JP2768455B2 - 誘電体磁器及び誘電体共振器 - Google Patents
誘電体磁器及び誘電体共振器Info
- Publication number
- JP2768455B2 JP2768455B2 JP5213873A JP21387393A JP2768455B2 JP 2768455 B2 JP2768455 B2 JP 2768455B2 JP 5213873 A JP5213873 A JP 5213873A JP 21387393 A JP21387393 A JP 21387393A JP 2768455 B2 JP2768455 B2 JP 2768455B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- dielectric
- component selected
- porcelain
- zrtio
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特に例えばマイクロ波、
ミリ波帯などの高周波領域において使用される誘電体磁
器ないしは誘電体磁器組成物並びに誘電体共振器に関す
る。
ミリ波帯などの高周波領域において使用される誘電体磁
器ないしは誘電体磁器組成物並びに誘電体共振器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、波長が数cm以下のマイクロ波や
ミリ波(以下これらをマイクロ波と総称する)領域にお
いて、誘電体共振器及びフィルター等に誘電体磁器が多
く使用されている。このような用途で使用される誘電体
材料は、無負荷Q(Qu)値が高く比誘電率(εr )が
大きくかつ共振周波数の温度係数(τf )を任意に変化
させ得る、すなわち所望の温度係数を有するものが要求
される。
ミリ波(以下これらをマイクロ波と総称する)領域にお
いて、誘電体共振器及びフィルター等に誘電体磁器が多
く使用されている。このような用途で使用される誘電体
材料は、無負荷Q(Qu)値が高く比誘電率(εr )が
大きくかつ共振周波数の温度係数(τf )を任意に変化
させ得る、すなわち所望の温度係数を有するものが要求
される。
【0003】従来より、このような用途に適する材料と
して種々のものが報告されており、ZrTiO4 系磁器
もその一つである。また、ZrO2 −SnO2 −TiO
2 系磁器もその一つであり、例えば特開昭62−132
769号公報で提案されているZrO2 −SnO2 −T
iO2 −MgO磁器や特開平2−192460号公報で
提案されているZrO2 −SnO2 −TiO2 −CoO
−Nb2 O5 磁器等が知られている。
して種々のものが報告されており、ZrTiO4 系磁器
もその一つである。また、ZrO2 −SnO2 −TiO
2 系磁器もその一つであり、例えば特開昭62−132
769号公報で提案されているZrO2 −SnO2 −T
iO2 −MgO磁器や特開平2−192460号公報で
提案されているZrO2 −SnO2 −TiO2 −CoO
−Nb2 O5 磁器等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ZrT
iO4 磁器は、比誘電率は45と大きいものの共振周波
数の温度係数が54ppm/℃とプラス側に大きく、また、
焼成時の熱履歴による共振周波数の温度係数の変動が激
しい。ZrO2−SnO2−TiO2系磁器では、共振周
波数の温度係数は0ppm/℃付近の小さな値が達成されて
いるものの、熱履歴による共振周波数の温度係数の変動
については問題がある。
iO4 磁器は、比誘電率は45と大きいものの共振周波
数の温度係数が54ppm/℃とプラス側に大きく、また、
焼成時の熱履歴による共振周波数の温度係数の変動が激
しい。ZrO2−SnO2−TiO2系磁器では、共振周
波数の温度係数は0ppm/℃付近の小さな値が達成されて
いるものの、熱履歴による共振周波数の温度係数の変動
については問題がある。
【0005】また、従来の材料では比誘電率が小さかっ
たり、無負荷Q値が低かったり、所望の共振周波数の温
度係数を実現できない等の種々の問題がある。
たり、無負荷Q値が低かったり、所望の共振周波数の温
度係数を実現できない等の種々の問題がある。
【0006】さらに、一般的に同一材料においては共振
周波数(f)とQu値の積は一定であるとされるが、実
際にはfが低くなると(すなわち素子を大型化すると)
著しくfQu積が劣化する(小さくなる。)。そのた
め、比較的低い周波数領域で使用される例えば移動体通
信基地局用の誘電体共振器などのマイクロ波用誘電体素
子に対して、より高い無負荷Q値を有することが強く望
まれている。さらに、比較的低い周波数領域で使用され
る誘電体共振器は非常に大きくなってしまうため、より
小型化することが強く望まれている。
周波数(f)とQu値の積は一定であるとされるが、実
際にはfが低くなると(すなわち素子を大型化すると)
著しくfQu積が劣化する(小さくなる。)。そのた
め、比較的低い周波数領域で使用される例えば移動体通
信基地局用の誘電体共振器などのマイクロ波用誘電体素
子に対して、より高い無負荷Q値を有することが強く望
まれている。さらに、比較的低い周波数領域で使用され
る誘電体共振器は非常に大きくなってしまうため、より
小型化することが強く望まれている。
【0007】本発明の第一の目的は、従来のZrTiO
4系及びZrO2−SnO2−TiO2系磁器の焼成時の熱
履歴による共振周波数の温度係数の変動を低減するた
め、特定の組成の誘電体磁器を提供することである。ま
た、本発明の第二の目的は、無負荷Q値が高く、比誘電
率が大きく、共振周波数の温度係数を任意に変化させ得
る(すなわち所望の値の温度係数)の誘電体磁器を提供
することである。
4系及びZrO2−SnO2−TiO2系磁器の焼成時の熱
履歴による共振周波数の温度係数の変動を低減するた
め、特定の組成の誘電体磁器を提供することである。ま
た、本発明の第二の目的は、無負荷Q値が高く、比誘電
率が大きく、共振周波数の温度係数を任意に変化させ得
る(すなわち所望の値の温度係数)の誘電体磁器を提供
することである。
【0008】さらに、本発明の第三の目的は0.8〜5
GHzの周波数領域で高い無負荷Q値を有し且つ小型な
TE01δモード誘電体共振器を提供することである。本
発明は、本発明の三つの目的のうちの一つ、もしくは二
つ以上を達成しようとするものである。
GHzの周波数領域で高い無負荷Q値を有し且つ小型な
TE01δモード誘電体共振器を提供することである。本
発明は、本発明の三つの目的のうちの一つ、もしくは二
つ以上を達成しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本願の各発明は、それぞれ次の構成を備えたもので
ある。
め、本願の各発明は、それぞれ次の構成を備えたもので
ある。
【0010】(1) Zr,Ti両成分と、{Mg,C
o,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から選ばれた少
なくとも一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)
から選ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物から
なる誘電体磁器。
o,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から選ばれた少
なくとも一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)
から選ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物から
なる誘電体磁器。
【0011】(2) 組成式をxZrO2 −yTiO2
−zA(1+w)/3 Nb(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
組成物(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表
される数値を示す。)。
−zA(1+w)/3 Nb(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
組成物(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表
される数値を示す。)。
【0012】
【数5】
【0013】(3) 組成式をxZrO2 −yTiO2
−zA(1+w)/3 Ta(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
組成物(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表
される数値を示す。)。
−zA(1+w)/3 Ta(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
組成物(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表
される数値を示す。)。
【0014】
【数6】
【0015】(4) {Mg,Co,Zn,Ni,M
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とする前記(1)
項に記載の誘電体磁器。
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とする前記(1)
項に記載の誘電体磁器。
【0016】(5) {Mg,Co,Zn,Ni,M
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とし、且つa/b
(ただし、記号a及びbはそれぞれ前記群(A) 及び(B)
の成分のモル分率の合計を示す)が0.5以上1.0以
下である前記(1)項に記載の誘電体磁器。
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とし、且つa/b
(ただし、記号a及びbはそれぞれ前記群(A) 及び(B)
の成分のモル分率の合計を示す)が0.5以上1.0以
下である前記(1)項に記載の誘電体磁器。
【0017】(6) Zr,Ti両成分と、{Mg,C
o,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)から選ばれた少
なくとも一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)
から選ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物から
なる誘電体磁器よりなるTE01δモード誘電体共振器。
o,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)から選ばれた少
なくとも一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)
から選ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物から
なる誘電体磁器よりなるTE01δモード誘電体共振器。
【0018】(7) 組成式をxZrO2 −yTiO2
−zA(1+w)/3 Nb(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表される
数値を示す。)よりなるTE01δモード誘電体共振器。
−zA(1+w)/3 Nb(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表される
数値を示す。)よりなるTE01δモード誘電体共振器。
【0019】
【数7】
【0020】(8) 組成式をxZrO2 −yTiO2
−zA(1+w)/3 Ta(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表される
数値を示す。)よりなるTE01δモード誘電体共振器。
−zA(1+w)/3 Ta(2-w)/3 O2 で表わしたとき、記号
Aが{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A)
から選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,
y,z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器
(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表される
数値を示す。)よりなるTE01δモード誘電体共振器。
【0021】
【数8】
【0022】(9) {Mg,Co,Zn,Ni,M
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とする誘電体磁器
よりなる前記(6)項に記載のTE01δモード誘電体共
振器。
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とする誘電体磁器
よりなる前記(6)項に記載のTE01δモード誘電体共
振器。
【0023】(10) {Mg,Co,Zn,Ni,M
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とし、且つa/b
(ただし、記号a及びbはそれぞれ前記群(A) 及び(B)
の成分のモル分率の合計を示す)が0.5以上1.0以
下である誘電体磁器よりなる前記(6)項に記載のTE
01δモード誘電体共振器。
n}からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分
と{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくと
も一種の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしく
は結晶学的にZrTiO4 相を主成分とし、且つa/b
(ただし、記号a及びbはそれぞれ前記群(A) 及び(B)
の成分のモル分率の合計を示す)が0.5以上1.0以
下である誘電体磁器よりなる前記(6)項に記載のTE
01δモード誘電体共振器。
【0024】
【作用】前記(1)項に記載の本発明の誘電体磁器の構
成によれば、ZrTiO4 系及びZrO2−SnO2−T
iO2系磁器の焼成時の熱履歴による共振周波数の温度
係数の変動が低減された誘電体磁器を提供することがで
きる。また、前記(2)〜(5)項に記載の本発明の誘
電体磁器または誘電体磁器組成物の構成によれば、無負
荷Q値が高く、比誘電率が大きく、共振周波数の温度係
数を任意に変化させ得る誘電体磁器または誘電体磁器組
成物を提供できる。
成によれば、ZrTiO4 系及びZrO2−SnO2−T
iO2系磁器の焼成時の熱履歴による共振周波数の温度
係数の変動が低減された誘電体磁器を提供することがで
きる。また、前記(2)〜(5)項に記載の本発明の誘
電体磁器または誘電体磁器組成物の構成によれば、無負
荷Q値が高く、比誘電率が大きく、共振周波数の温度係
数を任意に変化させ得る誘電体磁器または誘電体磁器組
成物を提供できる。
【0025】また、前記(6)〜(10)項に記載の本
発明のTE01δモード誘電体共振器の構成によれば、
0.8〜5GHzの周波数領域で高い無負荷Qを有し、
且つ小型な誘電体共振器を実現できる。
発明のTE01δモード誘電体共振器の構成によれば、
0.8〜5GHzの周波数領域で高い無負荷Qを有し、
且つ小型な誘電体共振器を実現できる。
【0026】
【実施例】本発明における誘電体磁器の出発原料として
は前述した各成分の元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、
アルコキシド等いずれを用いてもよい。
は前述した各成分の元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、
アルコキシド等いずれを用いてもよい。
【0027】原料粉体の混合方法としては、ボールミル
中で水もしくは有機溶媒と共に混合する湿式混合法や、
ミキサー等で混合したり溶媒を用いないボールミル中で
混合する乾式混合法等が一般的であり、いずれを用いて
もよい。また、出発原料に応じてアルコキシド法や共沈
法を用いてもよい。すなわち誘電体磁器を製造する場合
に採用できる各種の公知の手法が採用できる。工程が比
較的複雑でないこと、均質な混合物を得やすいこと等か
ら、溶媒を用いてボールミル中で混合する方法が望まし
く、さらに、粉体の分散性を高めるために分散剤を用い
たりPH調整を行ってもよい。
中で水もしくは有機溶媒と共に混合する湿式混合法や、
ミキサー等で混合したり溶媒を用いないボールミル中で
混合する乾式混合法等が一般的であり、いずれを用いて
もよい。また、出発原料に応じてアルコキシド法や共沈
法を用いてもよい。すなわち誘電体磁器を製造する場合
に採用できる各種の公知の手法が採用できる。工程が比
較的複雑でないこと、均質な混合物を得やすいこと等か
ら、溶媒を用いてボールミル中で混合する方法が望まし
く、さらに、粉体の分散性を高めるために分散剤を用い
たりPH調整を行ってもよい。
【0028】混合物は仮焼しなくてもよいが、仮焼する
ことにより焼成時間を短縮できる。仮焼温度は組成によ
って異なるが、通常800〜1250℃程度で2〜8時
間程度である。
ことにより焼成時間を短縮できる。仮焼温度は組成によ
って異なるが、通常800〜1250℃程度で2〜8時
間程度である。
【0029】仮焼物もしくは混合物の粉砕方法として
は、ボールミル、高速回転式粉砕機、媒体撹拌ミル、気
流粉砕機等を用いる方法があるが、いずれを用いてもよ
い。成形は通常プレス成形により所望の形に成形する。
特に限定するものではないが、プレス成形における圧力
は、通常0.5〜1.5ton/cm2 程度の範囲であ
る。
は、ボールミル、高速回転式粉砕機、媒体撹拌ミル、気
流粉砕機等を用いる方法があるが、いずれを用いてもよ
い。成形は通常プレス成形により所望の形に成形する。
特に限定するものではないが、プレス成形における圧力
は、通常0.5〜1.5ton/cm2 程度の範囲であ
る。
【0030】焼成は、組成や成形物の大きさなどによっ
て異なるので、特に限定するものではないが、通常はバ
インダーを除去するためにおよそ400〜700℃程度
でおよそ1〜100時間程度行った後、1300〜16
50℃程度でおよそ1〜100時間程度焼成することが
望ましい。
て異なるので、特に限定するものではないが、通常はバ
インダーを除去するためにおよそ400〜700℃程度
でおよそ1〜100時間程度行った後、1300〜16
50℃程度でおよそ1〜100時間程度焼成することが
望ましい。
【0031】以下具体的実施例を挙げて、さらに本発明
を説明する。 実施例1 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,Nb2 O5 ,MnCO
3 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
1000℃の温度で2時間仮焼した。仮焼物はエタノー
ルとともに前記のボールミル中で湿式粉砕した。粉砕泥
しょうをボールミルから取り出して乾燥したのち、粉末
にバインダーとして濃度6%のポリビニールアルコール
溶液を8重量%添加して混合し均質とし、32メッシュ
のふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と油圧プレ
スを用いて成形圧力1.3ton/cm2 で直径7mm
厚さ約3mmの円板に成形した。成形体を高純度のマグ
ネシアさや鉢の中に入れ、空気中において600℃の温
度で4時間保持してバインダーアウトを行なった後、空
気中において1500℃の温度で24時間保持して焼成
した後、急冷(炉外に取り出して空冷)または1000
℃まで徐冷(冷却速度20℃/hr)し、誘電体磁器を
得た。
を説明する。 実施例1 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,Nb2 O5 ,MnCO
3 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
1000℃の温度で2時間仮焼した。仮焼物はエタノー
ルとともに前記のボールミル中で湿式粉砕した。粉砕泥
しょうをボールミルから取り出して乾燥したのち、粉末
にバインダーとして濃度6%のポリビニールアルコール
溶液を8重量%添加して混合し均質とし、32メッシュ
のふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と油圧プレ
スを用いて成形圧力1.3ton/cm2 で直径7mm
厚さ約3mmの円板に成形した。成形体を高純度のマグ
ネシアさや鉢の中に入れ、空気中において600℃の温
度で4時間保持してバインダーアウトを行なった後、空
気中において1500℃の温度で24時間保持して焼成
した後、急冷(炉外に取り出して空冷)または1000
℃まで徐冷(冷却速度20℃/hr)し、誘電体磁器を
得た。
【0032】得られた誘電体磁器の導体空洞型誘電体円
柱共振器法による測定から、共振周波数を求めた。共振
周波数の温度係数(τf )は−25℃から85℃の範囲
で求めた。
柱共振器法による測定から、共振周波数を求めた。共振
周波数の温度係数(τf )は−25℃から85℃の範囲
で求めた。
【0033】このようにして作製した誘電体磁器の組成
を(表1)に、焼成後の冷却条件と共振周波数の温度係
数(ppm/℃)を(表2)に示す。なお、(表1)及
び(表2)において* 印のついたものは比較例である。
を(表1)に、焼成後の冷却条件と共振周波数の温度係
数(ppm/℃)を(表2)に示す。なお、(表1)及
び(表2)において* 印のついたものは比較例である。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】(表2)に示す結果から明らかなように、
試料番号3〜10の誘電体磁器は、ZrTiO4 系及び
ZrO2−SnO2−TiO2系磁器の焼成時の熱履歴に
よる共振周波数の温度係数の変動が低減されている。ま
た、試料番号3〜10に対して、Al2 O3 ,Si
O2 ,BaCO3 ,SrCO3 ,La2 O3 ,Sm2 O
3の少なくとも一種を0.5mol%添加した誘電体磁
器についても同様の効果が確認された。尚、これ以外の
他の成分についても本発明の目的を損なわない限り添加
しても良い。
試料番号3〜10の誘電体磁器は、ZrTiO4 系及び
ZrO2−SnO2−TiO2系磁器の焼成時の熱履歴に
よる共振周波数の温度係数の変動が低減されている。ま
た、試料番号3〜10に対して、Al2 O3 ,Si
O2 ,BaCO3 ,SrCO3 ,La2 O3 ,Sm2 O
3の少なくとも一種を0.5mol%添加した誘電体磁
器についても同様の効果が確認された。尚、これ以外の
他の成分についても本発明の目的を損なわない限り添加
しても良い。
【0037】本発明の前記(1)項の構成により、Zr
TiO4 系及びZrO2−SnO2−TiO2系磁器の焼
成時の熱履歴による共振周波数の温度係数の変動を低減
することができる事がわかる。 実施例2 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Nb2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
800〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末にバインダーとして濃度6%のポリビニー
ルアルコール溶液を8重量%添加して混合し均質とし、
32メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金
型と油圧プレスを用いて成形圧力1.3ton/cm2
で直径7mm厚さ約3mmの円板に成形した。成形体を
高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中において
400℃〜700℃の温度で4〜8時間保持してバイン
ダーアウトを行なった後、空気中において1300℃〜
1650℃の温度で1〜100時間保持して焼成し誘電
体磁器を得た。
TiO4 系及びZrO2−SnO2−TiO2系磁器の焼
成時の熱履歴による共振周波数の温度係数の変動を低減
することができる事がわかる。 実施例2 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Nb2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
800〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末にバインダーとして濃度6%のポリビニー
ルアルコール溶液を8重量%添加して混合し均質とし、
32メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金
型と油圧プレスを用いて成形圧力1.3ton/cm2
で直径7mm厚さ約3mmの円板に成形した。成形体を
高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中において
400℃〜700℃の温度で4〜8時間保持してバイン
ダーアウトを行なった後、空気中において1300℃〜
1650℃の温度で1〜100時間保持して焼成し誘電
体磁器を得た。
【0038】得られた誘電体磁器の導体空洞型誘電体円
柱共振器法による測定から、共振周波数と無負荷Q(Q
u )値と比誘電率(εr )を求めた。共振周波数の温度
係数(τf )は−25℃から85℃の範囲で求めた。共
振周波数は5〜10GHzの範囲であった。
柱共振器法による測定から、共振周波数と無負荷Q(Q
u )値と比誘電率(εr )を求めた。共振周波数の温度
係数(τf )は−25℃から85℃の範囲で求めた。共
振周波数は5〜10GHzの範囲であった。
【0039】このようにして得られた比誘電率と共振周
波数の温度係数(ppm/℃)および無負荷Q値を(表
3)〜(表9)に示す。なお、(表3)〜(表9)にお
いて* 印のついたものは比較例である。
波数の温度係数(ppm/℃)および無負荷Q値を(表
3)〜(表9)に示す。なお、(表3)〜(表9)にお
いて* 印のついたものは比較例である。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】(表3)〜(表9)に示す結果から明らか
なように、本発明の前記(2)項に記載の組成範囲内の
誘電体磁器組成物はマイクロ波周波数帯において比誘電
率を大きな値に保ちながら高い無負荷Q値を有する。
なように、本発明の前記(2)項に記載の組成範囲内の
誘電体磁器組成物はマイクロ波周波数帯において比誘電
率を大きな値に保ちながら高い無負荷Q値を有する。
【0048】これに対して、xが0.60よりも大きく
なると、試料番号54〜56及び試料番号123のよう
に無負荷Q値が著しく低くなり、本発明の目的を達成す
ることができない。また、xが0.10より小さくなっ
た場合も試料番号60,61及び試料番号126のよう
に無負荷Q値が低くなり、本発明の目的を達成すること
ができない。
なると、試料番号54〜56及び試料番号123のよう
に無負荷Q値が著しく低くなり、本発明の目的を達成す
ることができない。また、xが0.10より小さくなっ
た場合も試料番号60,61及び試料番号126のよう
に無負荷Q値が低くなり、本発明の目的を達成すること
ができない。
【0049】yが0.60よりも大きくなると、試料番
号26〜29及び試料番号116のように無負荷Q値が
著しく低くなりyが0.20より小さくなった場合にも
試料番号15〜18及び試料番号114のように無負荷
Q値が低くなりすぎるため、本発明の目的を達成するこ
とができない。
号26〜29及び試料番号116のように無負荷Q値が
著しく低くなりyが0.20より小さくなった場合にも
試料番号15〜18及び試料番号114のように無負荷
Q値が低くなりすぎるため、本発明の目的を達成するこ
とができない。
【0050】zが0.70よりも大きくなると試料番号
30〜33及び試料番号117のように無負荷Q値が低
くなり、zが0.01よりも小さくなると試料番号36
のように共振周波数の温度係数が極端に大きくなり、か
つ、無負荷Q値が著しく低くなるため、本発明の目的を
達成することができない。
30〜33及び試料番号117のように無負荷Q値が低
くなり、zが0.01よりも小さくなると試料番号36
のように共振周波数の温度係数が極端に大きくなり、か
つ、無負荷Q値が著しく低くなるため、本発明の目的を
達成することができない。
【0051】また、wを0よりも大きくすることにより
無負荷Q値を改善することができるが、wが1.50よ
りも大きくなると試料番号93〜96及び試料番号13
3のように無負荷Q値が劣化してしまう。しかし、試料
番号133でも、従来の誘電体磁器と比較して特性は良
好であった。
無負荷Q値を改善することができるが、wが1.50よ
りも大きくなると試料番号93〜96及び試料番号13
3のように無負荷Q値が劣化してしまう。しかし、試料
番号133でも、従来の誘電体磁器と比較して特性は良
好であった。
【0052】なお、A(ただし、AはMg,Co,Z
n,Ni,Mnから選ばれた少なくとも1種の元素を示
す)とNbの酸化物を800〜1200℃で予め仮焼し
た粉体を原料粉として用いると、無負荷Q値が向上する
ことが本実施例の組成範囲内で確認された。
n,Ni,Mnから選ばれた少なくとも1種の元素を示
す)とNbの酸化物を800〜1200℃で予め仮焼し
た粉体を原料粉として用いると、無負荷Q値が向上する
ことが本実施例の組成範囲内で確認された。
【0053】また、僅かの添加物を加えることで焼結性
を改善でき、特性は大きく劣化しないことが本実施例の
組成範囲内で確認された。例えば試料番号105にAl
2 O 3 を0.08wt.%添加した場合、焼成温度が約
50℃下がり、SiO2 を0.08wt.%添加した場
合焼成温度が約25℃下がるが、いずれの場合も特性は
大きく変化しなかった。さらに、BaCO3 ,SrCO
3 ,La2 O3 ,Sm 2 O3 の少なくとも一種を0.1
mol%添加した誘電体磁器についても特性は大きく変
化しなかった。尚、これ以外の他の成分についても本発
明の目的を損なわない限り添加しても良い。
を改善でき、特性は大きく劣化しないことが本実施例の
組成範囲内で確認された。例えば試料番号105にAl
2 O 3 を0.08wt.%添加した場合、焼成温度が約
50℃下がり、SiO2 を0.08wt.%添加した場
合焼成温度が約25℃下がるが、いずれの場合も特性は
大きく変化しなかった。さらに、BaCO3 ,SrCO
3 ,La2 O3 ,Sm 2 O3 の少なくとも一種を0.1
mol%添加した誘電体磁器についても特性は大きく変
化しなかった。尚、これ以外の他の成分についても本発
明の目的を損なわない限り添加しても良い。
【0054】実施例3 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Ta2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
900〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末に粘結剤として濃度6%のポリビニールア
ルコール溶液を8重量%添加して混合し均質とし、32
メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と
油圧プレスを用いて成形圧力1.3ton/cm2で直
径7mm厚さ約3mmの円板に成形した。成形体を高純
度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中において40
0℃〜700℃の温度で4〜8時間保持してバインダー
アウトを行なった後、空気中において1300℃〜16
50℃の温度で1〜100時間保持して焼成し誘電体磁
器を得た。
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Ta2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
900〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末に粘結剤として濃度6%のポリビニールア
ルコール溶液を8重量%添加して混合し均質とし、32
メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と
油圧プレスを用いて成形圧力1.3ton/cm2で直
径7mm厚さ約3mmの円板に成形した。成形体を高純
度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中において40
0℃〜700℃の温度で4〜8時間保持してバインダー
アウトを行なった後、空気中において1300℃〜16
50℃の温度で1〜100時間保持して焼成し誘電体磁
器を得た。
【0055】得られた誘電体磁器の導体空洞型誘電体円
柱共振器法による測定から共振周波数と無負荷Q
(Qu )値と比誘電率(εr )を求めた。共振周波数の
温度係数(τf )は−25℃から85℃の範囲で求め
た。共振周波数は5〜10GHzの範囲であった。
柱共振器法による測定から共振周波数と無負荷Q
(Qu )値と比誘電率(εr )を求めた。共振周波数の
温度係数(τf )は−25℃から85℃の範囲で求め
た。共振周波数は5〜10GHzの範囲であった。
【0056】このようにして得られた比誘電率と共振周
波数の温度係数(ppm/℃)および無負荷Q値を(表
10)〜(表11)に示す。なお、(表10)〜(表1
1)において* 印のついたものは本発明範囲外の比較例
である。
波数の温度係数(ppm/℃)および無負荷Q値を(表
10)〜(表11)に示す。なお、(表10)〜(表1
1)において* 印のついたものは本発明範囲外の比較例
である。
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】(表10)〜(表11)に示す結果から明
らかなように、本発明の前記(3)項の組成範囲内の誘
電体磁器組成物はマイクロ波周波数帯において比誘電率
を大きな値に保ちながら高い無負荷Q値を有する。
らかなように、本発明の前記(3)項の組成範囲内の誘
電体磁器組成物はマイクロ波周波数帯において比誘電率
を大きな値に保ちながら高い無負荷Q値を有する。
【0060】尚、xが0.60よりも大きくなると、試
料番号152のように無負荷Q値が著しく低くなるた
め、本発明の目的を達成することができない。また、x
が0.10よりも小さくなった場合も試料番号155の
ように無負荷Q値が低くなるため、本発明の目的を達成
することができない。
料番号152のように無負荷Q値が著しく低くなるた
め、本発明の目的を達成することができない。また、x
が0.10よりも小さくなった場合も試料番号155の
ように無負荷Q値が低くなるため、本発明の目的を達成
することができない。
【0061】yが0.60よりも大きくなると、試料番
号138のように無負荷Q値が著しく低くなり、yが
0.10よりも小さくなった場合にも、試料番号134
のように無負荷Q値が低くなりすぎるため、本発明の目
的を達成することができない。
号138のように無負荷Q値が著しく低くなり、yが
0.10よりも小さくなった場合にも、試料番号134
のように無負荷Q値が低くなりすぎるため、本発明の目
的を達成することができない。
【0062】zが0.80よりも大きくなると試料番号
139のように無負荷Q値が低くなり、zが0.01よ
りも小さくなると試料番号141のように無負荷Q値が
著しく低くなるため、本発明の目的を達成することがで
きない。
139のように無負荷Q値が低くなり、zが0.01よ
りも小さくなると試料番号141のように無負荷Q値が
著しく低くなるため、本発明の目的を達成することがで
きない。
【0063】また、wを0よりも大きくすることにより
無負荷Q値を改善することができるが、wが1.00よ
りも大きくなると試料番号168のように無負荷Q値が
著しく低くなるため、本発明の目的を達成することがで
きない。
無負荷Q値を改善することができるが、wが1.00よ
りも大きくなると試料番号168のように無負荷Q値が
著しく低くなるため、本発明の目的を達成することがで
きない。
【0064】なお、A(ただし、AはMg,Co,Z
n,Ni,Mnから選ばれた少なくとも1種の元素を示
す)とTaの酸化物を800〜1200℃で予め仮焼し
た粉体を原料粉として用いると、無負荷Q値が向上する
ことが本実施例の組成範囲内で確認された。
n,Ni,Mnから選ばれた少なくとも1種の元素を示
す)とTaの酸化物を800〜1200℃で予め仮焼し
た粉体を原料粉として用いると、無負荷Q値が向上する
ことが本実施例の組成範囲内で確認された。
【0065】また、僅かの添加物を加えることで焼結性
を改善でき、特性は大きく劣化しないことが本実施例の
組成範囲内で確認された。例えば試料番号151にAl
2 O 3 を0.08wt.%添加した場合、焼成温度が約
100℃下がり、SiO2 を0.08wt.%添加した
場合焼成温度が約50℃下がるが、いずれの場合も特性
は大きく劣化しなかった。さらに、BaCO3 ,SrC
O3 ,La2 O3 ,Sm2 O3 の少なくとも一種を0.
1mol%添加した誘電体磁器についても特性は大きく
劣化しなかった。尚、これ以外の他の成分についても本
発明の目的を損なわない限り添加しても良い。
を改善でき、特性は大きく劣化しないことが本実施例の
組成範囲内で確認された。例えば試料番号151にAl
2 O 3 を0.08wt.%添加した場合、焼成温度が約
100℃下がり、SiO2 を0.08wt.%添加した
場合焼成温度が約50℃下がるが、いずれの場合も特性
は大きく劣化しなかった。さらに、BaCO3 ,SrC
O3 ,La2 O3 ,Sm2 O3 の少なくとも一種を0.
1mol%添加した誘電体磁器についても特性は大きく
劣化しなかった。尚、これ以外の他の成分についても本
発明の目的を損なわない限り添加しても良い。
【0066】また、本発明の実施例1〜3の組成範囲内
の誘電体磁器の粉末X線回折より、ZrTiO4 相もし
くは結晶学的にZrTiO4 相である相が確認された。
さらに、ZrTiO4 相もしくは結晶学的にZrTiO
4 相である相を主成分とする誘電体磁器の、破断面及び
研磨面の局所X線回折装置による組成分析により、単一
結晶粒内にZr,Ti,A,B(ただし、AはMg,C
o,Zn,Ni,Mnから選ばれた少なくとも一種の元
素、BはNb,Taから選ばれた少なくとも一種の元素
を示す)成分の全てが存在することが確認され、その組
成比は、同一誘電体磁器内において主相を構成する他の
結晶粒の組成比と一致した。また、単一粒内に、配合し
た全てのA及びB成分が存在することが確認された。
の誘電体磁器の粉末X線回折より、ZrTiO4 相もし
くは結晶学的にZrTiO4 相である相が確認された。
さらに、ZrTiO4 相もしくは結晶学的にZrTiO
4 相である相を主成分とする誘電体磁器の、破断面及び
研磨面の局所X線回折装置による組成分析により、単一
結晶粒内にZr,Ti,A,B(ただし、AはMg,C
o,Zn,Ni,Mnから選ばれた少なくとも一種の元
素、BはNb,Taから選ばれた少なくとも一種の元素
を示す)成分の全てが存在することが確認され、その組
成比は、同一誘電体磁器内において主相を構成する他の
結晶粒の組成比と一致した。また、単一粒内に、配合し
た全てのA及びB成分が存在することが確認された。
【0067】さらに、単一粒内にZr,Ti,A,B成
分が存在する誘電体磁器では、同一焼成条件で得られた
ZrTiO4 磁器と比較して格子常数が大きくなってい
ることが確認された。これらのことより、ZrTiO4
相もしくは結晶学的にZrTiO4 相にA,B成分が固
溶置換していることが確認された。
分が存在する誘電体磁器では、同一焼成条件で得られた
ZrTiO4 磁器と比較して格子常数が大きくなってい
ることが確認された。これらのことより、ZrTiO4
相もしくは結晶学的にZrTiO4 相にA,B成分が固
溶置換していることが確認された。
【0068】このような誘電体磁器は、特に無負荷Q値
が高く、比誘電率が大きく、共振周波数の温度安定性が
優れており、前述したA成分とB成分のモル分率の比a
/bが0.5以上1.0以下である場合はさらに無負荷
Q値が高かった。
が高く、比誘電率が大きく、共振周波数の温度安定性が
優れており、前述したA成分とB成分のモル分率の比a
/bが0.5以上1.0以下である場合はさらに無負荷
Q値が高かった。
【0069】以上の結果より、本発明の前記(4)項及
び(5)項に記載した誘電体磁器は、マイクロ波周波数
帯において比誘電率を大きな値に保ちながら高い無負荷
Q値を有し、共振周波数の温度安定性が優れている事が
認められる。
び(5)項に記載した誘電体磁器は、マイクロ波周波数
帯において比誘電率を大きな値に保ちながら高い無負荷
Q値を有し、共振周波数の温度安定性が優れている事が
認められる。
【0070】実施例4 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Nb2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
900〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末にバインダーとして濃度6%のポリビニー
ルアルコール溶液を10重量%添加して混合し均質と
し、32メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体
は金型と油圧プレスを用いて成形圧力1ton/cm 2
で直径16mm、35mm、70mmの円柱に成形し
た。成形体の直径:厚さは約2:1となるようにした。
成形体を高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中
において400℃〜700℃の温度で2〜100時間保
持してバインダーアウトを行なった後、空気中において
1300℃〜1650℃の温度で1〜100時間保持し
て焼成し誘電体磁器を得た。
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Nb2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
900〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末にバインダーとして濃度6%のポリビニー
ルアルコール溶液を10重量%添加して混合し均質と
し、32メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体
は金型と油圧プレスを用いて成形圧力1ton/cm 2
で直径16mm、35mm、70mmの円柱に成形し
た。成形体の直径:厚さは約2:1となるようにした。
成形体を高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空気中
において400℃〜700℃の温度で2〜100時間保
持してバインダーアウトを行なった後、空気中において
1300℃〜1650℃の温度で1〜100時間保持し
て焼成し誘電体磁器を得た。
【0071】得られた誘電体磁器を銀メッキ(厚さ10μ
m)を施した銅製筒状キャビティーの中心に配置し、キ
ャビティー側面に設けたアンテナより発信した電磁波に
よる誘電体のTE01δモードの共振を利用した誘電体共
振器を構成した。銅製筒状キャビティーの内寸は誘電体
磁器の直径、厚さのそれぞれ約4倍であり、厚みは5m
mである。ベクトルネットワークアナライザーによる測
定から共振周波数とQ u 値を求めた。なお、直径16m
mの成形体の場合共振周波数は2〜5GHzであり、3
5mmでは1〜2.5GHz、70mmでは0.6〜
1.5GHzであった。
m)を施した銅製筒状キャビティーの中心に配置し、キ
ャビティー側面に設けたアンテナより発信した電磁波に
よる誘電体のTE01δモードの共振を利用した誘電体共
振器を構成した。銅製筒状キャビティーの内寸は誘電体
磁器の直径、厚さのそれぞれ約4倍であり、厚みは5m
mである。ベクトルネットワークアナライザーによる測
定から共振周波数とQ u 値を求めた。なお、直径16m
mの成形体の場合共振周波数は2〜5GHzであり、3
5mmでは1〜2.5GHz、70mmでは0.6〜
1.5GHzであった。
【0072】このようにして得られた共振周波数(f)
およびf×Qu値を(表12)〜(表13)に示す。な
お、(表12)〜(表13)において* 印のついたもの
は本発明範囲外の比較例である。
およびf×Qu値を(表12)〜(表13)に示す。な
お、(表12)〜(表13)において* 印のついたもの
は本発明範囲外の比較例である。
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
【0075】(表12)〜(表13)に示す結果から明
らかなように、本発明の前記(7)項に記載したTE01
δモード誘電体共振器はマイクロ波周波数帯において高
い無負荷Q値を有し、特に比較的低い周波数帯において
著しく高い無負荷Q値を有する事が認められる。
らかなように、本発明の前記(7)項に記載したTE01
δモード誘電体共振器はマイクロ波周波数帯において高
い無負荷Q値を有し、特に比較的低い周波数帯において
著しく高い無負荷Q値を有する事が認められる。
【0076】また、共振周波数0.8GHzにおける誘
電体磁器の体積は、例えばZrO2−SnO2 −TiO
2 系磁器(εr =37.0 )では約113cc、Ba(Mg
1/3Ta2/3 )O3 系磁器(εr =24.0 )では約200
ccであるのに対し、例えば本発明の試料番号177の
体積は約83ccである。TE01δモード誘電体共振器
の体積は誘電体磁器の体積に応じたものとなるため、本
発明の前記(7)項に記載のTE01δモード誘電体共振
器は比較的低い周波数領域で著しく小型なものとなる。
また、従来のものと比較して誘電体磁器が著しく小型か
つ軽量であるため、誘電体共振器としての原料コスト及
び製造コストが安価になる利点を有する。
電体磁器の体積は、例えばZrO2−SnO2 −TiO
2 系磁器(εr =37.0 )では約113cc、Ba(Mg
1/3Ta2/3 )O3 系磁器(εr =24.0 )では約200
ccであるのに対し、例えば本発明の試料番号177の
体積は約83ccである。TE01δモード誘電体共振器
の体積は誘電体磁器の体積に応じたものとなるため、本
発明の前記(7)項に記載のTE01δモード誘電体共振
器は比較的低い周波数領域で著しく小型なものとなる。
また、従来のものと比較して誘電体磁器が著しく小型か
つ軽量であるため、誘電体共振器としての原料コスト及
び製造コストが安価になる利点を有する。
【0077】実施例5 出発原料には化学的に高純度のZrO2 ,TiO2 ,M
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Ta2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
900〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末に粘結剤として濃度6%のポリビニールア
ルコール溶液を8重量%添加して混合し均質とし、32
メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と
油圧プレスを用いて成形圧力1.3ton/cm2で直
径7mm、16mm、42mm、70mmの円板に成形
した。成形体の直径:厚さは約2:1となるようにし
た。成形体を高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空
気中において1300℃〜1650℃の温度で1〜10
0時間保持して焼成し誘電体磁器を得た。得られた誘電
体磁器を銀メッキ(厚さ10μm)を施した銅製筒状キャ
ビティーの中心に配置し、キャビティー側面に設けたア
ンテナより発信した電磁波による誘電体のTE01δモー
ドの共振を利用した誘電体共振器を構成した。
gO,CoO,ZnO,NiO,MnCO3 ,Ta2 O
5 を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボー
ルミルを用いてエタノールとともに湿式混合した。粉体
とエタノールの体積比は約2:3である。この混合物を
ボールミルから取り出して乾燥したのち空気中において
900〜1250℃の温度で2〜8時間仮焼した。仮焼
物はエタノールとともに前記のボールミル中で湿式粉砕
した。粉砕泥しょうをボールミルから取り出して乾燥し
たのち、粉末に粘結剤として濃度6%のポリビニールア
ルコール溶液を8重量%添加して混合し均質とし、32
メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と
油圧プレスを用いて成形圧力1.3ton/cm2で直
径7mm、16mm、42mm、70mmの円板に成形
した。成形体の直径:厚さは約2:1となるようにし
た。成形体を高純度のマグネシアさや鉢の中に入れ、空
気中において1300℃〜1650℃の温度で1〜10
0時間保持して焼成し誘電体磁器を得た。得られた誘電
体磁器を銀メッキ(厚さ10μm)を施した銅製筒状キャ
ビティーの中心に配置し、キャビティー側面に設けたア
ンテナより発信した電磁波による誘電体のTE01δモー
ドの共振を利用した誘電体共振器を構成した。
【0078】銅製筒状キャビティーの内寸は誘電体磁器
の直径、厚さのそれぞれ約4倍であり、厚みは5mmで
ある。ベクトルネットワークアナライザーによる測定か
ら共振周波数とQu 値を求めた。なお、直径7mmの成
形体の場合共振周波数は8〜9GHzであり、16mm
では3〜4GHz、42mmでは1〜2GHz、70m
mでは0.6〜0.9GHzであった。
の直径、厚さのそれぞれ約4倍であり、厚みは5mmで
ある。ベクトルネットワークアナライザーによる測定か
ら共振周波数とQu 値を求めた。なお、直径7mmの成
形体の場合共振周波数は8〜9GHzであり、16mm
では3〜4GHz、42mmでは1〜2GHz、70m
mでは0.6〜0.9GHzであった。
【0079】このようにして得られた共振周波数(f)
およびf×Qu値を(表14)に示す。なお、(表1
4)において* 印のついたものは本発明範囲外の比較例
である。
およびf×Qu値を(表14)に示す。なお、(表1
4)において* 印のついたものは本発明範囲外の比較例
である。
【0080】
【表14】
【0081】(表14)に示す結果から明らかなよう
に、本発明の前記(8)項に記載のTE01δモード誘電
体共振器はマイクロ波周波数帯において高い無負荷Q値
を有し、特に比較的低い周波数帯において著しく高い無
負荷Q値を有する。
に、本発明の前記(8)項に記載のTE01δモード誘電
体共振器はマイクロ波周波数帯において高い無負荷Q値
を有し、特に比較的低い周波数帯において著しく高い無
負荷Q値を有する。
【0082】また、共振周波数0.8GHzにおける誘
電体磁器の体積は、例えばZrO2−SnO2 −TiO
2 系磁器(εr =37.0 )では約113cc、Ba(Mg
1/3Ta2/3 )O3 系磁器(εr =24.0 )では約200
ccであるのに対し、例えば本発明の試料番号211の
体積は約98ccである。TE01δモード誘電体共振器
の体積は誘電体磁器の体積に応じたものとなるため、本
発明の前記(8)項に記載のTE01δモード誘電体共振
器は比較的低い周波数領域で著しく小型なものとなる。
また、従来のものと比較して誘電体磁器が著しく小型か
つ軽量であるため、誘電体共振器としての原料コスト及
び製造コストが安価になると言う利点を有する。
電体磁器の体積は、例えばZrO2−SnO2 −TiO
2 系磁器(εr =37.0 )では約113cc、Ba(Mg
1/3Ta2/3 )O3 系磁器(εr =24.0 )では約200
ccであるのに対し、例えば本発明の試料番号211の
体積は約98ccである。TE01δモード誘電体共振器
の体積は誘電体磁器の体積に応じたものとなるため、本
発明の前記(8)項に記載のTE01δモード誘電体共振
器は比較的低い周波数領域で著しく小型なものとなる。
また、従来のものと比較して誘電体磁器が著しく小型か
つ軽量であるため、誘電体共振器としての原料コスト及
び製造コストが安価になると言う利点を有する。
【0083】なお、本実施例4及び5においては、誘電
体磁器として円柱状のものを用いているが、必ずしもこ
れに限定されるものではなく、例えばリング状の誘電体
磁器を用いても、同等かそれ以上の高い無負荷Q値を有
するTE01δモード誘電体共振器を構成し得ることを、
本発明者等は確認した。
体磁器として円柱状のものを用いているが、必ずしもこ
れに限定されるものではなく、例えばリング状の誘電体
磁器を用いても、同等かそれ以上の高い無負荷Q値を有
するTE01δモード誘電体共振器を構成し得ることを、
本発明者等は確認した。
【0084】また、実施例1において示したように、Z
r,Ti両成分と、{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}
からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分と、
{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくとも
一種の成分との複合酸化物を主成分とする誘電体磁器
は、ZrTiO4 系及びZrO2−SnO2−TiO2系
磁器の焼成時の熱履歴による共振周波数の温度係数の変
動を低減することができるため、このような誘電体磁器
よりなるTE01δモード誘電体共振器、すなわち本発明
の前記(6)項に記載のTE01δモード誘電体共振器は
有用である。
r,Ti両成分と、{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}
からなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分と、
{Nb,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくとも
一種の成分との複合酸化物を主成分とする誘電体磁器
は、ZrTiO4 系及びZrO2−SnO2−TiO2系
磁器の焼成時の熱履歴による共振周波数の温度係数の変
動を低減することができるため、このような誘電体磁器
よりなるTE01δモード誘電体共振器、すなわち本発明
の前記(6)項に記載のTE01δモード誘電体共振器は
有用である。
【0085】また、本発明の実施例1〜5における誘電
体磁器の粉末X線回折より、ZrTiO4 相もしくは結
晶学的にZrTiO4 相である相が確認された。さら
に、ZrTiO4 相もしくは結晶学的にZrTiO4 相
である相を主成分とする誘電体磁器の、破断面及び研磨
面の局所X線回折装置による組成分析により、単一結晶
粒内にZr,Ti,A,B(ただし、AはMg,Co,
Zn,Ni,Mnからなる群から選ばれた少なくとも一
種の元素、BはNb,Taからなる群から選ばれた少な
くとも一種の元素を示す)成分の全てが存在することが
確認され、その組成比は、同一誘電体磁器内において主
相を構成する他の結晶粒の組成比と一致した。また、単
一粒内に、配合した全てのA及びB成分が存在すること
が確認された。
体磁器の粉末X線回折より、ZrTiO4 相もしくは結
晶学的にZrTiO4 相である相が確認された。さら
に、ZrTiO4 相もしくは結晶学的にZrTiO4 相
である相を主成分とする誘電体磁器の、破断面及び研磨
面の局所X線回折装置による組成分析により、単一結晶
粒内にZr,Ti,A,B(ただし、AはMg,Co,
Zn,Ni,Mnからなる群から選ばれた少なくとも一
種の元素、BはNb,Taからなる群から選ばれた少な
くとも一種の元素を示す)成分の全てが存在することが
確認され、その組成比は、同一誘電体磁器内において主
相を構成する他の結晶粒の組成比と一致した。また、単
一粒内に、配合した全てのA及びB成分が存在すること
が確認された。
【0086】さらに、単一粒内にZr,Ti,A,B成
分が存在する誘電体磁器では、同一焼成条件で得られた
ZrTiO4 磁器と比較して格子定数が大きくなってい
ることが確認された。これらのことより、ZrTiO4
相もしくは結晶学的にZrTiO4 相にA,B成分が固
溶置換していることが確認された。
分が存在する誘電体磁器では、同一焼成条件で得られた
ZrTiO4 磁器と比較して格子定数が大きくなってい
ることが確認された。これらのことより、ZrTiO4
相もしくは結晶学的にZrTiO4 相にA,B成分が固
溶置換していることが確認された。
【0087】このような誘電体磁器は、特に無負荷Q値
が高く、比誘電率が大きく、共振周波数の温度安定性が
優れており、前述したA成分とB成分のモル分率の比a
/bが0.5以上1.0以下である場合はさらに無負荷
Q値が高かった。すなわち、このような誘電体磁器より
なる本発明の前記(9)項ならびに(10)項に記載の
TE01δモード誘電体共振器は、マイクロ波周波数帯に
おいて比誘電率を大きな値に保ちながら高い無負荷Q値
を有し、共振周波数の温度安定性が優れていると言う利
点を有する。
が高く、比誘電率が大きく、共振周波数の温度安定性が
優れており、前述したA成分とB成分のモル分率の比a
/bが0.5以上1.0以下である場合はさらに無負荷
Q値が高かった。すなわち、このような誘電体磁器より
なる本発明の前記(9)項ならびに(10)項に記載の
TE01δモード誘電体共振器は、マイクロ波周波数帯に
おいて比誘電率を大きな値に保ちながら高い無負荷Q値
を有し、共振周波数の温度安定性が優れていると言う利
点を有する。
【0088】
【発明の効果】本発明に係る誘電体磁器ならびに磁器組
成物の構成によれば、Zr,Ti両成分と、{Mg,C
o,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から選ばれた少
なくとも一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)
から選ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物から
なる誘電体磁器とすることにより、従来のZrTiO 4
系及びZrO 2 −SnO 2 −TiO 2 系磁器が持ってい
た、焼成時の熱履歴による共振周波数の温度係数が変動
するという問題を低減できる。また、無負荷Q値が高
く、しかも、比誘電率を落とすことなく共振周波数の温
度係数を任意に変化させることができる。
成物の構成によれば、Zr,Ti両成分と、{Mg,C
o,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から選ばれた少
なくとも一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)
から選ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物から
なる誘電体磁器とすることにより、従来のZrTiO 4
系及びZrO 2 −SnO 2 −TiO 2 系磁器が持ってい
た、焼成時の熱履歴による共振周波数の温度係数が変動
するという問題を低減できる。また、無負荷Q値が高
く、しかも、比誘電率を落とすことなく共振周波数の温
度係数を任意に変化させることができる。
【0089】また、前記本発明に係るTE01δモード誘
電体共振器の構成によれば、0.8〜5GHzの周波数
領域で高い無負荷Q値を有し、しかも、小型のTE01δ
モード誘電体共振器を実現することができる。
電体共振器の構成によれば、0.8〜5GHzの周波数
領域で高い無負荷Q値を有し、しかも、小型のTE01δ
モード誘電体共振器を実現することができる。
【0090】また、前記本発明に係る誘電体磁器ならび
に磁器組成物の構成にNb元素を用いたものは、より安
価な誘電体磁器ならびに磁器組成物とすることができ
る。
に磁器組成物の構成にNb元素を用いたものは、より安
価な誘電体磁器ならびに磁器組成物とすることができ
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 Zr,Ti両成分と、{Mg,Co,Z
n,Ni,Mn}からなる群(A) から選ばれた少なくと
も一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)から選
ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物からなる誘
電体磁器。 - 【請求項2】 組成式をxZrO2 −yTiO2 −zA
(1+w)/3 Nb(2-w)/ 3 O2 で表わしたとき、記号Aが
{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から
選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,y,
z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器組成
物(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表され
る数値を示す。)。 【数1】 - 【請求項3】 組成式をxZrO2 −yTiO2 −zA
(1+w)/3 Ta(2-w)/ 3 O2 で表わしたとき、記号Aが
{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から
選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,y,
z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器組成
物(ただし、x,y,zはモル分率、wは下記で表され
る数値を示す。)。 【数2】 - 【請求項4】 {Mg,Co,Zn,Ni,Mn}から
なる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分と{N
b,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくとも一種
の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしくは結晶
学的にZrTiO4 相を主成分とする請求項1に記載の
誘電体磁器。 - 【請求項5】 {Mg,Co,Zn,Ni,Mn}から
なる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分と{N
b,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくとも一種
の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしくは結晶
学的にZrTiO4 相を主成分とし、且つa/b(ただ
し、記号a及びbはそれぞれ前記群(A)及び(B) の成分
のモル分率の合計を示す)が0.5以上1.0以下であ
る請求項1に記載の誘電体磁器。 - 【請求項6】 Zr,Ti両成分と、{Mg,Co,Z
n,Ni,Mn}からなる群(A) から選ばれた少なくと
も一種の成分と、{Nb,Ta}からなる群(B)から選
ばれた少なくとも一種の成分との複合酸化物からなる誘
電体磁器よりなるTE01δモード誘電体共振器。 - 【請求項7】 組成式をxZrO2 −yTiO2 −zA
(1+w)/3 Nb(2-w)/ 3 O2 で表わしたとき、記号Aが
{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から
選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,y,
z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器(た
だし、x,y,zはモル分率、wは下記で表される数値
を示す。)よりなるTE01δモード誘電体共振器。 【数3】 - 【請求項8】 組成式をxZrO2 −yTiO2 −zA
(1+w)/3 Ta(2-w)/ 3 O2 で表わしたとき、記号Aが
{Mg,Co,Zn,Ni,Mn}からなる群(A) から
選ばれた少なくとも一種の成分であり、且つx,y,
z,wが次の数式で示される範囲にある誘電体磁器(た
だし、x,y,zはモル分率、wは下記で表される数値
を示す。)よりなるTE01δモード誘電体共振器。 【数4】 - 【請求項9】 {Mg,Co,Zn,Ni,Mn}から
なる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分と{N
b,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくとも一種
の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしくは結晶
学的にZrTiO4 相を主成分とする誘電体磁器よりな
る請求項6に記載のTE01δモード誘電体共振器。 - 【請求項10】 {Mg,Co,Zn,Ni,Mn}か
らなる群(A) から選ばれた少なくとも一種の成分と{N
b,Ta}からなる群(B) から選ばれた少なくとも一種
の成分が固溶置換しているZrTiO4 相もしくは結晶
学的にZrTiO4 相を主成分とし、且つa/b(ただ
し、記号a及びbはそれぞれ前記群(A) 及び(B) の成分
のモル分率の合計を示す)が0.5以上1.0以下であ
る誘電体磁器よりなる請求項6に記載のTE01δモード
誘電体共振器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5213873A JP2768455B2 (ja) | 1992-09-10 | 1993-08-30 | 誘電体磁器及び誘電体共振器 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-241640 | 1992-09-10 | ||
JP24164092 | 1992-09-10 | ||
JP2528493 | 1993-02-15 | ||
JP5-25284 | 1993-02-15 | ||
JP5213873A JP2768455B2 (ja) | 1992-09-10 | 1993-08-30 | 誘電体磁器及び誘電体共振器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06295619A JPH06295619A (ja) | 1994-10-21 |
JP2768455B2 true JP2768455B2 (ja) | 1998-06-25 |
Family
ID=27284969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5213873A Expired - Fee Related JP2768455B2 (ja) | 1992-09-10 | 1993-08-30 | 誘電体磁器及び誘電体共振器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2768455B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6762142B2 (en) | 2001-09-26 | 2004-07-13 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Dielectric ceramic and dielectric device |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4688008B2 (ja) * | 2000-08-21 | 2011-05-25 | 日立金属株式会社 | 電子デバイス用誘電体磁器組成物 |
EP1216974A1 (en) | 2000-12-20 | 2002-06-26 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Dielectric ceramic-glass composite and dielectric device |
CN103492346B (zh) * | 2011-04-25 | 2015-05-27 | 京瓷株式会社 | 介电陶瓷及具备其的介质滤波器 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61256775A (ja) * | 1985-05-10 | 1986-11-14 | Murata Mfg Co Ltd | 高周波用誘電体磁器組成物 |
JPS61259405A (ja) * | 1985-05-10 | 1986-11-17 | 株式会社村田製作所 | 高周波用誘電体磁器組成物 |
JPH03263707A (ja) * | 1990-03-13 | 1991-11-25 | Tdk Corp | 誘電体磁器組成物 |
JPH04106807A (ja) * | 1990-08-21 | 1992-04-08 | Sanyo Electric Co Ltd | マイクロ波用誘電体磁器組成物 |
JPH04118806A (ja) * | 1990-05-15 | 1992-04-20 | Sanyo Electric Co Ltd | マイクロ波用誘電体磁器組成物 |
-
1993
- 1993-08-30 JP JP5213873A patent/JP2768455B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61256775A (ja) * | 1985-05-10 | 1986-11-14 | Murata Mfg Co Ltd | 高周波用誘電体磁器組成物 |
JPS61259405A (ja) * | 1985-05-10 | 1986-11-17 | 株式会社村田製作所 | 高周波用誘電体磁器組成物 |
JPH03263707A (ja) * | 1990-03-13 | 1991-11-25 | Tdk Corp | 誘電体磁器組成物 |
JPH04118806A (ja) * | 1990-05-15 | 1992-04-20 | Sanyo Electric Co Ltd | マイクロ波用誘電体磁器組成物 |
JPH04106807A (ja) * | 1990-08-21 | 1992-04-08 | Sanyo Electric Co Ltd | マイクロ波用誘電体磁器組成物 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6762142B2 (en) | 2001-09-26 | 2004-07-13 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Dielectric ceramic and dielectric device |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06295619A (ja) | 1994-10-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100203515B1 (ko) | 고주파용 세라믹 유전체 조성물 | |
EP0587140B1 (en) | Dielectric ceramic compositions and dielectric resonators | |
JP3229528B2 (ja) | 誘電体磁器及び誘電体共振器 | |
JP3011123B2 (ja) | 誘電体セラミック組成物 | |
JP2768455B2 (ja) | 誘電体磁器及び誘電体共振器 | |
US5561090A (en) | Dielectric ceramic composition for high frequencies and method for preparation of the same | |
KR20230095706A (ko) | 고주파 소자용 유전체 세라믹스 조성물 및 이의 제조방법 | |
EP0625491B1 (en) | Dielectric ceramic composition for use in high frequency | |
JP3214308B2 (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JPH0729415A (ja) | 誘電体磁器及びアンテナ共用器 | |
KR0134532B1 (ko) | 고주파용 유전체 자기조성물 및 그 제조방법 | |
JP4494756B2 (ja) | 誘電体磁器組成物及びそれを用いた誘電体共振器 | |
KR20040078525A (ko) | 고주파용 유전체 세라믹 조성물 | |
JPH04104949A (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JP3239707B2 (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JP3460234B2 (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JPH05298922A (ja) | マイクロ波用誘電体セラミックス | |
JPH092871A (ja) | 誘電体磁器及び誘電体共振器 | |
JPH01128309A (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JP3239708B2 (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
KR19990016913A (ko) | CaTiO₃ - Ca(Al1/2Nb1/2)O₃계 고주파 유전체 세라믹 조성물 | |
JPH08337474A (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JPH09221362A (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JPH0877828A (ja) | 誘電体磁器組成物及びその製造方法 | |
JPH0334163B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |