JP2545322Y2 - 三方向分級機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、三方向分級機に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、セメント製造設備においてセメン
ト原料を予備粉砕装置と本粉砕装置により二段階に粉砕
することにより粉砕効率を上げるようにした粉砕設備が
考えられている。

【０００３】即ち、原料ホッパからのセメント原料をク
ラッシャ或いはローラミル等の予備粉砕機（予備粉砕装
置）に導いて予備粉砕し、該予備粉砕した粉砕物を篩式
分級機に導いて篩分けを行い、該篩式分級機にて分離さ
れた篩上の大径粒子を前記予備粉砕機に再び戻し、前記
篩式分級機によって分離された篩下の中・小径粒子を微
粉細性能が優れた横型のボールミル（本粉砕装置）に導
入して本粉砕を行うようにし、更に、前記ボールミルに
て粉砕された粉砕物を空気式分級機に導いて再度分級
し、粉砕の十分でない中径粒子は前記ボールミルに再投
入し、又、小径粒子は精粉（製品）として取り出すよう
にしていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の粉砕設備では、予備粉砕機にて予備粉砕
した粉砕物を、単に篩式分級機により大径粒子と中・小
径粒子とに分離するようにしているが、前記篩式分級機
では篩目の摩耗による補修、交換が頻繁に必要であり、
分級能力に機械的な限界があるという問題があった。

【０００５】又、大径粒子に中・小径粒子が多量に付着
混合したまま予備粉砕機に戻される為に、予備粉砕機の
粉砕効率が低下してしまう問題があり、更にボールミル
に導入される中・小径粒子には製品となるべき小径粒子
が多量に含まれていることから前記ボールミルでは小径
粒子を再び粉砕すること（過粉砕）になってボールミル
の粉砕効率が著しく低下するといった問題を有してい
た。

【０００６】又、既に稼働中のミル設備（ボールミルを
含む粉砕設備）には、自ずと設備内輸送機や、設備内分
級機に制限能力があり、予備粉砕された粉砕物中に含ま
れる小径粒子をも、これら制限能力内で扱わなければな
らないことから、能力増大が制限される問題を有してい
た。

【０００７】本考案は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、従来の篩式分級機より補修、交換の頻度が少なくて
すみ、しかも従来の篩式分級機より分級能力が高く、一
台で原料を大径粒子・中径粒子・小径粒子に精度良く且
つ効率良く分離することができ、分級した粉体の粒径に
応じた後処理を必要とする場合に最適な三方向分級機を
提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、上端に精粉吸
引口を下端に大径粒子排出口を夫々有し且つ下部には周
方向から均等に空気を導入し得る空気導入部を備えたケ
ーシングと、該ケーシング内部の上方位置に前記精粉吸
引口を内側に連通せしめるよう配設された回転分級羽根
と、該回転分級羽根と前記空気導入部との間に前記ケー
シング内部を上下に区画するよう擂り鉢状に配設され周
方向所要位置には外縁部を隆起させた開口部を有し且つ
下端には前記ケーシングを貫通する中径粒子排出口を有
するスリットコーンと、該スリットコーンと前記空気導
入部との間に配設され且つ上部を錐状に形成した原料分
散器と、該原料分散器の上方に前記ケーシングの外部よ
り原料を投入し得るよう該ケーシングを貫通する原料投
入シュートとを備えたことを特徴とする三方向分級機に
係るものである。

【０００９】

【作用】従って本考案では、精粉吸引口を介し内部空気
を吸引して空気導入管から空気を導入し、且つ回転分級
羽根を回転させた状態として、原料投入シュートから原
料を所定量ずつ供給すると、前記原料は錐状に形成され
た原料分散器上に落下して周囲に均等に分散されて落下
し、前記原料中の中・小径粒子は前記空気導入部の周方
向から均等に導入される空気に吹き上げられて前記スリ
ットコーンの開口部からケーシング内上部に導かれ、
又、粒径の大きな大径粒子は前記空気に吹き上げられる
ことなく下方に落下して大径粒子排出口から取り出され
る。

【００１０】一方、前記空気によりケーシング内上部に
導入された中・小径粒子は、回転している回転分級羽根
間を通過する際に小径粒子のみが通過され且つ中径粒子
が前記回転分級羽根に弾かれることにより分離され、前
記回転分級羽根間を通過した小径粒子は精粉吸引口を介
して精粉（製品）として取り出され、又、前記回転分級
羽根にはじかれた中径粒子は遠心力により内側ケーシン
グの上部内周面及びスリットコーンの内周面に沿って落
下し、中径粒子排出口から取り出される。

【００１１】

【実施例】以下本考案の実施例を図面を参照しつつ説明
する。

【００１２】図１及び図２は本考案の三方向分級機の一
実施例を示すもので、図中１は上端に精粉吸引口２を有
し且つ下端に大径粒子排出口３を備えたケーシングを示
し、該ケーシング１の下方向きに絞りこんだ下部には、
周方向からルーバー４を介して均等に空気５を導入し得
る空気導入部６が設けられており、該空気導入部６には
空気導入管７が接続されている。

【００１３】又、前記精粉吸引口２には、精粉捕集機８
と吸引ファン９とからなる精粉捕集装置１０が接続され
ている。

【００１４】更に、前記ケーシング１内部の上方位置に
は、回転駆動装置１１にトルク伝達可能に接続された駆
動シャフト１２及び取付板１３により回転可能に支持さ
れた多数の回転分級羽根１４が、前記ケーシング１内周
面に対し所要間隔を隔てて前記精粉吸引口２を内側に連
通せしめるよう配設されており、該回転分級羽根１４と
前記空気導入部６との間には、ケーシング１内部を上下
に区画するよう擂り鉢状に形成され周方向所要位置に外
縁部１５を隆起させた開口部１６を有し且つ下端には前
記ケーシング１を貫通する中径粒子排出口１７を有する
スリットコーン１８が配設されている。

【００１５】又、前記スリットコーン１８と前記空気導
入部６との間には、上部を円錐状に形成した原料分散器
１９が配設されており、該原料分散器１９の直上に原料
２０を投入し得るよう前記ケーシング１を貫通して原料
投入シュート２１がケーシング１内部に挿入されてい
る。

【００１６】ここで、前記原料投入シュート２１は、前
記スリットコーン１８に沿って配置され、隣あった開口
部１６の間のコーン底板を天板として構成されている。

【００１７】尚、２０ａは前記原料２０中の大径粒子、
２０ｂは前記原料２０中の中径粒子、２０ｃは前記原料
２０中の小径粒子、２２は前記大径粒子排出口３の切出
しダンパ、２３は前記中径粒子排出口１７の切出しダン
パを示す。

【００１８】而して、精粉捕集装置１０の吸引ファン９
を駆動することにより精粉吸引口２を介し内部空気を吸
引して空気導入管７から空気５を導入し、且つ回転分級
羽根１４を回転させた状態として、原料投入シュート２
１から原料２０を所定量ずつ供給すると、前記原料２０
は円錐状に形成された原料分散器１９上に落下して周囲
に均等に分散されて落下し、前記原料２０中の中・小径
粒子２０ｂ，２０ｃは前記空気導入部６の周方向から均
等に導入される空気５に吹き上げられて前記スリットコ
ーン１８の開口部１６からケーシング１内上部に導か
れ、又、粒径の大きな大径粒子２０ａは前記空気５に吹
き上げられることなく下方に落下して大径粒子排出口３
から取り出される。

【００１９】一方、前記空気５によりケーシング１内上
部に導入された中・小径粒子２０ｂ，２０ｃは、回転し
ている回転分級羽根１４間を通過する際に小径粒子２０
ｃのみが通過され且つ中径粒子２０ｂが前記回転分級羽
根１４に弾かれることにより分離され、前記回転分級羽
根１４間を通過した小径粒子２０ｃは精粉吸引口２を介
して精粉捕集装置１０の精粉捕集機８に回収されて精粉
（製品）として取り出され、又、前記回転分級羽根１４
にはじかれた中径粒子２０ｂは遠心力によりケーシング
１の上部内周面及びスリットコーン１８の内周面に沿っ
て落下し、中径粒子排出口１７から取り出される。この
際、前記スリットコーン１８の内周面に沿って落下する
中径粒子２０ｂは、開口部１６の隆起した外縁部１５に
阻まれることにより前記開口部１６から落下することな
く中径粒子排出口１７に導かれる。

【００２０】従って上記実施例によれば、従来の篩式分
級機の篩目ような摩耗の激しい部分がない為、従来の篩
式分級機と比較して補修、交換の頻度を著しく低減する
ことができ、しかも従来の篩式分級機より分級能力を大
幅に向上することができる。更に、一台で原料２０を大
径粒子２０ａ・中径粒子２０ｂ・小径粒子２０ｃに精度
良く且つ効率良く分離することができ、分級した粉体の
粒径に応じた後処理を必要とする場合に極めて有効であ
る。

【００２１】例えば、クラッシャ或いはローラミル等の
予備粉砕機（予備粉砕装置）と横型のボールミル（本粉
砕装置）とにより二段階の粉砕が行えるようにした粉砕
設備において、本実施例の三方向分級機を前記予備粉砕
機とボールミルとの間の分級機として採用した場合に
は、予備粉砕機からの粉砕物（原料）を大径粒子２０ａ
・中径粒子２０ｂ・小径粒子２０ｃに精度良く且つ効率
良く分離することができるので、予備粉砕機に中・小径
粒子２０ｂ，２０ｃを随伴させることなく大径粒子２０
ａのみを戻し且つボールミルには既に十分粉砕された小
径粒子２０ｃを随伴させることなく中径粒子２０ｂのみ
を戻すことができ、依って予備粉砕機及びボールミルの
粉砕効率を著しく向上することができる。

【００２２】又、予備粉砕機からの粉砕物（原料）中に
含まれる小径粒子２０ｃを直ちに捕集することができる
ので、設備内輸送機や設備内分級機に対する負荷を大幅
に軽減することができ、粉砕設備全体の能力増大を図る
ことができる。

【００２３】

【考案の効果】上記した本考案の三方向分級機によれ
ば、従来の篩式分級機と比較して補修、交換の頻度を著
しく低減することができ、しかも従来の篩式分級機より
分級能力を大幅に向上することができ、更に、一台で原
料を大径粒子・中径粒子・小径粒子に精度良く且つ効率
良く分離することができ、分級した粉体の粒径に応じた
後処理を必要とする場合に極めて有効である等の種々の
優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ方向の矢視図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ 精粉吸引口 ３ 大径粒子排出口 ５ 空気 ６ 空気導入部 １４ 回転分級羽根 １５ 外縁部 １６ 開口部 １７ 中径粒子排出口 １８ スリットコーン １９ 原料分散器 ２０ 原料 ２１ 原料投入シュート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端に精粉吸引口を下端に大径粒子排出
   口を夫々有し且つ下部には周方向から均等に空気を導入
   し得る空気導入部を備えたケーシングと、該ケーシング
   内部の上方位置に前記精粉吸引口を内側に連通せしめる
   よう配設された回転分級羽根と、該回転分級羽根と前記
   空気導入部との間に前記ケーシング内部を上下に区画す
   るよう擂り鉢状に配設され周方向所要位置には外縁部を
   隆起させた開口部を有し且つ下端には前記ケーシングを
   貫通する中径粒子排出口を有するスリットコーンと、該
   スリットコーンと前記空気導入部との間に配設され且つ
   上部を錐状に形成した原料分散器と、該原料分散器の上
   方に前記ケーシングの外部より原料を投入し得るよう該
   ケーシングを貫通する原料投入シュートとを備えたこと
   を特徴とする三方向分級機。