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JP2800699B2 - 新規な分岐ポリシランおよびその製造方法 - Google Patents

新規な分岐ポリシランおよびその製造方法

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JP2800699B2
JP2800699B2 JP23025994A JP23025994A JP2800699B2 JP 2800699 B2 JP2800699 B2 JP 2800699B2 JP 23025994 A JP23025994 A JP 23025994A JP 23025994 A JP23025994 A JP 23025994A JP 2800699 B2 JP2800699 B2 JP 2800699B2
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polysilane
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浩 鈴木
晃 栗山
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光材料、光電導材
料、レジスト材料等として有用な分岐ポリシランおよび
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Si−Si結合を基本骨格とする有機ポリシ
ランは、主鎖のSi−Si結合に由来するσ−σ共役によ
り、紫外線吸収および発光スペクトルを示すことが明ら
かとなっており、レジスト材料、発光機能等を有する高
分子として近年注目を浴びている。例えば、Si−Si結合
が二次元的に広がった代表的な直鎖ポリシランであるポ
リ(メチル−n−プロピルシラン)は、340nmを吸収極
大とする発光スペクトルを示す。また、三次元のSi−Si
骨格構造を有するネットワークポリシランは、可視領域
で発光を示すことが確認されている。すなわち、ケイ
素骨格の次元性を制御することにより、ポリシランの物
性制御が可能となることが検証されている(次世代産業
基盤技術:第1回ケイ素系高分子材料シンポジウム予稿
集116頁(1993))。より優れたケイ素系材料を開発す
るには、高度な分子構造を設計・合成することが重要な
課題となるが、高度な分子設計をするには、分子の骨格
構造を高次元レベルで制御できるような合成技術が要求
される。しかしながら、ポリシランの合成法として最も
一般的なウルツ重合法(クロロシラン類のアルカリ金属
による縮合重合法)は、反応の制御が極めて困難であ
る。例えば、三つの反応点を有するトリクロロシランを
用いて、ウルツ重合法によりケイ素―ケイ素結合を生成
させようとすると、Si-Cl同士がランダムに反応するた
め、多くの副生成物ができたり、三次元的に不規則に結
合したネットワーク構造になる等の問題がある。すなわ
ちウルツ法では、ポリマー分子の骨格構造をコントロー
ルすることは事実上不可能であった。このように、高次
元の骨格構造を有するポリシランにおいて、ある分子構
造を設計し、その骨格構造を理論的に制御しながらポリ
シランを合成した例は未だなく、分子設計技術の上で大
きな問題となっていた。
【0003】ポリシランデンドリマーは骨格構造が三次
元的に高度に制御された規則正しい分岐構造を持つポリ
シランと定義することができ、三次元的に高度に制御さ
れた分子骨格のσ−σ共役により、特異な光・電気物性
の発現が期待できる材料となりうる。その合成例につい
ては、二方向に対して生長し得るポリシランデンドリマ
ーについての開示はあるが(日本化学会第68回春季大
会予稿集356頁および358頁(1994年))、骨
格構造が三次元的に高度に制御され、かつ三方向に対し
て規則正しく生長し得るポリシランデンドリマーは全く
知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、分子骨
格構造が高度に制御され、特異な物性が期待できるポリ
シランデンドリマーを得ることを目的として、ポリシラ
ンの高次構造が制御できるような合成技術について、鋭
意研究を重ねた結果、ポリシランデンドリマーに属する
分岐ポリシランの合成に成功し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は式〔A〕
【0006】
【化4】
【0007】(式中、Meはメチル基を示す)で表される
分岐ポリシラン(以下、ポリシラン〔A〕と称する)お
よびその製造法に関する。本発明のポリシラン〔A〕は
種々の有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレ
ン、n−ヘキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン
等に溶解する。本発明のポリシラン〔A〕は式〔1〕
【0008】
【化5】
【0009】(式中、Xはハロゲン原子で示し、Meはメ
チル基を示す)で表されるトリス(ジメチルハロゲノシ
リル)メチルシラン(以下、シラン化合物〔1〕と称す
る)と式〔2〕
【0010】
【化6】
【0011】で表されるトリス(トリメチルシリル)シ
リルリチウム(以下、シリルリチウム化合物〔2〕と称
する)とを、不活性溶媒中、不活性ガス雰囲気下で反応
させることにより得ることができる。シラン化合物
〔1〕のXで示されるハロゲン原子としては、好ましく
は塩素原子、臭素原子が挙げられ、シラン化合物〔1〕
の好ましい例としては、トリス(ジメチルクロロシリ
ル)メチルシラン、トリス(ジメチルブロモシリル)メ
チルシランが挙げられる。
【0012】シラン化合物〔1〕とシリルリチウム化合
物〔2〕との反応割合は、シラン化合物〔1〕1モルに
対しシリルリチウム化合物〔2〕3モルが理論量である
が、シラン化合物〔1〕1モルに対してシリルリチウム
化合物〔2〕を2〜4モル用いることができ、その好ま
しい反応割合は 2.5〜 3.5モルである。2モル未満では
ポリシラン〔A〕の収量が低下する恐れがあり、4モル
を越えると、副反応による生成物の分解が起こり易くな
り、ポリシラン〔A〕の収率に悪影響を及ぼすことにな
る。なお、シラン化合物〔1〕およびシリルリチウム化
合物〔2〕はいずれも公知の化合物である。それらのう
ち、例えばシリルリチウム化合物〔2〕を別途合成して
用いる場合は、反応生成液をそのままでまたは単離した
シリルリチウム化合物〔2〕を、シラン化合物〔1〕と
反応させることができる。また、シラン化合物〔1〕と
シリルリチウム化合物〔2〕の供給方法は、シラン化合
物〔1〕の不活性溶媒中に、シリルリチウム化合物
〔2〕を滴下するのが好ましい。
【0013】不活性溶媒としては非プロトン溶媒が好適
であり、具体例としては、ペンゼン、トルエン、キシレ
ン、n−ヘキサン、n−オクタン、テトラヒドロフラン
等が挙げられる。不活性ガスとしてはアルゴン、窒素等
が挙げられる。不活性溶媒は、シラン化合物〔1〕の濃
度が10mmol/L〜1mol/Lとなる程度に用いるのが好適であ
る。反応温度は−50〜50℃が好ましく、さらに好ましく
は−20〜30℃であり、最適には0〜30℃である。−50℃
未満では反応速度が十分でなく、50℃を越えると副反応
が起きる恐れがある。反応時間は反応温度、反応溶媒等
により変化するが、反応は通常48時間以内で終了する。
【0014】上記反応による反応液から生成したポリシ
ラン〔A〕を取得するには、副生したハロゲン化リチウ
ムの沈殿を、濾過またはデカンテーション等により反応
液から除去した後、反応溶媒を例えば減圧留去し、さら
に昇華性の副反応生成物を加熱真空下で取り除いた後、
残渣を例えばメタノール等の貧溶媒で再結晶する等の方
法により精製すればよい。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。実施例中、数平均分子量および重量平均分子量
はGPC法(ポリスチレン換算)によって求めた。 実施例1 シリルリチウム化合物〔2〕を、すでに知られている方
法によって製造した。すなわち撹拌装置および外部冷却
外套を備えた反応器に、テトラキス(トリメチルシリ
ル)シラン5.05g(15.7mmol)を入れ、系内を真空脱気
後、乾燥アルゴン雰囲気にした。脱水精製したテトラヒ
ドロフラン30mLを加え、メチルリチウム(0.33g:15mm
ol)のジエチルエーテル(13.5mL)溶液を徐々に反応器
に供給し、アルゴン雰囲気下、10〜30℃で15時間撹拌を
行い、トリス(トリメチルシリル)シリルリチウム3.43
g(13.5mmol) を含有する反応液を得た。
【0016】撹拌装置及び外部冷却外套を備えた別の反
応器に、トルエン100mLおよびトリス(ジメチルクロロ
シリル)メチルシラン1.63g(5mmol)を入れ、アルゴン
雰囲気下、0℃において、上記で得たトリス(トリメチ
ルシリル)シリルリチウム3.43g(13.5mmol) を含有する
反応液を、反応器中の内容物に 3.5時間かけて滴下し、
0〜10℃で40時間撹拌を行い反応させた。ついで副生し
た塩化リチウムの沈殿を濾別し、反応溶媒を減圧留去
し、さらに昇華性の副反応生成物を加熱真空下で取り除
いた後、残渣を貧溶媒であるメタノールで再結晶するこ
とにより、0.60g (0.63mmol)のポリシラン〔A〕を白色
の固体として得た。単離収率は12.5%であった。
【0017】得られた生成物の、数平均分子量は815
で重量平均分子量は823であり(分子量分布は1.01)
、また融点は248.2 〜254.6 ℃であった。分子量分布
を図1に示す。ポリシラン〔A〕の理論分子量は960.80
であり、上記と合致しないが、この種の分岐ポリシラン
の数平均分子量と重量平均分子量は、良く知られている
ように通常、理論分子量より小さくなる。また、生成物
29SiNMR スペクトル(重ベンゼン中、テトラメチルシ
ラン(0ppm) 標準としてNNEモードで測定)を図2に
示す。図2より、ケミカルシフトδ(ppm)の−8.76
(1級ケイ素:a)、−25.49(2級ケイ素:b)、−3
7.13(3級ケイ素:c)および−119.83(4級ケイ素:
d)における各ピークが、それぞれのケイ素の数に誤差
範囲内で対応した強度比で観測され、取得したポリマー
がポリシランデンドリマー誘導体である本発明の分岐ポ
リシランすなわちトリス[2,2-ビス(トリメチルシリ
ル)-1,1,3,3,3- ペンタメチルトリシリル]メチルシラ
ンであることが確認された。またこの生成物は265nmに
紫外線吸収極大を示した。
【0018】
【発明の効果】本発明のポリシラン〔A〕は、三次元的
に高度に制御され、三方向に規則正しく生長し得る分子
骨格を持ち、かつσ−σ共役により紫外線吸収極大を有
するので、特異な光・電気物性の発現が期待でき、また
優れた発光特性、光電導性およびレジスト特性を持つ化
合物電子材料として応用が可能であり、さらに有機溶媒
に可溶なので電子材料への成形が可能である。従って、
かかる本発明のポリシラン〔A〕は、発光材料、光電導
体、フォトレジスト、光記憶材料等として用い得る。ま
た、本発明のポリシラン〔A〕の末端メチル基は、塩化
アルミニウム触媒を用いてハロゲン化ケイ素で処理する
ことにより、塩素と置き換えることができるので、前記
したようにケイ素連鎖がさらに三方向に規則正しくつな
がった、より巨大なポリシランデンドリマーへと導くこ
とができる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリシラン〔A〕の分子量
分布を示す。
【図2】実施例1で得られたポリシラン〔A〕の29SiNM
R スペクトルを示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−262880(JP,A) 化学,46〜4!(1991)280−281. ADV.MATER.,5〜6! (1993),466−468. MACROMOL.SYMP.,77 (1994),79−92. (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 7/08 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式〔A〕 【化1】 (式中、Meはメチル基を示す)で表される分岐ポリシラ
    ン。
  2. 【請求項2】 式〔1〕 【化2】 (式中、Xはハロゲン原子を示し、Meはメチル基を示
    す)で表されるトリス(ジメチルハロゲノシリル)メチ
    ルシランと式〔2〕 【化3】 で表されるトリス(トリメチルシリル)シリルリチウム
    とを、不活溶媒中、不活性ガス雰囲気下で反応させるこ
    とを特徴とする請求項1記載の分岐ポリシランの製造方
    法。
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KR100235235B1 (ko) * 1997-01-10 1999-12-15 김환규 기능성고분자 단량체로 유용한 유기실리콘 화합물 및 그 제조방법
CN1265110A (zh) * 1997-06-20 2000-08-30 株式会社日立制作所 有机硅纳米簇及其制造方法
JP4750447B2 (ja) * 2004-03-31 2011-08-17 株式会社 資生堂 シリコンクラスター又はゲルマニウムクラスターを含む紫外線吸収剤及び発光剤並びにそのクラスターを用いた皮膚外用剤

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MACROMOL.SYMP.,77(1994),79−92.
化学,46〜4!(1991)280−281.

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