JP2517756Y2 - ヒンジ蓋つき容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、洗剤、塩、砂糖などの主として粉体、顆粒
状物体を収容する粉もれのしない密封容器に関し、特に
容器ボデイの開口部に被せてこれを再封可能に封止する
ヒンジ蓋つき容器に係わる。

［従来技術とその問題点］ 従来より、粉体を収容する容器は数多く提案されてい
るが、このような容器は、通例、その上面開口部にシー
ル用の蓋体を取付けて粉もれしないように封止してい
る。このようなシール用の蓋体は、容器ボデイに対して
ヒンジ構造の連結部を介して一体にしたものが喜ばれ、
近時多く用いられるようになってきた。ヒンジの構造と
しては、従来よりポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹
脂等のプラスチック材料からなるラインヒンジ（線ヒン
ジ）タイプのものが採用されている。このラインヒンジ
は第11図に示すように容器と蓋の連結部21をｖカット状
に成形して薄肉可撓化したものである。このものは構造
簡単であるが、ヒンジ中央部の折曲げ点から鋭角に折り
曲げられるため、蓋開閉時の曲げ応力が折り曲げ点に集
中することになるのでこの部分が屈曲疲労により破断し
やすかった。またこのラインヒンジは最初の開閉操作時
には抵抗がありスムーズな折り曲げができがたい。その
ため、折り曲げ点には予め折り癖をつける作業が必要で
あり、これをしない場合外力を取り去ると蓋がひとりで
に閉じてしまうという欠点があった。

ところでこの種のヒンジ構造の蓋体は、容器ボデイと
のぶつかりを少なくしてスムーズな開閉ができるように
することが望まれている。そのためには容器ボデイと蓋
との間に若干の遊びを設定すれば開閉操作性を高めるこ
とができるが、その場合には一般に高密封性を保持させ
難かった。そのため蓋と本体との間に別途に密封用のシ
ール帯を貼設する必要がある。蓋と容器ボデイとを嵌合
方式で組み合わせる構造にして、蓋そのものを容器ボデ
イの開口部内側に落とし込んで緊密に密閉する構造とす
れば密封性が高まり、開口部からの粉もれをなくすこと
が可能である。しかしその反面、蓋の開け閉めがしにく
くなって容器を容易に開封することができないという難
点がある。

［考案の目的］ ここにおいて本考案は、前記した容器開口部内側に密
嵌するヒンジ機能を備えた蓋の欠点を改善し、容器の開
封時あるいは再封時にこのヒンジ蓋をスムーズに開け閉
めすることができるようにすると同時に、この蓋を閉じ
たときは、粉もれを生じないよう高度の密封性を発揮さ
せることのできる新規なヒンジ蓋付き容器を提案せんと
するものである。

また本考案は前記ヒンジ部分の強度を補強し、成型時
のヒケによって生ずる応力の集中とか屈曲疲労による破
断を防止できるヒンジ構造を具えた蓋を提案することを
目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するため、本考案が提案するヒンジ
蓋つき容器は、容器ボデイ頂部の開口を覆ってその側壁
内側に押し込むことができる大きさに形成された封鎖部
材を具え、この封鎖部材の全周に容器ボデイの頂部開口
縁に嵌込むことができる溝を有したリムを一体に設け、
該リムの外周にスカート部を下方に向かって延設し、そ
のスカート部の後部には前記リムの溝底よりも下位で、
ボデイ開口縁の肉厚とほぼ等しいかそれよりも小なる距
離離れた位置にヒンジ中心がある上下方向に折り曲げ可
能な薄肉平坦部を有する面ヒンジを形成すると共に、前
記面ヒンジは、後面に凹所を形成した上で、薄肉平坦部
を設けると共にその薄肉平坦にはヒンジの折り曲げ方向
と直交する方向に補強リブを設けたことを特徴とするも
のである。この面ヒンジに設ける補強リブは、薄肉平坦
部の巾方向両端部に設けるのがよい。

［実施例］ 以下図面に示す位置実施例を参照して、本考案を具体
的に説明する。

第１図は本考案のヒンジ蓋付き容器のボデイとヒンジ
蓋の分解斜視図、第２図は上記のヒンジ蓋で閉じた容器
を示す側面図、第３図は蓋の一部を切取り、容器を開封
した状態を示す斜視図、第４図は第２図の一部拡大縦断
面図、第５図はイージーピール用バンドとその引起し用
タブの平面図、第６図は同上横断面図である。

図において符号１は、例えばポリプロピレン樹脂の如
き熱可塑性樹脂と紙との複合材料を用いて成形した容器
ボデイを示すもので、その頂部開口２は一例として長方
形に形成されているが図示のような長方形に限らず、正
方形その他の形状のものが存在する。符号2aは前記開口
の外周面に水平方向に突出するように形成されているリ
ブであり、このリブは開口２の全周に連続的に１個設け
てもよく、あるいは第１図に示すように断続的に２個以
上設けることもある。

符号３は容器ボデイの開口面にかぶせるヒンジ構造を
備える蓋であって、前記と同じく熱可塑性樹脂の成形品
で構成させるが、好ましくはポリエチレン樹脂を用いる
のを可とする。蓋３は前記本体の開口２の形状に対応さ
せて、前記開口を覆うことができる大きさに形成される
封鎖部材４と、この封鎖部材の全周に一体に設けるリム
５と、このリムの外周に下方に向かって延設されるスカ
ート部６とを備えている。

封鎖部材４の平面形状は、前記本体の頂部開口２に合
わせ、一例として長方形に形成する。ちなみに図示の封
鎖部材４は第４図に示すように断面コの字形に形成され
ている。この封鎖部材は前記本体の頂部開口２を閉塞す
る際に、開口の側壁内側に押し込み、封鎖部材の立上が
り4aに形成される突出部4bが開口２の側壁内面に当接し
密着されるように構成されている。

封鎖部材の全周に設けるリム５には、前記本体の頂部
開口縁2bにかたく嵌込むことができる溝5aを設ける。而
してリム５の外周に無端状のスカート部６を下方に向か
って延設する。スカート部の長さＨは、開口２の頂端か
ら突出リブ2aの下辺に至る高さｈよりも大となるように
設定する。そしてこのスカート部の裾部の内側に、前記
リブ2aと嵌合してこれを掛止める凹陥部6aを形成してお
く。

ところで本考案においてはスカート部６の後面側に、
前記リム５の溝底よりも下位で、ボデイ開口縁の肉厚と
ほぼ等しいかそれよりも小なる距離離れた位置にヒンジ
中心がある上下方向に折り曲げ可能なヒンジ部７を当該
スカート部に一体形成している（第５図、第７図参
照）。この点を第10図を参照して説明すると、蓋と容器
ボデイとのぶつかりを少なくしてスムーズな開閉ができ
るようにするには、第10図からも判るように、ボデイの
厚みを考慮してヒンジ中心Ｄは、ボデイ開口縁のなるべ
く上部、すなわちリムの溝底近くに設定すればよい。ヒ
ンジ中心Ｄからリム内壁迄の最小距離をＲとした場合
（この距離はボデイ開口縁の肉厚にほぼ相当する）、ヒ
ンジ中心の位置は蓋の開閉挙動時に、リム内壁とボデイ
開口縁壁とのぶつかりが少ない位置に設定すれば、蓋の
開閉時にはこの蓋はスムーズ開閉できるものである。し
かしながら容器の高密封性を保つにはリム内壁とボデイ
開口縁壁とが密接する距離ｓを大きくする必要があり、
この距離ｓが大きくなると蓋開閉時リム内壁がボデイ開
口上端に当たり抵抗を生じたり、無理に開けると蓋やボ
デイに歪みを生ずることになるものである。実際には、
蓋や容器ボデイの構成材質がプラスチックであることや
ヒンジの遊び等があるため、そのヒンジ中心の設定位置
は固定的でなく上下方向に若干の変動が許容される。こ
の様なことから本考案者は研究の結果、前記リム５の溝
底よりも下位で、ボデイ開口縁の肉厚とほぼ等しいかそ
れよりも小なる距離離れた位置にヒンジ中心を設ける
と、蓋はその開閉時ボデイとのぶつかりが少なくなり、
スムーズな開閉が可能なことを究明したものである。

ところで前記ヒンジ部分７は、従来のラインヒンジの
ように蓋開閉時の曲げ応力が一点に集中してその部分が
屈曲疲労により破断したり、また最初の開閉操作時には
抵抗を生じてスムーズな折り曲げができなくなるのを避
けるために、第４図及び第７図に拡大して示したように
後面に凹所7aを形成し、ヒンジ中心の肉厚を局部的に薄
く面状にした薄肉平坦部7bを有した面ヒンジとしてい
る。そしてこの面ヒンジ７上にはそのヒンジの折曲げ方
向と直交する方向に補強リブ7cを一体に設けることを必
須要件とする。この補強リブ7cは第９図のように薄肉平
坦部7bの巾方向両端部に対称的に設けることが可とする
が、これに限らず、例えば中央部に設ければヒンジ部の
機械的強度が増強され、ヒンジ成型時のヒケ等による変
形を防止することが可能である。

また図示実施例の容器においては、前記ヒンジ部７を
除いたスカート部６の中間部全周にイージーピールバン
ド８を設け、このイージーピールバンド８とスカート部
６との境に上下２本のスコアライン8aを刻設して区画し
ている。

ちなみに符号９で示すものは、前記イージーピールバ
ンドの始端部に形成した折り立て用タブであり、図示実
施例では（第１図、第５図参照）ヒンジ部７の一側に位
置し、またイージーピールバンドの終端部は前記ヒンジ
部７の他側に位置している。なお折り立て用タブ９の構
成については後述する。

符号10で示すものは、蓋の正面側において、前記スカ
ート部６上に区画形成した開封用摘み片であって、この
摘み片は、前記ヒンジ７と対称的な位置に突設されてい
るものであるが、前記イージーピールバンド８を区画す
るスコアラインまたはこれに対応するカットラインに沿
いに、リムと一体に形成されている。

ところで折り立て用タブ９の基部にはこれを外側に折
り曲げ引き出し易くするため、該タブの折り立て用薄肉
部11をタブ折曲げ方向に対し直角方向に形成する（第５
〜６図参照）。この薄肉部11は前記ヒンジ部７と同様に
タブ本体の肉厚より薄くした平坦薄肉部に形成するのが
よい。また、タブ先端9aは第６図に示すように厚肉部と
してスカート部６の周面より外側に突出するように形成
する。この厚肉部の高さＡは従来のものと同様２〜3mm
に設定することを可とするが、当該タブの上下に位置す
るスカート部６の肉をそぎ落としてそのそぎ落としたス
カート部分12,12の肉厚をタブ肉厚よりも薄くなるよう
にすれば、折り立て用タブ９の先端高さは相対的に大き
くなるので、該タブは一層外側につまみ出し易くなり、
開封時の作業性が向上する。折り立て用タブ９のつまみ
出しを容易にするため、該タブ９の周囲にはコの字型ス
リット13を形成してスカート部６とは予め切り離してお
くことにより、タブを外側に引き出し易くする事が最も
好ましい実施例である。

ところで、前記折り立て用タブ９と、スカート部６の
上下両部または上下両部の少なくとも一方とは、前記ス
リット12を挟みブリッジ14で一体となるように仮付けし
て補強しておく。この様にすると、前記タブは、ピール
時以外の未使用状態ではこれが内側に押されて没みこん
だり折れ曲がったりすることが防止される。

［作用］ 上記のように構成されている本考案のヒンジ蓋３を容
器ボデイ１に取付けて、粉もれしないように密封するに
際しては、包装ライン上で、収容物を本体に充填した後
容器ボデイの頂部開口２に上方より封鎖部材４をかぶせ
ると共に、その周縁に設けたリ内側の溝5aに本体の頂部
開口縁2bを嵌込む。その際、リムの外周に設けるスカー
ト部６の裾部内側に設けた凹陥部6aに本体の開口外周に
設けたリブ2aを圧入して両者を係合させ、また封鎖部材
の立上がり4aを開口の側壁内側に押し込んで開口部内面
に突出部4bを密着させる。このようにすると蓋３が本体
１に無理嵌めされて密封状態が維持され、所謂収容物の
バージン性が保証される。

一方、上記蓋３で閉じられた容器ボデイ１を開封する
には、第１図、第５図に示すようにまずスカート部６の
一部に設けたイージーピール用バンド始端の折り立て用
タブの厚肉部9aをつまんで外側に引起こす。こうすると
該タブは折り立て用薄肉部11を介して容易に指で引き起
こすことができる。そしてこのタブを強く引っ張り、ス
コアライン8aに沿って前記バンド８をスカート部６から
切除する。こうすると、蓋３の背面側に設けたヒンジ７
を除く、スカート部６のほぼ全周が切り破られることに
なる。その結果、スカート部の裾部6bは容器ボデイ１の
外周にリブ2aと凹陥部6aを介して固着された状態でリン
グ状に残り、かつ、封鎖部材４は前記リング残存部（裾
部6b）の一部とヒンジ７を介して連設される。

開封に当たって本考案のヒンジ蓋は、前記リム５の溝
底よりも下位で、ボデイ開口縁の肉厚とほぼ等しいかそ
れよりも小なる距離離れた位置にヒンジ中心を設けられ
ているから、開封用摘み片10を押し上げると、封鎖部材
４は簡単に押上げられ、この蓋はスムーズ開閉できるも
のである。なお前記ヒンジによってこの蓋は繰り返して
開け閉め可能なヒンジ蓋となるので、散逸が無く、再封
時にも開封前と同様な密封容器として使用することがで
きる。以後、蓋３を再封した時にも、スカート部６の中
間部は切除されたままになるため、容器が一度は開封さ
れたものであることが目視できることになる。

尚、本実施例は蓋３と容器ボデイ１と容器ボデイの外
周に固着されたリング6bを介して連設しているが、例え
ば、前記リングに代えヒンジ取付け用突起或いはリベッ
トをヒンジ部下端に形成し、一方これを挿入する孔をボ
デイ側に設けてこの孔に前記突起やリベット先端を挿入
してカシメ固着してもよく、またヒンジ部下端を直接ボ
デイにホットメルト接着剤等で固定することも可能であ
る。

［考案の効果］ 以上に述べたように、本考案は、容器ボデイ頂部の開
口を覆ってその側壁内側に押込むことができる大きさに
形成された封鎖部材を具え、この封鎖部材の全周に容器
ボデイの頂部開口縁に嵌込むことができる溝を有したリ
ムを一体に設け、該リムの外周にスカート部を下方に向
かって延設し、そのスカート部の後部には前記リムの溝
底よりも下位で、ボデイ開口縁の肉厚とほぼ等しいかそ
れよりも小なる距離離れた位置にヒンジ中心がある上下
方向に折り曲げ可能な薄肉平坦部を有する面ヒンジを形
成すると共に、前記面ヒンジの下端部を容器ボデイ外周
面に固定した構成であるから、容器の開封時あるいは再
封時にこのヒンジ蓋をスムーズに開け閉めすることがで
き、またこの蓋を閉じたときは、粉もれを生じないよう
高度の密封性を発揮させることのできる。またこの面ヒ
ンジは中央に上下方向に折り曲げ可能な薄肉平坦部を有
するから、最初の開閉操作時から90度以上の鈍角にスム
ーズに開くことが可能であり、そのため予め折り癖をつ
ける作業が不要であり、蓋がひとりでに戻ってしまうこ
とがない。

また本考案の面ヒンジは、後面に凹所を形成した上で
薄肉平坦部を設けると共にその薄肉平坦部にはヒンジの
折曲げ方向と直交する方向に補強リブを設けて成るから
前記ヒンジ部分の強度は補強され、成型時のヒケによっ
て生ずる応力の集中とか屈曲疲労による破断を防止でき
る効果がある。

さらにまた本考案は、上記のようなイージーピール可
能な蓋を備え、使用時には容器の開口より容易に取り外
すことができ、開封後はこれを再封することができるヒ
ンジ蓋を備えた密封容器を提供することができる等の優
れた実用上の効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヒンジ蓋並びにこれによって封鎖され
る容器ボデイの斜視図、第２図は上記のヒンジ蓋で閉じ
た容器を示す側面図、第３図は蓋の一部を切取り、容器
を開封した状態を示す斜視図、第４図は第２図の一部拡
大縦断面図、第５図はイージーピール用バンドとその引
起し用タブの平面図、第６図は同上横断面図、第７図は
第５図のVII-VII線の断面図、第８図は同じくVIII-VIII
線の断面図、第９図は面ヒンジ部分の構成を示す斜視
図、第10図は上記面ヒンジを備えた蓋と容器ボデイ開口
端との嵌合状態を示す説明図である。第11図は従来のラ
インヒンジを示す一部拡大断面図である。 1:容器ボデイ、2:頂部開口、3:蓋 4:封鎖部材、5:リム、6:スカート部 7:ヒンジ、7a:凹所、7b:薄肉平坦部 7c:補強リブ、8:イージーピール用バンド 9:折り立て用タブ、10:開封用摘み片 11:折り立て用薄肉部、12:そぎ落とし部 13:コの字型スリット、14:ブリッジ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−202651（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭36−24388（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器ボデイ頂部の開口を覆ってその側壁内
   側に押し込むことができる大きさに形成された封鎖部材
   を具え、この封鎖部材の全周に容器ボデイの頂部開口縁
   に嵌込むことができる溝を有したリムを一体に設け、該
   リムの外周にスカート部を下方に向かって延設し、その
   スカート部の後部には前記リムの溝底よりも下位で、ボ
   デイ開口縁の肉厚とほぼ等しいかそれよりも小なる距離
   離れた位置にヒンジ中心がある、上下方向に折り曲げ可
   能な薄肉平坦部を有する面ヒンジを形成すると共に、前
   記面ヒンジは、後面に凹所を形成した上で、薄肉平坦部
   を設けると共にその薄肉平坦部にはヒンジの折り曲げ方
   向と直交する方向に補強リブを設けたことを特徴とする
   ヒンジ蓋つき容器。
2. 【請求項２】前記面ヒンジに設ける補強リブは、薄肉平
   坦部の巾方向両端部設けてなる第１項記載のヒンジ蓋つ
   き容器。