JP2590182Y2 - 連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ - Google Patents
連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボInfo
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- JP2590182Y2 JP2590182Y2 JP1992061504U JP6150492U JP2590182Y2 JP 2590182 Y2 JP2590182 Y2 JP 2590182Y2 JP 1992061504 U JP1992061504 U JP 1992061504U JP 6150492 U JP6150492 U JP 6150492U JP 2590182 Y2 JP2590182 Y2 JP 2590182Y2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、金属を連続的に真空蒸
着処理する連続式真空蒸着装置において溶融金属の容器
として用いられる黒鉛ルツボに関する。
着処理する連続式真空蒸着装置において溶融金属の容器
として用いられる黒鉛ルツボに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムや銀などの金属溶湯を真空
下に蒸発させてプラスチックまたは紙のようなフイルム
状物の表面に金属薄膜層として蒸着形成する真空蒸着法
においては、金属の融解および収容する容器として黒鉛
ルツボが有用されている。
下に蒸発させてプラスチックまたは紙のようなフイルム
状物の表面に金属薄膜層として蒸着形成する真空蒸着法
においては、金属の融解および収容する容器として黒鉛
ルツボが有用されている。
【0003】連続式真空蒸着装置においては、操業時、
黒鉛ルツボは連続的に走行するフイルム状物の下部に設
置され、誘導加熱によって高温に保持される。この際、
フイルム状物の全体に均質な蒸着層を形成するためは、
フイルム状物の幅よりも広い金属蒸発面を確保する必要
がある。従来はこの対応として走行するフイルム状物の
下部に底付円筒状の丸型黒鉛ルツボ(典型的なサイズは
内径100mm 、外径120mm 、高さ90〜100mm)をフイルム状
物の走行方向と直角に且つフイルム幅長に相当する個数
を並べて設置する方式が採られていた。
黒鉛ルツボは連続的に走行するフイルム状物の下部に設
置され、誘導加熱によって高温に保持される。この際、
フイルム状物の全体に均質な蒸着層を形成するためは、
フイルム状物の幅よりも広い金属蒸発面を確保する必要
がある。従来はこの対応として走行するフイルム状物の
下部に底付円筒状の丸型黒鉛ルツボ(典型的なサイズは
内径100mm 、外径120mm 、高さ90〜100mm)をフイルム状
物の走行方向と直角に且つフイルム幅長に相当する個数
を並べて設置する方式が採られていた。
【0004】ところが上記の処理方式においては、蒸着
対象となるフイルム状物が幅広のケースでは20個程度の
丸型黒鉛ルツボを整列させて使用する必要があるため、
投入電気量の調整操作が煩雑化すると共に、各黒鉛ルツ
ボ間に不可避的な間隔が介在するためもあって金属蒸発
量に位置的なムラが生じ、結果的に均質な蒸着層の形成
化が阻害される難点があった。そのうえ、一個の黒鉛ル
ツボにおいて溶融金属が蒸発し切った際には、その時点
で処理を終了するバッチ操業とならざるを得ないため、
最近、開発された連続式アルミニウム蒸着装置 (フイル
ム巻出・巻取り装置を真空系外に設置する設備) には適
用できない問題点もある。
対象となるフイルム状物が幅広のケースでは20個程度の
丸型黒鉛ルツボを整列させて使用する必要があるため、
投入電気量の調整操作が煩雑化すると共に、各黒鉛ルツ
ボ間に不可避的な間隔が介在するためもあって金属蒸発
量に位置的なムラが生じ、結果的に均質な蒸着層の形成
化が阻害される難点があった。そのうえ、一個の黒鉛ル
ツボにおいて溶融金属が蒸発し切った際には、その時点
で処理を終了するバッチ操業とならざるを得ないため、
最近、開発された連続式アルミニウム蒸着装置 (フイル
ム巻出・巻取り装置を真空系外に設置する設備) には適
用できない問題点もある。
【0005】本考案者らは、上記従来技術の問題点を解
消して容易に投入電気量の調整ができ、フイルム状物の
幅に係わらず常に蒸着ムラのない均一な金属膜を連続的
に形成することができる真空蒸着用黒鉛ルツボとして、
少なくともフイルム状物の幅と同等の長さをもつ長尺ボ
ート形状のものを提案した(特願平3−54067 号)。
消して容易に投入電気量の調整ができ、フイルム状物の
幅に係わらず常に蒸着ムラのない均一な金属膜を連続的
に形成することができる真空蒸着用黒鉛ルツボとして、
少なくともフイルム状物の幅と同等の長さをもつ長尺ボ
ート形状のものを提案した(特願平3−54067 号)。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】上記した長尺ボート形
状の黒鉛ルツボを用いることにより連続式真空蒸着操業
においても均一な金属蒸着被膜を安定して形成すること
が可能になるが、黒鉛ルツボは操業を通じて常に金属蒸
気と接しているためその一部分、とくに金属蒸気との接
触度合が高いルツボの上縁部分に金属炭化物が生成する
現象が生じる。例えば前記した連続式アルミニウム蒸着
装置に適用した場合には、ルツボ上縁部分の黒鉛がアル
ミニウム蒸気と反応して炭化アルミニウム(Al4C3)を生
成する。このような金属炭化物が生成するとルツボ材質
にクラックや割れを生じ、20〜30時間程度で使用不能と
なる。
状の黒鉛ルツボを用いることにより連続式真空蒸着操業
においても均一な金属蒸着被膜を安定して形成すること
が可能になるが、黒鉛ルツボは操業を通じて常に金属蒸
気と接しているためその一部分、とくに金属蒸気との接
触度合が高いルツボの上縁部分に金属炭化物が生成する
現象が生じる。例えば前記した連続式アルミニウム蒸着
装置に適用した場合には、ルツボ上縁部分の黒鉛がアル
ミニウム蒸気と反応して炭化アルミニウム(Al4C3)を生
成する。このような金属炭化物が生成するとルツボ材質
にクラックや割れを生じ、20〜30時間程度で使用不能と
なる。
【0007】本考案は、先行技術である特願平3−5406
7 号の長尺ボート形状ルツボの上縁部分に改良を加えた
もので、その目的は連続操業におけるルツボの耐用寿命
を効果的に改善した連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボを
提供することにある。
7 号の長尺ボート形状ルツボの上縁部分に改良を加えた
もので、その目的は連続操業におけるルツボの耐用寿命
を効果的に改善した連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本考案による連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボは、
蒸着すべきフィルム状物の幅と同等以上の長さをもつ長
尺ボート形状を備えるルツボであって、ルツボ上縁部分
をルツボ本体部分よりも気体透過度が低く、かつ、気体
透過度が0.01cm2/sec 以下の黒鉛材で形成し、接着また
は嵌着によりルツボ本体部分と結合してなることを構成
上の特徴とする。
めの本考案による連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボは、
蒸着すべきフィルム状物の幅と同等以上の長さをもつ長
尺ボート形状を備えるルツボであって、ルツボ上縁部分
をルツボ本体部分よりも気体透過度が低く、かつ、気体
透過度が0.01cm2/sec 以下の黒鉛材で形成し、接着また
は嵌着によりルツボ本体部分と結合してなることを構成
上の特徴とする。
【0009】図1は本考案の連続式真空蒸着装置用黒鉛
ルツボを示した斜視図で、1は本体部分、2はルツボ上
縁部分である。ルツボの本体部分1は、蒸着すべきフイ
ルム状物の幅と同等以上の長さをもつ長尺ボート形状を
備えている。最も好適な長尺ボート形状は、ルツボが走
行するフイルム状物の下部に直角に設置したときにフイ
ルム状物の幅の左右にルツボの両端部が若干突出する程
度の長さを有し、溝幅がフイルム状物の幅長範囲内にお
いて実質的に同一間隔になるように設計することであ
る。
ルツボを示した斜視図で、1は本体部分、2はルツボ上
縁部分である。ルツボの本体部分1は、蒸着すべきフイ
ルム状物の幅と同等以上の長さをもつ長尺ボート形状を
備えている。最も好適な長尺ボート形状は、ルツボが走
行するフイルム状物の下部に直角に設置したときにフイ
ルム状物の幅の左右にルツボの両端部が若干突出する程
度の長さを有し、溝幅がフイルム状物の幅長範囲内にお
いて実質的に同一間隔になるように設計することであ
る。
【0010】本体部分1を構成する黒鉛材質は等方性黒
鉛とすることが好ましく、とくに電気比抵抗が 700〜10
00μΩcmで電気比抵抗分布のバラツキが5%以内に収ま
り、かつ平均気孔径1μm 以下、気体透過度0.02cm2/se
c 以下の等方性黒鉛材を用いて形成することが望まし
い。電気比抵抗が 700〜1000μΩcmで電気比抵抗分布の
バラツキが5%以内の特性は、誘導加熱時、ルツボ全体
に均一な温度分布を付与するために必要で、この設定要
件を満たさないと温度分布の変動が大きくなって蒸着ム
ラの原因となる。また、平均気孔径が1μm を越え、気
体透過度が0.02cm2/sec を上廻ると黒鉛材組織の緻密度
が低下してルツボの耐用寿命が短くなる。
鉛とすることが好ましく、とくに電気比抵抗が 700〜10
00μΩcmで電気比抵抗分布のバラツキが5%以内に収ま
り、かつ平均気孔径1μm 以下、気体透過度0.02cm2/se
c 以下の等方性黒鉛材を用いて形成することが望まし
い。電気比抵抗が 700〜1000μΩcmで電気比抵抗分布の
バラツキが5%以内の特性は、誘導加熱時、ルツボ全体
に均一な温度分布を付与するために必要で、この設定要
件を満たさないと温度分布の変動が大きくなって蒸着ム
ラの原因となる。また、平均気孔径が1μm を越え、気
体透過度が0.02cm2/sec を上廻ると黒鉛材組織の緻密度
が低下してルツボの耐用寿命が短くなる。
【0011】ルツボ上縁部分2は、本体部分1よりも気
体透過度が低く、かつ、気体透過度が0.01cm2/sec 以下
の材質の黒鉛材により形成され、好ましくは緻密質等方
性黒鉛材を用いて形成する。該ルツボ上縁部分2は、図
2に示すように平坦加工された本体部分1の側壁上端部
に接着して一体に結合するか、図3に例示するような形
態で本体部分1の側壁上端部に嵌着して結合する。後者
の嵌着形態を採る場合には、着脱が可能となるため使用
段階でルツボ上縁部分2を交換することができる利点が
ある。
体透過度が低く、かつ、気体透過度が0.01cm2/sec 以下
の材質の黒鉛材により形成され、好ましくは緻密質等方
性黒鉛材を用いて形成する。該ルツボ上縁部分2は、図
2に示すように平坦加工された本体部分1の側壁上端部
に接着して一体に結合するか、図3に例示するような形
態で本体部分1の側壁上端部に嵌着して結合する。後者
の嵌着形態を採る場合には、着脱が可能となるため使用
段階でルツボ上縁部分2を交換することができる利点が
ある。
【0012】なお、上記の黒鉛ルツボを構成する本体部
分1およびルツボ上縁部分2の各部材は、予めアルミ
ナ、シリカ等のセラミックス材料で処理しておくと耐用
寿命が一層改善される。とくにアルミナ処理を施して黒
鉛組織の微細孔にアルミナを充填して材料改質を図る
と、組織内部への溶融金属の侵入が防止され、材質組織
を脆弱化する金属炭化物の生成を効果的に抑制すること
ができる。アルミナ処理は、例えばアルミナゾルを前記
部材に含浸したのち乾燥する方法でおこなうことができ
る。
分1およびルツボ上縁部分2の各部材は、予めアルミ
ナ、シリカ等のセラミックス材料で処理しておくと耐用
寿命が一層改善される。とくにアルミナ処理を施して黒
鉛組織の微細孔にアルミナを充填して材料改質を図る
と、組織内部への溶融金属の侵入が防止され、材質組織
を脆弱化する金属炭化物の生成を効果的に抑制すること
ができる。アルミナ処理は、例えばアルミナゾルを前記
部材に含浸したのち乾燥する方法でおこなうことができ
る。
【0013】図4は本考案の黒鉛ルツボを用いて連続式
真空蒸着をおこなっている状態を模式的に示した斜視説
明図であり、フイルム状物3は幅全体が長尺ボート形状
のルツボ本体部分1の長さ範囲内で上面を走行しながら
連続的に金属被膜が蒸着形成される。
真空蒸着をおこなっている状態を模式的に示した斜視説
明図であり、フイルム状物3は幅全体が長尺ボート形状
のルツボ本体部分1の長さ範囲内で上面を走行しながら
連続的に金属被膜が蒸着形成される。
【0014】
【作用】本考案に係る連続式真空蒸着装置用の黒鉛ルツ
ボは、少なくともフイルム状物の幅と同等以上の長さを
もつ長尺ボート形状を呈するから、、従来数個から数十
個単位の丸型黒鉛ルツボを整列させて使用していた方式
を1個のルツボ設置で賄うことができる。このため、誘
導加熱時の投入電力量のコントロールが簡単になり、ま
た処理すべきフイルム状物の幅方向における位置ムラの
ない極めて均等な金属蒸発が発現する。
ボは、少なくともフイルム状物の幅と同等以上の長さを
もつ長尺ボート形状を呈するから、、従来数個から数十
個単位の丸型黒鉛ルツボを整列させて使用していた方式
を1個のルツボ設置で賄うことができる。このため、誘
導加熱時の投入電力量のコントロールが簡単になり、ま
た処理すべきフイルム状物の幅方向における位置ムラの
ない極めて均等な金属蒸発が発現する。
【0015】しかし、連続式真空蒸着においては特に金
属蒸気との接触度合が高いルツボ上縁部分の黒鉛材質が
金属炭化物に転化して体積膨張を生じ、クラックや割れ
を起こして使用不能となる。本考案によれば、ルツボ上
縁部分のみを金属蒸気が組織侵入し難い低気体透過度の
黒鉛材質で構成し、簡便な接着、嵌着等の手段によって
ルツボ本体部分の側壁上端部に結合された構造となって
いるため、金属炭化物の生成は効果的に抑制される。
属蒸気との接触度合が高いルツボ上縁部分の黒鉛材質が
金属炭化物に転化して体積膨張を生じ、クラックや割れ
を起こして使用不能となる。本考案によれば、ルツボ上
縁部分のみを金属蒸気が組織侵入し難い低気体透過度の
黒鉛材質で構成し、簡便な接着、嵌着等の手段によって
ルツボ本体部分の側壁上端部に結合された構造となって
いるため、金属炭化物の生成は効果的に抑制される。
【0016】このような長尺ボート形状とルツボ上縁部
分の改質による作用が相俟って、常に均質は金属蒸着被
膜の形成が可能となり、かつ黒鉛ルツボの耐用寿命が大
幅に向上する。なお、本考案の黒鉛ルツボを使用すれ
ば、溶融金属が減少した段階でルツボ端部から金属溶湯
を補充するすることができるから、その都度処理を停止
することなく連続的に操業を継続することが可能とな
る。したがって、処理効率が著しく改善される。
分の改質による作用が相俟って、常に均質は金属蒸着被
膜の形成が可能となり、かつ黒鉛ルツボの耐用寿命が大
幅に向上する。なお、本考案の黒鉛ルツボを使用すれ
ば、溶融金属が減少した段階でルツボ端部から金属溶湯
を補充するすることができるから、その都度処理を停止
することなく連続的に操業を継続することが可能とな
る。したがって、処理効率が著しく改善される。
【0017】
【実施例】実施例1 嵩比重1.90g/cc、電気比抵抗 900μΩcm、電気比抵抗分
布のバラツキ5%、曲げ強さ590kgf/cm2、気体透過度0.
02cm2/sec 、熱膨張係数(RT 〜1000℃)5.0×10-6/ ℃、
気孔率10.0 vol%、平均気孔径1.0 μm の特性をもつ等
方性黒鉛材を加工して幅140mm 、高さ140mm 、長さ1900
mmの長尺ボート形状のルツボ本体部分を作製した。この
ルツボ本体部分の側壁上端部を平滑に加工し、ここに気
体透過度が0.01cm2/sec でその他のは前記特性と同等の
緻密質等方性黒鉛材を加工して形成した高さ20mmのルツ
ボ上縁部分を当接し、黒鉛粉入り接着ペーストを介して
接着したのち熱処理して一体に結合した(図2構造)。
布のバラツキ5%、曲げ強さ590kgf/cm2、気体透過度0.
02cm2/sec 、熱膨張係数(RT 〜1000℃)5.0×10-6/ ℃、
気孔率10.0 vol%、平均気孔径1.0 μm の特性をもつ等
方性黒鉛材を加工して幅140mm 、高さ140mm 、長さ1900
mmの長尺ボート形状のルツボ本体部分を作製した。この
ルツボ本体部分の側壁上端部を平滑に加工し、ここに気
体透過度が0.01cm2/sec でその他のは前記特性と同等の
緻密質等方性黒鉛材を加工して形成した高さ20mmのルツ
ボ上縁部分を当接し、黒鉛粉入り接着ペーストを介して
接着したのち熱処理して一体に結合した(図2構造)。
【0018】上記の黒鉛ルツボを連続式アルミニウム真
空蒸着装置にセットし、被覆対象に膜厚40μm 、幅740m
m のポリ塩化ビニルフイルムを用い、真空度5×10-4To
rr、温度1350℃、フイルム速度200m/minの条件でアルミ
ニウム蒸着をおこなった。その結果、約30時間経過後に
ルツボ上縁部分に亀裂の発生が認められた。これは、上
記したルツボ本体の黒鉛材で全体を構成した改良前の黒
鉛ルツボが、同一条件で約20時間後に材質割れ現象を起
こしたのに比べ、約 1.5倍の耐用寿命を示すものであっ
た。なお、得られたアルミニウム蒸着膜厚のバラツキは
平均値に対し±5%以内あり、均質性に優れていること
が確認された。
空蒸着装置にセットし、被覆対象に膜厚40μm 、幅740m
m のポリ塩化ビニルフイルムを用い、真空度5×10-4To
rr、温度1350℃、フイルム速度200m/minの条件でアルミ
ニウム蒸着をおこなった。その結果、約30時間経過後に
ルツボ上縁部分に亀裂の発生が認められた。これは、上
記したルツボ本体の黒鉛材で全体を構成した改良前の黒
鉛ルツボが、同一条件で約20時間後に材質割れ現象を起
こしたのに比べ、約 1.5倍の耐用寿命を示すものであっ
た。なお、得られたアルミニウム蒸着膜厚のバラツキは
平均値に対し±5%以内あり、均質性に優れていること
が確認された。
【0019】実施例2 実施例1と同一のルツボ本体部分を作製し、その側壁上
端部に実施例1と同様に気体透過度0.01cm2/sec の緻密
黒鉛材から形成した図3に示すキャップ状のルツボ上縁
部分を嵌着した。この状態で実施例1と同一条件の連続
式アルミニウム真空蒸着操業をおこなったところ、約30
時間まではルツボに損傷はなく正常に操業できた。その
後にルツボ上縁部分に変形を生じたので、新たなルツボ
上縁部分と交換し約30時間操業を継続した。このように
してルツボ上縁部分を2回交換し、25時間経過した時点
でルツボ本体部分が消耗して使用不能となった。したが
って、本例のルツボ構造では実質的に約85時間の使用が
可能となり、大幅な耐用寿命の延長化を図ることができ
た。
端部に実施例1と同様に気体透過度0.01cm2/sec の緻密
黒鉛材から形成した図3に示すキャップ状のルツボ上縁
部分を嵌着した。この状態で実施例1と同一条件の連続
式アルミニウム真空蒸着操業をおこなったところ、約30
時間まではルツボに損傷はなく正常に操業できた。その
後にルツボ上縁部分に変形を生じたので、新たなルツボ
上縁部分と交換し約30時間操業を継続した。このように
してルツボ上縁部分を2回交換し、25時間経過した時点
でルツボ本体部分が消耗して使用不能となった。したが
って、本例のルツボ構造では実質的に約85時間の使用が
可能となり、大幅な耐用寿命の延長化を図ることができ
た。
【0020】
【考案の効果】以上のとおり、本考案により提供される
連続式真空蒸着装置用の黒鉛ルツボは従来の丸型黒鉛ル
ツボと異なる長尺ボート形状を呈し、かつ金属蒸気が接
触し易いルツボ上縁部分を本体部分より気体透過度の低
い黒鉛材で構成した構造となっているから、被覆対象と
なるフイルム状物の幅に係わりなく常に均質な金属蒸着
膜を形成することができるうえ、ルツボ全体の耐用寿命
を大幅に向上させることが可能となる。したがって、技
術的および経済的に大きな実用効果がもたらされる。
連続式真空蒸着装置用の黒鉛ルツボは従来の丸型黒鉛ル
ツボと異なる長尺ボート形状を呈し、かつ金属蒸気が接
触し易いルツボ上縁部分を本体部分より気体透過度の低
い黒鉛材で構成した構造となっているから、被覆対象と
なるフイルム状物の幅に係わりなく常に均質な金属蒸着
膜を形成することができるうえ、ルツボ全体の耐用寿命
を大幅に向上させることが可能となる。したがって、技
術的および経済的に大きな実用効果がもたらされる。
【図1】本考案による連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ
の全体を示した斜視図である。
の全体を示した斜視図である。
【図2】本考案による連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ
の実施態様を示した断面図である。
の実施態様を示した断面図である。
【図3】本考案による連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ
の別の実施態様を示した断面図である。
の別の実施態様を示した断面図である。
【図4】本考案の黒鉛ルツボを用いた連続式真空蒸着操
業の状態を模式的に示した斜視説明図である。
業の状態を模式的に示した斜視説明図である。
1 ルツボ本体部分 2 ルツボ上縁部分 3 フイルム状物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58
Claims (1)
- 【請求項1】 蒸着すべきフィルム状物の幅と同等以上
の長さをもつ長尺ボート形状を備えるルツボであって、
ルツボ上縁部分をルツボ本体部分よりも気体透過度が低
く、かつ、気体透過度が0.01cm 2 /sec 以下の黒鉛材で形
成し、接着または嵌着によりルツボ本体部分と結合して
なる構造の連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992061504U JP2590182Y2 (ja) | 1992-08-06 | 1992-08-06 | 連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992061504U JP2590182Y2 (ja) | 1992-08-06 | 1992-08-06 | 連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0616459U JPH0616459U (ja) | 1994-03-04 |
JP2590182Y2 true JP2590182Y2 (ja) | 1999-02-10 |
Family
ID=13172997
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1992061504U Expired - Fee Related JP2590182Y2 (ja) | 1992-08-06 | 1992-08-06 | 連続式真空蒸着装置用黒鉛ルツボ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2590182Y2 (ja) |
-
1992
- 1992-08-06 JP JP1992061504U patent/JP2590182Y2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0616459U (ja) | 1994-03-04 |
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