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JP2023114185A - 携帯用加工機 - Google Patents

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JP2023114185A
JP2023114185A JP2022016390A JP2022016390A JP2023114185A JP 2023114185 A JP2023114185 A JP 2023114185A JP 2022016390 A JP2022016390 A JP 2022016390A JP 2022016390 A JP2022016390 A JP 2022016390A JP 2023114185 A JP2023114185 A JP 2023114185A
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大樹 今井田
Daiki Imaida
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Makita Corp
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Abstract

【課題】 位置を回転的に変更可能な把持部と、本体部の上死点ロック機能と、を同時に実現できる携帯用加工機を提供する。【解決手段】 携帯用加工機は、ベースと、ベースに対して第1の側に配置される本体部と、を備える。本体部は、把持部の固定位置を回転的に変更可能に構成されたハンドルと、を備える。本体部は、刃具がベースに対して第1の側に位置する第1の位置と、刃具が第1の側と反対の第2の側にベースを越えて部分的に突出する第2の位置と、の間でベースに対して変位可能である。本体部は、把持部に隣接して配置されたロック操作部材と、係合部材と、を備える。ロック操作部材と係合部材とは、少なくともボーデンケーブルのインナーワイヤを介して連動する。ロック操作部材がロック位置にあるときに、係合部材が、ベース、または、ベースに対する位置が固定されたベース以外の部分である固定部分と係合して、本体部の第1の位置から第2の位置への変位が阻止される。【選択図】図9

Description

本発明は、携帯用加工機に関する。
携帯用加工機の一種として、壁、床、天井などに溝切り加工を行うためのウォールチェイサーが従来から知られている。例えば下記の特許文献1に開示されるウォールチェイサーは、被加工物(壁、床、天井など)に当接されるためのベースと、ベースの一方側に配置され、ベースに対して揺動可能に構成された本体部と、を備えている。本体部は、刃具に回転駆動力を提供するモータと、モータに電力を供給するためのバッテリと、ユーザが手で把持するための2つの把持部と、を備えている。ベースを被加工物に当接させ、モータを回転させた状態で、ユーザが、2つの把持部を両手でそれぞれ把持しつつ、ベースに近づく方向に本体部を揺動させると、回転する刃具がベースを越えて突出する。この状態で、刃具の回転軸線と直交する方向(加工進行方向とも呼ぶ)へウォールチェイサーを平行移動させることで、被加工物に溝が形成される。こうして形成された溝は、例えば、電気配線のために使用される。
米国特許出願公開第2020/0164449号明細書
しかしながら、上述のウォールチェイサーは、改善の余地を残している。例えば、この種の工具では、本体部における把持部の位置を状況に応じて回転的に変更したいという要望が存在する。また、本体部が上死点(本体部がベースから最も離れる揺動位置)にあるときに、本体部を上死点にロックしたいという要望が存在する。これらの要望は、ウォールチェイサーに限らず、プランジマルノコ、プランジルータなどの種々の携帯用加工機に共通する。このようなことから、本開示は、位置を回転的に変更可能な把持部と、本体部の上死点ロック機能と、を同時に実現できる携帯用加工機を提供することを目的とする。
本明細書は、携帯用加工機を開示する。この携帯用加工機は、被加工物に当接させるための当接面を有するベースと、当接面に直交する方向においてベースに対して第1の側に配置される本体部と、を備えていてもよい。本体部は、刃具に回転軸線を中心とした回転駆動力を提供するように構成されたモータと、把持部を有するハンドルであって、把持部の固定位置を回転的に変更可能に構成されたハンドルと、を備えていてもよい。本体部は、刃具がベースに対して第1の側に位置する第1の位置と、刃具が第1の側と反対の第2の側にベースを越えて部分的に突出する第2の位置と、の間でベースに対して変位可能に構成されてもよい。本体部は、さらに、ロック操作部材と、変位可能な係合部材と、ボーデンケーブルと、を備えていてもよい。ロック操作部材は、把持部に隣接して配置されてもよく、本体部を第1の位置にロックするためのロック位置と、本体部の第1の位置から第2の位置への変位を許容するためのロック解除位置と、の間で手動操作によって変位可能であってもよい。ボーデンケーブルは、第1の端部と、第1の端部と反対の第2の端部と、を有するアウターケーブルと、アウターケーブルを貫通するインナーワイヤと、有していてもよい。ロック操作部材と係合部材とは、少なくともインナーワイヤを介して連動するように構成されてもよい。携帯用加工機は、ロック操作部材がロック位置にあるときに、係合部材が、ベース、または、ベースに対する位置が固定されたベース以外の部分である固定部分と係合して、本体部の第1の位置から第2の位置への変位が阻止され、ロック操作部材がロック解除位置にあるときに、係合部材がベースまたは固定部分と係合せず、本体部の第1の位置から第2の位置への変位が許容されるように構成されてもよい。
上記の構成によれば、係合部材は、少なくともボーデンケーブルのインナーワイヤを介してロック操作部材のロック位置とロック解除位置との間での変位に連動し、ロック解除部材がロック位置にあるときに、係合部材がベースまたは固定部分と係合して、本体部の第1の位置から第2の位置への変位が阻止される。ボーデンケーブルは把持部の回転に応じて曲がる(あるいは、撓む)ことができるので、ハンドル(把持部)の回転運動に影響されることなく、ロック操作部材の変位力を係合部材に伝達することができる。このため、把持部の固定位置を回転的に変更可能に構成されたハンドル(つまり、回転式の可動ハンドル)を備える携帯用加工機においても、上死点ロック(第1の位置でのロック)機能を容易に実現できる。つまり、回転式の可動ハンドルと、上死点ロック機能と、を容易に両立できる。
一実施形態によるウォールチェイサーの左側面図であり、本体部は上死点にある。 ウォールチェイサーの右側面図であり、本体部は上死点にある。 ウォールチェイサーを前側から見た図である。 ウォールチェイサーを下側かつ後側から見た図である。 ウォールチェイサーの左側面図であり、本体部は下死点にある。 ウォールチェイサーの横断面図である。 一部の部品を取り除いた状態のウォールチェイサーの右側から見た斜視図である。 一部の部品を取り除いた状態のウォールチェイサーの左側から見た斜視図であり、係合部材は係合位置にある。 一部の部品を取り除いた状態のウォールチェイサーの左側から見た斜視図であり、係合部材は非係合位置にある。 一部の部品を取り除いた状態のウォールチェイサーの縦断面図であり、ロック操作部材はロック位置にある。 一部の部品を取り除いた状態のウォールチェイサーの縦断面図であり、ロック操作部材はロック解除位置にある。 ボーデンケーブルの斜視図である。 ロック操作部材の斜視図である。 リンク部材の斜視図である。 係合部材の斜視図である。
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された装置、その製造方法および使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、または共に用いることができる。
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記および下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立および従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書および/または特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施形態および/または特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲およびグループまたは集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
1つまたはそれ以上の実施形態において、携帯用加工機は、ハンドルの内部に収容され、インナーワイヤに連結されたリンク部材を備えていてもよい。リンク部材は、少なくともロック操作部材がロック解除位置にあるときに、ロック操作部材と係合するリンク部材を備えていてもよい。ロック操作部材と係合部材とは、少なくともインナーワイヤとリンク部材とを介して連動するように構成されてもよい。この構成によれば、ロック操作部材とインナーワイヤとの間にリンク部材を介在させることで、ロック操作部材の変位力の作用方向を係合部材の変位力の作用方向へ、より高い自由度で変換することができる。したがって、ロック操作部材の変位方向を、ユーザが手動操作しやすいように容易に設定できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ロック操作部材は、把持部と平行な回転軸線を中心として、ロック位置とロック解除位置との間で回転するように構成されてもよい。この構成によれば、ユーザは、把持部を把持している手で、ロック操作部材を容易に握り操作することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、本体部は、ハンドルを回転可能に支持する支軸を備えていてもよい。ハンドルは、支軸が貫通する基部と、基部と把持部との間に隙間が形成されるように基部と把持部とを連結するブリッジ部と、を備えていてもよい。ボーデンケーブルは、基部内および支軸の周囲のいずれも通らないように配置されてもよい。この構成によれば、簡素な構造で、ロック操作部材の変位力を係合部材へ伝達できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、アウターケーブルの第1の端部は、インナーワイヤがブリッジ部を貫通可能にブリッジ部に連結されてもよい。リンク部材は、把持部内を延在し、ロック操作部材と係合する第1の部分と、ブリッジ部内を延在し、インナーワイヤと連結される第2の部分と、を有する略L字状の形状を有していてもよい。この構成によれば、ロック操作部材の回転的な変位を、インナーワイヤのアウターケーブルに沿った方向の変位に容易に変換できる。このため、ロック操作部材の操作方向を、ユーザが把持しやすい方向(把持部と平行な回転軸線を中心とした回転方向)に設定できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、アウターケーブルは、携帯用加工機の内部を通らないように配置されてもよい。この構成によれば、アウターケーブルを複雑に曲げる必要が無いので、インナーワイヤの円滑な変位が可能になる。あるいは、アウターケーブルの湾曲限界に適合するように携帯用加工機を設計する必要が無い。つまり、アウターケーブルの湾曲限界に影響されることなく、携帯用加工機の構造や大きさを最適化できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、アウターケーブルの第1の端部は、インナーワイヤがハンドルの内部まで延在する状態でハンドルに連結されてもよい。アウターケーブルの第2の端部は、インナーワイヤが本体部のうちのハンドル以外の部分の内部まで延在する状態で本体部のうちのハンドル以外の部分に連結されてもよい。アウターケーブルは、第1の端部から第2の端部まで180度湾曲されてもよい。この構成によれば、アウターケーブルが複雑に曲げられないので、インナーワイヤの円滑な変位が可能になる。また、アウターケーブルの湾曲形態が簡素であるから、アウターケーブルが、携帯用加工機の持ち運びや溝切り加工作業の邪魔になりにくく、携帯用加工機の取扱性が向上する。
1つまたはそれ以上の実施形態において、携帯用加工機は、ウォールチェイサーであってもよい。本体部は、刃具を部分的に覆うカバー本体を備えていてもよい。携帯用加工機は、ベースから第1の側に向けて延在し、本体部が第1の位置にあるときに、刃具のうちのカバー本体よりも第2の側の部分を覆う補助カバー部を備えていてもよい。アウターケーブルの第1の端部は、インナーワイヤがカバー本体の内部まで延在する状態でカバー本体に連結されてもよい。固定部分は、補助カバー部の第1の側の縁部であってもよい。この構成によれば、係合部材は、ベースから第1の側(本体部に近づく側)に向けて延在している補助カバー部の第1の側の縁部と係合するので、ベースと係合部材とが係合する場合と比べて、アウターケーブルの延長距離を短縮化できる。また、係合部材の形状を簡素化できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、係合部材は、カバー本体の内部でインナーワイヤに連結されもよい。係合部材は、カバー本体の内面に形成された凹部内を摺動するように配置されてもよい。係合部材は、ロック操作部材がロック位置にあるときに、凹部から部分的に突出し、突出した部分が補助カバー部の第1の側の縁部と係合するように構成されてもよい。この構成によれば、簡素な構成で、カバー本体によって係合部材を保持できる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ボーデンケーブルは、刃具の回転軸線が延在する方向において、カバー本体に対してモータと同じ側に配置されてもよい。この構成によれば、例えば、天井の近傍で壁に溝切り加工を行う場合、カバー本体に対してモータが配置されていない側が、モータが配置されている側よりも天井に近くなるように、壁に対してウォールチェイサーを配置して溝切り加工を行えば、ボーデンケーブルが天井と干渉することなく、天井の近傍に溝を形成できる。
以下、図面を参照して、例示的な一実施形態としてのウォールチェイサー10についてより詳細に説明する。ウォールチェイサー10は、壁、床、天井などの被加工物に溝切り加工を行うための電動工具である。以下のウォールチェイサー10は、2列溝切カッタとも称されており、同時に2列の溝の加工を行うことができる。図1および図2に示すように、ウォールチェイサー10は、ベース部材20と本体部30とを備えている。ベース部材20は、略矩形の略平板状のベース21を備えている。本体部30は、ベース21に対して一方側に配置される。ベース21の本体部30と反対側の面は、平坦に形成されており、被加工物(床、天井、壁など)に当接するための当接面23として機能する。
図6に示すように、本体部30は、スピンドル45に装着された略円盤状の2つの刃具49,50を、回転軸線AX2を中心として回転駆動するように構成されている。刃具49,50は、ダイヤモンドブレードとも称される。刃具49,50は、互いに平行となるように配置される。ベース部材20の当接面23を被加工物に当接させ、回転する刃具49,50が当接面23を越えて本体部30と反対側へ突出した状態(図4参照)で、刃具49,50が平行に並ぶ方向(換言すれば、回転軸線AX2の延在方向)と直交し、かつ、当接面23に平行な方向にウォールチェイサー10を平行移動させることによって、被加工材に対する溝切り加工が進行する。
これによって、被加工物の、刃具49,50の移動軌跡に対応する位置に、2つの直線的な溝が形成される。この2つの溝の間の部分は、任意の工具によって削り取られ、最終的に1つの大きな溝が形成される。こうして形成された溝には、電気配線が収容され得る。
以下では、説明の便宜上、溝切り加工を行う際に被加工物に対してウォールチェイサー10を平行移動させる方向をウォールチェイサー10の前後方向と定義する。前後方向のうち、刃具49,50の回転軸線AX2に近い側をウォールチェイサー10の前側と定義し、回転軸線AX2に遠い側をウォールチェイサー10の後側と定義する。また、当接面23に直交する方向において、本体部30が位置する側をウォールチェイサー10の上側と定義し、その反対側をウォールチェイサー10の下側と定義する。また、前後方向および上下方向に直交する方向をウォールチェイサー10の左右方向と定義する。左右方向のうち、後側から前側を見たときの右側をウォールチェイサー10の右側と定義し、その反対側をウォールチェイサー10の左側と定義する。
図2に示すように、本体部30は、ギアハウジング31と、モータハウジング32と、リアハウジング33と、カバー本体34と、を備えている。ギアハウジング31、モータハウジング32およびリアハウジング33は、前側から、この順序で前後方向に並んでいる。図1~3に示すように、カバー本体34は、ギアハウジング31、モータハウジング32およびリアハウジング33に対して、左側に位置している。
図6に示すように、モータハウジング32内には、電動モータ41(以下、単にモータ41と呼ぶ)が収容されている。モータ41は、前後方向に離間して配置された軸受によって回転可能に支持されるモータシャフト42を備えている。モータシャフト42は、前後方向に延在する回転軸線AX1を中心として回転可能である。モータ41(モータシャフト42)は、刃具49,50に回転軸線AX2を中心とした回転駆動力を提供する。
図5に示すように、ギアハウジング31内には、モータシャフト42の回転駆動力を刃具49,50に伝達するためのギア機構が収容されている。具体的には、ギアハウジング31内には、小ベベルギア43と、大ベベルギア44と、スピンドル45と、が収容されている。小ベベルギア43は、モータシャフト42の前端部において、モータシャフト42の周りに固定されている。スピンドル45は、上下方向に離間して配置された軸受によって、回転軸線AX2を中心に回転可能に支持されている。回転軸線AX2は、モータシャフト42の回転軸線AX1と交差(より具体的には、直交)している。大ベベルギア44は、スピンドル45の右端部において、スピンドル45の周りに固定されており、小ベベルギア43と噛み合っている。
スピンドル45は、ギアハウジング31内を左右方向に延在し、左側においてギアハウジング31から延出し、カバー本体34内まで延在している。カバー本体34内において、スピンドル45の周りには、インナーフランジ46が取り付けられている。インナーフランジ46は、筒状の部材であり、その右端部は、回転軸線AX2に関して径方向外側に向けてフランジ状に突出している。スピンドル45のうちのインナーフランジ46よりも下方には、雄ネジ部が形成されており、当該雄ネジ部には、ロックナット47が取り付けられている。インナーフランジ46の右端部と、ロックナット47との間に、刃具49、少なくとも1つ(図5の例では、5つ)の環状のスペーサ48、および、刃具50を挟み、ロックナット47を締め付けることによって、スピンドル45に対する刃具49,50の位置が固定される。刃具49と刃具50との間に配置されるスペーサ48の数を変更することによって、刃具49と刃具50との離間距離を調節することができる。
このような構成によって、モータ41(モータシャフト42)の回転駆動力は、刃具49,50に伝達される。図4に示すように、カバー本体34の左側部分には、刃具49,50の回転方向を示す矢印35が付されている。
図1および図2に示すように、ベース部材20は、ベース21から当接面23と反対側(換言すれば、本体部30側)に向けて延在する補助カバー部22を備えている。図8に示すように、補助カバー部22は、カバー本体34の内側において、カバー本体34の下側縁部よりも上方まで延在している。
図4に示すように、ベース部材20は、その後端部に環状部25を備えている。環状部25は、ベース21の上側に配置されている。また、本体部30は、2つの環状部36を備えている。2つの環状部36は、左右方向における環状部25の両脇にそれぞれ配置されている。この環状部25,36を貫通するように、左右方向に延在する支軸26が配置されている。支軸26を介して、ベース部材20と本体部30とが一体化される。支軸26の両端には、車輪27が取り付けられている。車輪27によって、ウォールチェイサー10を被加工材に押しつけつつ、前後方向に平行移動させて溝切り加工を行う際に、当該平行移動が円滑化される。
本体部30は、支軸26を中心として、ベース部材20に対して揺動可能に構成される。本体部30は、支軸26の周囲を取り囲むように配置されたトーションバネ(図示せず)によって、ベース部材20から離れる方向に常時付勢されている。このため、初期状態では、本体部30は、図1および図2に示す位置に保持される。このときの本体部30の位置は、上死点とも称される。図1および図3に示すように、カバー本体34の左側部分には、円弧状の貫通孔37が形成されている。また、図8に示すように、補助カバー部22の左側部分の外面から左側に向けて突起28が突出している。図1に示すように、突起28は、貫通孔37を貫通している。突起28が貫通孔37の下端に位置することによって、上死点の位置が規定されるとともに、カバー本体34の下縁部が補助カバー部22の上縁部よりも上側に変位することが防止される。図1および図2に示すように、本体部30が上死点にあるとき、刃具49,50は、ベース21に対して上側に位置している。このとき、ベース部材20の補助カバー部22は、刃具49,50のうちのカバー本体34よりも下側の部分を覆っている。カバー本体34は、刃具49,50のうちの補助カバー部22よりも上側の部分を覆っている。
本体部30の揺動動作についての本体部30の下動端の位置(下側の可動限界位置)は、切り込み深さ調節機構38(以下、単に調節機構38と呼ぶ)によって可変に設定され得る。具体的には、図10に示すように、切り込み深さ調節機構38は、ボルトと、ボルトに螺号するナットと、操作レバーと、を備えている。ボルトの頭は、カバー本体34の右側部分よりも外側(右側)に位置しており、その周囲には、操作レバーが取り付けられている。カバー本体34の右側部分には、円弧状の貫通孔39が形成されている。ボルトは、この貫通孔39を貫通するように配置される。ナットは、カバー本体34の右側部分よりも内側(左側)に位置している。ユーザは、操作レバーを操作してボルトを緩めると、貫通孔39の円弧形状に沿った任意の位置に調節機構38を移動させることができる。ユーザが調節機構38を締め付けると、ボルトとナットとがカバー本体34の右側部分を左右方向に締め付ける。これによって、調節機構38が、カバー本体34に対して、そのときの位置に固定される。
本体部30は、調節機構38のボルトが、補助カバー部22の上縁部29に当接するまで、ユーザによって押し下げられることができる。つまり、調節機構38のボルトと、補助カバー部22の上縁部29と、が当接する位置が、本体部30の下動端の位置となる。調節機構38によって下動端の位置がその可動範囲の最も下側に設定されている状態で、本体部30を下動端まで下げたときの本体部30の位置は、下死点とも称される。
図5に示すように本体部30が下死点にあるとき(あるいは、本体部30が下動端にあるとき)、刃具49,50は、ベース21の貫通孔24(図4参照)を介して、ベース21の下面(当接面23)を越えて下側に部分的に突出する。このような機構によって、ユーザは、刃具49,50による切り込み深さを調節できる。本体部30が下動端にある状態において、ユーザが本体部30を下方に向けて押し下げる力を解除すると、本体部30は、トーションバネの付勢力によって、上死点まで戻る。
図1および図2に示すように、本体部30は、さらに、モータ41に電力を供給するためのバッテリ54を着脱可能に構成されたバッテリ装着部51を備えている。バッテリ装着部51は、リアハウジング33の上方に位置しており、リアハウジング33と一体的に形成されている。バッテリ装着部51は、バッテリ54を後側から前側に向けてスライド式に着脱可能である。具体的には、バッテリ装着部51は、レール状に延在する複数の端子(図示せず)を備えている。複数の端子が延在する方向にバッテリ54をスライドさせてバッテリ54をバッテリ装着部51に装着すると、バッテリ装着部51の複数の端子と、バッテリ54の複数の端子(図示せず)と、が電気的に接続される。モータ41の電源として、バッテリ54に代えて、商用電源が利用されてもよい。
図1および図2に示すように、本体部30は、さらに、第1のハンドル60と第2のハンドル70とを備えている。第1のハンドル60は、リアハウジング33に隣接して、リアハウジング33の後側に位置している。第1のハンドル60は、いわゆるループハンドルであり、ユーザが手で把持するための第1の把持部61を備えている。第1の把持部61が延在する方向における第1の把持部61の一方側には、モータ41の起動および停止の操作を行うための操作部材62が取り付けられている。
ユーザが操作部材62を後側へ引き操作すると、それが第1の把持部61の内部に収容されたスイッチ(図示せず)によって検知され、コントローラ(図示せず)を介してバッテリ54からモータ41へ電力が供給され、モータ41が起動される。ユーザが引き操作を解除すると、モータ41への電力供給が停止され、モータ41が停止される。
本実施形態では、第1のハンドル60は、モータシャフト42の回転軸線AX1と平行な回転軸線を中心として回転可能に、リアハウジング33の後端部に取り付けられる。第1のハンドル60は、図1に示す位置と、図1に示す位置から右に90度回転した位置と、図1に示す位置から左に90度回転した位置と、に選択的に固定可能に構成される。
図1および図2に示すように、第2のハンドル70は、第1のハンドル60よりも前側に配置されている。より具体的には、第2のハンドル70は、カバー本体34の前端付近で、カバー本体34の上部に取り付けられている。図7に示すように、第2のハンドル70は、いわゆるループハンドルであり、ユーザが手で把持するための第2の把持部71と、基部72,73と、ブリッジ部74,75と、を備えている。第2の把持部71は、当接面23と平行に左右方向に延在している。基部72,73は、左右方向において、環状部34aの両脇にそれぞれ配置されている。環状部34aは、カバー本体34から上部に突出するようにカバー本体34と一体的に形成された部分である。ブリッジ部74,75は、基部72,73と第2の把持部71との間に隙間が形成されるように基部72,73と第2の把持部71とを連結している。
本実施形態では、第2のハンドル70は、刃具49,50の回転軸線AX2と平行な回転軸線を中心として回転可能に構成される。具体的には、図10に示すように、第2の把持部71と平行に延在する支軸76が、基部72,73および環状部34aを左右方向に貫通している。この構成により、第2のハンドル70は、環状部34aによって支持される支軸76によって、回転可能に支持される。
支軸76の左端には、支軸76の先端に形成された雄ネジと螺号する六角ナット77が取り付けられている。六角ナット77は、基部72の内部に、回り止め状態で収容されている。支軸76の右端には、ノブ79が取り付けられている。ノブ79は、基部73よりも右側に位置している。ユーザがノブ79を緩めると、第2のハンドル70は、支軸76を中心として回転可能である。第2のハンドル70が所望の回転位置にあるときに、ユーザがノブ79を締め付けると、六角ナット77とノブ79とによって、基部72,73および環状部34aが左右方向に締め付けられ、第2のハンドル70の回転位置が固定される。このような構成によって、ユーザは、第2の把持部71の固定位置を回転的に変更することができる。なお、図7に示すように、基部72,基部73および環状部34aの各々には、複数の凹凸形状が周方向に沿って形成されており、第2のハンドル70は、基部72,73の凹凸と環状部34aの凹凸とが互いに噛み合う任意の位置に固定可能である。
上述したウォールチェイサー10は、以下のようにして使用できる。ユーザは、まず、第1の把持部61を一方の手で把持し、第2の把持部71を他方の手で把持する。次いで、ユーザは、当接面23が被加工材と当接するように、ウォールチェイサー10を配置する。次いで、ユーザは、第1のハンドル60を把持する手の指で、操作部材62を引き操作して、モータ41を起動する。次いで、ユーザは、第2のハンドル70を持つ手に力を入れて、本体部30をベース21に向けて押圧し、本体部30を上死点から下死点まで変位させる。そして、ユーザは、ウォールチェイサー10を前後方向に平行移動させ、溝切り加工を行う。本実施形態では、ウォールチェイサー10によって溝切り加工を進める方向(以下、加工進行方向とも呼ぶ)は、前側から後側へ向かう方向である。ただし、加工進行方向が後側から前側へ向かう方向となるようにウォールチェイサー10が設計されてもよい。あるいは、加工進行方向を、前側から後側へ向かう方向、および、後側から前側へ向かう方向からユーザが状況に応じて選択可能となるようにウォールチェイサー10(例えば、刃具49,50の形状)が設計されてもよい。
上述したウォールチェイサー10は、本体部30を上死点にロックする機能を有している。以下、そのような機能について説明する。図3に示すように、ウォールチェイサー10は、ロック操作部材81を備えている。ロック操作部材81は、第2の把持部71に隣接して配置されている。具体的には、ロック操作部材81は、その長手方向が第2の把持部71の延在方向と平行になるように配置されている。図13に示すように、ロック操作部材81は、操作部82と、突起83と、2つの軸部84と、を備えている。操作部82は、ユーザが握り操作するための部分であり、支軸76側に向けて凸状の湾曲部分を有している。突起83は、ロック操作部材81の長手方向の略中央で、湾曲部分と反対側に突出している。2つの軸部84は、操作部82の長手方向の両縁部から左右方向にそれぞれ延在している。
図10に示されるように、ロック操作部材81は、2つの軸部84が第2の把持部71に回転可能に支持され、かつ、操作部82が第2のハンドル70のループ形状の内側に向けて露出するように、第2の把持部71に取り付けられる。これにより、ロック操作部材81は、第2の把持部71と平行な回転軸線(左右方向に延在する軸部84の軸線)を中心として回転可能に、第2の把持部71によって支持されている。
このロック操作部材81は、本体部30を上死点にロックするためのロック位置(図10参照)と、本体部30の上死点から下死点への変位を許容するロック解除位置(図11参照)と、の間で、手動操作によって変位(回転)可能である。初期状態では、ロック操作部材81は、圧縮バネ95によって付勢されるリンク部材85によって、ロック位置に付勢されている。ユーザが第2の把持部71を把持するときに、ロック操作部材81も一緒に握り込むことによって、ロック操作部材81は、ロック位置からロック解除位置まで回転する。
図10に示すように、ウォールチェイサー10は、さらに、リンク部材85を備えている。リンク部材85は、第1の部分86と第2の部分87と、を有する略L字状の部材である。リンク部材85は、第1の部分86の先端である第1の端部88と、第2の部分87の先端である第2の端部89と、を備えている。第2の端部89は、間隙91を有する二股形状を備えている。また、第2の端部89には、二股形状を貫通するように、ネジ孔92が形成されている。第1の部分86の基端付近には、第1の部分86が延在する方向と直交する方向に延在する2つの軸部90が形成されている。
このリンク部材85は、図10に示すように、第1の部分86が第2の把持部71内を左右方向(第2の把持部71の延在方向)に延在し、第2の部分87がブリッジ部75内を、第2の把持部71と基部73とを連結する方向(ブリッジ部75の延在方向)に延在するように、第2のハンドル70内に収容される。2つの軸部90は2つのボス78(図10では、一方のみが見えている)内で回転可能に支持されている。これにより、リンク部材85は、軸部90の軸線を中心として回転可能である。
第1の端部88は、第2の把持部71の左右方向における略中央に位置している。第1の端部88と、第2の把持部71の内面と、の間には、圧縮バネ95が配置されている。圧縮バネ95は、第1の端部88を常時、ロック操作部材81側に付勢している。このため、初期状態では、第1の端部88は、図10に示す位置に保持される。
図7に示すように、ウォールチェイサー10は、さらに、ボーデンケーブル100を備えている。図12に示すように、ボーデンケーブル100は、可撓性を有するアウターケーブル101と、アウターケーブル101を貫通するインナーワイヤ102と、を備えている。アウターケーブル101は、第1の端部103と第2の端部104とを備えている。第1の端部103の先端には、第1の端部103を周方向に取り囲む接続端子105が取り付けられている。インナーワイヤ102は、アウターケーブル101内をアウターケーブル101に沿って変位可能である。インナーワイヤ102の両端は、アウターケーブル101の第1の端部103および第2の端部104から、それぞれ延出している。インナーワイヤ102の、第2の端部104から延出する端部には、係合端子106が取り付けられている。
ボーデンケーブル100の第1の端部103は、インナーワイヤ102がブリッジ部75の内部まで延在する状態で、ブリッジ部75に連結されている。具体的には、ブリッジ部75には、ブリッジ部75の側部(右側部分)には、ブリッジ部75の外部と内部とを連通させる貫通孔が形成されている。この貫通孔に接続端子105の先端を差し込んだ状態で、接続端子105がブリッジ部75に固定されている。
図10に示すように、インナーワイヤ102の、第1の端部103から延出する端部には、リンク部材85の第2の端部89が連結されている。具体的には、インナーワイヤ102が、ネジ孔92よりも第2の部分87の基端側で第2の端部89の間隙91(図14参照)を貫通するように配置される。そして、ネジ孔92にネジ96を挿入し、締め付けると、第2の端部89の二股の距離が小さくなり、二股がインナーワイヤ102を挟み込む。それによって、第2の端部89と、インナーワイヤ102の端部と、が連結される。ただし、第2の端部89とインナーワイヤ102の端部とは、任意の形態で連結され得る。
図10に示すように、ボーデンケーブル100の第2の端部104は、インナーワイヤ102がカバー本体34の貫通孔を介してカバー本体34の内部まで延在する状態で、カバー本体34の右側部分に連結されている。具体的には、第2の端部104の端部は、カバー本体34のボス内に固定されている。カバー本体34と第2の端部104との連結箇所は、上下方向において、補助カバー部22の上縁部29よりも僅かに上側の位置である。
図10に示すように、カバー本体34の右側部分の内面には、右側に向けて凹んだ凹部34bが形成されている。凹部34b内には、凹部34bの形状に適合する係合部材93が摺動可能に配置されている。この構成によれば、簡素な構成で、カバー本体34によって係合部材93を保持できる。係合部材93は、上下方向において、補助カバー部22の上縁部29よりも僅かに上側に位置する。図15に示すように、係合部材93は、中空の立方体形状を有しており、その6つの面のうちの1つの面は完全に開放されている。また、他の1つの面には、係合部材93の内部と外部とを連通させる切欠94が形成されている。切欠94は、開放された面から、開放された面と直交する方向に延在している。
図10に示すように、カバー本体34の内部において、インナーワイヤ102の、第2の端部104から延出する端部には、係合部材93が連結されている。具体的には、インナーワイヤ102が切欠94を通るように、インナーワイヤ102の係合端子106が、係合部材93の開放された面から係合部材93の内部空間に挿入されている。係合端子106は、切欠94の幅よりも大きいサイズを有しているので、このような構成によって、インナーワイヤ102の端部は、抜け止め状態で係合部材93に連結される。ただし、インナーワイヤ102の端部と係合部材93とは、任意の形態で連結され得る。
凹部34bの底部(カバー本体34の右側部分の左面)と係合部材93との間には、圧縮バネ97が配置されている。圧縮バネ97は、係合部材93を常時、左側(カバー本体34の内部側)に向けて付勢している。このため、初期状態では、係合部材93は、図10に示す位置に保持される。
上記のようにして、リンク部材85と係合部材93とを連結するボーデンケーブル100は、図3に示すように、基部72,73の内部および支軸76の周囲を通らないように、また、アウターケーブル101がウォールチェイサー10の内部を通らないように(換言すれば、ウォールチェイサー10の外部のみを通るように)配置される。また、ボーデンケーブル100は、アウターケーブル101が第1の端部103から第2の端部104まで180度湾曲された状態で配置される。また、ボーデンケーブル100は、左右方向(回転軸線AX2が延在する方向)において、カバー本体34に対して右側(換言すれば、モータハウジング32(モータ41)と同じ側)に配置されている。このため、ボーデンケーブル100は、カバー本体34の左側部分よりも左側に突出することはない。
上述したロック操作部材81は、リンク部材85とボーデンケーブル100のインナーワイヤ102とを介して係合部材93と連動して、上死点ロック機能を実現する。具体的には、図8および図10に示すように、ロック操作部材81がロック位置にある状態では、係合部材93は、その一部(左側部分)が凹部34bから左側へ突出している。このとき、係合部材93の突出部分の真下には、補助カバー部22の上縁部29が位置している。このため、ユーザが第2のハンドル70に下向きの力を加えて、本体部30を上死点から下死点に向けて変位させようとしても、係合部材93のうちの凹部34bから突出した部分が上縁部29に係合(当接)するので、そのような変位は阻止される。
一方、ユーザがロック操作部材81を握り操作して、ロック操作部材81がロック位置(図10)からロック解除位置(図11)まで回転すると、図11に示すように、ロック操作部材81の突起83がリンク部材85の第1の端部88と当接(係合)し、第1の端部88をロック操作部材81から離れる方向に押圧する。これによって、リンク部材85は、圧縮バネ95の付勢力に抗って回転する。その結果、第2の端部89は、左側に向けて回転し、第2の端部89に連結されたインナーワイヤ102を左側に向けて引っ張る。このように、リンク部材85は、ロック操作部材81のロック位置からロック解除位置への回転的な変位を、インナーワイヤ102のアウターケーブル101に沿った変位に変換する。
インナーワイヤ102が第2の端部89によって引っ張られることにより、インナーワイヤ102に連結された係合部材93は、右側に向けて引っ張られる。これによって、図9および図11に示すように、係合部材93は、圧縮バネ97の付勢力に抗って右側へ移動し、凹部34b内に完全に収容される。換言すれば、係合部材93は、補助カバー部22の上縁部29と干渉(係合)しない位置まで退避する。したがって、本体部30の上死点から下死点への変位が許容される。
ユーザが、ロック操作部材81の握り操作を解除すると、圧縮バネ95および圧縮バネ97の付勢力によって、リンク部材85、インナーワイヤ102および係合部材93は、図11に示す位置から図10に示す位置へ戻る。なお、本体部30を上死点以外の位置のときにロック操作部材81の握り込みをやめると、係合部材93は補助カバー部22の右側面に当接する。本体部30を上下に揺動させると、係合部材93の先端が補助カバー部22の右側面の表面を摺動する。本体部30を上死点に戻すと、係合部材93は上縁部29の上に到達するので、圧縮バネ95の付勢によって自動的にロックされる。
上述したウォールチェイサー10によれば、係合部材93は、ボーデンケーブル100のインナーワイヤ102を介してロック操作部材81のロック位置とロック解除位置との間での変位に連動する。ボーデンケーブル100は第2のハンドル70の第2の把持部71の回転に応じて曲がる(あるいは、撓む)ことができるので、第2のハンドル70(第2の把持部71)の回転運動に影響されることなく、ロック操作部材81の変位力を係合部材93に伝達することができる。このため、回転式の可動ハンドル(第2のハンドル70)を備えるウォールチェイサー10においても、上死点ロック機能を容易に実現できる。つまり、回転式の可動ハンドルと、上死点ロック機能と、を容易に両立できる。
また、ロック操作部材81とインナーワイヤ102との間にリンク部材85が介在しているので、ロック操作部材81の変位力の作用方向を係合部材93の変位力の作用方向へ、より高い自由度で変換することができる。したがって、ロック操作部材81の変位方向を、ユーザが手動操作しやすいように容易に設定できる。例えば、上述の実施形態のように、ユーザが、第2の把持部71を把持している手で、ロック操作部材81を容易に握り操作できるように、ロック操作部材81を、ロック操作部材81を第2の把持部71と平行な回転軸線を中心として回転するように構成することができる。特に、リンク部材85は、第2の把持部71内およびブリッジ部75内を延在する略L字状を有しているので、そのような構成を容易に実現できる。
また、ボーデンケーブル100のアウターケーブル101は、ウォールチェイサー10の内部を通らないように配置されるので、アウターケーブル101を複雑に曲げる必要が無い。このため、アウターケーブル101内でのインナーワイヤ102の円滑な変位が可能になる。あるいは、アウターケーブル101の湾曲限界に適合するようにウォールチェイサー10を設計する必要が無い。さらに、アウターケーブル101は、第1の端部103から第2の端部104まで180度湾曲されている。つまり、アウターケーブル101は、複雑に曲げられていない。このため、アウターケーブル101内でのインナーワイヤ102の円滑な変位が可能になる。また、アウターケーブル101の湾曲形態が簡素であるから、アウターケーブル101が、ウォールチェイサー10の持ち運びや溝切り加工作業の邪魔になりにくい。
また、ボーデンケーブル100は、第2のハンドル70の回転軸線の周囲(つまり、第2のハンドル70の基部72,73内および支軸76の周囲)のいずれも通らないように配置される。このため、簡素な構造で、ロック操作部材81の変位力を係合部材93へ伝達できる。
また、ボーデンケーブル100は、カバー本体34に対してギアハウジング31、モータハウジング32(モータ41)およびリアハウジング33と同じ側(右側)に配置されている。つまり、ボーデンケーブル100は、カバー本体34よりも左側に位置していない。このため、例えば、天井の近傍で壁に溝切り加工を行う場合、カバー本体34に対する左側がカバー本体34に対する右側よりも天井に近くなるように、壁に対してウォールチェイサー10を配置して溝切り加工を行えば、ボーデンケーブル100が天井と干渉することなく、天井の近傍に溝を形成できる。
また、係合部材93は、ベース21から上側(本体部30に近づく側)に向けて延在している補助カバー部22の上縁部29と係合するので、ベース21と係合部材93とが係合する場合と比べて、アウターケーブル101の延長距離を短縮化できる。また、係合部材93の形状を簡素化できる。ただし、係合部材93は、ベース21、または、ベース21に対して固定された任意の部分と係合してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
例えば、第2のハンドル70の回転方向は、ウォールチェイサー10のレイアウト設計に応じて、任意に変更されてもよい。また、ロック操作部材81は、回転式に限らず、任意の方向に変位する任意の形態に変形され得る。例えば、回転式のロック操作部材81に代えて、左右方向に変位するスライド式のロック操作部材が採用されてもよい。
あるいは、複数の部材間での上述した種々の連動動作は、上述した構成に限らず、ボーデンケーブル100を利用する限りにおいて、同様の機能を達成可能な任意の機械的構成によって達成されてもよい。例えば、左右方向に変位するスライド式のロック操作部材が採用される場合、リンク部材85が省略され、当該ロック操作部材とインナーワイヤ102の一端とが直接的に連結されてもよい。
ボーデンケーブル100の配置は上述した例に限られず、ボーデンケーブル100は、任意の経路で、操作部82と係合部材93とを、連動可能に直接的または間接的に接続してもよい。例えば、アウターケーブル101の一部または全部がウォールチェイサー10の内部(例えば、第2のハンドル70内、環状部34a内、カバー本体34内など)を通るようにボーデンケーブル100が配置されてもよい。
あるいは、刃具49,50(2列溝を形成するための刃具)に代えて、3つ以上の刃具(3列以上の溝を形成するための刃具)が使用されてもよい。あるいは、2列以上の刃部分を有する単一の刃具が使用されてもよい。
さらに、上述した種々の実施形態は、ウォールチェイサーに限らず、任意のプランジ式携帯用加工機(例えば、プランジマルノコ、プランジルータなど)に適用可能である。
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は単なる一例であって、本発明の各構成要素を限定するものではない。ウォールチェイサー10は、「携帯用加工機」の一例である。ベース21は「ベース」の一例である。当接面23は「当接面」の一例である。本体部30は「本体部」の一例である。ウォールチェイサー10の上側は、「第1の側」の一例である。ウォールチェイサー10の下側は、「第2の側」の一例である。刃具49,50は「刃具」の一例である。回転軸線AX2は「回転軸線」の一例である。モータ41は「モータ」の一例である。第2のハンドル70は「ハンドル」の一例である。第2の把持部71は「把持部」の一例である。上死点は「第1の位置」の一例である。下死点は「第2の位置」の一例である。ロック操作部材81は「ロック操作部材」の一例である。係合部材93は「係合部」の一例である。ボーデンケーブル100は、「ボーデンケーブル」の一例である。アウターケーブル101は、「アウターケーブル」の一例であり、インナーワイヤ102は「インナーワイヤ」の一例である。第1の端部103は「第1の端部」の一例であり、第2の端部104は「第2の端部」の一例である。リンク部材85は、「リンク部材」の一例である。第1の部分86は「第1の部分」の一例であり、第2の部分87は「第2の部分」の一例である。基部72,73は「基部」の一例である。支軸76は「支軸」の一例である。ブリッジ部74,75は「ブリッジ部」の一例である。カバー本体34は「カバー本体」の一例である。補助カバー部22は「補助カバー部」の一例である。補助カバー部22の上縁部29は「固定部分」および「補助カバー部の前記第1の側の縁部」の一例である。凹部34bは「凹部」の一例である。
10...ウォールチェイサー
20...ベース部材
21...ベース
22...補助カバー部
23...当接面
24...貫通孔
25...環状部
26...支軸
27...車輪
28...突起
29...上縁部
30...本体部
31...ギアハウジング
32...モータハウジング
33...リアハウジング
34...カバー本体
34a...環状部
34b...凹部
35...矢印
36...環状部
37...貫通孔
38...切り込み深さ調節機構
39...貫通孔
41...電動モータ
42...モータシャフト
43...小ベベルギア
44...大ベベルギア
45...スピンドル
46...インナーフランジ
47...ロックナット
48...スペーサ
49,50...刃具
51...バッテリ装着部
54...バッテリ
60...第1のハンドル
61...第1の把持部
62...操作部材
70...第2のハンドル
71...第2の把持部
72,73...基部
74,75...ブリッジ部
76...支軸
77...六角ナット
78...ボス
79...ノブ
81...ロック操作部材
82...操作部
83...突起
84...軸部
85...リンク部材
86...第1の部分
87...第2の部分
88...第1の端部
89...第2の端部
90...軸部
91...間隙
92...ネジ孔
93...係合部材
94...切欠
95...圧縮バネ
96...ネジ
97...圧縮バネ
100...ボーデンケーブル
101...アウターケーブル
102...インナーワイヤ
103...第1の端部
104...第2の端部
105...接続端子
106...係合端子
AX1...回転軸線
AX2...回転軸線

Claims (10)

  1. 携帯用加工機であって、
    被加工物に当接させるための当接面を有するベースと、
    前記当接面に直交する方向において前記ベースに対して第1の側に配置される本体部と
    を備え、
    前記本体部は、
    刃具に回転軸線を中心とした回転駆動力を提供するように構成されたモータと、
    把持部を有するハンドルであって、前記把持部の固定位置を回転的に変更可能に構成されたハンドルと
    を備え、
    前記本体部は、前記刃具が前記ベースに対して前記第1の側に位置する第1の位置と、前記刃具が前記第1の側と反対の第2の側に前記ベースを越えて部分的に突出する第2の位置と、の間で前記ベースに対して変位可能に構成され、
    前記本体部は、さらに、
    前記把持部に隣接して配置されたロック操作部材であって、前記本体部を前記第1の位置にロックするためのロック位置と、前記本体部の前記第1の位置から前記第2の位置への変位を許容するためのロック解除位置と、の間で手動操作によって変位可能なロック操作部材と、
    変位可能な係合部材と、
    第1の端部と、前記第1の端部と反対の第2の端部と、を有するアウターケーブルと、前記アウターケーブルを貫通するインナーワイヤと、を有するボーデンケーブルと
    を備え、
    前記ロック操作部材と係合部材とは、少なくとも前記インナーワイヤを介して連動するように構成され、
    前記携帯用加工機は、
    前記ロック操作部材が前記ロック位置にあるときに、前記係合部材が、前記ベース、または、前記ベースに対する位置が固定された前記ベース以外の部分である固定部分と係合して、前記本体部の前記第1の位置から前記第2の位置への変位が阻止され、
    前記ロック操作部材が前記ロック解除位置にあるときに、前記係合部材が前記ベースまたは前記固定部分と係合せず、前記本体部の前記第1の位置から前記第2の位置への変位が許容される
    ように構成された
    携帯用加工機。
  2. 請求項1に記載の携帯用加工機であって、
    前記ハンドルの内部に収容され、前記インナーワイヤに連結されたリンク部材であって、少なくとも前記ロック操作部材が前記ロック解除位置にあるときに、前記ロック操作部材と係合するリンク部材を備え、
    前記ロック操作部材と係合部材とは、少なくとも前記インナーワイヤと前記リンク部材とを介して連動するように構成された
    携帯用加工機。
  3. 請求項2に記載の携帯用加工機であって、
    前記ロック操作部材は、前記把持部と平行な回転軸線を中心として、前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で回転するように構成された
    携帯用加工機。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の携帯用加工機であって、
    前記本体部は、前記ハンドルを回転可能に支持する支軸を備え、
    前記ハンドルは、前記支軸が貫通する基部と、前記基部と前記把持部との間に隙間が形成されるように前記基部と前記把持部とを連結するブリッジ部と、を備え、
    前記ボーデンケーブルは、前記基部内および前記支軸の周囲のいずれも通らないように配置された
    携帯用加工機。
  5. 請求項3を従属元に含む請求項4に記載の携帯用加工機であって、
    前記アウターケーブルの前記第1の端部は、前記インナーワイヤが前記ブリッジ部を貫通可能に前記ブリッジ部に連結され、
    前記リンク部材は、前記把持部内を延在し、前記ロック操作部材と係合する第1の部分と、前記ブリッジ部内を延在し、前記インナーワイヤと連結される第2の部分と、を有する略L字状の形状を有する
    携帯用加工機。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項を記載の携帯用加工機であって、
    前記アウターケーブルは、前記携帯用加工機の内部を通らないように配置された
    携帯用加工機。
  7. 請求項6に記載の携帯用加工機であって、
    前記アウターケーブルの前記第1の端部は、前記インナーワイヤが前記ハンドルの内部まで延在する状態で前記ハンドルに連結され、
    前記アウターケーブルの前記第2の端部は、前記インナーワイヤが前記本体部のうちの前記ハンドル以外の部分の内部まで延在する状態で前記本体部のうちの前記ハンドル以外の部分に連結され、
    前記アウターケーブルは、前記第1の端部から前記第2の端部まで180度湾曲された
    携帯用加工機。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の携帯用加工機であって、
    前記携帯用加工機は、ウォールチェイサーであり、
    本体部は、前記刃具を部分的に覆うカバー本体を備え、
    前記携帯用加工機は、前記ベースから前記第1の側に向けて延在し、前記本体部が第1の位置にあるときに、前記刃具のうちの前記カバー本体よりも前記第2の側の部分を覆う補助カバー部を備え、
    前記アウターケーブルの前記第1の端部は、前記インナーワイヤが前記カバー本体の内部まで延在する状態で前記カバー本体に連結され、
    前記固定部分は、前記補助カバー部の前記第1の側の縁部である
    携帯用加工機。
  9. 請求項8に記載の携帯用加工機であって、
    前記係合部材は、
    前記カバー本体の内部でインナーワイヤに連結され、
    前記カバー本体の内面に形成された凹部内を摺動するように配置され、
    前記ロック操作部材が前記ロック位置にあるときに、前記凹部から部分的に突出し、突出した部分が前記補助カバー部の前記第1の側の縁部と係合するように構成された
    携帯用加工機。
  10. 請求項8または請求項9に記載の携帯用加工機であって、
    前記ボーデンケーブルは、前記刃具の前記回転軸線が延在する方向において、前記カバー本体に対して、前記モータと同じ側に配置された
    携帯用加工機。
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