状態を維持したままで塗布する際の、ダイ−
塗布ロール−シート状物の位置関係の代表例の一つは第
5図に示す如くである。この場合には塗布ロールの周速
度は、一般のロールコーター方式の場合と同様にすれば
よい。このように中間に塗布ロールを介在させると、シ
ート状物上に異物が存在したり又はシート状物のエッジ
に突起がある場合などでも、塗膜に欠陥が発生するのを
回避することができ、また回避できない場合でも塗膜の
欠陥を部分的なものに止めることができる。
本発明においては、メタリック塗料及び非メタリック
塗料として各種の市販品をそのまま用いることができ
る。即ちメタリック顔料としてはアルミニウム粉や黄銅
粉など常用のものを用いることができる。また、これら
の顔料に金属酸化物の超微粒子を被覆した顔料や、雲母
表面に二酸化チタンを被覆したパールマイカ顔料なども
用いることができる。ビヒクルの樹脂成分としては常用
のアクリル樹脂、アルキド樹脂、アミノ−アルキド樹脂
など、自然乾燥形ないし焼付形のものが用いられる。
メタリック塗料の塗布厚さは任意であるが、これに重
ねる非メタリック塗料の塗布厚さ、即ち未乾燥状態での
厚さは10μm以上であることが好ましい。
この厚さがあまりに薄いと、非メタリック塗料層に期
待される効果が発揮されないおそれがある。非メタリッ
ク塗料層の好適な塗布厚さは15〜40μmである。
本発明方法においては、塗布自体は常法に従って行な
うことができる。
すなわち、第2〜5図においてシート状物(17)を矢
印の方向に走行させつつ、第1図のダイにメタリック塗
料を塗料供給口(8)から、非メタリック塗料を塗料供
給口(7)から、それぞれ定量ポンプで供給する。塗料
は塗料保持部(6)、(5)に流入し、ダイの幅方向に
等しい圧力となり、スロット(10)、(9)を流れ、ス
ロット(11)で層状に合流して吐出される。2層となっ
て吐出された塗料は、その成層状態を維持したままでダ
イから直接に、又は塗布ロール(18)を介して間接的に
シート状物(17)上に均一に付着し、所定の厚さの塗布
膜を形成する。なお、スロットを流れるそれぞれの塗料
の流速が合流点において大きく異なると安定した成層状
態の塗布膜を形成し難いので、非メタリック塗料の流速
とメタリック塗料の流速とは一致しているのが好まし
く、異なっている場合でも両者の差はメタリック塗料を
基準にして±50%以内でできるだけ小さくするのが好ま
しい。
塗布を終えたシート状物は常法により乾燥炉その他の
後処理装置に導入し、塗料層を硬化させる。
<実施例> 以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。
なお、以下の実施例で用いたダイは、上層用塗料、下
層用塗料とも、スロットの長さ57.5mm、スロットの上下
間隔(クリアランス)280μmである。
また、上下のスロットはダイ内部で15度の角度で合流
しており、合流スロットは長さ400μm、クリアランス5
60μmである。ダイリップの高さは上下とも2.5mmであ
る。
実施例1 アルミニウムシート(1100−H14材、幅1250mm、厚さ
0.5mm)を20m/分で走行させ、これにダイを第2図の位
置関係で配置して、下層にメタリック塗料、上層にクリ
ヤー塗料を同時に塗布した。
ダイの幅は、塗料の横方向への広がりを考慮して1242
mmとした。塗料としてはルミフロン(旭硝子社製品)を
用いた。
クリヤー塗料 樹 脂:フッ素樹脂系 固形分:51重量% 溶 媒:有機溶剤 粘 度:120秒(フォードカップ、20℃) メタリック塗料 樹 脂:フッ素樹脂系 固形分:52重量% 顔 料:アルミペースト(顔料サイズ50μm以下) 溶 媒:有機溶剤 粘 度:125秒(フォードカップ、20℃) ダイへの塗料の供給圧力は2.5kg/cm2であり、塗布量
は乾燥後でメタリック塗料層、クリヤー塗料層とも14μ
mとした。
塗料を塗布したアルミニウムシートは長さ約20mの乾
燥炉を通して乾燥した。乾燥炉の内部は入口側から出口
側に向けて3帯域に等分割されており、それぞれの帯域
の出口でアルミニウムシートの温度が100℃、160℃およ
び220℃となるように熱風を吹込んだ。
ダイリップとアルミニウムシートとの間隔を95〜125
μmに変化させて塗布を行なったところ、平滑で良好な
外観の塗膜が得られた。
実施例2 アルミニウムシート(1100−H18材、幅1025mm、厚さ
0.15mm)を20m/分で走行させ、これにダイを第4図の位
置関係で配置して、下層にメタリック塗料、上層にクリ
ヤー塗料を同時に塗布した。ダイのリップとロールとの
間隔は370μmに設定し、ダイの幅は塗料の横方向への
広がりを考慮して1019mmとした。塗料としては関西ペイ
ント(株)のKP−1590を用いた。
クリヤー塗料 樹 脂:ポリエステル樹脂系 固形分:52重量% 溶 媒:有機溶剤 粘 度:120秒(フォードカップ、20℃) メタリック塗料 樹 脂:ポリエステル樹脂系 固形分:49重量% 顔 料:アルミペースト(顔料サイズ30μm以下) 溶 媒:有機溶剤 粘 度:120秒(フォードカップ、20℃) ダイへの塗料の供給圧力は1.5kg/cm2であり、塗布量
は乾燥後でメタリック塗料層、クリヤー塗料層とも11μ
mとした。
塗料を塗布したアルミニウムシートは実施例1と全く
同様にして乾燥炉で処理したところ、平滑で良好な外観
の塗膜が得られた。
実施例3 アルミニウムシート(1100材、幅1250mm、厚さ0.5m
m)を20m/分で走行させ、これにダイと塗布ロールを第
5図の位置関係で配置して、下層にメタリック塗料、上
層にクリヤー塗料を同時に塗布した。ダイリップと塗布
ロールの間隔は約100μmとし、塗布ロールはアルミニ
ウムシートの走行方向と対向する方向に周速度23m/分で
回転させた。ダイの幅は1250mmとした。塗料としてはル
ミフロン(旭硝子社製品)を用いた。
クリヤー塗料 樹 脂:フッ素樹脂系 固形分:51重量% 溶 媒:有機溶剤 粘 度:70秒(フォードカップ、20℃) メタリック塗料 樹 脂:フッ素樹脂系 固形分:52重量% 顔 料:アルミペースト(顔料サイズ50μm以下) 溶 媒:有機溶剤 粘 度:70秒(フォードカップ、20℃) ダイへの塗料の供給圧力は2kg/cm2であり、塗布量は乾
燥後でメタリック塗料層、クリヤー塗料層とも13μmと
した。塗料を塗布したアルミニウムシートは長さ約20m
の乾燥炉を通して乾燥させた。乾燥炉の内部は入口側か
ら出口側に向けて3帯域に等分割されており、それぞれ
の帯域の出口でアルミニウムシートの温度が100℃、160
℃および220℃となるように熱風を吹込んだ。
得られた塗膜は平滑で良好な外観を呈していた。
<効果> 本発明によれば、従来は専らスプレー方式により行な
われていたメタリック塗装を、効率の良いダイコーティ
ング方式により行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するのに適したダイの1例を示す
図である。 第2〜5図は、本発明を実施するのに際してのダイとシ
ート状物との関係を示す図である。 1:ダイ、2:ダイの上刃、3:ダイの中刃、 4:ダイの下刃、5,6:塗料保持部、 7,8:塗料供給部、9,10,11:スロット、 12,13:ダイのリップ、 14,15,16:シート状物の支持ロール、 17:シート状物 18:塗布ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05D 1/26 - 1/38 B05D 5/06 B05D 7/00 - 7/14 B05D 7/24 303

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状物にメタリック塗装を施す方法で
    あって、上層用塗料供給口とこれに続く塗料保持部とこ
    の塗料保持部からリップに至るスロットから成る上層用
    塗料流路と、下層用塗料供給口とこれに続く塗料保持部
    とこの塗料保持部からリップに至るスロットから成る下
    層用塗料流路との少なくとも2つの塗料流路を備えてお
    り、これらの流路はそれぞれのスロットから等しい速度
    で塗料を流出させたときに塗料がリップ近傍で層状に合
    流するような位置関係にあるダイを用い、このダイのリ
    ップを連続的に移動しているシート状物に近接させて配
    置し、下層用塗料の供給口からメタリック塗料を供給
    し、上層用塗料供給口から非メタリック塗料を供給し、
    それぞれのスロットから流出する塗料を層状に重ねてシ
    ート状物に塗布することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】シート状物にメタリック塗装を施す方法で
    あって、上層用塗料供給口とこれに続く塗料保持部とこ
    の塗料保持部からリップに至るスロットから成る上層用
    塗料流路と、下層用塗料供給口とこれに続く塗料保持部
    とこの塗料保持部からリップに至るスロットから成る下
    層用塗料流路との少なくとも2つの塗料流路を備えてお
    り、これらの流路はそれぞれのスロットから等しい速度
    で塗料を流出させたときに塗料がリップ近傍で層状に合
    流するような位置関係にあるダイと回転する塗布ロール
    とを用い、ダイの下層用塗料供給口からメタリック塗料
    を供給し、上層用塗料供給口から非メタリック塗料を供
    給し、それぞれのスロットから流出する塗料を層状に重
    ねて塗布ロール上に乗せ、次いで塗布ロール上の塗料を
    成層状態を維持したまま塗布ロールに接して連続的に移
    動しているシート状物に塗布することを特徴とする方
    法。
  3. 【請求項3】下層用塗料のスロットと上層用塗料のスロ
    ットとがダイの内部において合流して一つのスロットを
    形成しているダイを用いることを特徴とする請求項
    (1)又は(2)記載の方法。
  4. 【請求項4】上層用塗料の未乾燥状態での塗布厚さが10
    μ以上であることを特徴とする請求項(1)ないし
    (3)のいずれかに記載の方法。
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