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JP2006297322A - 塗膜形成方法、塗料、離型材及びゴム材 - Google Patents

塗膜形成方法、塗料、離型材及びゴム材 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂を含む塗膜の耐久性の向上
【解決手段】 ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む塗料20をゴム材の表面に塗布することによりゴム材10の表面に塗膜形成を行う、という構成を採っている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴムを対象とする塗膜形成方法、塗料及び離型材とゴム材とに関する。
従来、タイヤ等の製造工程においてゴムの成型加硫を行う方法としては、ゴム製袋状のブラダーを成型加硫前の材料ゴムの内側に挿入し、ブラダーの内部に水蒸気などの高温高圧の気体を供給することにより、材料ゴムを金型の方に押し付けて加熱と加圧とにより行うことが一般的である。
そして、上記ゴムの成型加硫工程に用いられるブラダーの表面には、成型加硫が行われる材料ゴムとの付着を生じないように、予め、シリコーンゴム、遷移元素金属粉末及びハロゲン化炭化水素油からなる溶剤を含む離型剤等の皮膜形成を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−20029号公報
上記従来例は、遷移元素金属粉を配合した塗膜を形成することにより、ブラダーのシリコーン皮膜の劣化を早める原因となる硫黄や硫黄化合物を効率よく捕捉して、離型剤の塗膜の劣化を抑制し、塗膜の耐久性を向上させるものである。
しかしながら、ブラダーを構成するゴムの表面を覆うように塗膜を形成する方法であるため、ブラダーの伸縮により剥離や外的要因であるこすれ等の原因に対して十分な耐久性を発揮できないものであった。
本発明は、さらなる塗膜の耐久性の向上を図ることをその目的とする。
請求項1記載の発明は、ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む塗料をゴム材の表面に塗布することによりゴム材表面に塗膜形成を行う、という構成を採っている。
請求項2記載の発明は、ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む塗料にゴム材を浸漬することによりゴム材表面に塗膜形成を行う、という構成を採っている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、樹脂としてゴムの表面に離型性を持たせるものを使用する、という構成を採っている。
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、塗料にゴムの表面に摺動性を持たせるフィラーを混合する、という構成を採っている。
請求項5記載の発明は、塗料であって、ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む、という構成を採っている。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明と同様の構成を備えると共に、さらにゴムの表面に摺動性を持たせるフィラーを加えた、という構成を採っている。
請求項7記載の発明は、離型時であって、ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む、という構成を採っている。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明と同様の構成を備えると共に、さらにゴムの表面に摺動性を持たせるフィラーを加えた、という構成を採っている。
請求項9記載の発明は、ゴム材であって、請求項1から4項の内のいずれか一項に記載の塗膜形成方法により塗膜形成が行われた、という構成を採っている。
上記各発明は、溶剤によりゴムの表面を膨潤させるので、分子間に当該溶剤の成分が侵入し、これに伴って樹脂をゴムの表面から内部に浸透させることができる。従って、単にゴムの表面に樹脂が付着する場合と比較して、ゴムの変形や伸縮、表面の摺動等に対して高い耐久性を発揮して容易に剥離しない。このため、塗膜の耐久性を高めると共に、ゴムの繰り返される使用に対しても、塗膜の形成処理の頻度を低減し、処理の高効率化を図ることが可能となる。
さらに、樹脂が離型性を有する場合には、ゴム材表面に離型性を持たせる塗膜形成が可能である。
さらに、表面に摺動性を持たせるフィラーを加えた場合には、ゴム材の表面の滑り性を向上し、これによる摺動に対する塗膜の耐久性を高めることが可能である。
本発明の実施の形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
本実施形態では、タイヤの加硫成型に用いられるブラダーを形成するゴム材に塗膜形成処理を行う場合を例にして説明する。
ブラダーは袋状に形成され、タイヤの加硫成型において、金型内に保持した未加硫ゴムからなるタイヤの内側に装填されると共に、その内部に高温高圧の飽和蒸気や温水等が充填されて膨張し、タイヤを金型の内面に加圧することで加硫成形を行う。上記ブラダーを形成するゴム材としてはブチルゴムが使用される。
そして、ブラダーは、高温高圧下でタイヤに圧接されるので、加硫成型処理後にタイヤとブラダー表面との間で圧着を生じないように、タイヤ側となる表面に離型作用を有する塗膜形成を行う必要がある。
このような場合に用いる塗膜形成処理について図1に基づいて説明する。図1は本実施形態たるゴムの表面に対する塗膜形成方法の説明図である。
まず、図1(A)に示すように、塗膜形成のための塗料20をブラダー10のタイヤとの圧接面に塗布する。かかる塗布は室温下(摂氏20度程度)で行うことが好ましいが、当該温度に限定されるものではない。
この塗料20は、ブラダー10であるゴムの表面を膨潤させる作用を有する溶剤と、ブラダー10であるゴムの表面に離型性を持たせる樹脂と、ブラダー10であるゴムの表面に摺動の円滑性を持たせるフィラーを混合した離型剤である。
ブラダー10の表面に塗料を塗布する方法には特に制限はなく、例えば、ブラダー10の表面をブラッシングしたのち、塗料20を刷毛塗り、スプレー塗布などによりブラダー表面に塗布する。或いは、上記塗料20を満たした容器内に直接ブラダー10を浸漬させても良い。
図2はブチルゴムを各種溶剤に3.5時間浸漬した場合のゴムの重量変化率(膨潤率)を示す図表である。本塗膜形成処理では、より高い膨潤率を示すものを使用することが望ましい。図2によれば、キシレンを溶剤として使用する場合に、最も高い膨潤率を示したことから、塗料20では、混合する溶剤してキシレンを採用した。なお、キシレンに替えて当該キシレンに次いで高い膨潤率を示したDIBK(ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノンを溶剤として混合させても良い。
塗料20に含ませる離型性を有する樹脂としてはアクリルシリコーン樹脂が挙げられる。
また、その他の塗料20に含ませる離型性物質としては、水系又は溶剤系の離型剤、例えば、有機珪素化合物との反応により疎水化された無機珪酸塩が分散されている水性ジオルガノポリシロキサン乳濁液、ジアルキルポリシロキサンとポリアルキレングリコールとの共重合体及び雲母又はタルクからなる粉末離型剤組成物、アミノアルキル基変性オルガノポリシロキサンと界面活性剤を含有する炭酸ガスにより自己架橋する潤滑剤組成物、オルガノポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリカ及び金属の有機酸塩を含有するシリコーン組成物が挙げられる。
さらに、他の離型性物質としては、一般式[1]で示され、摂氏25度における複素粘性率が1×103〜1×107センチポイズであるポリシロキサン((A)成分とする)と、アミノアルキル基を有するオルガノシロキサン((B)成分とする)と、エポキシ基を有するオルガノシロキサン((C)成分とする)とを含有し、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量の合計が1〜90重量%であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の重量比が、10〜90重量%/0.5〜40重量%/1〜50重量%の組成物からなる離型剤が挙げられる。
なお、(B)成分として用いるアミノアルキル基を有するオルガノシロキサンには特に制限はないが、例えば、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランやγ−(N−β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの加水分解縮合物などのアミノ基を有するジアルコキシシランの加水分解縮合物、γ−(N−β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランとジメチルジメトキシシランの共加水分解縮合物などのアミノ基を有するジアルコキシシランとアミノ基を有しないジアルコキシシランの共加水分解縮合物などを挙げることができる。
また、(C)成分として用いるエポキシ基を有するオルガノシロキサンには特に制限はいが、例えば、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランの加水分解縮合物などのエポキシ基を有するジアルコキシシランの加水分解縮合物、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランとジメチルジメトキシシランとの共加水分解縮合物などのエポキシ基を有するジアルコキシシランとエポキシ基を有しないジアルコキシシランの共加水分解縮合物などを挙げることができる。
さらに、上記組成物には、必要に応じて有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物などの触媒を添加することができる。このような触媒としては、例えば、ラウリン酸亜鉛、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、テトラプロピルチタネート及びその部分加水分解物、ビスジプロポキシチタン、ビス(アセチルアセトネート)チタンオキシド、チタンラクテート、アンモニウムチタンラクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテートなどを挙げることができる。
さらに、上記組成物には、無機粉体又は有機粉体を配合することができる。使用する無機粉体としては、例えば、マイカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、グラファイト、カーボンブラック、弗化カーボン粉体、酸化チタン、ボロンナイトライドなどを挙げることができる。また、使用する有機粉体としては、例えば、テフロンパウダーなどのフッ素樹脂パウダー、微粒子シリコーン樹脂パウダー、ナイロンパウダー、ポリスチレンパウダー、パラフィンワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸石鹸、脂肪酸アミン塩などを挙げることができる。これらの有機粉体及び無機粉体は、1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
フィラーとしてはRBC(Rice Bran Ceramic)が挙げられる。また、RBC以外にも、ゴム表面において摺動性あるいは耐摩耗性を奏する他の物質、例えば、タルク、黒鉛、炭素繊維、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、マイカ、雲母、珪酸アルミニウム等をフィラーとして塗料に付加しても良い。
ブラダー10を構成するゴム材の表面に上記塗料20が塗布されると、図1(B)に示すように、キシレンの作用によりゴムの表面が膨潤し、ゴムの分子間に溶剤であるキシレンが侵入する。そして、ゴムの分子間へのキシレンの侵入に伴い、離型剤としてのアクリルシリコーン樹脂がゴムの表面からより内部に浸透することとなる。また、フィラーであるRBCもゴムの表面から内部に浸透する。
なお、図1(B)では、ゴムの表面を鋸歯状に図示しているが、溶剤やシリコーン樹脂が侵入しやすい状態を概念的に示しているものであって、実際の形状を示すものではない。
次いで、ブラダー10の表面の乾燥を待つ。即ち、室温下(摂氏20度程度)において、30分程度溶剤を乾燥させ、塗料20を硬化させる。このとき、塗料20に含まれるキシレンは乾燥し、アクリルシリコーン樹脂とRBCは、ゴム表面に付着するだけでなくゴム表面近くの内部に浸透した状態でゴム表面近くに残留する。
なお、塗料20に加える溶剤としては揮発性が高いものがより好ましい。
上記工程により、図1(C)に示すように、ブラダー10を構成するゴムの表面に塗膜30の形成が行われる。
かかる塗膜30は、離型作用を有するアクリルシリコーン樹脂と摺動性と耐摩耗性を有するRBCを主成分とするため、タイヤの加硫成型において、ブラダー10の表面はタイヤから容易に分離させることが可能となる。
さらに、塗膜30の主成分となるアクリルシリコーン樹脂とRBCとは、ゴム表面に付着するだけでなくゴム表面近くの内部に浸透した状態で存在するので、プラダーの変形や伸縮、表面の摺動等に対して高い耐久性を発揮して容易に剥離しない。従って、一回の塗膜30の形成処理により、プラダー10をタイヤの加硫成型に繰り返し使用することが可能となる。
さらに、塗膜30にはRBCが加えられているので、その表面の滑り性を向上し、これによる摺動に対する塗膜の耐久性を高めることも可能である。
(参考例)
図3は、図1に示した工程と同じ工程により、ブチルゴムの表面に上述したものと同じ塗料を塗布して塗膜の形成を行った場合のゴム表面付近の断面写真と、当該写真のゴム表面の深度方向における各位置における電子線照射によって出るSiの特性X線の線分析から求めたシリコーン樹脂の含有濃度の線図(Siと表記)とを重ねて表示した説明図である。上記線図において、縦軸はシリコーン樹脂の含有濃度、横軸はゴムの深度方向を示す。なお、写真では、ゴムの表面が略垂直方向に向けられており、ゴムの表面に向かってブラダーを押さえるための埋め込み樹脂を押し当てた状態で撮影が行われたものである。
図示のように、ゴムの表面側(図示のゴムの界面から左側)では厚さおよそ20[μm]の範囲でシリコーン樹脂の高い含有濃度が示されている。つまり、厚さおよそ20[μm]の範囲でシリコーン樹脂の層が形成されている。
さらに、表面よりも内側(図示のゴムの界面から右側)では厚さおよそ10[μm]の範囲に渡って徐々に含有濃度が低下する勾配が描かれている。つまり、ゴムの表面から深さおよそ10[μm]までの範囲にシリコーン樹脂が浸透していることが分かる。
(参考試験)
ゴムを膨潤させる成分を含まない塗料を塗布して表面に塗膜を厚さ約20[μm]で形成したブチルゴムからなるブラダー(試料1とする)と、前述した塗料20を使用して前述と同じ工程で表面に塗膜30を厚さ約20[μm]で形成したブチルゴムからなるブラダー(試料2とする)とで、それぞれを用いて、未加硫のタイヤの材料ゴムに対して20[kgf/cm2](1.96×106[Pa])の圧力で加圧すると共に摂氏170[℃]で10分間加熱して加硫を行った。
その結果、試料1については1回の試験までは離型性を示したが、2回目の試験までは離型性を維持することはできなかった。一方、試料2については70回の試験まで離型性を維持することが可能であった。
(その他)
本実施形態では、タイヤの加硫成型に用いるブラダーを対象とする塗膜形成を例示したが、塗膜形成の対象はブラダーに限らず、離型作用を必要とするゴム成型品のいずれに適用しても良い。
また、本実施形態では、一般にブラダーに使用されるブチルゴムを塗膜形成の対象としたが、特にこれに限定するものではなく、膨潤を生じるあらゆるゴムを対象としても良い。例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、水酸化ニトリルゴム等に対して塗膜形成を行っても良い。
また、上記実施形態としては、樹脂としてアクリルシリコーン樹脂を採用したが他の樹脂であっても良い。
また、離型性を有する塗料を例示したが、塗料の用途はこれに限定されるものではない。つまり、塗料に含ませる樹脂の特性に応じた塗料による塗膜形成においても、膨潤溶剤を用いる上記手法を適用しても良いことが言うまでもない。その場合にあっては、当然ながら、塗膜形成の対象はブラダーに限らず、塗料の用地に応じたあらゆるゴム製品の塗膜形成に適用しても良い。
本発明の実施形態たるゴムの表面に対する塗膜形成方法の説明図であって、図1(A)は塗料塗布工程を示し、図1(B)は膨潤工程を示し、図1(C)は乾燥工程を示す。 ブチルゴムを各種溶剤に3.5時間浸漬した場合のゴムの重量変化率を示す図表である。 図1に示した工程と同じ工程により、ブチルゴムの表面に上述したものと同じ塗料を塗布して塗膜の形成を行った場合のゴム表面付近の断面写真と、当該写真のゴム表面の深度方向における各位置における電子線照射によって出るSiの特性X線の線分析から求めたシリコーン樹脂の含有濃度の線図とを重ねて表示した説明図である。
符号の説明
10 ブラダー
20 塗料
30 塗膜

Claims (9)

  1. ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む塗料をゴム材の表面に塗布することにより前記ゴム材表面に塗膜形成を行うことを特徴とする塗膜形成方法。
  2. ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含む塗料にゴム材を浸漬することにより前記ゴム材表面に塗膜形成を行うことを特徴とする塗膜形成方法。
  3. 前記樹脂はゴムの表面に離型性を持たせるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の塗膜形成方法。
  4. 前記塗料に前記ゴムの表面に摺動性を持たせるフィラーを混合することを特徴とする請求項1,2又は3記載の塗膜形成方法。
  5. ゴムを膨潤させる溶剤と樹脂とを含むことを特徴とする塗料。
  6. 前記溶剤と樹脂とにゴムの表面に摺動性を持たせるフィラーを加えたことを特徴とする請求項5記載の塗料。
  7. ゴムを膨潤させる溶剤とゴムの表面に離型性を持たせる樹脂とを含むことを特徴とする離型剤。
  8. 前記溶剤と樹脂とにゴムの表面に摺動性を持たせるフィラーを加えたことを特徴とする請求項7記載の離型剤。
  9. 請求項1から4項の内のいずれか一項に記載の塗膜形成方法により塗膜形成が行われたことを特徴とするゴム材。
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