JP2743311B2 - 組立建造物ユニットの結合構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家屋，事務所，仮設建
築物その他の建造物において予め組立てた建造物ユニッ
トを積層して所望の大きさの建造物を形成する際にあっ
て、その積層した建造物ユニットどうしを結合する構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の組立家屋は、家屋ユニットを積層
してこれを結合する場合、下部にある家屋ユニットの上
面部（天井部）と、上部にある家屋ユニットの底部にボ
ルト通し用の孔を形成し、この孔にボルトを通しこれを
ナットで締めることによって結合している。

【０００３】

【発明の解決課題】このように組立家屋ユニットを積層
して家屋を形成する場合は、上部の家屋ユニットをクレ
−ンで吊り下部の家屋ユニット上に重ねるようにする
が、その際に上記ボルト通し用の孔の位置が側面より見
えない状態であるので位置合わせが大変むずかしく、時
には何度も位置合わせをやり直さなければならないこと
があった。又上下の家屋ユニット間に地震などにより横
方向の荷重が作用した場合は、ボルトにのみ剪断応力が
集中することとなり破損するおそれがあった。

【０００４】本発明は、これら従来の欠点を解消し、積
層する建造物ユニット間の位置合わせを簡便かつ迅速に
しかも確実に行えるようにすると共に、丈夫であって安
定であり、かつ経済的で能率よく結合できるものを提供
しょうとするものである。

【０００５】

【課題の解決手段】本発明は、積層する建造物ユニット
間に互いに接合する傾斜部を有する結合体を設け、上部
に位置する建造物ユニットが少くも一方向へ移動しない
ように結合体の傾斜部が相反する向きになっており、そ
の接合する結合体どうしを固定手段で結合している。上
記結合体にはその傾斜部に接続する水平部を有するもの
を用いることができ、又上記固定手段としてボルト・ナ
ットを用い、該ボルトを通すための筒状部を上記結合体
に設けることができる。

【０００６】

【実施例】図示のものは、組立家屋ユニット（１）を積
層しそのユニット間を結合体（２）で結合する場合であ
る。結合体（２）は、上部に位置する組立家屋ユニット
の底面（３）と、下部に位置する組立家屋ユニットの上
面（４）の縁部（５）にそれぞれ対をなして適当な間隔
で設けられる。

【０００７】結合体（２）は、基板（６）と、これに溶
接等して固定されるもので筒状（図示のものでは角筒
状）のものを斜めに切ったような状態の枠部（７）と、
該枠部の斜状表面に設けられ傾斜部（８）と水平部
（９）を有する支持片(10)を備えている。

【０００８】上記枠部（７）は、角筒状の資材より切り
出して形成したり、板材どうしを溶接等で枠状に接合し
て形成したりすることができるが、その上部及び下部に
は切欠き部(11)が形成され、これに上記支持片(10)の水
平部（９）を係合して支持すると共にこの部分を溶接等
して固定している。図に示すものでは、上下の水平部
（９）の長さが相違している（下の水平部がやゝ長くな
っている）が、この部分を同じ長さに形成すると、積層
される組立家屋ユニット（１）の底面（３）及び上面
（４）に設ける結合体（２）を同一形状のものとするこ
とができる。

【０００９】上記枠部（７）の内面には、適宜裏当・補
強材(12)が溶接等して設けられる。

【００１０】積層する組立家屋ユニット（１）の底面及
び上面に設けられる上下の結合体（２）は、図示のもの
ではボルト(13)とナット(14)で結合しているが、設計に
応じて溶接やその他の固定手段を設けるようにしてもよ
い。上記ボルト(13)は、枠部（７）に形成したボルト通
し用の孔(15)と、該孔に対応し、上下の結合体（２）内
に溶接等によって固定した筒状部(16)に通される。

【００１１】上記結合体（２）は、例えば図１（概略
図）に示すように下部の組立家屋ユニットの上面（４）
の長手方向縁部（５）に、その両側の縁部において傾斜
部（８）の斜面が互いに内方を向くように配置し、又上
部の組立家屋ユニットの底面においては下部の組立家屋
ユニットの結合体（２）に対応してその傾斜部どうしが
互いに接合するようにその両側の縁部において傾斜部
（８）の斜面が互いに外方を向くように配置している。
なお、上記結合体を設ける位置や位置関係（上記ユニッ
トの底面と上面にある結合体の位置を逆にする等）ある
いは結合体の数は、上記組立家屋ユニットの大きさ，強
度等に応じて適宜のものとすることができる。

【００１２】上記結合体（２）はその基板（６）を介し
て上記組立家屋ユニットの底面（３）や上面（４）に溶
接等して取り付けたり、その基板を用いずに枠部（７）
を直接上記組立家屋ユニットの底面（３）や上面（４）
に溶接等して取り付けたりする。

【００１３】上部の組立家屋ユニットは、通常クレ−ン
を用いて吊り下げられ、下部の組立家屋ユニット上に載
せて積層する。その際に上記上部の組立家屋ユニット底
面の結合体（２）と下部の組立家屋ユニット上面の結合
体（２）の傾斜部（８）どうしを接合させる。図１に示
すものでは、上記のように結合体の傾斜部（８）は一方
向に傾斜するように配置されているので、上部の組立家
屋ユニットの一方向（長手方向に直交する方向）への移
動が阻止されその位置に位置決めされる。この場合、上
部の組立家屋ユニットはその長手方向への移動が可能に
なっており、このユニットを移動させて上下の結合体
（２）のボルト通し用の孔(15)を一致させる。

【００１４】一致させた状態でその孔(15)にボルト(13)
を通し、これをナット(14)で締着して両ユニットを結合
する。締着後、上下の結合体（２）の側面に受片(17)を
当て、該受片を上記結合体内に溶着等して固着したナッ
ト(18)に受片用ボルト通し孔(19)より挿入したボルト(2
0)を係合して固定する。なお、該受片は強度上十分であ
ったりした場合に設けないことがある。

【００１５】図７及び図８に示すものは、結合体（２）
の傾斜部（８）の傾斜の向きを図示のように変えて、上
部の組立家屋ユニットの移動を長手方向及びその直交方
向いずれの方向にも阻止するようにした場合である。こ
のように、結合体の傾斜部の傾斜部を適当な方向に向け
ることによって上記ユニットの移動を制限しその位置に
位置決めすることができる。

【００１６】

【発明の効果】本発明は上記のように結合体に傾斜部を
設け該傾斜部どうしを接合して結合するようにしたもの
であるから、傾斜部の傾斜の向きによって少くも一方向
において積層される組立建造物の移動が阻止され、その
位置決めを簡便に、かつ迅速に行うことができると共
に、安定にして所定の位置に固定することができ、しか
も構造が簡単で経済的である。又その結合体は組立建造
物の底面及び上面の縁部にあるから、側方より結合体を
ボルト・ナット等で締着する際に作業がし易く、また固
定手段としてボルト・ナットを用いた場合、結合体に傾
斜部が設けられているから、ボルトに対し軸方向に斜状
に剪断が作用し剪断応力の作用面積が増大するので丈夫
である。更に結合体の傾斜部の上下端部に水平部を設け
ると、上部の組立建造物ユニットの荷重が傾斜部と水平
部で受けられるので、一層安定でありかつ耐久性があ
る。又、結合体にボルト通し用の筒状部を形成すると、
ボルトが通し易いと共に丈夫である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す概略斜面図である。

【図２】結合体の結合状態を示す斜面図である。

【図３】結合体の結合状態を一部切欠いて示す正面図で
ある。

【図４】結合体の結合状態を示す断面図である。

【図５】結合体の平面図である。

【図６】結合体の側面図である。

【図７】他の例を一部切欠いて示す斜面図である。

【図８】更に他の例を一部切欠いて示す斜面図である。

【符号の説明】

１ 組立家屋ユニット ２ 結合体 ３ 底面 ４ 上面 ５ 縁部 ８ 傾斜部 ９ 水平部 13 ボルト 14 ナット 16 筒状部

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 積層する組立建造物ユニットの対向する
   底面と上面の縁部に、接合される傾斜部を備えた結合体
   を設け、該結合体は上記組立建造物ユニットの積層する
   面において少くも一方向への移動が阻止されるよう上記
   組立建造物ユニットの底面と上面の対向する結合体の傾
   斜部が相反する向きとなる位置関係に設置され、その接
   合する結合体どうしを固定手段で結合した組立建造物ユ
   ニットの結合構造。
2. 【請求項２】 上記結合体の傾斜部の上下端部に水平部
   を設けた請求項１記載の組立建造物ユニットの結合構
   造。
3. 【請求項３】 上記結合体に筒状部を形成し、該筒状部
   にボルトを通しこれをナットで締着する固定手段を備え
   た請求項１または２記載の組立建造物ユニットの結合構
   造。