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JP2592725B2 - 中空糸膜の製造法 - Google Patents

中空糸膜の製造法

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JP2592725B2
JP2592725B2 JP13078991A JP13078991A JP2592725B2 JP 2592725 B2 JP2592725 B2 JP 2592725B2 JP 13078991 A JP13078991 A JP 13078991A JP 13078991 A JP13078991 A JP 13078991A JP 2592725 B2 JP2592725 B2 JP 2592725B2
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JP
Japan
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hollow fiber
membrane
porous
fiber membrane
layer
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泰志 下村
正彦 山口
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工肺等に於けるガス
交換或いは酸素富化等に於けるガス分離などに用いられ
る中空糸膜を簡便に、且つ、効率よく製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂からなる中空糸の管壁に多
数の微細孔が形成された多孔質中空糸膜は、例えば、水
処理等に於ける濾過膜、血漿分離等に於ける分離膜或い
は人工肺等に於けるガス分離膜など各種技術分野に於い
て利用されている。多孔質中空糸膜の製法としては、例
えば、易溶解性物質を混合分散した樹脂を中空糸に成形
した後、溶媒により易溶解性物質を溶解除去して管壁に
多数の微細孔を形成する方法或いは熱可塑性の結晶性樹
脂を中空糸とし、これを熱処理した後延伸することによ
り、管壁に多数の微細孔を形成する方法などがよく知ら
れている。
【0003】種々の中空糸膜の中で、人工肺用のガス交
換膜として、ポリプロピレンからなる多孔質中空糸膜が
よく知られている。それらのポリプロピレン製多孔質中
空糸膜は、その微細孔が、透過する気体分子に比して著
しく大きいため、気体は体積流として微細孔を透過す
る。又、人工肺用のガス交換膜としては、均質膜もよく
知られており、透過する気体分子が膜に溶解、拡散する
ことによってガスの移動が行われる。その代表的なもの
にポリジメチルシロキサンゴムからなる均質膜があり、
製品化されている。更に、膜素材の持つ気体の種類によ
る分離度の差を利用したガス分離膜もあり、これらは極
めて複雑な湿式紡糸法により製造されている。
【0004】
【発明の解決すべき課題】開心術の際等に応用される人
工肺として、多孔質中空糸膜を用いた膜型人工肺が広く
普及している。これらの多孔質中空糸膜を用いた人工肺
は、開心術時のように比較的短時間の使用では全く問題
なく使用されている。しかし、肺不全の治療のように人
工肺の使用が長期に渡る場合は、その管壁の微細孔から
血漿が漏洩するという問題がある。
【0005】又、膜素材の持つ気体の種類による分離度
の差を利用したガス分離膜は、そのガス分離効率を上げ
るため、ガス分離を行う層を可能な限り薄くする必要が
あり、且つ、機械的強度を維持する必要もあり、多孔質
層(コア層)と緻密層(スキン層)とが必要となる。そ
のような膜を製造するためには、複雑な工程及び複雑な
条件による湿式紡糸法を採用しなければならない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の中空糸膜の製造
法は、中空糸を延伸することにより管壁に多数の微細孔
を形成する工程を含む中空糸膜の製造法に於いて、紡糸
した中空糸の外表面を溶剤と接触させることにより部分
的に溶解させ、凝固後、延伸することを特徴とする。こ
の製造法により、多孔質中空糸膜の外表面に、無孔又は
極めて孔の存在が少ない層或いは多孔質層に比して径の
小さい孔が存在する緻密層が形成される。
【0007】本発明は、延伸法により多孔質中空糸膜を
製造する場合、原中空糸の配向状態が、多孔質膜の空孔
率或いは微細孔の形状、大きさ等に強く影響を及ぼすと
いう知見に基づいている。この観点から、配向状態の良
好な原中空糸を製造し、その外表面を一旦溶剤に溶解し
た後、凝固することにより、外表面近傍のみを無配向或
いは極めて低い配向状態としているものである。このよ
うな原中空糸を延伸すれば、外表面近傍は無孔等の状態
となり、内部の通常の多孔質状態となる。
【0008】人工肺用の中空糸膜の場合、緻密層は無孔
としてもよいが、ガス交換能と血漿漏洩との兼ね合いで
必ずしも無孔にする必要はない。又、ガス分離用の膜の
場合は無孔であることが好ましい。緻密層は無孔の場合
は可能な限り薄いものが好ましく、0.1〜20ミクロ
ン、更には0.1〜10ミクロンの範囲が望ましい。
【0009】中空糸膜を形成する素材として使用される
熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−ペン
テン−1)等のポリオレフィンが好適である。使用する
熱可塑性樹脂の分子量は紡糸可能であれば特に限定され
ないが、原中空糸の紡糸効率、生産性等を考慮すると、
例えば、ポリプロピレンの場合、メルトフローインデッ
クスで表して0.5〜40g/10分程度のものが好ま
しい。
【0010】原中空糸は従来公知の方法によって製造で
きる。望ましい構造の中空糸膜を得るための紡糸温度は
熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、例えば、ポリプ
ロピレンでは通常170〜300℃、好ましくは190
〜270℃、高密度ポリエチレンでは通常150〜30
0℃、好ましくは160〜270℃、ポリ(4−メチル
−ペンテン−1)では通常260〜330℃、好ましく
は270〜300℃の範囲である。
【0011】原中空糸を延伸する方法としては、特定の
温度範囲で一段又は多段延伸する方法、例えば、室温近
傍で延伸した後、熱可塑性樹脂の融点より数℃〜十数℃
低い温度範囲、例えば、ポリプロピレンでは140〜1
50℃の温度で更に延伸する方法或いは特定の温度範
囲、特定の延伸歪速度で延伸する方法等を挙げることが
できる。
【0012】上記の方法によって得られる中空糸膜の、
多孔質層の空孔率は、優れたガス交換能或いはガス分離
能を実現するためには大であることが好ましい。空孔率
は実用的な延伸倍率の範囲内では延伸倍率に比例して大
きくなる。延伸倍率としては50〜400%、好ましく
は200〜300%程度が好適であり、それらの延伸倍
率に対応した空孔率は30〜80%及び60〜75%程
度となる。延伸倍率が400%を越えて大であると、得
られる中空糸の糸径が細くなったり、孔径が寧ろ小さく
なったりして好ましくない。
【0013】原中空糸の外表面を部分溶解するための溶
剤は、素材である熱可塑性樹脂を溶解するものであれば
何れであってもよい。例えば、ポリプロピレンでは13
0℃以上のシクロヘキサン、デカリン、キシレン、14
0℃以上のトリクロルベンゼン等が、又、高密度ポリエ
チレン及びポリ(4−メチルペンテン−1)では90℃
以上のパークロロエチレン、100℃以上のトルエン、
キシレン、130℃以上のアミルアセテート、150℃
以上のデカリン等が挙げられる。更に、低密度ポリエチ
レンでは90℃以上のトリクロロエチレン、パークロロ
エチレン、100℃以上のトルエン、キシレン、130
℃以上のアミルアセテート等が挙げられる。
【0014】上記部分溶解処理の時間は、処理温度或い
は緻密層を無孔等どのような状態にするかといったこと
によって変わってくるが、0.5秒以上20分以下、好
ましくは0.5秒以上10分以下の範囲が好適である。
【0015】溶剤によって部分的に溶解した個所を凝固
させた後、延伸する。凝固は、溶剤を溶解部分から蒸発
させるか、使用した溶剤と相溶性のある貧溶媒に浸漬す
ることにより実施できる。凝固後、延伸工程に供する前
に、例えば、ポリプロピレンでは原中空糸を100〜1
55℃程度の温度範囲で熱処理することが好ましい。更
に、延伸後、例えば、ポリプロピレンでは100〜15
0℃程度の温度範囲で、中空糸に張力を加えたまま、熱
固定処理することも好ましい。
【0016】このようにして得られた中空糸膜は、原中
空糸の部分溶解しなかった層が多孔質層となり、部分溶
解した層が無孔等の層となった複層構造となる。本発明
の方法では、原中空糸の部分溶解の程度を任意に制御す
ることができ、従って、複層構造の厚み構成、多孔質層
の空孔率或いは緻密層の状態等を任意に制御できる。
【0017】
【実施例】以下に本発明を実施例によって詳しく説明す
る。 実施例1 ポリプロピレン〔宇部興産株式会社製、MFI=9g/
10分〕を直径33mm、内径27mmの気体供給管を
備えた中空糸製造用ノズルを使用し、紡糸温度200
℃、引取速度116m/分で紡糸して、内径230μ、
外径350μの原中空糸を得た。この原中空糸を145
℃のm−キシレン槽に2分間浸漬した後、取り出してメ
チルアルコールによってm−キシレンを除去し凝固させ
た。この原中空糸を乾燥した後、135℃、歪速度8.
33%/分の条件で初期長さに対して300%延伸し、
延伸状態を保ったまま150℃の加熱空気槽内で2分間
熱処理した。得られた中空糸膜の外表面側約5μの厚さ
は無孔であり、それ以外の部分は多孔質となっていた。
多孔質層の平均孔径は70μ、空孔率は60%であっ
た。
【0018】実施例2 高密度ポリエチレン〔昭和電工株式会社製、MI=8g
/10分〕を直径33mm、内径27mmの気体供給管
を備えた中空糸製造用ノズルを使用し、紡糸温度150
℃、引取速度116m/分で紡糸して、内径220μ、
外径330μの原中空糸を得た。この原中空糸を145
℃のm−キシレン槽に3分間浸漬した後、取り出してメ
チルアルコールによってm−キシレンを除去し凝固させ
た。この原中空糸を乾燥した後、80℃、歪速度8.3
3%/分の条件で初期長さに対して400%延伸し、延
伸状態を保ったまま100℃の加熱空気槽内で2分間熱
処理した。得られた中空糸膜の外表面側約10μの厚さ
は、孔径が数μ〜20μ程度の微細孔が少数存在する状
態であり、それ以外の部分は多孔質となっていた。多孔
質層の平均孔径は80μ、空孔率は70%であった。
【0019】
【発明の効果】本発明の中空糸膜の製造法によれば、熱
可塑性樹脂製の中空糸の外表面近傍を溶剤によって部分
的に溶解し、凝固させた後延伸するという極めて簡便な
方法により、多孔質層と無孔等の緻密層との複層構造か
らなる中空糸膜を得ることができる。得られた複層の中
空糸膜は、人工肺等に用いるガス交換膜或いは酸素富化
等に用いるガス分離膜として極めて有用である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空糸を延伸することにより管壁に多数の
    微細孔を形成する工程を含む中空糸膜の製造法に於い
    て、紡糸した中空糸の外表面を溶剤と接触させることに
    より部分的に溶解させ、凝固後、延伸することを特徴と
    する中空糸膜の製造法。
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