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JP2671572B2 - 光学活性1―(p―クロルフェニル)―1―(2―ピリジル)―3―ジメチルアミノプロパンの製造方法 - Google Patents

光学活性1―(p―クロルフェニル)―1―(2―ピリジル)―3―ジメチルアミノプロパンの製造方法

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JP2671572B2
JP2671572B2 JP18645890A JP18645890A JP2671572B2 JP 2671572 B2 JP2671572 B2 JP 2671572B2 JP 18645890 A JP18645890 A JP 18645890A JP 18645890 A JP18645890 A JP 18645890A JP 2671572 B2 JP2671572 B2 JP 2671572B2
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chlorpheniramine
benzenesulfonyl
salt
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則子 伊藤
治代 佐藤
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Toray Industries Inc
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はdl−1−(p−クロルフェニル)−1−(2
−ピリジル)−3−ジメチルアミノプロパン(以下、1
−(p−クロルフェニル)−1−(2−ピリジル)−3
−ジメチルアミノプロパンをクロルフェニラミンと称す
る)と光学分割法により光学活性クロルフェニラミンを
製造する方法に関する。d−クロルフェニラミンは優れ
た抗ヒスタミン作用を有し、現在、医薬品として多量に
使用されている。
<従来の技術> 従来知られているdl−クロルフェニラミンの光学分割
法としては、dl−フェニルコハク酸をブルシンやキニー
ネなどの光学活性の天然塩基を用いて光学分割し、得ら
れたd−フェニルコハク酸を用いてdl−クロルフェニラ
ミンの光学分割を行う方法(米国特許第3030371号明細
書)およびN−トシル−D−アスパラギン酸を用いてdl
−クロルフェニラミンの光学分割を行う方法(特開昭48
−36177号公報)などがある。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、従来知られている前者の方法は、光学
分割剤自体を光学分割しなくてはならないという点で工
業的に有利な方法とは言い難い。また後者の方法は20℃
にて3日間放置して塩を結晶化させなくてはならない点
でやはり実用性に乏しい。
<課題を解決するための手段> そこで本発明者らは、dl−クロルフェニラミンを工業
的に実用化可能な方法で分割することを目的として鋭意
検討した。その結果、この目的は一般式(I) (式中、nは0または1を意味する) で示される光学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体
を分割剤として用いて光学分割することにより達成され
ることが判った。
すなわち、本発明はdl−クロルフェニラミンを、一般
式(I) (式中、nは0または1を意味する) で示される光学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体
を分割剤として用いて光学分割することを特徴とする光
学活性クロルフェニラミンの製造方法である。
以下、本発明の構成を詳しく説明する。
本発明で用いる分割剤は、前記式(I)で示される光
学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体であり、その
D体およびL体のいずれも用いることができる。
本発明で分割剤として用いる前記式(I)で示される
光学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体は光学活性
フェニルアラニンまたは光学活性フェニルグリシンのベ
ンゼンスルホニル化物である。
光学活性フェニルアラニンおよび光学活性フェニルグ
リシンは、現在、医薬品、甘味料などの原料として広く
使われており、安価に入手することができる。また、光
学活性アミノ酸のベンゼンスルホニル化物は、たとえ
ば、pHを10にコントロールした光学活性アミノ酸の水溶
液に、溶媒に溶かしたベンゼンスルホニルクロライドを
ゆっくり添加していく方法により非常に高収率で得られ
る。もちろん、これ以外の方法で製造したものであって
も何ら問題ない。また、この光学活性アミノ酸ベンゼン
スルホニル誘導体は非常に安定した化合物であり、分
割、回収の際に分解したりラセミ化することもない。す
なわち本発明で用いる分割剤は、安価に工業的に入手可
能な化合物である。
本発明において、原料として用いられるdl−クロルフ
ェニラミンは、d−クロルフェニラミンとl−クロルフ
ェニラミンとを等量含むラセミ型混合物だけでなく、い
ずれか一方の光学異性体を等量以上に含む混合物をも包
含する。
dl−クロルフェニラミンの光学分割は、次の手順と条
件で行う。
まず溶媒中で、dl−クロルフェニラミン1モルに対し
て0.5〜3.0モル、好ましくは1.0〜2.5モルの光学活性ア
ミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体を接触させてジアステ
レオマー塩をつくる。この時、塩酸、硫酸、りん酸など
の鉱酸あるいは酢酸などの有機酸を0.1〜1.5モル、好ま
しくは0.7〜1.3モル共存させてもよい。
ここで使用する溶媒としては、dl−クロルフェニラミ
ンと光学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体を溶解
するとともに、溶液中でこれらの化合物を化学的に変質
せしめることなく、かつジアステレオマー塩を析出せし
めるものであればよい。たとえば、エタノール、メタノ
ールなどのアルコール類や、酢酸メチル、酢酸エチルな
どのエステル類、メチルエチルケトン、アセトンなどの
ケトン類などが使用できる。また、これらの溶媒は単独
でも、また混合溶媒として使用することもできる。さら
に、これらの溶媒は水との混合溶媒として使用すること
もできる。
dl−クロルフェニラミンに光学活性アミノ酸ベンゼン
スルホニル誘導体を接触させる方法としては、前記溶媒
中にdl−クロルフェニラミンを一挙に加えてもよいし、
順次加えてもよい。さらに、あらかじめdl−クロルフェ
ニラミンと分散剤とからつくった塩を形成したのち、該
溶媒中に溶解させてもよい。
次に、かくして得られたジアステレオマー塩を含む溶
液を冷却および/あるいは濃縮する。すると、難溶性の
ジアステレオマー塩が溶液から晶析してくる。
難溶性のジアステレオマー塩を溶液から析出させる際
の温度は使用する溶媒の凝固点から沸点の範囲であれば
よく、目的に応じて適宜決められるが、通常は0℃から
100℃の範囲で十分である。
難溶性のジアステレオマー塩の結晶は、濾過、遠心分
離などの通常の固液分離法によって容易に分離すること
ができる。
一方、難溶性のジアステレオマー塩を分離した残りの
母液を冷却および/あるいは濃縮し、易溶性のジアステ
レオマー塩を析出せしめたのちこれを分離することもで
きる。
かくして得られる各ジアステレオマー塩を適当な方法
で分解することによって、d−クロルフェニラミンまた
はl−クロルフェニラミンと分割剤を分離・採取するこ
とができる。
ジアステレオマー塩の分解方法は任意であり、たとえ
ば水性溶媒中、酸またはアルカリで処理する方法などが
適用できる。たとえばジアステレオマー塩を水中に溶解
または分散させた中に硫酸や塩酸などの鉱酸を添加する
と水に難溶性の光学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘
導体が析出し、d−クロルフェニラミンまたはl−クロ
ルフェニラミンの鉱酸塩が水中に溶解する。通常の手段
で分割剤を固液分離したのち、母液を濃縮・晶析すれば
d−クロルフェニラミンまたはl−クロルフェニラミン
鉱酸塩が得られる。さらに、得られた鉱酸塩を水酸化ナ
トリウムなどのアルカリ水溶液に加え、トルエン、クロ
ロホルムなどの有機溶媒で抽出したのち、濃縮・蒸留す
ればd−クロルフェニラミンまたはl−クロルフェニラ
ミンが得られる。
本発明で分割剤として用いる光学活性アミノ酸ベンゼ
ンスルホニル誘導体は水に難溶性であり、ジアステレオ
マー塩溶液から高収率で回収することができ、しかも回
収の過程で分解、ラセミ化することはない。
つまりこの分割剤は光学活性が保持されているので再
使用して光学分割を行うことができる。
<実施例> 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中クロルフェニラミンの光学純度(%e
e)は、以下の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)により分析を行った。
カラム:CHIRALPAK AD (ダイセル) 移動層:n−ヘキサン・イソプロパノール・ジエチルアミ
ン混液 (97.5:2.5:0.025) 流量:1.0ml/min 検出器:UV254nm 保持時間:d体−11.3min l体−13.4min 実施例1 dl−クロルフェニラミン27.4g(0.1モル)、ベンゼン
スルホニル−D−フェニルアラニン61.1g(0.2モル)お
よびエタノール300mlをフラスコに仕込み、約50℃で10
分間加熱して溶解した。これを室温まで徐冷し、さらに
室温で30分間撹拌したのち析出した結晶を別し、d−
クロルフェニラミンのベンゼンスルホニル−D−フェニ
ルアラニン塩の白色結晶26.6gを得た。
この結晶を水100ml、濃硫酸10mlの混液に懸濁し、室
温で強く撹拌すると結晶形が変化し、ベンゼンスルホニ
ル−D−フェニルアラニンの白色結晶が析出した。撹拌
を約1時間続けたのち過し、結晶を水洗して乾燥し、
17.9gのベンゼンスルホニル−D−フェニルアラニンを
得た(回収率98%)。次いで母液に水酸化ナトリウムを
加えて強塩基性にし、遊離する油をクロロホルムで抽出
し水洗したのち、濃縮、蒸留して淡黄色油状のd−クロ
ロフェニラミン7.9gを得た。用いたd−クロルフェニラ
ミン量に対して収率は57.7%、HPLCによる光学純度は92
%eeであった。
実施例2 実施例1においてエタノールを酢酸エチルに代え、他
は全く同様にして行ったところ、d−クロルフェニラミ
ンのベンゼンスルホニル−D−フェニルアラニン塩の白
色結晶8.9g(収率20.3%)を得た。HPLCによる分析の結
果、d−クロルフェニラミンの光学純度は90%eeであっ
た。
実施例3 dl−クロルフェニラミン27.4g(0.1モル)、ベンゼン
スルホニル−D−フェニルグリシン58.2g(0.2モル)お
よび20%含水メタノール400mlをフラスコに仕込み、約5
0℃で10分間加熱して溶解した。これを室温まで徐冷
し、さらに室温で30分間撹拌したのち析出した結晶を
別し、d−クロルフェニラミンのベンゼンスルホニル−
D−フェニルグリシン塩の白色結晶20.6g(収率48.1
%)を得た。HPLCによる分析の結果、d−クロルフェニ
ラミンの光学純度は93%eeであった。
<発明の効果> (1)本発明で使用する分割剤は、安価な原料から1段
階反応で高収率で得られるため、工業的に給供可能な化
合物である。
(2)本発明で使用する分割剤は、化学的に非常に安定
なため、ジアステレオマー塩溶液から極めて高収率でラ
セミ化することなく回収することができるため、分割剤
の再使用が可能である。
(3)本発明方法は、収率および光学純度においても従
来方法と何ら遜色がなく優れている。
(4)従って、本発明によれば工業的に実用化可能な光
学活性クロルフェニラミンの製造方法が提供できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】dl−1−(p−クロルフェニル)−1−
    (2−ピリジル)−3−ジメチルアミノプロパンを、一
    般式 (式中、nは0または1を意味する) で示される光学活性アミノ酸ベンゼンスルホニル誘導体
    を分割剤として用いて光学分割することを特徴とする光
    学活性1−(p−クロルフェニル)−1−(2−ピリジ
    ル)−3−ジメチルアミノプロパンの製造方法。
JP18645890A 1990-07-13 1990-07-13 光学活性1―(p―クロルフェニル)―1―(2―ピリジル)―3―ジメチルアミノプロパンの製造方法 Expired - Fee Related JP2671572B2 (ja)

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