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JP2886737B2 - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JP2886737B2
JP2886737B2 JP4190799A JP19079992A JP2886737B2 JP 2886737 B2 JP2886737 B2 JP 2886737B2 JP 4190799 A JP4190799 A JP 4190799A JP 19079992 A JP19079992 A JP 19079992A JP 2886737 B2 JP2886737 B2 JP 2886737B2
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Japan
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gear
gears
torque
hub
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JP4190799A
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正夫 寺岡
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GKN Driveline Japan Ltd
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Tochigi Fuji Sangyo KK
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Publication date
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Priority to US08/093,051 priority patent/US5458547A/en
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は車両に用いられるデフ
ァレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】実開昭63−78746号公報と実開昭
62−172842号公報にそれぞれ図7と図8のよう
な差動装置201,203が記載されている。
【0003】差動装置201,203はベベルギヤ式の
差動歯車機構207,209と、差動制限用のビスカス
カップリング211,213及び多板クラッチ215,
217とをそれぞれ備えている。ビスカスカップリング
211,213は差動回転速度が大きい程大きな差動制
限力を発生する速度感応型の差動制限手段である。又、
多板クラッチ215,217はそれぞれサイドギヤ21
9,221のピニオンギヤ223,225に対する噛合
い反力によって締結され、この噛合い反力は差動歯車機
構207,209の伝達トルクが大きい程強くなるから
多板クラッチ215,217はトルク感応型の差動制限
手段である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図7のように、差動装
置201では図の左のサイドギヤ219はハブ231を
介して左の車軸233に連結され、右のサイドギヤ23
5は右の車軸237に連結されている。多板クラッチ2
15はハブ231とデフケース239(ハウジング)と
の間に配置されたS−H型(S:シャフト,H:ハウジ
ング)である。又、図8のように、差動装置203では
多板クラッチ217は図の右のサイドギヤ221とデフ
ケース241との間に配置され、ビスカスカップリング
213は左のサイドギヤ243とデフケース241との
間に配置されており、いずれもS−H型である。
【0005】差動装置201において、多板クラッチ2
15によって生じる左右の車軸233,237のトラン
スファーレシオ(Rt )を、それぞれRtL,RtRとす
る。
【0006】
【数1】 L :入力トルクに応じて多板クラッチ215に生じ左
車軸233側に伝わる摩擦トルク。
【0007】fR :入力トルクに応じて多板クラッチ2
15に生じ右車軸237側に伝わる摩擦トルク。
【0008】ここでfL =0であるから
【数2】 よってRtL≠RtRとなり片効きが生じる。
【0009】この場合図7において左右の車軸233,
237には太線の矢印249で示す駆動力が入力される
ほかに右車軸237には破線の矢印251の駆動力が加
わって強化される。
【0010】このように、差動制限手段をS−H型に配
置すると差動制限力が左右で不均等になり、片効きが生
じる。
【0011】図9は差動装置201の差動制限特性を示
すグラフであって、縦軸は左車輪空転時に右車輪に送ら
れる軸トルクであり、横軸は右車輪空転時に左車輪に送
られる軸トルクである。グラフ253とグラフ255は
それぞれ多板クラッチ215による右軸トルクと左軸ト
ルクであって45°の直線257に対して非対称にな
り、上記のように右軸トルクが左軸トルクより大きいこ
とを示している。グラフ253の横軸に対する勾配とグ
ラフ255の縦軸に対する勾配をトランスファーレシオ
(Rt )という。
【0012】従って差動装置201全体の特性はグラフ
253,255にビスカスカップリング211による差
動制限力を均等に加えたグラフ259,261になる。
【0013】図10は差動装置203の差動制限特性を
示すグラフであり、グラフ263,265は多板クラッ
チ217による特性である。多板クラッチ217は右の
サイドギヤ221側にS−H型配置されているから左軸
トルクが右軸トルクより大きい。よって差動装置203
全体の特性はグラフ263,265にビスカスカップリ
ング213の差動制限力を加えたグラフ267,269
となり、直線257に対して非対称である。
【0014】このように、従来はトルク感応型と速度感
応型の特性を合わせて一側と他側とで均等な差動制限特
性を備えたデファレンシャル装置はなかった。
【0015】そこで、この発明は、トルク感応型と速度
感応型の各差動制限手段を備え、一側の差動歯車空転時
と他側の差動歯車空転時とで均等な差動制限特性が得ら
れるデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明のデファレンシ
ャル装置は、それぞれの動力伝達軸に連結された一対の
差動歯車と、これらの差動歯車にそれぞれ噛み合いかつ
互いに噛み合うと共に前記差動歯車と平行軸上に配置さ
れ差動歯車を差動回転可能に連結する一対のピニオンギ
ヤからなる連結歯車と、これらの各歯車を回転自在に支
承すると共に前記一対の歯先面を収納孔に摺動回転自在
に収納するデフケースとを有する差動歯車機構と、この
差動歯車機構においてデフケースが回転駆動された状態
で一方又は他方の動力伝達軸に駆動回転差が生じたとき
ピニオンギヤとデフケースとの摩擦抵抗に感応して差動
を制限しそれぞれ他方又は一方の動力伝達軸に送られる
駆動力が互いに等しいトルク感応型の差動制限手段と、
一対の差動歯車のうち一方の差動歯車に連結した筒部材
と他方の差動歯車に連結したハブとの差動回転速度に感
応して差動を制限する速度感応型の差動制限手段とを備
え、一対のピニオンギヤのうち少なくとも一方のピニオ
ンギヤは、一端がデフケースの一方の側に軸方向に位置
決めされ、他端がデフケースの他方の側に軸方向に当接
する前記筒部材を介してデフケース側に位置決めされた
ことを特徴とする。
【0017】
【作用】デフケースから差動歯車機構に入力した駆動力
は連結歯車と差動歯車とを介して各動力伝達軸に分配さ
れる。又、各動力伝達軸側の駆動抵抗差に応じて差動歯
車が差動回転し、駆動力は各動力伝達軸側に差動分配さ
れる。
【0018】この差動歯車機構に対して速度感応型の差
動制限手段がS−S型配置されていると共に、トルク感
応型の差動制限手段は動力伝達軸のいずれが空転しても
他の接地側の動力伝達軸に送られる駆動力が互いに等し
く、一側と他側とで均等な差動制限特性が得られる。こ
の特性に速度感応型の差動制限力が均等に加わるから全
体の差動制限特性は一側と他側とで均等であり、操縦性
を悪化させるような片効きが生じない。
【0019】
【実施例】図1ないし図4により第1実施例の説明をす
る。図1はこの実施例のデファレンシャル装置を示し、
図4はこのデファレンシャル装置を用いた車両の動力系
を示す。又、左右の方向はこの車両及び図1での左右の
方向であり、符号を附していない部材等は図示されてい
ない。
【0020】図4のように、この動力系はエンジン1、
トランスミッション3、プロペラシャフト5、リヤデフ
7(後輪側に配置された図1のデファレンシャル装
置)、後車軸9,11、左右の後輪13,15、左右の
前輪17,19などから構成されている。リヤデフ7に
おいて、デフケース21はデフキャリヤ23内に回転自
在に配置されており、デフケース21に固定されたリン
グギヤ25はドライブピニオンギヤ27と噛合ってい
る。ドライブピニオンギヤ27はプロペラシャフト5側
に連結されたドライブピニオンシャフト29と一体に形
成されている。こうして、エンジン1の駆動力はトラン
スミッション3とプロペラシャフト5とを介してリヤデ
フ7に伝達されて、デフケース21を回転駆動する。
【0021】図1のように、デフケース21は本体31
と、この本体31にビス33で固定されたカバー35と
からなり、内部には一対のサイドギヤ37,39(差動
歯車)が配置されている。サイドギヤ37の左方には左
のハブ41が配置されており、そのフランジ部43と円
筒部材45とその右側のフランジ47と左のサイドギヤ
37とは溶接で一体にされている。ハブ41はカバー3
5の軸支部49により回転自在に支承されており、フラ
ンジ部43とカバー35との間にはワッシャ51が配置
されている。又、右のサイドギヤ39は右のハブ53に
形成されており、このハブ53は本体31の軸支部55
により回転自在に支承されている。左のハブ41には左
の後車軸9がスプライン連結され止め輪57で脱落を防
止されており、右のハブ53には右の後車軸11がスプ
ライン連結され止め輪59で脱落が防止されている。
【0022】本体31には長い収納孔61と、この収納
孔61と周方向に隣接した短い収納孔とが軸と平行な方
向に設けられている。収納孔61にはピニオンギヤ63
(連結歯車)が摺動回転自在に収納され、短い収納孔に
は短いピニオンギヤ(連結歯車)が摺動回転自在に収納
されそれぞれが歯先外周で回転支持されている。
【0023】長いピニオンギヤ63は左右のギヤ部6
5,67とこれらを連結する軸部69とからなり、軸部
69は右のサイドギヤ39との干渉を避けるために小径
となっている。左のギヤ部65は左のサイドギヤ37と
噛合い、右のギア部67は短いピニオンギヤの右端部と
噛合っている。又、短いピニオンギヤは左端部で右のサ
イドギヤ39と噛合っている。本体31にはスラストワ
ッシャ71と止め輪73,73とが装着され長短のピニ
オンギヤの脱落を防止している。こうして、差動歯車機
構75が構成されている。
【0024】デフケース21を回転させるエンジン1の
駆動力は各ピニオンギヤからサイドギヤ37,39に分
配され、後車軸9,11を介して左右の後輪13,15
に伝達される。後輪間に駆動抵抗差が生じると各ピニオ
ンギヤの回転によりエンジン1の駆動力は左右各側に差
動分配される。
【0025】差動歯車機構75の各ギヤはヘリカルギヤ
である。車両の前進時にデフケース21が回転駆動され
ると、各ピニオンギヤとの噛合いにより生じたスラスト
力77,79により各サイドギヤ37,39は互いの間
の摺動部81で押圧されて摺動し、デフケース21が車
両の後進方向に回転駆動されるとサイドギヤ37の噛合
いスラスト力83によりフランジ部43がワッシャ51
との摺動部85で摺動し、噛合いスラスト力87により
サイドギヤ39が本体31との摺動部89で摺動する。
摺動部81の摩擦係数は摺動部85,89の摩擦係数よ
り大きくしてある。
【0026】又、噛合いスラスト力により長いピニオン
ギヤ63の左端はフランジ47と摺動し、右端はスラス
トワッシャ71と摺動する。短いピニオンギヤの左端は
本体31と摺動し、右端はスラストワッシャ71と摺動
する。これら各摺動部は同一の摩擦係数にしてある。
又、各ピニオンギヤ(の歯先外周)とその収納孔との間
(支持面)で回転摩擦抵抗が得られる。
【0027】各ピニオンギヤの回転摩擦抵抗と噛合いス
ラスト力による各摺動部の摩擦抵抗により各ピニオンギ
ヤとサイドギヤ37,39の回転が制動され、差動歯車
機構75の差動回転が制限される。この摩擦抵抗は差動
歯車機構75の伝達トルクに比例して変化するから各摺
動部はトルク感応型の差動制限手段を構成している。
【0028】左のサイドギヤ37側のフランジ部43と
フランジ47との間にはハブ91が配置され、ハブ41
の外周で回転自在に支承されている。ハブ91には左の
サイドギヤ37とハブ41との隙間93を右方へ貫通す
る連結部95が設けられており、この連結部95は右の
ハブ53にスプライン連結されている。フランジ部43
と円筒部材45とフランジ47とハブ91との間には作
動室97が形成され、この作動室97には注入孔99か
ら高粘度のシリコンオイルが注入され注入孔99にかし
めたボール101により密封されている。円筒部材45
には多数のアウタープレートが係合し、ハブ91にはア
ウタープレートと交互に配置されたインナープレートが
係合している。ハブ91とハブ41との間にはXリング
103(断面がX字状のシール)とバックアップリング
105とが配置され、サイドギヤ37と連結部95との
間にはXリング107とバックアップリング109とが
配置され、シリコンオイルの漏出を防止している。
【0029】こうして、ビスカスカップリング111
(速度感応型の差動制限手段)が構成されている。アウ
タープレートはハブ41を介して左の後車軸9に連結さ
れ、インナープレートはハブ91とハブ53とを介して
右の後車軸11に連結されているから、ビスカスカップ
リング111はS−S型配置で差動歯車機構75の差動
回転を制限する。
【0030】ビスカスカップリング111のハブ91は
連結部95によりハブ53に連結されているから、図7
の従来例においてビスカスカップリング211と連結す
るために右の車軸237を左の車軸233より長くしな
ければならなかったのと異って、左右の後車軸9,11
を等長にできる。
【0031】こうして、リヤデフ7が構成されている。
【0032】次に、図2と図3とにより、リヤデフ7の
差動制限特性を説明する。
【0033】図2は、リヤデフ7のトランスファーレシ
オ(Rt )を示すグラフであり、第1象限が前進側の領
域であり、第3象限が後進側(コースティング側)の領
域である。第1,第3象限の45°の直線113の上側
は左後輪13が空転したときにリヤデフ7を介して右後
輪15に送られる軸トルクの領域であり、下側は右後輪
15が空転したときに左後輪13に送られる軸トルクの
領域である。
【0034】グラフ115,117,119,121は
トルク感応型差動制限手段のトランスファーレシオであ
り、これらのグラフにビスカスカップリング111の差
動制限力を加えたグラフ123,125,127,12
9がリヤデフ7全体の差動制限特性となる。
【0035】トルク感応型差動制限手段のピニオンギヤ
と収納孔との摩擦抵抗は左のサイドギヤ37が先行回転
したときと右のサイドギヤ39が先行回転したときと等
しいと共に、噛合いスラスト力による各ピニオンギヤ端
部の摺動摩擦抵抗を前記のように左右等しくしてある。
従って、この差動制限手段は前後進共に左右の片効きが
なくグラフ115とグラフ117及びグラフ119とグ
ラフ121はそれぞれ直線113に対して対称形になっ
ている。又、上記のように、摺動部81の摺動抵抗を摺
動部85,89の摺動抵抗より大きくしてあるから前進
時のグラフ115,117のRt は後進時のRt より大
きい。又、ビスカスカップリング111がS−S型配置
されているから、その差動制限力を各グラフ115,1
17,119,121に加えたグラフ123,125,
127,129も直線113に対して対称形であり、リ
ヤデフ7は片効きが発生しない。
【0036】図4の車両において、悪路走行時に例え
ば、左後輪13が空転し左軸トルクがTL1まで低下して
も右後輪15には大きなTR1の軸トルクが送られて悪路
走破性が大幅に向上する。このとき、片効きがないから
空転側が左右いずれでも接地側の後輪に送られる駆動力
は等しくなり操縦性と安全性とが大幅に改善される。
又、このように大きな差動制限力が得られることは大ト
ルク時の車体の安定性が特に高くなり、スポーティ走行
に好適である。
【0037】又、図2のように、グラフ123,12
5,127,129の勾配はグラフ115,117,1
19,121の勾配によって決まる。従って、ビスカス
カップリング111の差動制限力の効果もグラフ11
5,117,119,121の勾配で決まり、この効果
の差はグラフ123と縦軸との接片である前進時のイニ
シャルトルクTiDとグラフ129と縦軸との接片である
後進時のイニシャルトルクTicとの差として表われる。
ここで、グラフ123,129の勾配をそれぞれRtD
tcとし、ビスカスカップリング111の単体トルクを
Vcとすると、 TiD=TVc(RtD+1) Tic=TVc(Rtc+1) であり、RtD>Rtcであるから、TiD>Ticとなる。
【0038】このように、前後進でRt を変えたトルク
感応型差動制限手段と組合わせることにより、ビスカス
カップリング111の特性を加えた全体の特性も前後進
で変えることができる。
【0039】図3はリヤデフ7の入力トルクに対する差
動制限力を示すグラフである。グラフ131は前進時の
差動制限力が図2のグラフ123,125のRt が大き
いことにより改善され、グラフ133は後進時やエンジ
ンブレーキ時の差動制限力が図2のグラフ127,12
9のRt が小さいことにより低減されることを示してい
る。又、破線135はABS(アンチロックブレーキシ
ステム)の限界トルクを示し、エンジンブレーキ時の最
大入力トルクをT1 とすればそのときの差動制限トルク
2 はABSの限界トルクを超えることがなく、ABS
との干渉が避けられる。
【0040】以上のように、リヤデフ7は左右のトラン
スファーレシオが均等なトルク感応型の差動制限手段に
加えて速度感応型であるビスカスカップリング111を
S−S型配置したことにより、全体としても左右対稱の
差動制限特性となって車両の操安性が大幅に向上する。
又、本構造を取ることによりトルク感応型差動制限手段
のトランスファーレシオを車両の前進時に大きく後進時
に小さくすることが容易となり、左右対称のままビスカ
スカップリング111の差動制限力が働いた場合でも前
進時は大きな差動制限力が得られると共に、エンジンブ
レーキの際は車両のABSとの干渉を防止できる。又、
これに加えて後車軸9,11を等長にできる。
【0041】次に、図5により第2実施例の説明をす
る。この実施例は第1実施例のリヤデフ7においてピニ
オンギヤ間の噛合い部が差動歯車機構75右端側である
のに対して、この噛合い部を差動歯車機構の左端側にし
たものに相当する。以下、リヤデフ7との相異点だけを
説明する。なお、図5において図1のものと同機能の部
材には図1と同符号を附してある。この実施例のデファ
レンシャル装置は第1実施例のリヤデフ7と同様に図4
の車両のリヤデフ137として用いられている。
【0042】デフケース21内には左右のサイドギヤ1
39,141(差動歯車)が配置されており、左のサイ
ドギヤ139は左のハブ143に形成され、右のサイド
ギヤ141は右のハブ145に形成されている。各ハブ
143,145は軸支部147で互いの自由端を支承し
合っており、右のハブ145と本体31との間にはワッ
シャ149が配置されている。ハブ41には左後車軸9
がスプライン連結され、ハブ145には右後車軸11が
スプライン連結されている。
【0043】本体31に軸方向に設けられた収納孔15
1には長いピニオンギヤ153(連結歯車)が摺動回転
自在に収納され、収納孔151の周方向に隣接して設け
られた軸方向の収納孔には短いピニオンギヤ(連結歯
車)が摺動回転自在に収納されている。
【0044】長いピニオンギヤ153は左右のギヤ部1
55,157とこれらを連結する軸部159からなり、
左のギヤ部155は短いピニオンギヤの左端部と噛合
い、右のギヤ部157は右のサイドギヤ141と噛合っ
ている。又、短いピニオンギヤの右端部は左のサイドギ
ヤ139と噛合っている。これらの各ギヤはヘリカルギ
ヤである。こうして、差動歯車機構161が構成されて
いる。
【0045】デフケース21が車両の前進時の回転方向
に回転駆動されると、各ピニオンギヤとの噛合いスラス
ト力により各サイドギヤ139,141は互いの摺動部
163で摺動する。又、デフケース21が後進方向に回
転駆動されると、反対方向の噛合いスラスト力によりフ
ランジ部43はワッシャ51との摺動部165で摺動
し、ハブ145はワッシャ149との摺動部167で摺
動する。摺動部163の摩擦係数は摺動部165,16
7より大きくされ、従って前進時の摩擦抵抗は後進時よ
り大きくなっている。各ピニオンギヤは噛合い部のスラ
スト力により左端がハブ143と摺動し、右端を本体3
1やスラストワッシャ71と摺動する。これらの摺動部
の摩擦係数は等しくされている。各摺動部により差動歯
車機構161に対するトルク感応型差動制限手段が構成
されている。又、ビスカスカップリング111はハブ4
1とハブ145との間でS−S型配置されている。
【0046】従って、リヤデフ137は前後進時共に差
動制限力の左右の片効きがないと共に、前進時には大き
な差動制限力が得られ後進時(コースティング時)には
差動制限力を低減できるから、車両に優れた操安性とス
ポーティ走行性とを与え、エンジンブレーキ時にはAB
Sとの干渉を避けられる。
【0047】さらに図6により第3実施例の説明をす
る。
【0048】この実施例は、第1実施例のリヤデフ7に
おいて速度感応型の差動制限手段としてのビスカスカッ
プリング111に対してプランジャポンプ型カップリン
グ169を配置したものであり、このプランジャポンプ
型カップリング169とトルク感応型の差動制限手段を
構成する為の差動歯車機構171とが左右の後車軸9,
11に連絡する左右のハブ173,175の間にS−S
型に配設されている。本実施例も第1、第2実施例と同
様の効果を奏する。
【0049】
【発明の効果】この発明のデファレンシャル装置は、差
動歯車機構の一側の差動歯車側動力伝達軸の空転時と他
側の差動歯車側動力伝達軸の空転時とで差動制限特性が
均等なトルク感応型の差動制限手段に加えて動力伝達軸
側間に速度感応型の差動制限手段を配置したから、一側
と他側とで均等な差動制限特性が得られる。またトルク
感応型差動制限手段の差動制限力を容易に差動回転の方
向で変えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の断面図である。
【図2】第1実施例の差動制限特性を示すグラフであ
る。
【図3】第1実施例の差動制限特性を示すグラフであ
る。
【図4】各実施例を用いた車両の動力系を示すスケルト
ン構成図である。
【図5】第2実施例の断面図である。
【図6】第3実施例の断面図である。
【図7】第1の従来例の断面図である。
【図8】第2の従来例の断面図である。
【図9】第1の従来例の差動制限特性を示すグラフであ
る。
【図10】第2の従来例の差動制限特性を示すグラフで
ある。
【符号の説明】 7,137 リヤデフ(デファレンシャル装置) 9 左後車軸(動力伝達軸) 11 右後車軸(動力伝達軸) 21 デフケース 37,39,139,141 サイドギヤ(差動歯車) 63,153 ピニオンギヤ(連結歯車) 75,161,171 差動歯車機構 111 ビスカスカップリング(速度感応型の差動制限
手段) 169 プランジャポンプ型カップリング(速度感応型
の差動制限手段)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの動力伝達軸に連結された一対
    の差動歯車と、これらの差動歯車にそれぞれ噛み合いか
    つ互いに噛み合うと共に前記差動歯車と平行軸上に配置
    され差動歯車を差動回転可能に連結する一対のピニオン
    ギヤからなる連結歯車と、これらの各歯車を回転自在に
    支承すると共に前記一対の歯先面を収納孔に摺動回転自
    在に収納するデフケースとを有する差動歯車機構と、こ
    の差動歯車機構においてデフケースが回転駆動された状
    態で一方又は他方の動力伝達軸に駆動回転差が生じたと
    きピニオンギヤとデフケースとの摩擦抵抗に感応して差
    動を制限しそれぞれ他方又は一方の動力伝達軸に送られ
    る駆動力が互いに等しいトルク感応型の差動制限手段
    と、一対の差動歯車のうち一方の差動歯車に連結した筒
    部材と他方の差動歯車に連結したハブとの差動回転速度
    に感応して差動を制限する速度感応型の差動制限手段と
    を備え、一対のピニオンギヤのうち少なくとも一方のピ
    ニオンギヤは、一端がデフケースの一方の側に軸方向に
    位置決めされ、他端がデフケースの他方の側に軸方向当
    接する前記筒部材を介して軸方向に位置決めされたこと
    を特徴とするデファレンシャル装置。
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