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JP2023144512A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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JP2023144512A
JP2023144512A JP2022051520A JP2022051520A JP2023144512A JP 2023144512 A JP2023144512 A JP 2023144512A JP 2022051520 A JP2022051520 A JP 2022051520A JP 2022051520 A JP2022051520 A JP 2022051520A JP 2023144512 A JP2023144512 A JP 2023144512A
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JP2022051520A
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崇 川井
Takashi Kawai
雅央 小室
Masao Komuro
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】鉄板保持器の構造の大きな変更が不要かつ内輪アセンブリの造り易さを損ねない安価な手段で円すいころの挙動を抑えるようにして、低粘度油で潤滑する使用条件に好適な円すいころ軸受を提供する。【解決手段】鉄板保持器の柱部が柱部の外面43aを凹ませた形状である。その外面43aの凹状に基づいて、円すいころと柱部の小径側との間の隙間が円すいころと柱部の大径側との間の隙間よりも小さいため、円すいころの挙動が抑制される。【選択図】図1

Description

この発明は、円すいころ軸受に関する。
従来、内輪と外輪間に配置された複数の円すいころの周方向間隔を鉄板保持器で保持する円すいころ軸受がある。
円すいころ軸受用の鉄板保持器は、一般に、鉄系板材から円形ブランク板を打ち抜き、円形ブランク板を円すい状の周壁と底板をもったカップ状に絞り、その周壁を打ち抜いてポケットを成形し、柱部には面押し加工を施している(例えば、特許文献1)。
また、円すいころ軸受の内輪は、一般に、軌道面と、大鍔と、小鍔とを一体に有する。鉄板保持器を用いる場合、一般に、鉄板保持器の小径側を金型で押して拡径する塑性加工を施す。その拡径した鉄板保持器の各ポケットに円すいころを入れた状態で、これら鉄板保持器及び各円すいころと内輪とを内輪の小径側から組み合わせ、各円すいころを内輪の軌道面上に配置する。その後、鉄板保持器の小径側を金型で押して前述の拡径を元に戻す塑性加工(加締め加工)により、保持器の小径側環状部と内輪の小鍔間から円すいころが脱落できないようにして、保持器と各円すいころと内輪を非分離状態に組み立てた内輪アセンブリが構成される(例えば、特許文献2)。
鉄板保持器の柱部のうち、円すいころと接触する案内面は、一般に、柱部の周方向端部に面押し加工を施すことで平面状に成形されている(例えば、特許文献3)。
柱部と円すいころとの間には、ポケットに径方向及び周方向の余裕をもたせるための隙間が設定されている。その隙間の大きさに基づいて、保持器に対して円すいころが相対的に自由に動き得る挙動の許容範囲が決まる。その隙間の最終的な寸法は、前述の加締め加工で決まる。
特開2004-293698号公報 特開2017-26001号公報 特許第6786196号公報
近年、自動車用駆動ユニット(デファレンシャル、トランスミッション、EV用減速機、HEV用減速機等)、産業機械用装置(ロボット用減速機、建設機械用、トラクター用等)の各種装置において、高効率化のため、使用される油の低粘度化が加速しており、その内部に組み込まれる転がり軸受を潤滑することが難化している。そのような厳しい使用条件に好適な円すいころ軸受を提供することが重要になっている。
低粘度油の場合、円すいころのころ大端面と内輪の大鍔との滑り接触部において適度な油膜成形を保つことが難しく、潤滑不良で前述の滑り接触部での抵抗力が大きくなり、円すいころの挙動(スキュー方向、チルト方向)が乱れる懸念がある。また、その他の軸受の使用条件(潤滑油量、荷重、回転速度、温度、使用時間、潤滑油混入異物等)によっても円すいころの挙動が乱れる可能性がある。円すいころの挙動が大きく乱れると、内外輪の軌道面と円すいころの転動面の転がり接触部における接触面圧の乱れや、前述の滑り接触部における発熱により、軸受の円滑な回転が妨げられる懸念がある。
特許文献2のように柱部の案内面を平面状とした従来の鉄板保持器では、柱部と円すいころ間の隙間設定に限界があり、円すいころの挙動(スキュー方向、チルト方向)を安定化できる程に円すいころを拘束することができず、改良の余地があった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、円すいころ軸受に用いる鉄板保持器の構造の大きな変更が不要かつ内輪アセンブリの造り易さを損ねない安価な手段で円すいころの挙動を抑えることにある。
上記の課題を解決するため、この発明は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の円すいころと、前記複数の円すいころを保持する鉄板保持器とを備え、前記内輪が、軌道面と、大鍔と、小鍔とを一体に有し、前記鉄板保持器が、小径側環状部と、大径側環状部と、前記小径側環状部と前記大径側環状部との間を複数のポケットに区切る複数の柱部とを一体に有し、前記柱部が、前記小径側環状部の外周と前記大径側環状部の外周とに連なる外面を有する円すいころ軸受において、前記柱部が、前記円すいころと前記柱部の小径側との間の隙間を前記円すいころと前記柱部の大径側との間の隙間よりも小さくするように前記柱部の外面を凹ませた形状である構成を採用した。
上記構成によれば、柱部の外面を凹ませた形状に基づく柱部の小径側と円すいころ間の隙間が柱部の大径側と円すいころ間の隙間よりも小さく設けられているため、諸々の軸受使用条件下で円すいころの挙動が乱れるとき、その挙動による円すいころの振れ先側(小径側)を柱部で早期に受けて円すいころの挙動を抑えることができる。また、小径側の隙間を大径側の隙間よりも小さくすることは、柱部の外面を凹ませた形状に基づいて柱部が僅かに曲がった塑性変形によるので、内輪アセンブリの組み立てに際し、最終的に隙間を決める加締め加工の金型形状を僅かに変更すれば実現可能である。このため、鉄板保持器の構造の大きな変更が不要であり、また、内輪アセンブリの造り易さを損ねることのない安価な手段で鉄板保持器に円すいころの挙動を抑える特性をもたせることができる。
前記小径側環状部の外周及び前記大径側環状部の外周に接する仮想直線と前記柱部の外面との距離を前記柱部の外面に成形された凹状の深さとしたとき、前記柱部の外面の中で最大の深さをもった最深部が、前記柱部の小径側に成形されているとよい。このようにすると、柱部のより小径側、すなわち円すいころのより振れ先側で小径側の隙間を特に小さくし、より効果的に円すいころの挙動を抑えることができる。
より好ましくは、前記最深部の深さが10μm以上200μm以下であるとよい。このようにすると、円すいころの挙動を抑える効果を向上させつつ、小径側の隙間が過度に小さくなることを避けて円すいころの円滑な回転を妨げないようにすることができる。
前記鉄板保持器の外径をφDとし、前記鉄板保持器の内径をφdとし、前記ポケットの長さをLwとし、前記小径側環状部の外周及び前記大径側環状部の外周に接する仮想直線と前記柱部の外面との距離を前記柱部の外面に成形された凹状の深さとし、前記柱部の外面の中で最大の深さをDpとし、(φD/φd)×(Lw/Dp)=保持器係数としたとき、前記鉄板保持器が、100<保持器係数<1300を満足するものであるとよい。このようにすると、鉄板保持器のサイズに応じた妥当な剛性において、柱部の外面に前述の凹状を有効に与えることができる。
前記柱部の小径側と前記円すいころとの間の隙間の最小値が0.01mm以上0.12mm以下であるとよい。このようにすると、優れた円すいころの挙動抑制性能を実現しつつ、通常時の円すいころと柱部の強当たりを避けることができる。
上述のように、この発明に係る保持器は、上記構成の採用により、円すいころ軸受に用いる鉄板保持器の構造の大きな変更が不要かつ内輪アセンブリの造り易さを損ねない安価な手段で円すいころの挙動を抑えることができる。
この発明の実施形態に係る円すいころ軸受の柱部の外面形状を誇張して示す図 図1の実施形態に係る円すいころ軸受の断面図 図2の鉄板保持器の断面図 図2のIV-IV線の部分拡大断面図 図2のV-V線の部分拡大断面図 図2の円すいころの挙動の乱れを例示する図 図1の実施形態に係る柱部の外面形状の第一の変更例を示す図 図1の実施形態に係る柱部の外面形状の第二の変更例を示す図 図1の実施形態に係る柱部の外面形状の第三の変更例を示す図
この発明の一例としての実施形態に係る円すいころ軸受を図1~図3に示す。
図2に示すこの円すいころ軸受は、内輪10と、外輪20と、内輪10と外輪20との間に配置された複数の円すいころ30と、これら複数の円すいころ30を保持する鉄板保持器40と、を備える。
内輪10は、この外周側において円すい状に成形された軌道面11と、軌道面11の大径側縁よりも大径に成形された大鍔12と、軌道面11の小径側縁よりも大径に成形された小鍔13とを一体に有する軌道輪からなる。
内輪10の大鍔12は、軸受回転中に軸方向大径側に向かう推力が転動面31に作用する円すいころ30の大端面を支持すると共に周方向に案内する。
内輪10の小鍔13は、複数の円すいころ30が軌道面11から小径側へ脱落することを防ぎ、これら円すいころ30と鉄板保持器40と内輪10とでアセンブリを構成するための部位である。
外輪20は、この内周側において円すい状に成形された軌道面21を有する軌道輪からなる。
円すいころ30は、円すい状に成形された転動面31を有する転動体からなる。
複数の円すいころ30は、内輪10と外輪20との間に単列に配置されている。
鉄板保持器40は、複数の円すいころ30を周方向に所定ピッチに保つ環状軸受部品である。鉄板保持器40は、背景技術で述べたように、鉄系板材製の円形ブランク板に対する絞り、ポケット打ち抜き等の塑性加工によって成形され、内輪10と複数の円すいころ30と鉄板保持器40とを内輪アセンブリに組み立てる際に加締め加工されたものである。
ここで、図2は、内輪10、外輪20及び鉄板保持器40の中心線が一致する状態を示し、この中心線を以下、「軸受中心軸CL1」という。また、図2は、軸受中心軸CL1に一致する内輪10、外輪20の各中心軸及び円すいころ30の中心軸CL2が同一の仮想アキシアル平面に含まれ、かつ円すいころ30の中心軸CL2が内外の軌道面11,21の円すい状の頂点である軸受中心軸CL1上の一点に真っすぐに対向する位置関係のときを示す。以下、軸受中心軸CL1に沿った方向のことを「軸方向」といい、軸受中心軸CL1に直交する方向のことを「径方向」といい、軸受中心軸CL1回りに一周する円周方向のことを「周方向」という。
鉄板保持器40は、図3に示すように、小径側環状部41と、大径側環状部42と、小径側環状部41と大径側環状部42との間に亘る複数の柱部43とを一体に有する。鉄板保持器40は、実質的に周方向に複数回の回転対称性をもった形状になっている。
小径側環状部41は、周方向に延びる円形の外周41aを有する。大径側環状部42は、小径側環状部41の外周41aの直径よりも大径な外周42aを有する。鉄板保持器40の内径φdは、小径側環状部41の内径に一致する。鉄板保持器40の外径φDは、大径側環状部42の外径に一致する。
複数の柱部43は、小径側環状部41と大径側環状部42との間を複数のポケット44に区切る板部分である。複数の柱部43は、周方向に均等間隔に配置されている。ポケット44は、一つの円すいころ30を収容する空間である。
柱部43は、鉄板保持器40の外周に位置する外面43aと、鉄板保持器40の内周に位置する内面43bと、円すいころ30と接触する案内面43cとを有する。
柱部43の案内面43cは、各柱部43の周方向両端部に成形されている。鉄板保持器40の塑性加工時、案内面43cは、平面状に面押し加工されている。すなわち、内輪アセンブリの組み立てを開始する前の案内面43cは、平面状である。
図1に柱部43の外面43aの形状を示す。同図に示す外面43aの形状は、外面43aの母線の形状に相当する。外面43aの周方向の全幅に亘って同図の形状が実質的に連続する。図1における一点鎖線の直線Pcは、柱部43の小径側と柱部43の大径側との境界である仮想平面を示す仮想直線である。すなわち、仮想直線Pcは、図1において柱部43の長さを二等分する中央位置を示す。柱部43の長さは、図2に示すポケット44の長さLwに一致する。ポケット44の長さLwは、小径側環状部41のうちのポケット44に面する表面部に接する仮想平面と、大径側環状部42のうちのポケット44に面する表面部に接する仮想平面間の距離に相当する。図1に示す仮想直線Pcの方向は、図2に示す正規の状態での円すいころ30の中心軸CL2と直交する方向である。なお、図1において外面43aの形状を誇張して示すため、図1に示す外面43aの形状は、図3の柱部43の外面43aの形状に比して、仮想直線Pcが延びる方向と、仮想直線Pcに直交する方向とでのアスペクト比を大きく変更している。
図1、図3に示すように、柱部43の外面43aは、小径側環状部41の外周41aと大径側環状部42の外周42aとに連続している。
柱部43は、図1に示すように外面43aを凹ませた形状である。この外面43aの凹状は、前述の内輪アセンブリの組み立て時の加締め加工によって成形されている。その加締め加工により外面43aを凹状に塑性変形させることに伴い、図2に示す柱部43の内面43bは外面43aの凹状に従って膨出すように塑性変形させられるので、柱部43が図1に示す外面43aの凹状に従って曲げられている。すなわち、加締め加工により、柱部43のうち、外面43aを凹ませた曲げ部分は、円すいころ30に対して径方向に接近させられ、その結果、この曲げ部分に含まれた案内面43c(図3参照)と円すいころ30との間の隙間(径方向の隙間)が小さくなる。これにより、図2、図4、図5に示すように、円すいころ30と柱部43の小径側との間の径方向の隙間(δ/2)は、円すいころ30と柱部43の大径側との間の径方向の隙間(δ/2)よりも小さくなっている。つまり、小径側の隙間(δ/2)における最小値は、大径側の隙間(δ/2)における最小値よりも小さくなっている。なお、図4、図5においては、隙間(δ/2),(δ/2)をそれぞれ誇張して示している。また、図4と図5の断面は、それぞれ仮想直線Pcを境とした小径側、大径側を示し、その範囲の中で、それぞれ最小すきまの大小関係で比較している。
隙間(δ/2),(δ/2)の測定方法として、例えば、鉄板保持器40、円すいころ30、内輪10をアセンブリに組立てた状態で、鉄板保持器40の各柱部43の外面43aが測定対象とする小径側、大径軸のどちらかで軸方向、周方向ともに固定される測定治具にセットし、内輪10を径方向に移動させ、その移動量を接触式または非接触の測定器で測定した値から、隙間(δ/2),(δ/2)を算出する方法が挙げられる。
図2に示す円すいころ軸受の回転中、円すいころ30は、鉄板保持器40の回転速度と円すいころ30の公転速度との速度差に応じてポケット44の周方向両側に位置する一対の柱部43のいずれか一方の案内面43c(図3参照)と接触し、かつ内輪10の大鍔12と流体潤滑状態で滑り接触することにより、安定した姿勢に保たれる。諸々の軸受使用条件によっては、円すいころ30を大鍔12と一方の案内面43cで案内し切れず、円すいころ30の挙動が乱れ、円すいころ30がスキュー方向、チルト方向に振れる可能性がある。なお、円すいころ30のスキュー方向の挙動は、図6に示すように、円すいころ30の中心軸CL2´が正規の方向(図2参照)に対して周方向に角度θ1を成す方向に振れることをいい、円すいころ30のチルト方向の挙動は、円すいころ30の中心軸CL2´´が正規の方向に対して径方向に角度θ2を成す方向に振れることをいう。
円すいころ30の挙動が乱れた際、円すいころ30は、この周方向両側に位置する一対の柱部43(図3参照)の隙間(図4,図5参照)の範囲内でスキュー方向やチルト方向に振れることができるが、それ以上に振れると、円すいころ30の小径側が一対の柱部43の案内面43c(図3参照)によって拘束されて、円すいころ30の挙動が抑制されることになる。
ここで、図1、図3に示す一点鎖線の直線L1は、鉄板保持器40の中心軸を含みかつ外面43aと交差する任意の仮想平面に含まれ、かつ当該仮想平面において小径側環状部の外周41a及び大径側環状部42の外周42aに接する仮想直線である。その仮想直線L1と柱部43の外面43aとの距離を外面43aに成形された凹状の深さとし、その外面43aの中で最大の深さをもった部位を最深部Pmaxとする。その最深部Pmaxの深さをDpとする。最深部Pmaxの深さDpは、図1に示すように、当該仮想平面において仮想直線L1と平行な仮想直線L2が外面43aの最深部Pmaxと交わるときの仮想直線L1と仮想直線L2との間の距離である。
柱部43の外面43aの凹状部位は、最深部Pmaxから小径側環状部41の外周41aに近くなる程に、また、大径側環状部42の外周42aに近くなる程に深さを浅くした形状になっている。
図1、図3に示す柱部43の外面43aの最深部Pmaxは、柱部43の小径側(直線Pcに対して左側)に位置するように成形されている。このため、加締め加工時、柱部43の小径側において案内面43c(図3参照)が特に円すいころ30の転動面31の小径側に接近させられている。小径側の隙間(δ/2、図4参照)が最小となる位置は、実質的に、仮想直線Pcに平行かつ外面43aの最深部Pmaxを含む仮想平面(最大の深さDpを示す引き出し線)上となる。これにより、柱部43のより小径側、すなわち円すいころ30の大径側を案内する内輪10の大鍔12(図2参照)とは反対側である円すいころ30の振れ先側の位置において小径側の隙間(δ/2、図4参照)が特に小さい範囲が大鍔12(図2参照)から距離をとった位置に軸方向に幅をもって存在するため、円すいころ30の振れ先側が早期に強く拘束されることになる。したがって、円すいころ30の挙動を抑制する効果が特に優れる。
図1に示す最深部Pmaxの深さDpは、10μm以上200μm以下であり、好ましくは20μm以上150μm以下であり、より好ましくは30μm以上100μm以下である。最深部Pmaxの深さDpが5μm未満であると、小径側の隙間(δ/2、図4参照)があまり小さくならず、円すいころ30(図2、図6参照)の挙動を抑制する効果が小さい。300μmを超えると、小径側の隙間(δ/2、図4参照)が過度に小さくなり、円すいころ30の転動面31と案内面43cの接触力が高くなり過ぎ、円すいころ30の円滑な回転を妨げる可能性がある。
また、柱部43と、円すいころ30の転動面31と、軌道面11(図2参照)との間には、径方向の隙間(図4,図5参照)をもたせることが必要である。円すいころ30のスキューやチルト方向の動きを抑制するために前述の径方向の隙間を過度に小さく設定してしまうと、図2に示す状態から鉄板保持器40の振れ回りの動きが不足し、柱部43と転動面31とが常に接触する強当たりとなり、柱部43と転動面31の転がり接触部で油膜破断を誘発し、早期破損する懸念が生じる。このため、前述の径方向の隙間(図4,図5参照)により、ある程度の鉄板保持器40(図2参照)の振れ回りを許容することが必要となる。これを考慮した小径側の隙間(δ/2、図4参照)の最小値は、0.01mm以上0.12mm以下であり、好ましくは0.03mm以上0.10mm以下である。これにより、優れた円すいころ30(図2、図6参照)の挙動抑制性能を実現しつつ、妥当な鉄板保持器40の振れ回りを許容することができる。
ここで、前述の鉄板保持器40の外径φD、鉄板保持器40の内径φd及びポケット44の長さLw(図3参照)、並びに前述の最深部Pmaxの深さDp(図1参照)を用いた演算において、(φD/φd)×(Lw/Dp)=保持器係数とする。鉄板保持器40の全体的なサイズは、鉄板保持器40の外径φDと内径φdとポケット44(柱部43)の長さLwとに大きく依存する。鉄板保持器40の全体的なサイズに応じて妥当な剛性が得られるように、素材とする鉄系板材の板厚を選ぶことになる。その板厚は、前述の加締め加工による柱部43の外面43aの凹状成形、隙間の狭小化に影響する。100<保持器係数<1300を満足すれば、鉄板保持器40(図3参照)のサイズに応じた妥当な剛性を加味しつつ、柱部43の外面43a(図1参照)に前述の凹状を円すいころ30の有効に与えることができる。
この円すいころ軸受は、上述のように、内輪10と、外輪20と、内輪10と外輪20との間に配置された複数の円すいころ30と、複数の円すいころ30を保持する鉄板保持器40とを備え、内輪10が軌道面11と大鍔12と小鍔13とを一体に有し、鉄板保持器40が小径側環状部41と、大径側環状部42と、小径側環状部41と大径側環状部42との間を複数のポケット44に区切る複数の柱部43とを一体に有し、柱部43が小径側環状部41の外周41aと大径側環状部42の外周42aとに連なる外面43aを有するものであって(図1、図3~図5参照)、特に、円すいころ30と柱部43の小径側との間の隙間(δ/2)を円すいころ30と柱部43の大径側との間の隙間(δ/2)よりも小さくするように柱部43の外面43aを凹ませた形状である柱部43の採用により、柱部の外面を凹ませた形状に基づいて小径側の隙間(δ/2)が大径側の隙間(δ/2)よりも小さく設けられているため、円すいころ30の挙動が乱れるとき、円すいころ30の振れ先側(小径側)を柱部43で早期に受けて円すいころ30の挙動を抑えることができる。
また、小径側の隙間(δ/2)を大径側の隙間(δ/2)よりも小さくすることは、柱部43の外面43aを凹ませた形状に基づいて柱部43が僅かに曲がった塑性変形によるので、内輪アセンブリの組み立てにおける加締め加工の金型形状を僅かに変更すれば実現可能である。このため、この円すいころ軸受は、鉄板保持器40の構造の大きな変更が不要であり、また、内輪アセンブリの造り易さを損ねることのない安価な手段で鉄板保持器40に円すいころ30の挙動を抑える特性をもたせることができる。
したがって、この円すいころ軸受は、鉄板保持器40の構造の大きな変更が不要かつ内輪アセンブリの造り易さを損ねない安価な手段で円すいころ30の挙動を抑えることができる。
また、この円すいころ軸受は、小径側環状部41の外周41a及び大径側環状部42の外周42aに接する仮想直線L1と柱部43の外面43aとの距離を柱部43の外面43aに成形された凹状の深さとしたとき、柱部43の外面43aの中で最大の深さDpをもった最深部Pmaxが柱部43の小径側に成形されていることにより、柱部43のより小径側(円すいころ30のより振れ先側)で小径側の隙間(δ/2)を特に小さくし、より効果的に円すいころ30の挙動を抑えることができる。
また、この円すいころ軸受は、最深部Pmaxの深さDpが10μm以上200μm以下であることにより、円すいころ30の挙動を抑える効果を向上させつつ、小径側の隙間(δ1/2)が過度に小さくなることを避けて円すいころ30の円滑な回転を妨げないようにすることができる。
また、この円すいころ軸受は、鉄板保持器40の外径をφDとし、鉄板保持器40の内径をφdとし、ポケット44の長さをLwとし、小径側環状部41の外周41a及び大径側環状部42の外周42aに接する仮想直線L1と柱部43の外面43aとの距離を柱部43の外面43aに成形された凹状の深さとし、柱部43の外面43aの中で最大の深さをDpとし、(φD/φd)×(Lw/Dp)=保持器係数としたとき、鉄板保持器40が100<保持器係数<1300を満足するものであることにより、鉄板保持器40のサイズに応じた妥当な剛性において、柱部43の外面43aに前述の凹状を有効に与えることができる。
また、この円すいころ軸受は、柱部43の小径側と円すいころ30との間の隙間(δ1/2)の最小値が0.01mm以上0.12mm以下であることにより、優れた円すいころ30の挙動抑制性能を実現しつつ、通常時の円すいころ30と柱部43の強当たりを避けることができる。
この円すいころ軸受では、柱部43の外面43aの最深部Pmaxが柱部43の小径側の部位の中でも小径側環状部41の外周41a寄りの位置に成形されていることにより、特に円すいころ30の挙動をより振れ先側で抑制することができるようにしたが、柱部の外面を凹ませる形状は、図1以外にも様々な形状を採用することが可能である。例えば、図7~図9に示すように、最深部Pmaxの位置や最大の深さDpは、前述の保持器係数に基づいて所要の円すいころ挙動抑制性能が得られるように適宜に変更することが可能である。また、柱部の外面の凹状は、柱部の長さの一部に存在しても、全体に存在しもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 内輪
11 軌道面
12 大鍔
13 小鍔
20 外輪
30 円すいころ
40 鉄板保持器
41 小径側環状部
42 大径側環状部
43 柱部
43a 外面
44 ポケット

Claims (5)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の円すいころと、前記複数の円すいころを保持する鉄板保持器とを備え、
    前記内輪が、軌道面と、大鍔と、小鍔とを一体に有し、
    前記鉄板保持器が、小径側環状部と、大径側環状部と、前記小径側環状部と前記大径側環状部との間を複数のポケットに区切る複数の柱部とを一体に有し、前記柱部が、前記小径側環状部の外周と前記大径側環状部の外周とに連なる外面を有する円すいころ軸受において、
    前記柱部が、前記円すいころと前記柱部の小径側との間の隙間を前記円すいころと前記柱部の大径側との間の隙間よりも小さくするように前記柱部の外面を凹ませた形状であることを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記小径側環状部の外周及び前記大径側環状部の外周に接する仮想直線と前記柱部の外面との距離を前記柱部の外面に成形された凹状の深さとしたとき、前記柱部の外面の中で最大の深さをもった最深部が、前記柱部の小径側に成形されている請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記最深部の深さが10μm以上200μm以下である請求項2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記鉄板保持器の外径をφDとし、前記鉄板保持器の内径をφdとし、前記ポケットの長さをLwとし、前記小径側環状部の外周及び前記大径側環状部の外周に接する仮想直線と前記柱部の外面との距離を前記柱部の外面に成形された凹状の深さとし、前記柱部の外面の中で最大の深さをDpとし、(φD/φd)×(Lw/Dp)=保持器係数としたとき、前記鉄板保持器が、100<保持器係数<1300を満足するものである請求項1から3のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
  5. 前記柱部の小径側と前記円すいころとの間の隙間の最小値が0.01mm以上0.12mm以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
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