JP2770010B2 - 酵母のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺伝子ならびにこの遺伝子の欠損変異株を利用する高マンノース型中性糖鎖の製造方法 - Google Patents
酵母のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺伝子ならびにこの遺伝子の欠損変異株を利用する高マンノース型中性糖鎖の製造方法Info
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- JP2770010B2 JP2770010B2 JP8075667A JP7566796A JP2770010B2 JP 2770010 B2 JP2770010 B2 JP 2770010B2 JP 8075667 A JP8075667 A JP 8075667A JP 7566796 A JP7566796 A JP 7566796A JP 2770010 B2 JP2770010 B2 JP 2770010B2
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- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトなど哺乳類細
胞の生産する高マンノース型糖鎖と同一の糖鎖構造をも
つ高マンノース型中性オリゴ糖鎖、および、これらの高
マンノース型中性オリゴ糖鎖を蛋白質のアスパラギン残
基に付加した糖蛋白質を、酵母を用いて遺伝子工学的手
法により製造する方法に関する。
胞の生産する高マンノース型糖鎖と同一の糖鎖構造をも
つ高マンノース型中性オリゴ糖鎖、および、これらの高
マンノース型中性オリゴ糖鎖を蛋白質のアスパラギン残
基に付加した糖蛋白質を、酵母を用いて遺伝子工学的手
法により製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】生体内で重要な機能をもつ蛋白質の多く
は、単純蛋白質ではなく、糖鎖をもった糖蛋白質であ
り、糖鎖を除くと本来の生物活性を示さなくなること
が、エリスロポエチン(EPO)や組織プラスミノゲン
活性化因子(TPA)などで明らかにされており [木幡
陽、蛋白質核酸酵素、Vol.36, p775 (1991);竹内誠、
生化学、Vol.62, p1272 (1990)]、糖鎖は生物活性の発
現に重要な役割を担っていることが示唆される。ヒトな
ど哺乳類由来の糖蛋白質には多くの種類があるが、蛋白
質に付加する糖鎖は蛋白質の種類、生物種、臓器などで
異なるうえ、糖鎖の鎖長は均一ではなく、一定の鎖長分
布をもった不均一なものである [木幡陽、蛋白質核酸酵
素、Vol.36, p775 (1991);竹内誠、生化学、Vol.62, p
1272 (1990)]。
は、単純蛋白質ではなく、糖鎖をもった糖蛋白質であ
り、糖鎖を除くと本来の生物活性を示さなくなること
が、エリスロポエチン(EPO)や組織プラスミノゲン
活性化因子(TPA)などで明らかにされており [木幡
陽、蛋白質核酸酵素、Vol.36, p775 (1991);竹内誠、
生化学、Vol.62, p1272 (1990)]、糖鎖は生物活性の発
現に重要な役割を担っていることが示唆される。ヒトな
ど哺乳類由来の糖蛋白質には多くの種類があるが、蛋白
質に付加する糖鎖は蛋白質の種類、生物種、臓器などで
異なるうえ、糖鎖の鎖長は均一ではなく、一定の鎖長分
布をもった不均一なものである [木幡陽、蛋白質核酸酵
素、Vol.36, p775 (1991);竹内誠、生化学、Vol.62, p
1272 (1990)]。
【0003】このため、糖鎖の生物活性と糖鎖構造との
相関は明確ではなく、蛋白質部分に付加する糖鎖の種類
や構造については、蛋白質毎に試行錯誤を繰り返してい
るのが現状である。よって、蛋白質に付加する糖鎖の構
造(糖の種類、結合位置、鎖長など)を思い通りに改変
制御できる技術の開発が必要であり、また均一な鎖長を
もち、かつ化学構造の明確な糖鎖およびこの糖鎖を付加
した糖蛋白質の供給が学会だけでなく産業界からも期待
されている。
相関は明確ではなく、蛋白質部分に付加する糖鎖の種類
や構造については、蛋白質毎に試行錯誤を繰り返してい
るのが現状である。よって、蛋白質に付加する糖鎖の構
造(糖の種類、結合位置、鎖長など)を思い通りに改変
制御できる技術の開発が必要であり、また均一な鎖長を
もち、かつ化学構造の明確な糖鎖およびこの糖鎖を付加
した糖蛋白質の供給が学会だけでなく産業界からも期待
されている。
【0004】蛋白質に結合する糖鎖には蛋白質のアスパ
ラギン残基に結合するN−結合型とセリンまたはスレオ
ニン残基に結合するO−結合型の2種類がある。このう
ち、N−結合型糖鎖の生合成経路については、多くの知
見があり、詳しく解析されている。糖鎖の生合成は、ま
ず小胞体(以下、ERという) で始まり、その後ゴルジ
体でさらに糖鎖の修飾が起こる。このうち、ERで生成
する糖鎖は酵母も哺乳類細胞も基本的には同じであり、
図1に示した経路で合成されることがわかっている[ 図
1は Herscovics, A. and Orlean, P., FASEB J., Vol.
7, p.540-550 (1993) を改変したものである] 。本明細
書では、ERで合成された糖鎖を、以後、コア型糖鎖と
よぶが、その糖鎖は8分子のマンノース(Man)と2分子
のNーアセチルグルコサミン(GlcNAc)から構成されるこ
とがわかっている(図1参照)。このコア型糖鎖(Man8G
lcNAc2)をもつ蛋白質はゴルジ体に輸送されて、種々の
修飾を受けるが、このゴルジ体での修飾は酵母と哺乳類
細胞で大きく異なっている [Kukuruzinska et al, Ann.
Rev. Biochem., Vol.56, p915 (1987)]。
ラギン残基に結合するN−結合型とセリンまたはスレオ
ニン残基に結合するO−結合型の2種類がある。このう
ち、N−結合型糖鎖の生合成経路については、多くの知
見があり、詳しく解析されている。糖鎖の生合成は、ま
ず小胞体(以下、ERという) で始まり、その後ゴルジ
体でさらに糖鎖の修飾が起こる。このうち、ERで生成
する糖鎖は酵母も哺乳類細胞も基本的には同じであり、
図1に示した経路で合成されることがわかっている[ 図
1は Herscovics, A. and Orlean, P., FASEB J., Vol.
7, p.540-550 (1993) を改変したものである] 。本明細
書では、ERで合成された糖鎖を、以後、コア型糖鎖と
よぶが、その糖鎖は8分子のマンノース(Man)と2分子
のNーアセチルグルコサミン(GlcNAc)から構成されるこ
とがわかっている(図1参照)。このコア型糖鎖(Man8G
lcNAc2)をもつ蛋白質はゴルジ体に輸送されて、種々の
修飾を受けるが、このゴルジ体での修飾は酵母と哺乳類
細胞で大きく異なっている [Kukuruzinska et al, Ann.
Rev. Biochem., Vol.56, p915 (1987)]。
【0005】哺乳類細胞では、糖鎖修飾を受ける蛋白質
の種類によって異なる以下の3種の異なる経路をたど
る。1)上記のコア型糖鎖が何等変化をうけない場合、2)
UDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)のN-アセチル
グルコサミン-1-リン酸(GlcNAc-1-P)部分がコア糖鎖の
Manの6位に付加してMan-6-P-1-GlcNAcとなったのち、こ
のGlcNAc部分だけが除去されて、Man-6-Pを含む酸性糖
鎖をもつ糖蛋白質に変換される場合、3)コア型糖鎖から
5分子のManが順次除去されてMan3GlcNAc2となり、これ
と相前後してGlcNAc、ガラクトース(Gal)、Nーアセチ
ルノイラミン酸、別名シアル酸(NeuNAc)などが順次付加
して、多様な混成型および複合型糖鎖が混合物として生
成する場合の3通りである[R. Kornfeld and S. Kornfe
ld, Ann. Rev. Biochem., Vol. 54, p.631-664 (198
5)]。
の種類によって異なる以下の3種の異なる経路をたど
る。1)上記のコア型糖鎖が何等変化をうけない場合、2)
UDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)のN-アセチル
グルコサミン-1-リン酸(GlcNAc-1-P)部分がコア糖鎖の
Manの6位に付加してMan-6-P-1-GlcNAcとなったのち、こ
のGlcNAc部分だけが除去されて、Man-6-Pを含む酸性糖
鎖をもつ糖蛋白質に変換される場合、3)コア型糖鎖から
5分子のManが順次除去されてMan3GlcNAc2となり、これ
と相前後してGlcNAc、ガラクトース(Gal)、Nーアセチ
ルノイラミン酸、別名シアル酸(NeuNAc)などが順次付加
して、多様な混成型および複合型糖鎖が混合物として生
成する場合の3通りである[R. Kornfeld and S. Kornfe
ld, Ann. Rev. Biochem., Vol. 54, p.631-664 (198
5)]。
【0006】一方、酵母では、上記のコア型糖鎖(Man8G
lcNAc2)にManが多数付加して、いわゆる糖外鎖(outer c
hain)を生成する他、コア糖鎖部分および糖外鎖部分に
マンノース-1-リン酸が付加した酸性糖鎖も生成するこ
とがわかっている(図2〜図3参照)。この修飾は、動
物細胞と異なり、酵母では液胞(動物細胞のリソゾーム
に相当するオルガネラ)局在性糖蛋白質のソーティング
シグナル(sorting signal)としては機能していないこ
とが報告されている。従って、酵母におけるこのリン酸
化糖鎖の生理機能は不明のままである [Kukuruzinska e
t al, Ann. Rev. Biochem., Vol.56, p915 (1987)]。
lcNAc2)にManが多数付加して、いわゆる糖外鎖(outer c
hain)を生成する他、コア糖鎖部分および糖外鎖部分に
マンノース-1-リン酸が付加した酸性糖鎖も生成するこ
とがわかっている(図2〜図3参照)。この修飾は、動
物細胞と異なり、酵母では液胞(動物細胞のリソゾーム
に相当するオルガネラ)局在性糖蛋白質のソーティング
シグナル(sorting signal)としては機能していないこ
とが報告されている。従って、酵母におけるこのリン酸
化糖鎖の生理機能は不明のままである [Kukuruzinska e
t al, Ann. Rev. Biochem., Vol.56, p915 (1987)]。
【0007】酵母のマンノースリン酸含有糖鎖のリン酸
化部位は、図2〜図3中のGのように、小胞体で合成さ
れるMan8GlcNAc2のコア糖鎖のα-1,3-分岐側とα-1,6-
分岐側に付加する場合のほか、ゴルジ体で合成されるマ
ンノース外鎖に多数存在するα-1,2-分岐に付加する場
合とマンノース外鎖の非還元末端に付加する場合の、計
4つのタイプに分けることができる[A. Herscovics and
P. Orlean, FASEB J., Vol. 7, p540-550 (1993)]。こ
れらのマンノースリン酸含有糖鎖は、酵母の細胞表層に
局在するインベルターゼなど糖蛋白質の局在化や細胞間
凝集に関与している可能性が指摘されているが、確証の
あるデータは得られていない。
化部位は、図2〜図3中のGのように、小胞体で合成さ
れるMan8GlcNAc2のコア糖鎖のα-1,3-分岐側とα-1,6-
分岐側に付加する場合のほか、ゴルジ体で合成されるマ
ンノース外鎖に多数存在するα-1,2-分岐に付加する場
合とマンノース外鎖の非還元末端に付加する場合の、計
4つのタイプに分けることができる[A. Herscovics and
P. Orlean, FASEB J., Vol. 7, p540-550 (1993)]。こ
れらのマンノースリン酸含有糖鎖は、酵母の細胞表層に
局在するインベルターゼなど糖蛋白質の局在化や細胞間
凝集に関与している可能性が指摘されているが、確証の
あるデータは得られていない。
【0008】酵母における糖外鎖の生合成は図2〜図3
に示した経路で進行すると考えられている(Ballou et
al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.87, p3368 (199
0))。すなわち、コア型糖鎖にα−1,6結合でManが
付加する延長開始の反応(図2〜図3中のI)に続い
て、さらにα−1,6結合でManを順次延長する反応
(図2〜図3中のII)がおこることにより、糖外鎖の骨
格となるポリ−α−1,6Man結合が形成される(図2
〜図3中のE)。このα−1,6結合のManには、α−
1,2結合したManの分枝が存在し、この枝分れしたα
−1,2結合のManの先端には、通常さらにα−1,3結合
したManが付加している(図2〜図3中のG参照)。
に示した経路で進行すると考えられている(Ballou et
al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.87, p3368 (199
0))。すなわち、コア型糖鎖にα−1,6結合でManが
付加する延長開始の反応(図2〜図3中のI)に続い
て、さらにα−1,6結合でManを順次延長する反応
(図2〜図3中のII)がおこることにより、糖外鎖の骨
格となるポリ−α−1,6Man結合が形成される(図2
〜図3中のE)。このα−1,6結合のManには、α−
1,2結合したManの分枝が存在し、この枝分れしたα
−1,2結合のManの先端には、通常さらにα−1,3結合
したManが付加している(図2〜図3中のG参照)。
【0009】ただし、α−1,6結合の先端のManには
α−1,2結合したManが付加するだけであり、α−1,3
結合のManがさらに付加することはない(図2〜図3
中のF or G)( Gopal and Ballou, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, Vol.84, p8824(1987))。従って、コア型
糖鎖を生産するためには、この糖外鎖が付加しなくな
り、糖鎖合成がコア型糖鎖(図2〜図3中のA)で停止
するような変異株を単離することにより達成されるが、
本発明者らは既にこの糖外鎖を欠損した変異株の作成に
成功している(特開平6-277086号公報)。しかし、この方
法により生産した糖蛋白質糖鎖には、次式(I)
α−1,2結合したManが付加するだけであり、α−1,3
結合のManがさらに付加することはない(図2〜図3
中のF or G)( Gopal and Ballou, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, Vol.84, p8824(1987))。従って、コア型
糖鎖を生産するためには、この糖外鎖が付加しなくな
り、糖鎖合成がコア型糖鎖(図2〜図3中のA)で停止
するような変異株を単離することにより達成されるが、
本発明者らは既にこの糖外鎖を欠損した変異株の作成に
成功している(特開平6-277086号公報)。しかし、この方
法により生産した糖蛋白質糖鎖には、次式(I)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、Mはマンノース,GNはN−アセ
チルグルコサミンを示す)で表される中性糖鎖のほか
に、次式(II)〜(IV)
チルグルコサミンを示す)で表される中性糖鎖のほか
に、次式(II)〜(IV)
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で表される酸性糖鎖が含まれることが判明した(第12
回バイオテクノロジーシンポジウム予行集、p.153-15
7、平成6年10月14日発行、バイオテクノロジー開
発技術研究組合発行)。この酸性糖鎖はヒトなど哺乳類
由来の糖鎖には存在しない構造である。すなわち、哺乳
類細胞では、上記式(II)〜(IV)のマンノース−1−リ
ン酸の付加部位に、マンノース−1−フォスフェート
(mannnose-1-phosphate)ではなく、GlcNAc-1−フォス
フェートが付加したのち、GlcNAc部分だけがさらに除去
されて、最終的に次式(V) 〜(VII)
で表される酸性糖鎖が含まれることが判明した(第12
回バイオテクノロジーシンポジウム予行集、p.153-15
7、平成6年10月14日発行、バイオテクノロジー開
発技術研究組合発行)。この酸性糖鎖はヒトなど哺乳類
由来の糖鎖には存在しない構造である。すなわち、哺乳
類細胞では、上記式(II)〜(IV)のマンノース−1−リ
ン酸の付加部位に、マンノース−1−フォスフェート
(mannnose-1-phosphate)ではなく、GlcNAc-1−フォス
フェートが付加したのち、GlcNAc部分だけがさらに除去
されて、最終的に次式(V) 〜(VII)
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で表される酸性糖鎖になるのに対して、酵母細胞では、
式(II)〜(IV)の酸性糖鎖からMan部分だけが除去
されるという反応が起こらないため、式(II)〜(IV)
の酸性糖鎖は哺乳類の体内で異物と認識されて、抗原性
を示すと思われる[Clinton E. Ballou, Methods in Enz
ymology, Vol.185, p.440-470 (1990)]。このように、
酵母と哺乳類細胞では蛋白質に付加する糖鎖の構造が大
きく異なるため、遺伝子工学的手法により酵母でヒトな
ど哺乳類由来の有用糖蛋白質を生産させても、哺乳類由
来のものと同一の生物活性が検出されなかったり、糖鎖
の違いによる抗原性の相違などが指摘されている。この
ため、哺乳類由来の糖蛋白質を酵母で生産させることは
従来困難であった。
で表される酸性糖鎖になるのに対して、酵母細胞では、
式(II)〜(IV)の酸性糖鎖からMan部分だけが除去
されるという反応が起こらないため、式(II)〜(IV)
の酸性糖鎖は哺乳類の体内で異物と認識されて、抗原性
を示すと思われる[Clinton E. Ballou, Methods in Enz
ymology, Vol.185, p.440-470 (1990)]。このように、
酵母と哺乳類細胞では蛋白質に付加する糖鎖の構造が大
きく異なるため、遺伝子工学的手法により酵母でヒトな
ど哺乳類由来の有用糖蛋白質を生産させても、哺乳類由
来のものと同一の生物活性が検出されなかったり、糖鎖
の違いによる抗原性の相違などが指摘されている。この
ため、哺乳類由来の糖蛋白質を酵母で生産させることは
従来困難であった。
【0020】また、Man8GlcNAc2から構成されるコア型
糖鎖は、糖鎖生合成の中間体として重要なため、糖鎖関
連の研究用試薬として、哺乳類由来のものが少量市販さ
れているが、この糖鎖を有機化学的手法により、均一か
つ多量に合成することも現状では困難である。
糖鎖は、糖鎖生合成の中間体として重要なため、糖鎖関
連の研究用試薬として、哺乳類由来のものが少量市販さ
れているが、この糖鎖を有機化学的手法により、均一か
つ多量に合成することも現状では困難である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
ようなヒトおよび他の哺乳類由来のN−結合型糖蛋白質
の生産における欠点を克服するため、組み換えDNA技
術により、酵母を用いて、ヒトと同一の糖鎖構造をもつ
高マンノース型中性オリゴ糖鎖、或いは、高マンノース
型中性オリゴ糖鎖をもつ糖蛋白質の製造する方法を提供
することにある。
ようなヒトおよび他の哺乳類由来のN−結合型糖蛋白質
の生産における欠点を克服するため、組み換えDNA技
術により、酵母を用いて、ヒトと同一の糖鎖構造をもつ
高マンノース型中性オリゴ糖鎖、或いは、高マンノース
型中性オリゴ糖鎖をもつ糖蛋白質の製造する方法を提供
することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酵母に特異的な糖鎖
の修飾反応であるマンノース−1−リン酸付加を正に制
御する遺伝子(MNN4)を単離し、この遺伝子構造を明らか
にするとともに、この遺伝子を破壊することにより、抗
原性をもつマンノース−1−リン酸含有酸性糖鎖の相対
量が低下し、式(I)で示した中性糖鎖の含有量が増加
した酵母株の作成に成功し、これを利用することによ
り、この中性糖鎖を多量に生産できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酵母に特異的な糖鎖
の修飾反応であるマンノース−1−リン酸付加を正に制
御する遺伝子(MNN4)を単離し、この遺伝子構造を明らか
にするとともに、この遺伝子を破壊することにより、抗
原性をもつマンノース−1−リン酸含有酸性糖鎖の相対
量が低下し、式(I)で示した中性糖鎖の含有量が増加
した酵母株の作成に成功し、これを利用することによ
り、この中性糖鎖を多量に生産できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0023】即ち、本発明は実質的に配列番号1に示し
たアミノ酸配列をコードする酵母のマンノース-1-リン
酸転移を正に制御する遺伝子である。上記遺伝子として
は、例えば配列番号2に示した塩基配列で表されるもの
が挙げられる。また、酵母としてはサッカロミセス・セ
レビシエが挙げられる。さらに、本発明は上記マンノー
ス-1-リン酸転移を正に制御する遺伝子の全部叉は一部
を含むプラスミドDNAである。
たアミノ酸配列をコードする酵母のマンノース-1-リン
酸転移を正に制御する遺伝子である。上記遺伝子として
は、例えば配列番号2に示した塩基配列で表されるもの
が挙げられる。また、酵母としてはサッカロミセス・セ
レビシエが挙げられる。さらに、本発明は上記マンノー
ス-1-リン酸転移を正に制御する遺伝子の全部叉は一部
を含むプラスミドDNAである。
【0024】さらに、本発明は上記プラスミドDNAに
おいて、そのマンノース-1-リン酸転移を正に制御する
遺伝子の機能を欠損した遺伝子断片を作成し、これを酵
母染色体の相同領域に組込むことにより、マンノース-1
-リン酸転移を正に制御する遺伝子の機能を破壊した酵
母である。さらに、本発明はマンノースリン酸転移に関
する遺伝子(以下、MNN4遺伝子という)を破壊した
△mnn4酵母と、マンノース外鎖合成の開始に必要な
α-1,6-マンノース付加に関与するOCH1遺伝子及び
糖鎖の非還元末端へのα-1,3-マンノース付加に関与す
るMNN1遺伝子の両方を破壊した酵母株(△och1
△mnn1)とを交雑することにより得られる三重変異
(△och1△mnn1△mnn4)酵母である。
おいて、そのマンノース-1-リン酸転移を正に制御する
遺伝子の機能を欠損した遺伝子断片を作成し、これを酵
母染色体の相同領域に組込むことにより、マンノース-1
-リン酸転移を正に制御する遺伝子の機能を破壊した酵
母である。さらに、本発明はマンノースリン酸転移に関
する遺伝子(以下、MNN4遺伝子という)を破壊した
△mnn4酵母と、マンノース外鎖合成の開始に必要な
α-1,6-マンノース付加に関与するOCH1遺伝子及び
糖鎖の非還元末端へのα-1,3-マンノース付加に関与す
るMNN1遺伝子の両方を破壊した酵母株(△och1
△mnn1)とを交雑することにより得られる三重変異
(△och1△mnn1△mnn4)酵母である。
【0025】さらに、本発明は前記酵母を培地に培養し
て培養物からN−アセチルグルコサミン2分子とマンノ
ース8分子とから構成される次式(I)
て培養物からN−アセチルグルコサミン2分子とマンノ
ース8分子とから構成される次式(I)
【0026】
【化10】
【0027】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で表される中性オリゴ糖鎖を結合した高マンノース型中
性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質を回収することを特徴とす
る前記高マンノース型中性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質の
製造法である。さらに、本発明は前記高マンノース型中
性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質から次式(I)
で表される中性オリゴ糖鎖を結合した高マンノース型中
性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質を回収することを特徴とす
る前記高マンノース型中性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質の
製造法である。さらに、本発明は前記高マンノース型中
性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質から次式(I)
【0028】
【化11】
【0029】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で表される高マンノース型中性オリゴ糖鎖を分離するこ
とを特徴とする中性オリゴ糖鎖の製造方法である。さら
に、本発明は実質的に配列番号1に示したアミノ酸配列
を有するポリペプチドからなるマンノース-1-リン酸転
移を正に制御する蛋白質である。本発明に係わるマンノ
ース−1−リン酸転移を正に制御する蛋白質は、配列番
号1で表されるアミノ酸配列を有する点において、また
本発明のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺
伝子は、配列番号2で表される塩基配列を有する点にお
いて、それぞれ特徴づけられるが、これら以外に上記で
述べたとおり例えば上記アミノ酸のN末端に位置するメ
チオニン(Met)が欠損したもの等や、翻訳後の修飾や遺
伝子工学的手法による配列の改変(付加、欠損、置換
等)がなされたマンノース−1−リン酸転移を正に制御
する蛋白質同効物及びそれらの遺伝子もまた本発明に包
含される。上記において、「実質的・・」の意味は前記
のことを包括的に記載したものである。上記遺伝子工学
的手法としては、公知の各種方法、例えばサイトスペシ
フィック・ミュータゲネシスによるDNAの改変等が包
含される。
で表される高マンノース型中性オリゴ糖鎖を分離するこ
とを特徴とする中性オリゴ糖鎖の製造方法である。さら
に、本発明は実質的に配列番号1に示したアミノ酸配列
を有するポリペプチドからなるマンノース-1-リン酸転
移を正に制御する蛋白質である。本発明に係わるマンノ
ース−1−リン酸転移を正に制御する蛋白質は、配列番
号1で表されるアミノ酸配列を有する点において、また
本発明のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺
伝子は、配列番号2で表される塩基配列を有する点にお
いて、それぞれ特徴づけられるが、これら以外に上記で
述べたとおり例えば上記アミノ酸のN末端に位置するメ
チオニン(Met)が欠損したもの等や、翻訳後の修飾や遺
伝子工学的手法による配列の改変(付加、欠損、置換
等)がなされたマンノース−1−リン酸転移を正に制御
する蛋白質同効物及びそれらの遺伝子もまた本発明に包
含される。上記において、「実質的・・」の意味は前記
のことを包括的に記載したものである。上記遺伝子工学
的手法としては、公知の各種方法、例えばサイトスペシ
フィック・ミュータゲネシスによるDNAの改変等が包
含される。
【0030】本発明のマンノース−1−リン酸転移を正
に制御する蛋白質をコードする遺伝子は、これを利用し
て遺伝子組換え技術により、所望のマンノース−1−リ
ン酸転移を正に制御する蛋白質を製造できるだけでな
く、該遺伝子の蛋白質コード領域を試験管内で破壊した
のち、公知の方法によりサッカロミセス・セレビシエの
染色体上の遺伝子座に相同組換えにより組み込むことが
可能であり、このようにして作成した遺伝子破壊株を用
いて、マンノース−1−リン酸含有量が低下し、中性糖
鎖の含有量が増加した糖鎖およびこの糖鎖をもつ糖蛋白
質の生産に利用することができる。
に制御する蛋白質をコードする遺伝子は、これを利用し
て遺伝子組換え技術により、所望のマンノース−1−リ
ン酸転移を正に制御する蛋白質を製造できるだけでな
く、該遺伝子の蛋白質コード領域を試験管内で破壊した
のち、公知の方法によりサッカロミセス・セレビシエの
染色体上の遺伝子座に相同組換えにより組み込むことが
可能であり、このようにして作成した遺伝子破壊株を用
いて、マンノース−1−リン酸含有量が低下し、中性糖
鎖の含有量が増加した糖鎖およびこの糖鎖をもつ糖蛋白
質の生産に利用することができる。
【0031】さらに、この遺伝子破壊株を既に提案して
いるOCH1遺伝子を破壊し、かつ、mnn1変異を有
する二重変異株(△och1mnn1、特開平6ー277086
号公報参照)或いは本明細書記載のOCH1およびMN
N1両遺伝子を破壊した二重変異株(△och1△mnn1)な
どと、公知の方法により交雑することにより、△och1mn
n1△mnn4或いは△och1△mnn1△mnn4などの三重変異株を
作成することができ、これらの株を利用することによ
り、マンノース−1−リン酸含有酸性糖鎖の含有量が低
下し、式(I)で示されるヒトなど哺乳類由来の高マン
ノース型中性糖鎖の含有量が増加した糖鎖、および、こ
の糖鎖を含有する糖蛋白質の製造が可能である。
いるOCH1遺伝子を破壊し、かつ、mnn1変異を有
する二重変異株(△och1mnn1、特開平6ー277086
号公報参照)或いは本明細書記載のOCH1およびMN
N1両遺伝子を破壊した二重変異株(△och1△mnn1)な
どと、公知の方法により交雑することにより、△och1mn
n1△mnn4或いは△och1△mnn1△mnn4などの三重変異株を
作成することができ、これらの株を利用することによ
り、マンノース−1−リン酸含有酸性糖鎖の含有量が低
下し、式(I)で示されるヒトなど哺乳類由来の高マン
ノース型中性糖鎖の含有量が増加した糖鎖、および、こ
の糖鎖を含有する糖蛋白質の製造が可能である。
【0032】本発明の遺伝子の製造方法及びこの遺伝子
機能を特異的に欠損させることにより、マンノース−1
−リン酸転移を抑制する方法を以下に詳述する。まず、
本発明遺伝子の単離は一般的手法に従って、サッカロミ
セス・セレビシエからゲノムDNAを抽出し、遺伝子ラ
イブラリーを作成し、その中から目的DNAを選別し、
これをマンノースリン酸含有量が顕著に低下しているこ
とが報告されている宿主酵母株に導入し、マンノースリ
ン酸含有量が野生型細胞のレベルに回復した形質転換酵
母細胞を選別することにより実施できる。上記におい
て、サッカロミセス・セレビシエからゲノムDNAの抽
出は、例えば、D.R. Cryer et al.の方法[Methods in C
ell Biology, Vol.12, p.39 (1975)]及びP.Philippsen
et al. [Methods in Enzymology, Vol. 194, p.169 (19
91)]に従うことができる。
機能を特異的に欠損させることにより、マンノース−1
−リン酸転移を抑制する方法を以下に詳述する。まず、
本発明遺伝子の単離は一般的手法に従って、サッカロミ
セス・セレビシエからゲノムDNAを抽出し、遺伝子ラ
イブラリーを作成し、その中から目的DNAを選別し、
これをマンノースリン酸含有量が顕著に低下しているこ
とが報告されている宿主酵母株に導入し、マンノースリ
ン酸含有量が野生型細胞のレベルに回復した形質転換酵
母細胞を選別することにより実施できる。上記におい
て、サッカロミセス・セレビシエからゲノムDNAの抽
出は、例えば、D.R. Cryer et al.の方法[Methods in C
ell Biology, Vol.12, p.39 (1975)]及びP.Philippsen
et al. [Methods in Enzymology, Vol. 194, p.169 (19
91)]に従うことができる。
【0033】遺伝子ライブラリ−は、通常用いられてい
るプラスミドベクターやラムダファージ由来のベクター
等を用いたり、ファージとプラスミドの両方の性質を兼
ね備えた大きいDNA断片がクローニングできるコスミ
ドベクター等を用いて、通常の方法に従い作成すること
ができる。DNAを導入する宿主細胞としては、マンノ
ースリン酸含有量が顕著に低下しているサッカロミセス
・セレビシエのmnn4変異株が代表的であり、この変異
株は、Yeast Genetic Stock Center, (Department of M
olecular and Cell Biology, University of Californi
a, Berkeley, USA)から、LB6-5BおよびLB5-10Aとして入
手可能である (Yeast Genetic Stock Center, Catalogu
e, eight edition,p.78参照)。
るプラスミドベクターやラムダファージ由来のベクター
等を用いたり、ファージとプラスミドの両方の性質を兼
ね備えた大きいDNA断片がクローニングできるコスミ
ドベクター等を用いて、通常の方法に従い作成すること
ができる。DNAを導入する宿主細胞としては、マンノ
ースリン酸含有量が顕著に低下しているサッカロミセス
・セレビシエのmnn4変異株が代表的であり、この変異
株は、Yeast Genetic Stock Center, (Department of M
olecular and Cell Biology, University of Californi
a, Berkeley, USA)から、LB6-5BおよびLB5-10Aとして入
手可能である (Yeast Genetic Stock Center, Catalogu
e, eight edition,p.78参照)。
【0034】マンノースリン酸含有量が顕著に低下して
いるmnn4変異は既にその染色体上での変異点が解明され
ており、サッカロミセス・セレビシエの第11番染色体
の左腕、約130 cM(センチモルガン)に存在することが
既知である(Yeast GeneticStock Center, Catalogue,
eight edition, p.118参照)ことから、米国ATCC(A
merican Type Culture Collection)など公的な機関から
この近傍を含む遺伝子断片の分与を受けることが可能で
ある(ATCC Recombinant DNA materials, 3rdedition, 1
993)。従って、これらの断片を含む酵母での発現プラス
ミドを作成し、これをmnn4変異株に導入することによ
り、mnn4変異を野生型の表現型に回復させる遺伝子断片
として、目的の遺伝子を単離することが可能である。
いるmnn4変異は既にその染色体上での変異点が解明され
ており、サッカロミセス・セレビシエの第11番染色体
の左腕、約130 cM(センチモルガン)に存在することが
既知である(Yeast GeneticStock Center, Catalogue,
eight edition, p.118参照)ことから、米国ATCC(A
merican Type Culture Collection)など公的な機関から
この近傍を含む遺伝子断片の分与を受けることが可能で
ある(ATCC Recombinant DNA materials, 3rdedition, 1
993)。従って、これらの断片を含む酵母での発現プラス
ミドを作成し、これをmnn4変異株に導入することによ
り、mnn4変異を野生型の表現型に回復させる遺伝子断片
として、目的の遺伝子を単離することが可能である。
【0035】DNAの細胞への導入及びこれによる形質
転換の方法としては、一般的な方法、例えば、ベクター
としてファージを用いる場合は、大腸菌宿主にこれを感
染させる方法等により、効率よく宿主にDNAを組み込
ませて遺伝子を増幅することができる。またプラスミド
を用いて酵母に形質転換する方法としては、リチウム塩
で処理して自然にDNAを取り込みやすい状態にして、
プラスミドを取り込ませる方法やあるいは電気的にDN
Aを細胞内に導入する方法等を採用できる [Becker, D.
M. and Guarente, L., Methods in Enzymology, Vol.19
4, p.182-187 (1991)]。
転換の方法としては、一般的な方法、例えば、ベクター
としてファージを用いる場合は、大腸菌宿主にこれを感
染させる方法等により、効率よく宿主にDNAを組み込
ませて遺伝子を増幅することができる。またプラスミド
を用いて酵母に形質転換する方法としては、リチウム塩
で処理して自然にDNAを取り込みやすい状態にして、
プラスミドを取り込ませる方法やあるいは電気的にDN
Aを細胞内に導入する方法等を採用できる [Becker, D.
M. and Guarente, L., Methods in Enzymology, Vol.19
4, p.182-187 (1991)]。
【0036】上記の各方法及び引き続く各操作における
DNAの単離・精製等は何れも常法に従って行うことが
できる。また、本発明遺伝子のDNA配列の決定等も通
常の方法、例えばジデオキシ法[Sanger, F. et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci., USA,74, 5463-5467 (1977)]等
により行うことができる。更に、上記DNA塩基配列の
決定は、市販のシークエンスキット等を用いることによ
っても容易に行ない得る。
DNAの単離・精製等は何れも常法に従って行うことが
できる。また、本発明遺伝子のDNA配列の決定等も通
常の方法、例えばジデオキシ法[Sanger, F. et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci., USA,74, 5463-5467 (1977)]等
により行うことができる。更に、上記DNA塩基配列の
決定は、市販のシークエンスキット等を用いることによ
っても容易に行ない得る。
【0037】PCR法は、インビトロ(in vitro)でDN
Aの特定領域をその領域の両端のセンス・アンタイセン
スプライマー、耐熱性のTaqポリメラーゼ、DNA増幅シス
テム等の組み合わせを用いて、約2〜3時間で10〜1
00万倍に特異的に増幅することができる技術である
が、本発明遺伝子及びその部分断片は、プライマーとし
て25〜30merの合成1本鎖DNAを用い、鋳型としてpMN
N4を用いてこのPCR法によって増幅可能であり、増幅
されたDNAを利用することにより、マンノース−1−
リン酸転移酵素遺伝子に種々の改変や遺伝子破壊などを
導入することが可能である。
Aの特定領域をその領域の両端のセンス・アンタイセン
スプライマー、耐熱性のTaqポリメラーゼ、DNA増幅シス
テム等の組み合わせを用いて、約2〜3時間で10〜1
00万倍に特異的に増幅することができる技術である
が、本発明遺伝子及びその部分断片は、プライマーとし
て25〜30merの合成1本鎖DNAを用い、鋳型としてpMN
N4を用いてこのPCR法によって増幅可能であり、増幅
されたDNAを利用することにより、マンノース−1−
リン酸転移酵素遺伝子に種々の改変や遺伝子破壊などを
導入することが可能である。
【0038】本発明によれば、上記マンノース−1−リ
ン酸転移を正に制御する遺伝子を含むプラスミドによっ
て形質転換された酵母細胞の培養によって、所望のマン
ノース−1−リン酸転移を正に制御する蛋白質を生産、
蓄積できる。この培養は、酵母の培養に慣用される常法
に従って行うことができる。例えば、Difco社から供給
される各種の培地成分を添加し、かつプラスミドの複製
・保持に必要なマーカー(例えばロイシン合成に関与す
るLEU2遺伝子)によって供給可能となるアミノ酸(上記
の例ではロイシン)を除いた合成培地(炭素源、窒素
源、無機塩類、アミノ酸、ビタミン等を含む)等を利用
できる [F. Sherman, Methods in Enzymology, Vol. 19
4, p.14 (1991)参照]。
ン酸転移を正に制御する遺伝子を含むプラスミドによっ
て形質転換された酵母細胞の培養によって、所望のマン
ノース−1−リン酸転移を正に制御する蛋白質を生産、
蓄積できる。この培養は、酵母の培養に慣用される常法
に従って行うことができる。例えば、Difco社から供給
される各種の培地成分を添加し、かつプラスミドの複製
・保持に必要なマーカー(例えばロイシン合成に関与す
るLEU2遺伝子)によって供給可能となるアミノ酸(上記
の例ではロイシン)を除いた合成培地(炭素源、窒素
源、無機塩類、アミノ酸、ビタミン等を含む)等を利用
できる [F. Sherman, Methods in Enzymology, Vol. 19
4, p.14 (1991)参照]。
【0039】上記培養により、形質転換体の細胞内に生
産される所望のマンノース−1−リン酸転移を正に制御
する蛋白質はそのアミノ酸配列および機能などから、ゴ
ルジ体の膜画分に局在していると考えられるため、酵母
細胞を破砕したのち、遠心分離(例えば、100,000 xg,
60 min)などにより調製した膜画分をその蛋白質源とし
て利用できる [Nakayama et al, EMBO J., Vol. 11, p.
2511-2519 (1992)参照]。
産される所望のマンノース−1−リン酸転移を正に制御
する蛋白質はそのアミノ酸配列および機能などから、ゴ
ルジ体の膜画分に局在していると考えられるため、酵母
細胞を破砕したのち、遠心分離(例えば、100,000 xg,
60 min)などにより調製した膜画分をその蛋白質源とし
て利用できる [Nakayama et al, EMBO J., Vol. 11, p.
2511-2519 (1992)参照]。
【0040】さらに、マンノース−1−リン酸転移を正
に制御する遺伝子の蛋白質コード領域(open reading fr
ame, ORF)内に前述のPCR法等により、種々の欠失を
入れたり、種々のDNA断片を挿入する方法により、機
能を持たないORFを含む遺伝子断片を作成することがで
きる。このマンノース−1−リン酸転移を正に制御して
いる蛋白質の活性を欠損させた遺伝子断片を公知の方法
により、正常な一倍体酵母に導入することにより、染色
体上の当該遺伝子座(この場合、MNN4遺伝子座)に
上記の不活性な当該遺伝子(この場合、MNN4遺伝子
の機能を破壊した△MNN4遺伝子)を組み込むことが
可能である[例えば、R. Rothstein, Methods in Enzymo
logy, Vol. 194, p.281-301, (1991)]。このようにして
MNN4遺伝子を変異または破壊することにより、マン
ノース−1−リン酸転移を正に制御する活性を持たない
酵母変異株を作成できる。
に制御する遺伝子の蛋白質コード領域(open reading fr
ame, ORF)内に前述のPCR法等により、種々の欠失を
入れたり、種々のDNA断片を挿入する方法により、機
能を持たないORFを含む遺伝子断片を作成することがで
きる。このマンノース−1−リン酸転移を正に制御して
いる蛋白質の活性を欠損させた遺伝子断片を公知の方法
により、正常な一倍体酵母に導入することにより、染色
体上の当該遺伝子座(この場合、MNN4遺伝子座)に
上記の不活性な当該遺伝子(この場合、MNN4遺伝子
の機能を破壊した△MNN4遺伝子)を組み込むことが
可能である[例えば、R. Rothstein, Methods in Enzymo
logy, Vol. 194, p.281-301, (1991)]。このようにして
MNN4遺伝子を変異または破壊することにより、マン
ノース−1−リン酸転移を正に制御する活性を持たない
酵母変異株を作成できる。
【0041】従って、この株を糖鎖合成の種々の段階で
欠損のある公知の酵母変異株と公知の方法により交雑す
ることにより、糖鎖合成の種々の段階に欠損のある複数
の変異を1つの細胞株に収斂させることが可能である。
例えば、本発明者らにより既に提案している△och1mnn
変異株(特開平6-277086号公報)や本実施例で記載の△
och1△mnn1変異株を、接合型の異なる上記mnn4変異株
(mnn4)またはmnn4遺伝子破壊株(△mnn4)と接合させ
て、生成する2倍体細胞を窒素源を欠乏させた胞子形成
培地[例えば、F. Sherman, Methods in Enzymology, Vo
l. 194, p.17 (1991)参照]に移すことにより、減数分裂
させ、これによって生成する4つの胞子を顕微鏡下で個
別に分離し、その表現型を調べることにより、△och1△
mnn1mnn4または△och1△mnn1△mnn4の三重変異株を作成
することができる[例えば、F. Sherman and J. Hicks,
Methods in Enzymology, Vol. 194, p.21-37 (1991)参
照]。
欠損のある公知の酵母変異株と公知の方法により交雑す
ることにより、糖鎖合成の種々の段階に欠損のある複数
の変異を1つの細胞株に収斂させることが可能である。
例えば、本発明者らにより既に提案している△och1mnn
変異株(特開平6-277086号公報)や本実施例で記載の△
och1△mnn1変異株を、接合型の異なる上記mnn4変異株
(mnn4)またはmnn4遺伝子破壊株(△mnn4)と接合させ
て、生成する2倍体細胞を窒素源を欠乏させた胞子形成
培地[例えば、F. Sherman, Methods in Enzymology, Vo
l. 194, p.17 (1991)参照]に移すことにより、減数分裂
させ、これによって生成する4つの胞子を顕微鏡下で個
別に分離し、その表現型を調べることにより、△och1△
mnn1mnn4または△och1△mnn1△mnn4の三重変異株を作成
することができる[例えば、F. Sherman and J. Hicks,
Methods in Enzymology, Vol. 194, p.21-37 (1991)参
照]。
【0042】この三重変異株は、マンノースー1ーリン
酸が付加した酸性糖鎖の生成が顕著に抑制されることか
ら、式(I) で示されるMan8GlcNAc2の中性糖鎖を多量含
有するアスパラギン結合型糖鎖を蓄積し、ヒトなど哺乳
類由来の高マンノース型糖鎖及びこの糖鎖を持つ糖蛋白
質の生産に利用できる。
酸が付加した酸性糖鎖の生成が顕著に抑制されることか
ら、式(I) で示されるMan8GlcNAc2の中性糖鎖を多量含
有するアスパラギン結合型糖鎖を蓄積し、ヒトなど哺乳
類由来の高マンノース型糖鎖及びこの糖鎖を持つ糖蛋白
質の生産に利用できる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
糖外鎖部分でのリン酸化が約90%減少したパン酵母の変
異株が2種類、mnn4およびmnn6として単離されている
[E. M. Karson and C. E. Ballou, J. Biol. CHem., Vo
l. 253, p.6484-6492 (1978)]。このうち、alcian blue
のdye-binding assay で、mnn4は優性(dominant)、mnn6
は劣性(recessive)の、いずれも単一の変異と判定され
ている。リン酸基は細胞壁の主要な負荷電であり、正荷
電をもつ塩基性のphthalocyanin系色素であるalcian bl
ueはマンナン蛋白質のリン酸化の程度を評価する簡便な
方法として有用である。
糖外鎖部分でのリン酸化が約90%減少したパン酵母の変
異株が2種類、mnn4およびmnn6として単離されている
[E. M. Karson and C. E. Ballou, J. Biol. CHem., Vo
l. 253, p.6484-6492 (1978)]。このうち、alcian blue
のdye-binding assay で、mnn4は優性(dominant)、mnn6
は劣性(recessive)の、いずれも単一の変異と判定され
ている。リン酸基は細胞壁の主要な負荷電であり、正荷
電をもつ塩基性のphthalocyanin系色素であるalcian bl
ueはマンナン蛋白質のリン酸化の程度を評価する簡便な
方法として有用である。
【0044】上記のmnn6変異については、劣性変異のた
め、野生型遺伝子ライブラリーを利用して、変異に相当
する野生型の遺伝子が単離できる。本発明者らは、この
遺伝子クローニングおよびこの遺伝子産物(蛋白質)の
生産、さらには、これらを利用するマンノース−1−リ
ン酸或いはリン酸含有酸性糖鎖の生産方法を、既に提案
している(特願平7-299509号)。
め、野生型遺伝子ライブラリーを利用して、変異に相当
する野生型の遺伝子が単離できる。本発明者らは、この
遺伝子クローニングおよびこの遺伝子産物(蛋白質)の
生産、さらには、これらを利用するマンノース−1−リ
ン酸或いはリン酸含有酸性糖鎖の生産方法を、既に提案
している(特願平7-299509号)。
【0045】一方、mnn4変異については、mnn4/X2180や
mnn4/mnn6の二倍体細胞は、YPD培地で生育させると色素
を結合しないが、0.5MのKClを含むYPD培地で生育させる
と色素を結合することが報告されている。従って、mnn4
のヘテロ二倍体は、KCl無添加で生育させると優性(domi
nant)の形質を示すが、KCl添加やsorbitol存在下で生育
させると劣性(recessive)の形質を示す [C. E. Ballou,
Methods in Enzymology, Vol. 185, p.440-470 (199
0)]。勿論、mnn4の一倍体細胞はKClやsorbitol存在の有
無に拘わらずalcian blue色素を結合しない。なお、mnn
4変異は、本発明により、糖外鎖へのリン酸化だけでな
く、コア糖鎖部分へのリン酸化も低下していることが判
明した(後述の実施例7参照)。
mnn4/mnn6の二倍体細胞は、YPD培地で生育させると色素
を結合しないが、0.5MのKClを含むYPD培地で生育させる
と色素を結合することが報告されている。従って、mnn4
のヘテロ二倍体は、KCl無添加で生育させると優性(domi
nant)の形質を示すが、KCl添加やsorbitol存在下で生育
させると劣性(recessive)の形質を示す [C. E. Ballou,
Methods in Enzymology, Vol. 185, p.440-470 (199
0)]。勿論、mnn4の一倍体細胞はKClやsorbitol存在の有
無に拘わらずalcian blue色素を結合しない。なお、mnn
4変異は、本発明により、糖外鎖へのリン酸化だけでな
く、コア糖鎖部分へのリン酸化も低下していることが判
明した(後述の実施例7参照)。
【0046】mnn4変異株は、上記色素への結合能が、野
生型細胞とは異なるため、この性質の差を利用すれば、
変異に相当する野生型の遺伝子が単離できる筈であり、
この遺伝子クローニングが成功すれば、この遺伝子産物
(蛋白質)の機能を生化学的手法により解析するととも
に、これを糖鎖の改変制御に利用することも可能とな
る。
生型細胞とは異なるため、この性質の差を利用すれば、
変異に相当する野生型の遺伝子が単離できる筈であり、
この遺伝子クローニングが成功すれば、この遺伝子産物
(蛋白質)の機能を生化学的手法により解析するととも
に、これを糖鎖の改変制御に利用することも可能とな
る。
【0047】このような状況のもとで、発明者らは、酵
母を用いてヒトなど哺乳類と同一の糖鎖構造をもつ糖蛋
白質を生産するため、鋭意努力した結果、酵母に特異的
でヒトにはない糖鎖の修飾反応であるマンノース−1−
リン酸付加に関与するMNN4遺伝子の単離に成功し、
これを用いて、マンノース−1−リン酸含量の低下した
酵母株を作成し、これを利用して中性糖鎖を高効率に生
産する技術の開発に成功した。
母を用いてヒトなど哺乳類と同一の糖鎖構造をもつ糖蛋
白質を生産するため、鋭意努力した結果、酵母に特異的
でヒトにはない糖鎖の修飾反応であるマンノース−1−
リン酸付加に関与するMNN4遺伝子の単離に成功し、
これを用いて、マンノース−1−リン酸含量の低下した
酵母株を作成し、これを利用して中性糖鎖を高効率に生
産する技術の開発に成功した。
【0048】酵母特有の酸性糖鎖の含量が低下し、中性
糖鎖の含量が増加した酵母株を用いて、哺乳類細胞の生
産する高マンノース型糖鎖(Man8GlcNAc2)と同一のN-結
合型中性糖鎖を製造する方法は、基本的には下記の工程
よりなる。 1)MNN4遺伝子破壊株(△mnn4)の作成 2)OCH1およびMNN1遺伝子を破壊した二重変異
株(Δoch1△mnn1)の作成、ならびにこの株と上記△mnn4
との交雑による三重変異株(Δoch1△mnn1△mnn4)の造成 3)上記三重変異株の細胞表層糖蛋白質(マンナン蛋白
質)から糖鎖の単離・精製 さらに、上記のコア型糖鎖のほか、コア型糖鎖をもつ異
種生物由来の糖蛋白質を生産させるためには、以下の工
程が必要である。 4)上記三重変異株を宿主として、目的の糖蛋白質をコ
ードする遺伝子(cDNAなど)を酵母で発現できるプ
ロモーターの下流に接続した遺伝子を作成し、相同組換
えによって上記酵母宿主の染色体に組み込むか、或い
は、プラスミドに挿入して上記宿主を形質転換すること
により、上記宿主の形質転換体を作成し、これを公知の
方法により培養することにより、細胞内または細胞外に
生産された目的の糖蛋白質を回収する。
糖鎖の含量が増加した酵母株を用いて、哺乳類細胞の生
産する高マンノース型糖鎖(Man8GlcNAc2)と同一のN-結
合型中性糖鎖を製造する方法は、基本的には下記の工程
よりなる。 1)MNN4遺伝子破壊株(△mnn4)の作成 2)OCH1およびMNN1遺伝子を破壊した二重変異
株(Δoch1△mnn1)の作成、ならびにこの株と上記△mnn4
との交雑による三重変異株(Δoch1△mnn1△mnn4)の造成 3)上記三重変異株の細胞表層糖蛋白質(マンナン蛋白
質)から糖鎖の単離・精製 さらに、上記のコア型糖鎖のほか、コア型糖鎖をもつ異
種生物由来の糖蛋白質を生産させるためには、以下の工
程が必要である。 4)上記三重変異株を宿主として、目的の糖蛋白質をコ
ードする遺伝子(cDNAなど)を酵母で発現できるプ
ロモーターの下流に接続した遺伝子を作成し、相同組換
えによって上記酵母宿主の染色体に組み込むか、或い
は、プラスミドに挿入して上記宿主を形質転換すること
により、上記宿主の形質転換体を作成し、これを公知の
方法により培養することにより、細胞内または細胞外に
生産された目的の糖蛋白質を回収する。
【0049】この発明の過程で開発されたMNN4遺伝子を
もつプラスミドを含有する大腸菌(JM109)、二重変異株
(Δoch1△mnn1)、三重変異株(Δoch1△mnn1△mnn4)
は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託しており、
その寄託番号は次の通りである。 E. coli JM109/pRS316-MNN4 〔Δ(lac-proAB),endoAI,gryA96,hsdR17,λ-,relAI,Sup
E44,thi,(F',lacIq ZΔM15,proAB,traD36) 〕 FERM BP−5485 S. cerevisiae YS126-30C(Δoch1△mnn1) 〔MATαΔoch1::LEU2 △mnn1::URA3 △kre2::TRP1 leu2
ura3 trp1 his3 lys2〕 FERM BP−5487 S. cerevisiae YS126-28D(Δoch1△mnn1△mnn4) 〔MATaΔoch1::LEU2 △mnn1::URA3 △mnn4::LYS2 △kre
2::TRP1 leu2 ura3trp1 his3 lys2〕 FERM BP−5486 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただ
し、本発明はこれらの実施例にその技術的範囲が限定さ
れるものではない。
もつプラスミドを含有する大腸菌(JM109)、二重変異株
(Δoch1△mnn1)、三重変異株(Δoch1△mnn1△mnn4)
は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託しており、
その寄託番号は次の通りである。 E. coli JM109/pRS316-MNN4 〔Δ(lac-proAB),endoAI,gryA96,hsdR17,λ-,relAI,Sup
E44,thi,(F',lacIq ZΔM15,proAB,traD36) 〕 FERM BP−5485 S. cerevisiae YS126-30C(Δoch1△mnn1) 〔MATαΔoch1::LEU2 △mnn1::URA3 △kre2::TRP1 leu2
ura3 trp1 his3 lys2〕 FERM BP−5487 S. cerevisiae YS126-28D(Δoch1△mnn1△mnn4) 〔MATaΔoch1::LEU2 △mnn1::URA3 △mnn4::LYS2 △kre
2::TRP1 leu2 ura3trp1 his3 lys2〕 FERM BP−5486 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただ
し、本発明はこれらの実施例にその技術的範囲が限定さ
れるものではない。
【0050】〔実施例1〕 mnn4変異株を相補する遺伝
子を単離するために有利な劣性形質を示すmnn4変異株の
培養条件の検討 糖鎖中のリン酸基の有無は、アルシアンブリュ−(alci
an blue)で染め分けることができる。アルシアンブリ
ュ−は正に荷電しており、負の電荷と結合する色素であ
る。そこで、酵母細胞をpH3の緩衝液に懸濁して0.1%の
アルシアンブリュ−8GX(Sigma製、Code No. A3157)
を加えると、糖鎖中にリン酸基を持つものだけが青く染
まり、リン酸基を持たないものは白いままである。
子を単離するために有利な劣性形質を示すmnn4変異株の
培養条件の検討 糖鎖中のリン酸基の有無は、アルシアンブリュ−(alci
an blue)で染め分けることができる。アルシアンブリ
ュ−は正に荷電しており、負の電荷と結合する色素であ
る。そこで、酵母細胞をpH3の緩衝液に懸濁して0.1%の
アルシアンブリュ−8GX(Sigma製、Code No. A3157)
を加えると、糖鎖中にリン酸基を持つものだけが青く染
まり、リン酸基を持たないものは白いままである。
【0051】mnn4変異株、LB6-5D(MATa mnn4-1 SUC2 m
al CUP1)(カリフォルニア大学、バークレー校、Yeast
Genetic Stock Centerより入手)、あるいはTO2-15D(MA
Ta mnn1 mnn4-1 leu2 ura3)[この株は、工業技術院生命
工学技術研究所に寄託番号FERM P-113219として寄託さ
れているYN3-1Dにura3変異を導入したYNS3-7A株(MATα
△och1 mnn1 ura3 his1 his3)と上記LB6-5Dとを交雑
後、四分子解析をして得た]は、細胞表層の糖鎖が殆ど
リン酸基を持たないため、アルシアンブリュ−に染まら
ない。mnn4変異は優性変異であり、mnn4を野生型一倍体
株RA1-1Bと交雑したmnn4ヘテロ二倍体株(LB6-5D X RA1
-1B、あるいはTO2-15D X RA1-1B)は、YPD培地(1% 酵母
抽出物、2% Bacto ペプトン、2% グルコース)中で一晩
培養するとアルシアンブリュ−に染まらない。
al CUP1)(カリフォルニア大学、バークレー校、Yeast
Genetic Stock Centerより入手)、あるいはTO2-15D(MA
Ta mnn1 mnn4-1 leu2 ura3)[この株は、工業技術院生命
工学技術研究所に寄託番号FERM P-113219として寄託さ
れているYN3-1Dにura3変異を導入したYNS3-7A株(MATα
△och1 mnn1 ura3 his1 his3)と上記LB6-5Dとを交雑
後、四分子解析をして得た]は、細胞表層の糖鎖が殆ど
リン酸基を持たないため、アルシアンブリュ−に染まら
ない。mnn4変異は優性変異であり、mnn4を野生型一倍体
株RA1-1Bと交雑したmnn4ヘテロ二倍体株(LB6-5D X RA1
-1B、あるいはTO2-15D X RA1-1B)は、YPD培地(1% 酵母
抽出物、2% Bacto ペプトン、2% グルコース)中で一晩
培養するとアルシアンブリュ−に染まらない。
【0052】一方、mnn4変異の優性は、浸透圧調製剤を
培地中に添加することによって劣性に変化するという報
告がある [Balou, C.E., Methods in Enzymology, Vol.
185,440-470(1990)]。これを確認するため、上記のmnn
4ヘテロ二倍体株を1Mソルビトールあるいは0.5M KClを
添加したYPD培地で一晩培養し、alcian blueで染色した
結果、青く染まることが確認できた。このことは、この
条件で、mnn4変異株を宿主として、野生型酵母遺伝子ラ
イブラリーを導入して、mnn4変異株(白色)が青色に形
質転換されたクローンを選別することにより、変異に対
応する正常なMNN4遺伝子を単離できることを示してい
る。
培地中に添加することによって劣性に変化するという報
告がある [Balou, C.E., Methods in Enzymology, Vol.
185,440-470(1990)]。これを確認するため、上記のmnn
4ヘテロ二倍体株を1Mソルビトールあるいは0.5M KClを
添加したYPD培地で一晩培養し、alcian blueで染色した
結果、青く染まることが確認できた。このことは、この
条件で、mnn4変異株を宿主として、野生型酵母遺伝子ラ
イブラリーを導入して、mnn4変異株(白色)が青色に形
質転換されたクローンを選別することにより、変異に対
応する正常なMNN4遺伝子を単離できることを示してい
る。
【0053】〔実施例2〕アルシアンブリュ−色素への
吸着能を利用するMNN4遺伝子の単離 MNN4遺伝子座は酵母第11染色体左腕にURA1-TRP3-MNN4の
順番に並んでおり、TRP3から約50kbに位置付けられてい
る [Yeast Genetic Stock Center, Catalogue,eight ed
ition, p.141]。この領域の11.1kbを含む酵母コスミド
クローンATCC70798をAmerican Type Culture Collectio
n (ATCC)より購入し[ATCC RecombinantDNA Materials,
3rd edition, p.84(1993)]、この11.1kbの挿入DNA断片
をURA3マーカーを持つシングルコピーベクターpRS316
[Sikorski, R.S. and Hieter,P., Genetics, Vol.122,
p.19-27 (1989)]に組み込み、プラスミドpMMN4とした。
吸着能を利用するMNN4遺伝子の単離 MNN4遺伝子座は酵母第11染色体左腕にURA1-TRP3-MNN4の
順番に並んでおり、TRP3から約50kbに位置付けられてい
る [Yeast Genetic Stock Center, Catalogue,eight ed
ition, p.141]。この領域の11.1kbを含む酵母コスミド
クローンATCC70798をAmerican Type Culture Collectio
n (ATCC)より購入し[ATCC RecombinantDNA Materials,
3rd edition, p.84(1993)]、この11.1kbの挿入DNA断片
をURA3マーカーを持つシングルコピーベクターpRS316
[Sikorski, R.S. and Hieter,P., Genetics, Vol.122,
p.19-27 (1989)]に組み込み、プラスミドpMMN4とした。
【0054】mnn4変異株TO2-15D (MATa mnn1 mnn4-1 le
u2 ura3)の1.0 X 108 個の細胞に、pMMN4をリチウム法
[Ito et al., J. Bacteriol., Vol.153, p.163-168, (1
983)]を用いて形質転換した。形質転換後、SD-Ura [2%
グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amin
o acids (Difco社製)、0.3Mソルビトール、ウラシル
を除く核酸塩基およびアミノ酸混合物 (20-400mg/l)]の
プレートにまいて、30°Cで2日間培養し、形質転換株
を得た。
u2 ura3)の1.0 X 108 個の細胞に、pMMN4をリチウム法
[Ito et al., J. Bacteriol., Vol.153, p.163-168, (1
983)]を用いて形質転換した。形質転換後、SD-Ura [2%
グルコース、0.67% Yeast Nitrogen Base w/o amin
o acids (Difco社製)、0.3Mソルビトール、ウラシル
を除く核酸塩基およびアミノ酸混合物 (20-400mg/l)]の
プレートにまいて、30°Cで2日間培養し、形質転換株
を得た。
【0055】アルシアンブリュ−溶液[0.02N塩酸に0.1%
アルシアンブリュ− 8GXを溶解]で細胞を染色し、挿入D
NA断片によりmnn4変異を相補したかどうか検定したとこ
ろ、形質転換株は野生型酵母同様に染色されたので、pM
NN4のDNA断片上にMNN4遺伝子が存在することが確認でき
た。 〔実施例3〕 MNN4遺伝子の塩基配列の決定 11.1kbの挿入DNA断片の両端のDNA塩基配列を、蛍光色素
を結合したM13ユニバーサルプライマーおよびリバース
プライマーを使用し、PCRによるシークエンス反応(ラ
イカ社、SequiThermTMLong-Read Cycle Sequencing
Kit-LC)を行い、ライカ社の自動シークエンサー(LI-COR
Model 4000L)を用いて決定した。得られたDNA塩基配列
を、第11番染色体の全DNA塩基配列データ [Dujon,
B., et. al., Nature, Vol.369, p.371-377 (1995)]
に照らし合わせたところ、ykl-198からykl-203までの
6個の蛋白質コード領域(ORF)を含んでいることが明ら
かになった。 制限酵素を用いて、各種部分欠失プラス
ミドを作製し、どのORFがMNN4を相補するか調べたが、
どれも単独では相補できなかった(図4中のa参照)。
アルシアンブリュ− 8GXを溶解]で細胞を染色し、挿入D
NA断片によりmnn4変異を相補したかどうか検定したとこ
ろ、形質転換株は野生型酵母同様に染色されたので、pM
NN4のDNA断片上にMNN4遺伝子が存在することが確認でき
た。 〔実施例3〕 MNN4遺伝子の塩基配列の決定 11.1kbの挿入DNA断片の両端のDNA塩基配列を、蛍光色素
を結合したM13ユニバーサルプライマーおよびリバース
プライマーを使用し、PCRによるシークエンス反応(ラ
イカ社、SequiThermTMLong-Read Cycle Sequencing
Kit-LC)を行い、ライカ社の自動シークエンサー(LI-COR
Model 4000L)を用いて決定した。得られたDNA塩基配列
を、第11番染色体の全DNA塩基配列データ [Dujon,
B., et. al., Nature, Vol.369, p.371-377 (1995)]
に照らし合わせたところ、ykl-198からykl-203までの
6個の蛋白質コード領域(ORF)を含んでいることが明ら
かになった。 制限酵素を用いて、各種部分欠失プラス
ミドを作製し、どのORFがMNN4を相補するか調べたが、
どれも単独では相補できなかった(図4中のa参照)。
【0056】挿入DNA断片の塩基配列を注意深く決定
し、詳細に検討したところ、ykl-200c、ykl-201c領域を
含む3534bp、1178アミノ酸をコードするORFが見つかっ
た(図4、b.参照)。このORFのどの部分を欠失させて
もmnn4変異に特徴的な形質が表れることから、この新規
なORFがMNN4遺伝子であることを確認した。DNA塩基配列
から予想されるMNN4蛋白質は、N末端付近に膜を貫通す
る可能性のある疎水性領域が1カ所あり、C末端には主
にリジン4残基とグルタミン酸4残基からなる17回の繰り
返し配列があり、これらの部分も部分欠失実験によりMN
N4pの機能に必須であることがわかった(図5参照)。
し、詳細に検討したところ、ykl-200c、ykl-201c領域を
含む3534bp、1178アミノ酸をコードするORFが見つかっ
た(図4、b.参照)。このORFのどの部分を欠失させて
もmnn4変異に特徴的な形質が表れることから、この新規
なORFがMNN4遺伝子であることを確認した。DNA塩基配列
から予想されるMNN4蛋白質は、N末端付近に膜を貫通す
る可能性のある疎水性領域が1カ所あり、C末端には主
にリジン4残基とグルタミン酸4残基からなる17回の繰り
返し配列があり、これらの部分も部分欠失実験によりMN
N4pの機能に必須であることがわかった(図5参照)。
【0057】本発明のMNN4遺伝子を組み込んだプラスミ
ドpRS316-MNN4を導入した大腸菌JM109は、E. coli JM1
09/pRS316-MNN4と命名され、工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託番号 FERM BP-5485 で寄託されている。 〔実施例4〕 MNN4遺伝子高発現ベクターの作製とこの
プラスミドを含む酵母形質転換体のアルシアンブリュ−
色素への吸着能の解析 MNN4遺伝子のATG配列を含む28bp中にSphI配列を付加し
たプライマー1(ATAAACTAATTAGGCATGCTTCAGCGAA)とPst
I部位を含むプライマー2(ATAATGATGATCTGCAGTAGAATCAGT
G)を用いてPCRで増幅した。ガラクトースで発現誘導で
きるプロモーター(GAL1)を持つ多コピーベクターYEp51
[Rothstein,R. Methods in Enzymology, Vol.194, p281
-301] のプロモーター下流のSalI部位をリンカーにより
SphI部位を作り、そこにPCRで増幅したDNA断片(SphI-P
stI)とMNN4下流域(PstI-SphI)を結合し、MNN4p高発現プ
ラスミドYEp51MNN4とした。
ドpRS316-MNN4を導入した大腸菌JM109は、E. coli JM1
09/pRS316-MNN4と命名され、工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託番号 FERM BP-5485 で寄託されている。 〔実施例4〕 MNN4遺伝子高発現ベクターの作製とこの
プラスミドを含む酵母形質転換体のアルシアンブリュ−
色素への吸着能の解析 MNN4遺伝子のATG配列を含む28bp中にSphI配列を付加し
たプライマー1(ATAAACTAATTAGGCATGCTTCAGCGAA)とPst
I部位を含むプライマー2(ATAATGATGATCTGCAGTAGAATCAGT
G)を用いてPCRで増幅した。ガラクトースで発現誘導で
きるプロモーター(GAL1)を持つ多コピーベクターYEp51
[Rothstein,R. Methods in Enzymology, Vol.194, p281
-301] のプロモーター下流のSalI部位をリンカーにより
SphI部位を作り、そこにPCRで増幅したDNA断片(SphI-P
stI)とMNN4下流域(PstI-SphI)を結合し、MNN4p高発現プ
ラスミドYEp51MNN4とした。
【0058】YEp51MNN4を野生型株RA1-1Bおよびmnn4変
異株に形質転換し、YPD培地およびYPGal培地(Yeast ext
ract 1%、Bacto popton 2%、ガラクトース 2%)中で培養
し、実施例1と同様にアルシアンブリュ−で染色した。
YPD培地で培養した細胞は親株と同様の形質を示した
が、YPGal培地で培養した細胞は、親株より青く染色さ
れた。この結果は、YEp51MNN4の導入により、MNN4蛋白
質が高発現され、より多くのマンノース-1-リン酸が糖
鎖に付加したことを示している。
異株に形質転換し、YPD培地およびYPGal培地(Yeast ext
ract 1%、Bacto popton 2%、ガラクトース 2%)中で培養
し、実施例1と同様にアルシアンブリュ−で染色した。
YPD培地で培養した細胞は親株と同様の形質を示した
が、YPGal培地で培養した細胞は、親株より青く染色さ
れた。この結果は、YEp51MNN4の導入により、MNN4蛋白
質が高発現され、より多くのマンノース-1-リン酸が糖
鎖に付加したことを示している。
【0059】〔実施例5〕 MNN4遺伝子破壊株(△mnn
4)の作製 実施例3で得られたMNN4遺伝子のDNA塩基配列の情報を
もとに、MNN4遺伝子の機能を完全に欠損したMNN4遺伝子
破壊株(△mnn4)を作製した。MNN4のORFの大部分(PstI
-EcoT22I、図4中のb参照)を欠失し、LYS2遺伝子を挿
入した (mnn4-△1::LYS2)。このDNA断片をG2-10株(MAT
α leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2)およびG2-9株(MA
Ta leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2)に形質転換し、リ
ジン非要求性となった形質転換株G2-10△1(MATα△mnn
4::LYS2 leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2)およびG2-9
△1(MATa△mnn4::LYS2 leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys
2)を選択した。サザンブロット解析によって、MNN4遺
伝子座に組み込まれMNN4遺伝子が破壊されていることを
確認した。このMNN4遺伝子破壊株(△mnn4)は、アルシ
アンブリュ−で染まらないことから、糖鎖のマンノース
-1-リン酸付加が起こっていないものと推測された。
4)の作製 実施例3で得られたMNN4遺伝子のDNA塩基配列の情報を
もとに、MNN4遺伝子の機能を完全に欠損したMNN4遺伝子
破壊株(△mnn4)を作製した。MNN4のORFの大部分(PstI
-EcoT22I、図4中のb参照)を欠失し、LYS2遺伝子を挿
入した (mnn4-△1::LYS2)。このDNA断片をG2-10株(MAT
α leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2)およびG2-9株(MA
Ta leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2)に形質転換し、リ
ジン非要求性となった形質転換株G2-10△1(MATα△mnn
4::LYS2 leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys2)およびG2-9
△1(MATa△mnn4::LYS2 leu2 ura3 trp1 his3 ade2 lys
2)を選択した。サザンブロット解析によって、MNN4遺
伝子座に組み込まれMNN4遺伝子が破壊されていることを
確認した。このMNN4遺伝子破壊株(△mnn4)は、アルシ
アンブリュ−で染まらないことから、糖鎖のマンノース
-1-リン酸付加が起こっていないものと推測された。
【0060】〔実施例6〕△och1△mnn1二重変異株およ
び△och1△mnn1△mnn4三重変異株の作製とその性質 パン酵母△och1変異株は、糖蛋白質のコア型糖鎖にマン
ノース外鎖付加に必要な最初のα-1,6結合したマンノー
スを付加する反応が欠損している。またmnn1変異株はコ
ア型糖鎖および外糖鎖分岐の非還元末端にα-1,3結合し
たマンノースを付加する反応が欠損している。mnn1変異
には非還元末端にα-1,3結合したマンノースを付加する
活性がまだ少量残存している可能性があるため、MNN1遺
伝子の機能を完全に欠失したMNN11遺伝子破壊株(△mnn
1)を作製した。
び△och1△mnn1△mnn4三重変異株の作製とその性質 パン酵母△och1変異株は、糖蛋白質のコア型糖鎖にマン
ノース外鎖付加に必要な最初のα-1,6結合したマンノー
スを付加する反応が欠損している。またmnn1変異株はコ
ア型糖鎖および外糖鎖分岐の非還元末端にα-1,3結合し
たマンノースを付加する反応が欠損している。mnn1変異
には非還元末端にα-1,3結合したマンノースを付加する
活性がまだ少量残存している可能性があるため、MNN1遺
伝子の機能を完全に欠失したMNN11遺伝子破壊株(△mnn
1)を作製した。
【0061】MNN1遺伝子は、酵母第5番染色体動原体近
傍に位置し、MNN1遺伝子のDNA塩基配列は、GenBankデー
タベースにL23753で登録されている [Yip et al. Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA Vol.91,p.2723-2727,(199
4)]。MNN1遺伝子の3'領域をプライマーA(GGATCCGAAGAA
AACCTAATACATTGAAGT)とB(GCATGCCCTTTGGTTTAATATAAAT
CTCCGGAGTGC)を用いて、また、5'領域をプライマーC
(GCATGCTACATAACTCCAATCAGCAGCAAATATGTC)とD(GCGGC
CGCGTGTTCTGTTCGGGTAACGTTTAAACCAAT)を用いて、それ
ぞれPCRで増幅した。これらのDNA断片をURA3マーカーを
持つpJJ244 [Jones,J., & Prakaash,L., Yeast, Vol.6,
p.363-366 (1990)] のSphI部位に組み込み、MNN1遺伝子
破壊用プラスミドpJJ△mnn1とした。
傍に位置し、MNN1遺伝子のDNA塩基配列は、GenBankデー
タベースにL23753で登録されている [Yip et al. Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA Vol.91,p.2723-2727,(199
4)]。MNN1遺伝子の3'領域をプライマーA(GGATCCGAAGAA
AACCTAATACATTGAAGT)とB(GCATGCCCTTTGGTTTAATATAAAT
CTCCGGAGTGC)を用いて、また、5'領域をプライマーC
(GCATGCTACATAACTCCAATCAGCAGCAAATATGTC)とD(GCGGC
CGCGTGTTCTGTTCGGGTAACGTTTAAACCAAT)を用いて、それ
ぞれPCRで増幅した。これらのDNA断片をURA3マーカーを
持つpJJ244 [Jones,J., & Prakaash,L., Yeast, Vol.6,
p.363-366 (1990)] のSphI部位に組み込み、MNN1遺伝子
破壊用プラスミドpJJ△mnn1とした。
【0062】YS57-5A(MATα△och1::LEU2 leu2 ura3 h
is1 his3)およびRoch3-13D(MATaoch3::TRP1 leu2 ura
3 trp1)にpJJ△mnn1を形質転換し、ウラシルマーカーが
MNN1領域の染色体に組み込まれていることを栄養要求性
の回復、四分子解析、および、非還元末端にα-1,3結合
したマンノースの欠損をもって確認し、MNN1遺伝子破壊
株YS57-5A△mnn1およびRoch3-13D△mnn1を作製した。
is1 his3)およびRoch3-13D(MATaoch3::TRP1 leu2 ura
3 trp1)にpJJ△mnn1を形質転換し、ウラシルマーカーが
MNN1領域の染色体に組み込まれていることを栄養要求性
の回復、四分子解析、および、非還元末端にα-1,3結合
したマンノースの欠損をもって確認し、MNN1遺伝子破壊
株YS57-5A△mnn1およびRoch3-13D△mnn1を作製した。
【0063】これらの二重遺伝子破壊株(△och1△mnn
1)は、既に発明者らが提案した△och1mnn1二重変異株
(特開平6-277086号公報)と同様、Man8GlcNAc2の中性コ
ア糖鎖を生産する(後述実施例7参照)。しかし、これ
らの二重変異株には、この中性糖鎖以外に、マンノース
-1-リン酸を含む酸性糖鎖も副生することが判明した
(第12回バイオテクノロジーシンポジウム予稿集、p.15
3-157、平成6年10月14日発行、バイオテクノロジー開発
技術研究組合発行)。
1)は、既に発明者らが提案した△och1mnn1二重変異株
(特開平6-277086号公報)と同様、Man8GlcNAc2の中性コ
ア糖鎖を生産する(後述実施例7参照)。しかし、これ
らの二重変異株には、この中性糖鎖以外に、マンノース
-1-リン酸を含む酸性糖鎖も副生することが判明した
(第12回バイオテクノロジーシンポジウム予稿集、p.15
3-157、平成6年10月14日発行、バイオテクノロジー開発
技術研究組合発行)。
【0064】そこで、マンノース-1-リン酸含有量の低
下した株を得るため、マンノース-1-リン酸付加に必要
なMNN4遺伝子を破壊した、△och1△mnn1△mnn4の三重遺
伝子破壊株株を作成した。実施例5で作製したG2-10△1
株とYS123-3C(MATa△och1::LEU2△mnn1::URA3△kre2::
TRP1 leu2 ura3 trp1 his3 lys2)とを交雑し、四分子
解析後、二重遺伝子破壊株YS126-30C(MATα△och1::LE
U2△mnn1::URA3△kre2::TRP1 leu2 ura3 trp1 his3 lys
2)、三重遺伝子破壊株YS126-28D(MATa△och1::LEU2△m
nn1::URA3△mnn4::LYS2△kre2::TRP1 leu2 ura3 trp1 h
is3 lys2)を作製した。ここで△kre2::TRP1は、糖鎖の
解析を容易にするために、Bussey,H.教授研究室(McGil
l大学、カナダ)より供与を受けたo−結合型糖鎖付加
に関与する遺伝子の破壊であり、△och1△mnn1二重変異
株と交雑し、四分子解析をして、YS123-3C株を作製し
た。
下した株を得るため、マンノース-1-リン酸付加に必要
なMNN4遺伝子を破壊した、△och1△mnn1△mnn4の三重遺
伝子破壊株株を作成した。実施例5で作製したG2-10△1
株とYS123-3C(MATa△och1::LEU2△mnn1::URA3△kre2::
TRP1 leu2 ura3 trp1 his3 lys2)とを交雑し、四分子
解析後、二重遺伝子破壊株YS126-30C(MATα△och1::LE
U2△mnn1::URA3△kre2::TRP1 leu2 ura3 trp1 his3 lys
2)、三重遺伝子破壊株YS126-28D(MATa△och1::LEU2△m
nn1::URA3△mnn4::LYS2△kre2::TRP1 leu2 ura3 trp1 h
is3 lys2)を作製した。ここで△kre2::TRP1は、糖鎖の
解析を容易にするために、Bussey,H.教授研究室(McGil
l大学、カナダ)より供与を受けたo−結合型糖鎖付加
に関与する遺伝子の破壊であり、△och1△mnn1二重変異
株と交雑し、四分子解析をして、YS123-3C株を作製し
た。
【0065】上記二重変異株YS126-30C、三重変異株YS1
26-28Dは、各々、S. cerevisiae YS126-30C、S. cerevi
siae YS126-28Dと命名され、工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託番号 FERM BP-5487 、および FERM BP-5
486 で寄託されている。 〔実施例7〕△och1△mnn1二重変異株および△och1△mn
n1△mnn4三重変異株からの細胞表層マンナン蛋白質の分
離とその含有糖鎖の構造解析 S. cerevisiae YS126-30CおよびYS126-28Dの菌体より細
胞表層のマンナン蛋白質を分離した [Peat, S. et.al.,
J. Chem. Soc., p29 (1961)]。YPD培地に0.3Mソルビト
ールを加えた培地200mlを2l容三角フラスコに入れ、25
°Cで24時間培養し、菌体を遠心分離によって集め、10m
lの0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、
オートクレーブ中で121℃、1時間加熱した。冷却後、遠
心分離し上清を取り、固形物は、もう一度10mlの水を加
えて同様に加熱、遠心分離し、上清を集めた。
26-28Dは、各々、S. cerevisiae YS126-30C、S. cerevi
siae YS126-28Dと命名され、工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託番号 FERM BP-5487 、および FERM BP-5
486 で寄託されている。 〔実施例7〕△och1△mnn1二重変異株および△och1△mn
n1△mnn4三重変異株からの細胞表層マンナン蛋白質の分
離とその含有糖鎖の構造解析 S. cerevisiae YS126-30CおよびYS126-28Dの菌体より細
胞表層のマンナン蛋白質を分離した [Peat, S. et.al.,
J. Chem. Soc., p29 (1961)]。YPD培地に0.3Mソルビト
ールを加えた培地200mlを2l容三角フラスコに入れ、25
°Cで24時間培養し、菌体を遠心分離によって集め、10m
lの0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、
オートクレーブ中で121℃、1時間加熱した。冷却後、遠
心分離し上清を取り、固形物は、もう一度10mlの水を加
えて同様に加熱、遠心分離し、上清を集めた。
【0066】全抽出液を合わせて、3倍量のエタノール
中に注加した。生じた白色の沈殿物を乾燥させ、水に溶
解後、ゲルろ過カラムを用いて、脱塩した。これを凍結
乾燥し、マンナン蛋白質として使用した(収量50mg)。
N-結合型糖鎖の切り出しは、ヒドラジン分解法により行
なった(ヒドラクラブ、ホーネン社製、Code No. 80060
0)。よく乾燥した10mgのマンナン蛋白質をガラスチュ
ーブにいれ、ヒドラジン(ホーネン社製)を注入して、1
10℃で1時間反応させた。ヒドラジン除去後、0.2M酢酸
アンモニウムを250mlおよび無水酢酸を25ml加え、室温
で30分間放置し、同様の操作をもう一度繰り返してN-ア
セチル化を行った。これを濃縮乾固し、糖鎖調製品(10
μg) とした。
中に注加した。生じた白色の沈殿物を乾燥させ、水に溶
解後、ゲルろ過カラムを用いて、脱塩した。これを凍結
乾燥し、マンナン蛋白質として使用した(収量50mg)。
N-結合型糖鎖の切り出しは、ヒドラジン分解法により行
なった(ヒドラクラブ、ホーネン社製、Code No. 80060
0)。よく乾燥した10mgのマンナン蛋白質をガラスチュ
ーブにいれ、ヒドラジン(ホーネン社製)を注入して、1
10℃で1時間反応させた。ヒドラジン除去後、0.2M酢酸
アンモニウムを250mlおよび無水酢酸を25ml加え、室温
で30分間放置し、同様の操作をもう一度繰り返してN-ア
セチル化を行った。これを濃縮乾固し、糖鎖調製品(10
μg) とした。
【0067】この糖鎖調製品を2-アミノピリジンでピリ
ジルアミノ化(PA化という) 蛍光標識した[近藤昭宏
ら、生化学、Vol.60, p689(1988)]。PA化は、糖質分析
用キット(宝酒造製、Code No.5000)を用いて行った。
10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)で平衡化させたToy
opearl HW-40F(東ソー製)カラム(1.0 x 40cm)でゲル
ろ過を行って未反応の2-アミノピリジンを除き、PA化オ
リゴ糖調製品とした。
ジルアミノ化(PA化という) 蛍光標識した[近藤昭宏
ら、生化学、Vol.60, p689(1988)]。PA化は、糖質分析
用キット(宝酒造製、Code No.5000)を用いて行った。
10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)で平衡化させたToy
opearl HW-40F(東ソー製)カラム(1.0 x 40cm)でゲル
ろ過を行って未反応の2-アミノピリジンを除き、PA化オ
リゴ糖調製品とした。
【0068】アミノカラムを用いたHPLCでは、PA化オリ
ゴ糖をその鎖長および電荷によって分離することが可能
である。カラムはASAHIPAK NH2P-50 (4.6 X 250 mm、昭
和電工製)を使用し、溶媒は、200mM 酢酸-トリエチル
アミン緩衝液(pH7.3)とアセトニトリルとの30:70の混合
液(溶媒A)、200mM 酢酸-トリエチルアミン緩衝液(pH
7.3)とアセトニトリルとの70:30の混合液(溶媒B)を調
製した。
ゴ糖をその鎖長および電荷によって分離することが可能
である。カラムはASAHIPAK NH2P-50 (4.6 X 250 mm、昭
和電工製)を使用し、溶媒は、200mM 酢酸-トリエチル
アミン緩衝液(pH7.3)とアセトニトリルとの30:70の混合
液(溶媒A)、200mM 酢酸-トリエチルアミン緩衝液(pH
7.3)とアセトニトリルとの70:30の混合液(溶媒B)を調
製した。
【0069】あらかじめカラムを溶媒Aと溶媒Bの80:20
混合液を流速1.0ml/minで流すことにより平衡化し、試
料注入直後から溶媒Bの割合を40分間かけて100%まで直
線的に上昇させ、その後、溶媒B 100%でPA化オリゴ糖を
溶出した。その結果を図6に示す。△och1△mnn1二重変
異株YS126-30Cの生産するN-結合型糖鎖は、4つの主なピ
ーク(a〜d)に分離できた。ピークaは、PA化高マンノ
ース糖鎖標品(宝酒造製、Code No.4117、4119、412
0)、および特開平6-277086号公報で示したMan8GlcNAc2
糖鎖の溶出位置との比較より、次式(VIII)
混合液を流速1.0ml/minで流すことにより平衡化し、試
料注入直後から溶媒Bの割合を40分間かけて100%まで直
線的に上昇させ、その後、溶媒B 100%でPA化オリゴ糖を
溶出した。その結果を図6に示す。△och1△mnn1二重変
異株YS126-30Cの生産するN-結合型糖鎖は、4つの主なピ
ーク(a〜d)に分離できた。ピークaは、PA化高マンノ
ース糖鎖標品(宝酒造製、Code No.4117、4119、412
0)、および特開平6-277086号公報で示したMan8GlcNAc2
糖鎖の溶出位置との比較より、次式(VIII)
【0070】
【化12】
【0071】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で示すMan8GlcNAc2の中性糖鎖であることを確認した。
ピークb〜dは、酸性糖鎖であり、全体の約70%を占め
ている。ピークbとピークcは、1残基のマンノース-1-
リン酸がMan8GlcNAc2糖鎖のα-1,3分岐側とα-1,6分岐
側に各々付加した次式(IX)及び(X)
で示すMan8GlcNAc2の中性糖鎖であることを確認した。
ピークb〜dは、酸性糖鎖であり、全体の約70%を占め
ている。ピークbとピークcは、1残基のマンノース-1-
リン酸がMan8GlcNAc2糖鎖のα-1,3分岐側とα-1,6分岐
側に各々付加した次式(IX)及び(X)
【0072】
【化13】
【0073】
【化14】
【0074】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で表される糖鎖と同一であることが、そのHPLCでの保持
時間、弱アルカリ処理及び引き続くアルカリ性フォスフ
ァターゼ処理での中性糖鎖への変換 [Ballou, C.E., Me
thods in Enzymology, Vol.185, p.440-470 (1990)およ
び特願平7-299509、実施例6参照] により、確認され
た。ピークdは、そのHPLCでの保持時間が、NMRおよびT
OF-MSで糖鎖構造を確認した糖鎖標品と一致することな
どから、2残基のマンノース-1-リン酸がα-1,3分岐およ
びα-1,6分岐の両方に付加している次式(XI)
で表される糖鎖と同一であることが、そのHPLCでの保持
時間、弱アルカリ処理及び引き続くアルカリ性フォスフ
ァターゼ処理での中性糖鎖への変換 [Ballou, C.E., Me
thods in Enzymology, Vol.185, p.440-470 (1990)およ
び特願平7-299509、実施例6参照] により、確認され
た。ピークdは、そのHPLCでの保持時間が、NMRおよびT
OF-MSで糖鎖構造を確認した糖鎖標品と一致することな
どから、2残基のマンノース-1-リン酸がα-1,3分岐およ
びα-1,6分岐の両方に付加している次式(XI)
【0075】
【化15】
【0076】(式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)
で表される構造であることが確認された。一方、△och1
△mnn1△mnn4三重変異株YS126-28Dでは、酸性糖鎖であ
るピークb〜dの量が減少し、中性糖鎖であるピークa
が全体の70%以上を占めた(図6参照)。この結果は、
△och1△mnn1△mnn4三重変異株は、△och1△mnn1二重変
異株より、Man8GlcNAc2の中性糖鎖を生産するのに適し
ていることを示している。
で表される構造であることが確認された。一方、△och1
△mnn1△mnn4三重変異株YS126-28Dでは、酸性糖鎖であ
るピークb〜dの量が減少し、中性糖鎖であるピークa
が全体の70%以上を占めた(図6参照)。この結果は、
△och1△mnn1△mnn4三重変異株は、△och1△mnn1二重変
異株より、Man8GlcNAc2の中性糖鎖を生産するのに適し
ていることを示している。
【0077】
【発明の効果】本発明により、酵母を用いる遺伝子工学
的手法により、ヒトなど哺乳類細胞の生産する高マンノ
ースと同一の中性コア糖鎖、あるいはこれらの糖鎖構造
をもつ高マンノース型糖蛋白質を多量かつ純度よく生産
することができる。この変異株は、糖鎖生合成の経路
上、酵母および哺乳類細胞に共通するERでの反応産物
であるコア糖鎖(Man8GlcNAc2)(式(I)の化合物及び図
1参照)と同一の化学構造をもつ糖鎖を生成する。従っ
て、ヒトと同一の化学構造をもつ均一な高マンノース型
糖鎖を、安定かつ多量に供給することが可能である。
的手法により、ヒトなど哺乳類細胞の生産する高マンノ
ースと同一の中性コア糖鎖、あるいはこれらの糖鎖構造
をもつ高マンノース型糖蛋白質を多量かつ純度よく生産
することができる。この変異株は、糖鎖生合成の経路
上、酵母および哺乳類細胞に共通するERでの反応産物
であるコア糖鎖(Man8GlcNAc2)(式(I)の化合物及び図
1参照)と同一の化学構造をもつ糖鎖を生成する。従っ
て、ヒトと同一の化学構造をもつ均一な高マンノース型
糖鎖を、安定かつ多量に供給することが可能である。
【0078】
配列番号:1 配列の長さ:1、178 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:蛋白 配列
【0079】
【0080】配列番号:2 配列の長さ: 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源:マンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺伝
子 生物名:Saccharomyces cerevisiae AB972 配列の特徴: 特徴を表す記号:coding sequence 存在位置: 配列を決定した方法: 配列
子 生物名:Saccharomyces cerevisiae AB972 配列の特徴: 特徴を表す記号:coding sequence 存在位置: 配列を決定した方法: 配列
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【図1】酵母の小胞体(ER)におけるN−結合型糖鎖
の生合成経路を示す図。
の生合成経路を示す図。
【図2】酵母のN−結合型糖鎖におけるコア型糖鎖への
マンノース付加経路を示す図。
マンノース付加経路を示す図。
【図3】酵母のN−結合型糖鎖におけるコア型糖鎖への
マンノース付加経路を示す図。
マンノース付加経路を示す図。
【図4】MNN4遺伝子の単離とMNN4遺伝子破壊を
示す図。
示す図。
【図5】MNN4蛋白質のアミノ酸配列を示す図。
【図6】細胞表層マンナン蛋白質糖鎖の構造解析を示す
図。
図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 1/19 C12R 1:865) (C12N 9/12 C12R 1:865) (C12P 19/26 C12R 1:865) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/09 ZNA C12N 9/12 C12P 19/26 GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX)
Claims (8)
- 【請求項1】 実質的に配列番号1に示したアミノ酸配
列をコードする酵母のマンノース-1-リン酸転移を正に
制御する遺伝子。 - 【請求項2】 配列番号2に示した塩基配列で表され
る、請求項1記載の酵母のマンノース-1-リン酸転移を
正に制御する遺伝子。 - 【請求項3】 請求項1または2記載のマンノース-1-
リン酸転移を正に制御する遺伝子の全部叉は一部を含む
プラスミドDNA。 - 【請求項4】 請求項3記載のプラスミドDNAにおい
て、そのマンノース-1-リン酸転移を正に制御する遺伝
子の機能を欠損した遺伝子断片を作成し、これを酵母染
色体の相同領域に組込むことにより、マンノース-1-リ
ン酸転移を正に制御する遺伝子の機能を破壊した酵母。 - 【請求項5】 MNN4遺伝子を破壊した△mnn4酵
母と、マンノース外鎖合成の開始に必要なα-1,6-マン
ノース付加に関与するOCH1遺伝子及び糖鎖の非還元
末端へのα-1,3-マンノース付加に関与するMNN1遺
伝子の両方を破壊した酵母株(△och1△mnn1)
とを交雑することにより得られる三重変異(△och1
△mnn1△mnn4)酵母。 - 【請求項6】 請求項5記載の酵母を培地に培養して培
養物からN−アセチルグルコサミン2分子とマンノース
8分子とから構成される次式(I) 【化1】 (式中、Mはマンノース,GNはN−アセチルグルコサ
ミンを示す)で表される中性オリゴ糖鎖を結合した高マ
ンノース型中性オリゴ糖鎖結合型糖蛋白質を回収するこ
とを特徴とする前記高マンノース型中性オリゴ糖鎖結合
型糖蛋白質の製造法。 - 【請求項7】 請求項6記載の高マンノース型中性オリ
ゴ糖鎖結合型糖蛋白質から次式(I) 【化2】 (式中、MとGNはそれぞれ前記に同じ)で表される高
マンノース型中性オリゴ糖鎖を分離することを特徴とす
る中性オリゴ糖鎖の製造方法。 - 【請求項8】 実質的に配列番号1に示したアミノ酸配
列を有するポリペプチドからなるマンノース-1-リン酸
転移を正に制御する蛋白質。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8075667A JP2770010B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 酵母のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺伝子ならびにこの遺伝子の欠損変異株を利用する高マンノース型中性糖鎖の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8075667A JP2770010B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 酵母のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺伝子ならびにこの遺伝子の欠損変異株を利用する高マンノース型中性糖鎖の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09266792A JPH09266792A (ja) | 1997-10-14 |
JP2770010B2 true JP2770010B2 (ja) | 1998-06-25 |
Family
ID=13582799
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8075667A Expired - Lifetime JP2770010B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 酵母のマンノース−1−リン酸転移を正に制御する遺伝子ならびにこの遺伝子の欠損変異株を利用する高マンノース型中性糖鎖の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2770010B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2001256762A1 (en) * | 2000-05-17 | 2001-11-26 | Mitsubishi Pharma Corporation | Process for producing protein with reduction of acidic sugar chain and glycoprotein produced thereby |
EP1356068B1 (en) | 2001-01-19 | 2014-10-29 | Phyton Holdings, LLC | Method for secretory production of glycoprotein having human-type sugar chain using plant cell |
CN101018852A (zh) * | 2004-08-30 | 2007-08-15 | 朝日啤酒株式会社 | 释放甘露糖蛋白的酵母菌株和生产甘露糖蛋白的方法 |
DK2535418T3 (en) | 2007-04-17 | 2016-07-25 | Stichting Dienst Landbouwkundig Onderzoek | Mammalian TYPE glycosylation I PLANTS BY EXPRESSION OF NON-mammalian glycosyltransferases |
CN102099461B (zh) * | 2007-12-10 | 2013-08-07 | 东方酵母工业株式会社 | 具有免疫增强作用的酵母及含有该酵母的食品或饲料 |
KR101782938B1 (ko) * | 2015-05-08 | 2017-09-29 | 한국생명공학연구원 | 사카로마이세스 세레비지애 효모의 만노스 인산화 활성에 핵심적인 유전자 mnn14 및 그 결손 변이주를 활용한 재조합 당단백질 생산 방법 |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP8075667A patent/JP2770010B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09266792A (ja) | 1997-10-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
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